特許第6596913号(P6596913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6596913スケジュール作成装置、スケジュール作成方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596913
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】スケジュール作成装置、スケジュール作成方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20120101AFI20191021BHJP
   G10L 15/10 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   G06Q10/10 340
   G10L15/10 200W
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-99323(P2015-99323)
(22)【出願日】2015年5月14日
(65)【公開番号】特開2016-218522(P2016-218522A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】土橋 孝基
(72)【発明者】
【氏名】小川 浩良
(72)【発明者】
【氏名】松田 英明
(72)【発明者】
【氏名】奥村 亮
【審査官】 牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−059885(JP,A)
【文献】 特開2014−135543(JP,A)
【文献】 特開2006−139384(JP,A)
【文献】 特開2011−170637(JP,A)
【文献】 特開2006−113956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G10L 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の話者の会話音声からスケジュールに関連するカテゴリに属すキーワードを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が同一カテゴリに属す異なるキーワードを複数抽出したか否かに基づいて、前記会話音声におけるスケジュール変更の有無を推定する推定手段と、
前記推定手段がスケジュール変更有りと推定した場合、前記同一カテゴリに属す複数の異なるキーワードから、前記複数の話者で共有する共有スケジュールに用いるキーワードを選択する選択手段と、
前記選択手段が選択したキーワードに基づいて、前記共有スケジュールを作成するスケジュール作成手段と、を備え、
前記推定手段は、前記抽出手段が同一カテゴリに属す異なるキーワードを複数抽出した場合、前記会話音声におけるスケジュール変更有りと推定し、
前記選択手段は、前記推定手段がスケジュール変更有りと推定した場合、前記同一カテゴリに属す複数の異なるキーワードのうち、前記複数の話者が発話したキーワードを話者単独が発話したキーワードよりも優先して選択する、
ことを特徴とするスケジュール作成装置。
【請求項2】
前記推定手段は、前記抽出手段が同一カテゴリに属す異なるキーワードを複数抽出しなかった場合、前記会話音声におけるスケジュール変更無しと推定し、
前記選択手段は、前記推定手段がスケジュール変更無しと推定した場合、前記抽出手段が抽出した前記同一カテゴリに属す1つのキーワードを選択する、
ことを特徴とする請求項に記載のスケジュール作成装置。
【請求項3】
前記複数の話者の会話音声の音量又はトーンに基づいて、該複数の話者のうち前記共有スケジュールを共有する話者を特定する特定手段をさらに備え、
前記スケジュール作成手段は、前記選択手段が選択したキーワードに基づいて、前記特定手段が特定した話者で共有する共有スケジュールを作成する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスケジュール作成装置。
【請求項4】
前記スケジュール作成手段が作成した前記共有スケジュールが、前記複数の話者全員に共有済みか否か判定する判定手段と、
前記判定手段が前記複数の話者全員に共有済みでないと判定した場合、共有済みでない話者のスケジュールを更新する更新手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載のスケジュール作成装置。
【請求項5】
前記抽出手段は、前記会話音声をテキストに変換し、該変換したテキストが、予め学習しておいた複数のカテゴリのうち何れかのカテゴリに属すキーワードのテキストと一致した場合、該一致したテキストをキーワードとして抽出する、
ことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載のスケジュール作成装置。
【請求項6】
前記複数の話者を音声認識又は画像認識により識別する識別手段をさらに備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載のスケジュール作成装置。
【請求項7】
複数の話者の会話音声からスケジュールに関連するカテゴリに属すキーワードを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにおいて同一カテゴリに属す異なるキーワードを複数抽出したか否かに基づいて、前記会話音声におけるスケジュール変更の有無を推定する推定ステップと、
前記推定ステップにおいてスケジュール変更有りと推定した場合、前記同一カテゴリに属す複数の異なるキーワードから、前記複数の話者で共有する共有スケジュールに用いるキーワードを選択する選択ステップと、
前記選択ステップにおいて選択したキーワードに基づいて、前記共有スケジュールを作成するスケジュール作成ステップと、を備え、
前記推定ステップでは、前記抽出ステップにおいて同一カテゴリに属す異なるキーワードを複数抽出した場合、前記会話音声におけるスケジュール変更有りと推定し、
前記選択ステップでは、前記推定ステップにおいてスケジュール変更有りと推定した場合、前記同一カテゴリに属す複数の異なるキーワードのうち、前記複数の話者が発話したキーワードを話者単独が発話したキーワードよりも優先して選択する、
ことを特徴とするスケジュール作成方法。
【請求項8】
コンピュータを、
複数の話者の会話音声からスケジュールに関連するカテゴリに属すキーワードを抽出する抽出手段、
前記抽出手段が同一カテゴリに属す異なるキーワードを複数抽出したか否かに基づいて、前記会話音声におけるスケジュール変更の有無を推定する推定手段、
前記推定手段がスケジュール変更有りと推定した場合、前記同一カテゴリに属す複数の異なるキーワードから、前記複数の話者で共有する共有スケジュールに用いるキーワードを選択する選択手段、
前記選択手段が選択したキーワードに基づいて、前記共有スケジュールを作成するスケジュール作成手段、として機能させ、
前記推定手段は、前記抽出手段が同一カテゴリに属す異なるキーワードを複数抽出した場合、前記会話音声におけるスケジュール変更有りと推定し、
前記選択手段は、前記推定手段がスケジュール変更有りと推定した場合、前記同一カテゴリに属す複数の異なるキーワードのうち、前記複数の話者が発話したキーワードを話者単独が発話したキーワードよりも優先して選択する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スケジュール作成装置、スケジュール作成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、PC(Personal Computer)や携帯電話などでスケジュール管理をすることが広く行われている。また、近時、ユーザが入力した音声に基づいてスケジュール作成する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、入力された音声から抽出したスケジュールに関連する単語と、その単語の付加情報と、を用いてスケジュール作成する技術が開示されている。
また、特許文献2には、テキスト化された音声データの内容を、ユーザ間で共有する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−198262号公報
【特許文献2】特開2013−118488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スケジュールは関係者複数で共有される場合がある。ここで、特許文献1と特許文献2との技術により、関係者複数で共有するスケジュールを自動作成することが考えられる。
しかしながら、複数の関係者の会話では、例えば関係者間のスケジュール調整がその場で議論されるような場合もある。このため、一人の話者の音声から単独のスケジュールを作成する場合に比べて、共有スケジュールの精度が下がってしまう。このようなことから、正確な共有スケジュールを作成することが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、正確な共有スケジュールを作成するスケジュール作成装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るスケジュール作成装置は、
複数の話者の会話音声からスケジュールに関連するカテゴリに属すキーワードを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が同一カテゴリに属す異なるキーワードを複数抽出したか否かに基づいて、前記会話音声におけるスケジュール変更の有無を推定する推定手段と、
前記推定手段がスケジュール変更有りと推定した場合、前記同一カテゴリに属す複数の異なるキーワードから、前記複数の話者で共有する共有スケジュールに用いるキーワードを選択する選択手段と、
前記選択手段が選択したキーワードに基づいて、前記共有スケジュールを作成するスケジュール作成手段と、を備え、
前記推定手段は、前記抽出手段が同一カテゴリに属す異なるキーワードを複数抽出した場合、前記会話音声におけるスケジュール変更有りと推定し、
前記選択手段は、前記推定手段がスケジュール変更有りと推定した場合、前記同一カテゴリに属す複数の異なるキーワードのうち、前記複数の話者が発話したキーワードを話者単独が発話したキーワードよりも優先して選択する、
とを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、正確な共有スケジュールを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係るスケジュール作成装置を説明するための図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るユーザ端末の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るスケジュール作成装置の構成を示すブロック図である。
図4】話者識別用テンプレートの一例を示す図である。
図5】キーワードテーブルの一例を示す図である。
図6】スケジュールフォーマットの一例を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係るスケジュール作成処理のフローチャートの一例を示す図である。
図8】共有スケジュールの一例を示す図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係るスケジュール作成装置の構成を示すブロック図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係るスケジュール作成処理のフローチャートの一例を示す図である。
図11】更新前の単独スケジュールの一例を示す図である。
図12】更新後の共有スケジュールの一例を示す図である。
図13】本発明の第3の実施形態に係るスケジュール作成装置を説明するための図である。
図14】本発明の第3の実施形態に係るスケジュール作成装置の構成を示すブロック図である。
図15】本発明の第4の実施形態に係るスケジュール作成装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、図1を参照しながら、本発明の実施形態に係るスケジュール作成装置の概要について説明する。この実施形態では、図1に示すように、話者A及びBが会議などでスケジュールについて会話をしている場面設定を前提として説明する。また、この実施形態においては、一例として、スケジュール作成装置200をサーバ、ユーザ端末100をスマートフォン、として説明する。なお、以下では、図1の話者A又はBを特段特定する必要がない場合は、単に話者と称して説明する。
【0011】
スケジュール作成装置200は、話者の音声に基づいてスケジュールを作成する。図1に示す場面設定の場合、複数の話者の会話音声に基づいてスケジュールを作成する。この音声は、ユーザ端末100が収音した音声をリアルタイムでスケジュール作成装置200に送信することで得られる。
【0012】
以下、ユーザ端末100及びスケジュール作成装置200の具体的な構成について順に説明する。まず、ユーザ端末100の構成を、図2を参照して説明する。
【0013】
ユーザ端末100は、図2に示すように、制御部11と、入力部12と、マイク13と、カメラ14と、記憶部15と、通信部16と、表示部17と、を備える。
【0014】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)を備え、記憶部15に記憶された制御プログラムを実行することによりユーザ端末100全体を制御する。
【0015】
入力部12は、ユーザの指示入力のための各種操作ボタン、表示部17が備えるディスプレイに重畳して配置されたタッチパネル、及びこのディスプレイに表示されたソフトウェアキーボードなどで構成される。この実施形態における指示入力としては、例えば、スケジュール作成処理の開始を指示する開始指示、スケジュール作成処理の終了を指示する終了指示などがある。
【0016】
マイク13は、話者の音声を収音する。カメラ14は、話者の画像を撮像する。なお、収音された音声と撮像された画像は通信部16を介してスケジュール作成装置200にリアルタイムに送信される。
【0017】
記憶部15は、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、不揮発性メモリと、を備える。RAMは、データやプログラムを一時的に記憶し、制御部11が備えるCPUのワークメモリとして機能する。ROMは、ユーザ端末100全体の制御に必要な制御プログラムを記憶する。不揮発性メモリは、例えばハードディスクであり、各種データを記憶する。各種データとしては例えば、ユーザ端末100の端末ID(端末識別情報)を含む。
【0018】
通信部16は、任意の通信網(例えば、携帯電話網)を介して、スケジュール作成装置200との間でデータを送受信する。具体的には、通信部16は、マイク13が収音した音声とカメラ14が撮像した画像と自端末の端末IDとをスケジュール作成装置200に送信する。
【0019】
表示部17は、ディスプレイを備え、各種画像を表示する。各種画像としては、例えば、スケジュール作成装置200が作成したスケジュールなどである。
【0020】
次に、スケジュール作成装置200の構成を、図3を参照して説明する。
スケジュール作成装置200は、図3に示すように、制御部20と、記憶部30と、通信部40と、を備える。
【0021】
制御部20は、CPUを備え、記憶部30に記憶された制御プログラムを実行することにより、スケジュール作成装置200全体を制御する。
【0022】
記憶部30は、RAMと、ROMと、不揮発性メモリと、を備える。RAMは、データやプログラムを一時的に記憶し、制御部20が備えるCPUのワークメモリとして機能する。ROMは、スケジュール作成装置200全体の制御に必要な制御プログラムを記憶する。不揮発性メモリは、例えばハードディスクであり、スケジュール作成プログラムや各種データを記憶する。各種データとしては、話者識別用テンプレート31、キーワードテーブル32、及びスケジュールフォーマット33などである。これらについては後述する。また、記憶部30は、制御部20が作成したスケジュールを記憶するスケジュール記憶部34として機能する。
【0023】
通信部40は、任意の通信網(例えば、携帯電話網)を介して、ユーザ端末100との間でデータを送受信する。具体的には、通信部40は、マイク13が収音した音声とカメラ14が撮像した画像とユーザ端末100の端末IDとをユーザ端末100から受信する。
【0024】
次に、制御部20の機能について説明する。
制御部20は、記憶部30に記憶されたスケジュール作成プログラムを実行することにより、話者識別部21、抽出部22、推定部23、選択部24、スケジュール作成部25として機能する。
【0025】
話者識別部21は、ユーザ端末100から通信部40を介して受信した話者の音声、話者の画像及び端末IDに基づいて、話者を識別する。
以下では、(1)音声認識により話者を識別する場合、(2)画像認識により話者を識別する場合、(3)端末IDにより話者を識別する場合、について順に説明する。
【0026】
まず、(1)音声認識により話者を識別する場合、話者識別部21は、任意の公知技術を用い、受信した話者の音声から、話者の音声の特徴を示す特徴量を取得する。この実施形態においては、一例として、話者の声紋(サウンドスペクトログラム)を音声の特徴量として用いる。話者識別部21は、取得した話者の声紋が、予め学習しておいた複数の登録ユーザそれぞれの声紋の何れかと一致するか否かにより話者を識別する。なお、登録ユーザとは、スケジュール作成装置200のスケジュール作成機能を使用するユーザとして予めアカウント登録されたユーザをいう。
【0027】
次に、(2)画像認識により話者を識別する場合、話者識別部21は、任意の公知技術を用い、受信した話者の画像から、話者の特徴を示す画像を取得する。この実施形態においては、一例として、話者の顔画像を話者の特徴を示す画像として用いる。話者識別部21は、取得した話者の顔画像が、予め学習しておいた複数の登録ユーザそれぞれの顔画像の何れかと一致するか否かにより話者を識別する。
【0028】
次に、(3)端末IDにより話者を識別する場合、話者識別部21は、受信した端末IDと、予め記憶するユーザID(ユーザ識別情報)に対応付けられた端末IDと、が一致するか否かにより話者を識別する。
【0029】
以上の(1)乃至(3)による話者の識別は、具体的には話者識別用テンプレート31を用いて行われる。
【0030】
話者識別用テンプレート31は、図4に示すように、ユーザIDである登録ユーザ名と、その登録ユーザ名の登録ユーザの声紋と、その登録ユーザの顔画像と、その登録ユーザが使用するユーザ端末(この実施形態ではユーザ端末100)の端末ID(端末識別情報)と、を対応付けたテーブルである。例えば、登録ユーザ名が「A」あれば、登録ユーザAの声紋は「A1」、登録ユーザAの顔画像は「A2」、登録ユーザAが使用するユーザ端末の端末IDは「A3」であることが分かる。
【0031】
話者識別部21は、ユーザ端末から受信した話者の声紋、話者の顔画像及び受信した端末IDと、話者識別用テンプレート31に含まれる声紋、顔画像及び端末IDと、をそれぞれ比較する。
話者識別部21は、声紋、顔画像、端末IDのうち少なくとも何れか一つが話者識別用テンプレート31に含まれる声紋、顔画像又は端末IDに一致すると判定した場合、話者を、一致した声紋、顔画像又は端末IDに対応付けられた登録ユーザ名の話者であると識別する。そして、話者識別部21は、識別した話者の登録ユーザ名(例えば、「A」)を、スケジュール作成部25へ供給する。
【0032】
図3に戻って、抽出部22は、話者の音声からスケジュールに関連するカテゴリに属すキーワードを抽出する。話者が複数の場合、抽出部22は、複数の話者の会話音声から上記キーワードを抽出する。具体的には、抽出部22は、スケジュールに関連するカテゴリに属すキーワードを、予め学習しておいたキーワードテーブル32を用いて抽出する。
【0033】
キーワードテーブル32は、図5に示すように、スケジュールに関連するカテゴリと、そのカテゴリに属すキーワードのテキストと、を対応付けたテーブルである。本実施形態において、キーワードテーブル32は、図5に示すように、「月」、「日」、「時間」、「場所」、「予定内容」をカテゴリとして含んでいる。例えば、カテゴリ「月」には、キーワードとして「1月」、「2月」、「3月」、「4月」等が対応付けられている。
【0034】
抽出部22は、ユーザ端末100から受信した話者の音声をテキストに変換して、その変換したテキストと、キーワードテーブル32のキーワードのテキストと、を比較する。話者が複数の場合、抽出部22は、複数の話者の会話音声をテキストに変換し、その変換したテキストが、キーワードテーブル32の複数のカテゴリのうち何れかのカテゴリに属すキーワードのテキストと一致した場合、その一致したテキストをキーワードとして抽出する。
【0035】
図3に戻って、推定部23は、抽出部22が同一カテゴリに属す異なるキーワードを複数抽出したか否かに基づいて、音声(話者複数であれば会話音声)におけるスケジュール変更の有無を推定する。この推定部23は、このスケジュール変更の有無を、そのスケジュール変更に係るスケジュールとは別のスケジュールを除外して推定する。つまり、スケジュール変更の有無を、同一スケジュール内で推定する。
【0036】
例えば、図1の話者Aがスケジュール調整のために「4月1日3時から会議室で打ち合わせをしたいのですが、都合いかがですか。」と聞き、話者Bが「4月2日3時の方が打ち合わせの都合がいいです。」が答えた場合、カテゴリの「予定内容」である打ち合わせが一致するので、話者A及びBは同一スケジュールについて会話していると推定する。そして、推定部23は、同一スケジュールにおいてカテゴリ「日」に属す異なるキーワード「1日」「2日」が抽出されたことにより、話者A、Bの会話音声でカテゴリ「日」についてスケジュール変更があったと推定する。
【0037】
このように、推定部23は、同一スケジュールか否かを所定カテゴリ(この実施形態では、一例として、「予定内容」)のキーワードが話者間で一致するか否かに基づいて推定した上で、その同一スケジュール内でのスケジュール変更の有無を推定する。なお、同一スケジュールか否かの判断基準は一例であって、別の基準を用いてもよい。
【0038】
次に、選択部24は、推定部23がスケジュール変更有りと推定した場合、同一カテゴリに属す複数の異なるキーワードのうち、スケジュール作成に用いるキーワードを選択する。上述の例の場合、選択部24は、カテゴリ「日」に属す異なるキーワード「1日」「2日」のうち、共有スケジュールに用いるキーワードを選択する。選択の基準については後述する。
【0039】
一方、選択部24は、推定部23がスケジュール変更無しと推定した場合、すなわち複数の話者の会話音声の中から同一カテゴリで1つのキーワードが抽出された場合、その1つのキーワードを選択する。
このように、この実施形態においては、推定部23と選択部24によりスケジュール(特に、共有スケジュール)の精度を上げるようにしている。
【0040】
次に、スケジュール作成部25は、選択部24が選択したキーワードに基づいて、スケジュールを作成する。選択部24は、話者複数の場合共有スケジュールを、話者単独の場合単独スケジュールを、それぞれ作成する。
【0041】
ここで、スケジュール作成部25は、選択部24が選択したキーワードを、スケジュールフォーマット33に入力することによりスケジュールを作成する。
スケジュールフォーマット33は、図6に示すように、登録ユーザ名と、スケジュールに関連するカテゴリ毎にキーワードを格納するデータスペースと、を互いに対応付けたテーブルである。
【0042】
スケジュール作成部25は、選択部24が選択したキーワードを、識別した話者の登録ユーザ名に対応付けられたデータスペースに入力してスケジュールを作成する。なお、単独スケジュールとは登録ユーザ1名のデータスペースにキーワードが入力されたスケジュール、共有スケジュールとは複数の登録ユーザのデータスペースにキーワードが共通して入力されたスケジュールをいう。
【0043】
スケジュール作成部25は、作成したスケジュールを記憶部30のスケジュール記憶部34に供給する。なお、スケジュール記憶部34に記憶されたスケジュールは、各登録ユーザが使用するユーザ端末それぞれからアクセスすることで参照できる。
【0044】
以上、ユーザ端末100及びスケジュール作成装置200の具体的な構成について説明した。以下では、スケジュール作成装置200が実行するスケジュール作成処理について、図7を参照しながら説明する。なお、このスケジュール作成処理については、図1の場面設定を適宜例にとりながら説明する。また、スケジュール作成装置200は、当然ながら話者識別前は、話者が誰なのか不知である。
【0045】
まず、話者Aは、ユーザ端末100の入力部12からスケジュール作成プログラムを起動後、スケジュール作成を開始するための開始指示を入力する。すると、この開始指示を受け付けたユーザ端末100は、音声の収音ならびに画像の撮像を開始するとともに、自端末の端末IDを開始指示とあわせてスケジュール作成装置200に送信する。
一方、スケジュール作成装置200は、開始指示を受け付けると、音声・画像の待ち受け状態になる。スケジュール作成処理は、ユーザ端末100から送信される音声・画像を受信したことを契機に開始される。
【0046】
まず、スケジュール作成装置200の抽出部22は、キーワードを抽出する(ステップS11)。具体的には、抽出部22は、上述したキーワードテーブル32を用いた抽出手法によるキーワードの抽出処理を、リアルタイムに受信する音声に対して行う。
【0047】
次に、話者識別部21は、話者を識別する(ステップS12)。具体的には、話者識別部21は、話者識別用テンプレート31を用いて、上述した(1)(2)の話者識別処理を、リアルタイムに受信する音声・画像に対して行う。同時に、話者識別部21は、上述した(3)の話者識別処理を、開始指示とともに送信された端末IDと話者識別用テンプレート31とを用いて行う。
【0048】
次に、抽出部22は、キーワードの抽出を終了したか否か判定する(ステップS13)。例えば、抽出部22は、音声が所定時間以上途切れた場合のタイムアウト、あるいはユーザ端末100から送信される終了指示の受信、などによりキーワード抽出の終了判定を行う。このキーワード抽出が終了する(ステップS13;No)まで、すなわち、話者複数であれば会話終了、話者単独であれば発話終了するまでステップS11、S12の処理を繰り返して、キーワードの抽出と話者の識別を行い続ける(ステップS11、S12、S13のループ)。
【0049】
ここで、上記ステップS11及び12は、説明の便宜上、順番で処理しているものの、これら抽出と話者識別はリアルタイムに受信する音声・画像に対して同時進行で処理される。つまり、スケジュール作成装置200は、キーワード抽出が終了するまで、受信した音声からキーワードを抽出しつつ、音声・画像・端末IDにより話者を識別する。
【0050】
ここで、例1として、図1の話者Aがスケジュール確認するために「4月2日の打ち合わせについて、時間と場所を教えて下さい。」と聞き、それに対して話者Bが「打ち合わせは、3時から会議室で行います。」と回答した場面を想定する。
【0051】
この場合、抽出部22は、ステップS11において、ユーザ端末100から受信した音声を変換したテキストのうち、キーワードテーブル32に含まれるキーワードのテキストに一致する「4月」、「2日」、「打ち合わせ」、「3時」、「会議室」の各テキストを、スケジュールに関連するキーワードとして抽出する。
【0052】
一方、話者識別部21は、ステップS12において、話者識別用テンプレート31を用いて、開始指示とともに送信された端末ID「A3」に対応付けられた登録ユーザ名「A」を特定する。そして、話者識別部21は、話者が登録ユーザ名「A」の話者であると識別する。
また、話者識別部21は、話者識別用テンプレート31を用いて、受信した音声「打ち合わせは、3時から会議室で行います。」から求めた声紋が、声紋B1と一致すると判定し、別の話者が登録ユーザ名「B」の話者であると識別する。
【0053】
図7のスケジュール作成処理に戻って、キーワードの抽出を終了すると(ステップS13;Yes)、話者識別部21は、識別した話者は複数か否か判定する(ステップS14)。ここで、識別した話者は複数であると判定した場合(ステップS14;Yes)、共有スケジュールの精度向上のために、推定部23と選択部24とが協働して会話音声におけるスケジュール変更の有無に基づいて、キーワードを選択する(ステップS15)。
【0054】
上述した例1の場合、まず、推定部23は、話者Aから発話された「打ち合わせ」と話者Bから発話された「打ち合わせ」が一致し、かつ、抽出したキーワード(「4月」、「2日」、「打ち合わせ」、「3時」、「会議室」)において同一カテゴリに属す複数の異なるキーワードがないので、スケジュール変更なしと推定する。続いて、選択部24は、スケジュール変更なしと推定されたので、同一カテゴリに属す1つのキーワード(「4月」、「2日」、「打ち合わせ」、「3時」、「会議室」)をそれぞれ選択する。
【0055】
図7に戻って、スケジュール作成部25は、選択したキーワードに基づいて、共有スケジュールを作成する(ステップS16)。上述した例1の場合、スケジュール作成部25は、「4月」、「2日」、「打ち合わせ」、「3時」、「会議室」に基づいて、図8に示す話者A、Bの共有スケジュールを作成する。
一方、例2として、図1の話者Aがスケジュール調整のために、「4月1日3時から会議室で打ち合わせをしたいのですが、都合いかがですか。」と聞き、話者Bが「4月2日3時の方が打ち合わせの都合がいいです。」が答え、さらに話者Aが「私は、4月1日の方がいいのですが、4月2日でも大丈夫です。」と返答したとする。
【0056】
この場合、ステップS15において、推定部23は、まず、話者Aから発話された「打ち合わせ」と話者Bから発話された「打ち合わせ」が一致するので同一スケジュールと推定する。そして、推定部23は、抽出したキーワード(「4月」、「1日」、「2日」、「打ち合わせ」、「3時」、「会議室」)において同一カテゴリに属す複数の異なるキーワード「1日」、「2日」があるので、スケジュール変更ありと推定する。
【0057】
続いて、選択部24は、「1日」又は「2日」のうち、複数の話者A、Bが発話したキーワードを話者単独が発話したキーワードよりも優先して選択する。すなわち、「1日」は話者Aが単独で計2回発話しており、「2日」は話者A、Bがそれぞれ1回ずつ計2回発話しているから、選択部24は、「2日」を共有スケジュールに用いるキーワードとして選択する。このように、話者単独よりも複数の話者の意思が合致した場合にキーワード選択の重みをつけるようにする。同時に選択部24は、同一カテゴリに属す1つのキーワード(「4月」、「打ち合わせ」、「3時」、「会議室」)を選択する。そして、スケジュール作成部25は、これらキーワード(「4月」、「2日」、「打ち合わせ」、「3時」、「会議室」)に基づいて、図8に示す共有スケジュールを作成する。
【0058】
なお、上記例2の場合において、話者Aが「1日」と1回発話し、話者Bが「2日」と1回発話した場合、選択部24は、時系列で後出のキーワード「2日」を前出のキーワード「1日」よりも優先して選択するとよい。時系列で後に発話されるキーワードは、会話の中で更新されたキーワードである可能性が高いからである。
【0059】
図7に戻って、識別した話者は複数でないと判定した場合(ステップS14;No)、すなわち話者が単独の場合、上述した推定部23と選択部24の要領で話者単独の発話音声におけるスケジュール変更の有無に基づいて、キーワードを選択する(ステップS17)。話者単独の場合に、同一スケジュール内でスケジュール変更があれば、選択部24は、例えば、複数のキーワードのうち話者の発話回数が最も多いキーワードを選択する、あるいは発話回数が同数であれば時系列で後出のキーワードを選択する、などによりキーワードを選択する。
【0060】
次に、スケジュール作成部25は、選択したキーワードに基づいて、単独スケジュールを作成する(ステップS18)。共有スケジュール又は単独スケジュールを作成後(ステップS16又はS18の後)、スケジュール作成処理を終了する。
【0061】
以上説明したように、本実施形態に係るスケジュール作成装置200によれば、推定部23と選択部24とを備えたことにより、単に抽出したキーワードに基づき共有スケジュールを作成するだけでなく、会話の中でスケジュール変更があれば同一カテゴリで2以上あるキーワードの中から選択したキーワードを用いて共有スケジュールを作成することができる。このため、会話の中でのスケジュール変更を加味した正確な共有スケジュールを作成することができる。
【0062】
また、選択部24は、同一カテゴリの2以上のキーワードのうち、複数の話者が発話したキーワードを話者単独が発話したキーワードよりも優先して選択するようにしている。このため、複数の話者の意思の合致を考慮したより正確な共有スケジュールを作成することができる。なお、選択部24の選択手法はこれに限られず、例えば、時系列で後出のキーワードを前出のキーワードより優先して選択してもよい。これによれば会話の中で更新されたキーワード、例えば、言い間違えの訂正などを反映した正確な共有スケジュールを作成することができる。
【0063】
また、推定部23は、会話音声におけるスケジュール変更の有無を、そのスケジュール変更に係るスケジュールとは別のスケジュールを除外して推定する。これによれば、会話の中での別スケジュールの話しをスケジュール変更と誤認する事態を避けることができるので、正確な共有スケジュールを作成することができる。なお、スケジュール作成部25は、除外された別スケジュールを共有スケジュールとして、同時に2つの共有スケジュールを作成してもよい。
【0064】
また、この実施形態では、同一スケジュールか否かの判断基準(別のスケジュールとして除外する基準)を所定カテゴリ「予定内容」が一致するか否かとしたが、これに代えて、例えば異なるカテゴリの一致数に基づいて同一スケジュールか否か判断してもよい。例えば、カテゴリ「時間」「場所」「予定内容」の3つが一致すれば同一スケジュールと判断することが考えられる。
【0065】
また、スケジュール作成装置200の抽出部22は、話者の音声からスケジュールに関連するキーワードをテキストのマッチングにより抽出する。キーワード抽出を音声のマッチングで行った場合、すなわちキーワードテーブル32の各キーワードがテキストではなく音素の集合からなる音素波形だった場合、話者毎に発声したキーワードは必ずしも同じ音素波形になるとは限らない。
このため、テキストのマッチングによるキーワード抽出の手法によれば、話者毎の音の個性が失われるのでキーワード抽出の精度を向上することができる。ただし、音声同士の比較によるキーワード抽出を妨げるものではない。
【0066】
また、この実施形態におけるスケジュール作成装置200によれば、話者識別部21は、話者を(1)音声認識(2)画像認識(3)端末IDにより識別するようにしている。このため、何れか一つの話者識別の手法により話者識別できればよいので、一つの手法のみを用いた話者識別よりも識別確度を上げることができる。特に、ユーザ端末100のカメラ14の画角に話者の顔が入ってない場合などに好適である。また、上記(1)乃至(3)に限らず、話者の指紋データや虹彩パターンの照合などにより話者を識別してもよい。
【0067】
また、上述した図7のスケジュール作成処理においては、識別した話者が複数であれば(ステップS14;Yes)、その複数の話者全員に対する共有スケジュールを作成するようにしたが、これに限られない。例えば、ステップS14の後に、複数の話者のうち、所定の条件を満たすか否か判定するステップを加え、その後にスケジュール作成部25は、所定の条件を満たす話者で共有される共有スケジュールを作成してもよい。
【0068】
例えば、所定の条件として音量やトーンを用いることができる。音量を用いる場合、制御部20は、話者識別部21が話者を複数識別した場合、その複数の話者の会話音声の音量に基づいて、その複数の話者のうち共有スケジュールを共有する話者を特定すればよい。そして、スケジュール作成部25は、制御部20が特定した話者で共有する共有スケジュールを作成すればよい。なお、この場合、制御部20は、特定手段として機能する。
【0069】
具体的には、制御部20は、話者識別部21が識別した複数の話者のうち、その話者の会話音声の音量が所定の閾値以下である話者を、共有スケジュールを共有する話者として特定すればよい。
この態様によれば、会議やブリーフィングに参加している登録ユーザ(例えば、図1の話者A及びB)と、登録ユーザではあるものの会議やブリーフィングの参加者ではない通りすがりの人(例えば、話者ではない登録ユーザ名Cの登録ユーザ)と、を音量に基づいて判別し、前者によってのみ共有される共有スケジュールを作成できる。会議やブリーフィングの参加者以外の人間が通りかかる環境においてスケジュールの打ち合わせを行う話者は、互いにのみ会話の内容が聞き取れるように、小声で話す可能性が高いからである。
【0070】
また、制御部20は、話者識別部21が識別した複数の話者のうち少なくとも何れか一人の会話音声の声量が所定の閾値以上である場合、話者識別部21が識別した複数の話者全員を、共有スケジュールを共有する話者として特定することとしてもよい。
この態様によれば、会議やブリーフィングにおいて参加者全員を対象に周知したいスケジュールを、参加者全員によって共有されるスケジュールとして共有設定することができる。話者が一定以上の大声でスケジュールについて話している場合、会議やブリーフィングに参加している人全員でスケジュールを共有することを所望している可能性が高いからである。
【0071】
以上で実施形態の説明を終了するが、上記実施形態は一例であり、スケジュール装置200の構成やスケジュール作成処理の内容などが上記実施形態で説明したものに限られないことはもちろんである。
【0072】
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態において、スケジュール作成装置200は、スケジュール作成部25が作成したスケジュールが既に登録されているか否か判定することなく、スケジュール登録するようにした。そこで、第2の実施形態におけるスケジュール作成装置200’においては、重複登録を避けるための新たな機能を追加した点がスケジュール作成装置200と異なる。以下では、この異なる点を中心に説明する。
【0073】
図9に示すように、スケジュール作成装置200’は、新たな機能として、判定部26及び更新部27を備える。
【0074】
判定部26は、スケジュール作成部25が作成した共有スケジュールが、複数の話者全員に共有済みか否か判定する。また、判定部26は、スケジュール作成部25が作成した単独スケジュールが登録済みか否か判定する。
【0075】
更新部27は、共有スケジュールが複数の話者全員に共有済みでないと判定部26が判定した場合、共有済みでない話者のスケジュールを更新する。また、更新部27は、単独スケジュールが登録済みではないと判定部26が判定した場合、スケジュール作成部25が作成した単独スケジュールを登録する。
【0076】
以下、スケジュール作成装置200’のスケジュール作成処理について、図10を参照しながら説明する。このスケジュール作成処理は、新たな機能に係るステップS19乃至22を加えた以外は第1の実施形態に係るスケジュール作成処理と同じなので、異なるステップを中心に説明する。
【0077】
ステップS16においてスケジュール作成部25が共有スケジュールを作成した後、判定部26は、共有スケジュールは共有済みか否か判定する(ステップS19)。具体的には、判定部26は、共有スケジュールが複数の話者全員に共有済みか否か判定する。
【0078】
ここで、共有スケジュールが複数の話者全員に共有されていないと判定された場合(ステップS19;No)、更新部27は、共有スケジュールを共有済みでない話者のスケジュールを更新して(ステップS20)、処理を終了する。
例えば、識別した話者がA及びBである場合において、Aのみに既存スケジュールが登録されている場合は、図11に示す更新前の単独スケジュールを、図12に示す共有スケジュールに更新する。
一方、共有スケジュールが共有済みと判定された場合(ステップS19;Yes)、例えば、話者A及びBが既にスケジュールを共有済みである場合、処理を終了する。
【0079】
一方、ステップS18においてスケジュール作成部25が単独スケジュールを作成した後、判定部26は、単独スケジュールは登録済みか否か判定する(ステップS21)。
ここで、単独スケジュールが複数の登録済みでないと判定された場合(ステップS21;No)、更新部27は、単独スケジュールを新規登録して(ステップS22)、処理を終了する。一方、単独スケジュールが登録済みと判定された場合(ステップS21;Yes)、処理を終了する。
【0080】
以上説明したように、第2の実施形態に係るスケジュール作成装置200’によれば、判定部26と更新部27を備えたことにより、共有スケジュールが共有済みでない場合と単独スケジュールが登録済みでない場合とに限って更新・新規登録を行うことができる。このため、スケジュール作成装置200’によれば、重複登録を避けつつ、必要がある場合にのみ更新・新規登録を行うことができる。
【0081】
(第3の実施形態)
上述した第1及び第2の実施形態において、スケジュール作成装置200は、別装置であるユーザ端末100から受信した話者の音声、画像、端末IDを用いて話者を識別することを前提に説明したが、これに限られない。例えば、図13に示すように、ノートPCであるスケジュール作成装置300が音声の収音、画像の撮像を行うようなスタンドアロン型の構成にしてもよい。
【0082】
この場合、スケジュール作成装置300は、図14に示すように、音声を収音するためのマイク50、画像を撮像するためのカメラ60を備える。そして、スケジュール作成装置300は、自装置で収音した音声と撮像した画像とにより、上述した図7のスケジュール作成処理を実行してスケジュールを作成する。スケジュール作成処理のトリガは、話者A又はBがスケジュール作成プログラムを起動して開始指示を入力した場合にすればよい。なお、作成した共有スケジュールは、サーバ等にアップロードすることでスケジュール作成装置300の所有者以外も共有スケジュールを参照することができる。
【0083】
以上説明した第3の実施形態に係るスケジュール作成装置300によれば、スタンドアロン型であるため、音声と画像の送信に伴う遅延を生じることなく迅速に話者識別、キーワード抽出を行ってスケジュールを作成することができる。このため、通信ネットワークの状況に依らずに、即座にスケジュールを作成することができるのでユーザビリティを向上することができる。
【0084】
(第4の実施形態)
上述した第1の実施形態において、スケジュール作成装置200は、複数の話者全員で共有する共有スケジュールを作成することを前提に説明した。この場合、スケジュールに関連するキーワードを発話していない話者についても会話音声から話者識別されると共有スケジュールを作成することになる。例えば、話者A及びB以外のCがキーワードを発話していないような場合にもABCで共有する共有スケジュールを作成する。
【0085】
そこで、図15に示す第4の実施形態に係るスケジュール作成装置400のスケジュール作成部25は、抽出部22が抽出したキーワードを発話した話者のみで共有する共有スケジュールを作成するようにする。この場合、例えば、話者識別部21は、話者識別用テンプレートを用いて話者を識別する際、抽出部22が抽出したキーワードの発話音声部分の声紋から話者を識別するようにする。そして、スケジュール作成部25は、キーワードを発話した話者のみで共有する共有スケジュール(上述の例では、Cを除いたABで共有する共有スケジュール)を作成すればよい。
【0086】
また、スケジュール修正部28は、スケジュール作成部25によって作成され、スケジュール記憶部34に記憶された共有スケジュールを修正する。上述した実施形態1のスケジュール作成装置200は、推定部23、選択部24などによりリアルタイムで受信する会話音声から、修正が反映された修正済みの共有スケジュールを作成したが、スケジュール修正部28は、一旦記憶された共有スケジュールに対して修正を行う。スケジュール修正部28の修正手法は任意だが、例えば、録音された会話音声に基づいて、推定部23、選択部24などと同様の機能により、同一カテゴリで複数のキーワードが抽出されていたような場合、1つのキーワードを選択する等して修正を行えばよい。なお、録音音声に限らず、一旦記憶された共有スケジュールに対してリアルタイムに逐一修正を行ってもよいことはもちろんである。
【0087】
この実施形態4に係るスケジュール作成装置400によれば、修正機能により共有スケジュールの精度を上げつつ、スケジュールを共有する必要のない話者を除いた話者間での共有スケジュールを作成することができる。
共有するスケジュールは複数であってよく、例えば話者ABCDEが発話していたとき、「4月2日企画会議3時会議室」のスケジュールは話者ABCが共有し、「4月3日販売会議3時会議室」のスケジュールは話者ACDが共有する。
【0088】
なお、上述した第1及び第2の実施形態において図7のスケジュール作成処理は、識別した話者が複数であれば(ステップS14;Yes)、共有スケジュールの作成を開始したが、これに限られない。例えば、ステップS14の後に話者の承諾があったか否か判定する処理を加えて、承諾があることをトリガに共有スケジュールの作成を開始してもよい。
具体的には、予め承諾に関連するキーワード(例えば、「分かりました」や「了解」など)を記憶しておき、何れかの話者がそのキーワードを発話したことをトリガとして共有スケジュールを作成してもよい。これによれば、話者がスケジュールの共有を望まない場合などに強制的に共有スケジュールを作成してしまう事態を避けることができる。
【0089】
なお、上述した第1及び第2の実施形態おいては、ユーザ端末100はスマートフォンであることを前提に説明したが、これに限られない。可搬型であればよく、例えば、ノートPC、タブレット端末などを用いることができる。また、スケジュール作成装置200、200’は、サーバに限らず、スケジュール作成処理の負荷に耐えうる装置であればどのような装置でも構わない。例えば、PCを用いることができる。
また、各実施形態で共通するスケジュールフォーマット33の態様は一例であって、別の態様(例えば、カレンダー形式など)を採用してもよいことはもちろんである。
【0090】
また、この発明のスケジュール作成装置200、200’、300、400の各機能は、通常のPC等のコンピュータによっても実施することができる。
具体的には、上記実施形態では、スケジュール作成装置200、200’、300、400が行うスケジュール作成処理のプログラムが、記憶部30のROMに予め記憶されているものとして説明した。しかし、スケジュール作成処理のプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)及びMO(Magneto−Optical Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の各機能を実現することができるコンピュータを構成してもよい。
【0091】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0092】
(付記1)
複数の話者の会話音声からスケジュールに関連するカテゴリに属すキーワードを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が同一カテゴリに属す異なるキーワードを複数抽出したか否かに基づいて、前記会話音声におけるスケジュール変更の有無を推定する推定手段と、
前記推定手段がスケジュール変更有りと推定した場合、前記同一カテゴリに属す複数の異なるキーワードのうち、前記複数の話者で共有する共有スケジュールに用いるキーワードを選択する選択手段と、
前記選択手段が選択したキーワードに基づいて、前記共有スケジュールを作成するスケジュール作成手段と、
を備えたことを特徴とするスケジュール作成装置。
【0093】
(付記2)
前記推定手段は、前記会話音声におけるスケジュール変更の有無を、該スケジュール変更に係るスケジュールとは別のスケジュールを除外して推定する、
ことを特徴とする付記1に記載のスケジュール作成装置。
【0094】
(付記3)
前記推定手段は、前記抽出手段が同一カテゴリに属す異なるキーワードを複数抽出した場合、前記会話音声におけるスケジュール変更有りと推定し、
前記選択手段は、前記推定手段がスケジュール変更有りと推定した場合、前記同一カテゴリに属す複数の異なるキーワードのうち、前記複数の話者が発話したキーワードを話者単独が発話したキーワードよりも優先して選択する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載のスケジュール作成装置。
【0095】
(付記4)
前記推定手段は、前記抽出手段が同一カテゴリに属す異なるキーワードを複数抽出した場合、前記会話音声におけるスケジュール変更有りと推定し、
前記選択手段は、前記推定手段がスケジュール変更有りと推定した場合、前記同一カテゴリに属す複数の異なるキーワードのうち、時系列で後出のキーワードを前出のキーワードよりも優先して選択する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載のスケジュール作成装置。
【0096】
(付記5)
前記推定手段は、前記抽出手段が同一カテゴリに属す異なるキーワードを複数抽出しなかった場合、前記会話音声におけるスケジュール変更無しと推定し、
前記選択手段は、前記推定手段がスケジュール変更無しと推定した場合、前記抽出手段が抽出した前記同一カテゴリに属す1つのキーワードを選択する、
ことを特徴とする付記1乃至4の何れか一つに記載のスケジュール作成装置。
【0097】
(付記6)
前記複数の話者の会話音声の音量又はトーンに基づいて、該複数の話者のうち前記共有スケジュールを共有する話者を特定する特定手段を備え、
前記スケジュール作成手段は、前記選択手段が選択したキーワードに基づいて、前記特定手段が特定した話者で共有する共有スケジュールを作成する、
ことを特徴とする付記1乃至5の何れか一つに記載のスケジュール作成装置。
【0098】
(付記7)
前記スケジュール作成手段が作成した前記共有スケジュールが、前記複数の話者全員に共有済みか否か判定する判定手段と、
前記判定手段が前記複数の話者全員に共有済みでないと判定した場合、共有済みでない話者のスケジュールを更新する更新手段と、
を備えたことを特徴とする付記1乃至6の何れか一つに記載のスケジュール作成装置。
【0099】
(付記8)
前記抽出手段は、前記会話音声をテキストに変換し、該変換したテキストが、予め学習しておいた複数のカテゴリのうち何れかのカテゴリに属すキーワードのテキストと一致した場合、該一致したテキストをキーワードとして抽出する、
ことを特徴とする付記1乃至7の何れか一つに記載のスケジュール作成装置。
【0100】
(付記9)
前記複数の話者を音声認識又は画像認識により識別する識別手段を備えた、
ことを特徴とする付記1乃至8の何れか一つに記載のスケジュール作成装置。
【0101】
(付記10)
話者を識別する話者識別手段と、
前記話者識別手段が話者を複数識別した場合、該複数の話者の会話音声からスケジュールに関連するカテゴリに属すキーワードを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出したキーワードを発話した話者のみで共有する共有スケジュールを作成するスケジュール作成手段と、
前記スケジュール作成手段が作成した共有スケジュールを、前記複数の話者の会話音声に基づいて修正するスケジュール修正手段と、
を備えたことを特徴とするスケジュール作成装置。
【0102】
(付記11)
前記スケジュール作成手段は、前記抽出手段が抽出したキーワードのうち共通のキーワードを発話した話者のみで共有する共有スケジュールを作成する、
ことを特徴とする付記10に記載のスケジュール作成装置。
【0103】
(付記12)
複数の話者の会話音声からスケジュールに関連するカテゴリに属すキーワードを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにおいて同一カテゴリに属す異なるキーワードを複数抽出したか否かに基づいて、前記会話音声におけるスケジュール変更の有無を推定する推定ステップと、
前記推定ステップにおいてスケジュール変更有りと推定した場合、前記同一カテゴリに属す複数の異なるキーワードのうち、前記複数の話者で共有する共有スケジュールに用いるキーワードを選択する選択ステップと、
前記選択ステップにおいて選択したキーワードに基づいて、前記共有スケジュールを作成するスケジュール作成ステップと、
を備えたことを特徴とするスケジュール作成方法。
【0104】
(付記13)
コンピュータを、
複数の話者の会話音声からスケジュールに関連するカテゴリに属すキーワードを抽出する抽出手段、
前記抽出手段が同一カテゴリに属す異なるキーワードを複数抽出したか否かに基づいて、前記会話音声におけるスケジュール変更の有無を推定する推定手段、
前記推定手段がスケジュール変更有りと推定した場合、前記同一カテゴリに属す複数の異なるキーワードのうち、前記複数の話者で共有する共有スケジュールに用いるキーワードを選択する選択手段、
前記選択手段が選択したキーワードに基づいて、前記共有スケジュールを作成するスケジュール作成手段、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0105】
100…ユーザ端末、200,200’,300,400…スケジュール作成装置、11…制御部、12…入力部、13,50…マイク、14,60…カメラ、15…記憶部、16…通信部、17…表示部、20…制御部、21…話者識別部、22…抽出部、23…推定部、24…選択部、25…スケジュール作成部、26…判定部、27…更新部、28…スケジュール修正部、30…記憶部、31…話者識別用テンプレート、32…キーワードテーブル、33…スケジュールフォーマット、34…スケジュール記憶部、40…通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15