(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる切断装置を具備する印刷装置を用いて構成されたラベルプリンター(計量根付機、商品データ処理装置)1の斜視図である。このラベルプリンター1は、計量値付けラベルプリンターであり、例えば販売店のバックヤードに設置され、各種商品又は商品容器に貼付するラベルを発行する装置である。同図に示すように、ラベルプリンター1は、基台部3の上面に表示手段5とキー操作部7とを設置し、また基台部3の前面に印刷装置10を配置し、さらに商品計量用のはかり部9をケーブル(無線でも良い)で接続して構成されている。そして表示手段5とキー操作部7とを用いて所望の設定(例えば加工日や消費期限等の設定)を行った後、はかり部9に加工・盛り付け・包装が終わった商品を載せて計量を行い、値段等を算出し、内容量や値段等を表示手段5に表示する。そしてこの計量が完了すると、キー操作部7の印字キーを押圧する等により、印刷装置10のラベル発行口11から、所望の印字が行われ且つ所定の長さにカットされたラベル(この例の場合はライナーレスラベル)が発行(排出)される。
【0014】
印刷装置10は、ラベル発行口11を有すると共に、その下部に印刷装置10の分離部20を手前に引き出すためのロック解除レバー13を設けている。そして、ラベル印字用の下記するラベルロール27の取り換えを行う場合や、下記する切断機構が詰まってその復旧を行うような場合は、ロック解除レバー13を上方向に持ち上げることでロックを解除した状態で、分離部20を手前方向に引っ張れば、分離部20は直線状に手前側に引き出される。そしてラベルロールの交換や紙詰まりの復旧等を終了した後、分離部20を押し込めば、前記ロック解除レバー13がロックされ、元の
図1に示す状態に戻る。なお、以下の説明において、分離部20を引き出す方向を前方(前)、押し込める方向を後方(後)と表現することとする。
【0015】
この印刷装置10においては、分離部20を手前に引き出す引き出し式(スライド式)タイプとしたが、これは以下の理由による。即ち、ラベルロールの取り換え等の際に、分離部を側面(ラベルプリンター1に向かって左右何れかの側面)に開くタイプや、上面に開くタイプもあるが、側面に開くタイプはラベルプリンター1の側面(横)に分離部を開くためのスペースを設けておかなければならず、その分、実質的にラベルプリンター1の設置場所として広い面積が必要になってしまう。また上面に開くタイプは上記ラベルプリンター1のように上面にキー操作部7等を設置している場合は、上面に開くスペースがとれない。これに対して、手前に開くタイプは、本来スペースがあるはずの操作者側に分離部20を引き出すため、上記側面又は上面に開くタイプに生じる問題が生じず、省スペース化を図ることができるからである。
【0016】
図2は前記印刷装置10の内部構造を示す概略側面図、
図3は分離部20を引き出した状態での印刷装置10の内部構造を示す概略側面図、
図4は分離部20を引き出した状態での印刷装置10の内部構造を示す概略斜視図である。これらの図に示すように、印刷装置10は、下方に位置する分離部20と、上方に位置する装置本体側部材100とを具備して構成されている。なお、印刷装置10は、分離部20と装置本体側部材100を、ラベルプリンター1の基台部3の前面に形成した凹部(その内周壁)内に収納設置することで構成される。以下、基台部3の前面に形成した凹部(その内周壁)及びこの凹部内に固定されている部材を、印刷装置10(又はラベルプリンター1)の装置本体側の部材(固定側部材)と呼ぶ。
【0017】
分離部20は、装置本体側の部材に取り付けられる板状の取付体21上に、スライダ機構23を介して、設置されている。スライダ機構23は、取付体21に対して、分離部20を直線方向(この例では水平方向)に所定の距離にわたって移動(スライド移動)自在とする機構である。
【0018】
分離部20は、略矩形状の枠体25の後方上部に、帯状で長尺なラベルを巻回したラベルロール27を収納するロール収納部29を設け、一方枠体25の前方の上部に、プラテンローラ31と刃体(以下「固定刃」という)33とを設置して構成されている。プラテンローラ31は、枠体25の一部を構成する左右の側板35,37に回動自在に軸支され、図示しない駆動機構によって回動自在に構成されている。固定刃33はその上辺に刃41を設けて構成され、前記プラテンローラ31の前方側(下記するラベル用紙Rの排出側、下流側)に設置されている。刃41は直線状(水平状)で、プラテンローラ31の長手方向に沿うように設置されている。また一方の側板35には、下記する固定刃33の移動規制部39を挿入する固定刃移動規制孔67が貫通して設けられている。固定刃移動規制孔67は略扇型形状の貫通孔であり、前方側の辺が当接部69となっている。また両側板35,37の上辺の前方部分からはそれぞれ突出部36,36が突出しており、それらの後方側の縦辺を誘導部32,32としている。
【0019】
図5は、固定刃33及びこれを支持する支持体43からなる固定刃ユニット30の斜視図である。同図に示すように固定刃33は金属製であって略矩形板状に形成され、その上辺に刃41が設けられている。また固定刃33の左右両側辺の内の一方の側辺からは、小突起状の移動規制部39が突出している。一方、支持体43は、固定刃33(その後方側の面)を取り付ける固定刃保持体45と、固定刃保持体45を揺動自在に軸支する取付台49と、固定刃保持体45を前方に弾発する付勢部材51とを具備して構成されている。
【0020】
固定刃保持体45は合成樹脂を略板状に形成して構成されており、その下辺近傍の左右両側辺から一対の突部からなる軸部47を突出している。固定刃保持体45の前方側の面には、ビス53等の固定手段によって固定刃33が固定されるが、その際、固定刃33の刃41は固定刃保持体45の上辺から上方に突出している。
【0021】
取付台49は合成樹脂を略板状に成形して構成されており、その左右両側部分の上面から一対の軸支用突部57を突出し、各軸支用突部57に円形凹状の軸支部59(
図5では手前側の軸支部59のみ示す)を設けている。また取付台49の上面中央には、下記する付勢部材51の左右のバネ端部64を係止する溝状の一対のバネ端係止部61が設けられている。
【0022】
付勢部材51は、2つのコイル部63と、両コイル部63の中央の連結部分をコ字状に屈曲させて半径方向外方に突出してなるバネ中央部65と、両コイル部63の外側の端部を半径方向外方に突出してなる一対のバネ端部64とを具備して構成されている。
【0023】
そして、固定刃33を取り付けた固定刃保持体45の両軸部47を、取付台49の両軸支部59に回動自在に係合すると共に、付勢部材51の一対のバネ端部64を、取付台49のバネ端係止部61に係止する。これによって固定刃33は、軸部47を中心に揺動自在に軸支されると共に、付勢部材51によって前方(分離部20が分離していく方向)に向けて付勢される。
【0024】
上記固定刃ユニット30は、
図4に示すように、プラテンローラ31の前方の枠体25の上面(両側板35,37の間)に図示しない固定手段によって取り付けられる。その際、枠体25の一方の側板35に設けた固定刃移動規制孔67に固定刃33の移動規制部39を挿入することで、固定刃33を所定の範囲で分離部20の移動方向に移動(揺動)可能とする。また固定刃33は、前記付勢部材51の付勢力によって、移動規制部39の前方側の面が固定刃移動規制孔67の当接部69に弾接する。言い換えれば、固定刃33は、固定刃移動規制孔67の当接部69と移動規制部39によって構成される規制手段によって、前方(分離部20が分離していく方向)に移動することが規制されている。
【0025】
装置本体側部材100は、装置本体側に取り付けられる板状の取付体110の前方に、一対の支持体160によって可動刃ユニット180を取り付け、一方取付体110の下方に印字ユニット220を取り付けて構成されている。ここで
図6は装置本体側部材100の概略側面図、
図7は装置本体側部材100を別の角度から見た斜視図(但し印字ユニット220の記載は省略)、
図8は
図7に示す装置本体側部材100の分解斜視図である。
【0026】
これらの図に示すように、取付体110は、略平板矩形状で金属製の板体の4辺を下方向に折り曲げて側壁111,113,115,117を形成して構成されている。前方の側壁111には矩形状の開口119を設け、その内周の下辺中央に上向きに係止部121を突出している。後方の側壁113の下方中央には矩形状の開口123を設けている。これら係止部121と開口123は、印字ユニット220を係止するために形成されている。取付体110の上面の左右には、矩形状の一対の開口127が設けられ、その内周の前方側の辺から突出する舌片状のバネ受け部129を下向きでさらに斜め前方を向くように根元部分を屈曲している。両開口127の左右外側には、第1の支持体係止部131と、第2の支持体係止部133が形成されている。第1の支持体係止部131と第2の支持体係止部133は、同一直線上(分離部20の直線移動方向)に形成されている。第1の支持体係止部131は、略凸形状であり、前記直線方向に延びる幅の広いバネ挿入部135の前方側に、前記直線方向に延びる幅の狭い支持体支持部137を連結して形成されている。第2の支持体係止部133は、略凸形状であり、一端が取付体110の外周辺に至る幅の広い挿入部139の前方側に、前記直線方向に延びる幅の狭い支持体支持部141を連結して形成されている。バネ挿入部135と挿入部139の幅寸法は同一に形成され、両支持体支持部137,141の幅寸法は同一に形成されている。
【0027】
可動刃ユニット180は略矩形状の箱型に形成され、その両側面部分に一対の支持体160を回動自在に取り付けている。支持体160は合成樹脂の成形品であり、
図8に示すように、略L字状に成形され、その前方側の部分を可動刃側支持部161、後方側の部分を装置本体側支持部163としている。可動刃側支持部161は板状であり、その上部が可動刃ユニット180の左右の側面の上部の軸支部165に回動自在に取り付けられている。装置本体側支持部163は略棒状であって水平に設置され、その上面には、一対の支持体保持部167,169が突設されている。装置本体側支持部163上面の一対の支持体保持部167,169の間には、凹状のバネ挿入部164が設けられている。前方側の支持体保持部167はT字型であり、幅の小さいガイド挿入部171の上部に幅の大きい抜け止め部173を設けて構成されている。ガイド挿入部171の幅寸法は、前記第1の支持体係止部131の支持体支持部137に挿入できる幅寸法に形成され、抜け止め部173の幅寸法は、前記第1の支持体係止部131のバネ挿入部135に挿入できる幅寸法に形成されている。ガイド挿入部171の後面側には、突起からなるバネ支持部175が設けられている。後方側の支持体保持部169もT字型であり、幅の小さいガイド挿入部177の上部に幅の大きい抜け止め部179を設けて構成されている。ガイド挿入部177の幅寸法は、前記第2の支持体係止部133の支持体支持部141に挿入できる幅寸法に形成され、抜け止め部179の幅寸法は、前記第2の支持体係止部133の挿入部139に挿入できる幅寸法に形成されている。装置本体側支持部163の可動刃ユニット180側の端面であって、一対の可動刃側支持部161の対向面側に突出している部分は、可動刃ユニット当接部166となっている。
【0028】
可動刃ユニット180は、例えば
図4に示すように、略矩形箱型の駆動機構部181の後面に略コ字状の取付板183を取り付けて構成されている。駆動機構部181は、その内部に収納した可動刃駆動モータ185の一部をその前面に露出し、また内部に収納した保守用可動刃駆動機構の手動用の操作つまみ187の一部をその前面に露出している。駆動機構部181の下面からは、その長手方向に沿うように1枚の刃体(以下「可動刃」という)189が突出している。可動刃189は、下記する
図9に示すように、駆動機構部181の下面から突出する可動刃保持部材191にビス192によって取り付けられ、前記可動刃駆動モータ185を駆動することで上下動する。可動刃189の下端辺は、
図4に示すように、斜めに傾斜する直線状に形成されており、この下端辺に刃193が形成されている。刃193の一端部(下方向に最も突出した側の端部)には、刃193よりも下方向に伸びて前方側に湾曲する小突起状の刃ガイド部195が設けられている。取付板183は略矩形状の金属板の左右両側部分を前方側に屈曲することで側面部197を設けて構成されている。取付板183の下部は、前記駆動機構部181よりも下方に突出しており、その前面下部の左右両側の側面部197の内側部分は、前記分離部20の誘導部32に当接する被誘導部199となっている。
【0029】
印字ユニット220は、例えば
図4,
図6に示すように、取付板221の下面に印字ヘッド(以下「サーマルヘッド」という)223等を取り付けて構成されている。なお実際にはサーマルヘッド223以外の印字に必要な各種部品も搭載しているが、説明の都合上その記載は省略している。取付板221は、略平板矩形状で金属製の板体の左右両辺を下方向に折り曲げて側壁225(
図4,
図6では手前側の側壁215のみ示す)を形成して構成されている。取付板221の前方側の外周辺の略中央には、上方向に逆L字状に折り曲げられた係止片227が設けられており、また係止片227の左右両側には、斜め前方上方に向かって折り曲げられた一対のバネ受け片229が設けられている。係止片227は前記取付体110の開口119に挿入される形状寸法に形成されており、その内部には、前記取付体110の係止部121を係止する開口部(図示せず)が形成されている。また取付板221の後方側の外周辺の略中央には、凸状に突出して前記取付体110の開口123に挿入・係止される係止部231が形成されている。サーマルヘッド223は略棒状(ブロック状)であって、前記プラテンローラ31の略全長にわたる長さを有し、その下面がサーマルヘッド部となっている。
【0030】
次に、装置本体側部材100の組立方法を説明する。まず
図8に示す一対の支持体160の装置本体側支持部163を、取付体110の下面側に配置し、その際、支持体160の各抜け止め部173,179をそれぞれ取付体110のバネ挿入部135と挿入部139に挿入し、その後支持体160を前方にスライド移動することで、支持体160の各ガイド挿入部171,177を支持体160の各支持体支持部137,141に挿入する。そして取付体110の各バネ挿入部135(及び支持体160のバネ挿入部164)に付勢手段であるコイルスプリング240を挿入し、一方の端部を各バネ支持部175に挿入して支持する。これによって
図7に示す状態になる。このとき、一対のコイルスプリング240が、支持体保持部167の一端面とバネ挿入部135の後側の辺との間を離間する方向に弾発することで、一対の支持体160及び可動刃ユニット180は、取付体110に対して、前方に向かって付勢される。
【0031】
次に、前記取付体110の一対のバネ受け部129を、それぞれ
図6に示すように、弾発手段である一対のコイルばね250の一端に挿入して固定する。そして、取付体110の下部に印字ユニット220を配置し、印字ユニット220の係止片227を取付体110の開口119に挿入して係止片227の開口部(図示せず)に係止部121を係止し、且つ印字ユニット220の係止部231を取付体110の開口123に係止する。このとき、コイルばね250の他端はバネ受け片229に弾接し、これによって印字ユニット220は、取付体110に対して前方斜め下方に向かって付勢される。これによって装置本体側部材100の組立が完了する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0032】
そして前記分離部20の下部に取り付けた取付体21を、ラベルプリンター1の基台部3の前面に設けた凹部の内周下面に固定すると共に、装置本体側部材100の取付体110を、前記凹部の内周上面に固定すれば、印刷装置10が構成される。前記
図2は分離部20をラベルプリンター1の凹部内に収納して閉じた状態、即ち印字可能状態を示し、
図3,
図4は分離部20をラベルプリンター1の凹部から引き出した状態、即ちラベルロール27の取り換えを行うときや、固定刃33と可動刃189等によって構成される切断機構が詰まってその復旧を行うとき等の状態を示している。
【0033】
図9は、前記
図2の印字可能状態における、可動刃189と固定刃33近傍部分の要部拡大概略側面図(但し、印字ユニット220の記載は省略)である。このときの可動刃189と固定刃33はラベル用紙を切断する切断可能位置にある。同図に示すように、可動刃ユニット180は、その取付板183の後面が支持体160の可動刃ユニット当接部166(
図7,
図8参照)に当接することで、可動刃ユニット180の後方への回動が規制されている。同時に分離部20の左右一対の誘導部32が取付板183の左右一対の被誘導部199に当接することで、可動刃ユニット180の前方への回動が規制されると共に、可動刃ユニット180と支持体160とをコイルスプリング240の付勢力に抗して、取付体110に対して少し後方に移動させている。
【0034】
言い換えれば、可動刃ユニット180と支持体160(即ち可動刃189)は、コイルスプリング240によって与圧されている。そしてこの与圧によって、例え装置本体側部材100に対する分離部20の相対的位置が正確に位置出しできていないような場合でも、分離部20に対する可動刃189の相対的位置は正確に位置出しすることができる。
【0035】
一方、前述のように、固定刃33は付勢部材51によって、その移動規制部39が固定刃移動規制孔67の当接部69に弾接している。つまり固定刃33は、常に固定刃移動規制孔67の当接部69に当接する位置に付勢されて位置するので、分離部20における固定刃33の位置は精度良く同一位置に設置することができる。
【0036】
以上のように、分離部20に対する可動刃189の正確な位置出しと、分離部20における固定刃33の正確な位置出しにより、一対の刃体間(固定刃33と可動刃189間)の正確な位置出しが行われる。またこのとき、プラテンローラ31には、
図9には示していないサーマルヘッド223下面のサーマルヘッド部が当接(コイルばね250の付勢力によって弾接)している。
【0037】
この状態において、分離部20のロール収納部29に収納したラベルロール27から引き出したラベル用紙を、プラテンローラ31とサーマルヘッド223との間に通し、プラテンローラ31を回転駆動しながらサーマルヘッド223によって印字を行い、固定刃33と可動刃189間を通過させ、印字後のラベル用紙を排出する。排出されたラベル用紙は固定刃33と可動刃189によって切断される。即ち、少なくともプラテンローラ31とサーマルヘッド223がラベル用紙に印字を行う印字手段を構成し、少なくとも固定刃33と可動刃189が印字されたラベル用紙を切断する切断機構を構成している。
【0038】
図10,
図11は、固定刃33と可動刃189の要部拡大概略図であり、
図10は可動刃189を駆動していないとき(上昇しているとき)の状態を、
図11は可動刃189を駆動したとき(下降したとき)の状態を示している。何れの図も両刃体33,189は切断可能位置にある。即ち
図10に示すように、可動刃189を駆動していないときは、固定刃33の刃41と可動刃189の刃193間には、ラベル用紙Rを通す隙間Sが形成されている。そして可動刃駆動モータ185を駆動することで、
図10に示す可動刃189を下方向に直線状に下降すれば、可動刃189の下端辺の一端に設けた刃ガイド部195によって、固定刃33が前記付勢部材51に抗して回動し、
図11に示すように刃193と刃41によって、ラベル用紙Rが切断される。このとき、ラベル用紙Rを挟持する刃193と刃41間の挟持圧は付勢部材51によって一定に保てるので、刃の摩耗などの経時変化が生じても、常に一定の良好なせん断作用によるラベル用紙Rの切断を維持することができる。また、一対の刃体(固定刃33と可動刃189)の位置出しを、長期間正確に維持することができるので、一対の刃体の切れ味が落ちることがなく、メンテナンスを長期間行わずに済む。
【0039】
次に、上記印刷の途中等に紙詰まりが生じた場合は、前記
図1に示すロック解除レバー13を上方向に持ち上げることでロックを解除した状態で、分離部20を手前方向に直線状に引き出す。このとき、
図12に示すように、分離部20の誘導部32が取付板183の被誘導部199から離れるので、可動刃ユニット180は
図12に矢印で示すように前方向への回動が可能になる。このため、可動刃189を固定刃33から容易に大きく引き離すことができ、これによって紙詰まり等の切断機構に生じる不具合を容易に解消することができる。特に例えば紙詰まりによって、
図11に示す位置から可動刃189が元の位置に戻らなくなったような場合、もし可動刃189を移動することができないと、固定刃33と可動刃189の係合によって、分離部20を引き出すことができなくなる。しかし本実施形態の機構によれば、可動刃189が分離部20の移動方向に移動可能となるので、このような場合でも容易に分離部20を引き出すことができ、紙詰まりを解消することができる。
【0040】
紙詰まりを解消したり、ラベルロール27を取り換えたりした後は、分離部20を装置本体側に押し込んで、
図2に示す前記切断可能位置に戻し、ロック解除レバー13をロックする。このとき、
図9に示すように、分離部20の誘導部32は、可動刃ユニット180の被誘導部199に係合することで、可動刃ユニット180を切断可能位置へ誘導して固定する。このとき、可動刃ユニット180と支持体160はコイルスプリング240の付勢力に抗して、取付体110に対して少し後方に移動した元の位置に位置する。即ち、上述のように、可動刃ユニット180と支持体160は、コイルスプリング240によって与圧され、この与圧によって分離部20に対する可動刃189の相対的位置が正確に位置出しされる。つまり分離部20を切断可能位置へ戻すだけで、その移動に連動して、可動刃ユニット180も切断可能位置に自動的に誘導された上、一対の刃体33,189間を正確な位置に位置出しすることができる。
【0041】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記例では、分離部側に固定刃、装置本体側部材に可動刃を設置したが、両刃体はそれぞれ逆側に設置しても良い。また一対の刃体として、可動刃と固定刃の代りに、両者とも可動刃としても良い。要は一対の刃体により印刷用媒体をせん断作用で切断する切断機構であればどのような構成であってもよい。また上記例では、可動刃を有する可動刃ユニットを支持体に対して揺動自在(回転自在)に取り付けたが、可動刃ユニットは支持体に揺動しない状態で固定していても良い。また刃体を与圧する付勢手段はコイルスプリングに限られず、板バネや弾性ゴム等の他の各種付勢手段であっても良い。また本数も2本に限らず、1又は3本以上であっても良い。規制手段の構成も、刃体が、分離部が分離していく方向に移動するのを規制できる構成であれば、どのような構成であっても良い。また付勢手段は、上記実施形態では操作者側から見て、装置本体側に取り付けた一方の刃体の奥側に設置したが、その代りに、この一方の刃体の手前側に設置しても良い。
【0042】
また上記実施形態では、装置本体側に取り付けられる一方の刃体を、付勢手段を備える支持体により支持したが、逆に、分離部側に取り付けられる他方の刃体を、付勢手段を備える支持体により支持するように構成しても良い。また上記実施形態では、規制手段を、分離部に取り付けられる他方の刃体に設置したが、その代りに、規制手段を、装置本体側に取り付けられる一方の刃体に設置するように構成しても良い。
【0043】
また上記例では印刷用媒体としてラベル用紙を用いたが、他の用途に用いる印刷用媒体であっても良い。また印刷用媒体はロールから引き出したものでなくても良い。また上記例では、印刷装置を計量値付けラベルプリンターに用いた例を説明したが、他の各種装置、例えばPOSレジスタ、キッチンプリンター、券売機等にも同様に設置することができる。