特許第6596810号(P6596810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6596810電子部品、電子部品の製造方法、電子機器、および移動体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596810
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】電子部品、電子部品の製造方法、電子機器、および移動体
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20191021BHJP
   H01L 23/04 20060101ALI20191021BHJP
   H03B 5/32 20060101ALI20191021BHJP
   H03H 9/02 20060101ALI20191021BHJP
   H03H 3/02 20060101ALI20191021BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   H01L23/50 L
   H01L23/04 E
   H03B5/32 H
   H03B5/32 A
   H03H9/02 A
   H03H3/02 B
   H05K1/18 H
   H01L23/50 M
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-150485(P2014-150485)
(22)【出願日】2014年7月24日
(65)【公開番号】特開2016-25298(P2016-25298A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100194102
【弁理士】
【氏名又は名称】磯部 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】近藤 学
【審査官】 ▲吉▼澤 雅博
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−181144(JP,A)
【文献】 特開昭63−110662(JP,A)
【文献】 実開昭63−055446(JP,U)
【文献】 特開2012−134225(JP,A)
【文献】 特開2009−239898(JP,A)
【文献】 実開昭60−158749(JP,U)
【文献】 特開昭63−132465(JP,A)
【文献】 特開平07−283492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/50
H01L 23/04
H03B 5/32
H03H 3/02
H03H 9/02
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子を有する基板と、
第1面、前記第1面の裏面である第2面、および前記第1面と前記第2面とを接続する第3面を有するとともに、
接続パッド、前記接続パッドから延在するリード部、および前記リード部から延在するリード端部、を有し、且つ、
前記接続パッドの前記第1面と前記接続端子とが接合部材を介して接続されている複数のリード端子と、を備え、
前記リード部は、
第1屈曲部と、
前記第1屈曲部と前記リード端部との間に位置する第2屈曲部と、
前記第2屈曲部と前記リード端部との間に位置する第3屈曲部と、
を有し、
前記第1屈曲部は、前記第1屈曲部と前記第2屈曲部との間の前記第1面が、前記接続パッドの前記第1面と交差する面に沿うように、屈曲しており、
前記第2屈曲部は、前記第1屈曲部と前記第2屈曲部との間の前記第3面に交差する方向に屈曲しており、
前記第3屈曲部は、前記第3屈曲部と前記リード端部との間の前記第1面が、前記第2屈曲部と前記第3屈曲部との間の前記第1面と交差する面に沿うように、屈曲しており、
前記複数のリード端子のうち両側の端に配置されている前記リード端子の前記第2屈曲部は、隣に配置されている前記リード端子に向かう方向に屈曲していることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品において、
前記第1屈曲部は、前記接続パッドの前記第1面から前記第2面に向かう方向に屈曲しており、
前記第3屈曲部は、前記第2屈曲部と前記第3屈曲部との間の前記第1面から前記第2面に向かう方向に屈曲していることを特徴とする電子部品。
【請求項3】
請求項1に記載の電子部品において、
前記第1屈曲部は、前記接続パッドの前記第1面から前記第2面に向かう方向に屈曲し、
前記第3屈曲部は、前記第2屈曲部と前記第3屈曲部との間の前記第2面から前記第1面に向かう方向に屈曲していることを特徴とする電子部品。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電子部品において、
前記基板の前記接続端子が設けられている基板面に、電子素子が配置されていることを特徴とする電子部品。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電子部品において、
ベース基板と、
前記ベース基板に取り付けられているカバーと、を備え、
前記複数のリード端部は、前記ベース基板に接続されており、
前記基板及び前記複数のリード端子は、前記ベース基板及び前記カバーにより形成される内部空間に収納されていることを特徴とする電子部品。
【請求項6】
接続端子を有する基板と、第1面、前記第1面の裏面である第2面、および前記第1面と前記第2面とを接続する第3面を有するとともに、接続パッド、前記接続パッドから延在するリード部、および前記リード部から延在するリード端部、を有し、且つ、前記接続パッドの前記第1面と前記接続端子とが接合部材を介して接続されている複数のリード端子と、を備え、前記リード部は、第1屈曲部と、前記第1屈曲部と前記リード端部との間に位置する第2屈曲部と、前記第2屈曲部と前記リード端部との間に位置する第3屈曲部と、を有し、前記第1屈曲部は、前記第1屈曲部と前記第2屈曲部との間の前記第1面が、前記接続パッドの前記第1面と交差する面に沿うように、屈曲しており、前記第2屈曲部は、前記第1屈曲部と前記第2屈曲部との間の前記第3面に交差する方向に屈曲しており、前記第3屈曲部は、前記第3屈曲部と前記リード端部との間の前記第1面が、前記第2屈曲部と前記第3屈曲部との間の前記第1面と交差する面に沿うように、屈曲している電子部品の製造方法であって、
前記複数のリード端子が形成され、隣合う前記リード端子同士を連接する連接部を有し、前記連接部に、前記第1面または前記第2面に交差する方向に凹部が設けられているリードフレームを準備する準備工程と、
前記第2屈曲部が設けられている前記リード端子の前記接続パッドと、前記接続端子とを接続する接続工程と、
前記第1屈曲部および前記第3屈曲部を形成し、前記連接部を取り除く屈曲部形成工程と、を含むことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の電子部品を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の電子部品を備えていることを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品、電子部品の製造方法、電子機器、および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、接続されている回路基板などに加わった衝撃などの応力による破損を防止するため、電子素子が搭載された電子部品本体と、電子部品本体に接続されたリード端子とを備え、リード端子を介して電子部品本体が回路基板に接続されている電子部品が知られている(例えば、特許文計1、特許文献2参照)。このような構成の電子部品では、回路基板や電子部品本体に加わった衝撃などの応力をリード端子の変形などによって吸収、分散し、電子部品の破損を防止することができる。
【0003】
特許文献1に開示されている電子部品では、電子部品本体から延設された複数のリード端子のそれぞれに、一方向に屈曲する衝撃緩衝部が設けられた構成が開示されている。また、特許文献2に開示されている電子部品では、水晶振動片が収納された金属ハウジング(電子部品本体)から突出したリード端子に、先端が直状に形成された板状の弾性リード板が接続され、この弾性リード板の先端部で回路基板に接続される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−223812号公報
【特許文献2】特開平7−321591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような構成では、電子部品本体から突出するリード端子の付け根部分、あるいはリード端子と弾性リード板との接続部分に弾性を有していない。これにより、加えられる応力によっては、リード端子の屈曲部や弾性リード板で応力が十分に吸収されず、リード端子の付け根部分に応力が集中して、リード端子の付け根部分が曲がったり、クラックなどの破損が生じたりする恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る電子部品は、接続端子を有する基板と、第1面、前記第1面の裏面である第2面、および前記第1面と前記第2面とを接続する第3面を有するとともに、接続パッド、前記接続パッドから延在するリード部、および前記接続パッドと反対側の前記リード部に設けられたリード端部、を有し、且つ、前記接続パッドの前記第1面と前記接続端子とが接合部材を介して接続されているリード端子と、を備え、前記リード部は、前記第1面または前記第2面と交わる方向に屈曲する第1屈曲部と、前記第1屈曲部と前記リード端部との間に、前記第3面と交わる方向に屈曲する第2屈曲部と、前記第2屈曲部と前記リード端部との間に、前記第1面または前記第2面と交わる方向に屈曲する第3屈曲部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本適用例によれば、リード端子に第1屈曲部、第2屈曲部、および第3屈曲部が設けられているため、リード端子に加わる応力が、第1屈曲部、第2屈曲部、および第3屈曲部のそれぞれの屈曲部によって吸収されたり、分散されたりする。これにより、リード端子に応力が加わった場合に生じる、基板と接続された接続パッドや接続パッドの近傍のリード部が変形や破損してしまう虞を低減することが可能となる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に記載の電子部品において、前記第1屈曲部および前記第3屈曲部は、前記第1面から前記第2面に向かう方向に屈曲していることが好ましい。
【0010】
本適用例によれば、第1屈曲部および第3屈曲部を基点として、接続パッドとリード端部とが同じ方向に向いて突出することになる。これにより、リード端子の占有体積を減少させることが可能となり、電子部品の小型化が可能となる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に記載の電子部品において、前記第1屈曲部は、前記第1面から前記第2面に向かう方向に屈曲され、前記第3屈曲部は、前記第2面から前記第1面に向かう方向に屈曲されていることが好ましい。
【0012】
本適用例によれば、第1屈曲部と第3屈曲部とが、逆方向に曲げられているため、平面視で、接続パッドとリード端部とが重ならない。これにより、例えばリード端部の接続などを行う際に、接続パッドに接続された基板に阻害されることなく処理を行うことが可能となる。
【0013】
[適用例4]上記適用例に記載の電子部品において、前記リード端子は複数設けられており、複数設けられた前記リード端子の両側の端に配置されている前記リード端子の前記第2屈曲部は、隣に配置されている前記リード端子に向かう方向に屈曲されていることが好ましい。
【0014】
本適用例によれば、両側の端に配置されているリード端子の第2屈曲部が、複数のリード端子の配列の両側に突出しない。これにより、配列された複数のリード端子の配置領域を小さくすることができ、電子部品の小型化を図ることが可能となる。
【0015】
[適用例5]上記適用例に記載の電子部品において、前記基板の前記接続端子が設けられている基板面に、電子素子が配置されていることが好ましい。
【0016】
本適用例によれば、基板に衝撃などの外力が加わっても、リード端子の応力緩和によって電子素子を保護することが可能となり、電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0017】
[適用例6]本適用例に係る電子部品の製造方法は、接続端子を有する基板と、第1面、前記第1面の裏面である第2面、および前記第1面と前記第2面とを接続する第3面を有するとともに、接続パッド、前記接続パッドから延在するリード部、および前記接続パッドと反対側の前記リード部に設けられたリード端部、を有し、且つ、前記接続パッドの前記第1面と前記接続端子とが接合部材を介して接続されているリード端子と、を備え、前記リード部は、前記第1面または前記第2面と交わる方向に屈曲する第1屈曲部と、前記第1屈曲部と前記リード端部との間に、前記第3面と交わる方向に屈曲する第2屈曲部と、前記第2屈曲部と前記リード端部との間に、前記第1面または前記第2面と交わる方向に屈曲する第3屈曲部と、を有する電子部品の製造方法であって、前記第2屈曲部が設けられている前記リード端子の前記接続パッドと、前記接続端子とを接続する接続工程と、前記第1屈曲部および前記第3屈曲部を形成する屈曲部形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
本適用例によれば、接続端子に接続されたリード端子に第1屈曲部、第2屈曲部、および第3屈曲部が設けられている電子部品を製造することができる。これにより、基板やリード端子などに加わった応力を、第1屈曲部、第2屈曲部、および第3屈曲部の三つの屈曲部が吸収あるいは分散し、接続パッドや接続パッドの近傍のリード部の変形や破損を防止することが可能な電子部品を提供することができる。
【0019】
[適用例7]上記適用例に記載の電子部品の製造方法において、前記接続工程の前に、複数の前記リード端子が形成され、隣の前記リード端子と連接する連接部を有し、前記連接部に、前記第1面または前記第2面に交差する方向に凹部が設けられているリードフレームを準備する準備工程を備え、前記屈曲部形成工程には、前記連接部を取り除く工程を含むことが好ましい。
【0020】
本適用例によれば、複数のリード端子が連接部によって連接されているリードフレームを用い、リードフレームを基板に接続した後、連接部を取り除くことから、リード端子が接続された電子部品を容易に形成することができる。
【0021】
[適用例8]本適用例に係る電子機器は、上記適用例にいずれか一項に記載の電子部品を備えていることを特徴とする。
【0022】
本適用例によれば、衝撃などの応力がリード端子に加わった場合の、接続パッドや接続パッド近傍のリード部の変形や破損を防止可能な電子部品を備えていることから、信頼性を向上させた電子機器を提供することができる。
【0023】
[適用例9]本適用例に係る移動体は、上記適用例にいずれか一項に記載の電子部品を備えていることを特徴とする。
【0024】
本適用例によれば、衝撃などの応力がリード端子に加わった場合の、接続パッドや接続パッド近傍のリード部の変形や破損を防止可能な電子部品を備えていることから、信頼性を向上させた移動体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の電子部品の第1実施形態に係る発振器の概略構成図であり、図1(a)は正断面図、図1(b)はQ2視の側面図。
図2】リード端子が形成されたリードフレームの概略を示す平面図。
図3】第1実施形態に係る発振器の製造工程の内のリード端子の接続に関わる工程フローを示す正断面図。
図4】第1実施形態に係る発振器の製造工程の内のリード端子の曲げ加工に関わる工程フローを示す正断面図。
図5】本発明の電子部品の第2実施形態に係る発振器の概略構成図であり、図5(a)は正断面図、図5(b)はQ2視の側面図。
図6】本発明の電子部品の第3実施形態に係る発振器の概略構成図であり、図6(a)は正断面図、図6(b)はQ2視の側面図。
図7】リード端子における第2屈曲部の変形例を示し、図7(a)は変形例1を示す正面図、図7(b)は変形例2を示す正面図、図7(c)は変形例3を示す正面図。
図8】本発明に係る電子部品を備える電子機器を示す概略図であり、(a)はモバイル型(又はノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図、(b)は携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図。
図9】本発明に係る電子部品を備える電子機器としてのデジタルカメラの構成を示す斜視図。
図10】本発明に係る電子部品を備える移動体としての自動車の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】
[電子部品]
<第1実施形態>
(構成)
本発明の電子部品の第1実施形態に係る発振器の一例として、周波数安定性に優れたSCカット水晶振動片を有する水晶発振器を挙げ、図1を参照して説明する。図1は、本発明の電子部品の第1実施形態に係る発振器の構造を示す概略図であり、図1(a)は正断面図、図1(b)は図1(a)に示すQ2の方向から見た側面図である。なお、後述する図も含め、説明の便宜上、互いに直交する三つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を図示している。さらに、説明の便宜上、Y軸方向から視たときの平面視において、+Y軸方向の面を上面、−Y軸方向の面を下面として説明する。なお、第1の基板11を含む容器10の内部に形成された配線パターンや電極パッドは図示を省略してある。
【0028】
図1(a)、図1(b)に示すように、水晶発振器1は、発振用回路を含む集積回路19、水晶振動片17を内部空間20に収納した容器10と、容器10を構成する第1の基板11の下面(内部空間20側と反対側の面)に設けられた接続端子25と接続されているリード端子24と、を含み構成されている。なお、容器10を構成する第1の基板11が、請求項に示す基板に相当する。
【0029】
容器10の内部には、集積回路19、水晶振動片17が収納されている。なお、容器10の内部は、真空または大気圧よりも低い圧力等の減圧雰囲気、又は窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性気体雰囲気に気密封止されている。
容器10は、積層された第1の基板11、第2の基板12、第3の基板13、および第4の基板14と、封止部材15介して第4の基板14に接続された蓋部材16とを含み構成されている。第2の基板12、第3の基板13、および第4の基板14は中央部が除去された環状体であり、第4の基板14の上面の周縁にシールリングや低融点ガラス等の封止部材15が形成されている。なお、第1の基板11、第2の基板12、第3の基板13、および第4の基板14の構成材料には、セラミックなどが好適に用いられる。なお、第1の基板11、第2の基板12、第3の基板13、および第4の基板14の構成材料は、セラミック以外に、ガラス、樹脂、金属等を用いてもよい。
【0030】
第2の基板12と第3の基板13とにより、集積回路19を収容する凹部(キャビティー)が形成され、第3の基板13と第4の基板14とにより、水晶振動片17を収容する凹部(キャビティー)が形成されている。
【0031】
第2の基板12の中央部が除去された部分の第1の基板11の上面には、接合部材(図示せず)により集積回路19が接合されている。集積回路19は、ボンディングワイヤー40により第2の基板12の上面に配置された電極パッド(図示せず)と電気的に接続されている。また、第3の基板13の上面の所定の位置には、水晶振動片17が導電性接着剤などの接合部材18により接合されている。接合部材18により接合されている部分以外の水晶振動片17は、内部空間20内において、他の部位と離間して保持されている。
【0032】
容器10の下面となる第1の基板11の下面には、例えば水晶振動片17や集積回路19などと、配線(図示せず)によって電気的導通がとられた接続端子25が設けられている。本形態での接続端子25は、第1の基板11の下面のZ軸方向(幅方向)の両端側に設けられており、X軸方向に沿って所定の間隔で、それぞれ6個ずつ配列され、合計12個の接続端子が配置されている。なお、本形態では、接続端子25の数量は、12個としてあるが、接続端子25の数量は限定されるものではなく、幾つであってもよい。接続端子25は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等の金属配線材料を、接続端子25を形成する基板上にスクリーン印刷して焼成し、その上にニッケル(Ni)、金(Au)等のめっきを施す方法で形成される。
【0033】
接続端子25と接続されているリード端子24は、接続端子25と接合部材26を介して接続される接続パッド21、接続パッド21から延在されているリード部22、およびリード部から延在されているリード端部23を備えている。リード端部23は、図示しない実装基板などに接続される部位であり、接続パッド21と反対側のリード部22の端部近傍に設けられ、後述する第3屈曲部53からリード端子24の一方端との間の部位である。リード端子24は、細幅の板状をなしており、接続端子25と接続する面である第1面61と、第1面61の裏面である第2面62と、第1面61と第2面62とを接続する側面である第3面63とを有している。なお、接続端子25と接続パッド21とを接続する接合部材26は、例えばはんだなどの導電性接合部材を適用することができる。
【0034】
接続端子25に接続された接続パッド21からZ軸に沿った方向に延伸されたリード部22は、容器10の端近傍において、第1面61または第2面62と交わる方向である下方(−Y軸方向)に屈曲した第1屈曲部51を有している。第1屈曲部51から延在されたリード部22のリード端部23との間には、第3面63と交わる方向であるX軸方向に屈曲する第2屈曲部52が設けられている。さらにリード部22には、第2屈曲部52とリード端部23との間に、第1面61または第2面62と交わる方向であるZ軸方向に屈曲する第3屈曲部53が設けられている。
【0035】
このようなリード端子24の構成を用いることにより、リード端子24に加わる応力が、第1屈曲部51、第2屈曲部52、および第3屈曲部53のそれぞれによって吸収されたり、分散されたりする。これにより、リード端子24に応力が加わった場合に生じる、接続パッド21や接続パッド21近傍のリード部22が変形あるいは破損することを低減したり、または接続端子25と接続パッド21とを接続している接合部材26にクラック等が入ることによる接合強度の低下を低減したりすることが可能となる。
【0036】
本形態における第1屈曲部51および第3屈曲部53は、リード端子24の第1面61から第2面62に向かう方向に屈曲されている。換言すると、第1屈曲部51および第3屈曲部53は、リード端子24の第1面61を外側(表側)にした山折りとなっている。このように、本形態のリード端子24は、接続パッド21から第1屈曲部51まで延伸するリード部22の延伸方向と、第3屈曲部53からのリード端部23の延伸方向とは、逆方向に向いている、所謂Jリードタイプの形状をなしている。
【0037】
このように、所謂Jリードタイプのリード端子24とすることにより、第1屈曲部51および第3屈曲部53からリード端子24の端を見たとき、接続パッド21とリード端部23とが同じ方向に向いて突出することになる。換言すれば、第1屈曲部51および第3屈曲部53を基点として、接続パッド21とリード端部23とが同じ方向に向いて突出している。これにより、リード端子24の曲げ方向(Z軸方向)の占有体積を減少させることが可能となり、水晶発振器1のZ軸方向の大きさを減縮することができる。
【0038】
また、列状に配置されている複数のリード端子24の内で、両側の端に位置するそれぞれのリード端子24の第2屈曲部52a,52bは、隣に配置されているリード端子24に向かう方向に屈曲されている。換言すると、列の端に位置するリード端子24の第2屈曲部52a,52bは、列の中央側(内側)に向かって折り返している。
【0039】
このように、列の端に位置するリード端子24の第2屈曲部52a,52bが、列の中央側を向いて屈曲することにより、列の端に位置するリード部22から列の並び方向の外側に第2屈曲部52a,52bが突出しない。これにより、配列された複数のリード端子24の配置領域を小さくすることができ、水晶発振器1のX軸方向の大きさを減縮することができる。
【0040】
また、列状に配置されている複数のリード端子24によって、容器10を支えている構成において、第1屈曲部51、第2屈曲部52、および第3屈曲部53を備えていることで、X軸、Y軸、およびZ軸に沿った3方向の、どの方向からの応力でも吸収、分散を行うことができる。特に、列の配列方向(X軸方向)の応力に対しては、第2屈曲部52を設けることにより、応力の吸収、分散を行うことが可能となる。
【0041】
リード端子24の構成材料には、42アロイ(鉄ニッケル合金)、銅合金等の導電率の高い比較的成形性のよい板材が好適であり、ニッケルめっきなどの表面処理を施して用いられる。なお、リード端子24を構成する第2屈曲部52には、後述する製造方法において用いるリードフレーム42(図2参照)の連接部45(図2参照)が切断されて取り除かれた痕跡であるタイバー痕64が僅かに残っている。
【0042】
上述のような電子部品としての水晶発振器1によれば、リード端子24に第1屈曲部51、第2屈曲部52、および第3屈曲部53が設けられているため、リード端子24に加わる応力が、それぞれの屈曲部によって吸収されたり、分散されたりする。特に、第1屈曲部51、および第3屈曲部53では、リード端子24におけるY軸方向およびZ軸方向の応力によって弾性変形が生じ易くなっているため、この方向の応力緩和に対して有効的であり、第2屈曲部52では、リード端子24におけるY軸方向、およびX軸方向の応力によって弾性変形が生じ易くなっているため、この方向の応力緩和に対して有効的である。このようにいずれの方向から応力が加わっても、リード端子24によって応力が緩和され、リード端子24に応力が加わった場合に生じる、第1の基板11(容器10)と接続された接続パッド21や接続パッド21近傍のリード部22が変形したり破損(クラックや破断)したりしてしまう虞を低減したり、または接続端子25と接続パッド21とを接続している接合部材26にクラック等が入ることによる接合強度の低下を低減したりすることが可能となる。
【0043】
[製造方法]
次に、本発明の電子部品の第1実施形態に係る発振器の一例としての水晶発振器1の製造方法の概略を、図2図3、および図4を参照して説明する。図2は、リード端子が形成されたリードフレームの概略を示す平面図である。また、図3(a)、図3(b)は、第1実施形態に係る水晶発振器の製造工程の内のリード端子の接続に関わる工程フローを示す正断面図であり、図4(a)〜図4(c)は、第1実施形態に係る発振器の製造工程の内のリード端子の曲げ加工に関わる工程フローを示す正断面図である。なお、前述した水晶発振器1と同一構成につては、同符号を付している。
【0044】
(準備工程)
先ず、図2を参照して、複数のリード端子24(図1参照)が配置されたリードフレーム42を準部する準備工程について説明する。
図2に示すように、複数のリード端子24の接続パッド21が、第1の基板11(図1参照)に配置された接続端子25(図1参照)に対応する位置に配置され、連接部(タイバー)45,46によって、リード端子24とフレーム枠47や隣のリード端子24との間が連接されたリード端子群を備え、そのリード端子群が所定のピッチで並んでいるリードフレーム42を用意する。
【0045】
リードフレーム42を構成するリード端子24のそれぞれには、リード部22や第2屈曲部52が、形成されている。さらに、連接部45,46には、後述する第2工程において切除され易くする(取り除かれ易くする)ため、リード端子24の第1面61(図1参照)または第2面62(図1参照)に交差する方向に窪む凹部(図示せず)が設けられている。また、隣のリード端子24を連接する連接部45は、第2屈曲部52にかかる位置に設けられている。このように連接部45を配置することにより、後述する第2工程において、連接部45を残したまま第1屈曲部51や第3屈曲部53の曲げ加工を行うことができ、第1屈曲部51や第3屈曲部53の形成を容易に行うことが可能となる。
また、リードフレーム42のフレーム枠47には、所定のピッチで並んでいるガイドホール48が設けられている。このガイドホール48は、リードフレーム42の位置決めなどに用いられる。
【0046】
リードフレーム42は、リード端子24の構成材料である42アロイ(鉄ニッケル合金)や銅合金等の薄板を、フォトエッチング法や金型を用いたスタンピング(プレス)法などを用いることによって加工し、形成することができる。
【0047】
(接続工程)
次に、図3を参照して、第2屈曲部52が設けられているリード端子24の接続パッド21と、接続端子25とを接続する第1工程について説明する。なお、以下で説明する第1の基板11を含む容器10は、前述した構成と同様であるので説明を省略する。
【0048】
接続工程では、先ず、図3(a)に示すように、リードフレーム42(図2参照)に配置された接続パッド21上にペースト状の接合部材26aを付与(塗布)する。ペースト状の接合部材26aには、例えば、はんだの粉末にフラックスを加えて、適当な粘度にしたはんだペーストなどを用いる。ペースト状の接合部材26aの付与(塗布)には、例えば金属マスクを用いた印刷法や、例えばディスペンサーなどを用いた吐出法を適用することができる。なお、接合部材26aはこれに限らず、例えば、熱硬化型の樹脂に、金、銀、銅またはその他の金属製のフィラーを混合した導電性導電性接着剤等を用いることもできる。
【0049】
接続工程では、次に、図3(b)に示すように、接続パッド21上に付与(塗布)されたペースト状の接合部材26aを介して、接続パッド21を、第1の基板11(容器10)に設けられた接続端子25に接続する。第1の基板11は、Y軸方向から見た平面視で、接続端子25が接続パッド21に重なるように配置され、接合部材26aを介して載置される。その後、ペースト状の接合部材26aを溶融温度に加熱することにより、ペースト状の接合部材26aの接合材を溶融させるとともにフラックスなどの溶剤を除去し、溶融した接合材(例えばはんだ)によって接合部材26を形成する。また、例えば、熱硬化型の導電性接着材を用いる場合には、導電性接着材の硬化温度以上に加熱することにより接合部材26を形成する。
【0050】
(屈曲部形成工程)
次に、図4を参照して、第1屈曲部51および第3屈曲部53を形成する工程と、リードフレーム42(図2参照)に形成されている連接部(タイバー)45,46(図2参照)を取り除く工程とを含む屈曲部形成工程について説明する。
【0051】
屈曲部形成工程では、先ず、図4(a)に示すように、前述の接続工程において容器10に接続されたリード部22(リード端子24)を図示しない金型(ダイ)上に載置する。このとき、リード部22および容器10は、リードフレーム42(図2参照)上に配置されている。
【0052】
次に、図4(b)に示すように、金型(パンチ)によって、リード部22に矢印F1の方向の力を加え、第3屈曲部53を形成する。第3屈曲部53が形成されることにより、−Y軸方向に向いたリード端部23が形成される。
【0053】
次に、図4(c)に示すように、金型(パンチ)によって、リード部22に矢印F2の方向の力を加え、第1屈曲部51を形成する。第1屈曲部51が形成されることにより、リード端部23は、Z軸に沿った方向の容器10の中央側に向くことになり、所謂Jリードタイプのリード端子24が形成される。
【0054】
次に、図示しないが、リードフレーム42(図2参照)に形成されている連接部(タイバー)45,46(図2参照)を取り除き、リードフレーム42から容器10および容器10に接続されたリード部22(リード端子24)を離脱させ、個別の水晶発振器1を形成する。
【0055】
以上説明したような工程を経ることにより、リード端子24に第1屈曲部51、第2屈曲部52、および第3屈曲部53が設けられている電子部品としての水晶発振器1を製造することができる。これにより、容器10(第1の基板11)やリード端子24などに加わった応力を、三つの屈曲部が吸収あるいは分散し、接続パッド21や接続パッド21近傍のリード部22が変形や破損することを低減したり、または接続端子25と接続パッド21とを接続している接合部材26にクラック等が入ることによる接合強度の低下を低減したりすることが可能な電子部品としての水晶発振器1を提供することができる。
【0056】
<第2実施形態>
本発明の電子部品の第2実施形態に係る発振器の一例として、SCカット水晶振動片を有する水晶発振器を挙げ、図5を参照して説明する。
図5は、本発明の電子部品の第2実施形態に係る発振器の構造を示す概略図であり、図5(a)は正断面図、図5(b)は図5(a)に示すQ2の方向から見た側面図である。なお、本第2実施形態での説明では、第1実施形態と同様の構成について同符号を付して説明を省略する。
【0057】
図5(a)、図5(b)に示すように、第2実施形態の水晶発振器1bは、前述した第1実施形態の水晶発振器1の容器10の下面(接続端子25の設けられている第1の基板11の基板面)に、電子素子としての回路素子30や回路部品(図示せず)が接続されている構成である。第1屈曲部51、第2屈曲部52、および第3屈曲部53を有し、接続端子25に接続されているリード端子24などの他の構成については、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0058】
回路素子30や回路部品(図示せず)は、容器10の下面に2列に配列された接続端子25の間に配置されたランド電極39に電気的接続を取って接続されている。なお、ランド電極39は、図示しない配線電極によって、水晶振動片17または集積回路19などと電気的に接続されている。回路素子30や回路部品(図示せず)は、例えば水晶振動片17または集積回路19に含まれる発振用回路等を調整する。
【0059】
このような第2実施形態の水晶発振器1bによれば、容器10の外部に回路素子30や回路部品が配置されているが、容器10に接続されている2列のリード端子24の内側になる。これにより、水晶発振器1bに衝撃などの外力が加わっても、第1屈曲部51、第2屈曲部52、および第3屈曲部53を有するリード端子24の応力緩和作用などによって回路素子30や回路部品が保護され、電子部品としての水晶発振器1bの破損などの不具合が発生する可能性を低減でき、その信頼性も高めることが可能となる。
【0060】
<第3実施形態>
本発明の電子部品の第3実施形態に係る発振器の一例として、周波数安定性に優れたSCカット水晶振動片を有するOCXO(恒温槽付水晶発振器)を挙げ、図6を参照して説明する。
図6は、本発明の電子部品の第3実施形態に係る発振器の構造を示す概略図であり、図6(a)は正断面図、図6(b)は図6(a)に示すQ2の方向から見た側面図である。なお、図6(b)において、水晶発振器100の構成を説明する便宜上、カバー102を切断した状態を図示している。また、本説明においても、X軸、Y軸、Z軸、上面、および下面を第1実施形態と同様に用いている。また、ベース基板101の上面に形成された配線パターンや電極パッド、容器10の外面に形成された接続電極および容器10の内部に形成された配線パターンや電極パットは図示を省略してある。
【0061】
電子部品としての水晶発振器100は、外部応力感度が小さいため周波数安定性に優れているSCカットの水晶振動片17を用いている。水晶発振器100は、図6(a)、図6(b)に示すように、発振用回路を含む集積回路19、および水晶振動片17を内部空間20に収納した容器10と、容器10の下面に設けられた接続端子25に接続されたリード端子24と、容器10の下面に接続された発熱体41と、ベース基板101の上面に配置された回路部品31,32と、を含み構成されている。また、水晶発振器100のベース基板101の上面には、リード端子24を介して容器10がベース基板101と遊離して配置され、複数の容量や抵抗等の回路部品31,32が配置されている。さらに、容器10や回路部品31,32などは、カバー102で覆われ、カバー102の内部103に収納されている。また、カバー102の内部103は真空または大気圧よりも低い圧力等の減圧雰囲気、または窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性気体雰囲気に気密封止されていてもよいし、気密封止されていなくてもよい。
なお、上述の容器10の下面とは、容器10を構成する基板としての第1の基板11の一面であって、容器10の内部空間20側と反対側となる面のことである。
【0062】
カバー102の構成材料には、42アロイ(鉄ニッケル合金)等の熱伝導率の低い鉄系の合金にニッケルめっきを施したものが好適である。
【0063】
容器10内に収納された水晶振動片17などを含む容器10の構成については、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。また、容器10の接続端子25に接続されたリード端子24の構成についても、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0064】
容器10の下面に接続されている発熱体41は、パワートランジスター、抵抗発熱体等によって構成されている。発熱体41は、容器10を温度制御し、水晶振動片17の温度変化による共振周波数の変動を減少させる。なお、発熱体41は、容器10の内部空間20の内に配置することもできる。このように、内部空間20の内に発熱体41を配置すれば、より、効率的に水晶振動片17の温度制御を行うことができる。
【0065】
ベース基板101は、絶縁性を有するガラスエポキシ樹脂やセラミックス等の材料で構成されている。また、ベース基板101に設けられた配線(図示せず)は、全面に銅箔が施された基板からエッチングする方法やタングステン(W)、モリブデン(Mo)等の金属配線材料を基板上にスクリーン印刷して焼成し、その上にニッケル(Ni)、金(Au)等のめっきを施す方法で形成されている。
【0066】
第1実施形態と同様に第1屈曲部51、第2屈曲部52、および第3屈曲部53を有し、接続パッド21を容器10の接続端子25に接続されたリード端子24は、リード部22を介してリード端部23の部分が、はんだ付け法などによってベース基板101に設けられた配線(図示せず)に接続されている。なお、本実施形態のような水晶振動片17の温度コントロールを行うOCXO(恒温槽付水晶発振器)の場合、リード端子24の構成材料には、42アロイ(鉄ニッケル合金)等の熱伝導率の低い鉄系の合金を用いることにより、容器10の内部の熱がリード端子24を介して外部に逃げ難くなるため好適である。
【0067】
上述した第3実施形態の水晶発振器100によれば、リード端子24に第1屈曲部51、第2屈曲部52、および第3屈曲部53が設けられているため、リード端子24に加わる応力が、それぞれの屈曲部によって吸収されたり、分散されたりする。これにより、リード端子24に応力が加わった場合に生じる、第1の基板11(容器10)と接続された接続パッド21や接続パッド21近傍のリード部22が変形したり破損(クラックや破断)したりしてしまう虞を低減したり、または接続端子25と接続パッド21とを接続している接合部材26にクラック等が入ることによる接合強度の低下を低減したりすることが可能となる。さらに、水晶発振器100に衝撃などの外力が加わっても、上述のようなリード端子24の応力緩和作用によって発熱体41や回路部品31,32が保護され、電子部品としての水晶発振器100の破損などの不具合が発生する可能性を低減することが可能となる。
したがって、発熱体41によって水晶振動片17を温度制御できることから、水晶振動片17の温度変化による共振周波数の変動を減少させることができるとともに、耐衝撃特性を向上させ、機能特性の長期信頼性を向上させたOCXO(恒温槽付水晶発振器)を提供することができる。
【0068】
なお、上記実施形態では、リード端子24の第1屈曲部51と第3屈曲部53の曲げ方向について、リード端子24の第1面61から第2面62に向かう方向に屈曲され、接続パッド21から第1屈曲部51まで延伸するリード部22の延伸方向と、第3屈曲部53からのリード端部23の延伸方向とは、逆方向に向いている、所謂Jリードタイプで説明したが、これに限らない。
【0069】
リード端子24の第1屈曲部51と第3屈曲部53の曲げ方向は、例えば、第1屈曲部51は、リード端子24の第1面61から第2面62に向かう方向に屈曲され、第3屈曲部53は、第2面62から第1面61に向かう方向に屈曲されていてもよい。この構成の場合、第1屈曲部51は、リード端子24の第1面61を外側(表側)にした山折りとなっており、第3屈曲部53は、リード端子24の第1面61を外側(表側)にした谷折りとなっている。したがって、リード端子24は、接続パッド21から第1屈曲部51まで延伸するリード部22の延伸方向と、第3屈曲部53からのリード端部23の延伸方向とは、同じ方向に向いている、所謂ガルウィングリードタイプの形状をなしている。
【0070】
このように、第1屈曲部51および第3屈曲部53がガルウィングリードタイプの構成であっても、第2屈曲部52を併せて有していることにより、上述の実施形態と同様な効果を有することができる。
【0071】
また、上記実施形態で例示した水晶振動片17は、一例として矩形状のSCカット水晶振動片を用いたが、これに限定されず、円形状のSCカット水晶振動片や矩形状または円形状のATカット水晶振動片でもよいし、音叉型水晶振動片、弾性表面波共振片その他の圧電振動子やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)共振片でも構わない。また、上記の振動片の基板材料としては、水晶の他、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電単結晶や、ジルコン酸チタン酸鉛等の圧電セラミックス等の圧電材料、又はシリコン半導体材料等を用いてもよいし、上記の振動片の励振手段としては、圧電効果によるものを用いてもよいし、クーロン力による静電駆動を用いてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、本発明に係る電子部品の一例として、水晶振動片17を用いた水晶発振器1,1b,100を例に説明したが、これに限定されず、例えば、加速度や角速度などのセンサー素子を内蔵するセンサーなど他の機能を有する電子部品に適用することができる。
【0073】
[第2屈曲部の変形例]
次に、上述したリード端子24における第2屈曲部52の変形例について、図7を用いて説明する。図7は、リード端子における第2屈曲部の変形例を示し、図7(a)は、変形例1を示す正面図であり、図7(b)は変形例2を示す正面図であり、図7(c)は変形例3を示す正面図である。なお、以下の説明では、前述の実施形態と同様な構成については、同符号を付して説明を省略する。
【0074】
(変形例1)
図7(a)を参照して、第2屈曲部の変形例1を説明する。図7(a)に示す第2屈曲部52cは、リード部22からX軸方向に向かい、鈍角をなして折り返す二つの辺55で構成されている。換言すれば、変形例1の第2屈曲部52cは、−X軸方向に開口するように設けられた三角形の二つの辺55で構成される。なお、二つの辺55とリード部22との接続部、および二つの辺55どうしの接続部は、略直線的に交わった接続であってもよいし、円弧状の所謂アール形状をなして接続されていてもよい。
【0075】
(変形例2)
図7(b)を参照して、第2屈曲部の変形例2を説明する。図7(b)に示す第2屈曲部52dは、優弧状をなして折り返される折返し部R2を備えている。折返し部R2とリード部22とが接続される接続部R1,R3は、それぞれ円弧状をなした所謂アール形状をなしている。換言すれば、変形例2の第2屈曲部52dは、−X軸方向に開口するように設けられた優弧状の折返し部R2で構成されている。
【0076】
(変形例3)
図7(c)を参照して、第2屈曲部の変形例3を説明する。図7(c)に示す第2屈曲部52eは、一端をリード部22に接続され、並行して設けられた二つの辺54の他方端が円弧の折返し部R4によって接続されている構成である。換言すれば、変形例3の第2屈曲部52eは、−X軸方向に開口するように設けられたトラック状である。なお、二つの辺54とリード部22との接続部は、略直線的に交わった接続であってもよいし、円弧状の所謂アール形状をなして接続されていてもよい。
【0077】
上述の変形例1から変形例3の説明においては、説明の便宜上、第2屈曲部52c,52d,52eの屈曲方向を+X軸方向とし、開口する方向を−X軸方向としたが、これに限らず、逆方向に屈曲する構成でもよい。すなわち、第2屈曲部52c,52d,52eの屈曲方向を−X軸方向とし、開口する方向を+X軸方向としてもよい。
【0078】
以上説明した変形例1から変形例3の第2屈曲部52c,52d,52eにおいても、上述の実施形態と同様に、Y軸方向、およびX軸方向の変形が生じ易く、この方向の応力緩和に対して有効性を発揮することができる。
【0079】
なお、第2屈曲部52の構成について、変形例も含めて説明したが、第2屈曲部52は、上述の構成に限らず、リード部22の延在方向と交差する方向に突出して折り返す形態をなしていればよく、上述した効果を奏することができる。すなわち、第2屈曲部52の突出方向は、必ずしもX軸方向に沿っていなくてもよく、上述した効果を奏することができる。
【0080】
[電子機器]
次いで、本発明の電子部品の一実施形態に係る水晶発振器1,1b,100の少なくとも一つを適用した電子機器について、図8(a)、図8(b)、および図9に基づき説明する。なお、以下の説明では、水晶発振器1を適用した場合を例示して説明する。
【0081】
図8は、本発明の一実施形態に係る水晶発振器1を備える電子機器を示す概略図であり、図8(a)は、モバイル型(又はノート型)のパーソナルコンピューター1100の構成を示す斜視図、図8(b)は、携帯電話機1200(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
【0082】
図8(a)において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1000を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、高い周波数安定性を有する水晶発振器1が内蔵されている。
【0083】
図8(b)において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1000が配置されている。このような携帯電話機1200には、高い周波数安定性を有する水晶発振器1が内蔵されている。
【0084】
図9は、本発明の一実施形態に係る水晶発振器1を備える電子機器としてのデジタルカメラ1300の構成を示す斜視図である。なお、図9には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
デジタルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
デジタルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部1000が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1000は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCD等を含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部1000に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。また、このデジタルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1330が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1340が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1330や、パーソナルコンピューター1340に出力される構成になっている。このようなデジタルカメラ1300には、高い周波数安定性を有する水晶発振器1が内蔵されている。
【0085】
上述したように、電子機器として、高い周波数安定性を有する水晶発振器1,1b,100が活用されることにより、より高性能の電子機器を提供することができる。また、本発明の水晶発振器1,1a,1b,100の少なくとも一つを適用した電子機器とすることで、例えば、電子機器に衝撃や振動等の応力が加わり、本発明の水晶発振器1,1a,1b,100に応力が加わっても、水晶発振器1,1a,1b,100のリード端子に加わる応力が、それぞれの屈曲部によって吸収されたり、分散されたりするため、水晶発振器1,1a,1b,100の接続パッドや接続パッド近傍のリード部が変形したり破損(クラックや破断)したりしてしまう虞や、接続パッドと接続端子とを接合している接合部材にクラック等が入ることによる水晶発振器1,1a,1b,100の接続パッドと接続端子との間の接合強度が低下する虞等を低減できるため、信頼性の高い電子機器を提供することもできる。
【0086】
なお、本発明の一実施形態に係る水晶発振器1,1b,100は、図8(a)のパーソナルコンピューター1100(モバイル型パーソナルコンピューター)、図8(b)の携帯電話機1200、図9のデジタルカメラ1300の他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、タブレット型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、移動体通信基地局用機器、ルーターやスイッチなどのストレージエリアネットワーク機器、ローカルエリアネットワーク機器、ネットワーク用伝送機器、ヘッドマウントディスプレイ、モーショントレース、モーショントラッキング、モーションコントローラー、PDR(歩行者位置方位計測)等の電子機器に適用することができる。
【0087】
[移動体]
次いで、本発明の電子部品の一実施形態に係る水晶発振器1,1b,100の少なくとも一つを適用した移動体について、図10に基づき説明する。なお、以下の説明では、水晶発振器1を適用した場合を例示して説明する。
【0088】
図10は、本発明の一実施形態に係る水晶発振器1を備える移動体としての自動車1400の構成を示す斜視図である。
自動車1400には本発明に係る水晶発振器1を含んで構成されたジャイロセンサーが搭載されている。例えば、同図に示すように、移動体としての自動車1400には、タイヤ1401を制御する該ジャイロセンサーを内蔵した電子制御ユニット1402が搭載されている。また、他の例としては、水晶発振器1は、キーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ブレーキシステム、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システム等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)に広く適用できる。
【0089】
上述したように、移動体としての自動車1400に、高い周波数安定性を有する水晶発振器1,1b,100のいずれかが活用されることにより、より高性能の移動体を提供することができる。また、本発明の水晶発振器1,1a,1b,100の少なくとも一つを適用した移動体とすることで、例えば、移動体に衝撃や振動等の応力が加わり、本発明の水晶発振器1,1a,1b,100に応力が加わっても、水晶発振器1,1a,1b,100のリード端子に加わる応力が、それぞれの屈曲部によって吸収されたり、分散されたりするため、水晶発振器1,1a,1b,100の接続パッドや接続パッド近傍のリード部が変形したり破損(クラックや破断)したりしてしまう虞や、接続パッドと接続端子とを接合している接合部材にクラック等が入ることによる水晶発振器1,1a,1b,100の接続パッドと接続端子との間の接合強度が低下する虞等を低減できるため、信頼性の高い電子機器を提供することもできる。
【0090】
以上、本発明の水晶発振器1,1b,100を適用した電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、前述した各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1,1b,100…電子部品としての水晶発振器(発振器)、10…容器、11…基板としての第1の基板、12…第2の基板、13…第3の基板、14…第4の基板、15…封止部材、16…蓋部材、17…水晶振動片、18…接合部、19…集積回路、20…内部空間、21…接続パッド、22…リード部、23…リード端部、24…リード端子、25…接続端子、26…接合部材、26a…ペースト状の接合部材、30…回路素子、31,32…回路部品、39…ランド電極、40…ボンディングワイヤー、41…発熱体、42…リードフレーム、45,46…連接部(タイバー)、47…フレーム枠、48…ガイドホール、51…第1屈曲部、52,52a,52b,52c,52d,52e…第2屈曲部、53…第3屈曲部、54,55…辺、61…第1面、62…第2面、63…第3面、64…タイバー痕、101…ベース基板、102…カバー、103…内部、1000…表示部、1100…パーソナルコンピューター、1102…キーボード、1104…本体部、1106…表示ユニット、1200…携帯電話機、1202…操作ボタン、1204…受話口、1206…送話口、1300…デジタルカメラ、1302…ケース、1304…受光ユニット、1306…シャッターボタン、1308…メモリー、1312…ビデオ信号出力端子、1314…入出力端子、1330…テレビモニター、1340…パーソナルコンピューター、1400…自動車、1401…タイヤ、1402…電子制御ユニット、R1,R3…接続部、R2,R4…折返し部。
図1
図2
図3
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図6
図7
図8
図9
図10