(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記属性推定部は、前記顧客を撮像して得られた画像を解析することにより、前記顧客の属性として、前記顧客の年齢または性別を推定する、請求項1に記載の予測システム。
前記顧客の来店から前記顧客の前記レジ場への実際の移動時間を特定し、前記移動時間に基づいて前記顧客の属性に対応する前記第1の時間情報を更新する更新管理部をさらに備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の予測システム。
前記顧客についての前記レジ場における実際の処理時間を特定し、前記処理時間に基づいて前記第2の時間情報を更新する更新管理部をさらに備える、請求項4に記載の予測システム。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成または論理的意義を有する複数の構成を、必要に応じて撮像装置6A、6Bおよび6Cのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、撮像装置6A、6Bおよび6Cを特に区別する必要が無い場合には、単に撮像装置6と称する。
【0023】
<1.予測システムの構成>
本発明の実施形態による予測システムは、レジ場での将来の待ち状況を予測するためのシステムであり、スーパーマーケット、百貨店および量販店などの多様な店舗に適用され得る。以下、
図1を参照し、本発明の実施形態による予測システムの構成を説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態による予測システムの構成例を示す説明図である。
図1に示したように、本実施形態による予測システムは、売り場およびバックルームを有する店舗に適用され得る、また、本実施形態による予測システムは、撮像装置6と、属性推定装置8と、予測サーバ20と、情報処理装置30と、表示装置40と、ルータ50と、携帯端末60と、を含む。なお、
図1においては、店舗の顧客にUを付し、店舗のスタッフにSを示している。
【0025】
撮像装置6は、店舗の顧客を撮像し、顧客の撮像画像を取得する。例えば、撮像装置6Aは、レジ場の待ち行列LAを撮像し、待ち行列LAを構成する各顧客の撮像画像を取得する。同様に、撮像装置6Bは、レジ場の待ち行列LBを撮像し、待ち行列LBを構成する各顧客の撮像画像を取得する。また、撮像装置6Cは、店舗の出入口付近に設置され、来店した顧客を撮像する。なお、
図1においては2台のレジを示しているが、レジ場は1台のレジを有してもよいし、3台以上のレジを有してもよい。
【0026】
属性推定装置8は、撮像装置6により取得された撮像画像を解析することにより、撮像画像に含まれる顧客の属性を推定する属性推定部の機能を有する。例えば、属性推定装置8Aは、撮像装置6Aから入力される撮像画像を解析することにより、待ち行列LAを構成する各顧客の性別および年齢を推定する。また、属性推定装置8Cは、撮像装置6Cから入力される撮像画像を解析することにより、来店した顧客の性別および年齢を推定する。
【0027】
なお、属性推定装置8による属性の推定方法は特に限定されない。例えば、属性推定装置8は、撮像画像から顔領域を検出して顔画像を生成する顔検出処理、顔画像から目、鼻および口などの顔特徴点を抽出する抽出処理、顔特徴点および顔画像に基づいて顔向きが正規化された正規化画像を生成する正規化処理などを行い、正規化画像から顧客の属性として性別および年齢を推定してもよい。
【0028】
情報処理装置30は、
図1に示したように例えば店舗のバックルームに設置され、店舗のスタッフにより利用される。情報処理装置30は、属性推定装置8から顧客の属性情報を受信すると、当該属性情報を予測サーバ20へネットワーク12を介して送信する。ネットワーク12は、ネットワーク12に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、ネットワーク12は、インターネット、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、ネットワーク12は、IP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0029】
また、情報処理装置30は、各レジと接続されており、各レジが開局しているか否かを示すレジ情報を各レジから受信する。ただし、情報処理装置30は、各レジの開局状況を他のセンサーやスイッチから受信してもよい。情報処理装置30は、当該レジ情報も予測サーバ20へネットワーク12を介して送信する。ただし、予測システムがPOSシステムを有し、POSシステムからレジの開局数を示す情報が予測サーバ20に送信される場合、情報処理装置30はレジ情報の送信を行わなくてもよい。
【0030】
予測サーバ20は、レジ場における将来の待ち状況を予測する。ここで、本件発明者は、店舗内での顧客の行動と、当該顧客の属性との相関関係を見出した。例えば、年配の女性は家族の食事の準備のために多くの食材を購入する傾向にあるため、買回り時間(すなわち、来店からレジ場へ移動するまでの商品選択時間)およびレジ処理時間(すなわち、レジ順が顧客の番になってから釣銭の受け取りまでの時間)が比較的長くなりやすい。また、20代の男性は、時間に追われて行動しがちなので、買回り時間およびレジ処理時間が比較的短くなりやすい。結果、顧客の属性と、顧客の買回り時間およびレジ処理時間との、例えば
図2に示したような相関関係が特定され得る。
【0031】
そこで、本実施形態による予測サーバ20は、情報処理装置30から受信される来店顧客の属性情報および待ち行列を構成する顧客の属性情報を利用して、レジ場における将来の待ち状況を予測する。かかる構成により、レジ場における将来の待ち状況をより高精度に予測することが可能となる。属性情報を利用した待ち状況の予測方法については、次節以降で詳細に説明する。
【0032】
表示装置40は、予測サーバ20からレジ場における将来の待ち状況を示す通知画面を受信し、当該通知画面を表示する、表示部の一例である。ルータ50は、予測サーバ20から混雑予測の通知が送信された場合、当該通知を各スタッフが有する携帯端末60に無線で中継する。携帯端末60は、ルータから中継される通知に基づき、混雑通知画面を表示する。このような表示装置40および携帯端末60による表示により、店舗のスタッフは将来の混雑およびレジ応援の要否を認識できるので、レジ場の混雑を抑制することが可能である。また、実際に混雑が生じてからスタッフが急遽レジ応援に駆けつける場合、スタッフがレジ応援までに行っていた作業が切りの悪い状態で中断され、作業効率が低下することがある。これに対し、本実施形態によれば、レジ応援が必要になるタイミングをスタッフが事前に把握できるので、スタッフは、レジ応援を考慮してレジ応援の前後での作業を計画できる。結果、レジ応援の前後でのスタッフの作業効率を向上することが可能である。
【0033】
以上、本実施形態による予測システムの構成を説明した。続いて、本実施形態による予測システムが有する予測サーバ20の構成をより詳細に説明する。
【0034】
<2.予測サーバの構成>
図3は、本実施形態による予測サーバ20の構成を示す説明図である。
図3に示したように、本実施形態による予測サーバ20は、通信部210と、記憶部220と、行動予測部230と、待ち状況予測部240と、通知制御部250と、更新管理部260と、を備える。
【0035】
(通信部)
通信部210は、ネットワーク12を介して他の装置と通信するインタフェースである。例えば、通信部210は、情報処理装置30から来店顧客の属性情報、待ち行列を構成する顧客の属性情報、およびレジ情報を受信したり、待ち状況の予測結果を表示装置40に送信したりする。
【0036】
(記憶部)
記憶部220は、予測サーバ20における処理に用いられる各種情報を記憶する。例えば、記憶部220は、顧客行動DBおよび来店顧客DBを記憶する。以下、
図4および
図5を参照し、顧客行動DBおよび来店顧客DBについて具体的に説明する。
【0037】
図4は、顧客行動DBの具体例を示す説明図である。「1.予測システムの構成」において説明したように、本件発明者は、店舗内での顧客の行動と、当該顧客の属性との相関関係を見出した。顧客行動DBは、当該相関関係を示す情報を格納するデータベースであり、顧客行動DBは、例えば
図4に示したように、性別および年齢からなる顧客属性と、顧客の買回り時間(第1の時間情報)およびレジ処理時間(第2の時間情報)を関連付ける。なお、顧客属性ごとの買回り時間やレジ処理時間は、店舗の態様に応じて異なり得る。例えば、大型店舗であるほど移動距離が長くなるため買回り時間が長くなり、また、大型店舗であるほど購入商品が多くなるためレジ処理時間が長くなり得る。このため、顧客行動DBは、店舗ごとに、情報処理装置30からの設定に基づいて記憶されてもよい。あるいは、顧客行動DBは、複数の店舗について共用されてもよい。
【0038】
図5は、来店顧客DBの具体例を示す説明図である。来店顧客DBは、主に通信部210により情報処理装置30から受信される情報に基づいて作成される。具体的には、来店顧客DBは、
図5に示したように、店舗へ来店した顧客を識別する顧客ID、顧客の来店時刻、顧客属性および移動タイミングを関連付ける。顧客の来店時刻は、出入口付近に設置された撮像装置6Cにより顧客が撮像された時刻である。顧客属性は、当該顧客について属性推定装置8Cにより推定された属性である。移動タイミングは、当該顧客の買回りが終了し、当該顧客がレジ場へ移動することが予測される時刻である。当該移動タイミングは行動予測部230により算出される。
【0039】
また、記憶部220は、将来の各時間帯における開局予定レジ数を示す開局予定情報を記憶する。
【0040】
(行動予測部)
行動予測部230は、店舗へ来店した顧客の行動を予測する。例えば、行動予測部230は、店舗へ来店した顧客の買回りが終了し、当該顧客がレジ場へ移動する時刻を予測する。具体的には、行動予測部230は、来店顧客DBに格納された顧客属性に基づき、当該顧客属性を有する顧客の買回り時間を顧客行動DBから抽出し、抽出した買回り時間を当該顧客の来店時刻に加算することにより、当該顧客がレジ場へ移動する時刻を予測してもよい。行動予測部230により予測された時刻は、移動タイミングとして来店顧客DBに追加される。
【0041】
(待ち状況予測部)
待ち状況予測部240は、レジ場における将来の待ち状況を予測する。例えば、待ち状況予測部240は、待ち行列Lを構成する各顧客の属性に対応するレジ処理時間を顧客行動DBから抽出し、各顧客について抽出されたレジ処理時間を合計することにより、現時点の待ち時間を推定する。そして、待ち状況予測部240は、次に顧客がレジ場へ移動すると予測されるタイミング(移動タイミング)までの各時点の待ち時間を、現時点と各時点との時間差を現在の待ち時間から減算することにより予測する。また、待ち状況予測部240は、ある顧客についての移動タイミングにおいて当該顧客が待ち行列に並ぶと仮定し、当該顧客が待ち行列に並んだ後の待ち時間を、当該顧客の属性に対応するレジ処理時間を直前時点における待ち時間に加算することにより予測する。
【0042】
ここで、待ち状況予測部240は、通信部210により受信される店舗の各レジが開局しているか否かを示すレジ情報から現在の開局レジ数を認識し、記憶部220に記憶された開局予定情報から将来の各時間帯における開局予定レジ数を認識し、開局レジ数および開局予定レジ数を加味して将来の待ち状況を推定してもよい。また、複数のレジが開局している時間帯に顧客の移動タイミングが到来する場合、待ち状況予測部240は、より待ち時間の短い待ち行列、より待ち人数の少ない行列、または、所定の順序に従った行列に当該顧客が並ぶと仮定してもよい。なお、待ち状況予測部240は、一人当たりの平均レジ処理時間で待ち時間を除算することにより、将来の待ち状況として待ち人数を予測してもよい。以下、
図6および
図7を参照し、待ち時間の予測結果の具体例を説明する。
【0043】
図6および
図7は、待ち時間の予測結果の具体例を示す説明図である。まず、
図6を参照し、顧客Cが待ち行列に並ぶ時点での待ち時間を説明する。
図6に示したように、顧客Cの来店時刻である時刻t1においては、顧客Yのレジ処理が行われており、顧客Aが待ち行列に並んでいる。ここで、行動予測部230は、顧客Cの属性に基づき、顧客Cの買回りが時刻t2に終了すると予測する。すなわち、行動予測部230は、顧客Cが時刻t2にレジの待ち行例に並ぶと予測する。時刻t2においては、
図6に示したように、顧客Aのレジ処理が行われており、顧客Bが待ち行列に並んでいると予測される。このため、待ち状況予測部230は、顧客Aの残りレジ処理時間と顧客Bのレジ処理時間との合算時間、すなわち、時刻t2と時刻t3との差分時間を、顧客Cが待ち行列に並ぶ時点であるt2における待ち時間として予測する。
【0044】
次に、
図7を参照し、顧客Fが待ち行列に並ぶ時点での待ち時間を説明する。
図7に示したように、顧客Fの来店時刻である時刻t4においては、顧客Aのレジ処理が行われており、顧客Bが待ち行列に並んでいる。ここで、行動予測部230は、顧客Fの属性に基づき、顧客Fの買回りが時刻t5に終了すると予測する。すなわち、行動予測部230は、顧客Fが時刻t5にレジの待ち行例に並ぶと予測する。時刻t5においては、
図7に示したように、顧客Aのレジ処理が行われており、顧客B、C、DおよびEが待ち行列に並んでいると予測される。このため、待ち状況予測部230は、顧客Aの残りレジ処理時間と顧客B〜顧客Eのレジ処理時間との合算時間、すなわち、時刻t5と時刻t6との差分時間を、顧客Fが待ち行列に並ぶ時点であるt5における待ち時間として予測する。
【0045】
このような待ち状況予測部240による待ち状況の予測処理については、
図11を参照してより詳細に後述する。
【0046】
(通知制御部)
通知制御部250は、待ち状況予測部240により予測された待ち状況を示す通知画面を生成し、当該通知画面の通信部210から表示装置40への送信を制御する。また、通知制御部250は、待ち状況予測部240により予測された将来のある時点での待ち状況が所定の基準を上回る場合、携帯端末60への混雑予測の通知を制御する。例えば、通知制御部250は、将来のある時点での待ち時間が所定時間を上回る場合、携帯端末60への混雑予測の通知を制御してもよい。また、通知制御部250は、待ち状況予測部240により予測された将来のある時点での待ち状況が所定の基準を上回る場合、混雑回避の対策を特定し、混雑回避の対策の通知をさらに制御してもよい。例えば、通知制御部250は、将来のある時点での待ち時間が所定時間を上回る場合、待ち時間が所定時間内になるために必要なレジ応援人数を特定し、レジ応援人数の携帯端末60への通知を制御してもよい。また、通知制御部250は、当該応援人数の表示装置40への通知を制御してもよい。
【0047】
ここで、
図8〜
図10を参照し、表示装置40および携帯端末60に表示される画面の具体例を説明する。
【0048】
図8は、表示装置40に表示される待ち状況の通知画面の具体例を示す説明図である。
図8に示したように、表示装置40に表示される待ち状況の通知画面は、時間帯ごとに、待ち人数、開局予定レジ数、推奨開局レジ数および応援人数を含む。
図8に示した通知画面は、9時55分における予測に基づく画面であり、
図8に示した例では、10時00分〜05分における待ち人数は2人であり、開局予定レジ数が4台であり、推奨開局レジ数が4台であり、応援人数が0人である。なお、通知制御部250は、10時00分〜05分の待ち人数として、10時00分における待ち人数を用いてもよいし、10時00分〜05分の間の平均的な待ち人数を用いてもよい。また、通知制御部250は、記憶部220に記憶されている開局予定情報に基づいて開局予定レジ数を特定してもよい。また、通知制御部250は、(開局予定レジ数+待ち人数−所定人数)を演算することにより、推奨開局レジ数を算出してもよい。当該演算によれば、所定人数が2人である場合、10時00分〜05分の推奨開局レジ数は、
図8に示したように、(4+2−2)=4台となる。
【0049】
また、
図8に示した例では、10時05分〜10分における待ち人数は4人であり、開局予定レジ数が4台であり、推奨開局レジ数が6台である。ここで、推奨開局レジ数が開局予定レジ数を2台上回るので、通知制御部250は応援人数として2人を特定する。このため、
図8に示したように、10時05分〜10分における応援人数として2人が表示される。
【0050】
図9は、携帯端末60に表示される混雑通知画面の具体例を示す説明図である。
図9に示した混雑通知画面は、発信時刻である9時55分において、10時05分からレジ応援が必要であること、開局予定レジ数が4台であること、およびレジ応援人数が2人であることを示す。携帯端末60を有する店舗のスタッフは、当該混雑通知画面を見ることにより、将来混雑が発生することを認識し、効率的な作業計画を立てることが可能である。また、携帯端末60を有する店舗のスタッフは、混雑通知画面に対して、レジ応援に参加することを示す操作を行ってもよい。当該操作を2名のスタッフが行うと、10時05分からの6台のレジが稼働すると見込まれる。このため、
図8に示した表示装置40の通知画面に含まれる表示切替ボタン42が選択されると、
図10に示すように、表示装置40は、10分後である10時05分から6台のレジが稼働する見込みであることを示すレジ状況画面を表示してもよい。
【0051】
なお、上記では店舗の各スタッフが有する携帯端末60に混雑予測が通知される例を説明したが、混雑予測は、マネージャーや責任者などの一部のスタッフにのみ通知されてもよい。そして、マネージャーや責任者などの一部のスタッフが、他のスタッフにレジ応援に参加すべきことを口頭や店内アナウンスで指示してもよい。
【0052】
(更新管理部)
更新管理部260は、記憶部220に記憶されている顧客行動DBの更新を管理する。例えば、更新管理部260は、各顧客について、顧客の実際の買回り時間を当該顧客の属性と関連付けて蓄積し、各属性に対応する実際の買回り時間の統計値(例えば、平均値)に基づいて、顧客行動DBに記憶されている買回り時間を更新する。また、更新管理部260は、各顧客について、顧客の実際のレジ処理時間を当該顧客の属性と関連付けて蓄積し、各属性に対応する実際のレジ処理時間の統計値に基づいて、顧客行動DBに記憶されているレジ処理時間を更新する。かかる構成により、顧客行動DBが店舗における顧客行動の実態により近づくので、当該顧客行動DBに基づいて行われる待ち状況の予測処理の精度を向上することが可能である。
【0053】
<3.動作>
以上、本実施形態による予測サーバ20の構成を説明した。続いて、
図11を参照し、本実施形態による予測システムの動作を整理する。
【0054】
図11は、本実施形態による予測システムの動作を示すフローチャートである。まず、店舗の出入口付近に設置された撮像装置6Cが来店顧客を撮像し、属性推定装置8Cが、来店顧客の撮像画像を解析して来店顧客の属性を推定する(S302)。そして、予測サーバ20の通信部210により来店顧客の属性情報が受信されると、行動予測部230が、顧客行動DBを参照し、当該顧客がレジ場へ移動するタイミング(移動タイミング)を予測する(S304)。続いて、記憶部220が、顧客ID、顧客の来店時刻、顧客属性および移動タイミングを関連付けて来店顧客DBに記憶する(S306)。
【0055】
その後、所定時間後の待ち状況を予測する場合(S308/yes)、属性推定装置8Aが待ち行列LAを構成する各顧客の属性を推定する(S310)。そして、予測サーバ20の待ち状況予測部240が、待ち行列LAを構成する各顧客の属性に対応するレジ処理時間を顧客行動DBから抽出し、各顧客について抽出されたレジ処理時間を合計することにより、現在のレジの待ち時間Tiを推定する(S312)。なお、顧客は各待ち行列での待ち時間差が均されるように待ち行列に並ぶと考えられるので、以下では、待ち状況予測部240が1つのレジに着目して現在および将来の待ち時間を推定する例を説明する。ただし、待ち状況予測部240は、現在および将来の待ち時間の推定を各レジについて行い、待ち時間の平均値を算出してもよい。
【0056】
そして、待ち状況予測部240は、次にレジに移動すると予測される顧客を、来店顧客DBを参照して特定する(S314)。さらに、待ち状況予測部240は、顧客行動DBを参照し、当該顧客の属性に対応するレジ処理時間Tnを特定する(S316)。続いて、待ち状況予測部240は、当該顧客がレジに移動すると予測される移動タイミングTmにおいてTiの残り時間Trがあるか否かを判断する(S318)。
【0057】
そして、移動タイミングTmにおいてTiの残り時間Trが無いと判断された場合、すなわち、次の顧客がレジに移動するタイミングでレジを待っている人がいないと判断された場合(S318/no)、待ち状況予測部240は、待ち時間Tiを当該顧客のレジ処理時間Tnに更新する(S322)。一方、移動タイミングTmにおいてTiの残り時間Trが有ると判断された場合、すなわち、次の顧客が既存の待ち行列の最後尾に並ぶと判断された場合(S318/yes)、待ち状況予測部240は、待ち時間Tiを、(Ti+Tn−Tr)の演算結果に更新する(S320)。
【0058】
その後、待ち状況予測部240は、現在から所定時間が経過するタイミングEまでにレジへ移動すると予測される残り顧客がいなくなるまでS314〜S322の処理を繰り返す(S324)。そして、残り顧客がいなくなった場合、待ち状況予測部240は、所定時間後の待ち時間を(Ti−(E−Tm))の演算により算出する(S326)。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によれば、顧客の属性に応じた買回り時間およびレジ処理時間に基づいて将来におけるレジの待ち状況が予測される。従って、本実施形態は、各顧客に一律の買い回り時間およびレジ処理時間を適用する場合に比べ、レジの待ち状況の予測精度を向上することが可能である。
【0060】
<4.応用例>
続いて、本実施形態による予測システムの幾つかの応用例を説明する。なお、以下に説明する各応用例は単独で実施されてもよいし、組み合わせて実施されてもよい。
【0061】
(第1の応用例)
上記実施形態では、所定時間後のレジの待ち状況を、現時点までに店舗に実際に来店した顧客の行動予測(買回り時間およびレジ処理時間)に基づいて予測する例を説明した。しかし、現時点以降に店舗に来店し、所定時間の経過前にレジ場に移動する顧客が出てくる可能性もある。そこで、レジの待ち状況の予測精度をさらに向上し得る第1の応用例を以下に説明する。
【0062】
図12は、第1の応用例による予測サーバ20の構成を示す説明図である。
図12に示すように、第1の応用例による予測サーバ20は、通信部210と、記憶部220と、行動予測部230と、待ち状況予測部240と、通知制御部250と、更新管理部260と、に加え、来店予測部270を備える。
【0063】
来店予測部270は、店舗への顧客の来店を予測する。例えば、来店予測部270は、ある属性の顧客が、当該属性の顧客の来店実績に基づいて設定された来店間隔で来店することを予測してもよい。具体的には、40代男性の来店間隔が10分に設定されており、現時点または直近の40代男性の来店時刻が9時55分である場合、来店予測部270は、40代男性の顧客が10時05分、10時15分、10時25分、・・・に来店すると予測してもよい。来店予測部270により来店が予測された顧客には顧客IDが割り当てられ、顧客ID、顧客属性および来店時刻からなるエントリが来店顧客DBに追加される。
【0064】
行動予測部230は、実際に来店した顧客に加え、来店予測部270により来店が予測された顧客について、顧客の買回りが終了し、当該顧客がレジ場へ移動する時刻を予測する。例えば、行動予測部230は、来店顧客DBに格納された顧客属性に基づき、当該顧客属性を有する顧客の買回り時間を顧客行動DBから抽出し、抽出した買回り時間を当該顧客の来店時刻に加算することにより、当該顧客がレジ場へ移動する時刻を予測してもよい。行動予測部230により予測された時刻は、移動タイミングとして来店顧客DBに追加される。
【0065】
待ち状況予測部240は、
図11を参照して説明した処理において、来店が予測される顧客を実際に来店した顧客と等価に扱うことにより、レジ場における将来の待ち状況を予測する。
【0066】
以上説明したように、第1の応用例では、実際に来店した顧客に加え、以降に来店することが予測される顧客を考慮してレジの待ち状況が予測される。従って、レジの待ち状況の予測精度をさらに向上することが可能となる。
【0067】
(第2の応用例)
上記実施形態では、現時点の待ち行列Lを構成する各顧客の属性に対応するレジ処理時間を顧客行動DBから抽出し、各顧客について抽出されたレジ処理時間を合計することにより、現時点での待ち時間を推定する例を説明した。しかし、各顧客について実際に費やされるレジ処理時間は、顧客行動DBから抽出されたレジ処理時間と異なることが想定される。そこで、各顧客のレジ処理時間の推定精度および現時点での待ち時間の推定精度を向上し得る第2の応用例を以下に説明する。
【0068】
図13は、第2の応用例による待ち状況予測部240の構成を示す説明図である。
図13に示したように、第2の応用例による待ち状況予測部240は、現時点の待ち時間(現待ち時間)を推定するための構成として、人物追跡部242、商品取得判定部244、顧客同定部246、所持商品統合部248および現待ち時間推定部249を有する。なお、第2の応用例の実現のために、店舗の売り場には複数の撮像装置6が配置される。具体的には、複数の撮像装置6は、売り場内のどの位置にいる顧客も少なくともいずれかの撮像装置6により撮像されるよう、売り場に分散配置される。
【0069】
人物追跡部242は、複数の撮像装置6の各々から順次に得られる画像から顧客を検出し、同一の撮像装置により得られる複数の画像内において同一の顧客を追跡する。人物追跡部242は、例えば、各撮像装置6から画角に顧客が含まれない時に得られた画像を背景画像として保持し、当該背景画像と各撮像装置6から順次に得られる画像との差分から顧客を検出する背景差分手法により、顧客を検出してもよい。または、人物追跡部242は、クラスラベル付きの学習サンプルとして顧客を含む画像と顧客を含まない画像を膨大に集めて識別器で学習する統計的学習手法により、顧客を検出してもよい。
【0070】
商品取得判定部244は、人物追跡部242により追跡されている顧客が商品を手に取ったか否か、および手に取られた商品を判定する。商品取得判定部244は、例えば、3次元の人物骨格モデルに基づいて姿勢を推定するモデルベースの手法、または、画像の「見え」情報から直接姿勢を推定するビジョンベースの手法により、顧客が商品を手に取る動作を行ったか否かを判定してもよい。また、商品取得判定部244は、画像の「見え」を用いた物体認識手法、または、3次元形状を用いた物体認識手法により、顧客の手に取られた商品を判定してもよい。
【0071】
顧客同定部246は、1の撮像装置6の画像内で人物追跡部242により追跡された顧客と、他の撮像装置6の画像内で人物追跡部242により追跡された顧客とが同一人物であるか否かを判定する。また、顧客同定部246は、レジ待ち行列の画像に含まれる顧客が、人物追跡部242により追跡されたいずれの顧客であるかを判定する。顧客同定部246は、例えば、顔の特徴を照合する顔認識技術、歩き方の特徴を照合する歩行認識技術、または服装の色や柄を照合する服装認識技術などにより、異なる撮像装置6の画像間での顧客の同一性を判定してもよい。
【0072】
所持商品統合部248は、レジの待ち行列に並んでいる顧客が手に取ったと商品取得判定部244により判定される商品を統合し、統合結果を顧客の所持商品として認識する。
【0073】
現待ち時間推定部249は、レジの待ち行列に並んでいる各顧客の所持商品に基づき、レジの現在の待ち時間を推定する。例えば、現待ち時間推定部249は、顧客ごとのレジ処理時間を、顧客の所持商品数と第1の時間(例えば、商品1つのバーコード読み取りに要する時間)とを乗じて得られる時間と、第2の時間(現金の支払いおよび釣銭の授受に要する時間)とを加算することにより推定し、各顧客について推定されたレジ処理時間を合計することにより、現待ち時間を推定してもよい。
【0074】
なお、現待ち時間推定部249は、レジに並んでいる顧客の属性に応じて異なる第2の時間を各顧客に適用してもよい。例えば、若年層の顧客は、年配の顧客より、現金の支払いおよび釣銭の授受を迅速に行う傾向にある。このため、若年層の顧客の第2の時間は、年配の顧客の第2の時間より短い時間に設定されてもよい。
【0075】
以上説明したように、第2の応用例では、各顧客が実際に購入しようとする商品に基づいて各顧客のレジ処理時間が推定されるので、各顧客のレジ処理時間の推定精度および現時点での待ち時間の推定精度を向上することが可能である。
【0076】
(第3の応用例)
上記実施形態では、来店した顧客がレジの待ち行列に並ぶと仮定して将来の待ち状況を予測する例を説明した。しかし、来店した顧客が商品を購入せずに退店することもある。すなわち、来店した顧客がレジの待ち行列に並ぶとは限らない。そこで、来店した顧客が商品を購入せずに退店する確率を考慮することにより、より正確に将来の待ち状況を予測可能な第3の応用例について以下に説明する。
【0077】
第3の応用例の実現のために、記憶部220は、顧客が商品を購入する確率に関する確率制御情報を記憶する。そして、待ち状況予測部240は、来店した顧客が商品を購入すると仮定するか否か、すなわち、待ち行列に並ぶと仮定するか否かを判定する。例えば、確率制御情報は0〜1の間の値であり、待ち状況予測部240は、ある顧客について0〜1の間で乱数を生成し、生成された乱数が確率制御情報の値を上回っている場合に当該顧客が待ち行列に並ぶと判定してもよい。
【0078】
ここで、顧客が商品を購入する確率は、顧客の属性に応じて異なり得る。そこで、記憶部220は、顧客の属性ごとに確率制御情報を記憶し、待ち状況予測部240は、顧客の属性に応じた確率制御情報を用いて顧客が待ち行列に並ぶか否かを判定してもよい。
【0079】
以上説明したように、第3の応用例によれば、待ち行列に並ぶ顧客を確率制御情報に基づいて判定することにより、レジの待ち状況の予測精度をさらに向上することが可能となる。
【0080】
<5.ハードウェア構成>
以上説明した顧客の行動予測および待ち状況予測などの情報処理は、ソフトウェアと一例として以下に説明する予測サーバ20のハードウェア構成との協働により実現される。
【0081】
図14は、予測サーバ20のハードウェア構成を示したブロック図である。予測サーバ20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、ホストバス204と、を備える。また、予測サーバ20は、ブリッジ205と、外部バス206と、インタフェース207と、入力装置208と、表示装置209と、音声出力装置213と、ストレージ装置(HDD)211と、ドライブ212と、ネットワークインタフェース215とを備える。
【0082】
CPU201は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って予測サーバ20内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス204により相互に接続されている。なお、CPU201およびRAM203などの協働により、行動予測部230、待ち状況予測部240、通知制御部250および更新管理部260などの機能が実現される。
【0083】
ホストバス204は、ブリッジ205を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス206に接続されている。なお、必ずしもホストバス204、ブリッジ205および外部バス206を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0084】
入力装置208は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。予測サーバ20のユーザは、該入力装置208を操作することにより、予測サーバ20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0085】
表示装置209は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置を含む。また、音声出力装置213は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置を含む。
【0086】
ストレージ装置211は、本実施形態にかかる予測サーバ20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置211は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置211は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置211は、ハードディスクを駆動し、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0087】
ドライブ212は、記憶媒体用リーダライタであり、予測サーバ20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体24に記録されている情報を読み出して、RAM203に出力する。また、ドライブ212は、リムーバブル記憶媒体24に情報を書き込むこともできる。
【0088】
ネットワークインタフェース215は、例えば、ネットワーク12に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、ネットワークインタフェース215は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0089】
<6.むすび>
以上説明したように、本実施形態によれば、顧客の属性に応じた買回り時間およびレジ処理時間に基づいて将来におけるレジの待ち状況が予測される。従って、本実施形態は、各顧客に一律の買い回り時間およびレジ処理時間を適用する場合に比べ、レジの待ち状況の予測精度を向上することが可能である。
【0090】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0091】
例えば、上記では、スーパーマーケットのような小売店に本実施形態が適用される例を説明したが、本実施形態は、小売店以外の店舗にも適用可能である。例えば、本実施形態は後払い精算の飲食店にも適用可能であり、本実施形態が後払い精算の飲食店に適用される場合、飲食店における飲食時間またはサービス提供時間が上記実施形態における買回り時間に該当する。
【0092】
また、本明細書の予測システムの処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、予測システムの処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0093】
また、予測サーバ20および属性推定装置6などに内蔵されるCPU201、ROM202およびRAM203などのハードウェアに、上述した予測サーバ20および属性推定装置6の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。