(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る実施形態の流体噴出ガンを図面を参照して以下に説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る流体噴出ガン10は、ガン本体11とノズル部12と液体貯蔵タンク13とを有している。ノズル部12は、筒状でありガン本体11の先端部に取り付けられている。液体貯蔵タンク13は、ガン本体11の先端側の下部に取り付けられている。
【0014】
ガン本体11は、グリップ部17と延出部18とを有するボディ19を備えている。グリップ部17は、使用時に使用者の手で把持される部分である。延出部18は、グリップ部17の上部から前方に延出している。グリップ部17の延出部18とは反対側の端部には、接続部20が設けられている。接続部20は、気体供給源としての例えばエアコンプレッサ25に接続されている。接続部20にはダイヤル26が設けられている。接続部20はダイヤル26の回転位置に応じてエアコンプレッサ25からの気体としての加圧空気の導入流量を調整する。延出部18のグリップ部17とは反対側の端部の外周部には、
図2に示すオネジ27が形成されている。
【0015】
図1に示すように、ガン本体11は、レバー部31を有している。レバー部31は、延出部18に設けられた回動軸32を中心に回動する。レバー部31は、延出部18からグリップ部17の方向に延出している。レバー部31は、グリップ部17の前方にグリップ部17に沿うように配置されている。
【0016】
延出部18の下部には、前方に延出するニードル35が設けられている。ニードル35は前後方向に移動可能であり、その前方にレバー部31が配置されている。ニードル35は、ボディ19に内蔵された切替バルブ36を作動させる。切替バルブ36は、ボディ19内に設けられた内部気体通路41を開閉する。内部気体通路41は一端が接続部20に連通されており、他端が延出部18のグリップ部17とは反対端の
図2に示すガス噴出口42になっている。
【0017】
図1に示すレバー部31は、グリップ部17に近づくように回動するとニードル35をグリップ部17側に押し込む。すると、切替バルブ36が内部気体通路41を開くことになる。これにより、接続部20に接続されたエアコンプレッサ25からの加圧空気がガス噴出口42から噴出する。つまり、ガン本体11は、気体である加圧空気をガス噴出口42から噴出させる。
【0018】
ニードル35は、図示略のバネによって前端位置に位置するように付勢されている。図示略のバネの力でニードル35が前端位置に位置すると、レバー部31は、グリップ部17から離れる。ニードル35が前端位置に位置すると、切替バルブ36は、内部気体通路41を閉じることになる。これにより、接続部20に接続されたエアコンプレッサ25からの圧縮空気がガス噴出口42から噴出することはない。
【0019】
図2に示すように、ノズル部12は、支持体51と軸受52と軸受53と回転体54と円筒体55を有している。支持体51は、外側部材61と内側部材62と中間部材63とカバー部材64とブラシ部材65とを有している。
【0020】
外側部材61は、合成樹脂製であり、円筒状である。外側部材61には、その軸方向の一端側の内周部にメネジ71が形成されている。
【0021】
内側部材62は、合成樹脂製である。内側部材62は、その全体が外側部材61のメネジ71とは反対側の端部の内周部に嵌合されている。内側部材62は、ネジ部材75で外側部材61に固定されている。ここで、ネジ部材75を用いずに、内側部材62を外側部材61に接着剤で固定しても良い。内側部材62は、筒状部81と内フランジ部82とを有している。筒状部81は、外側部材61の内周部に嵌合される部分であり、その軸方向の中間位置から一端までの内周部にメネジ83が形成されている。内フランジ部82は、筒状部81の軸方向の中間位置から径方向内側に突出しており、円環状をなしている。筒状部81には軸方向に延びるスリット84が形成されている。スリット84は、内フランジ部82を軸方向に跨いで延在している。
【0022】
支持体51は、内側部材62のメネジ83がガン本体11のオネジ27に螺合されることになり、これにより、ガン本体11の延出部18に取り付けられている。外側部材61および内側部材62とガン本体11との間には、これらの隙間をシールするOリング85が設けられている。
【0023】
中間部材63は、合成樹脂製であり、円筒状である。中間部材63は、大径部91と小径部92と内フランジ部93とを有している。大径部91は、小径部92よりも外径が大径であり、これらは軸方向に隣り合っている。小径部92の外周部にはオネジ94が形成されており、このオネジ94が外側部材61のメネジ71に螺合されている。この状態で、中間部材63は、外側部材61のガン本体11とは反対側の端部に取り付けられている。大径部91は、外側部材61よりもガン本体11とは反対側に配置されている。大径部91と外側部材61との間には、これらの隙間をシールするOリング95が配置されている。内フランジ部93は、大径部91の小径部92とは反対側の端部から径方向内側に突出しており、円環状をなしている。
【0024】
中間部材63には、大径部91の軸方向の中間位置の内周面から径方向外方に凹んだ後、大径部91の小径部92とは反対側の端面まで延出する通路96が形成されている。通路96は大径部91の内周面における小径部92と内フランジ部93との間位置に開口している。通路96の先端には金属製の直線状の管体97が嵌合されている。管体97は、接着剤で中間部材63に固定されており、大径部91から小径部92とは反対の方向に延出している。
【0025】
カバー部材64は、合成樹脂製であり、筒状である。カバー部材64は、小径円筒部101とテーパ筒部102と大径円筒部103とを有している。小径円筒部101とテーパ筒部102とは軸方向に隣り合っており、大径円筒部103はテーパ筒部102に対し小径円筒部101とは反対側に設けられている。小径円筒部101のテーパ筒部102とは反対側の内周部に中間部材63の大径部91が嵌合されている。カバー部材64は、ネジ部材105で中間部材63に固定されている。ここで、ネジ部材105を用いずに、カバー部材64を中間部材63に接着剤で固定しても良い。カバー部材64は、中間部材63のガン本体11とは反対側の大径部91に取り付けられている。テーパ筒部102は、中間部材63からガン本体11とは反対側に延出している。
【0026】
小径円筒部101には、その中間部材63への嵌合部分とテーパ筒部102との間位置に、この小径円筒部101を径方向に貫通する外気取入口106が形成されている。テーパ筒部102は小径円筒部101から離れるほど大径となっている。
【0027】
ブラシ部材65は、ベース部材121と多数の毛122とを有している。ベース部材121は、金属製であり、円環を一箇所で破断した形状となっている。ベース部材121は、断面形状がU字状である。多数の毛122は、ベース部材121のU字の内側に一端が挿入されており、この状態でベース部材121に固定されている。多数の毛122は、ベース部材121からカバー部材64とは反対方向に延出している。ブラシ部材65は、ベース部材121が上記形状であるため、内径が拡大および縮小可能であり、カバー部材64の大径円筒部103に対し着脱可能となっている。支持体51は、ブラシ部材65を除く部分が高剛性であって変形しにくい。
【0028】
回転体54は、円筒管131と頭部材132とナット部材133とを有している。円筒管131は金属製であって一端側の外周部にオネジ135が形成されている。
【0029】
頭部材132は、本体部材141と蓋部材142とからなっている。本体部材141は、合成樹脂製であり、小径部152と中間部153と大径テーパ部154と大径部155とを有している。
【0030】
中間部153は、小径部152よりも外径が大径である。
【0031】
図3〜
図6に示すように、大径部155は外周面が円筒面155aを有している。大径部155は中間部153よりも外径が大径である。大径テーパ部154は、外周面がテーパ面154aを有しており、テーパ面154aは、大径部155の円筒面155aに繋がっている。テーパ面154aは、大径部155側ほど外径が大径となっている。
【0032】
図6に示すように、本体部材141には、径方向の中央位置に、小径穴161と、これよりも内径が大径の大径穴162とが形成されている。大径穴162は、本体部材141の軸方向の大径部155側の端部に形成されている。小径穴161は大径穴162から小径部152まで延びている。小径穴161の大径穴162とは反対側の端部にはメネジ164が形成されている。
図2に示すように、このメネジ164に、円筒管131がオネジ135を螺合させている。ナット部材133は、オネジ135に螺合されて本体部材141に当接している。ナット部材133は、本体部材141の円筒管131に対する緩みを規制する。
【0033】
図6に示すように、本体部材141には、大径穴162の内周面から大径部155の円筒面155aまで直線状に延びる通路163が形成されている。通路163は、
図3に示すように頭部材132の中心軸線の方向に見ると、大径穴162の内周面から接線方向に延びている。言い換えれば、通路163は、頭部材132の中心軸線の方向に見ると、その大径穴162への開口位置と頭部材132の中心とを結ぶ直線に対して傾斜している。
【0034】
通路163は、
図6に示すように頭部材132の中心軸線に直交する方向から見ると、小径穴161から離れるほど頭部材132の中心軸線からの距離が遠くなる。通路163は、一端の放出口163a(第1放出口)が大径部91の大径テーパ部154とは反対側の端部に開口しており、他端が大径穴162に開口している。
【0035】
蓋部材142は、合成樹脂製の円板であり、大径穴162の小径穴161とは反対側の端部に嵌合されている。蓋部材142は、本体部材141に接着されて固定されている。通路163は、大径穴162における蓋部材142と小径穴161との間位置に開口している。
【0036】
図2に示すように、回転体54は、円筒管131の頭部材132およびナット部材133への螺合部分を除いた部分が胴部165となっている。また、回転体54は、頭部材132とナット部材133と円筒管131のこれらへの螺合部分とが、胴部165よりも外径が大径の頭部166となっている。この頭部166は、胴部165側に向く背面166aが大径テーパ部154のテーパ面154aを含んでいる。このため、背面166aは、胴部165から離れるほど大径となるテーパ面154aを有している。蓋部材142および大径部155の小径部152とは反対側は同一平面に配置されて頭部166の前面166bとなっている。
【0037】
頭部166の背面166aには、
図3〜
図5に示すように、複数(具体的には8箇所)の溝185が形成されている。これらの溝185は、
図5に示すように、大径テーパ部154を径方向に貫通し大径部155を軸方向に貫通している。これらの溝185は、テーパ面154aおよび円筒面155aから径方向内側に凹んでいる。よって、背面166aには径方向内側から外側に向けて延在する複数の溝185が形成されている。
【0038】
溝185は、
図4に示すように頭部材132の中心軸線の方向に見ると、その最も小径部152側の端部と頭部材132の中心とを結ぶ直線に対して傾斜している。複数の溝185は、最も小径部152側の端部と本体部材141の中心とを結ぶ直線に対して頭部材132の円周方向(回転方向)の同側に傾斜している。
図3に示すように、放出口163aは、隣り合う二箇所の溝185の中央に配置されている。複数の溝185は、
図3,
図4に示すように頭部材132の中心軸線の方向に見ると、頭部材132の円周方向(回転方向)において通路163と同じ方向に傾斜している。
【0039】
図2に示すように、軸受52および軸受53は、いずれも金属製のボールベアリングである。軸受52は、中間部材63内の内フランジ部93よりも内側部材62側に配置されており、内フランジ部93に当接している。軸受53は、内側部材62の筒状部81内の内フランジ部82よりも中間部材63側に配置されており、内フランジ部82に当接している。軸受52および軸受53は、支持体51の内側に設けられている。
【0040】
円筒体55は、軸受52と軸受53との間に配置されている。軸受52と円筒体55と軸受53とに回転体54の胴部165が挿入されている。これにより、回転体54が軸受52と軸受53とに回転可能に支持されている。言い換えれば、回転体54は、頭部166よりも小径の胴部165が、軸受52と軸受53とを介して支持体51に回転可能に支持されている。回転体54の回転の中心軸線は、円筒管131および頭部材132の中心軸線と一致する。言い換えれば、回転体54の回転の中心軸線は、胴部165および頭部166の中心軸線と一致する。回転体54は、胴部165が軸受52のインナレースに嵌合されて固定されている。これにより、軸受52が内フランジ部93に当接することで回転体54の支持体51からの抜けを規制する。
【0041】
胴部165の内側および頭部166の内側が、ガン本体11から噴出される気体である圧縮空気を流す回転体54の内部の第1気体通路181となっている。そして、頭部166に形成された通路163の放出口163aが、第1気体通路181の放出口163aとなっている。放出口163aは頭部166に設けられている。回転体54は高剛性であって変形しにくい。
【0042】
回転体54は、通路163が回転体54の回転中心から径方向に延びる線に対して傾斜している。このため、回転体54は、ガン本体11から噴出される圧縮空気を内部の第1気体通路181で流し、その末端の通路163の放出口163aから放出させることにより回転する。通路163は、放出口163aを含む通路163の延長線が、支持体51のブラシ部材65の毛122に向いている。このため、第1気体通路181の放出口163aから放出される圧縮空気は、ブラシ部材65の毛122に向けて放出されることになる。回転体54の回転により、放出口163aから放出された圧縮空気のブラシ部材65への衝突位置が、ブラシ部材65の円周方向に回転移動する。
【0043】
内側部材62の筒状部81に形成されたスリット84の内側の通路と、支持体51と円筒体55との間の通路と、中間部材63の通路96と、管体97内の通路とが、ガン本体11から噴出される気体としての圧縮空気を流す第2気体通路182となっている。そして、管体97の放出口97aが、第2気体通路182の放出口97aとなっている。放出口97aは、支持体51と回転体54との間に配置されている。第2気体通路182のうち、放出口97aを含んで直線状をなす端部が、回転体54の頭部166の背面166aに向いている。よって、第2気体通路182の放出口97aは、頭部166の背面166aに向けて圧縮空気を放出させることになり、放出された圧縮空気は背面166aに衝突する。
【0044】
液体貯蔵タンク13は、水や洗剤等の液体を貯蔵するもので、容器部171と蓋部172と開閉弁173と吸込管174とを有している。容器部171は上部が開口している。蓋部172は、容器部171に対して着脱可能であり、装着されると容器部171の開口を閉塞する。開閉弁173は蓋部172に取り付けられている。吸込管174は、開閉弁173に取り付けられて容器部171の底まで延びている。
【0045】
開閉弁173は管体178に連結されている。これにより、吸込管174内の通路と、開閉弁173内の通路と、管体178内の通路とが、液体通路183を構成している。開閉弁173は、レバー175が回動させられることによって液体通路183を開閉する。
【0046】
管体178は、ガス噴出口42内と、内側部材62の筒状部81に形成されたスリット84の内側の通路と、支持体51と円筒体55との間の通路と、中間部材63の通路96と、を通って、管体97内に挿入されている。つまり、管体178は、第2気体通路182内に配置されている。管体178の噴出口178aは、液体通路183の噴出口178aとなっている。液体通路183は、支持体51内の放出口97aの近傍に噴出口178aを有している。液体通路183は、第2気体通路182の放出口97aから放出される圧縮空気により生じる負圧で液体貯蔵タンク13から液体を吸引し噴出口178aから噴出させる。
【0047】
管体178の噴出口178aは、管体97の先端の放出口97a(第2放出口)の近傍に配置されている。具体的に、噴出口178aは、カバー部材64の円周方向の位置が、放出口97aと合っている。噴出口178aは、カバー部材64の径方向の位置が、放出口97aと合っている。噴出口178aは、カバー部材64の軸方向の位置が、放出口97aと合っている。噴出口178aは、放出口97aの内側に配置されている。通路96は、ベアリング52の径方向外側に配置されている。ここで、管体178を直線形状で中間部材63内および管体97内に通すために、中間部材63の大きさを径方向に大きくして、通路96の全体を直線状とし、通路96と管体97とを同一直線上に配置しても良い。この場合、通路96と管体97とを回転体54の回転の中心軸線と平行に形成しても良い。
【0048】
上記構成の流体噴出ガン10の使用状態について説明する。液体を液体貯蔵タンク13に注入し、エアコンプレッサ25を駆動させて、レバー部31をグリップ部17側に引く。これにより、切替バルブ36が開いて、エアコンプレッサ25の圧縮空気を内部気体通路41に流しガス噴出口42から噴出させる。すると、圧縮空気は、一部が回転体54内の第1気体通路181に流れ、残りが支持体51と円筒体55との間の第2気体通路182に流れる。
【0049】
第1気体通路181を流れる一方の圧縮空気は、第1気体通路181の末端の通路163の放出口163aから通路163の延在方向に沿って移動するように放出されることになる。その際に、第1気体通路181から放出される空気が回転体54に回転力を発生させる。これにより、第1気体通路181から放出される空気は、回転体54を回転させながら、支持体51のブラシ部材65に向けて移動し、ブラシ部材65に衝突して、ブラシ部材65に振動を発生させる。
【0050】
第2気体通路182を流れる他方の圧縮空気は、第2気体通路182の末端の管体97の放出口97aから管体97の末端部の延在方向に沿って移動するように放出されることになる。その際に、圧縮空気は、放出口97aに近接して配置された噴出口178aの近傍にエジェクタの原理で負圧を発生させる。すると、噴出口178aを有する液体通路183を介して液体貯蔵タンク13の液体が吸引され、噴出口178aから噴出する。すると、圧縮空気と液体とが混合されミスト状の混合流体となって、回転体54の頭部166の背面166aに向けて移動する。混合流体は、背面166aで案内されて頭部166と支持体51との隙間を通過する。その際に、混合流体は、回転する頭部166の背面166aの複数の溝185で案内されて旋回流となって、支持体51の先端つまりノズル部12の先端から噴出する。
【0051】
以上に述べた本実施形態の流体噴出ガン10によれば、気体を第1気体通路181で流し放出口163aから放出させることにより回転する回転体54を、ガン本体11に取り付けられる筒状の支持体51の内側に軸受52,53を設け、これら軸受52,53で回転可能に支持する。このため、回転部分の耐久性が向上する。このように回転部分の耐久性を向上させた上で、気体を第2気体通路182で流し、支持体51と回転体54との間の放出口97aから放出させることにより、液体通路183の噴出口178aから液体を噴出させて、気液の混合流体を作成する。この混合流体の流れは、支持体51と回転体54との間を通る際に、回転する回転体54で捻られて旋回流となる。
【0052】
また、第2気体通路182の放出口97aは、回転体54の頭部166の胴部165側の背面166aに向けて気体を放出させるため、混合流体の流れが支持体51と回転体54との間を通る際に回転する回転体54によって一層捻られることになる。
【0053】
また、回転体54の頭部166の背面166aに、径方向内側から外側に向けて延在する複数の溝185が形成されているため、混合流体の流れが支持体51と回転体54との間を通る際に回転する回転体54によって一層捻られることになる。
【0054】
また、回転体54の頭部166の背面166aは、胴部165から離れるほど大径となるテーパ面154aを有するため、混合流体が回転体54の頭部166の背面166aに沿って円滑に流れる。