(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596861
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】積層造形構造体
(51)【国際特許分類】
B29C 64/153 20170101AFI20191021BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20191021BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
B29C64/153
B33Y80/00
H05K3/46 G
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-57357(P2015-57357)
(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公開番号】特開2016-175287(P2016-175287A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2018年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】柳田 優輝
【審査官】
▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−024651(JP,A)
【文献】
特表2014−529523(JP,A)
【文献】
特開平10−226803(JP,A)
【文献】
特開2004−022623(JP,A)
【文献】
特開2004−152397(JP,A)
【文献】
特開2005−268259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B33Y 80/00
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の材料と第2の材料とを同一の層内に造形した層を複数有する積層造形構造体において、
前記層は、前記第1の材料より成り複数の前記層に跨る第1の造形体を構成する第1の造形部を有し、
前記層の内の第1の層は、前記第1の造形部と、前記第1の造形部に接続する第1の突出部とを有し、
前記層の内の第2の層は、前記第1の層に積層し、前記第1の造形部と、前記第1の突出部に接続する第1の突起部とを有し、
前記第1の層と前記第2の層との積層の組は、複数の前記層の内に1組以上設けられ、
前記第1の突出部と前記第1の突起部とは、前記第1の材料から成り、
前記層は、前記第1の材料より成り複数の前記層に跨る第2の造形体を構成する第2の造形部を有し、
前記層の内の、前記第1と第2の層とは別の第3の層は、前記第2の造形部と、前記第1の材料より成り前記第2の造形部に接続する第2の突出部とを有し、
前記層の内の、前記第1と第2の層とは別の第4の層は、前記第3の層に積層し、前記第2の造形部と、前記第1の材料より成り前記第2の突出部に接続する第2の突起部とを有し、
前記第3の層と前記第4の層との積層の組は、複数の前記層の内に1組以上設けられている積層造形構造体。
【請求項2】
前記第1の突出部は、前記第1の造形部の外周を囲む、請求項1記載の積層造形構造体。
【請求項3】
前記層の内の第5の層は、前記第2の層に積層し、前記第1の造形部と、前記第1の材料より成り前記第1の突起部に接続するフック部とを有し、
前記フック部は前記第1の突起部よりも幅が広い、請求項1または2の内の1項記載の積層造形構造体。
【請求項4】
第1の材料と第2の材料とを同一の層内に造形した層を複数有する積層造形構造体において、
前記層は、前記第1の材料より成り複数の前記層に跨る第1の造形体を構成する第1の造形部を有し、
前記層の内の第1の層は、前記第1の造形部と、前記第1の造形部に接続する第1の突出部とを有し、
前記層の内の第2の層は、前記第1の層に積層し、前記第1の造形部と、前記第1の突出部に接続する第1の突起部とを有し、
前記第1の層と前記第2の層との積層の組は、複数の前記層の内に1組以上設けられ、
前記第1の突出部と前記第1の突起部とは、前記第1の材料から成り、
前記層の内の第5の層は、前記第2の層に積層し、前記第1の造形部と、前記第1の材料より成り前記第1の突起部に接続するフック部とを有し、
前記フック部は前記第1の突起部よりも幅が広い、積層造形構造体。
【請求項5】
前記第1の突出部は、前記第1の造形部の外周を囲む、
請求項4記載の積層造形構造体。
【請求項6】
第1の材料と第2の材料とを同一の層内に造形した層を複数有する積層造形構造体において、
前記層は、前記第1の材料より成り複数の前記層に跨る第1の造形体を構成する第1の造形部を有し、
前記層の内の第1の層は、前記第1の造形部と、前記第1の材料より成り前記第1の造形部に接続する第1の突出部と、前記第1の材料より成り前記第1の突出部に接続する第1の突起部とを有し、
前記第1の層は、複数の前記層の内に1つ以上設けられている、積層造形構造体。
【請求項7】
前記層は、前記第1の材料より成り複数の前記層に跨る第2の造形体を構成する第2の造形部を有し、
前記層の内の、前記第1の層とは別の第2の層は、前記第2の造形部と、前記第1の材料より成り前記第2の造形部に接続する第2の突出部と、前記第1の材料より成り前記第2の突出部に接続する第2の突起部とを有し、
前記第2の層は、複数の前記層の内に1つ以上設けられている、請求項6記載の積層造形構造体。
【請求項8】
前記第1の突出部と前記第1の突起部とは、前記第2の材料から成る、請求項1記載の積層造形構造体。
【請求項9】
前記第1の材料は導電体を有し、前記第2の材料は絶縁体を有する、請求項1から8の内の1項記載の積層造形構造体。
【請求項10】
前記第1の造形体は電気配線である、請求項1から9の内の1項記載の積層造形構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元積層造形技術に関し、特に、複数の材料を用いた3次元積層造形構造に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元CAD(Computer Aided Design)データを層分割し、分割した層毎に層の上に層を積むように材料を付加しながら層間を付着させて、3次元形状の構造物を数値表現から製造する方法は、国際規格でAdditive Manufacturingと定義されている。1980年代に発明されたこの製造方法は、一般的には3Dプリンタと呼ばれる。3Dプリンタは、3次元CADデータがあれば、金型を使わずに複雑な形状を容易に製造できることから、近年、新たなものづくり手法として注目されている。
【0003】
3Dプリンタでは、切削による除去的な加工や、型に材料を流し込んで固める成形加工とは異なり、メッシュ形状やポーラス形状をはじめとする、かつては製造が難しかった形状を容易に正確に製造できる。更には、複数の種類の材料を同一の層内に自由に配置させた造形を容易とすることも期待されている。複数の材料を用いた造形により、それぞれの材料の特性を活かした新たな機能を付与した3次元形状モデルが実現できるからである。
【0004】
例えば、導電材料と絶縁材料とを複合させることで、電子回路の機能を有する3次元形状モデルが実現する。また、硬質な材料と柔軟な材料とを複合させることで、強度と柔軟性の両立した機能を有する3次元形状モデルが実現する。そして、これらの機能は新規材料の開発をせずとも容易に実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−190086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特性の異なる第1の材料と第2の材料を同一層内に造形する場合の課題として、両者の熱膨張係数が異なると、温度変化に伴う収縮差から両者の接合界面に応力が発生する。このとき、界面の接合強度が低い場合は界面剥離が発生し複合構造としての十分な強度が得られないという問題がある。特に、第1の材料を導電性材料とし、第2の材料を絶縁性材料として3次元電気配線を形成する場合には、界面剥離が発生すると第2の材料による第1の材料の保護性能が不十分となり配線の断線に至るなど、信頼性の低下という重大な問題に至る可能性がある。
【0007】
2種類の材料による積層造形方法として特許文献1が開示されている。この方法によれば、硬化層を積み重ねて所望の3次元形状部品を造形するプロセスにおいて、第1の材料を硬化する際に、第1の材料に部分的に硬化させない部分を設け、この部分を除去し、除去した部分に別工程で製造した第2の材料による埋設用部材を埋設する。その後さらに造形を継続することで、第1の材料による造形物の中に第2の材料による部材を埋め込んだ複合構造を造形することができる。
【0008】
しかしながら、特許文献1の方法では、第1の材料と第2の材料の界面の接合は強化されておらず、複合構造としての十分な強度は得られないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、層を積層して造形される積層造形構造体において、熱膨張係数の異なる複数の材料を用いた場合の複合構造の強度を高めた積層造形構造体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による積層造形構造体は、第1の材料と第2の材料とを同一の層内に造形した層を複数有する積層造形構造体において、前記層は、前記第1の材料より成り複数の前記層に跨る第1の造形体を構成する第1の造形部を有し、前記層の内の第1の層は、前記第1の造形部と、前記第1の造形部に接続する第1の突出部とを有し、前記層の内の第2の層は、前記第1の層に積層し、前記第1の造形部と、前記第1の突出部に接続する第1の突起部とを有し、前記第1の層と前記第2の層との積層の組は、複数の前記層の内に1組以上設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、層を積層して造形される積層造形構造体において、熱膨張係数の異なる複数の材料を用いた場合の複合構造の強度を高めた積層造形構造体を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本発明の第1の実施形態の積層造形構造体の構造を示す断面図である。
【
図1B】本発明の第1の実施形態の積層造形構造体の第1の材料による造形構造を示す側面図である。
【
図1C】本発明の第1の実施形態の積層造形構造体の第1の材料による造形構造を示す上面図である。
【
図2A】本発明の第1の実施形態の積層造形構造体の製造方法を示す断面図である。
【
図2B】本発明の第1の実施形態の積層造形構造体の製造方法を示す断面図である。
【
図2C】本発明の第1の実施形態の積層造形構造体の製造方法を示す断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態の積層造形構造体の構造を示す断面図である。
【
図4A】本発明の第2の実施形態の積層造形構造体の第1の材料による造形構造を示す側面図である。
【
図4B】本発明の第2の実施形態の積層造形構造体の第1の材料による造形構造を示す上面図である。
【
図5A】本発明の第3の実施形態の積層造形構造体の第1の材料による造形構造を示す側面図である。
【
図5B】本発明の第3の実施形態の積層造形構造体の第1の材料による造形構造を示す下面図である。
【
図6A】本発明の第4の実施形態の積層造形構造体の第1の材料による造形構造を示す側面図である。
【
図6B】本発明の第4の実施形態の積層造形構造体の第1の材料による造形構造を示す上面図である。
【
図7A】本発明の第5の実施形態の積層造形構造体の構造を示す断面図である。
【
図7B】本発明の第5の実施形態の積層造形構造体の構造を示す下面図である。
【
図7C】本発明の第5の実施形態の積層造形構造体の構造を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。
(第1の実施形態)
図1Aは、本発明の第1の実施形態の積層造形構造体の構造を示す断面図である。
図1Bは、本実施形態の積層造形構造体の第1の材料による造形構造を示す側面図である。
図1Cは、本実施形態の積層造形構造体の第1の材料による造形構造を示す、
図1BのA−A’方向からの上面図である。
【0014】
本実施形態の積層造形構造体1は、第1の材料と第2の材料とを同一の層内に造形した層を複数有する積層造形構造体において、前記層は、前記第1の材料より成り複数の前記層に跨る第1の造形体2を構成する第1の造形部5を有し、前記層の内の第1の層3は、前記第1の造形部5と、前記第1の造形部5に接続する第1の突出部6とを有し、前記層の内の第2の層4は、前記第1の層3に積層し、前記第1の造形部5と、前記第1の突出部6に接続する第1の突起部7とを有し、前記第1の層3と前記第2の層4との積層の組は、複数の前記層の内に1組以上設けられている。前記第1の突出部6と前記第1の突起部7とは、前記第1の材料から成る。
【0015】
積層造形構造体1では、第1の突出部6は、第1の層3に存在し第1の造形部5に接続する構造とし、第1の突起部7は、第2の層4に存在し第1の突出部6に接続する構造とする。
【0016】
上記の構造とすることで、第1の材料から成る第1の造形体2は、これに接続する第1の突出部6と第1の突起部7とが第2の材料から成る領域に嵌まり込むことによって、第2の材料の領域と強固に密着することができる。よって、第1の材料と第2の材料の熱膨張係数の違いにより、第1の材料と第2の材料の接合界面に応力が発生しても、界面剥離の発生が抑制される。
【0017】
なお、
図1A、Bでは、第1の突起部7は第1の突出部6の上側に設けられているが、第1の突出部6の下側に設けられていてもよい。また、第1の層3と第2の層4の組の中の第1の突出部6と第1の突起部7との組は、1組以上設けることができる。例えば、
図1Cでは4組の場合を示しているが、これには限定されない。
【0018】
以下に説明する積層造形構造体1の具体的な形態では、電子回路の機能を有する3次元形状モデルを想定し、これに対応した第1の材料と第2の材料とを例としているが、本実施形態はこれには限定されない。
【0019】
第1の材料は、導電体としての性質を有する材料とする。この材料は、例として、銅、銀、アルミが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0020】
第1の材料の積層方法としては、例えば、第1の材料をヒータなどにより加熱し溶融させて、層内の所定の位置に所定量を積層させる方法が可能である。所定量の第1の材料を供給する際には、第1の材料を粉末状、フィラー状、線状等の溶融しやすい形状に加工しておいてもよい。また、第1の材料の溶融時に気化する物質と混合することで、ペースト状にしておいても良い。
【0021】
第1の材料の積層方法の他の方法として、ASTM(American Society for Testing and Materials)がAdditive Manufacturingの方式として分類している方式から、材料を供給しつつ熱エネルギーを集中することによって材料を溶融結合する指向エネルギー堆積方式(Directed energy deposition)を用いることもできる。
【0022】
第2の材料は、絶縁体としての性質を有し、プラスチックが代表的な材料である。具体例としては、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)、ポリカーボネート、ポリ乳酸、アクリル、ポリエーテルイミド、ポリフェニルスルホン、ナイロン、ポリエチレン、シリコーン、エポキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
第2の材料の積層方法としては、ASTMがAdditive Manufacturingの方式として分類している方式を用いることができる。例えば、加熱して溶融した第2の材料を、ノズルなどの開口部から押し出して堆積する材料押出方式(Material extrusion)が挙げられる。また、他の方法としては、第2の材料の液滴を噴射し、選択的に硬化させ堆積させる材料噴射方式(Material jetting)などが挙げられる。
【0024】
第2の材料の溶融、硬化については、熱可塑性樹脂であれば、加熱溶融させた材料を所定の位置に所定量供給し、空冷によって硬化させることができる。また、熱硬化や光硬化性樹脂の場合、材料の液滴を噴射し、熱硬化性樹脂であれば加熱、光硬化性樹脂であれば紫外線等を照射することで、第2の材料を積層することができる。
【0025】
図2A、
図2B、
図2Cは、本実施形態の積層造形構造体1の製造方法を示す断面図である。
【0026】
図2Aでは、第1の材料と第2の材料とを同一の層内に造形した層の上に、第1の層3を積層する工程を示している。第1の層3は、第1の材料から成る第1の造形部5と、第1の造形部5に接続する第1の材料から成る第1の突出部6と、第2の材料による領域とを有する。
【0027】
図2Bでは、第1の層3の上に、第2の層4を積層する工程を示している。第2の層4は、第1の造形部5と、第1の突出部6に接続する第1の材料から成る第1の突起部7と、第2の材料による領域とを有する。
【0028】
図2Cでは、第2の層4の上にさらに層を積層することによって、第1の造形体2を有する積層造形構造体1が完成する工程を示している。第2の層4に積層される層は、第1の造形部5と第2の材料による領域とを有する。
【0029】
図3は、本実施形態の積層造形構造体において、複数の造形体を設けた構造を示す断面図である。複数の造形体を設けた積層造形構造体11は、
図1Aに示す積層造形構造体1に加えて、各層は、第1の材料より成り複数の層に跨る第2の造形体12を構成する第2の造形部15を有し、前記層の内の、第1の層3と第2の層4とは別の第3の層13は、第2の造形部15と、第1の材料より成り第2の造形部15に接続する第2の突出部16とを有し、前記層の内の、第1の層3と第2の層4とは別の第4の層14は、第3の層13に積層し、第2の造形部15と、第1の材料より成り第2の突出部16に接続する第2の突起部17とを有し、第3の層13と第4の層14との積層の組は、複数の層の内に1組以上設けられている。
【0030】
積層造形構造体11では、第2の突出部16は、第3の層13に存在し第2の造形部15に接続する構造とし、第2の突起部17は、第4の層14に存在し第2の突出部16に接続する構造とする。
【0031】
なお、
図3では、第2の突起部17は第2の突出部16の上側に設けられているが、第2の突出部16の下側に設けられていてもよい。また、第3の層13と第4の層14の組の中の第2の突出部16と第2の突起部17との組は、1組以上設けることができる。
【0032】
図3に示すように、第1の突出部6と第1の突起部7との組と、第2の突出部16と第2の突起部17との組とは、積層造形構造体11の積層方向で重なるように配置することができる。このような配置により、突出部や突起部同士の干渉を防ぎ、かつ、複数の造形体を高密度に配置することができる。
【0033】
なお、本実施形態では2種類の材料から成る積層造形構造体としたが、これには限定されず、任意の複数の材料から成る積層造形構造体とすることもできる。
【0034】
以上のように、本実施形態によれば、層を積層して造形される積層造形構造体において、熱膨張係数の異なる複数の材料を用いた場合の複合構造の強度を高めた積層造形構造体を実現できる。
(第2の実施形態)
図4Aは、本発明の第2の実施形態の積層造形構造体の第1の材料による造形構造を示す側面図である。
図4Bは、本実施形態の積層造形構造体の第1の材料による造形構造を示す、
図4AのB−B’方向からの上面図である。
【0035】
本実施形態の積層造形構造体の構造が、第1の実施形態の積層造形構造体1と異なるのは、第1の突出部6aが第1の造形部5の外周を囲む構造であることである。その他の構造は、第1の実施形態の積層造形構造体1と同じである。また、本実施形態においても、
図3に示した第1の実施形態の積層造形構造体11と同様に、複数の造形体を高密度に配置することができる。
【0036】
本実施形態によれば、層を積層して造形される積層造形構造体において、熱膨張係数の異なる複数の材料を用いた場合の複合構造の強度を高めた積層造形構造体を実現できる。
(第3の実施形態)
図5Aは、本発明の第3の実施形態の積層造形構造体の第1の材料による造形構造を示す側面図である。
図5Bは、本実施形態の積層造形構造体の第1の材料による造形構造を示す、
図5AのC−C’方向からの下面図である。
【0037】
本実施形態の積層造形構造体の構造が、第1の実施形態の積層造形構造体1と異なるのは、第2の層4に積層する第5の層18が、第1の材料より成り第1の突起部7に接続するフック部8を有し、フック部8は第1の突起部7よりも幅が広い構造であることである。幅の方向は、例えば
図5Aに示すように、紙面の左右方向での幅とすることができるが、これには限定されない。その他の構造は、第1の実施形態の積層造形構造体1と同じである。また、本実施形態においても、
図3に示した第1の実施形態の積層造形構造体11と同様に、複数の造形体を高密度に配置することができる。
【0038】
本実施形態によれば、層を積層して造形される積層造形構造体において、熱膨張係数の異なる複数の材料を用いた場合の複合構造の強度を高めた積層造形構造体を実現できる。
(第4の実施形態)
図6Aは、本発明の第4の実施形態の積層造形構造体の第1の材料による造形構造を示す側面図である。
図6Bは、本実施形態の積層造形構造体の第1の材料による造形構造を示す、
図6AのD−D’方向からの上面図である。
【0039】
本実施形態の積層造形構造体の構造が、第1の実施形態の積層造形構造体1と異なるのは、本実施形態の積層造形構造体では、第1の層3bが、第1の造形部5と、第1の材料より成り第1の造形部5に接続する第1の突出部6と、第1の材料より成り第1の突出部6に接続する第1の突起部7aとを有することである。また、第2の層4は設けられていなくてもよい。その他の構造は、第1の実施形態の積層造形構造体1と同じである。また、本実施形態においても、
図3に示した第1の実施形態の積層造形構造体11と同様に、複数の造形体を高密度に配置することができる。
【0040】
本実施形態によれば、層を積層して造形される積層造形構造体において、熱膨張係数の異なる複数の材料を用いた場合の複合構造の強度を高めた積層造形構造体を実現できる。
(第5の実施形態)
図7Aは、本発明の第5の実施形態の積層造形構造体の構造を示す断面図である。
図7Bは、本実施形態の積層造形構造体の構造を示す、
図7AのE−E’方向からの下面図である。
図7Cは、本実施形態の積層造形構造体の構造を示す、
図7AのF−F’方向からの上面図である。
【0041】
本実施形態の積層造形構造体は、第1の材料と第2の材料とを同一の層内に造形した層を複数有する積層造形構造体において、前記層は、前記第1の材料より成り複数の前記層に跨る第1の造形体2aを構成する第1の造形部5aを有し、前記層の内の第1の層3aは、前記第1の造形部5aと、前記第1の造形部5aに接続する第1の突出部9とを有し、前記層の内の第2の層4aは、前記第1の層3aに積層し、前記第1の造形部5aと、前記第1の突出部9に接続する第1の突起部10とを有し、前記第1の層3aと前記第2の層4aとの積層の組は、複数の前記層の内に1組以上設けられている。前記第1の突出部9と前記第1の突起部10とは、前記第2の材料から成る。
【0042】
上記の構造とすることで、第1の材料から成る第1の造形体2aは、第1の造形体2aに第2の材料から成る第1の突出部9と第1の突起部10とが嵌まり込むことによって、第2の材料の領域と強固に密着することができる。よって、第1の材料と第2の材料の熱膨張係数の違いにより、第1の材料と第2の材料の接合界面に応力が発生しても、界面剥離の発生が抑制される。
【0043】
なお、
図7Aでは、第1の突起部10は第1の突出部9の上側に設けられているが、第1の突出部9の下側に設けられていてもよい。また、第1の層3aと第2の層4aの組の中の第1の突出部9と第1の突起部10との組は、1組以上設けることができる。例えば、
図7Bと
図7Cでは4組の場合を示しているが、これには限定されない。
【0044】
本実施形態によれば、層を積層して造形される積層造形構造体において、熱膨張係数の異なる複数の材料を用いた場合の複合構造の強度を高めた積層造形構造体を実現できる。
【0045】
本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものである。
【符号の説明】
【0046】
1、11 積層造形構造体
2 第1の造形体
3、3a、3b 第1の層
4、4a 第2の層
5、5a 第1の造形部
6、6a、9 第1の突出部
7、7a、10 第1の突起部
8 フック部
12 第2の造形体
13 第3の層
14 第4の層
15 第2の造形部
16 第2の突出部
17 第2の突起部
18 第5の層