特許第6596917号(P6596917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国電力株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6596917-侵入者識別装置 図000002
  • 特許6596917-侵入者識別装置 図000003
  • 特許6596917-侵入者識別装置 図000004
  • 特許6596917-侵入者識別装置 図000005
  • 特許6596917-侵入者識別装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596917
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】侵入者識別装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 15/02 20060101AFI20191021BHJP
【FI】
   G08B15/02
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-101578(P2015-101578)
(22)【出願日】2015年5月19日
(65)【公開番号】特開2016-218653(P2016-218653A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤本 大樹
(72)【発明者】
【氏名】立脇 由哲
【審査官】 山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−124048(JP,A)
【文献】 特開昭55−059598(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0068122(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3161242(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 27/00−27/06
G08B 13/00−15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅等の敷地境界内に不法侵入した侵入者を識別するための侵入者識別装置であって、
前記敷地境界内における任意の位置の地中に配設される装置本体と、
一端側が開口された中空の柱状をなし、当該一端側から前記装置本体に対して略鉛直方向に摺動可能に係合される蓋部と、
前記装置本体と前記蓋部との間に介在され、射出物としての着色剤が封入された風船からなる射出物封入部材と、を備え、
前記蓋部は、他端側に前記装置本体と対向して配置される上面部を有し、当該上面部の表面が地表と面一となるように配置され、
前記上面部には、複数の貫通孔が穿設されており、
前記貫通孔における前記上面部の裏面側には、前記蓋部の一端側に向かって突出した突起部が設けられており、
前記侵入者によって踏み付けられることで前記上面部に荷重が加えられると、前記風船が押圧されて前記突起部によって強制的に破裂させられることにより、前記封入された射出物が前記貫通孔から噴射される
ことを特徴とする侵入者識別装置。
【請求項2】
住宅等の敷地境界内に不法侵入した侵入者を識別するための侵入者識別装置であって、
前記敷地境界内における任意の位置の地中に配設される装置本体と、
一端側が開口された中空の柱状をなし、当該一端側から前記装置本体に対して略鉛直方向に摺動可能に係合される蓋部と、
前記装置本体と前記蓋部との間に介在され、射出物が封入された射出物封入部材と、を備え、
前記蓋部は、他端側に前記装置本体と対向して配置される上面部を有し、当該上面部の表面が地表と面一となるように配置され、
前記上面部には、複数の貫通孔が穿設されており、
前記射出物封入部材は、前記射出物としての着色剤を封入したスプレーからなり、
前記侵入者によって踏み付けられることで前記上面部に荷重が加えられることによって、前記スプレーが押圧されることにより、前記着色材が前記貫通孔から噴射される
ことを特徴とする侵入者識別装置。
【請求項3】
住宅等の敷地境界内に不法侵入した侵入者を識別するための侵入者識別装置であって、
前記敷地境界内における任意の位置の地中に配設される装置本体と、
一端側が開口された中空の柱状をなし、当該一端側から前記装置本体に対して略鉛直方向に摺動可能に係合される蓋部と、
前記装置本体と前記蓋部との間に介在され、射出物が封入された射出物封入部材と、を備え、
前記蓋部は、他端側に前記装置本体と対向して配置される上面部を有し、当該上面部の表面が地表と面一となるように配置され、
前記上面部には、複数の貫通孔が穿設されており、
前記射出物封入部材は、前記射出物としての着色剤を封入したガス充填ボンベからなり、
前記侵入者によって踏み付けられることで前記上面部に荷重が加えられることによって当該ガス充填ボンベからガスと共に前記着色剤が噴出されることにより、前記着色材が前記貫通孔から噴射される
ことを特徴とする侵入者識別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敷地境界内へ不法侵入した侵入者に対して塗料等の射出物を付着させるための侵入者識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅や公共施設等の敷地境界内に不法侵入する侵入者に対しては、防犯カメラやアラーム付きセンサ等のセキュリティーシステムを設置することによって対策がなされていた。しかし、例えば侵入者が施設の従業員に変装する等して、外観上、正規の従業員と見分けがつかない(すなわち、その施設の従業員と侵入者との外観が似ている)場合、それらの判別が困難であり、追跡も難航する問題が生じることがあった。
【0003】
かかる問題の解決手段の一例として、例えば、特許文献1に記載された侵入者識別インク噴射装置が知られている。この侵入者識別インク噴射装置は、マットスイッチ、超音波スイッチ、赤外線光電スイッチによって銀行等に対する不法侵入者や犯罪者を検知すると、当該不法侵入者や犯罪者に向けて、紫外線照射のみによって発光する識別インクを噴射(発射)するようになっている。
【0004】
また、特許文献2に記載されるように、電源スイッチを入れることでセンサが稼働し、人の接近を感知した場合、臭いと塗料を仕込んだ花火弾を発射すると共に空中で破裂させ、強盗や侵入者に付着させることで識別・追跡・逮捕が容易になるという強盗目印花火弾が知られている。
【0005】
さらに、特許文献3に記載されるように、防犯や有害な野生動物の駆除等の目的に有効な物質の入った射出物を瞬時に射出するためのガスボンベ内蔵型カ−トリッジであって、ガス充填ボンベ内に充填されたガスの圧力により、特殊塗料等を噴出して対象物に付着させることが可能なものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願平6−500397号公報
【特許文献2】特開2003−256941号公報
【特許文献3】実用新案登録第3121277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1,2の技術では、電源が確保できる場所(範囲)でしか使用することができず、例えば、敷地内が広大であって、一般的な出入口以外の場所では電源が確保できないような場合、当該出入口以外の場所からの侵入に対して検知することができない問題や、設備投資が高額となる問題があった。加えて、特許文献2の技術では、花火弾を用いているため、耐環境性に関する問題があった。さらに、特許文献3の技術では、特殊塗料等の射出物を射出するための人員または動作制御用の装置が別途必要であり、当該人員(操作者)の配置や動作制御用の装置を設置しなければ使用できない問題があった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、供給電源や操作者(人員)、動作制御用の装置を不要とすることで設置場所を適宜設定可能としつつ、不法な侵入者を的確に識別できると共に、その追跡の容易化を図ることが可能な侵入者識別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る侵入者識別装置は、
住宅等の敷地境界内に不法侵入した侵入者を識別するための侵入者識別装置であって、
前記敷地境界内における任意の位置の地中に配設される装置本体と、
一端側が開口された中空の柱状をなし、当該一端側から前記装置本体に対して略鉛直方向に摺動可能に係合される蓋部と、
前記装置本体と前記蓋部との間に介在され、射出物としての着色剤が封入された風船からなる射出物封入部材と、を備え、
前記蓋部は、他端側に前記装置本体と対向して配置される上面部を有し、当該上面部の表面が地表と面一となるように配置され、
前記上面部には、複数の貫通孔が穿設されており、
前記貫通孔における前記上面部の裏面側には、前記蓋部の一端側に向かって突出した突起部が設けられており、
前記侵入者によって踏み付けられることで前記上面部に荷重が加えられると、前記風船が押圧されて前記突起部によって強制的に破裂させられることにより、前記封入された射出物が前記貫通孔から噴射される
ことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、侵入者識別装置が敷地境界内における任意の位置の地中に配設され、侵入者によって踏み付けられることで、表面が地表と面一となるように配置される蓋部の上面部に荷重が加えられると、装置本体と蓋部との間に介在される射出物封入部材が押圧される。これにより、封入された射出物が上面部の貫通孔から噴射され、侵入者に対し当該射出物を噴き付けることができる。従って、電力によって駆動する電動式ではなく、侵入者自らの踏み付ける力を用いて動作させることができるため、供給電源や操作者(人員)、動作制御用の装置を不要とし、設置場所を適宜設定可能としつつ、不法な侵入者を的確に識別できると共に、その追跡の容易化を図ることができる。また、装置本体と蓋部と射出物封入部材とを有した簡易な構成で実現できるため、設置も容易であり、コストパフォーマンス面でも優れている。
【0011】
また、前記射出物封入部材は、前記射出物としての着色剤を封入した風船からなり、前記荷重が加えられることで当該風船が破裂し、前記封入された射出物が前記貫通孔から噴射される。
【0012】
これによれば、射出物である着色剤を封入した射出物封入部材を風船によって構成するため、侵入者の踏み付けによる荷重によって、当該風船を容易に破裂させることができる上、装置内部の風船を交換するだけで、簡単に再利用することが可能となる。よって、コストパフォーマンスに優れている。
【0013】
また、前記貫通孔における前記上面部の裏面側には、前記蓋部の一端側に向かって突出した突起部が設けられており、前記侵入者によって踏み付けられることで前記上面部に荷重が加えられると、前記突起部によって、前記射出物封入部材が強制的に破裂させられる。
【0014】
これによれば、貫通孔における上面部の裏面側に、突起部(例えば、鋭利な形状からなる刃や針など)が設けられることで、前記風船を破裂させるための破壊力を格段に向上させることができる。よって、例えば、侵入者が踏み付ける過程で本装置に気付いたとしても、僅かな荷重が掛かっただけで簡単に風船を破裂させることが可能となるため、ひとたび踏み付けた侵入者に対し、確実に着色剤を噴き付けることができる。
【0015】
また、本発明において、前記射出物封入部材は、前記射出物としての着色剤を封入したスプレーからなり、前記荷重が加えられることで当該スプレーが押圧されることにより、前記着色剤が前記貫通孔から噴射されることとしてもよい
さらに、前記射出物封入部材は、前記射出物としての着色剤を封入したガス充填ボンベからなり、前記荷重が加えられることで当該ガス充填ボンベからガスと共に前記着色剤が噴出されることにより、当該着色剤が前記貫通孔から噴射されることとしてもよい
【0016】
これによれば、射出物である着色剤を封入した射出物封入部材をスプレーまたはガス充填ボンベによって構成するため、侵入者の踏み付けによる荷重によって、当該スプレーまたはガス充填ボンベを容易に押圧することができる上、装置内部のスプレーまたはガス充填ボンベを交換するだけで、簡単に再利用することが可能となる。よって、コストパフォーマンスに優れている。
【0017】
その他、本願が開示する課題、およびその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、および図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、供給電源や操作者(人員)、動作制御用の装置を不要とすることで設置場所を適宜設定可能としつつ、不法な侵入者を的確に識別できると共に、その追跡の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による侵入者識別装置の一実施形態の構成を概略的に示す断面斜視図である。
図2図1の要部である貫通孔を拡大して示す断面図である。
図3】本発明による侵入者識別装置の他の実施形態の構成を部分的に透視して示す斜視図である。
図4】本発明による侵入者識別装置の使用例を他の実施形態を用いて概略的に示す斜視図である。
図5】本発明による侵入者識別装置の他の実施形態の構成を部分的に透視して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る侵入者識別装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う侵入者識別装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
【0021】
本発明による侵入者識別装置は、侵入者を識別するためのセキュリティーシステムの一つとして機能するものであり、住宅や公共施設(例えば、公園・学校・保育所・図書館・病院),銀行,郵便局,役所,ショッピングモール,宿泊施設等における比較的広い敷地内において、監視機能が低下する(手薄になり易い)敷地内森林や植え込み等のルートを通過して、当該敷地境界内に不法侵入する場合を想定し、その侵入者を対象とする。また、この侵入者識別装置は、住宅の住民や、公共施設等の職員・従業員が頻繁に訪れることなく、通常利用しないことから、前述のように想定したルートにおける地面に設置する。この侵入者識別装置は、装置本体と、それに摺動可能に係合される蓋部と、これら装置本体および蓋部の間に介在される射出物封入部材とを備えて構成されている。蓋部には貫通孔が穿設されており、射出物封入部材には着色剤等の射出物が封入されている。そして、蓋部の上面が地面の地表と面一となるように設置し、前述のルートを利用して不法侵入する侵入者が本装置に気付かずに踏み付けることを想定している。従って、当該侵入者が本装置を踏み付けて荷重が加わると、装置内部の射出物封入部材が押圧され、封入された射出物が貫通孔から噴射されることにより、侵入者に吹き付けられるようになっている。よって、侵入者は、たとえ住民や職員・従業員に変装(扮装)していたとしても、足元を中心に着色剤が吹き付けられるため、区別(識別)され易くなり、逃走した場合においても追跡が容易となる。
【0022】
なお、以下の実施形態においては、侵入者識別装置の構成要素が各々円形状を基本として形成されている場合について述べるが、一例であってこれに限らず、この他、例えば、一部または全ての構成要素が多角形状で形成されていても良いことは言うまでもない。
また、以下の説明において、侵入者識別装置を設置する任意の位置とは、前述のルートにおける任意の位置である。
【0023】
具体的には、図1に示すように、本実施形態の侵入者識別装置1は、装置本体2と、一端側が開口された中空の柱状(換言すれば、茶筒の蓋のように他端が閉塞された円筒状)をなし、当該一端側から装置本体2に対して略鉛直方向に摺動可能に係合される蓋部3と、これら装置本体2および蓋部3との間に介在され、射出物である着色剤Cが封入された射出物封入部材としての風船4と、を備えて構成されている。なお、この図1においては、侵入者識別装置1の内部構造を優先して示すため、便宜上、風船4を断面のみで示し、封入された着色剤Cについては無色で示している。また、後述するベースプレート5は全体的にハッチングで示し、それ以外の装置本体2,蓋部3などの断面に関しては、敢えてハッチングを省いて示している。
【0024】
この場合、装置本体2は、円形板状の底面部2aの中央側に蓋部3が係合される円筒状の係合部2bが略垂直に立設されており、当該係合部2bの上方側内周面には、内方(中心)に向かって突出した凸部2cが設けられている。また、装置本体2は、係合部2bよりも更に中央側に、下方に配置されるベースプレート5の凸部5aが嵌合される開口部2dが貫設されている。このとき、装置本体2とベースプレート5とは、適宜、ボルトBなどによって締結されており、前述のような敷地境界内(不図示)における任意の位置の地中に配設される。
【0025】
蓋部3は、他端側に装置本体2と対向して配置される上面部3aを有している。この上面部3aには、複数の貫通孔3bが穿設されており、当該上面部3aの表面が地表と面一となるように前述の敷地境界内の地面に配置される。また、蓋部3は一端側の外周面に外方に向かって突出した凸部3cが設けられており、この凸部3cが装置本体2の係合部2bにおける凸部2cと係合するようになっている。
【0026】
ここで、装置本体2の開口部2dと係合部2bとの間の底面部2aには、円周に沿って複数の孔2eが設けられており、これら孔2eと蓋部3の凸部3cが設けられた一端側の端部3dとの間には、ドーナツ状のプレート7を介して各々弾性部6が設けられている。このプレート7は、幅が蓋部3の端部3dと同一の寸法で形成され、蓋部3と装置本体2との間の緩衝材として機能するようになっている。また、各弾性部6は、孔2eとプレート7との間に立設される軸61と、当該軸61の外周に配置されるスプリング62とを有して構成され、装置本体2に対して蓋部3を押し上げる方向の付勢力を有している。そして、蓋部3の上面部3aに対して弾性部6の付勢力に勝る荷重が加わると、スプリング62が軸61に沿って縮むことで、蓋部3の凸部3cが装置本体2の係合部2bの内周面に沿って底面部2aまで略鉛直方向に摺動しながら押し下がる。なお、弾性部6の構造はこれに限らず、要は、蓋部3を装置本体2に対して摺動可能とする機構であれば、この他、種々の構造を広く適用できる。
【0027】
このとき、装置本体2と蓋部3との間に介在された風船4は、蓋部3が荷重によって押し下がることで押圧され、押し潰され、破裂することで、封入された着色剤Cを貫通孔3bから噴出(噴射)させる。従って、この侵入者識別装置1では、侵入者によって踏み付けられることで上面部3aに荷重が加えられると、風船4が押圧されることにより破裂し、封入された着色剤Cが貫通孔3bから噴射されるようになっている。
【0028】
本実施形態の場合、図2に示すように、蓋部3の貫通孔3bにおける上面部3aの裏面側(すなわち、上面部3aの内面側)には、蓋部3の一端側に向かって突出した鋭利な形状(例えば、刃や針)からなる突起部3eが設けられていることが好ましい。これにより、侵入者によって踏み付けられることで上面部3aに荷重が加えられると、突起部3eが下方に配置された風船4を強制的に破裂させることが可能となる。
【0029】
なお、本装置の具体的な使用例については、後述の他の実施形態における図4によって説明するため、ここでは割愛するものとする。
【0030】
以上、説明したように、本実施形態の侵入者識別装置1では、敷地境界内における任意の位置の地中に配設され、侵入者によって踏み付けられることで、表面が地表と面一となるように配置される蓋部3の上面部3aに荷重が加えられると、装置本体2と蓋部3との間に介在される風船4が押圧される。これにより、封入された着色剤Cが上面部3aの貫通孔3bから噴射され、侵入者に対し当該着色剤Cを噴き付けることができる。従って、電力によって駆動する電動式ではなく、侵入者自らの踏み付ける力を用いて動作させることができる。このため、供給電源や操作者(人員)、動作制御用の装置を不要とし、設置場所を適宜設定可能としつつ、不法な侵入者を的確に識別できると共に、その追跡の容易化を図ることができる。また、装置本体2と蓋部3と風船4とを用いた簡易な構成で実現できるため、設置も容易であり、コストパフォーマンス面でも優れている。
【0031】
また、射出物封入部材として、射出物である着色剤Cを封入した風船4を適用することで、荷重が加えられることによって容易に破裂し、封入された着色剤Cなどの射出物が貫通孔3bから噴射されることが好ましい。
【0032】
これによれば、射出物である着色剤Cを封入した射出物封入部材を風船4によって構成するため、侵入者の踏み付けによる荷重によって、当該風船4を容易に破裂させることができる上、装置内部の風船4を交換するだけで、簡単に再利用することが可能となる。よって、コストパフォーマンスに優れている。
【0033】
このとき、貫通孔3bにおける上面部3aの裏面側には、蓋部3の一端側に向かって突出した突起部3eが設けられることが好ましい。これにより、侵入者によって踏み付けられることで上面部3aに荷重が加えられると、突起部3eが、風船4を強制的に破裂させることができる。つまり、突起部3eがない場合と比較して、風船4を破裂させるための破壊力を格段に向上させることができる。よって、例えば、侵入者が踏み付ける過程で本装置に気付いたとしても、僅かな荷重が掛かっただけで簡単に風船を破裂させることが可能となるため、ひとたび踏み付けた侵入者に対し、確実に着色剤を噴き付けることができる。
【0034】
以上、本発明の侵入者識別装置に関する一実施形態を詳述してきたが、具体的な構成は前述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0035】
例えば、図1に対応して示す図3の侵入者識別装置10のように、射出物封入部材として、射出物である着色剤(蛍光着色剤)を封入したスプレー40を適用するようにしても良い。このとき、侵入者識別装置10は、装置本体20の下方にベースプレート5を介在することはなく、よって、装置本体20における底面部20aの中央にも開口部は形成されていない。
【0036】
この場合、侵入者識別装置10は、ベースプレート5,弾性部6,プレート7を備えない点と、装置本体20および蓋部30における細部の形状が異なる点と、射出物封入部材である風船4に替えてスプレー40を適用している点を除き、前述した侵入者識別装置1と、ほぼ同様の機構を用いて構成されている。
【0037】
すなわち、侵入者識別装置10では、装置本体20の底面部20aの中央側に蓋部30が係合される円筒状の係合部20bが立設されているが、前述の装置本体2のような凸部2cは形成されていない。また、蓋部30も同様に、開口側の端部に前述の蓋部3のような凸部3cは形成されていない。つまり、この侵入者識別装置10の場合、蓋部30は装置本体20の係合部20bに対して、外周を覆う状態で係合され、その内周面が係合部20bの外周面に沿って摺動するようになっている。この場合、装置本体20に対する蓋部30の前述のような上方への付勢力は、スプレー40によって確保されている。換言すれば、かかる侵入者識別装置10の場合、前述の侵入者識別装置1の弾性部6に替ってスプレー40の噴出機構が採用されており、通常状態ではスプレー40が押圧されることなく、装置本体20に対し、蓋部30を上面部30aの表面が地表と面一となる状態に維持できる。また、荷重が加わる状態では、蓋部30が装置本体20側へと押圧されることでスプレー40も押圧され、これによって着色剤Cを噴出するようになっている。
【0038】
具体的に、スプレー40は、装置本体20の係合部20b内に複数(例えばこの場合、4本)設けられ、噴射口41側を下方に向けた状態で配設されている。この噴射口41には、側方へ向けて延在する延長部42が接続されている。延長部42は中空状に形成されており、一方の端部にスプレー40の噴射口41が垂直に接続され、他方の端部にスプレー40と平行して上方の蓋部30における上面部30aの貫通孔30bと接続されるノズル43が垂直に接続されている。このとき、蓋部30の上面部30aには、スプレー40の数(より詳細には、スプレー40から着色剤Cを噴出するためのノズル43の数)に対応した複数(例えばこの場合、4つ)の貫通孔30bが設けられている。ノズル43は、一方の端部が延長部42に接続され、他方の端部が貫通孔30bと接続されている。従って、スプレー40の噴射口41から噴出される着色剤Cは、延長部42を通ってノズル43に送られた後、ノズル43を通って貫通孔30bから外部へ噴射されるようになっている。
【0039】
このように構成された侵入者識別装置10では、図4に示すように、敷地境界内の地面における任意の位置の地中に埋設され、地表Gと蓋部30における上面部30aの表面とが面一となるように設置される。そして、侵入者Xによって踏み付けられて矢印A方向の荷重が加えられることで、蓋部30が矢印A´方向に摺動することにより、装置本体20と蓋部30との間に介在されたスプレー40を矢印A´方向(図3参照)に押圧する。これにより、スプレー40の噴射口41から噴出された着色剤Cが、延長部42およびノズル43を介して貫通孔30bから外部へ噴出され、侵入者Xに対して噴射される。
【0040】
従って、この侵入者識別装置10においても前述の侵入者識別装置1と同様に、電力によって駆動する電動式ではなく、侵入者X自らの踏み付ける力を用いて動作させることができる。このため、供給電源や操作者(人員)、動作制御用の装置を不要とし、設置場所を適宜設定可能としつつ、不法な侵入者を的確に識別できると共に、その追跡の容易化を図ることができる。また、装置本体20と蓋部30とスプレー40とを用いた簡易な構成で実現できるため、設置も容易であり、コストパフォーマンス面でも優れている。
【0041】
なお、射出物封入部材としては、この他、例えば、図3との対応部分に同一符号を付して示す図5の侵入者識別装置100のように、射出物封入部材としては、スプレー40に替えて、射出物である着色剤Cを封入したガス充填ボンベ50を適用しても良い。この場合、装置本体20の底面部20aと蓋部30との間には、シリコン等の伸縮性を有するシール材60が介在されており、当該シール材60は、蓋部30が荷重によって矢印A´方向に摺動することに伴い、矢印a方向に伸縮するようになっている。
【0042】
また、侵入者識別装置100の場合、蓋部30の上面部30aに、例えば十字状に形成された延長部31が設けられており、この延長部31上に多数の貫通孔30bが設けられている。そして、ガス充填ボンベ50のノズル(不図示)から噴出される着色剤Cは、延長部31に送られた後、各貫通孔30bから噴出され、侵入者に対して噴射されるようになっている。
【0043】
従って、この侵入者識別装置100でも、前述の侵入者識別装置10,100と同様に、蓋部30が侵入者によって踏み付けられることで荷重が加えられると、蓋部30が矢印A´方向に摺動することにより、装置本体20と蓋部30との間に介在されたガス充填ボンベ50を押圧する。これにより、ガス充填ボンベ50から噴出された着色剤Cが、延長部31介して貫通孔30bから外部へ噴出され、侵入者に対して噴射されるようになっている。よって、電力によって駆動する電動式ではなく、侵入者自らの踏み付ける力を用いて動作させることができるため、供給電源や操作者(人員)、動作制御用の装置を不要とし、設置場所を適宜設定可能としつつ、不法な侵入者を的確に識別できると共に、その追跡の容易化を図ることができる。また、装置本体20と蓋部30とガス充填ボンベ50とを用いた簡易な構成で実現できるため、設置も容易であり、コストパフォーマンス面でも優れている。
【0044】
しかも、射出物である着色剤Cを封入した射出物封入部材をスプレー40またはガス充填ボンベ50によって構成するため、侵入者の踏み付けによる荷重によって、当該スプレー40またはガス充填ボンベ50を容易に押圧することができる上、装置内部のスプレー40またはガス充填ボンベ50を交換するだけで、簡単に再利用することが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
1,10,100 侵入者識別装置
2,20 装置本体
2a,20a 底面部
2b,20b 係合部
2c 凸部
3,30 蓋部
3b,30b 貫通孔
3c 凸部
3e 突起部
4 風船(射出物封入部材)
40 スプレー(射出物封入部材)
50 ガス充填ボンベ(射出物封入部材)
5 ベースプレート
6 弾性部
61 軸
62 スプリング
7 プレート
C 着色剤(射出物)
G 地表
X 侵入者
図1
図2
図3
図4
図5