特許第6596982号(P6596982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596982
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】インサイドマイクロメータの固定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/00 20060101AFI20191021BHJP
   G01B 3/18 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   G01B5/00 L
   G01B3/18
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-132357(P2015-132357)
(22)【出願日】2015年7月1日
(65)【公開番号】特開2017-15552(P2017-15552A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 博之
(72)【発明者】
【氏名】香川 晃
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄次
(72)【発明者】
【氏名】藤本 悠
【審査官】 國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭48−005449(JP,A)
【文献】 実開平05−077702(JP,U)
【文献】 実開昭48−072951(JP,U)
【文献】 実開昭60−037893(JP,U)
【文献】 特開昭50−142056(JP,A)
【文献】 実開昭60−148901(JP,U)
【文献】 特開昭61−053505(JP,A)
【文献】 実開昭56−166771(JP,U)
【文献】 特開2008−209155(JP,A)
【文献】 特開2015−219105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00
G01B 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石と結合可能な金属材料からなる第1被測定物に対して先端が接触するロッド部と、第2被測定物に対して先端が接触するヘッド部と、を有し、前記ロッド部の先端と前記ヘッド部の先端との間の距離を測定するインサイドマイクロメータを、前記第1被測定物に固定する固定装置であって、
前記ロッド部の先端が前記第1被測定物に接触するように、前記ロッド部を保持するとともに前記第1被測定物と結合する磁性体材料からなる筐体を備え、
前記筐体は、
前記ロッド部の径よりも大きい径を有し、前記ロッド部が挿入される第1貫通孔と、
前記第1貫通孔と直交する方向に前記第1貫通孔を通って貫通する第2貫通孔と、前記ロッド部が前記第1貫通孔に挿入された状態において、前記第2貫通孔と、前記ロッド部の長手方向とは直交する方向に貫通する第3貫通孔と、を通って挿入されるボルトと、を含み、前記ロッド部が前記第1貫通孔に挿入された状態を保持する保持装置と、
前記筐体を磁化された状態又は磁化を解除された状態の何れか一方の状態に設定する設定装置と、を含み、
前記ロッド部は、前記ボルトを回動軸として、前記第1貫通孔の径の範囲内で回動可能である
ことを特徴とするインサイドマイクロメータの固定装置。
【請求項2】
前記設定装置は、
前記筐体の内部に設けられ、前記筐体を磁化された状態又は磁化を解除された状態に設定する設定回路と、
前記筐体の外部に設けられ、前記設定回路に対して、前記筐体を磁化された状態又は磁化を解除された状態に設定するための指示を与えるスイッチと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のインサイドマイクロメータの固定装置。
【請求項3】
前記筐体は、実質的に直方体の形状を呈する
ことを特徴とする請求項又はに記載のインサイドマイクロメータの固定装置。
【請求項4】
前記ロッド部は、継ぎ足し可能な複数の継ぎ足しロッド部、
を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載のインサイドマイクロメータの固定装置。
【請求項5】
前記複数の継ぎ足しロッド部の夫々の長さは異なる
ことを特徴とする請求項に記載のインサイドマイクロメータの固定装置。
【請求項6】
前記第1被測定物は、立軸型水車及び立軸型発電機のための軸受部材であり、
前記第2被測定物は、前記第1被測定物の中心から錘が取り付けられた状態で垂下されるピアノ線であり、
前記インサイドマイクロメータは、前記軸受部材の内周面と前記ピアノ線との間の距離を測定する
ことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載のインサイドマイクロメータの固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサイドマイクロメータの固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、水力発電所に設置されている立軸型水車(例えばフランシス水車)及び立軸型発電機のための軸受部材(例えば上部ブランケット、下部ブランケット、水車軸受台)の軸合わせを行う場合、立軸型水車及び立軸型発電機が取り外された状態において、インサイドマイクロメータを用いて、軸受部材の内周面における一の円周上の複数の測定点と、軸受部材の中心付近から錘が吊り下げられた状態で垂下されるピアノ線と、の間の距離を測定し、軸受部材の内周面における一の円周上の複数の測定点とピアノ線との間の距離が夫々等しくなるように、ピアノ線の垂下位置を調整して軸合わせを行う技術が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−209155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、立軸型発電機から得られる発電出力を増大させようとする場合、立軸型発電機が大型化し、これに伴って軸受部材も大型化することになる。軸受部材が大型化すると、軸受部材の内周面とピアノ線との間の距離が長くなるため、インサイドマイクロメータの全長を長く設定する必要がある。
【0005】
しかし、インサイドマイクロメータの全長を長く設定すると、作業者が一人で軸受部材の内周面とピアノ線との間の距離を測定できなくなるか、若しくは、作業者が一人で軸受部材の内周面とピアノ線との間の距離を測定できたとしても、作業者は両手を大きく広げてインサイドマイクロメータを支持しつつ水平な状態に保ちながら軸受部材の内周面とピアノ線との間の距離を測定しなければならないため、安定した姿勢で精度よく測定できなくなる虞があった。
【0006】
そこで、本発明は、第1被測定物と第2被測定物との間の距離が、作業者が一人で測定作業を行えなくなるか、又は、作業者が一人で安定した測定作業を行えなくなるような距離であったとしても、作業者が安定した姿勢で精度よく測定作業を行うことが可能なインサイドマイクロメータの固定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決する主たる本発明は、磁石と結合可能な金属材料からなる第1被測定物に対して先端が接触するロッド部と、第2被測定物に対して先端が接触するヘッド部と、を有し、前記ロッド部の先端と前記ヘッド部の先端との間の距離を測定するインサイドマイクロメータを、前記第1被測定物に固定する固定装置であって、前記ロッド部の先端が前記第1被測定物に接触するように、前記ロッド部を保持するとともに前記第1被測定物と結合する磁性体材料からなる筐体を備え、前記筐体は、前記ロッド部の径よりも大きい径を有し、前記ロッド部が挿入される第1貫通孔と、前記第1貫通孔と直交する方向に前記第1貫通孔を通って貫通する第2貫通孔と、前記ロッド部が前記第1貫通孔に挿入された状態において、前記第2貫通孔と、前記ロッド部の長手方向とは直交する方向に貫通する第3貫通孔と、を通って挿入されるボルトと、を含み、前記ロッド部が前記第1貫通孔に挿入された状態を保持する保持装置と、前記筐体を磁化された状態又は磁化を解除された状態の何れか一方の状態に設定する設定装置と、を含み、前記ロッド部は、前記ボルトを回動軸として、前記第1貫通孔の径の範囲内で回動可能である
【0008】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1被測定物と第2被測定物との間の距離が、作業者が一人で測定作業を行えなくなるか、又は、作業者が一人で安定した測定作業を行えなくなるような距離であったとしても、作業者が安定した姿勢で精度よく測定作業を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(A)は本実施形態に係る固定装置を正面から見た様子を示す図、(B)は本実施形態に係る固定装置を背面から見た様子を示す図、(C)は本実施形態に係る固定装置を一方の側面から見た様子を示す図、(D)は本実施形態に係る固定装置を他方の側面から見た様子を示す図である。
図2】本実施形態に係る固定装置の機能を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る固定装置に対してインサイドマイクロメータを装着する前の状態を示す斜視図である。
図4】本実施形態に係る固定装置に対してインサイドマイクロメータを装着した状態を示す斜視図である。
図5】本実施形態に係る固定装置とインサイドマイクロメータとを用いて、水力発電所に設置されている立軸型水車及び立軸型発電機の軸合わせを行う様子を示す図である。
図6】本実施形態に係る固定装置とインサイドマイクロメータとを用いて、水力発電所に設置されている立軸型水車及び立軸型発電機の軸合わせを行う様子を示す一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
===固定装置の構成===
図1(A)は本実施形態に係る固定装置を正面から見た様子を示す図、図1(B)は本実施形態に係る固定装置を背面から見た様子を示す図、図1(C)は本実施形態に係る固定装置を一方の側面から見た様子を示す図、図1(D)は本実施形態に係る固定装置を他方の側面から見た様子を示す図である。図2は、本実施形態に係る固定装置の機能を示すブロック図である。図3は、本実施形態に係る固定装置に対してインサイドマイクロメータを装着する前の状態を示す斜視図である。図4は、本実施形態に係る固定装置に対してインサイドマイクロメータを装着した状態を示す斜視図である。尚、X軸は固定装置の双方の側面に直交する方向に沿う軸であり、Y軸は固定装置の正面及び背面に直交する方向に沿う軸であり、Z軸は固定装置の天面及び底面に直交する方向に沿う軸である。
【0013】
以下、図1図4を参照しつつ、本実施形態に係る固定装置について説明する。尚、本実施形態に係る固定装置に装着される対象であるインサイドマイクロメータとして、例えば、測定距離に応じてロッド部の全長を数段階に変更可能な継ぎ足し型インサイドマイクロメータを採用することとする。
【0014】
継ぎ足し型インサイドマイクロメータ1は、ヘッド部1Aとロッド部1Bを含んで構成されている。ヘッド部1Aは、例えば、被測定物間の距離を測定する際に操作するダイヤル式の操作部1Cと、被測定物間の距離の測定結果を表す目盛1Dと、被測定物に接触する接触片1Eと、ロッド部1Bに対して着脱自在に結合される雄螺子1Fと、を含んで構成されている。又、ロッド部1Bは、例えば、ロッド部1Gと、複数の継ぎ足しロッド部1Hと、を含んで構成されている。ロッド部1Gは、雌螺子1Jと雄螺子1Kを有している。継ぎ足しロッド部1Hは、雌螺子1Lと雄螺子1Mを有している。そして、ヘッド部1Aの雄螺子1F及びロッド部1Gの雌螺子1Jが螺合することによって、ヘッド部1A及びロッド部1Gは結合され、ロッド部1Gの雄螺子1K及び継ぎ足しロッド部1Hの雌螺子1Lが螺合することによって、ロッド部1G及び継ぎ足しロッド部1Hは結合され、継ぎ足しロッド部1Hの雌螺子1L及び隣り合う継ぎ足しロッド部1Hの雄螺子1Mが螺合することによって、隣り合う継ぎ足しロッド部1H同士は結合される。複数の継ぎ足しロッド部1Hのうち、ヘッド部1Aとは反対側の先端に結合されている継ぎ足しロッド部1H(以下、説明の便宜上、先端継ぎ足しロッド部1Pと称する)には、長手方向とは直交する方向に貫通孔1Nが穿設されている。本実施形態において、ヘッド部1A及びロッド部1Bは、導電性を有する金属材料から形成されていることとする。
【0015】
筐体2(固定装置)は、上記のインサイドマイクロメータ1を第1被測定物に結合する中継装置である。尚、インサイドマイクロメータ1が結合される対象である第1被測定物は、磁石と結合可能な金属材料(例えばFe,Co,Ni)を用いて形成されていることとする。筐体2は、磁性体材料を用いて形成され、磁化された状態において第1被測定物の構成面と結合される。筐体2は、第1被測定物と結合された際に、インサイドマイクロメータ1における先端継ぎ足しロッド部1Pの雄螺子1Mが第1被測定物の構成面と接触するように、先端継ぎ足しロッド部1Pを保持する。筐体2は、実質的に直方体形状を呈している。筐体2の正面2A及び背面2Bには、正面2A及び背面2Bの中央をY軸に沿って貫通する貫通孔2Cが穿設されている。貫通孔2Cは、先端継ぎ足しロッド部1Pが挿通される孔であって、先端継ぎ足しロッド部1Pの径よりも大きい径を有している。筐体2の両方の側面2D,2Eには、貫通孔2Cを通過するように、側面2D,2Eの中央をX軸に沿って貫通する貫通孔2Fが穿設されている。尚、先端継ぎ足しロッド部1Pの雄螺子1Mが第1被測定物の構成面と接触するように、先端継ぎ足しロッド部1Pが貫通孔2Cに挿入されると、貫通孔2Fは貫通孔1Nを通って筐体2の両側面2D,2Eを貫通する状態になる。この状態において、ボルト2Gが側面2D側の貫通孔2Fに挿入されると、ボルト2Gの雄螺子2Hは貫通孔1Nを通って側面2E側の貫通孔2Fから突出する。蝶ナット2Lは、側面2E側からワッシャー2Mを介してボルト2Gの雄螺子2Hと螺合する。蝶ナット2Lを締め付けることによって、インサイドマイクロメータ1は筐体2に保持された状態になる。筐体2は、筐体2を磁化された状態又は磁化を解除された状態の何れか一方の状態に設定する設定回路2Jを内蔵している。筐体2は、筐体2を磁化された状態又は磁化を解除された状態に選択的に設定するための指示を発生するスイッチ2Kを有している。スイッチ2Kは、作業者が操作し易いように筐体2の正面2Aに取り付けられ、信号線を通して設定回路2Jに接続されている。そして、設定回路2Jが筐体2に対して磁場を発生し、筐体2が磁気的に分極して磁石になると(筐体2が磁化された状態に設定されると)、インサイドマイクロメータ1が装着された筐体2の背面2Bが第1被測定物の構成面に結合し、これによって、筐体2は第1被測定物と結合される。一方、設定回路2Jが筐体2に対する磁場の発生を停止すると(筐体2が磁化を解除された状態に設定されると)、筐体2は第1被測定物から外される。
【0016】
===固定装置の適用例===
図5は、本実施形態に係る固定装置とインサイドマイクロメータとを用いて、水力発電所に設置されている立軸型水車及び立軸型発電機の軸受部材の軸合わせを行う様子を示す図である。尚、説明の便宜上、上部基礎、下部基礎、ケーシング、ドラフトは断面で示されている。図6は、本実施形態に係る固定装置とインサイドマイクロメータとを用いて、水力発電所に設置されている立軸型水車及び立軸型発電機の軸受部材の軸合わせを行う様子を示す一部拡大図である。
【0017】
以下、図1図6を参照しつつ、本実施形態に係る固定装置に装着されたインサイドマイクロメータを用いて、水力発電所に設置されている立軸型水車及び立軸型発電機の軸受部材の軸合わせを行う場合について説明する。尚、説明の便宜上、立軸型水車及び立軸型発電機は基礎から取り外された状態であることとする。
【0018】
水力発電設備を継続的に稼働していると、稼働時間が経過するとともに設備機器の摩耗や腐食が発生し、又は設備機器に発生した摩耗や腐食が進行し、電力を安定的に供給できなくなる虞がある。そこで、電力が安定的に供給されるように、新設又は前回の分解点検作業から一定年数(例えば12〜15年)が経過している水力発電設備に対して新たに分解点検作業を行うように計画されている。具体的には、水力発電設備(立軸型水車、立軸型発電機、上部ブランケット、下部ブランケット、メタル支え等)を基礎から取り外して分解点検を行い、必要に応じて水力発電設備に対して修理や交換を施した後、水力発電設備を基礎の上に再度組み立てる作業を行う。ここで、水力発電設備を基礎の上に組み立てて稼働した際に、立軸型水車のランナや立軸型発電機の回転子が周囲の設備に接触することがないように、上部ブランケット、下部ブランケット、メタル支えの軸合わせを行うことが重要になる。そこで、本実施形態に係る固定装置に装着されたインサイドマイクロメータを用いて、上部ブランケット、下部ブランケット、メタル支えの軸合わせを行う際の作業工程について以下に説明する。
【0019】
<<立軸型水車及び立軸型発電機の取付構造>>
立軸型水車のランナに軸支されている回転軸が立軸型発電機の回転軸と連結された状態で、立軸型水車及び立軸型発電機が取り付けられる構造として、中央部に立軸型水車及び立軸型発電機の回転機構が配置される空間10を有する2段構造の基礎(下部基礎11,上部基礎12)が形成されている。
【0020】
下部基礎11は、立軸型水車が取り付けられる基礎である。下部基礎11の下側には、立軸型水車の一部であるケーシング13及びドラフト14が形成されている。ケーシング13は、上流側からの水を立軸型水車のランナに流し込むための水流を形成する例えば渦巻形状を呈する外殻である。ドラフト14は、ランナの回転に伴って立軸型水車の回転力が立軸型発電機に伝達される一方、ランナを回転させた後の不要となった水を下流側に流し出す管路である。尚、水力発電設備の分解点検を行う場合、ケーシング13に対する上流側からの水の供給は停止し、ドラフト14は、平板状の蓋15が水平な状態で排水口を塞ぐことによって、当該排水口よりも上流側の管路と当該排水口よりも下流側の管路との間の流路が遮断された状態になっている。下部基礎11の空間10側には、メタル支え16(第1被測定物)が取り付けられる。メタル支え16は、立軸型水車のランナから上方に延びる回転軸を回転自在に支持する軸受部材である。
【0021】
上部基礎12は、立軸型発電機が取り付けられる基礎である。上部基礎12の空間10側には、下部ブランケット17(第1被測定物)が取り付けられる。又、上部基礎12の上部には、立軸型発電機の固定子18が取り付けられる。又、固定子18の上部には、上部ブランケット19(第1被測定物)が取り付けられる。下部ブランケット17及び上部ブランケット19は、立軸型水車の回転軸と連結された立軸型発電機の回転軸を回転自在に支持する軸受部材である。
【0022】
水力発電設備の分解点検が終了すると、軸合わせを行うために、メタル支え16は下部基礎11に取り付けられ、下部ブランケット17は上部基礎12に取り付けられ、上部ブランケット19は固定子18に取り付けられる。尚、空間10には、軸合わせ作業を行うための足場が予め設置されていることとする。
【0023】
<<センタリング測定装置>>
本実施形態において、メタル支え16と、下部ブランケット17と、上部ブランケット19と、の間の軸合わせを行うための手段として、例えば、架台20、ピアノ線21(一点鎖線)、錘22、油入り容器23、ピアノ線微動装置24、電池25、レシーバ26を含んで構成されるセンタリング測定装置を用いることとする。架台20は、空間10を跨ぐように上部ブランケット19の上面に設置されている。ピアノ線21の先端には、錘22が取り付けられている。油入り容器23は、ドラフト14の管路を塞いでいる蓋15の中央に設置されている。油入り容器23の設置位置は、水車の中心位置と一致していることとする。ピアノ線微動装置24は、上部ブランケット19に対するピアノ線21のずれを調整する装置である。ピアノ線微動装置24は、架台20の上面に設置され、錘22が油入り容器23に落とし込まれた状態で一定の張力が付与されたピアノ線21を支持する装置である。このようにして、ピアノ線21は、水車の中心軸に沿って撓むことなく垂直方向に垂下されることとなる。電池25は、センタリング測定装置を動作させるための電源となる電池である。レシーバ26は、第1被測定物(メタル支え16、下部ブランケット17、上部ブランケット19)とピアノ線21との間にインサイドマイクロメータ1の両端が接触したときに発生する「ジリジリ」等の音を確認する装置である。
【0024】
<<センタリング測定方法>>
先ず、作業者は、インサイドマイクロメータ1におけるロッド部1Bの長さを、ピアノ線21と上部ブランケット19との間の距離を測定可能な長さに調整する。例えば、ロッド部1Bは、ロッド部1Gに対して、ピアノ線21と上部ブランケット19との間の距離に応じた本数の継ぎ足しロッド部1H(先端継ぎ足しロッド部1Pを含む)が継ぎ足された状態になっている。(工程1)
【0025】
次に、作業者は、筐体2の貫通孔2Cに対して、インサイドマイクロメータ1におけるヘッド部1Aとは反対側のロッド部1Bの先端、つまり、ロッド部1Gとは反対側の先端継ぎ足しロッド部1Pを挿入する。そして、作業者は、先端継ぎ足しロッド部1Pの雄螺子1Mの先端が背面2Bと面一になる状態において、ボルト2Gを側面2D側から貫通孔2Fに挿入すると、ボルト2Gは貫通孔1Nを取って側面2E側の貫通孔2Fから突出する。そして、ボルト2Gが挿入孔2Fから抜けなくなるように、蝶ナット2Lをボルト2Gにねじ込んで締め付ける。これによって、インサイドマイクロメータ1は筐体2に保持された状態になる。(工程2)
【0026】
次に、作業者は、インサイドマイクロメータ1を携行しながら足場を進み、ピアノ線21と上部ブランケット19との間の距離を測定可能な位置まで移動する。又、作業者は、スイッチ2Kを操作し、筐体2を磁化された状態に設定する。そして、作業者は、筐体2の背面2Bを上部ブランケット19の内周面に接触させる(先端継ぎ足しロッド部1Pの雄螺子1Mを上部ブランケット19の内周面に接触させる)。これにより、インサイドマイクロメータ1は筐体2を介して上部ブランケット19に結合された状態になる。(工程3)
【0027】
次に、作業者は、操作部1Cを操作して目盛1Dの基点調整を行った後、接触片1Eがピアノ線21と接触するように操作部1Cを操作する。このとき、接触片1Eがピアノ線21に対して若干ずれていたとしても、ボルト2Gを回動軸として、貫通孔2Cの径の範囲内(+Z〜−Z)で、インサイドマイクロメータ1を回動させることができるため、接触片1Eの位置を微調整することが可能である。接触片1Eがピアノ線21に接触すると、インサイドマイクロメータ1、電池25、レシーバ26が閉回路を形成し、レシーバ26から「ジリジリ」等の音が発生する。作業者は、レシーバ26から「ジリジリ」等の音が発生したときの目盛1Dの値(ピアノ線21と上部ブランケット19との間の測定距離)を確認し、例えば端末装置のメモリに格納しておく。(工程4)
【0028】
次に、作業者は、スイッチ2Kを操作し、筐体2を磁化された状態から磁化を解除された状態に設定する。これにより、インサイドマイクロメータ1は、上部ブランケット19から取り外された状態になる。(工程5)
【0029】
尚、本実施形態において、上部ブランケット19の軸がケーシング13の軸に精度よく合うように、インサイドマイクロメータ1の雄螺子1Mと上部ブランケット19の内周面との一の接触点(測定点)に重なる一の円周上における複数の測定点(例えば8測定点)に関して、ピアノ線21と上部ブランケット19との間の距離を測定することとする。上記の工程3〜工程5で説明したように、一の測定点に関して、ピアノ線21と上部ブランケット19との間の距離は既に測定されているため、作業者は、他の7測定点に関して、上記の工程3〜工程5を繰り返し行う。(工程6)
【0030】
次に、作業者は、複数の測定点における目盛1Dの値が等しくなるように、上部ブランケット19に対するピアノ線21の位置を調整しながら、上部ブランケット19の位置を調整する。(工程7)
【0031】
次に、作業者は、インサイドマイクロメータ1におけるロッド部1Bの長さを、ピアノ線21と下部ブランケット17との間の距離を測定可能な長さに調整する。例えば、ロッド部1Bは、ロッド部1Gとは反対側の1本の先端継ぎ足しロッド部1Pが筐体2に装着された状態のまま、ロッド部1Gに対して、ピアノ線21と下部ブランケット19との間の距離に応じた本数の継ぎ足しロッド部1Hが継ぎ足された状態になっている。尚、ロッド部1Bの長さを工程1のまま調整する必要がない場合、次の工程に進む。(工程8)
【0032】
次に、作業者は、インサイドマイクロメータ1を携行しながら足場を進み、ピアノ線21と下部ブランケット17との間の距離を測定可能な位置まで移動する。又、作業者は、スイッチ2Kを操作し、筐体2を磁化された状態に設定する。そして、作業者は、筐体2の背面2Bを下部ブランケット17の内周面に接触させる(先端継ぎ足しロッド部1Pの雄螺子1Mを下部ブランケット17の内周面に接触させる)。これにより、インサイドマイクロメータ1は筐体2を介して下部ブランケット17に結合された状態になる。(工程9)
【0033】
次に、作業者は、操作部1Cを操作して目盛1Dの基点調整を行った後、接触片1Eがピアノ線21と接触するように操作部1Cを操作する。接触片1Eがピアノ線21に接触すると、インサイドマイクロメータ1、電池25、レシーバ26が閉回路を形成し、レシーバ26から「ジリジリ」等の音が発生する。作業者は、レシーバ26から「ジリジリ」等の音が発生したときの目盛1Dの値(ピアノ線21と下部ブランケット17との間の測定距離)を確認し、例えば端末装置のメモリに格納しておく。(工程10)
【0034】
次に、作業者は、スイッチ2Kを操作し、筐体2を磁化された状態から磁化を解除された状態に設定する。これにより、インサイドマイクロメータ1は、下部ブランケット17から取り外された状態になる。(工程11)
【0035】
尚、本実施形態において、下部ブランケット17の軸が上部ブランケット19の軸に精度よく合うように、インサイドマイクロメータ1の雄螺子1Mと下部ブランケット17の内周面との一の接触点(測定点)に重なる一の円周上における複数の測定点(例えば8測定点)に関して、ピアノ線21と下部ブランケット17との間の距離を測定することとする。上記の工程9〜工程11で説明したように、一の測定点に関して、ピアノ線21と下部ブランケット17との間の距離は既に測定されているため、作業者は、他の7測定点に関して、上記の工程9〜工程11を繰り返し行う。(工程12)
【0036】
次に、作業者は、複数の測定点における目盛1Dの値が等しくなるように、下部ブランケット17の位置を調整する。(工程13)
【0037】
次に、作業者は、インサイドマイクロメータ1におけるロッド部1Bの長さを、ピアノ線21とメタル支え16との間の距離を測定可能な長さに調整する。例えば、ロッド部1Bは、ロッド部1Gとは反対側の1本の先端継ぎ足しロッド部1Pが筐体2に装着された状態のまま、ロッド部1Gに対して、ピアノ線21とメタル支え16との間の距離に応じた本数の継ぎ足しロッド部1Hが継ぎ足された状態になっている。尚、ロッド部1Bの長さを工程8のまま調整する必要がない場合、次の工程に進む。(工程14)
【0038】
次に、作業者は、インサイドマイクロメータ1を携行しながら足場を進み、ピアノ線21とメタル支え16との間の距離を測定可能な位置まで移動する。又、作業者は、スイッチ2Kを操作し、筐体2を磁化された状態に設定する。そして、作業者は、筐体2の背面2Bをメタル支え16の内周面に接触させる(先端継ぎ足しロッド部1Pの雄螺子1Mをメタル支え16の内周面に接触させる)。これにより、インサイドマイクロメータ1は筐体2を介してメタル支え16に結合された状態になる。(工程15)
【0039】
次に、作業者は、操作部1Cを操作して目盛1Dの基点調整を行った後、接触片1Eがピアノ線21と接触するように操作部1Cを操作する。接触片1Eがピアノ線21に接触すると、インサイドマイクロメータ1、電池25、レシーバ26が閉回路を形成し、レシーバ26から「ジリジリ」等の音が発生する。作業者は、レシーバ26から「ジリジリ」等の音が発生したときの目盛1Dの値(ピアノ線21とメタル支え16との間の測定距離)を確認し、例えば端末装置のメモリに格納しておく。(工程16)
【0040】
次に、作業者は、スイッチ2Kを操作し、筐体2を磁化された状態から磁化を解除された状態に設定する。これにより、インサイドマイクロメータ1は、メタル支え16から取り外された状態になる。(工程17)
【0041】
尚、本実施形態において、メタル支え16の軸が上部ブランケット19の軸に精度よく合うように、インサイドマイクロメータ1の雄螺子1Mとメタル支え16の内周面との一の接触点(測定点)に重なる一の円周上における複数の測定点(例えば8測定点)に関して、ピアノ線21とメタル支え16との間の距離を測定することとする。上記の工程15〜工程17で説明したように、一の測定点に関して、ピアノ線21とメタル支え16との間の距離は既に測定されているため、作業者は、他の7測定点に関して、上記の工程15〜工程17を繰り返し行う。(工程18)
【0042】
次に、作業者は、複数の測定点における目盛1Dの値が等しくなるように、メタル支え16の位置を調整する。(工程19)
【0043】
以上の工程を行うことによって、上部ブランケット19、下部ブランケット17、メタル支え16の軸合わせが完了する。
【0044】
以上説明したように、本実施形態において、磁石と結合可能な金属材料からなる軸受部材(上部ブランケット19、下部ブランケット17、メタル支え16)に対して先端が接触するロッド部1Bと、ピアノ線21に対して先端が接触するヘッド部1Aと、を有し、ロッド部1Bの先端とヘッド部1Aの先端との間の距離を測定するインサイドマイクロメータ1を、上記の軸受部材に固定する部材として、ロッド部1Bの先端(先端継ぎ足しロッド部1P)が上記の軸受部材に接触するように、ロッド部1Bを保持するとともに上記の軸受部材と結合する磁性体材料からなる筐体2を備えている。筐体2は、ロッド部1Bが挿入される貫通孔2Cと、ロッド部1Bが貫通孔に挿入された状態を保持する螺合孔2F及びボルト2Gと、筐体2を磁化された状態又は磁化を解除された状態の何れか一方の状態に設定する設定回路2J及びスイッチ2Kと、を含んで構成されている。そして、本実施形態によれば、上記の軸受部材とピアノ線21との間の距離が、作業者が一人で測定作業を行えなくなるか、又は、作業者が一人で安定した測定作業を行えなくなるような距離であったとしても、作業者が安定した姿勢で精度よく測定作業を行うことが可能になる。
【0045】
又、本実施形態に係る筐体2は、実質的に直方体の形状を呈している。そして、本実施形態によれば、インサイドマイクロメータ1を上記の軸受部材に対して確実に結合することが可能になる。
【0046】
又、本実施形態において、インサイドマイクロメータ1のロッド部1Bは、ロッド部1Gと、ロッド部1Gに対して継ぎ足し可能な複数の継ぎ足しロッド部1Hと、を含んで構成されている。そして、本実施形態によれば、継ぎ足しロッド部1Hの増減によって、1個のインサイドマイクロメータ1で複数の測定距離を測定することが可能になる。又、複数の継ぎ足しロッド部1Hとして、異なる長さの継ぎ足しロッド部1Hを用意しておいてもよい。
【0047】
尚、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を水力発電設備の軸合わせに限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 インサイドマイクロメータ
1A ヘッド部
1B ロッド部
1C 操作部
1D 目盛
1E 接触片
1F 雄螺子
1G ロッド部
1H 継ぎ足しロッド部
1P 先端継ぎ足しロッド部
1N 挿入孔
2 筐体
2A 正面
2B 背面
2C 貫通孔
2D,2E 側面
2F 挿入孔
2G ボルト
2H 雄螺子
2J 設定回路
2K スイッチ
2L 蝶ナット
2M ワッシャー
10 空間
11 下部基礎
12 上部基礎
13 ケーシング
14 ドラフト
15 蓋
16 メタル支え
17 下部ブランケット
18 固定子
19 上部ブランケット
20 架台
21 ピアノ線
22 錘
23 油入り容器
24 ピアノ線微動装置
25 電池
26 レシーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6