(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の方法においては、ユーザが所定のスイッチを操作しなければ、故障コードが表示されなかった。したがって、ユーザが整備工場に電話をして故障コードを通知しようとしても、ユーザが、故障コードを表示させるための操作方法を知らなければ、ユーザは、整備工場の人に故障コードを伝えることができなかった。
【0005】
上記の問題を解決するために、ユーザが故障コードを確実に認識できるように、故障が発生した場合に常に故障コードを含む詳細な情報を表示する方法が考えられる。しかしながら、故障コードを含む詳細な情報を常に表示すると、運転中のユーザが、表示された詳細な情報に気を取られてしまい、運転に支障が生じてしまうという問題が発生する。
【0006】
そこで、本発明は、運転に支障を来すことなく、ユーザが故障の内容を詳しく把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表示装置は、車両に発生した故障の内容を示す故障情報を取得する第1取得手段と、前記車両の走行速度を示す速度情報を取得する第2取得手段と、前記走行速度が所定の速度より大きい場合に、第1の態様で表示部に前記故障の内容を表示させ、前記走行速度が前記所定の速度以下である場合に、前記第1の態様と異なる第2の態様で、前記表示部に前記故障の内容を表示させる表示制御手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
このような構成により、表示装置は、車両の走行中に、運転に支障を来すことなく故障の概要をユーザに通知し、車両が停止した後に、さらなる情報を表示することができる。
【0009】
前記表示制御手段は、前記第2の態様において、前記第1の態様よりも詳細に前記故障の内容を前記表示部に表示させてもよい。このようにすることで、表示装置は、故障に気付いて停車したユーザが対処方法を認識できるように、詳しい情報を表示させることができる。
【0010】
前記表示制御手段は、前記速度情報が示す走行速度が前記所定の速度以下である場合に、前記故障情報が示す故障に対応する故障コードを含む前記第2の態様で表示させるための操作画像を前記表示部に表示させてもよい。このようにすることで、自動車を停めたユーザが、整備工場等に故障の内容を通知できるようになる。
【0011】
前記表示制御手段は、前記第1取得手段が前記故障情報を取得していない状態において、前記第1取得手段が前記故障情報を取得している状態と異なる態様で前記操作画像を前記表示部に表示させてもよい。このようにすることで、故障の発生を経験したことがないユーザに対して、故障が発生した時に故障コードを表示する方法があるということを認識させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、運転に支障を来すことなく、ユーザが故障の内容を詳しく把握できるようにすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
[表示装置1の構成]
図1は、第1の実施形態に係る表示装置1の概要を説明するための図である。
図1に示すように、表示装置1は、エンジン制御ユニット2、ブレーキ制御ユニット3、リターダ制御ユニット4及びライト制御ユニット5等の自動車の各ユニットから、異常又は故障の内容(以下、「故障の内容」という)を示す故障情報の通知を受ける。また、表示装置1は、車速センサ6から自動車の走行速度を示す速度情報を取得する。表示装置1は、走行速度に応じた態様で、故障の内容を表示部に表示する。
【0015】
図2は、表示装置1の構成を示す図である。表示装置1は、表示部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
表示部11は、インストルメントパネルに設けられており、ディスプレイ111及びタッチパネル112を有する。ディスプレイ111は、例えば発光ダイオード及び液晶ディスプレイを含んでおり、自動車を運転するユーザに通知する情報を表示する。タッチパネル112は、ディスプレイ111の表面に重ねて設けられており、ユーザの操作を検出し、ユーザがタッチした位置の座標情報を表示制御部133に通知する。
【0016】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含んでいる。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部12は、発生した故障を特定するための故障コードに関連付けて、ディスプレイ111に表示される故障の内容を示すテキスト情報を記憶している。
【0017】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、第1取得部131、第2取得部132及び表示制御部133として動作する。
【0018】
第1取得部131は、車両に発生した故障の内容を示す故障情報を取得する。具体的には、第1取得部131は、
図1に示した各ユニットとCAN(Controller Area Network)を介して接続されており、各ユニットにおいて故障が発生した場合に、故障が発生したユニットから故障情報を取得する。第1取得部131は、取得した故障情報を記憶部12に記憶させる。故障情報には、故障の種類に対応する故障コードが含まれている。故障コードには、故障が発生したユニットを特定するユニットコードが含まれていてもよい。
【0019】
第2取得部132は、車両の走行速度を示す速度情報を車速センサ6から取得する。第2取得部132は、例えば、単位時間当たりの車輪の回転数を示すパルス信号を、速度情報として取得する。第2取得部132は、単位時間当たりのパルス数に対応する走行速度を特定する。
【0020】
表示制御部133は、ディスプレイ111に文字又は画像を表示させる。表示制御部133は、例えば、第2取得部132が特定した走行速度が所定の速度より大きい場合に、故障の内容を、第1の態様の画面でディスプレイ111に表示させる。第1の態様の画面は、例えば、ユーザが1秒以内に読み取れる程度に簡潔に故障の内容を示すアラート画面である。表示制御部133は、第1の態様として、故障が発生したことを示すアイコン画像のみを表示させてもよい。所定の速度は、例えば時速0kmである。この場合、表示制御部133は、走行中には、故障の内容を第1の態様でディスプレイ111に表示させることになる。
【0021】
図3は、表示制御部133がディスプレイ111に表示させる画面の例を示す図である。
図3(a)は、走行中にディスプレイ111に表示されるアラート画面である。
図3(a)に示すように、走行中には、故障状態を示すアイコンと、故障名「オーバーヒート」と、対処方法「安全な場所に停車して下さい」とが簡潔に表示される。
【0022】
表示制御部133は、走行速度が所定の速度以下である場合に、第1の態様と異なる第2の態様で、故障の内容をディスプレイ111に表示させる。例えば、表示制御部133は、車両が停車すると、第1の態様よりも詳細に、故障の内容をディスプレイ111に表示させる。
【0023】
図3(b)は、故障が発生した状態で車両が走行を停止したときに表示される画面である。表示制御部133は、
図3(b)に示すように、速度情報が示す走行速度が所定の速度以下である場合に、故障への対応策を詳細に説明するテキスト情報を記憶部12から読み出して、読み出したテキスト情報をディスプレイ111に表示させる。
【0024】
表示制御部133は、複数の故障が発生している場合、所定の時間ごとに複数の故障の内容を示す画面を順次切り替えながら、ディスプレイ111に表示させる。複数のユニットにおいて故障が発生している場合、表示制御部133は、夫々のユニットで発生した故障の内容を示す画面を順次切り替えながらディスプレイ111に表示させる。
【0025】
表示制御部133は、複数の故障が発生したことをディスプレイ111に表示させる場合、走行速度に応じて定められる時間間隔で画面を切り替えてもよい。例えば、表示制御部133は、車両の走行中は、ユーザが頻繁にディスプレイ111を見ることができないので、停車中よりも長い時間間隔(例えば、5秒間隔)で画面を切り替える。表示制御部133は、停車中は、ユーザがディスプレイ111を見続けることができるので、走行中よりも短い時間間隔(例えば、3秒間隔)で画面を切り替える。
【0026】
[表示装置1における表示処理手順を示すフローチャート]
図4は、制御部13が実行する表示処理の手順を示すフローチャートである。
まず、第1取得部131は、走行中にCANを介して接続された各ユニットと通信し、いずれかのユニットにおいて故障が発生した場合に、故障情報を取得する(S11)。続いて、第2取得部132は、車速センサ6から速度情報を取得する(S12)。第2取得部132は、S11の後に速度情報を取得することに限らず、定常的に速度情報を取得してもよい。
【0027】
続いて、表示制御部133は、第2取得部132が取得した速度情報が示す走行速度が、所定の速度より大きいか否かを判定する(S13)。表示制御部133は、例えば、車両が走行中であるか停車中であるかを判定する。表示制御部133は、走行速度が所定の速度よりも大きいと判定すると(S13においてYes)、第1の態様(例えば、
図3(a)に示したアラート画面)を用いて、故障が発生したことをディスプレイ111に表示させる(S14)。表示制御部133は、S14の後にS13に戻り、走行速度が所定の速度以下になるかどうかを監視し続ける。
【0028】
表示制御部133は、S13において、走行速度が所定の速度以下になったと判定すると(S13においてNo)、第1の態様よりも詳細な内容を含む第2の態様(例えば、
図3(b)に示した画面)を用いて、詳細な故障内容及び対処方法をディスプレイ111に表示させる(S15)。
【0029】
[第1の実施形態における効果]
以上説明したように、第1の実施形態に係る表示装置1は、車両の走行中と停車中とで、夫々異なる態様で故障の内容を表示する。具体的には、表示装置1は、車両の走行中には、故障の概要のみを表示し、ユーザが車両を停車させた後に、故障内容及び対処方法等の詳細な情報を表示する。このようにすることで、ユーザは、走行中に、運転に支障を来すことなく故障の概要を把握し、車両が走行を停止した後に、どのような対処をすればよいかを詳細に把握することが可能になる。
【0030】
<第2の実施形態>
第1の実施形態に係る表示装置1は、故障が発生した状態で車両が停車すると、詳細な内容を表示した。第2の実施形態に係る表示装置1は、故障が発生した状態で車両が停車すると、故障コードを表示するためのメニュー画面を表示する点で、第1の実施形態に係る表示装置1と異なる。故障コードは、故障の内容に対応するアルファベット及び数字等により構成されるテキスト情報である。自動車の各ユニットは、故障コードを含む故障情報を、CANを介して表示装置1に通知する。
【0031】
図5(a)は、故障が発生した状態で車両が走行を停止したときに表示されるメニュー画面である。表示制御部133は、速度情報が示す走行速度が所定の速度以下である場合に、
図5(a)に示すように、故障に対応する故障コードを表示させるための操作画像「故障コードを表示」を含むメニュー画面をディスプレイ111に表示させる。表示制御部133は、例えば、車両が走行を停止したことを検出したタイミングで、ユーザの操作を受けることなく、
図3(a)に示したアラート画面から、
図5(a)に示すメニュー画面に切り替える。
【0032】
ユーザが、メニュー画面内の「故障コードを表示」という操作画像にタッチすると、表示制御部133は、タッチパネル112から座標情報の通知を受けることにより、ユーザが故障コードを表示させる操作をしたことを認識する。表示制御部133は、ユーザの操作を認識したことに応じて、故障に関する詳細な内容を示すテキスト情報及び故障コードを記憶部12から読み出して、ディスプレイ111に表示させる。
図5(b)は、詳細な内容及び故障コードを含む画面である。
【0033】
表示制御部133は、第1取得部131が故障情報を取得していない状態においては、第1取得部131が故障情報を取得している状態と異なる態様で操作画像をディスプレイ111に表示させる。例えば、表示制御部133は、走行の安全性に影響しない省燃費装置のような部位に故障が発生した場合、又はユーザが対処することができない故障が発生した場合、
図5(c)に示すように、「故障コードを表示」という操作画像を、ユーザが選択できない態様でディスプレイ111に表示させる。このようにすることで、故障コードを含む詳細な内容を表示させる意味がないにもかかわらず、ユーザが操作画像を選択してしまうことを防ぎつつ、故障の発生を経験したことがないユーザに対して、故障が発生した時に故障コードを表示させる方法があることを認識させることができる。
【0034】
[表示装置1における表示処理手順を示すフローチャート]
図6は、制御部13が実行する表示処理の手順を示すフローチャートである。
図6におけるS21からS24は、
図4におけるS11からS14と同一の処理なので、説明を省略する。
【0035】
表示制御部133は、S23において、走行速度が所定の速度以下になったと判定すると(S23においてNo)、故障コードを表示させるための操作画像を含むメニュー画面(例えば、
図5(a)に示したメニュー画面)をディスプレイ111に表示させる(S25)。
【0036】
表示制御部133は、この状態で、ユーザが、故障コードを表示させる操作画像にタッチしたか否かを監視する(S26)。表示制御部133は、タッチパネル112から通知される座標情報に基づいて、ユーザが、故障コードを表示させる操作画像にタッチしたことを検出すると(S26においてYes)、故障コードを含む第2の態様(例えば、
図5(b)に示した画面)を用いて、故障の内容を詳細にディスプレイ111に表示させる(S27)。表示制御部133は、S26において、故障コードを表示させる操作画像以外が選択されたことを検出すると、選択された操作画像に対応する処理を実行する(S28)。
【0037】
[第2の実施形態における効果]
以上説明したように、第2の実施形態に係る表示装置1は、故障が発生した状態で停車すると、故障コードを表示させるための操作画像を含むメニュー画面を表示する。このようにすることで、ユーザは、整備工場の人又はディーラー等に対して故障コードを速やかに通知することが可能になる。また、表示装置1は、整備工場の人又はディーラーにとって必要であり運転手にとって不要な情報を表示する代わりに、故障コードを表示することで、記憶部12に記憶させておく情報を削減することもできる。
【0038】
また、表示装置1は、安全性に影響しない故障が発生した場合に、故障コードを表示させるための操作画像をユーザが選択できない状態でメニュー画面を表示させる。このようにすることで、故障コードを含む詳細な内容を表示させる意味がないにもかかわらず、ユーザが操作画像を選択してしまうことを防ぎつつ、故障の発生を経験したことがないユーザに対して、故障が発生した時に故障コードを表示させる方法があるということを認識させることができる。
【0039】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。例えば、第2の実施形態において、安全性に影響しない故障が発生した場合に、表示装置1が、故障コードを表示させるための操作画像をユーザが選択できない状態でメニュー画面を表示させる例を説明したが、これに限らない。表示装置1は、安全性に影響しない故障が発生した場合に、
図3(a)に示したような故障の概要を表示し続けるようにしてもよい。