(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。第1実施形態に係るプロジェクター1は、撮像部を備える。プロジェクター1は、後述する撮像中心を移動させることにより、当該撮像部により撮像可能な領域を移動させる。第1実施形態では、この撮像中心を移動させる方法について、いくつかの例を説明する。
【0025】
<第1実施形態の例1>
図1は、第1実施形態の例1に係るプロジェクター1の使用状況の一例を示す図である。第1実施形態の例1では、プロジェクター1が1台の撮像部10を備える場合について説明する。この一例におけるプロジェクター1は、
図1に示すようにテーブルTB上に設置される。なお、プロジェクター1は、テーブルTBに代えて、天井や床面、壁面等のプロジェクター1を設置可能な他の場所に設置されてもよい。
【0026】
プロジェクター1は、投写レンズから投写画像を投写する。また、プロジェクター1は、スクリーンSCに投写画像を投写する。スクリーンSCは、プロジェクター1が投写画像を投写するために用いられる。なお、プロジェクター1は、投写画像をスクリーンSCに投写する構成に代えて、壁面や床面、テーブルの面上等の他の面に投写画像を投写する構成であってもよい。また、プロジェクター1は、凹凸を有する物体の表面に投写画像を投写する構成であってもよい。
【0027】
また、プロジェクター1は、レンズシフト機能を有する。レンズシフト機能とは、プロジェクター1が投写画像を投写するために備えるレンズを光軸に垂直な方向に移動する機能である。以下では、説明の便宜上、プロジェクター1が投写画像を投写するために備えるレンズを、投写レンズと称して説明する。投写レンズを移動するとは、この一例において、投写レンズの中心の位置を変更することを示す。
【0028】
投写レンズが移動すると、プロジェクター1が投写レンズから投写した投写画像の位置がずれる。すなわち、プロジェクター1は、ユーザーから受け付けた操作に基づいてレンズシフト機能により投写レンズを移動し、その結果として、スクリーンSCに投写した投写画像の位置をずらす。この一例において、何らかの画像Zの位置とは、画像Zの中心の位置を示す。例えば、投写画像の位置とは、投写画像の中心の位置を示す。なお、画像Zの位置は、これに代えて、画像Z内の他の位置であってもよい。
【0029】
以下では、説明の便宜上、プロジェクター1がレンズシフト機能により投写画像を投写することが可能な領域の全体を、投写可能領域PAと称して説明する。
【0030】
図1において、プロジェクター1は、スクリーンSCに投写画像P1を投写している。また、プロジェクター1は、ユーザーから受け付けた操作に基づいてレンズシフト機能により、投写可能領域PA内におけるユーザーが所望する位置に投写画像P1を投写している。なお、投写可能領域PAは、投写面の一例である。
【0031】
また、プロジェクター1は、この一例において、1台の撮像部10を備える。プロジェクター1は、投写可能領域PAの少なくとも一部を含む領域を撮像部10により撮像する。以下では、説明の便宜上、撮像部10が撮像可能な当該領域を撮像可能領域CAと称して説明する。
【0032】
撮像部10は、撮像中心を移動させるための移動機構を備える。撮像中心とは、この一例において、撮像部10の撮像可能範囲CAの中心を示す。以下では、説明の便宜上、撮像部10が備えるレンズを撮像レンズと称して説明する。移動機構は、この一例において、撮像部10の位置や姿勢を変化させることによって撮像中心を移動する。移動機構が撮像中心を移動することにより、撮像可能領域CAが変更される。
【0033】
なお、撮像部10の姿勢は、3つの座標軸それぞれの方向によって表され、撮像部10の位置は、それら座標軸の原点の位置によって表される。この一例において、当該座標軸のうちのZ軸の方向は、スクリーンSCに垂直な方向とする。また、当該座標軸のうちのX軸の方向は、当該Z軸に直交する方向であり、例えば、水平方向とする。また、当該座標軸のうちのY軸の方向は、当該Z軸及びX軸の両方に直交する方向であり、例えば、鉛直方向とする。
【0034】
本実施形態では、撮像部10が備える移動機構が、撮像部10を移動させることによって撮像中心を移動する場合について説明する。撮像部10を移動させるとは、撮像部10の位置や姿勢(向き)を変更することを示す。なお、撮像部10が備える移動機構は、他の方法によって撮像中心を移動させる構成であってもよい。
【0035】
以下では、投写された投写画像がレンズシフト機能等によって撮像可能領域CAから一部又は全部がはみ出している場合において、プロジェクター1が撮像可能領域CAに投写画像の全体が含まれるように撮像可能領域CAを移動する構成及び方法の一例について詳しく説明する。
【0036】
概略的には、プロジェクター1は、投写可能領域PAにパターン画像を投写する。プロジェクター1は、投写したパターン画像を、移動機構101により撮像中心を移動しながら撮像部10により撮像可能領域CAを撮像する。この際、プロジェクター1は、撮像部10が撮像した撮像画像に占めるパターン画像の割合が所定条件を満たすように移動機構101により撮像中心を移動する。そして、プロジェクター1は、例えば、投写可能領域PAに投写画像P1を投写し、当該割合が所定条件を満たす状態で撮像部10により撮像された投写画像P1を含む撮像画像に基づいて処理を行う。
【0037】
これにより、プロジェクター1は、投写画像P1の状態に応じて適した撮像画像に基づく処理を行うことができる。なお、投写画像P1の状態は、投写画像P1の全体が撮像可能領域CAの内側に含まれている状態と、投写画像P1の全体が撮像可能領域CAの内側に含まれていない状態のいずれかによって表される。また、適した撮像画像とは、この一例において、投写画像P1の全体が含まれた撮像画像を示す。また、投写画像P1の状態に応じて適した画像に基づく処理とは、例えば、画質調整や、スクリーンフィット(枠補正)、自動台形補正、インタラクティブ操作に係る処理等である。インタラクティブ操作に係る処理とは、例えば、撮像画像からの指示体の位置の検出等である。なお、上記の所定条件については、後述する。
【0038】
ここで、パターン画像とは、例えば、ドットパターンが描画された画像を示す。なお、パターン画像は、これに代えて、チェッカーパターン等の図形や模様が所定間隔で繰り返し描画された画像であってもよい。また、パターン画像は、図形や模様が所定間隔で繰り返し描画された画像に代えて、白色画像等の単一色が描画された画像であってもよい。
【0039】
ここで、
図2を参照して、移動機構による撮像部10の移動について説明する。
図2は、移動機構により撮像部10が移動する様子の一例を示す図である。
図2に示したように、この一例におけるプロジェクター1には、十字型の穴部が設けられている。なお、当該穴部の形状は、十字型に代えて、円形型や多角形型等の他の形状であってもよい。撮像部10は、当該穴部の内部から投写可能領域PAの少なくとも一部を含む領域が撮像可能領域CAとなる位置に設けられている。
【0040】
また、移動機構は、
図2に示した矢印が示す方向に撮像部10を傾けることによって、撮像可能領域CAを移動する。なお、穴部の形状が他の形状であった場合も、移動機構は、穴部の形状に応じた方向に撮像部10を傾ける。例えば、穴部の形状が円形型であった場合、移動機構は、当該円形型の内部において移動可能なすべての方向に撮像部10を傾ける。移動機構により撮像部10が傾いた場合、撮像部10の傾きに伴って撮像中心が移動するため、
図2に示した撮像中心を通る光軸を表す線CLが延びる方向が変化する。すなわち、移動機構は、撮像部10の向き(姿勢)を変化させることにより撮像中心を移動し、その結果、撮像可能領域CAを移動する。
【0041】
ここで、
図3を参照して、撮像中心が移動することによる撮像可能領域CAの移動について説明する。
図3は、スクリーンSC上において投写画像P1が撮像可能領域CAからはみ出している様子の一例を示す図である。
図3において、撮像可能領域CAは、スクリーンSC内における点線で囲まれた領域により表される。また、投写可能領域PAは、スクリーンSC内における実線で囲まれた領域により表される。また、二点鎖線の円C1は、撮像可能領域CAの中心(撮像中心)の位置を示す。
【0042】
図3に示したように、投写画像P1が撮像可能領域CAからはみ出している場合、プロジェクター1は、撮像可能領域CAの内側に投写画像P1の全体が含まれる状態になるまで移動機構によって撮像部10の撮像中心を移動する。例えば、プロジェクター1は、撮像可能領域CAを、
図3に示した二点鎖線で囲まれた領域CA1まで移動する。以下では、説明の便宜上、領域CA1を撮像中心移動後の撮像可能領域CA1と称して説明する。
【0043】
すなわち、プロジェクター1は、撮像中心を移動することにより、撮像可能領域CAの位置を、撮像中心移動後の撮像可能領域CA1の位置まで移動する。なお、二点鎖線の円C2は、撮像中心移動後の撮像可能領域CA1の中心(撮像中心)の位置を示す。これにより、プロジェクター1は、投写画像P1を撮像中心移動後の撮像可能領域CA1の内側に含めることができ、その結果、投写画像P1の全体を撮像部10により撮像することができる。
【0044】
次に、
図4を参照して、第1実施形態の例1に係るプロジェクター1の構成について説明する。
図4は、第1実施形態の例1に係るプロジェクター1の構成例を示す図である。プロジェクター1は、撮像部10と、記憶部12と、入力受付部13と、制御部16と、光源制御部17と、光源18と、光変調装置19と、レンズ部20と、画像入力部21と、画像処理部22と、OSD(On Screen Display)処理部23と、光変調装置駆動部24と、加速度センサー25を備える。
【0045】
撮像部10は、例えば、集光された光を電気信号に変換する撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を備えたカメラである。また、撮像部10は、移動機構101を内蔵する。
移動機構101は、制御部16からの要求に応じて、撮像部10を移動することにより、撮像中心を移動する。なお、移動機構101は、撮像部10に内蔵される構成に代えて、撮像部10の外部に備えられる構成であってもよい。移動機構101は、移動部の一例である。
記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)やレジスター、ROM(Read Only Memory)、あるいは、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等を含む。記憶部12は、プロジェクター1が処理する各種情報やプログラム等を格納する。
【0046】
入力受付部13は、ユーザーからの指示等を受け付ける各種操作ボタンや操作キー、タッチパネル等である。なお、入力受付部13は、プロジェクター1に備えられた(内蔵された)ものに限らず、ユーザーからの入力を受け付ける各種操作ボタンや操作キー、タッチパネル等を備えてユーザーから受け付けた入力を表す情報を無線又は有線で送信するリモートコントローラー等であってもよい。その場合、プロジェクター1は、リモートコントローラーから送信された情報を受信する受信部を備えるものとする。
【0047】
制御部16は、プロジェクター1の全体を制御する。また、制御部16は、入力受付部13から受け付けられたユーザーからの操作に基づいて記憶部12から画像を読み込み、読み込んだ画像を投写画像として画像処理部22に出力する。また、制御部16は、入力受付部13から受け付けられたユーザーからの操作に基づいて、投写画像に重畳するメニュー画像やメッセージ画像等のOSD画像を投写画像に重畳させた画像情報を生成させる。また、制御部16は、撮像部10が撮像した撮像画像を撮像部10から取得する。
【0048】
また、制御部16は、撮像制御部161と、撮像中心移動制御部163と、評価値検出部165と、判定部167を備える。制御部16が備える機能部のうち一部又は全部は、図示しないFPGA(Field-Programmable Gate Array)を用いて構成されているが、これに代えて、図示しないCPU(Central Processing Unit)が制御部16により記憶される各種プログラムを読み込み、読み込んだプログラムを実行することで構成されてもよい。また、制御部16が備える機能部のうち一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0049】
制御部16が備える撮像制御部161と、撮像中心移動制御部163と、評価値検出部165と、判定部167は、連携して撮像位置設定処理を行う。
撮像制御部161は、撮像部10に撮像可能領域CAを撮像させる。また、撮像制御部161は、プロジェクター1が動いた際の加速度を加速度センサー25が検出した場合、加速度センサー25から当該加速度を示す情報を取得する。なお、撮像制御部161は、取得した加速度が所定閾値を超えた場合、当該加速度を示す情報を取得したことをトリガーとして撮像部10に撮像可能領域CAを撮像させるようにしてもよい。この場合、プロジェクター1は、プロジェクター1が動かされたことをトリガーとして例えば、自動台形補正等の処理を行う。
【0050】
撮像中心移動制御部163は、移動機構101に撮像中心を移動させる。また、撮像中心移動制御部163は、移動機構101に撮像中心を設定(固定)する。撮像中心を設定するとは、移動機構101が撮像中心を移動させないようにすることを示す。
【0051】
評価値検出部165は、撮像部10から取得した撮像画像に基づいて評価値を検出する。評価値とは、撮像画像に占めるパターン画像の割合を表す値である。
判定部167は、撮像画像に占めるパターン画像の割合が所定条件を満たすか否かを判定する。
【0052】
光源制御部17は、光源18を発光させる。
光源18は、例えば、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプである。光源18は、さらに、光源ランプが放射した光を光変調装置19側に反射するリフレクターを含んでいる。なお、光源18は、光源ランプに限られず、LED(Light Emitting Diode)光源やレーザー光源等を用いてもよい。
【0053】
光変調装置19は、一対の透明基板間に液晶が封入された、光の三原色であるRGB(Red、Green、Blue)それぞれに対応した透過型の液晶パネルである。なお、光変調装置19は、透過型の液晶パネルに限らず、反射型の液晶パネルでもよく、又は、液晶に限らず、DMD(Digital Mirror Device)等であってもよい。
レンズ部20は、液晶ライトバルブ14から入射した画像を映し出す光を、スクリーンSC等に拡大投写するための投写光学系としてのレンズを含む。レンズ部20に含まれる当該レンズは、上述の投写レンズを示す。
【0054】
画像入力部21は、各種画像再生装置から接続されるケーブルの各規格に対応した複数の画像入力端子を含み、画像入力端子から入力された画像情報を画像処理部22に出力する。
画像処理部22は、画像入力部21から入力された画像情報を、RGB毎に、光変調装置19の各画素の階調を表す画像情報に変換する。そして、画像処理部22は、変換した画像情報を、OSD処理部23に出力する。
【0055】
OSD処理部23は、制御部16からの要求があった場合に、画像処理部22から入力される画像情報に、メニュー画像やメッセージ画像等のOSD画像を重畳して表示するための処理を行う。OSD処理部23は、図示しないOSDメモリーを備えており、OSD画像を生成するための図形やフォント等を表すOSD画像情報を記憶している。OSD処理部23は、OSD画像を重畳した画像情報を、光変調装置駆動部24に出力し、レンズ部20からスクリーンSCに投写させる。
【0056】
光変調装置駆動部24は、OSD処理部23から入力される画像情報に応じた駆動電圧を、光変調装置19の各画素に印加(駆動)する。この印加によって、光変調装置駆動部24は、光源18から光変調装置19へ入射した光を、画像情報に応じた画像を映し出す光として、光変調装置19に形成させる。
加速度センサー25は、プロジェクター1が動いた際に発生する加速度を検出する。加速度センサー25は、当該加速度を検出した場合、当該加速度を示す情報を撮像制御部161に出力する。
【0057】
次に、
図5を参照して、制御部16が行う撮像位置設定処理について説明する。
図5は、制御部16が行う撮像位置設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、プロジェクター1は、入力受付部13から受け付けられたユーザーからの操作に基づいて、スクリーンSC上の投写可能領域PA内のユーザーが所望する位置にパターン画像を投写する(ステップS100)。以下では、ユーザーが所望する位置に投写されたパターン画像が、ステップS100の時点における撮像可能領域CAからはみ出ている場合について説明する。
【0058】
次に、撮像制御部161は、撮像部10に撮像可能領域CAを撮像させる(ステップS110)。そして、制御部16は、撮像部10から撮像画像を取得する。次に、判定部167は、ステップS110において撮像部10から取得した撮像画像にパターン画像の少なくとも一部が撮像されているか否かを判定する(ステップS120)。なお、判定部167は、パターンマッチングによってこの判定を行うとするが、これに代えて、他の手法によってこの判定を行う構成であってもよい。
【0059】
撮像画像にパターン画像の少なくとも一部が撮像されていないと判定部167が判定した場合(ステップS120−No)、撮像中心移動制御部163は、移動機構101により撮像中心を所定方向に所定移動量だけ移動させる(ステップS130)。その後、撮像制御部161は、ステップS110に遷移して再び撮像可能領域CAを撮像部10に撮像させる。
【0060】
所定方向は、例えば、スクリーンSCに向かって右方向であるが、これに代えて、左方向であってもよく、上方向であってもよく、下方向であってもよい。このようなステップS110からステップS130までの処理は、撮像画像にパターン画像が撮像されていない場合に、撮像可能領域CAにパターン画像の少なくとも一部が含まれるように撮像中心を移動させる処理である。
【0061】
従って、撮像中心移動制御部163は、移動機構101により撮像中心を所定方向の移動可能な限界点にまで移動させてもパターン画像の一部が撮像されない場合、移動機構101により撮像中心を所定方向とは異なる他の方向に移動させる。このような移動と撮像を繰り返すことにより、制御部16は、撮像画像にパターン画像の一部が撮像されるまで撮像中心を移動させる。
【0062】
一方、撮像画像にパターン画像の少なくとも一部が撮像されていると判定部167が判定した場合(ステップS120−Yes)、制御部16は、ステップS140からステップS170までの処理によって、評価値検出部165が検出する評価値が所定条件を満たすまで、繰り返し撮像中心を移動可能な複数の位置の一部又は全部のそれぞれに移動させる。制御部16は、移動させた当該複数の位置毎に撮像可能領域CAを撮像部10に撮像させる。そして、制御部16は、撮像部10が撮像した撮像画像から評価値を検出する。以下では、説明の便宜上、これらの評価値を繰り返し検出する処理を、評価値反復検出処理と称して説明する。
【0063】
すなわち、所定条件とは、評価値反復検出処理を終了させるための条件である。所定条件は、制御部16が評価値反復検出処理をどのように行うかによって様々なバリエーションが存在する。そのため、
図5では、所定条件についての具体例を挙げず、評価値反復検出処理の全体像を説明する。その後、
図6〜
図8において、所定条件のバリエーション毎の制御部16による評価値反復検出処理について説明する。
【0064】
ステップS120において、撮像画像にパターン画像の少なくとも一部が撮像されていると判定部167が判定した場合、評価値検出部165は、ステップS110において撮像部10から取得した撮像画像に基づいて評価値を検出する(ステップS140)。
【0065】
ここで、評価値検出部165による評価値の検出処理について説明する。この一例において、パターン画像にはドットパターンが描画されている。この場合、評価値は、撮像画像に含まれるパターン画像のドットの数である。評価値を検出するため、評価値検出部165は、撮像画像に撮像されたパターン画像内に含まれるドットを検出する。また、評価値検出部165は、検出したドットの数を評価値として検出する。
【0066】
なお、撮像画像に含まれるドットの数がゼロの場合、評価値は、撮像画像に占めるパターン画像の割合がゼロであることを表す。また、撮像画像に含まれるドットの数が、パターン画像に描画された全ドット数であった場合、評価値は、撮像画像に占めるパターン画像の割合が100%であることを表す。すなわち、評価値は、撮像画像に占めるパターン画像の割合を表す指標である。なお、パターン画像が単一色画像の場合、評価値は、例えば、撮像画像に撮像されたパターン画像の画素毎の輝度値や明度、彩度等の合計である。また、評価値検出部165は、ドットの数を評価値として検出する構成に代えて、検出したドットの数に基づいて撮像画像に占めるパターン画像の割合を算出する構成であってもよい。
【0067】
次に、判定部167は、ステップS140において評価値検出部165が検出した評価値が所定条件を満たすか否かを判定する(ステップS150)。評価値が所定条件を満たさないと判定した場合(ステップS150−No)、撮像中心移動制御部163は、移動機構101に撮像中心を移動させる(ステップS160)。以下では、説明の便宜上、撮像中心移動制御部163が移動機構101に撮像中心を移動させることを、撮像中心移動制御部163が撮像中心を移動させると称して説明する。
【0068】
ここで、撮像中心移動制御部163は、ステップS140において評価値検出部165が検出したドットに基づいて、撮像中心を移動させる方向を決定する。例えば、撮像中心移動制御部163は、撮像画像の中心から、撮像画像の4つの辺のうち、ドットが接している数が最も多い辺に向かう方向を、撮像中心を移動させる方向として決定する。なお、撮像中心移動制御部163は、これに代えて、他の方法によって撮像中心を移動させる方向を決定してもよい。
【0069】
撮像中心移動制御部163は、決定した方向に所定距離だけ撮像中心を移動させる。なお、所定距離は、撮像中心移動制御部163に予め記憶されているものとする。これにより、撮像中心移動制御部163は、撮像可能領域CAから更にパターン画像がはみ出してしまう方向に撮像中心を移動させてしまうことを抑制することができる。なお、ステップS160において、撮像中心移動制御部163は、予め決められた方向に撮像中心を移動させる構成であってもよい。また、ステップS160において決定された方向に撮像中心を移動させることができる限界位置に達している場合、撮像中心移動制御部163は、他の方向に撮像中心を移動させる。
【0070】
ステップS160の処理において撮像中心を移動させた後、撮像制御部161は、撮像可能領域CAを撮像部10に撮像させる(ステップ
S170)。そして、制御部16は、撮像部10から撮像画像を取得する。ステップS170における処理の後、評価値検出部165は、ステップS140に遷移し、ステップS170において撮像部10から取得した撮像画像に基づいて評価値を再び検出する。
【0071】
一方、評価値が所定条件を満たすと判定部167が判定した場合(ステップS150−Yes)、制御部16は、ステップS140からステップS170までの評価値反復検出処理を終了し、ステップS180に遷移する。評価値が所定条件を満たすと判定部167が判定した場合、撮像中心移動制御部163は、ステップS140において評価値検出部165が検出した1以上の評価値に基づいて、撮像中心を設定する位置を決定する。そして、撮像中心移動制御部163は、決定した位置に撮像中心を設定するように移動機構101を制御する(ステップS180)。撮像中心移動制御部163がステップS180において撮像中心が設定された撮像部10によって撮像した撮像画像は、すなわち、撮像画像に占めるパターン画像の割合が所定条件を満たす状態で撮像された撮像画像である。
【0072】
ここで、撮像中心移動制御部163が撮像中心を設定する位置を決定する処理について説明する。撮像中心移動制御部163は、ステップS140において評価値検出部165が検出した1以上の評価値に基づいて、撮像画像に占めるパターン画像の割合が所定値以上となる撮像画像が撮像された撮像中心の位置を特定する。そして、撮像中心移動制御部163は、特定した撮像中心の位置を、撮像中心を設定する位置として決定する。所定値は、撮像画像に占めるパターン画像の割合が所定値以上の場合に、パターン画像や投写画像P1等のプロジェクター1により投写された投写画像の全体が撮像可能領域CAに含まれるように予め決められる。なお、所定値についての具体例は、所定条件のバリエーション毎に異なるため、所定条件と同様に
図6〜
図8において説明する。
【0073】
このようにステップS100からステップS180までの処理によって、プロジェクター1は、評価値反復検出処理により検出された1以上の評価値に基づいて撮像画像に占めるパターン画像の割合が所定条件を満たす状態を実現することができる。当該処理の後、プロジェクター1は、例えば、投写画像P1をパターン画像に代えて投写する。そして、プロジェクター1は、撮像部10により撮像可能領域CAを撮像することにより、撮像画像に占める投写画像P1の割合を、所定条件を満たす状態にすることができる。プロジェクター1は、撮像された投写画像P1に基づいて、投写画像P1の状態に応じて適した画像に基づく処理を行うことができる。
【0074】
次に、
図6を参照して、所定条件のバリエーションの一例において制御部16が行う評価値反復検出処理について説明する。
図6は、所定条件のバリエーションの一例において制御部16が行う評価値反復検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図6におけるステップS100からステップS140までの処理は、
図5に示したステップS100からステップS140までの処理と同様の処理であるため説明を省略する。また、
図6におけるステップS160からステップS170までの処理は、
図5に示したステップS160からステップS170までの処理と同様の処理であるため説明を省略する。
【0075】
図6に示した例において、所定条件は、ステップS140において評価値検出部165が検出した評価値が所定閾値以上であることである。
すなわち、ステップS140の処理の後、判定部167は、ステップS140において評価値検出部165が検出した評価値が所定閾値以上であるか否かを判定する(ステップS250)。所定閾値とは、例えば、パターン画像に含まれる全ドット数であるが、これに代えて、当該全ドット数以下であり、1以上の整数である他の整数であってもよい。なお、評価値がドットの数ではなく、例えば、輝度値や明度等であった場合、所定閾値は、評価値が取り得る最大値以下の任意の実数でもよい。また、例えば、評価値が割合であった場合、所定閾値は、100%以下の任意の割合でもよい。以下では、一例として、所定閾値が評価値の取り得る最大値である場合について説明する。この場合、プロジェクター1は、評価値反復検出処理により検出された1以上の評価値に基づいて、パターン画像の全体を撮像可能領域CAの内側に含めることができる。
【0076】
評価値が所定閾値以上ではないと判定部167が判定した場合(ステップS250−No)、撮像中心移動制御部163は、ステップS160に遷移し、移動機構101に撮像中心を移動させる。一方、評価値が所定閾値以上であると判定部167が判定した場合(ステップS250−Yes)、撮像中心移動制御部163は、現在の撮像中心の位置を、撮像画像に占めるパターン画像の割合が所定値以上となる撮像画像が撮像された撮像中心の位置として特定する。撮像中心移動制御部163は、特定した撮像中心の位置を、撮像中心を設定する位置として決定し、決定した位置に撮像中心を設定する(ステップS280)。
【0077】
なお、
図6に示した例では、撮像中心移動制御部163がステップS140において評価値検出部165が検出した1以上の評価値に基づいて、撮像画像に占めるパターン画像の割合が所定値以上であるか否かを判定していない。これは、判定部167がステップS250においてすでに同様の判定を行っているためである。すなわち、
図6に示した例において、当該所定値とは、ステップS250における判定に用いられた所定閾値を示す。
【0078】
次に、
図7を参照して、所定条件のバリエーションの他の例において制御部16が行う評価値反復検出処理について説明する。
図7は、所定条件のバリエーションの他の例において制御部16が行う評価値反復検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図7におけるステップS100からステップS140までの処理は、
図5に示したステップS100からステップS140までの処理と同様の処理であるため説明を省略する。また、
図7におけるステップS160からステップS170までの処理は、
図5に示したステップS160からステップS170までの処理と同様の処理であるため説明を省略する。
【0079】
図7に示した例において、所定条件は、ステップS140において評価値検出部165が検出した1以上の評価値の数が、移動機構101により撮像中心が移動可能な位置の数と一致することである。換言すると、所定条件は、移動機構101により撮像中心が移動可能な全ての位置において撮像部10が撮像画像を撮像し、撮像された撮像画像に基づいて評価値検出部165が評価値を検出したことである。
【0080】
すなわち、ステップS140の処理の後、判定部167は、ステップS140において評価値検出部165が検出した1以上の評価値の数が、移動機構101により撮像中心が移動可能な位置の数と一致するか否かを判定する(ステップS350)。ステップS140において評価値検出部165が検出した1以上の評価値の数が、移動機構101により撮像中心が移動可能な位置の数と一致しないと判定部167が判定した場合(ステップS350−No)、撮像中心移動制御部163は、ステップS160に遷移し、撮像中心を移動させる。
【0081】
一方、ステップS140において評価値検出部165が検出した1以上の評価値の数が、移動機構101により撮像中心が移動可能な位置の数と一致すると判定部167が判定した場合(ステップS350−Yes)、撮像中心移動制御部163は、ステップS140において評価値検出部165が検出した1以上の評価値のうち、最も大きな評価値を特定する。撮像中心移動制御部163は、特定した評価値が検出された撮像画像を特定する。撮像中心移動制御部163は、特定した撮像画像を撮像した撮像中心の位置を特定する。撮像中心移動制御部163は、特定した撮像中心の位置を、撮像中心を設定する位置として決定し、決定した位置に撮像中心を設定する(ステップS380)。
【0082】
なお、
図7に示した例では、撮像中心移動制御部163がステップS140において評価値検出部165が検出した1以上の評価値に基づいて、最も大きな評価値を特定している。すなわち、
図7に示した例において、撮像画像に占めるパターン画像の割合が所定値以上であるか否かを判定する際の当該所定値とは、評価値が取り得る最大値を示す。
【0083】
次に、
図8を参照して、所定条件のバリエーションの更に他の例において制御部16が行う評価値反復検出処理について説明する。
図8は、所定条件のバリエーションの更に他の例において制御部16が行う評価値反復検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図8におけるステップS100からステップS140までの処理は、
図5に示したステップS100からステップS140までの処理と同様の処理であるため説明を省略する。また、
図8におけるステップS160からステップS170までの処理は、
図5に示したステップS160からステップS170までの処理と同様の処理であるため説明を省略する。
【0084】
図8に示した例において、所定条件は、今回のステップS140において評価値検出部165が検出した評価値が、前回のステップS140において評価値検出部165が検出した評価値未満であることである。
【0085】
すなわち、ステップS140の処理の後、判定部167は、今回のステップS140において評価値検出部165が検出した評価値が、前回のステップS140において評価値検出部165が検出した評価値未満であるか否かを判定する(ステップS450)。今回のステップS140において評価値検出部165が検出した評価値が、前回のステップS140において評価値検出部165が検出した評価値以上であると判定部167が判定した場合(ステップS450−No)、撮像中心移動制御部163は、ステップS160に遷移し、移動機構101に撮像中心を移動させる。
【0086】
一方、今回のステップS140において評価値検出部165が検出した評価値が、前回のステップS140において評価値検出部165が検出した評価値未満であると判定部167が判定した場合(ステップS450−Yes)、撮像中心移動制御部163は、ステップS140において評価値検出部165が検出した1以上の評価値のうち、前回のステップS140において評価値検出部165が検出した評価値を特定する。撮像中心移動制御部163は、特定した評価値が検出された撮像画像を特定する。撮像中心移動制御部163は、特定した撮像画像を撮像した撮像中心の位置を特定する。撮像中心移動制御部163は、特定した撮像中心の位置を、撮像中心を設定する位置として決定し、決定した位置に撮像中心を設定する(ステップS480)。
【0087】
なお、
図8に示した例では、撮像中心移動制御部163がステップS140において評価値検出部165が検出した1以上の評価値に基づいて、前回のステップS140において評価値検出部165が検出した評価値を特定している。すなわち、
図8に示した例において、撮像画像に占めるパターン画像の割合が所定値以上であるか否かを判定する際の当該所定値とは、前回のステップS
140において評価値検出部165が検出した評価値を示す。
【0088】
なお、撮像中心移動制御部163は、撮像中心の位置毎に撮像部10が撮像した撮像画像のそれぞれからパターンマッチングによって、各撮像画像に占めるパターン画像の割合を検出し、検出した当該割合が所定値以上である撮像画像を検出する構成であってもよい。この場合、撮像中心移動制御部163は、検出した撮像画像を撮像した撮像中心の位置を特定する。そして、撮像中心移動制御部163は、特定した撮像中心の位置を、撮像中心を設定する位置として決定し、決定した位置に撮像中心を設定する。
【0089】
以上、説明したように、実施形態に係るプロジェクター1は、撮像中心を移動させるために移動機構101によって撮像部10を移動させる。そして、プロジェクター1は、移動機構101により撮像中心を移動させながら撮像部10に撮像画像を撮像させ、撮像画像に占めるパターン画像の割合が所定条件を満たすように移動機構101により撮像部10を移動させる。プロジェクター1は、撮像画像に占めるパターン画像の割合が所定条件を満たす状態で撮像された撮像画像に基づいて処理を行う。これにより、投写画像の状態に応じて適した画像に基づく処理を行うことができる。
【0090】
また、プロジェクター1は、複数の所定の図形(例えば、ドットパターン)を含むパターン画像を投写しているときに、移動機構101により撮像中心を移動させながら撮像部10に撮像画像を撮像させ、撮像画像に含まれる当該図形の数が所定条件を満たすように移動機構101を制御する。これにより、プロジェクター1は、撮像画像に含まれる図形の数に基づいて、撮像部10により撮像可能な領域を移動させることができる。
【0091】
また、プロジェクター1は、撮像画像に占めるパターン画像の割合を、撮像画像に含まれるパターン画像に描画されたドットの数によって算出する。これにより、プロジェクター1は、ドットパターンが描画されたパターン画像の状態に応じて適した画像に基づく処理を行う。
【0092】
また、プロジェクター1は、撮像画像に占める単一色画像の割合を、撮像画像に含まれる明るさを示す情報(輝度値や明度値等)の合計によって算出する。これにより、プロジェクター1は、単一色画像の状態に応じて適した画像に基づく処理を行う。
【0093】
また、プロジェクター1は、撮像画像に占めるパターン画像の割合が所定値以上になったか否かをパターンマッチングによって判定する。これにより、プロジェクター1は、パターンマッチングを用いて、パターン画像の状態に応じて適した画像に基づく処理を行うことができる。
【0094】
<第1実施形態の例2>
以下、本発明の第1実施形態の例2について説明する。第1実施形態の例2では、プロジェクター1がN台の撮像部10を備える場合について説明する。
図9は、第1実施形態の例2に係るプロジェクター1の構成例を示す図である。第1実施形態の例2に係るプロジェクター1は、N台の撮像部10と、記憶部12と、入力受付部13と、制御部16aと、光源制御部17と、光源18と、光変調装置19と、レンズ部20と、画像入力部21と、画像処理部22と、OSD処理部23と、光変調装置駆動部24と、加速度センサー25を備える。ここで、Nは、2以上の整数である。なお、第1実施形態の例2では、第1実施形態の例1と同様な構成部には、同じ符号を付して説明を省略する。
【0095】
N台の撮像部10はそれぞれ、移動機構101を備える。なお、N台の撮像部10のうちの一部又は全部は、互いにレンズ特性(レンズサイズ、画角、フォーカス範囲、F値、透過率等)の異なる撮像レンズを備えていてもよく、互いにレンズ特性の同じ撮像レンズを備えていてもよい。また、N台の撮像部10のうちの一部又は全部は、互いに形状や大きさが異なっていてもよく、互いに形状や大きさが同じであってもよい。また、N台の撮像部100のうちの一部又は全部は、互いにセンサー特性(センサーサイズ、解像度、カラーフィルター等)の異なる撮像素子を備えていてもよく、互いにセンサー特性の同じ撮像素子を備えていてもよい。
【0096】
この一例において、N台の撮像部10のそれぞれは、撮像中心を移動させることにより撮像可能な領域の全体が完全には重ならないようにプロジェクター1に設けられている場合について説明する。すなわち、移動機構101が撮像中心を移動した場合であっても、例えば、ある撮像部10の撮像可能領域CAと、他の撮像部10の撮像可能領域CAとは、一部又は全部が重ならない。
【0097】
このようにすることで、ある撮像部10の撮像可能領域CAに投写画像P1の一部すらも含まれていない場合、プロジェクター1は、撮像可能領域CAに投写画像P1の一部が含まれている他の撮像部10を選択し、選択した撮像部10によって第1実施形態の例1において説明した処理と同様の処理を行うことができる。その結果、第1実施形態の例2に係るプロジェクター1は、第1実施形態の例1に係るプロジェクター1と同様の効果を得ることができる。
【0098】
制御部16aは、撮像制御部161と、撮像部選択部162と、撮像中心移動制御部163と、評価値検出部165と、判定部167を備える。
撮像部選択部162は、評価値検出部165が検出した評価値に基づいて、N台の撮像部10から所定選択条件を満たす撮像部10を選択する。所定選択条件とは、例えば、評価値が最も高いことである。なお、所定選択条件は、これに代えて、他の条件であってもよい。
【0099】
ここで、
図10を参照して、制御部16aがN台の撮像部10のうちから所定選択条件を満たす撮像部10を選択する処理について説明する。
図10は、制御部16aが所定選択条件を満たす撮像部10を用いて行う評価値反復検出処理の流れの一例を示す図である。なお、
図10におけるステップS140からステップS180までの処理は、
図5に示したステップS140の処理及びステップS180までの処理と同様の処理であるため説明を省略する。
【0100】
プロジェクター1は、入力受付部13から受け付けたユーザーからの操作に基づいて、投写可能領域PA内におけるユーザーが所望する位置にパターン画像を投写する(ステップS500)。次に、制御部16aは、N台の撮像部10から1台ずつ撮像部10を選択し、選択した撮像部10を用いてステップS520からステップS530までの処理を繰り返し行う(ステップS510)。
【0101】
撮像制御部161は、ステップS510において選択された撮像部10の撮像中心を所定の基準位置(例えば、可動範囲内の中央)に設定し、撮像可能領域CAを撮像させる(ステップS520)。そして、制御部16aは、撮像部10から撮像画像を取得する。次に、評価値検出部165は、ステップS520において取得した撮像画像に基づいて評価値を検出する(ステップS530)。
このように、ステップS520からステップS530までの処理を繰り返すことにより、制御部16aは、N台の撮像部10毎に、現在の撮像中心の位置において撮像した撮像画像を撮像部10から取得することができる。
【0102】
ステップS520からステップS530までの繰り返し処理が終了した後、撮像部選択部162は、N台の撮像部10から所定選択条件を満たす撮像部10を選択する(ステップS540)。ここで、所定選択条件とは、撮像部10により撮像された撮像画像に基づいて検出された評価値が最大であることである。
【0103】
すなわち、撮像部選択部162は、ステップS530において検出された1以上の評価値から、最大の評価値を特定する。撮像部選択部162は、特定した評価値が検出された撮像画像を特定する。そして、撮像部選択部162は、特定した撮像画像を撮像した撮像部10を特定する。撮像部選択部162は、特定した撮像部10を、所定選択条件を満たす撮像部10として選択する。この選択された撮像部10は、ステップS140からステップS180までの処理において用いる撮像部10として選択する(ステップS540)。
【0104】
以上、説明したように、第1実施形態の例2に係るプロジェクター1は、複数の撮像部10を備える。プロジェクター1は、これら複数の撮像部10の中から、所定選択条件を満たす撮像部10を選択する。そして、プロジェクター1は、選択された撮像部10を用いて評価値反復検出処理を行う。これにより、プロジェクター1は、第1実施形態の例1と同様の効果を得ることができる。
【0105】
<第1実施形態の例3−1>
以下、本発明の第1実施形態の例3−1について図面を参照して説明する。第1実施形態の例3−1では、プロジェクター1が、撮像部10が備える撮像レンズを移動させることにより、撮像中心を移動させる場合の一例について説明する。より具体的には、第1実施形態の例3−1では、撮像中心移動制御部163が、撮像部10を移動させることにより撮像中心を移動させる構成に代えて、撮像部10が備える撮像レンズと、撮像部10が備える撮像素子との相対的な位置関係を変化(移動)させることにより撮像中心を移動させる。これにより、プロジェクター1は、撮像可能領域CAを移動することができる。
【0106】
ここで、
図11及び
図12を参照して、この一例においてプロジェクター1が撮像可能領域CAを移動する原理について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、撮像部10が備える撮像レンズを撮像レンズL1と称して説明する。また、以下では、撮像部10が備える撮像素子を撮像素子S1と称して説明する。
図11は、撮像レンズL1と撮像素子S1の相対的な位置関係と、撮像素子S1により撮像された撮像画像とを例示する図である。
【0107】
以下では、一例として、撮像レンズL1の形状が、光軸上から撮像レンズL1を見た場合に、光軸周りの回転に対して対称な円形状である凸型レンズの場合について説明する。また、以下では、撮像素子S1は、光を受光して電気信号に変換する複数の受光素子を含み、当該受光素子が長方形の枠内に格子状に並べて設けられている場合について説明する。
【0108】
図11(A)には、撮像レンズL1と撮像素子S1の相対的な位置関係の一例を示した。
図11(A)において、一点鎖線C3は、撮像レンズL1の中心を通る光軸C3を示す。また、一点鎖線C4は、撮像素子S1の中心を通り、撮像素子S1の撮像面に対して直交する撮像素子S1の中心軸C4を示す。
図11(A)に示したように、撮像レンズの光軸C3は、撮像素子の中心軸C4と一致している。
【0109】
光軸C3と中心軸C4が一致している状況下において、プロジェクター1が投写画像X1を投写可能領域PAに投写した場合を例に挙げて説明する。投写画像X1は、
図11(A)において、矢印X1によって表される。また、
図11(A)に示した点線の矢印Y1は、矢印X1の先端の位置、又は後述する矢印X2の後端の位置から反射された光が撮像レンズL1を通過した際の模式的な光路Y1を示す。また、
図11(A)に示した点線の矢印Y2は、矢印X2の先端の位置から反射された光が撮像レンズL1を通過した際の模式的な光路Y2を示す。
【0110】
図11(A)に示したように、矢印X1の先端の位置から反射された光は、光路Y1を通って撮像素子S1の撮像面に到達し、受光される。また、矢印X1の後端の位置から反射された光は、光軸C3に沿った光路を通って撮像素子S1の撮像面に到達し、受光される。
【0111】
すなわち、矢印X1は、撮像素子S1により
図11(B)に示したように撮像される。
図11(B)には、矢印X1が撮像素子S1によって撮像された撮像画像P3の一例を示した。
図11(B)において、一点鎖線C5は、撮像画像P3の中心を通る中心線C5を示す。
図11(B)に示したように、撮像画像P3には、矢印X1が矢印PX1として撮像される。また、撮像画像P3には、矢印PX1の全体が含まれている。
【0112】
ここで、プロジェクター1がレンズシフト機能によって投写画像の位置を移動した場合を考える。
図11(A)において、矢印X2は、レンズシフト機能によって位置が移動した後の矢印X1を示す。
図11(A)に示したように、矢印X2の先端の位置から反射された光は、光路Y2を通るため、撮像素子S1の撮像面に到達せず、受光されない。一方、矢印X2の後端の位置から反射された光は、矢印X1の先端の位置から反射された光と同様に、光路Y1を通って撮像素子S1の撮像面に到達して受光される。
【0113】
すなわち、矢印X2は、撮像素子S1により
図11(C)に示したように撮像される。
図11(C)には、矢印X2が撮像素子S1によって撮像された撮像画像P4の一例を示した。
図11(C)において、一点鎖線C6は、撮像画像P4の中心を通る中心線C6を示す。
図11(C)に示したように、撮像画像P4には、矢印X2が矢印PX2として撮像される。また、撮像画像P4には、矢印PX2の全体が含まれず、矢印PX2の一部が含まれる。
【0114】
従って、
図11(A)に示した撮像レンズL1と撮像素子S1との相対的な位置関係では、レンズシフト機能によって位置が移動した後の投写画像である矢印X2の全体を撮像することができない。これは、撮像レンズL1と撮像素子S1との相対的な位置関係が
図11(A)に示した位置関係の場合、レンズシフト機能によって位置が移動した後の投写画像である矢印X2の全体は、撮像可能領域CAの内側に含まれないことを示す。
【0115】
ここで、
図11に示した撮像レンズL1と撮像素子S1との相対的な位置関係を、
図12に示した撮像レンズL1と撮像素子S1との相対的な位置関係に変化させた場合を考える。
図12は、撮像レンズL1と撮像素子S1の相対的な位置関係と、撮像素子S1により撮像された撮像画像との他の例を示す図である。
図12(A)には、撮像レンズL1と撮像素子S1の相対的な位置関係の他の例を示した。
図12(A)において、矢印Y3は、矢印X1の後端の位置から反射された光が撮像レンズL1を通過した際の模式的な光路Y3を示す。
【0116】
図12(A)に示した撮像レンズL1と撮像素子S1との相対的な位置関係は、
図11(A)に示した撮像レンズL1と撮像素子S1との相対的な位置関係から変化させたものである。
図12(A)において、撮像レンズL1は、撮像レンズL1の光軸C3が撮像素子S1の中心軸C4と一致しないように、撮像素子S1に対して光軸C3と直交する方向へ相対的に移動されている。
図12(A)において、二点鎖線VL1は、
図11に示した撮像レンズL1と撮像素子S1との相対的な位置関係を変化させる前の撮像レンズL1の位置を示す。
【0117】
ここで、
図12(A)に示したように、矢印X1の先端の位置から反射された光は、光路Y1を通って撮像レンズL1から撮像素子S1の撮像面に到達し、受光される。また、矢印X1の後端の位置から反射された光は、光路Y3を通って撮像レンズL1から撮像素子S1の撮像面に到達し、受光される。
【0118】
すなわち、矢印X1は、撮像素子S1により
図12(B)に示したように撮像される。
図12(B)には、矢印X1が撮像素子S1によって撮像された撮像画像P5の一例を示した。
図12(B)において、一点鎖線C7は、撮像画像P5の中心を通る中心線C7を示す。
図12(B)に示したように、撮像画像P5には、矢印X1が矢印PX3として撮像される。また、撮像画像P5には、矢印PX3の全体が含まれている。
【0119】
一方、
図12(A)に示したように、矢印X2の先端の位置から反射された光は、光路Y2を通って撮像レンズL1から撮像素子S1の撮像面に到達し、受光される。また、矢印X2の後端の位置から反射された光は、光路Y1を通って撮像レンズL1から撮像素子S1の撮像面に到達し、受光される。
【0120】
すなわち、矢印X2は、撮像素子S1により
図12(C)に示したように撮像される。
図12(C)には、矢印X2が撮像素子S1によって撮像された撮像画像P6の一例を示した。
図12(C)において、一点鎖線C8は、撮像画像P6の中心を通る中心線C8を示す。
図12(C)に示したように、撮像画像P6には、矢印X2が矢印PX4として撮像される。また、撮像画像P6には、矢印PX4の全体が含まれている。
【0121】
従って、
図12(A)に示した撮像レンズL1と撮像素子S1との相対的な位置関係では、レンズシフト機能によって位置が移動した後の投写画像である矢印X2の全体を撮像することができる。これは、撮像レンズL1と撮像素子S1との相対的な位置関係が
図12(A)に示した位置関係の場合、レンズシフト機能によって位置が移動した後の投写画像である矢印X2の全体は、撮像可能領域CAの内側に含まれることを示す。すなわち、プロジェクター1は、投写画像の一部又は全部が撮像可能領域CAに含まれていない場合であっても、撮像レンズL1と撮像素子S1との相対的な位置関係を変化させることにより、投写画像の全体を撮像可能領域CAの内側に含めることができる。
【0122】
また、撮像レンズL1と撮像素子S1との相対的な位置関係を変化させた場合、
図12(A)に示したように、撮像レンズL1の光軸C3と、撮像素子S1の中心軸C4との間の相対的な位置関係が変化する。すなわち、この一例において、撮像中心を移動させるとは、撮像レンズL1の光軸C3の位置を、撮像素子S1の中心軸C4の位置に対して相対的に変化させることを示す。
【0123】
以下、
図13及び
図14を参照して、撮像レンズL1と撮像素子S1との相対的な位置関係を変化させることが可能な撮像レンズL1と撮像素子S1の構成について説明する。例えば、撮像レンズL1と撮像素子S1との相対的な位置関係は、撮像レンズL1の光軸C3と撮像素子S1の中心軸C4が一致していない場合に、撮像レンズL1を中心軸C4の周りで回転させることにより変化させることができる。
【0124】
図13は、撮像レンズL1の光軸C3と撮像素子S1の中心軸C4が一致していない場合における撮像レンズL1と撮像素子S1との相対的な位置関係の一例を示す図である。
図13に示した円C13は、撮像レンズL1を正面から見た場合に光軸C3が撮像レンズL1を通る位置C13(すなわち、撮像レンズL1の中心の位置C13)を示す。撮像レンズL1の正面とは、撮像レンズL1の光軸C3上から撮像素子S1の撮像面を見た際に見える撮像レンズL1の曲面を示す。また、
図13に示した円C14は、撮像素子S1の撮像面上における中心軸C4が通る位置C14(すなわち、撮像レンズL1の中心の位置C14)を示す。
【0125】
図13に示した例において、撮像レンズL1は、リング状の部材GLと位置BPにおいて接着されている。また、部材GLの中心の位置は、光軸C3上から撮像レンズL1の正面を見た場合に、撮像素子S1の中心の位置C14と一致する。この場合、部材GLを
図13に示した矢印A3が示す方向に撮像素子S1の中心軸の周りに回転させると、撮像レンズL1は、回転する部材GLとともに撮像素子S1の中心軸C4の周りで回転する。二点鎖線V1は、部材GLとともに撮像素子S1の中心軸C4の周りで回転した後の撮像レンズL1の位置を示す。また、円VC3は、部材GLとともに撮像素子S1の中心軸C4の周りで回転した後の撮像レンズL1の中心の位置を示す。
【0126】
このように、撮像レンズL1の光軸C3と撮像素子S1の中心軸C4が一致していない場合に、撮像レンズL1を撮像素子S1の中心軸C4の周りで回転させると、撮像レンズL1の光軸C3の位置は、撮像素子S1の中心軸C4の位置に対して相対的に変化し、この結果、撮像中心が移動する。このように撮像中心を移動することは、例えば、
図14に示した構成を用いることにより実現することができる。
図14は、撮像レンズL1の光軸C3と撮像素子S1の中心軸C4を一致させず、且つ撮像レンズL1を部材GLとともに撮像素子S1の中心軸C4の周りで回転させることができる構成の一例を示す図である。
【0127】
図14(A)には、撮像レンズL1の正面から見た正面図を示す。また、
図14(B)には、
図14(A)を側面から見た側面図を示す。
図14において、部材GLの外周には、歯車の歯が設けられている。以下では、説明の便宜上、当該歯車を部材GLの歯と称して説明する。部材GLの歯は、歯車G1の歯とかみ合っている。そのため、部材GLは、歯車G1の矢印A4が示す方向への回転に伴って矢印A5が示す方向に回転する。
【0128】
また、歯車G1には、モーターMの回転軸部材MAが接合されている。なお、歯車G1の中心を通る回転軸と、モーターMの回転軸部材MAの回転軸とは一致している。一点鎖線C11は、当該回転軸C11を示す。そのため、歯車G1は、モーターMの回転軸部材MAを回転させることにより回転させることができる。なお、撮像素子S1は、支持部材SBによって支持される。
【0129】
撮像部10が備える撮像レンズL1と撮像素子S1を
図14に示したように構成することにより、プロジェクター1は、撮像レンズL1を撮像素子S1の中心軸C4の周りで回転することができ、その結果、撮像中心を移動させることができる。なお、
図14では、撮像中心を移動させる構成として、撮像素子S1の中心軸C4の周りで回転するリング状の部材GLによって撮像レンズL1の位置を撮像素子S1の位置に対して変化させる場合について説明した。次に、
図15を参照して、撮像レンズL1の光軸C3と撮像素子S1の中心軸C4を一致させず、且つ撮像レンズL1を部材GLとともに撮像素子S1の中心軸C4の周りで回転させることができる構成の他の例を説明する。
【0130】
図15は、撮像レンズL1の光軸C3と撮像素子S1の中心軸C4を一致させず、且つ撮像レンズL1を部材GLとともに撮像素子S1の中心軸C4の周りで回転させることができる構成の他の例を示す図である。
図15(A)には、撮像レンズL1の正面から見た正面図を示す。また、
図15(B)には、
図15(A)を側面から見た側面図を示す。
【0131】
図15において、部材GMは、撮像レンズL1を嵌め込んで接着することができる穴部Hを有する。部材GMには、撮像レンズL1が穴部Hに嵌め込まれて接着されているとする。また、部材GMは、
図15(B)に示すように、撮像素子S1が設けられた支持部材SBを迂回できるようにコの字型に成形されている。また、部材GMには、
図15に示したように、モーターMの回転軸部材MAの回転とともに、穴部Hに嵌め込まれた撮像レンズL1が中心軸C4の周りで矢印A6が示す方向に回転するように、回転軸部材MAが接合されている。
【0132】
すなわち、
図15に示した例は、
図14に示したようなモーターMの回転軸部材MAの回転運動によって歯車G1を回転させ、回転した歯車G1によって部材GLを回転させる構成に代えて、部材GMをモーターMの回転軸部材MAに直接接合させ、回転軸部材MAとともに部材GMを回転させることにより撮像レンズL1を回転させる構成の例となっている。なお、
図15に示した例の場合、部材GMが支持部材SBと干渉してしまうため、撮像レンズL1を中心軸C4の周りで360度回転させることはできない。
【0133】
なお、この一例では、撮像中心移動制御部163が撮像レンズL1を撮像素子S1に対して回転させることによって撮像中心を移動させる例について説明したが、これに代えて、撮像中心移動制御部163が撮像レンズL1を撮像素子S1に対して光軸C3と直交する方向に並進移動させることによって撮像中心を移動させる構成等の他の構成であってもよい。この場合も、撮像レンズL1の位置は、撮像素子Sの位置に対して相対的に変化するため、プロジェクター1は、撮像中心を移動することができ、その結果、撮像可能領域CAを移動することができる。撮像部10が備える撮像素子S1は、光検出部の一例である。
【0134】
以上のように、この一例におけるプロジェクター1は、撮像素子S1に対する撮像レンズL1の相対位置を変化させる。これにより、プロジェクター1は、撮像素子S1に対する撮像レンズL1の相対位置を変化させることによって撮像部10により撮像可能領域CAを移動させることができる。
【0135】
<第1実施形態の例3−2>
以下、本発明の第1実施形態の例3−2について図面を参照して説明する。第1実施形態の例3−2では、プロジェクター1が、撮像部10が備える撮像レンズを移動させることにより、撮像中心を移動させる場合の他の例について説明する。より具体的には、第1実施形態の例3−2では、撮像中心移動制御部163が、撮像レンズL1の位置を撮像素子S1の位置に対して相対的に変化させることにより撮像中心を移動させる構成に代えて、撮像レンズL1の位置と撮像素子S1の位置との相対的な位置関係を固定したまま撮像レンズL1を回転させることによって撮像中心を移動させる。これにより、プロジェクター1は、撮像可能領域CAを移動することができる。
【0136】
図16は、撮像レンズL1の光軸C3と撮像素子S1の中心軸C4を一致させず、且つ撮像レンズL1を部材GL2とともに撮像素子S1の中心軸C4の周りで回転させることができる構成の更に他の例を示す図である。
図16に示した例は、
図15に示した構成のうち、撮像素子S1が支持部材SBに支持されている構成に代えて、撮像素子S1が部材GL2に支持されて(設けられて)いる構成の例である。なお、撮像素子S1は、部材GL2に設けられる際、回転軸C11が撮像素子S1の中心を通るように設けられる。
【0137】
図16に示した例では、撮像レンズL1の位置が撮像素子S1の位置との相対的な位置関係を保持したまま、撮像レンズL1が撮像素子S1とともに回転する。この際、撮像レンズL1の光軸C3と撮像素子S1の中心軸C4とがずれているため、撮像可能領域CAの位置が変化する。すなわち、この一例において、撮像中心移動制御部163は、撮像レンズL1を撮像素子S1ととともに回転させることにより撮像中心を移動させる。
【0138】
図17は、撮像レンズL1を撮像素子S1ととともに回転させることにより撮像中心が移動する構成の他の例を示す図である。
図17において、撮像素子S1は、支持部材SB1に支持されている。支持部材SB1は、回転軸C11に直交する直交面部と、回転軸C11に対して角度θだけ傾いた傾斜面部とを有する。直交面部は、モーターMの回転軸部材MAに接合されている。これにより、撮像中心移動制御部163は、モーターMの回転軸部材MAを回転させることにより、支持部材SB1の全体を回転軸C11周りに回転させることができる。
【0139】
また、傾斜面部は、直交面部の端部に設けられており、傾斜面部の面のうちモーターMとは反対側の面上に撮像レンズL1と撮像素子S1が一体となって設けられている。この場合、
図17に示したように、光軸C3は、中心軸C4と一致する。しかし、光軸C3及び中心軸C4は、回転軸C11に対して角度θだけ傾く。なお、この角度θは、回転軸C11を二次元XY平面上のX軸とした場合に、光軸C3及び中心軸C4が第2象限から第4象限へ向かう方向に回転軸C11と交わる際の、光軸C3及び中心軸C4と、回転軸C11との間の角度を示す。このような構成により、撮像中心移動制御部163は、モーターMの回転軸部材MAを回転させると、撮像レンズL1と撮像素子S1の全体が回転軸C11回りに回転するため、撮像素子S1に撮像される領域の位置が変化する。すなわち、撮像中心移動制御部163は、撮像レンズL1と撮像素子S1の全体を回転させることにより、撮像中心を移動させることができる。
【0140】
以上、説明したように、第1実施形態の例3−2に係るプロジェクター1は、撮像レンズL1の位置と撮像素子S1の位置の相対的な位置関係を保持したまま、撮像レンズL1を回転させることによって撮像中心を移動させる。これにより、プロジェクター1は、第1実施形態の例1と同様の効果を得ることができる。
【0141】
<撮像中心移動制御部163が撮像レンズL1を移動させる方法の具体例1>
以下、上記の第1実施形態の例3−1、例3−2において撮像中心移動制御部163が撮像レンズL1を移動させる方法の具体例1について説明する。
図18は、第1実施形態の例3−1、例3−2に係るプロジェクター1が備える制御部16が行う撮像位置設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図18におけるステップS100からステップS150までの処理は、
図5に示したステップS100からステップS150までの処理と同様の処理であるため説明を省略する。また、
図18におけるステップS170からステップS180までの処理は、
図5に示したステップS170からステップS180までの処理と同様の処理であるため説明を省略する。
【0142】
図18における(ステップS150−No)の場合、撮像中心移動制御部163は、移動機構101によって撮像レンズL1の位置を変化させることにより撮像中心を移動させる(ステップS160b)。例えば、撮像中心移動制御部163は、予め決められた回転方向に予め決められた回転量だけ撮像レンズL1を回転させる。なお、撮像中心移動制御部163は、これに代えて、他の方法によって撮像中心を移動させる方向を決定してもよい。なお、予め決められた回転量は、撮像中心移動制御部163に予め記憶されているものとする。
【0143】
また、ステップS160bにおいて予め決められた回転方向に撮像レンズL1を回転させることができる限界位置に達している場合、撮像中心移動制御部163は、移動機構101により予め決められた回転方向とは逆の回転方向に撮像レンズL1を回転させる。ステップS160bの処理において撮像中心を移動させた後、撮像制御部161は、ステップS170に遷移し、撮像可能領域CAを撮像部10に撮像させる。
【0144】
<撮像中心移動制御部163が撮像レンズL1を移動させる方法の具体例2>
以下、上記の第1実施形態の例3−1、例3−2において撮像中心移動制御部163が撮像レンズL1を移動させる方法の具体例2について説明する。
図19は、第1実施形態の例3−1、例3−2に係るプロジェクター1が備える制御部16が行う撮像位置設定処理の流れの他の例を示すフローチャートである。なお、
図19におけるステップS100及びステップS180の処理は、
図5に示したステップS100及びステップS180の処理と同様の処理であるため説明を省略する。
【0145】
図19においてステップS100の処理の後、撮像中心移動制御部163は、レンズシフト機能によって投写レンズを移動させた場合のシフト量を算出する(ステップS600)。ここで、投写レンズを移動させた場合のシフト量とは、レンズシフト機能によって投写レンズが移動した場合の投写レンズの位置(すなわち、投写レンズの中心の位置)のX軸方向及びY軸方向への移動量を示す。撮像中心移動制御部163は、レンズ部20から投写レンズの位置を示す情報を取得し、取得した当該情報と、予め記憶された投写レンズの基準となる位置を示す情報とから、投写レンズのシフト量を算出する。
【0146】
次に、撮像中心移動制御部163は、例えば、レンズシフト機能によって投写レンズを移動させた後の投写レンズの位置が、レンズシフト機能によって投写レンズを移動させる前の投写レンズの位置に対して水平方向から傾いている角度を算出する。以下では、当該角度をシフト角と称して説明する。そして、撮像中心移動制御部163は、算出したシフト角を撮像レンズの回転量として決定する(ステップS610)。例えば、投写レンズがレンズシフト機能によって投写画像が投写されたスクリーンSCの面上に向かって右に1センチメートル、上に1センチメートルだけ動かされていた場合、シフト角は45°となる。この場合、撮像中心移動制御部163は、撮像レンズL1を回転させる回転量を45°として決定する。
【0147】
次に、撮像中心移動制御部163は、ステップS610において決定した回転量に基づいて撮像レンズL1を移動機構101に回転させる(ステップS620)。
このように、上記の撮像レンズL1の位置の移動方法により、プロジェクター1は、撮像部10を1台のみ備えている場合であっても、投写可能領域PAの全体を撮像することができる。また、プロジェクター1は、広角レンズを用いた場合よりも、
図29に示したような4隅の歪みが小さい挟角レンズを使用して投写可能領域PAの全体を撮像することができる。
【0148】
<第1実施形態の例4>
以下、本発明の第1実施形態の例4について説明する。第1実施形態の例4では、プロジェクター1は、撮像部10により撮像された撮像画像から検出した評価値に基づいて撮像中心を移動させる構成に代えて、投写条件に基づいて撮像中心を移動させる場合について説明する。なお、以下で説明する撮像中心を移動させる方法は、撮像部10を移動させることにより撮像中心を移動させる方法に適用してもよく、撮像レンズL1を移動させることにより撮像中心を移動させる方法に適用してもよい。
【0149】
投写条件とは、投写画像を投写する際に投写光学系の状態を指定するための条件である。投写条件は、例えば、当該投写光学系に設定された各種の設定値や使用機器等によって表される。この一例において、各種の設定値とは、選択されているズームの倍率、レンズシフト機能による投写レンズのシフト量を含む。なお、使用機器とは、投写レンズの種類等を示す。
【0150】
制御部16又は制御部16aは、レンズ部20から投写画像を投写している現在の投写条件を示す情報を取得する。以下では、一例として、制御部16又は制御部16aが、投写レンズの種類を示す情報と、投写画像P2が投写された際のズーム倍率を示す情報と、現在の投写レンズの位置を示す情報との3つの情報が投写条件を示す情報に含まれる場合について説明する。投写レンズの種類を示す情報とは、例えば、複数の種類の投写レンズを交換して利用可能な場合に、装着されている投写レンズの種類を識別する型番やID等である。なお、投写レンズの種類を示す情報は、上記の3つの情報のうちの少なくともいずれか1つであってもよいし、上記以外の他の情報であってもよい。また、投写条件を示す情報が、メニュー画像等を介してユーザーによって入力、又は選択された情報である場合には、制御部16又は制御部16aは、投写条件を示す情報を記憶部12から取得する。
【0151】
制御部16又は制御部16aは、取得した投写条件を示す情報に含まれる現在の投写レンズの位置を示す情報と、予め記憶された投写レンズの基準となる位置を示す情報とから、投写レンズのシフト量を算出する。なお、制御部16又は制御部16aは、レンズ部20から投写レンズのシフト量を、投写条件を示す情報の1つとして取得する構成であってもよい。この場合、レンズ部20は、シフト量を算出する機能部を備えるものとする。
【0152】
制御部16又は制御部16aは、算出したシフト量と、投写レンズの種類を示す情報と、投写画像P2が投写された際のズーム倍率を示す情報とに基づいて、投写画像の全体が撮像可能領域CAに含まれる撮像中心の位置を特定し、特定した位置へ撮像中心を移動させるために必要な移動量を算出する。当該移動量は、ベクトル量であり、撮像中心を移動させる方向も表す。
【0153】
制御部16又は制御部16aは、算出した移動量に基づいて、撮像中心を移動させる。これにより、制御部16又は制御部16aは、投写条件に基づいて撮像中心を移動させ、その結果、上記で説明した第1実施形態の例1〜例3と同様の効果を得ることができる。
なお、第1実施形態の例4において説明した撮像中心を移動させる方法は、
図10のステップS500からステップS540までの処理によってN台の撮像部10から選択された撮像部10に対して適用されてもよい。
また、投写条件に基づいて撮像中心を移動させる方法は、例えば、
図5〜
図8に示したステップS130における処理において、撮像中心を初期的に動かす方向を決める処理に適用されてもよい。その場合、制御部16又は制御部16aは、撮像可能領域CA内にパターン画像が入り込む方向とは別の方向に撮像中心を動かし続けてしまうことを抑制することができる。
【0154】
また、第1実施形態の例2に係るプロジェクター1は、
図10のステップS500からステップS540までの処理を行う構成に代えて、この一例において説明した投写条件に基づいて、N台の撮像部10から投写画像の全体を撮像可能な撮像部10を選択する構成であってもよい。この場合、第1実施形態の例2に係るプロジェクター1は、投写条件に応じた撮像部10であって、適した撮像部10を示す情報を予め記憶しているものとする。
【0155】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。
図20は、第2実施形態に係るプロジェクター1の構成例を示す図である。第2実施形態に係るプロジェクター1は、N台の撮像部100と、記憶部12と、入力受付部13と、制御部16cと、光源制御部17と、光源18と、光変調装置19と、レンズ部20と、画像入力部21と、画像処理部22と、OSD処理部23と、光変調装置駆動部24と、加速度センサー25と、切換部26を備える。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同様な構成部には、同じ符号を付して説明を省略する。
【0156】
以下では、説明の便宜上、N台の撮像部100のそれぞれを区別する必要がある場合、これらのそれぞれを撮像部100−1〜撮像部100−Nと称して説明する。なお、N台の撮像部100のうちの一部又は全部は、互いにレンズ特性(レンズサイズ、画角、フォーカス範囲、F値、透過率等)の異なる撮像レンズを備えていてもよく、互いにレンズ特性の同じ撮像レンズを備えていてもよい。また、N台の撮像部100のうちの一部又は全部は、互いに形状や大きさが異なっていてもよく、互いに形状や大きさが同じであってもよい。また、N台の撮像部100のうちの一部又は全部は、互いにセンサー特性(センサーサイズ、解像度、カラーフィルター等)の異なる撮像素子を備えていてもよく、互いにセンサー特性の同じ撮像素子を備えていてもよい。
【0157】
この一例において、N台の撮像部100のそれぞれが、撮像可能な領域の全体が完全には重ならないようにプロジェクター1に設けられている場合について説明する。例えば、撮像部100−1の撮像可能領域CAと、撮像部100−2の撮像可能領域CAとは、一部又は全部が重ならない。なお、他の例としては、互いの撮像可能領域CAの全部が重なっていても良く、例えば、広角カメラと挟角カメラを想定した場合、2つのカメラ光軸が近いと、挟角カメラの撮像領域は、広角カメラの領域に全部重なる。
【0158】
このようにすることで、ある撮像部100の撮像可能領域CAに投写画像の全体が含まれていない場合、プロジェクター1は、撮像可能領域CAに投写画像の全体が含まれている他の撮像部100を選択し、選択した撮像部100によって投写画像の全体を撮像することができる。以下では、説明の便宜上、撮像可能領域CAに投写画像の全体が含まれていない撮像部100を、第1撮像部と称し、撮像可能領域CAに投写画像の全体が含まれている撮像部100を、第2撮像部と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、N台の撮像部100のうち、プロジェクター1が撮像可能領域CAを撮像するために使用する撮像部100を、プロジェクター1が使用する撮像部100と称して説明する。
【0159】
制御部16cは、撮像制御部161と、投写条件取得部164と、切換制御部169を備える。
投写条件取得部164は、プロジェクター1が投写画像を投写している現在の投写条件を示す情報を、例えば、レンズ部20から取得する。投写条件取得部164は、取得部の一例である。なお、投写条件を示す情報が、メニュー画像等を介してユーザーによって入力、又は選択された情報である場合には、投写条件取得部164は、投写条件を示す情報を記憶部12から取得する。
切換制御部169は、投写条件取得部164が取得した投写条件に基づいて、N台の撮像部100から撮像可能領域CAに投写画像の全体が含まれている撮像部100を第2撮像部として選択する。そして、切換制御部169は、切換部26にプロジェクター1が使用する撮像部を選択した第2撮像部に切り換えさせる。
切換部26は、切換制御部169からの要求に応じて、プロジェクター1が使用する撮像部を切換制御部169が選択した第2撮像部に切り換える。
【0160】
図21は、第2実施形態に係るプロジェクター1により投写画像が投写されたスクリーンSCの一例を示す図である。なお、この一例において、プロジェクター1がスクリーンSC上に投写する投写画像を、投写画像P11と称して説明する。
図21において、投写画像P11は、投写可能領域PA内に投写されている。点線で囲まれた領域CA2は、第1撮像部の撮像可能領域CA2を示す。また、点線で囲まれた領域CA3は、第2撮像部の撮像可能領域CA3を示す。
図21に示したように、撮像可能領域CA2には、投写画像P11の一部が含まれているが、投写画像P11の全体が含まれていない。一方、撮像可能領域CA3には、投写画像P11の全体が含まれている。例えば、プロジェクター1が現在使用している撮像部が第1撮像部であった場合、プロジェクター1は、N台の撮像部100から第2撮像部を選択し、使用する撮像部を選択した第2撮像部に切り換える。
【0161】
次に、
図22を参照して、制御部16cが第2撮像部を選択する処理について説明する。
図22は、制御部16cが第2撮像部を選択する処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、以下では、撮像部100−1が撮像制御部161により撮像可能領域CAを撮像させる撮像部として選択されている場合について説明する。
【0162】
まず、プロジェクター1は、入力受付部13から受け付けられたユーザーからの操作に基づいて、スクリーンSC上の投写可能領域PA内のユーザーが所望する位置に投写画像P11を投写する(ステップS700)。次に、投写条件取得部164は、レンズ部20等から投写条件を示す情報として、投写レンズの種類を示す情報と、ズーム倍率を示す情報と、現在の投写レンズの位置を示す情報とを取得する(ステップS710)。
【0163】
次に、投写条件取得部164は、取得した当該情報と、予め記憶された投写レンズの基準となる位置を示す情報とから、投写レンズのシフト量を算出する(ステップS715)。なお、投写条件取得部164は、ステップS710においてレンズ部20から投写レンズのシフト量を、投写条件を表す情報の1つとして取得する構成であってもよい。この場合、レンズ部20は、シフト量を算出する機能部を備えるものとする。
【0164】
次に、切換制御部169は、取得した投写レンズの種類を示す情報と、取得したズーム倍率を示す情報と、算出したシフト量と、取得した撮像画像とに基づいて、N台の撮像部100から撮像可能領域CAに投写画像P11の全体が含まれている撮像部100を第2撮像部として選択する。そして、切換制御部169は、切換部26にプロジェクター1が使用する撮像部を選択した第2撮像部に切り替えさせる(ステップS720)。
【0165】
より具体的には、切換制御部169は、予め決められた第1対応情報を記憶部12から読み込む。第1対応情報とは、取得した投写レンズの種類を示す情報と、取得したズーム倍率を示す情報と、算出したシフト量と、撮像部100を識別する情報とが対応付けられた情報である。撮像部100を識別する情報とは、取得した投写レンズの種類を示す情報と、取得したズーム倍率を示す情報と、算出したシフト量とによって実現する投写画像P11が投写される領域の全体を撮像可能な撮像可能領域CAを有する撮像部100を識別する型番やID等である。なお、撮像部100を識別する情報は、これに代えて、他の情報であってもよい。
【0166】
切換制御部169は、取得した投写レンズの種類を示す情報と、取得したズーム倍率を示す情報と、算出したシフト量と、読み込んだ第1対応情報とに基づいて、N台の撮像部100から第2撮像部を選択する。そして、切換制御部169は、切換部26にプロジェクター1が使用する撮像部を選択した第2撮像部に切り替えさせる。
【0167】
次に、撮像制御部161は、ステップS720において切り換えられたプロジェクター1が使用する撮像部に撮像可能領域CAを撮像させる(ステップS730)。次に、制御部16cは、ステップS730において撮像された撮像画像を、ステップS720において切り換えられたプロジェクター1が使用する第2撮像部から取得する(ステップS740)。次に、制御部16cは、ステップS740において取得した撮像画像を記憶部12に記憶させる(ステップS750)。
【0168】
以上説明したように、第2実施形態に係るプロジェクター1は、投写条件に基づいて、複数の撮像部100の中から投写条件に適合する撮像部100を第2撮像部として選択し、選択された第2撮像部により撮像された投写可能領域PAの少なくとも一部を含む画像に基づいて処理を行う。これにより、プロジェクター1は、投写画像の状態に応じて適した画像に基づく処理を行うことができる。
【0169】
また、プロジェクター1は、投写画像の全体を含む撮像画像を撮像可能な第2撮像部を投写条件に適合する撮像部100として選択する。これにより、プロジェクター1は、投写画像の全体を含む撮像画像に基づく処理を行うことができる。
【0170】
また、プロジェクター1は、投写条件と撮像部100を示す情報とが対応付けられた第1対応情報に基づいて、投写条件に適合する撮像部100を選択する。これにより、プロジェクターは、投写条件に適合する撮像部100を選択する際に撮像部100毎の撮像可能な領域に投写画像の全体が含まれているか否かを算出する処理に係る時間を短縮することができる。
【0171】
また、プロジェクター1は、装着可能な投写レンズの種類を示す情報と、当該投写レンズによる投写のズーム倍率を示す情報と、現在の当該投写レンズの位置を示す情報とのうちの少なくともいずれか1つを含む投写条件に基づいて、適合する撮像部100を選択する。これにより、プロジェクター1は、装着可能な投写レンズの種類を示す情報と、当該投写レンズによる投写のズーム倍率を示す情報と、現在の当該投写レンズの位置を示す情報とのうちの少なくともいずれか1つを含む投写条件に基づいて、選択された撮像部100により撮像された投写可能領域PAの少なくとも一部を含む画像に基づいて処理を行うことができ、その結果、投写画像の状態に応じて適した画像に基づく処理を行うことができる。
【0172】
なお、第2実施形態に係るプロジェクター1は、投写条件に基づいて、自装置に備えられているN台の撮像部100毎に、投写条件に適合する撮像部100であるか否かを判定し、投写条件に適合する撮像部100が1台も備えられていないと判定した場合、いずれの撮像部100も選択しない構成であってもよい。この場合、プロジェクター1は、投写条件に適合する撮像部100が備えられていないことをユーザーに通知する。これにより、プロジェクター1は、投写条件に適合する撮像部100が備えられていない場合、投写条件に適合する撮像部100を選択する処理を行い続けてしまうことを抑制することができる。なお、プロジェクター1は、投写条件に適合する撮像部100が備えられていないことを、メッセージ画像等を投写することによって通知してもよいし、LED(Light Emitting Diode)の点灯状態等によってユーザーに通知してもよい。点灯状態とは、例えば、点灯している状態や点滅している状態等を示す。また、プロジェクター1は、使用する機能をユーザーに選択させるメニュー画像等において、撮像部100を使用する機能を無効(クレーアウト)にして選択できないようにしてもよい。
【0173】
また、交換可能な複数の投写レンズ毎の識別情報と、複数の撮像部100毎の識別情報とを、それぞれの画角に応じて対応付けた対応情報を予め記憶部12に記憶させておき、投写レンズを交換した後でプロジェクター1を起動する際に、投写条件取得部164がプロジェクター1に備えられた投写レンズの識別情報を読み取って取得し、切換制御部169が、取得した当該投写レンズの識別情報と対応情報とに基づいて撮像部100を選択するようにしてもよい。なお、この場合の対応情報は、例えば、投写レンズの投写可能領域PAが撮像部100の画角に入ることと、撮像画像に含まれる投写画像が所定以上の画素数となることの2つの条件を満たすように対応付けられたものとすることができる。
また、識別情報が備わっていない投写レンズを使用可能とする場合には、投写レンズを交換した後に、メニュー画像等によって手動で撮像部100を選択するようにしてもよい。この場合には、撮像部100をメニュー画像から直接選択するようにしてもよいし、装着した投写レンズの種類をメニュー画像等から選択し、対応情報に基づいて撮像部100を決定するようにしてもよい。
なお、本実施形態では、投写条件を示す情報として、投写レンズの種類を示す情報と、ズーム倍率を示す情報と、投写レンズの位置を示す情報とを取得しているが、これらの情報のすべてを取得する必要はなく、これらのうちの少なくともいずれか1つを取得するようにしてもよいし、これら以外の情報を取得するようにしてもよい。
【0174】
<第3実施形態>
以下、本発明の第3実施形態について図面を参照して説明する。
図23は、第3実施形態に係るプロジェクター1により投写画像P12が投写されているスクリーンSCの一例を示す図である。プロジェクター1は、レンズシフト機能によりユーザーが所望する位置に投写画像P12を投写する。また、プロジェクター1は、投写可能領域PA内に投写画像P12を投写する。
図23において、点線に囲まれた領域は、撮像部10による撮像可能領域CAを示す。ここで、第3実施形態に係るプロジェクター1が備える撮像部10は、
図1に示したように、投写可能領域PAの全体を含む領域を撮像可能な広角レンズを撮像レンズとして備える場合について説明する。
【0175】
すなわち、プロジェクター1は、撮像部100により撮像可能領域CA内に含まれる投写可能領域PAの全体を含む領域を撮像する。
図24は、撮像部100により撮像された撮像画像P13の一例を示す図である。
図24において、一点鎖線で囲まれた領域は、投写可能領域PAを示す。また、点線で囲まれた領域は、投写画像P12を示す。
図24に示したように、撮像画像P13には、投写可能領域PAの全体が含まれる。
【0176】
ここで、
図23に示したように、投写可能領域PAの全体を含む領域を撮像可能な広角レンズを撮像レンズとして備える場合、撮像画像P13には、投写画像P12ではない領域が含まれる。このような領域は、例えば、撮像画像P13に基づいて投写画像P2の画質調整等を行う場合、撮像画像P13から投写画像P12を検出する際に不要な領域となる。以下では、説明の便宜上、当該領域を不要領域と称して説明する。撮像画像P13から投写画像P12を検出する処理は、不要領域が大きければ大きいほど処理に係る負担が大きくなり、より長い処理時間を要してしまう。また、不要領域の大きさに合わせて撮像画像の解像度を大きくしすぎると、撮像画像の解像度が、制御部16d(
図26参照)に入力可能な解像度を超えてしまう場合がある。この場合、制御部16dは、撮像部100が出力する撮像画像を正しく受け取れなくなってしまう。なお、制御部16dに入力される撮像画像の解像度の制限としては、回路的に解像度が制限される場合や、入力される画像情報(1フレーム分の画像情報)をメモリーに置く際のメモリー容量に制限がある場合等がある。
【0177】
そこで、第3実施形態に係るプロジェクター1は、この不要領域の一部又は全部を含まない画像を取得する。以下では、説明の便宜上、当該画像を処理領域画像と称して説明する。
図25は、プロジェクター1が取得する処理領域画像の一例を示す図である。
図25において、撮像画像P13の内側のハッチングされた領域は、不要領域NAを示す。また、撮像画像P13の内側のハッチングされていない領域を含む画像は、処理領域画像P14を示す。処理領域画像P14には、少なくとも投写画像P12の全体が含まれる。
図25に示した例の場合、処理領域画像P14には、投写画像P12の全体のみが含まれている。なお、処理領域画像P14には、例えば、投写画像P12を含む投写画像P12よりも所定倍率だけ大きな領域が含まれてもよい。所定倍率は、例えば、1.1倍等である。なお、所定倍率は、これに代えて、他の倍率であってもよい。
【0178】
プロジェクター1は、
図25に示したような処理領域画像P14を取得し、取得した処理領域画像P14に基づいて、例えば、画質調整等の処理を投写画像P12に対して行う。これにより、プロジェクター1は、画像を記憶するのに要する記憶領域を削減することができる。また、プロジェクター1は、処理時間を抑制することができ、その結果、画質調整等において所望の結果が得られるまでの時間を短縮できるとともに、処理に係る電力量を抑制することができる。また、プロジェクター1は、処理時間を抑制することができるため、限られた時間内において撮像回数を増やすことができたり、面内及び時間軸での平均化処理等のノイズ低減処理を行う時間を確保することができたりするため、処理の品質や精度を向上することができる。
以下では、プロジェクター1が処理領域画像P14を取得する処理について詳しく説明する。
【0179】
次に、
図26を参照して、第3実施形態に係るプロジェクター1の構成について説明する。
図26は、第3実施形態に係るプロジェクター1の構成例を示す図である。プロジェクター1は、記憶部12と、入力受付部13と、制御部16dと、光源制御部17と、光源18と、光変調装置19と、レンズ部20と、画像入力部21と、画像処理部22と、OSD処理部23と、光変調装置駆動部24と、撮像部100を備える。なお、第3実施形態では、第1実施形態と同様な構成部には、同じ符号を付して説明を省略する。
【0180】
制御部16dは、撮像制御部161と、投写条件取得部164と、撮像画像処理部166と、処理領域画像取得部168を備える。
撮像画像処理部166は、投写条件取得部164が取得した投写条件と、撮像部100から取得した撮像画像とに基づいて、処理領域画像を生成する。撮像画像処理部166は、特定部の一例である。
処理領域画像取得部168は、撮像画像処理部166が生成した処理領域画像を取得する。
【0181】
次に、
図27を参照して、制御部16dが処理領域画像を取得する処理について説明する。
図27は、制御部16dが処理領域画像を取得する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、プロジェクター1は、入力受付部13から受け付けられたユーザーからの操作に基づいて、スクリーンSC上の投写可能領域PA内のユーザーが所望する位置に投写画像P2を投写する(ステップS800)。以下では、撮像部100の撮像可能領域CAの内側に投写可能領域PAの全体が含まれている場合について説明する。
【0182】
次に、投写条件取得部164は、制御部16dにより制御される各機能部から投写画像P2を投写している現在の投写条件を示す情報を取得する(ステップS810)。以下では、一例として、投写レンズの種類を示す情報と、投写画像P2が投写された際のズーム倍率を示す情報と、現在の投写レンズの位置を示す情報との3つの情報が投写条件を示す情報に含まれる場合について説明する。投写レンズの種類を示す情報とは、例えば、投写レンズを識別する型番やID等である。なお、投写レンズの種類を示す情報は、これに代えて、他の情報であってもよい。
【0183】
次に、投写条件取得部164は、取得した当該情報と、予め記憶された投写レンズの基準となる位置を示す情報とから、投写レンズのシフト量を算出する(ステップS820)。なお、投写条件取得部164は、ステップS820に代えて、ステップS810においてレンズ部20から投写レンズのシフト量を、投写条件を表す情報の1つとして取得する構成であってもよい。この場合、レンズ部20は、シフト量を算出する機能部を備えるものとする。
【0184】
次に、撮像制御部161は、撮像部100に撮像可能領域CAを撮像させる(ステップS830)。次に、制御部16dは、撮像部100から撮像画像を取得する(ステップS830)。次に、撮像画像処理部166は、取得した投写レンズの種類を示す情報と、取得したズーム倍率を示す情報と、算出したシフト量と、取得した撮像画像とに基づいて、撮像画像のある一部を残して他の一部を消去する処理を行い(クリッピング処理を行い)、当該処理を終えた後の画像を処理領域画像として生成する(ステップS850)。
【0185】
より具体的には、撮像画像処理部166は、予め決められた第2対応情報を記憶部12から読み込む。第2対応情報とは、取得した投写レンズの種類を示す情報と、取得したズーム倍率を示す情報と、算出したシフト量と、撮像画像のうちの消去せずに残す領域を示す情報とが対応付けられた情報である。撮像画像処理部166は、取得した投写レンズの種類を示す情報と、取得したズーム倍率を示す情報と、算出したシフト量と、読み込んだ第2対応情報とに基づいて、撮像画像のうちの消去せずに残す領域を処理領域として特定する。そして、撮像画像処理部166は、特定した処理領域を示す情報と、取得した撮像画像とに基づいて、撮像画像から処理領域のみを残し、他の領域(すなわち、不要領域)を消去した処理領域画像を生成(抽出)する。
【0186】
処理領域画像取得部168は、ステップS850において撮像画像処理部166が生成した処理領域画像を撮像画像処理部166から取得する。そして、処理領域画像取得部168は、取得した処理領域画像を記憶部12に記憶させる(ステップS860)。
このように、ステップS800からステップS860までの処理によって、制御部16dは、処理領域画像を記憶部12に記憶させる。その結果、制御部16dは、記憶部12に記憶された処理領域画像に基づく処理を行うことができる。なお、処理領域画像は、第1実施形態において説明した、適した撮像画像の一例である。また、制御部16dは、処理部の一例である。
【0187】
また、ステップS850において、撮像画像処理部166は、第2対応情報に基づいて処理領域を特定する構成に代えて、取得した投写レンズの種類を示す情報と、取得したズーム倍率を示す情報と、算出したシフト量とに基づいて、処理領域の位置と大きさを算出する構成であってもよい。
【0188】
また、撮像画像処理部166は、制御部16dが備える構成に代えて、撮像部10が備える構成であってもよい。その場合、ステップS850における処理は、撮像部10により行われる。また、処理領域画像取得部168は、撮像部10が生成した処理領域画像を取得する。これにより、プロジェクター1は、撮像部10が撮像画像処理部166を備えていた場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【0189】
以上説明したように、第3実施形態に係るプロジェクター1は、投写条件に基づいて、撮像部100が撮像した撮像画像から投写可能領域PAを含む処理領域画像として、処理領域画像を特定し、特定された処理領域画像に基づいて処理を行う。これにより、プロジェクター1は、投写画像の状態に応じて適した画像に基づく処理を行うことができる。
【0190】
また、プロジェクター1は、投写条件を示す情報と処理領域画像を示す情報とが対応付けられた第2対応情報と、投写条件取得部164が取得した投写条件とに基づいて、撮像画像から処理領域画像を特定する。これにより、プロジェクター1は、撮像画像から処理領域画像として特定する領域の位置と大きさを算出する処理に係る時間を短縮することができる。
【0191】
また、プロジェクター1は、投写条件取得部164が取得した投写条件に基づいて、撮像画像から処理領域画像を特定するための処理領域の位置と大きさを算出する。これにより、プロジェクター1は、算出した処理領域の位置と大きさに基づいて、撮像画像から処理領域画像を適した画像として特定することができる。
【0192】
また、プロジェクター1は、撮像画像から、投写画像の全体を含み、撮像画像内の投写画像の大きさに所定倍率を乗じた大きさの領域を処理領域画像として特定する。これにより、プロジェクター1は、撮像画像内の投写画像の全体を確実に含む処理領域画像を、適した画像として特定することができる。
【0193】
また、プロジェクター1は、装着可能な投写レンズの種類を示す情報と、当該投写レンズによる投写のズーム倍率を示す情報と、現在の当該投写レンズの位置を示す情報とのうちの少なくともいずれか1つを含む投写条件に基づいて、撮像画像から投写面を含む処理領域画像を特定する。これにより、プロジェクター1は、装着可能な投写レンズの種類を示す情報と、当該投写レンズによる投写のズーム倍率を示す情報と、現在の当該投写レンズの位置を示す情報とのうちの少なくともいずれか1つを含む投写条件に基づいて、撮像画像から処理領域画像を適した画像として特定することができる。
【0194】
上記の第3実施形態では、処理領域画像P14に、少なくとも投写画像P12の全体が含まれるようにしているが、撮像画像に基づく処理(画質調整等)に最低限必要となる領域が含まれていれば、投写画像P12の全体が含まれていなくてもよい。また、処理領域画像P14は、制御部16dに入力可能な解像度以内で、撮像画像に基づく処理(画質調整等)に最低限必要となる領域を含む所定サイズの画像としてもよい。この場合の所定サイズは、製造時の組み立てばらつき等を考慮したマージンを含んでいることが望ましい。
【0195】
なお、第3実施形態では、投写条件取得部164は、投写条件を示す情報として、投写レンズの種類を示す情報と、ズーム倍率を示す情報と、投写レンズの位置を示す情報とを取得しているが、これらの情報をすべて取得する必要はなく、これらのうちの少なくともいずれか1つを取得するようにしてもよいし、これら以外の情報を取得するようにしてもよい。
【0196】
上記の第3実施形態に代えて、制御部16dが、取得した投写条件に基づいて処理領域を特定した後、撮像部100が撮像した撮像画像のうち処理領域に含まれる画像のみを出力するよう撮像部100を制御するようにしてもよい。この場合、制御部16dは、撮像部100から取得した画像を処理領域画像として記憶部12に記憶させ、記憶させた処理領域画像に対して画質調整等の処理を行う。
【0197】
上記の第3実施形態において、取得した撮像画像のある一部を残して他の一部を消去する処理(クリッピング処理)は必須ではない。例えば、制御部16dが、取得した投写条件に基づいて処理領域を特定し、撮像部100が撮像可能領域CAを撮像した撮像画像を記憶部12に記憶させた後に、記憶部12に記憶した撮像画像のうち、特定した処理領域に対応する範囲の画像に対して、画質調整等の処理を行うようにしてもよい。
【0198】
上記の第3実施形態に代えて、制御部16dが、取得した投写条件に基づいて処理領域を特定した後、さらに処理領域を最適化する処理を行うようにしてもよい。例えば、制御部16dは、投写条件に基づいて処理領域を暫定的に特定した後に、所定のテストパターンを投写させた状態で撮像可能領域CAを撮像させた撮像画像を記憶部12に記憶させる。その後、制御部16dは、撮像画像のうち、暫定的な処理領域の範囲内を画像解析して、最低限必要な領域のみを含む最終的な処理領域を特定する。なお、所定のテストパターンとしては、例えば、全白画像を採用することができる。また、全白画像と全黒画像を順に投写、撮像し、双方の差分に基づいて最終的な処理領域を特定するようにしてもよい。
【0199】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。