特許第6596929号(P6596929)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596929
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】立体物着色装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/00 20060101AFI20191021BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20191021BHJP
   B05C 9/08 20060101ALI20191021BHJP
   B05C 13/00 20060101ALI20191021BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20191021BHJP
   B41J 3/407 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   B05C11/00
   B05C5/00 101
   B05C9/08
   B05C13/00
   B41J2/01 109
   B41J2/01 301
   B41J2/01 307
   B41J3/407
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-108896(P2015-108896)
(22)【出願日】2015年5月28日
(65)【公開番号】特開2016-221442(P2016-221442A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】室舘 祐介
【審査官】 横島 隆裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−136217(JP,A)
【文献】 特開平11−227176(JP,A)
【文献】 特開2013−212679(JP,A)
【文献】 特開2001−113772(JP,A)
【文献】 特開2004−284278(JP,A)
【文献】 特開2005−081691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00−21/00
B41J 2/01−2/215,3/01−3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持台と、
前記支持台に載置される立体物に対向可能に設けられ、測定面を前記立体物に対向させて前記立体物の形状に関わる測定動作を行う測定部と、
前記測定部に隣接する位置で前記立体物に対向可能に設けられ、前記測定部の測定結果に基づいて、吐出部から前記立体物に向けてインクを吐出する画像形成動作を行う画像形成部と、
前記測定面及び前記吐出部の少なくとも一方の近傍に設けられ、少なくとも前記画像形成動作時に、前記吐出部から前記測定面に到る経路の長さを前記吐出部と前記測定面との略直線的な離間長さよりも長くし、又は前記経路の少なくとも一部を遮断する離隔手段と、を備え、
前記離隔手段は、前記測定面と前記吐出部との間に設けられ、前記インクの吐出方向と略平行に突出する壁を有していることを特徴とする立体物着色装置。
【請求項2】
前記は、前記画像形成動作時には、前記測定面と前記吐出部との間から前記吐出方向と略平行に突出し、先端部が前記測定面及び前記吐出部よりも前記支持台に接近する一方、前記測定動作時には、前記吐出方向とは逆向きに後退し、前記先端部が前記測定面及び前記吐出部よりも前記支持台から離間する請求項記載の立体物着色装置。
【請求項3】
前記支持台に対して変位可能に設けられた保持部をさらに備え、
前記測定部及び前記画像形成部は、前記保持部に保持されている請求項1又は2記載の立体物着色装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は立体物着色装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の立体物着色装置の例が開示されている。この立体物着色装置は、回転可能な支持台と距離センサと印刷装置とを備えている。距離センサは、支持台に載置される立体物に対向する位置に設けられている。印刷装置は、距離センサよりも下方に設けられ、支持台に載置される立体物に対向する位置に設けられている。すなわち、距離センサと印刷装置とは、上下に重なる位置に設けられている。
【0003】
この立体物着色装置では、距離センサが測定面を立体物に対向させて立体物の三次元形状を測定する測定動作を行う。具体的には、距離センサから立体物の表面までの距離を測定している。そして、印刷装置が距離センサによって測定された距離情報に基づいて、吐出部から立体物に向けてインクを吐出する印刷動作を行う。その結果、立体物の三次元形状に対応させて、画像の印刷を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−136217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の立体物着色装置では、印刷装置が距離センサに隣接しているため、印刷動作時、インクの微細な飛沫や揮発ガス等であるミストが印刷装置の吐出部から距離センサの測定面に向かって飛散し、測定面に付着し、距離センサの検出結果に悪影響を及ぼすおそれがある。その結果、この立体物着色装置では、立体物に対する印刷品質が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、立体物に対する画像形成品質の低下を抑制できる立体物着色装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の立体物着色装置は、支持台と、
前記支持台に載置される立体物に対向可能に設けられ、測定面を前記立体物に対向させて前記立体物の形状に関わる測定動作を行う測定部と、
前記測定部に隣接する位置で前記立体物に対向可能に設けられ、前記測定部の測定結果に基づいて、吐出部から前記立体物に向けてインクを吐出する画像形成動作を行う画像形成部と、
前記測定面及び前記吐出部の少なくとも一方の近傍に設けられ、少なくとも前記画像形成動作時に、前記吐出部から前記測定面に到る経路の長さを前記吐出部と前記測定面との略直線的な離間長さよりも長くし、又は前記経路の少なくとも一部を遮断する離隔手段と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明の立体物着色装置では、画像形成動作時、離隔手段によって、吐出部から測定面に到る経路の長さが吐出部と測定面との略直線的な離間長さよりも長くされ、又はその経路の少なくとも一部が遮断される。これにより、画像形成部の吐出部から測定部の測定面に向かって飛散するインクのミストが測定面に付着することを抑制できる。このため、吐出部からのインクのミストが測定部の検出結果に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0009】
したがって、本発明の立体物着色装置では、立体物に対する画像形成品質の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の立体物着色装置の模式図である。
図2】実施例1の立体物着色装置に係り、測定部及び画像形成部と、離隔手段を構成する平板形状の壁とを示す拡大斜視図である。
図3】比較例の立体物着色装置に係り、測定部及び画像形成部を示す拡大斜視図である。
図4】実施例2の立体物着色装置に係り、測定部及び画像形成部と、離隔手段を構成する角筒形状の壁とを示す拡大斜視図である。
図5】実施例3の立体物着色装置に係り、測定部及び画像形成部と、離隔手段を構成する可動部材とを示す拡大斜視図である。
図6】実施例3の立体物着色装置に係り、測定部及び画像形成部と、離隔手段を構成する可動部材とを示す拡大斜視図である。
図7】実施例4の立体物着色装置に係り、測定部及び画像形成部と、離隔手段を構成する第1、2可動部材とを示す拡大斜視図である。
図8】実施例4の立体物着色装置に係り、測定部及び画像形成部と、離隔手段を構成する第1、2可動部材とを示す拡大斜視図である。
図9】実施例4の立体物着色装置に係り、測定部及び画像形成部と、離隔手段を構成する第1、2可動部材とを示す拡大斜視図である。
図10】実施例5の立体物着色装置に係り、測定部及び画像形成部と、離隔手段を構成する可動部材とを示す拡大斜視図である。
図11】実施例5の立体物着色装置に係り、測定部及び画像形成部と、離隔手段を構成する可動部材とを示す拡大斜視図である。
図12】実施例6の立体物着色装置に係り、測定部及び画像形成部と、離隔手段を構成する変位機構とを示す拡大斜視図である。
図13】実施例6の立体物着色装置に係り、測定部及び画像形成部と、離隔手段を構成する変位機構とを示す拡大斜視図である。
図14】実施例7の立体物着色装置に係り、測定部及び画像形成部と、離隔手段を構成するジャバラ形状の可動部材とを示す拡大側面図である。
図15】実施例7の立体物着色装置に係り、測定部及び画像形成部と、離隔手段を構成するジャバラ形状の可動部材とを示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施例1〜7を図面を参照しつつ説明する。
【0012】
(実施例1)
実施例1の立体物着色装置1は、ハウジング8、回転テーブル7、保持部5、測定部2、画像形成部3及び壁10を備えている。回転テーブル7は、本発明の「支持台」の一例である。壁10は、本発明の「離隔手段」の一例である。
【0013】
ハウジング8は略箱状体であり、その内部に、回転駆動機構7M、直動駆動機構5M、制御部C1、回転テーブル制御ユニットC7、保持部制御ユニットC5、測定部制御ユニットC2及び画像形成部制御ユニットC3を収容している。
【0014】
回転テーブル7は、上下方向に延びる回転軸心X7を中心軸とする円盤形状とされている。回転テーブル7の上面は、水平な平坦面とされている。回転テーブル7の下面には、回転軸7Sが回転軸心X7周りに一体回転可能に固定されている。回転軸7Sは、ハウジング8の上面に配置された転がり軸受7Bに回転可能に支持されている。回転軸7Sの下端部は、回転駆動機構7Mに連結されている。回転駆動機構7Mは、回転テーブル制御ユニットC7を介して、制御部C1に電気的に接続されている。
【0015】
回転テーブル制御ユニットC7が制御部C1からの指令を受けて回転駆動機構7Mを制御すると、回転駆動機構7Mに内蔵されたモータや伝達ギヤ等によって回転軸7Sが回転駆動され、回転テーブル7が所定の回転速度で回転軸心X7周りに回転する。
【0016】
回転テーブル7には、立体物9が載置される。立体物9は、例えば、ボトル容器やカップ等である。立体物9には、全体が回転対称であるもの、一部が回転対称であるもの、及び全体が回転対称でないもの等が含まれる。また、回転対称である立体物9が回転軸心X7に対して偏心する位置で回転テーブル7に載置される場合もある。
【0017】
保持部5は、上下方向に延びる直動軸心X5を中心軸とする略円柱軸体である。直動軸心X5は、回転軸心X7に対して回転テーブル7の外周縁よりも離間する位置で、回転軸心X7と平行に延びている。保持部5は、ハウジング8の上面に配置された直動軸受5Bに直動可能に支持されている。保持部5における直動軸受5Bよりも下方に位置する部分は、直動駆動機構5Mに連結されている。直動駆動機構5Mは、保持部制御ユニットC5を介して、制御部C1に電気的に接続されている。
【0018】
保持部制御ユニットC5が制御部C1からの指令を受けて直動駆動機構5Mを制御すると、直動駆動機構5Mに内蔵されたモータや伝達ギヤ等によって保持部5が直動駆動され、直動軸心X5に沿って上下方向に移動する。本実施例では、保持部5の上端部の移動範囲は、回転テーブル7とほぼ等しい高さとなる位置から、回転テーブル7に載置される立体物9(本装置において画像形成が許容されている高さの立体物)の上端よりも高い位置までの範囲に設定されている。
【0019】
図1及び図2に示すように、測定部2、画像形成部3及び壁10は、ユニット化された状態で保持部5の上端部に保持されている。測定部2は略直方体形状とされ、測定面2Rは、回転テーブル7及び回転軸心X7に対向する位置に設けられている。測定部2は、回転テーブル7に載置される立体物9に測定面2Rを対向させることが可能となっている。画像形成部3も略直方体形状とされ、インクを吐出する吐出部3Eは、回転テーブル7及び回転軸心X7に対向する位置に設けられている。画像形成部3は、回転テーブル7に載置される立体物9に吐出部3Eを対向させることが可能となっている。また、画像形成部3は、測定部2に下方から隣接している。即ち、測定部2と画像形成部3とは上下方向に重なる位置にあり、画像形成部3の吐出部3Eと測定部2の測定面2Rとは、略同じ方向を向くように保持部5に保持されている。
【0020】
壁10は、略水平に延在する平板形状とされている。壁10は、測定部2の下面と画像形成部3の上面とに挟まれた状態で、回転テーブル7及び回転軸心X7に向かって略水平に突出している。壁10の先端部10Aは、測定面2R及び吐出部3Eよりも回転テーブル7及び回転軸心X7に接近している。図2に示すように、壁10の横幅W10は、測定面2R及び吐出部3Eの横幅と略等しい長さに設定されている。なお、横幅W10は、測定面2R及び吐出部3Eの横幅に対して長く設定される場合や短く設定される場合があり得る。
【0021】
図1に示すように、測定部2は、測定部制御ユニットC2を介して、制御部C1に電気的に接続されている。画像形成部3は、画像形成部制御ユニットC3を介して、制御部C1に電気的に接続されている。
【0022】
図2に示すように、本実施形態の測定部2の測定面2Rには、レーザ式プロファイル測定器を構成するレーザ発光部2A及びレーザ受光部2Bと、カラー画像を撮影可能なカメラ2Cとが配設されている。なお、測定部2は、レーザ式プロファイル測定器に限定されるものではなく、立体物への画像形成に使用される各種情報を取得する機器を含むものである。
【0023】
測定部2は、以下のようにして、回転テーブル7に載置される立体物9の三次元形状を測定する測定動作を行う。すなわち、保持部5が直動軸心X5に沿って上下方向に移動することにより、測定部2は、回転テーブル7に載置される立体物9に対して所望の高さで対向する状態となる。
【0024】
この状態で、回転テーブル7の回転によって、立体物9が測定部2の測定面2Rに対して相対変位する。その立体物9に対して、レーザ発光部2Aが上下方向に帯状に延びるレーザ光を照射し、そのレーザ光を立体物9の表面で拡散反射させる。すると、その反射光がレーザ受光部2Bの図示しないCMOSイメージセンサ上に結像するので、測定部制御ユニットC2がその結像の位置及び形状を検出し、制御部C1に検出信号を伝達する。
【0025】
そして、制御部C1は、その検出信号、回転テーブル7の回転位置、及び測定部2の高さ等に基づいて、立体物9の三次元形状を座標データとして算出する。また、制御部C1は、測定部2が立体物9に対向する高さを変更して、同様の測定動作を行うことにより、立体物9の全体の三次元形状を座標データとして算出することができる。なお、座標データの算出としては、周知の演算方法を使用可能である。
【0026】
また、測定部2は、カメラ2Cによって立体物9の表面のカラー画像を撮影し、測定部制御ユニットC2を介して制御部C1に画像データを伝達する。画像データには、画像形成部3による画像形成動作が行われる前の立体物9の表面を撮像した画像データや、画像形成部3による画像形成動作が行われた後の立体物9の表面を撮像した画像データ等が含まれる。制御部C1は、これらの画像データを後述する画像形成動作時において補正用データとして利用する。
【0027】
図2に示すように、画像形成部3の吐出部3Eには、複数個のノズル孔3Nが設けられている。本実施例では、各ノズル孔3Nは、縦7列×横7列となるように配置されている。図示は省略するが、画像形成部3内には、複数色のインクを収容するインクタンクや、各ノズル孔3Nに対応するインクジェットヘッド等が内蔵されている。図1に示すように、各ノズル孔3Nからインクの液滴Pが吐出される吐出方向D1は、各ノズル孔3Nから回転テーブル7及び回転軸心X7に向かって水平に延びる方向である。図2以降の各図に示す吐出方向D1も、図1に対応している。
【0028】
壁10は、測定面2Rと吐出部3Eとの間から、インクの吐出方向D1と略平行に突出している。壁10の先端部10Aまでの長さは、測定面2Rに配設されたレーザ発光部2A、レーザ受光部2B及びカメラ2Cの視野を狭めない長さに設定されている。
【0029】
画像形成部3は、以下のようにして、測定部2の測定結果に基づいて、吐出部3Eの各ノズル孔3Nから立体物9に向けてインクを吐出する画像形成動作を行う。すなわち、保持部5が直動軸心X5に沿って上下方向に移動することにより、画像形成部3は、回転テーブル7に載置される立体物9に対して所望の高さで対向する状態となる。
【0030】
この状態で、制御部C1は、測定部2によって測定された立体物9の三次元形状の座標データの中から、吐出部3Eの各ノズル孔3Nの吐出目標となる範囲の表面形状を示す座標データを参照し、各ノズル孔3Nとその吐出目標範囲との距離や相対位置関係を把握する。そして、制御部C1は、その吐出目標範囲の表面形状に応じたインクの吐出量、吐出位置及び吐出タイミング等を設定する。この際、制御部C1は、カメラ2Cによって撮影された立体物9の表面のカラー画像の中から、その吐出目標範囲やその周辺部のカラー画像を参照し、インクが付着する下地の色彩や、先の画像形成動作時に立体物9の表面に付着したインクの付着状態等を把握する。そして、制御部C1は、その下地の色彩や、インクの付着状態等を参考にして、インクの吐出量、吐出位置及び吐出タイミング等を補正する。
【0031】
次に、回転テーブル7の回転によって、立体物9が画像形成部3の吐出部3Eに対して相対変位する。画像形成部3は、図1に示すように、所望の画像に応じたパターンとなるように適宜選択されたノズル孔3Nからインクの液滴Pを吐出方向D1に吐出し、吐出部3Eに対して相対変位する体物9の表面に液滴Pを付着させる。また、制御部C1は、画像形成部3が立体物9に対向する高さを変更して、同様の画像形成動作を繰り返し行うことにより、立体物9の表面の全体に画像を形成することができる。
【0032】
なお、立体物9の表面の一部の範囲に対して測定動作を行い、次に、その範囲に対して画像形成動作を行うという処理を複数回繰り返すことにより、立体物9の表面全体に対して画像形成動作を行ってもよい。また、立体物9の表面全体に対して測定動作を行った後、画像形成動作を立体物9の表面全体に対して行ってもよい。
【0033】
<作用効果>
実施例1の立体物着色装置1では、図1及び図2に示すように、画像形成部3が測定部2に下方から隣接している。特に、この立体物着色装置1では、測定部2及び画像形成部3が上下方向に重なった状態でユニット化されて保持部5に保持されることにより、画像形成部3が測定部2に一層隣接する位置関係となっている。
【0034】
ここで、実施例1の立体物着色装置1から壁10を取り除いた比較例を図3に示す。この比較例のように、何ら対策を施さなければ、画像形成動作時、インクの微細な飛沫や揮発ガス等であるミストが図3に矢印M1で示すように、画像形成部3の吐出部3Eから測定部2の測定面2Rに向かって飛散し、測定面2Rに配設されたレーザ発光部2A、レーザ受光部2B及びカメラ2Cに付着し、測定部2の検出結果に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0035】
この点、実施例1の立体物着色装置1では、図2に示すように、測定面2Rと吐出部3Eとの間に平板形状の壁10が介在することによって、吐出部3Eから測定面2Rに到る経路の長さ、例えば、経路R1、R2、R3の長さは、図3に示す吐出部3Eと測定面2Rとの略直線的な離間長さL1よりも長くなる。
【0036】
ここで、図3に示す略直線的な離間長さL1は、吐出部3Eと測定面2Rとの相対位置関係、吐出部3Eにおける各ノズル孔3Nの位置、測定面2Rにおけるレーザ発光部2A、レーザ受光部2B及びカメラ2Cの位置等に応じて最短距離となるように適宜設定される。本実施例では、略直線的な離間長さL1は、吐出部3Eにおける最上列の各ノズル孔3Nと、測定面2Rに横一列に並ぶレーザ発光部2A、レーザ受光部2B及びカメラ2Cの中心とが垂直方向において離間する長さである。
【0037】
また、図2に示す経路R1、R2、R3は、吐出部3Eから壁10を回避して測定面2Rに到る経路の代表的な一例である。経路R1は、吐出部3Eにおける最上列の各ノズル孔3Nから壁10の下面に沿って吐出方向D1と略平行に進み、壁10の先端部10Aに至る。次に、経路R1は、上向きに進んで先端部10Aを越えた後、吐出方向D1とは反対方向に進んで、測定面2Rにおけるレーザ発光部2A、レーザ受光部2B及びカメラ2Cに至る。経路R2は、吐出部3Eにおける最上列の一端に位置するノズル孔3Nから上向きに進んで壁10の一方の側端部を越えた後、測定面2Rにおけるレーザ発光部2A、レーザ受光部2B及びカメラ2Cに至る。経路R3は、吐出部3Eにおける最上列の他端に位置するノズル孔3Nから上向きに進んで壁10の他方の側端部を越えた後、測定面2Rにおけるレーザ発光部2A、レーザ受光部2B及びカメラ2Cに至る。
【0038】
こうして、この立体物着色装置1では、画像形成部3の吐出部3Eから測定部2の測定面2Rに向かって飛散しようとするインクのミストが測定面2Rに付着することが抑制され、測定面2Rに配設されたレーザ発光部2A、レーザ受光部2B及びカメラ2Cが汚れ難い。このため、吐出部3Eからのインクのミストが測定部2の検出結果に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0039】
したがって、実施例1の立体物着色装置1では、立体物9に対する画像形成品質の低下を抑制できる。
【0040】
(実施例2)
図4に示すように、実施例2の立体物着色装置では、実施例1の立体物着色装置1に係る壁10の代わりに、壁20を採用している。壁20も、本発明の「離隔手段」の一例である。実施例2のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0041】
壁20は、角筒形状であり、吐出部3Eの周縁を囲むとともに吐出方向D1と略平行に突出している。壁20の先端部20Aは、測定面2R及び吐出部3Eよりも回転テーブル7及び回転軸心X7に接近している。なお、回転テーブル7及び回転軸心X7は、図4の紙面の外に位置しているので図4では図示していないが、回転テーブル7及び回転軸心X7は、図4の紙面に対して右方に位置している。壁20の先端部20Aまでの長さは、測定面2Rに配設されたレーザ発光部2A、レーザ受光部2B及びカメラ2Cの視野を狭めない長さに設定されている。
【0042】
実施例2の立体物着色装置では、測定面2Rと吐出部3Eとの間に角筒形状の壁20が介在することによって、吐出部3Eから測定面2Rに到る経路の長さ、例えば、経路R21の長さは、吐出部3Eから壁20を回避して測定面2Rに至る経路であり、吐出部3Eと測定面2Rとの略直線的な離間長さL1よりも長くなる。これにより、画像形成部3の吐出部3Eから測定部2の測定面2Rに向かって飛散しようとするインクのミストが測定面2Rに付着することを抑制できる。このため、吐出部3Eからのインクのミストが測定部2の検出結果に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0043】
したがって、実施例2の立体物着色装置では、実施例1の立体物着色装置1と同様に、立体物9に対する画像形成品質の低下を抑制できる。
【0044】
(実施例3)
図5及び図6に示すように、実施例3の立体物着色装置では、実施例1の立体物着色装置1に係る壁10の代わりに、往復機構30Mによって往復移動する可動部材30を採用している。可動部材30も、本発明の「離隔手段」の一例である。そして、実施例3の立体物着色装置では、測定部2と往復機構30Mと画像形成部3とがホルダ39に保持され、ホルダ39が図1に示す保持部5の上端部に固定されている。実施例3のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0045】
往復機構30Mは、測定部2の下面と画像形成部3の上面との間に位置している。可動部材30は、略水平に延在する平板形状とされている。可動部材30は、往復機構30Mに駆動されて、インクの吐出方向D1と略平行に往復移動し、回転テーブル7及び回転軸心X7に対して接近及び離間する。なお、回転テーブル7及び回転軸心X7は、図5及び図6の紙面の外に位置しているので図5及び図6では図示していないが、回転テーブル7及び回転軸心X7は、図5及び図6の紙面に対して右方に位置している。
【0046】
図6に示すように、可動部材30は、画像形成動作時に、測定面2Rと吐出部3Eとの間からインクの吐出方向D1と略平行に突出する第1状態になる。この第1状態で、可動部材30の先端部30Aは、測定面2R及び吐出部3Eよりも回転テーブル7及び回転軸心X7に接近する。これにより、測定面2Rと吐出部3Eとの間に可動部材30が介在することで、吐出部3Eから測定面2Rに到る経路の長さ、例えば、経路R31の長さは、吐出部3Eから可動部材30を回避して測定面2Rに至る経路であり、図5に示す吐出部3Eと測定面2Rとの略直線的な離間長さL1よりも長くなる。その結果、画像形成動作時に、インクのミストが測定面2Rに付着することを抑制できる。
【0047】
その一方、図5に示すように、可動部材30は、測定動作時に、吐出方向D1とは逆向きに後退して往復機構30M内に収容される第2状態になる。この第2状態で、可動部材30の先端部30Aは、測定面2R及び吐出部3Eよりも回転テーブル7及び回転軸心X7から離間する。その結果、可動部材30は、測定面2Rに配設されたレーザ発光部2A、レーザ受光部2B及びカメラ2Cの視野を狭めないので、測定動作を良好に行うことができる。
【0048】
したがって、実施例3の立体物着色装置では、実施例1、2の立体物着色装置1と同様に、立体物9に対する画像形成品質の低下を抑制できる。
【0049】
(実施例4)
図7図9に示すように、実施例4の立体物着色装置では、実施例1の立体物着色装置1に係る壁10の代わりに、可動部材40を採用している。可動部材40も、本発明の「離隔手段」の一例である。実施例4のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0050】
可動部材40は、それぞれ平板形状とされた第1可動部材41及び第2可動部材42を含んでいる。第1可動部材41は、揺動軸心X40周りに揺動可能に支持されている。第2可動部材42は、第1可動部材41の下方に位置し、同じく揺動軸心X40周りに揺動可能に支持されている。揺動軸心X40は、測定面2R及び突出部3Eの周縁のうち、上下方向に延びる一端縁に隣接して設けられている。
【0051】
第1可動部材41は、図示しない揺動機構に駆動されて、一端部が揺動軸心X40周りに揺動することにより、図9に示すように、他端部が測定面2Rに近接、あるいは離間する。これにより、第1可動部材41は、測定面2Rの表面を覆うことが可能な位置と、測定面2Rの表面を開放する位置とに変位可能になっている。第2可動部材42は、図示しない別の揺動機構に駆動されて、第1可動部材41とは独立して、一端部が揺動軸心X40周りに揺動することにより、図8に示すように、他端部が吐出部3Eに近接、あるいは離間する。これにより、第2可動部材42は、吐出部3Eの表面を覆うことが可能な位置と、吐出部3Eの表面を開放する位置とに変位可能になっている。
【0052】
図9に示すように、可動部材40は、画像形成動作時に、第1可動部材41が測定面2Rを覆う一方で第2可動部材42が吐出部3Eから離間する第1状態になる。この第1状態では、第1可動部材41が測定面2Rを覆う蓋として機能し、吐出部3Eから測定面2Rに到る経路を遮断する。その結果、画像形成動作時に、インクのミストが測定面2Rに付着することを抑制できる。また、吐出部3Eから離間する第2可動部材42が画像形成動作を妨げない。
【0053】
その一方、図8に示すように、可動部材40は、測定動作時に、第1可動部材41が測定面2Rから離間する一方で第2可動部材42が吐出部3Eを覆う第2状態となる。この第2状態では、第1可動部材41が測定面2Rに配設されたレーザ発光部2A、レーザ受光部2B及びカメラ2Cの視野を狭めないので、測定動作を良好に行うことができる。また、第2可動部材42が吐出部3Eを覆う蓋として機能するので、吐出部3Eのインクの乾燥を抑制できる。さらに、第2可動部材42が吐出部3Eを覆う状態で、吐出部3Eから第2可動部材42に向かってインクの捨て打ちをすることにより、各ノズル孔3Nのインク詰まりを抑制できる。
【0054】
したがって、実施例4の立体物着色装置では、実施例1〜3の立体物着色装置1と同様に、立体物9に対する画像形成品質の低下を抑制できる。
【0055】
なお、実施例4から第2可動部材42を取り除き、画像形成動作時に第1可動部材41が測定面2Rを覆う一方で、測定動作時に第1可動部材41が測定面2Rから離間する構成であってもよい。
【0056】
(実施例5)
図10及び図11に示すように、実施例5の立体物着色装置では、実施例1の立体物着色装置1に係る壁10の代わりに、可動部材50を採用している。可動部材50も、本発明の「離隔手段」の一例である。実施例5のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0057】
可動部材50は、平板形状とされている。可動部材50は、揺動軸心X50周りに揺動可能に支持されている。揺動軸心X50は、測定面2Rの下端縁と吐出部3Eの上端縁との間に位置して、吐出方向D1と直交し、かつ略水平な方向に延びている。可動部材50は、図示しない揺動機構に駆動されて、揺動軸心X50周りに揺動する。
【0058】
可動部材50は、図10及び図11に示すように、測定面2Rと突出部3Eとの間に位置した状態で、突出方向D1と同方向に延設される板状のカバー部53を有している。また、カバー部53を構成する4辺のうち揺動軸心X50に対し平行に延び、かつ隣接する1辺を除く3辺に、カバー部53の周縁を略C字状に囲むように突出する側壁51が形成されている。なお、側壁51は、図10及び図11に示すように、水平状態にあるカバー部の周縁において、上方向と下方向にそれぞれ突出するように形成されている。また、図11に示すように、可動部材50のカバー部53における吐出部3Eに対向可能な面には、複数の凸部50Nが凸設されている。各凸部50Nはそれぞれ、各ノズル孔3Nに対応するように、縦7列×横7列に配置されている。
【0059】
可動部材50は、画像形成動作時に、図10に矢印A1で示すように上方に揺動することにより、カバー部53が測定面2Rを覆う第1状態になる。この第1状態で、カバー部53が吐出部3Eから測定面2Rに到る経路を遮断する。この際、可動部材50の側壁51が測定面2Rと可動部材50との隙間を側方から覆う。その結果、画像形成動作時に、インクのミストが測定面2Rに付着することを一層抑制できる。
【0060】
その一方、可動部材50は、測定動作時には、図11に矢印A2で示すように下方に揺動することにより、カバー部53が測定面2Rから離間して吐出部3Eを覆う第2状態になる。この第2状態では、可動部材50が測定面2Rに配設されたレーザ発光部2A、レーザ受光部2B及びカメラ2Cの視野を狭めないので、測定動作を良好に行うことができる。また、可動部材50のカバー部53が吐出部3Eを覆う蓋として機能し、可動部材50の側壁51が吐出部3Eと可動部材50との隙間を側方から覆い、各凸部50Nが各ノズル3Nを個別に塞ぐので、吐出部3Eのインクの乾燥を一層抑制できる。
【0061】
したがって、実施例5の立体物着色装置では、実施例1〜4の立体物着色装置1と同様に、立体物9に対する画像形成品質の低下を抑制できる。
【0062】
(実施例6)
図12及び図13に示すように、実施例6の立体物着色装置では、実施例1の立体物着色装置1に係る壁10の代わりに、変位機構60を採用している。変位機構60も、本発明の「離隔手段」の一例である。そして、実施例6の立体物着色装置では、測定部2と変位機構60と画像形成部3とがホルダ69に保持され、ホルダ69が図1に示す保持部5の上端部に固定されている。実施例6のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0063】
ホルダ69は、上下方向に延在する中間部69Aと、中間部69Aの下端から吐出方向D1に向けて屈曲する下端部69Bと、中間部69Aの上端から吐出方向D1に向けて屈曲する上端部69Cとを含んでいる。
【0064】
画像形成部3は、その下面をホルダ69の下端部69Bに上方から当接させた状態で、ホルダ69に固定されている。画像形成部3の背面の上方には、軸支部67が組み付けられている。
【0065】
変位機構60は略直方体形状とされ、上下方向に延びる揺動軸心X60を中心軸とする揺動軸61を内挿させている。測定部2は、変位機構60の側面に組み付けられている。揺動軸61の下端が軸支部67に固定されるとともに、揺動軸61の上端がホルダ69の上端部69Cに固定されることによって、変位機構60及び測定部2が画像形成部3ととともにホルダ69に保持されている。図示は省略するが、変位機構60には、揺動軸61に係合する伝達ギヤや、その伝達ギヤを駆動するモータ等が内蔵されている。変位機構60は、モータが作動することにより、測定部2とともに揺動軸心X60周りに揺動する。
【0066】
変位機構60は、画像形成動作時には、図13に示す待機位置に測定部2を変位させる。測定部2は、待機位置にある状態で、レーザ発光部2A、レーザ受光部2B及びカメラ2Cカメラを備える測定面2Rが吐出部3Eを形成する平面に対して直交する位置関係となり、測定面2Rを吐出部3Eから離間させる。これにより、吐出部3Eから測定面2Rに到る経路の長さ、例えば、経路R61の長さは、図12に示す吐出部3Eと測定面2Rとの略直線的な離間長さL1よりも長くなる。その結果、画像形成動作時に、インクのミストが測定面2Rに付着することを抑制できる。
【0067】
その一方、変位機構60は、測定動作時には、図12に示す測定位置に測定部2を変位させる。測定部2は、測定位置にある状態で、レーザ発光部2A、レーザ受光部2B及びカメラ2Cカメラを備える測定面2Rが吐出部3Eを形成する平面と平行な位置関係となる。すなわち、測定面2Rが吐出方向D1と平行な方向を向く。これにより、測定部2は、測定面2Rを回転テーブル7に載置された立体物9に対向させ、測定動作を行うことができる。
【0068】
したがって、実施例6の立体物着色装置では、実施例1〜5の立体物着色装置1と同様に、立体物9に対する画像形成品質の低下を抑制できる。
【0069】
(実施例7)
図14及び図15に示すように、実施例7の立体物着色装置では、実施例1の立体物着色装置1に係る壁10の代わりに、伸縮機構70Mによって伸縮する可動部材70を採用している。可動部材70も、本発明の「離隔手段」の一例である。実施例7のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0070】
伸縮機構70Mは、画像形成部3の外周を囲んでいる。具体的には、伸縮機構70Mは、画像形成部3の上面、下面、一側面及び他側面を覆う位置に設けられている。可動部材70は、伸縮機構70Mにおける吐出部3E寄りの位置に連結されている。可動部材70は、画像形成部3の外周を囲むジャバラ形状とされている。可動部材70は、伸縮機構70Mに駆動されて、インクの吐出方向D1と略平行に伸縮し、回転テーブル7及び回転軸心X7に対して接近及び離間する。なお、回転テーブル7及び回転軸心X7は、図14及び図15の紙面の外に位置しているので図14及び図15では図示していないが、回転テーブル7及び回転軸心X7は、図14及び図15の紙面に対して右方に位置している。
【0071】
図15に示すように、可動部材70は、画像形成動作時に、測定面2Rと吐出部3Eとの間から伸びて、インクの吐出方向D1と略平行に突出する第1状態になる。この第1状態で、可動部材70の先端部70Aは、測定面2R及び吐出部3Eよりも回転テーブル7及び回転軸心X7に接近する。これにより、吐出部3Eから測定面2Rに到る経路の長さ、例えば経路R71の長さは、図14に示す吐出部3Eと測定面2Rとの略直線的な離間長さL1よりも長くなる。その結果、画像形成動作時に、インクのミストが測定面2Rに付着することを抑制できる。
【0072】
その一方、図14に示すように、可動部材70は、測定動作時に、吐出方向D1とは逆向きに縮む第2状態になる。この第2状態で、可動部材70の先端部70Aは、測定面2R及び吐出部3Eよりも回転テーブル7及び回転軸心X7から離間する。その結果、可動部材70は、測定面2Rに配設されたレーザ発光部2A、レーザ受光部2B及びカメラ2Cの視野を狭めないので、測定動作を良好に行うことができる。
【0073】
したがって、実施例7の立体物着色装置では、実施例1〜6の立体物着色装置1と同様に、立体物9に対する画像形成品質の低下を抑制できる。
【0074】
以上において、本発明を実施例1〜7に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜7に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0075】
測定部は、立体物の形状に関わる測定を行うことが可能なものであれば、光、レーザ、超音波又は電波等を利用する各種センサを使用できる。また、支持台は、回転テーブルに限定されず、例えば、変位しないものであってもよい。また、測定部及び画像形成部が支持台の周囲を移動する構成であってもよい。
【0076】
画像形成部は、測定部に上方から隣接していてもよい。また、画像形成部は、測定部に水平方向から隣接していてもよい。また、画像形成部は、測定部を保持する保持部とは別の保持部に保持された状態で測定部に隣接していてもよい。
【0077】
実施例1〜5に示すような壁又は可動部材と、実施例6に示すように変位機構とを組み合わせてもよい。
【0078】
測定部による立体物の形状に関わる測定には、立体物の形状を直接測定する場合や、立体物との相対距離を測定して立体物の形状を算出する場合等が含まれる。測定部は、立体物に着色する際に必要な立体物に係る情報を測定するものであればどのようなものでもかまわない。
【0079】
離隔手段は、吐出部から測定面に到る経路を遮断する場合、その経路の全部を遮断してもよいし、その経路の一部を遮断してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は立体物着色装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
1…立体物着色装置、5…保持部、7…支持台(回転テーブル)
9…立体物、2…測定部、2R…測定面、3…画像形成部、3E…吐出部
D1…インクの吐出方向、L1…吐出部と測定面との略直線的な離間長さ
R1、R2、R3、R21、R31、R61、R71…吐出部から測定面に到る経路
10、20、30、40、50、60、70…離隔手段
10、20…壁、30、40、50、70…可動部材、60…変位機構
10A、20A、30A、70A…可動部材の先端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15