(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596952
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】目荒らし装置
(51)【国際特許分類】
E02D 5/20 20060101AFI20191021BHJP
E02F 5/02 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
E02D5/20 102
E02F5/02 H
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-118136(P2015-118136)
(22)【出願日】2015年6月11日
(65)【公開番号】特開2017-2577(P2017-2577A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤本 真理緒
(72)【発明者】
【氏名】和田 真
(72)【発明者】
【氏名】清田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】林 伸彦
(72)【発明者】
【氏名】荒川 真
(72)【発明者】
【氏名】椎名 肖一
(72)【発明者】
【氏名】三輪 徹
【審査官】
荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−010323(JP,A)
【文献】
特開昭58−054122(JP,A)
【文献】
特開平11−350471(JP,A)
【文献】
特開平11−172668(JP,A)
【文献】
特開2000−273902(JP,A)
【文献】
特開2004−044083(JP,A)
【文献】
特開平10−121465(JP,A)
【文献】
特開昭52−009910(JP,A)
【文献】
特開昭54−137815(JP,A)
【文献】
特開2001−146764(JP,A)
【文献】
特開2006−070696(JP,A)
【文献】
米国特許第06349488(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/00−5/20
E02D 7/00−13/10
E02D 5/00−7/10
E21B 1/00−49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行エレメントの打継面を目荒らしする目荒らし機構と、
該目荒らし機構を支持する支持フレームと、を備える目荒らし装置であって、
前記支持フレームは、本体フレームと、鉛直姿勢で収納され傾斜姿勢で該本体フレームの前記先行エレメントに対向する前面より外方に張り出すよう、該本体フレームの下部に回動軸を介して鉛直方向に回動自在に基端部を連結された回動アームとを備え、
前記目荒らし機構は、回転軸を備えたドラムと、該ドラムの外周面に突設された複数の掘削刃とを備え、
前記回動アームの先端部に設置した反力受けに、前記目荒らし機構が設置されてなり、
該目荒らし機構のドラムに備えた回転軸と前記支持フレームに備えた回動軸が、平行に配されることを特徴とする目荒らし装置。
【請求項2】
請求項1に記載の目荒らし装置において、
地中障害物の下方に掘削溝を構築するための透かし掘り用掘削機構が、前記回動アームの、前記本体フレームより張り出した際に上面となる面に、該回動アームと平行に設置されることを特徴とする目荒らし装置。
【請求項3】
請求項2に記載の目荒らし装置において、
前記透かし掘り用掘削機構が、オーガースクリューよりなることを特徴とする目荒らし装置。
【請求項4】
先行エレメントの打継面を目荒らしする目荒らし機構と、
地中障害物の下方に掘削溝を構築するための透かし掘り用掘削機構と、
該透かし掘り用掘削機構及び前記目荒らし機構を支持する支持フレームと、
を備える目荒らし装置であって、
前記支持フレームは、本体フレームと、該本体フレームより外方に張り出すよう、該本体フレームの下部に回動軸を介して鉛直方向に回動自在に基端部を連結された回動アームとを備え、
前記目荒らし機構は、
回転軸を備えたドラムと、該ドラムの外周面に突設された複数の掘削刃とを備え、
前記回動アームの先端部に設置されるとともに、前記ドラムに備えた回転軸と前記支持フレームに備えた回動軸が、平行に配され、
前記透かし掘り用掘削機構は、
構築しようとする掘削溝の溝幅方向と直交して延在するよう、前記回動アームの、前記本体フレームより張り出した際に上面となる面に、該回動アームと平行に設置されるオーガースクリューを備え、
前記オーガースクリューの軸部が、前記回動アームに対して回転自在に支持されることを特徴とする目荒らし装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に壁状構造物を構築するにあたり、先行エレメントの打継面を目荒らしするための目荒らし装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地中埋設物等の地中障害物が埋設されている位置に、地中連続壁、止水壁、土留壁、構造物基礎等の壁状構造物を構築する場合において、地中障害物を撤去移設することなくその下方を透かし掘りするための掘削機として、例えば引用文献1には水平掘削機が開示されている。
【0003】
引用文献1の水平掘削機は、地中障害物の側方に構築した先行溝に立設されるガイドに対して昇降自在に設置されている。そして、地中障害物の下方を透かし掘りする際には、まず、水平掘削機をガイドに沿って下降させ、所定深さに達したところで下降を中断する。この後、水平掘削機を鉛直姿勢から水平姿勢に移行させる、もしくは押し出すことにより地中障害物の下方に位置させた上で、水平掘削機をガイドに沿って上昇させつつ、地中障害物の下方を透かし掘りするものである。
【0004】
上述する水平掘削機は、地中障害物の下方に先行エレメントと後行エレメントの打継部が位置する場合において、先行エレメントに隣接して後行エレメントを構築するための掘削溝を構築することは可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−42498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、引用文献1に記載の水平掘削機にアースオーガーを採用した場合、その軸部は溝幅方向と直交して配置されている。このため、先行エレメントと後行エレメントの打継部に、いわゆるカッティングジョイント方式による打継方法を採用すべく、先行エレメントの打継面を目荒らししようとすると、先行エレメントの打継面には、オーガースクリュー先端により平坦底を有する幅広な凹部が形成されるのみで、十分な止水性能を得られるような複数の鉛直溝よりなる凹凸を形成することができない。
【0007】
また、引用文献1に記載の水平掘削機にチェーンソーを採用した場合、先行エレメントの打継面に複数の鉛直溝よりなる凹凸を形成することが可能ではあるが、打継面の清掃が十分でなく、土砂やマッドケーキ等の付着物が残存している場合には、止水性能を発揮できる程度の必要深さを有する鉛直溝を形成することが困難である。
【0008】
このような中、上記の水平掘削機を採用して後行エレメントを構築するための掘削溝を掘削した後、ウォータージェットにて先行エレメントの打継面を目荒らしする方法も考えられる。しかし、ウォータージェットのノズル径は一般に小さく、目荒らし作業が煩雑となり作業効率が劣るだけでなく、目荒らしが形成されているか否かを確認することも困難である。
【0009】
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、地中に壁状構造物を構築するにあたり、先行エレメントと後行エレメントの打継部が地中障害物の下方に位置する場合にも、先行エレメントの打継面に目荒らしによる高い止水性能を付与することの可能な目荒らし装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため本発明の目荒らし装置は、先行エレメントの打継面を目荒らしする目荒らし機構と、該目荒らし機構を支持する支持フレームと、を備える目荒らし装置であって、前記支持フレームは、本体フレームと、
鉛直姿勢で収納され傾斜姿勢で該本体フレームの
前記先行エレメントに対向する前面より外方に張り出すよう、該本体フレームの下部に回動軸を介して鉛直方向に回動自在に基端部を連結された回動アームとを備え、前記目荒らし機構は、回転軸を備えたドラムと、該ドラムの外周面に突設された複数の掘削刃とを備え、
前記回動アームの先端部
に設置した反力受けに、前記目荒らし機構が設置されてなり、該目荒らし機構のドラムに備えた回転軸と前記支持フレームに備えた回動軸が、平行に配されることを特徴とする。
【0011】
上記の目荒らし装置によれば、先行エレメントの打継面が地中障害物の下方に位置する場合にも、回動アームを回動して目荒らし機構を本体フレームより外方へ張り出すことにより、先行エレメントの打継面に複数の鉛直溝よりなる凹凸を形成することができ、壁状構造物に高い止水性能を有する打継部を形成することが可能となる。
【0012】
本発明の目荒らし装置は、地中障害物の下方に掘削溝を構築するための透かし掘り用掘削機構が、該回動アームの、前記本体フレームより張り出した際に上面となる面に、該回動アームと平行に設置されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の目荒らし装置は、前記透かし掘り用掘削機構が、アースオーガーよりなることを特徴とする。
【0014】
上記の目荒らし装置によれば、地中障害物の下方において、透かし掘り用掘削機構を用いて後行エレメント用掘削溝を構築しつつ、目荒らし機構を用いて掘削溝と隣接する先行エレメントの打継面に複数の鉛直溝よりなる凹凸を形成することができ、壁状構造物の構築作業を効率化することが可能となる。
【0015】
本発明の目荒らし装置は、先行エレメントの打継面を目荒らしする目荒らし機構と、
地中障害物の下方に掘削溝を構築するための透かし掘り用掘削機構と、該透かし掘り用掘削機構及び前記目荒らし機構を支持する支持フレームと、を備える目荒らし装置であって、前記支持フレームは、本体フレームと、該本体フレームより外方に張り出すよう、該本体フレームの下部に回動軸を介して鉛直方向に回動自在に基端部を連結された回動アームとを備え、前記目荒らし機構は、回転軸を備えたドラムと、該ドラムの外周面に突設された複数の掘削刃とを備え
、前記回動アームの先端部に設置
されるとともに、前記ドラムに備えた回転軸と前記支持フレームに備えた回動軸が、平行に配され、
前記透かし掘り用掘削機構は、構築しようとする掘削溝の溝幅方向と直交して延在するよう、前記回動アームの、前記本体フレームより張り出した際に上面となる面に、該回動アームと平行に設置されるオーガースクリューを備え、前記オーガースクリューの軸部が、前記回動アームに対して回転自在に支持されることを特徴とする。
【0016】
上記の目荒らし装置によれば、透かし掘り時に回動アームを介してオーガースクリューを地山に押し付けた場合にも、オーガースクリューの軸部に曲りを生じることがない。したがって、回動アームを介して一定の押圧力でオーガースクリューを地山に押し付けつけながら透かし掘りを行えるため、効率よく掘削作業を実施できるとともに、一定の溝幅を保持しつつ精度の良い掘削溝を構築することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、先行エレメントと後行エレメントの打継部が地中障害物の下方に位置する場合にも、先行エレメントの打継面に対して長い水みちを確保可能な複数の鉛直溝よりなる凹凸を形成することができるため、先行エレメントと後行エレメントの打継部に、高止水性能を付与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】目荒らし機構による目荒らしの様子を示す図である。
【
図3】目荒らし装置の回動アームが回動した状態を示す図である。
【
図4】透かし掘り用掘削機構の概略を示す図である。
【
図5】目荒らし装置の使用方法を示す図である(その1)。
【
図6】目荒らし装置の使用方法を示す図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の目荒らし装置を
図1〜
図4を用いて、目荒らし装置の使用方法を
図5〜
図6を用いて説明する。
本発明の目荒らし装置1は、地中に地中連続壁、止水壁、土留壁、構造物基礎等の壁状構造物14を構築するにあたり、
図6に示すように、壁状構造物14の先行エレメント10と後行エレメント12との打継部141が、地中埋設物等の地中障害物8の下方に位置する場合に、先行エレメント10の打継面を目荒らしするための装置である。
【0020】
目荒らし装置1は、
図1で示すように、地中障害物8の近接地に削孔されるガイド孔15に沿って上昇もしくは下降するものであり、目荒らし機構2と支持フレーム5とを備え、支持フレーム5は、回動アーム3と本体フレーム4とを備えている。
【0021】
目荒らし機構2は、
図1および
図2(a)で示すように、円筒状のドラム21の外周面に複数の掘削刃22が突設されたロータリーカッタよりなり、ドラム21の回転軸23が常に水平に配置されている。本実施の形態ではロータリーカッタとして、地中に掘削溝を構築する際に広く使用されている水平多軸掘削機に備えられるロータリーカッタと同様のものを採用している。
【0022】
このような、ロータリーカッタよりなる目荒らし機構2を、
図2(a)で示すように先行エレメント10の打継面に当接させて回転する。こうすると、打継面に位置する品質の劣るコンクリートを斫り落とすことができるとともに、斫ったのちの打継面に、いわゆるカッティングジョイント方式による打継方法を採用する際に用いる、
図2(b)の平面図で示すような複数の鉛直溝よりなる凹凸が形成される。
【0023】
こうして、先行エレメント10の打継面に複数の鉛直溝よりなる凹凸が形成されることにより、
図6(b)で示すような、壁状構造物14における先行エレメント10と後行エレメント12との打継部141には、長い水みちを確保することができるため、高止水性能を付与することが可能となる。
【0024】
このような構成の目荒らし機構2は、
図1で示すように、支持フレーム5に備えた回動アーム3に設置される。回動アーム3は、帯状のフレームよりなり、長手方向の先端部に目荒らし機構2を設置するための反力受け部31が設置され、基端部は本体フレーム4に対して鉛直方向に回動自在に連結されている。
【0025】
また、本体フレーム4は、少なくとも地中障害物8を向く前面43と背面44が、ガイド孔15の孔壁に接する断面を有する立体フレームより構成されており、上端に吊治具41を、下端に前記回動アーム3を連結するための支持部42を備えている。
【0026】
支持部42は、水平フレーム421と、水平フレーム421より垂下される鉛直フレーム部材422とによりL字状に構成されており、鉛直フレーム部材422の背面が本体フレーム4の背面44と同一平面を形成するように配置されている。また、水平フレーム421はその長さが、本体フレーム4における前面43と背面44との距離より短く形成されて、先端を本体フレーム4における前面43側に向けて配置されている。
【0027】
そして、水平フレーム421の先端に、鉛直フレーム422と平行に配置された回動アーム3の基端部が回動軸32を介して連結されることで、回動アーム3は鉛直方向に回動自在となっている。また、鉛直フレーム422の下端と回動アーム3の中間部は、リンク機構を介して油圧シリンダ6にて連結されている。
【0028】
これにより、油圧シリンダ6を伸長すると、
図3で示すように、前記回転アーム3が回動軸32まわりに回転して鉛直姿勢から傾斜姿勢をなし、これに伴って前記目荒らし機構2が、本体フレーム4より外方へ押し出される。これにより、先行エレメント10の打継面が、地中障害物8の下方に位置する場合にも、目荒らし機構2を先行エレメント10の打継面に当接させることができる。
【0029】
そして、目荒らし機構2の回転軸23が回動アーム3の回動軸32に対して平行に配置されているため、複数の掘削刃22を備えた回転ドラム21は、先行エレメント10の打継面に接触した状態で鉛直方向に回転する。これにより、先行エレメント10の打継面に複数の鉛直溝よりなる凹凸を形成することが可能となる。
【0030】
一方、油圧シリンダ6を短縮すると、
図1で示すように、前記回動アーム3が回動軸32まわりに回転して、傾斜姿勢から鉛直姿勢をなし、鉛直姿勢の回動アーム3および目荒らし機構2はともに、本体フレーム4の下方における前面43と背面44の間に収納される。
【0031】
なお、ガイド孔15内に挿入された目荒らし装置1と先行エレメント10の打継面との距離に応じて、油圧シリンダ6の伸縮量を調整し、本体フレーム4に対する回動アーム3の外方への押し出し量を設定できることは、言うまでもない。
【0032】
ところで、本実施の形態では、回動アーム3に透かし掘り用掘削機構7を設置している。本実施の形態では、透かし掘り用掘削機構7に、
図4で示すような平行に配置した3体の単軸アースオーガーを採用している。
【0033】
透かし掘り用掘削機構7に採用される単軸アースオーガーは、掘削機構71とオーガースクリュー72を備えており、掘削機構71が回動アーム3の基端部側に、オーガースクリュー72の先端が回動アーム3の先端部側に位置するようにして、回動アーム3が本体フレーム4より張り出した際に上面側となる面に配置される。そして、
図3で示すように、掘削機構71と回動アーム3の基端部側は固定治具33を介して固定されるとともに、オーガースクリュー72の軸部721が連結部材32を介して回動アーム3に対して回動自在に支持される。
【0034】
これにより、本実施の形態における目荒らし機構2は、油圧シリンダ6を伸長して回転アーム3を回動軸32まわりに回動して鉛直姿勢から傾斜姿勢にすると、
図3で示すように地中障害物8の下方に位置する地盤を透かし掘りし、後行エレメント用掘削溝13を構築することができる。
【0035】
このとき、オーガースクリュー72は、その軸部を後行エレメント用掘削溝13の溝幅方向と直交して延在するよう配置されて回転することとなるが、先にも述べたように、オーガースクリュー72の軸部721が連結部材32を介して回動アーム3に支持される。これにより、透かし掘り時に回動アーム72を介してオーガースクリュー72を地山に押し付けても、オーガースクリュー72の軸部に曲りを生じることがない。したがって、回動アーム72を介して一定の押圧力でオーガースクリュー72を地山に押し付けつけながら透かし掘りを行えるため、効率よく掘削作業を実施できるとともに、一定の溝幅を保持しつつ、精度の良い掘削溝を構築することが可能となる。
【0036】
また、
図1で示すように、目荒らし装置1に透かし掘り用掘削機構7を搭載した場合にも、油圧シリンダ6を短縮して回動アーム3を回動軸32まわりに回転し、傾斜姿勢から鉛直姿勢とした際には、鉛直姿勢の回動アーム3および目荒らし機構2だけでなく、透かし掘り用掘削機構7も本体フレーム4の下方における前面43と背面44の間に収納される。
【0037】
なお、目荒らし機構2は、
図1で示すように、回動アーム3がいずれの姿勢であっても、透かし掘り用掘削機構7より目荒らし機構2の掘削刃22が外方に張り出すよう、目荒らし機構2を支持する反力受け31を、回動アーム3の先端に対して傾斜させて設置している。
【0038】
上述する構成の目荒らし装置1を用いて、地中障害物8が存在する地盤に壁状構造物を構築する方法を
図5〜6を参照して説明する。
【0039】
なお、本実施の形態では、目荒らし装置1に透かし掘り用掘削機構7を備えたものを使用し、先行エレメント10に隣接する後行エレメン用掘削溝13を構築する工程と、先行エレメント10の打継面に目荒らしを形成する工程を同時に行う場合を例にとり詳述する。
【0040】
まず、
図5(a)で示すように、すでに構築された先行エレメント用掘削溝11に鉄筋籠16を挿入する作業を進めつつ、地中に掘削溝を構築する際に広く使用されている水平多軸掘削機9を用いて地中障害物8の近傍にガイド孔15を構築する。このとき、ガイド孔15の底部は、構築しようとする後行エレメント12の設計深さLより、回動アーム3の基端から目荒らし機構2を含む長さ分だけ深く掘削する。
【0041】
次に、
図5(b)で示すように、ガイド孔15の底部に達するまで目荒らし装置1を挿入した後、透かし掘り用掘削機構7及び目荒らし機構2を作動させる。そして、本体フレーム4の背面44及び支持部42にてガイド孔15から反力を取りつつ、地中を掘削しながら、目荒らし機構2が先行エレメント10の打継面に接するまで回動アーム3を鉛直姿勢から傾斜姿勢となるように回動させる。
【0042】
この後、
図5(c)で示すように、透かし掘り用掘削機構7及び目荒らし機構2にて地下障害物8の下方を透かし掘りしつつ、目荒らし機構2にて先行エレメント10の打継面に目荒らしをして、複数の鉛直溝よりなる凹凸を形成しながら、目荒らし装置1を上昇させる。
【0043】
こうして、先行エレメント10に隣接して後行エレメント用掘削溝13を構築した後、
図6(a)で示すように先行エレメント10の構築工程と同様に鉄筋籠16を挿入し、
図6(b)で示すようにコンクリートを打設して後行エレメント12を構築する。
【0044】
なお、鉄筋籠16を挿入するにあたり、先行エレメント10の打継面を十分清掃して土砂やマッドケーキ等の付着物を除去するとともに、後行エレメント用掘削溝13における溝底のスライム処理をしていることは言うまでもない。
【0045】
上述する目荒らし装置1によれば、透かし掘り用掘削機構7を用いて後行エレメント用掘削溝13を構築しつつ、目荒らし機構2を用いて掘削溝13と隣接する先行エレメント10の打継面に複数の鉛直溝よりなる凹凸を形成することができ、壁状構造物14の構築作業を効率化することが可能となる。
【0046】
本発明の地盤掘削機1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0047】
例えば、本実施の形態では、透かし掘り用掘削機構7に3体の単軸アースオーガーを採用したが、その本数は必ずしもこれに限定されるものではなく、透かし掘りしようとする掘削溝の溝幅に応じて適宜本数を増減させてもよい。
【0048】
また、透かし掘り用掘削機構7は、必ずしも単軸アースオーガーに限定されるものではなく、チェーンカッタ等、回動アーム4に設置可能で地山を下方から上方に向けて掘削可能な構成を有していれば、いずれの掘削機を採用してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 目荒らし装置
2 目荒らし機構
21 ドラム
22 掘削刃
3 回動アーム
31 反力受け部
32 連結部材
4 支持フレーム
41 吊治具
42 支持部
421 水平部材
422 鉛直部材
5 回動軸
6 油圧シリンダ
7 透かし掘り用掘削機構
71 駆動機構
72 オーガースクリュー
721 軸部
8 地中障害物
9 水平多軸掘削機
10 先行エレメント
11 先行エレメント用掘削溝
12 後行エレメント
13 後行エレメント用掘削溝
14 壁状構造物
141 打継部
15 ガイド孔
16 鉄筋籠