(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2動作モードにおいて、前記警告手段は、入力された印刷ジョブに含まれる、前記エラー条件を満たす印刷指示の内容と、過去の印刷ジョブに含まれていた当該エラー条件を満たす印刷指示であって利用者に許容された印刷指示の内容との比較に応じて、異なる内容の警告を出力する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プリフライト処理は、印刷ジョブに所定の条件を満たす印刷指示が含まれるか否かを機械的に判定するものである。したがって、プリフライト処理によりエラーと判定され、警告が出力された場合であっても、ユーザにとって当該印刷指示が許容できるものも存在する。したがって、許容されうる内容の警告がプリフライト処理の度に出力される場合もあり、このような場合、プリフライト処理の度に警告の内容を確認あるいは判断する作業はユーザにとって非常に煩雑となる。
【0006】
本発明の目的は、印刷ジョブがエラー条件を満たす印刷指示を含む場合に全て警告を出力する場合に比べ、プリフライト処理結果の確認作業にかかるユーザの負荷を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、入力された印刷ジョブに対してプリフライト処理を行うプリフライト処理手段と、前記プリフライト処理により、前記印刷ジョブ内にエラー条件を満たす印刷指示が検出された場合に、当該印刷ジョブの印刷処理に先立って利用者に対する警告を出力し得る警告手段と、前記エラー条件を満たした前記印刷指示に対する利用者の許容可否を示す情報を入力するための入力手段と、
入力された印刷ジョブに含まれる前記エラー条件を満たす印刷指示の内容、及び当該印刷指示に対する利用者の許容可否を示す情報を含む応答履歴情報を記憶する記憶手段と、を備え、前記エラー条件を満たした前記印刷指示が許容された後において、
前記応答履歴情報を参照し、入力された印刷ジョブに含まれる印刷指示が過去に許容されたエラー条件を満たす場合に、
当該エラー条件を変更せずに前記警告手段が警告を出力しない第1動作モードを有する、ことを特徴とする。
【0008】
望ましくは、前記エラー条件を満たした前記印刷指示が許容された後において、
前記応答履歴情報を参照し、入力された印刷ジョブに含まれる印刷指示が過去に許容されたエラー条件を満たす場合に、前記警告手段が前記警告を出力する第2動作モードと、前記第1動作モードとの切り替えを行う動作モード切り替え手段をさらに備える。
【0009】
望ましくは
、前記第2動作モードにおいて、前記警告手段は、前記エラー条件を満たす印刷指示を含む印刷ジョブが入力された場合に、前記警告と共に、当該エラー条件に対応する前記応答履歴情報を出力する。
【0010】
望ましくは、前記第2動作モードにおいて、前記警告手段は、入力された印刷ジョブに含まれる、前記エラー条件を満たす印刷指示の内容と、過去の印刷ジョブに含まれていた当該エラー条件を満たす印刷指示であって利用者に許容された印刷指示の内容との比較に応じて、異なる内容の警告を出力する。
【0011】
本発明に係るプログラムは、
画像形成装置のコンピュータを、入力された印刷ジョブに対してプリフライト処理を行うプリフライト処理手段と、前記プリフライト処理により、前記印刷ジョブ内にエラー条件を満たす印刷指示が検出された場合に、当該印刷ジョブの印刷処理に先立って利用者に対する警告を出力し得る警告手段と、前記エラー条件を満たした前記印刷指示に対する利用者の許容可否を示す情報を入力するための入力手段と、
入力された印刷ジョブに含まれる前記エラー条件を満たす印刷指示の内容、及び当該印刷指示に対する利用者の許容可否を示す情報を含む応答履歴情報を記憶する記憶手段と、として機能させ、前記
画像形成装置のコンピュータを、前記エラー条件を満たした前記印刷指示が許容された後において、
前記応答履歴情報を参照し、入力された印刷ジョブに含まれる印刷指示が過去に許容されたエラー条件を満たす場合に、
当該エラー条件を変更せずに前記警告手段が警告を出力しない第1動作モードとして動作させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1又は5に記載の発明によれば、印刷ジョブがエラー条件を満たす印刷指示を含む場合に全て警告を出力する場合に比べ、プリフライト処理結果の確認作業にかかるユーザの負荷が低減される。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、印刷ジョブが、過去において許容されたエラー条件と同様のエラー条件を満たした場合に、再度警告を出力するか否かを選択することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、今回の印刷ジョブがエラー条件を満たす印刷指示を含む場合に、利用者は、過去における当該エラー条件を満たした印刷指示の内容、及びそれに対する許容可否を参考にして、今回の印刷ジョブの処置を決定することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、適切な内容の警告を利用者に出力することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
<基本実施形態>
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成概略図である。画像形成装置は、印刷ジョブ受信部12、プリフライト処理部14、RIP処理部16、出力部18、記憶部20、入力部22、表示部24、及び制御部26を含んで構成される。
【0019】
印刷ジョブ受信部12は、他の端末から印刷ジョブを受信する。印刷ジョブ受信部12は、LANカードあるいは外部接続インターフェースなどの通信手段を含んで構成され、例えば画像形成装置10にネットワークを介して接続された端末から印刷ジョブを受信する。印刷ジョブは、例えば印刷対象の文書がPost Scriptなどのページ記述言語(PDL;Page Description Language)で表現されたデータである。詳しくは、印刷ジョブは、印刷対象の文書に含まれる文字、形状、画像、及びそれらの色情報や位置情報を含んでいる。つまり、印刷ジョブは、出力部18に対して印刷内容を指示するための複数の印刷指示を示す情報(以下単に「印刷指示」と記載する)を含んでいるといえる。本実施形態では、印刷ジョブにおいて色情報がRGB色空間で表現されているものとする。
【0020】
プリフライト処理部14は、印刷ジョブ受信部12が受信した印刷ジョブを印刷処理に先立って解析し、印刷ジョブ内に予め定められたエラー条件を満たす印刷指示(以下「エラー印刷指示」と記載する場合がある)が含まれているか否かを判定する。
【0021】
エラー条件は、印刷処理を行う出力部18の物理的特性などに基づいて予め設定され、エラー条件を示す情報が記憶部20に記憶される。エラー条件は、ユーザ、あるいは画像形成装置10の管理者によって手動で設定されてもよく、出力部18の物理的特性などから自動設定されてもよい。
【0022】
例えば、出力部18がCMYKトナーを利用している場合は、RGB色空間で表現されたR(赤)、G(緑)、B(青)各色の所定値以上の輝度が再現できないことから、そのエラー条件として、R、G、Bのいずれかにおいて所定値の輝度による印刷指示を含む、という条件が設定される。また、例えば、出力部18が所定太さ以下の細線を好適に出力することができない場合には、エラー条件として、所定太さ以下の細線の印刷指示を含む、という条件が設定される。
【0023】
本実施形態においては、エラー条件としては、「Rにおいて90%以上の輝度による印刷指示を含む」、「Gにおいて90%以上の輝度による印刷指示を含む」、「Bにおいて90%以上の輝度による印刷指示を含む」、及び「印刷ジョブが2ドット以下の太さの細線の印刷指示を含む」が設定されている。
【0024】
RIP処理部16は、プリフライト処理部14がプリフライト処理を終えた印刷ジョブを、出力部18が認識可能なラスタイメージに変換する処理を行う。
【0025】
出力部18は、印刷処理を実行する。出力部18は、一般のプリンタが有する各部材、例えばトナー、感光ドラム、給紙部などを含んで構成される。
【0026】
記憶部20は、例えばハードディスク、ROM、あるいはRAMなどから構成され、画像形成装置10の各部を動作させるためのプログラム、あるいは上述のエラー条件を示す情報などが記憶される。あるいは、記憶部20には、印刷ジョブ受信部12が受信した印刷ジョブが一時的に記憶される。記憶部20に記憶される応答履歴DB28及び応答設定情報30については後述する。
【0027】
入力部22は、例えばタッチパネルあるいはボタンなどを含んで構成され、ユーザの指示を画像形成装置10に入力するためのものである。
【0028】
表示部24は、例えば液晶パネルなどで構成され、ユーザインターフェース、あるいはプリフライト処理部14の処理結果などが表示される。
【0029】
制御部26は、例えばCPUあるいはマイクロプロセッサなどから構成され、記憶部20に記憶されたプログラムに従って画像形成装置10の各部を動作させる制御を行う。また、制御部26は、プリフライト処理部14によるプリフライト処理の結果、印刷ジョブ内にエラー印刷指示が検出された場合にユーザに対する警告を出力する。本実施形態では、制御部26は、表示部24に警告表示を表示させる。つまり、制御部26は警告手段として機能する。
【0030】
画像形成装置10の構成概略は以上の通りである。なお、プリフライト処理部14及びRIP処理部16は、制御部26が有する機能であってもよい(つまり制御部26の中にプリフライト処理部14及びRIP処理部16が含まれていてもよい)。
【0031】
以下、
図1を参照しつつ
図2を用いて、画像形成装置10の処理の流れ、特に、応答履歴DBに応答履歴情報が蓄積記憶される処理について説明する。
図2は、応答履歴DBに応答履歴情報が蓄積記憶される処理の流れを示すフローチャートである。
【0032】
ステップS10において、プリフライト処理部14は、印刷ジョブ受信部12が受信した印刷ジョブに対してプリフライト処理を実行する。
【0033】
ステップS12において、制御部26は、入力された印刷ジョブに対するプリフライト処理の結果、印刷ジョブ内にエラー印刷指示が検出されたか否かを判定する。本実施形態では、印刷ジョブ内に、R、G、Bいずれかにおいて輝度90%以上で印刷すべきとの印刷指示が含まれている、又は、2ドット以下の細線を印刷すべきとの印刷指示が含まれていることが検出されたか否かを判定する。
【0034】
ステップS12において、印刷ジョブ内にエラー印刷指示が検出されなかった場合は、そのままプリフライト処理を終了し、当該印刷ジョブはRIP処理部16で処理されその後印刷される。
【0035】
ステップS12において、印刷ジョブ内にエラー印刷指示が検出された場合は、ステップS14において、制御部26は、今回の印刷ジョブが満たしたエラー条件のうち、過去においてユーザに許容されたエラー条件を含むか否かを判定する。ステップS14の処理内容の詳細については後述する。ここでは、今回の印刷ジョブが満たしたエラー条件の全てが過去において許容されていないものであるとし、ステップS16に進む。
【0036】
ステップS16において、制御部26は、印刷ジョブがエラー印刷指示を含むことをユーザへ通知するための警告表示を表示部24に表示させると共に、ユーザにサンプル印刷の指示を入力させるための画面を表示部24に表示させる。
図3に、そのような画面の例が示されている。
【0037】
プリフライト処理の結果としては、印刷ジョブ中のどの部分(どの印刷指示)がどのエラー条件を満たしたのかが明示される。
図3の例では、1ページ目の座標(10cm,10cm)に配置された5cm×5cmの画像中にRの輝度が92%(R92%)となるイメージが存在することが示されている。また、1ページ目の座標(20cm,20cm)に右から5cmの長さで2ドットの細線が存在することが示されている。
【0038】
当該画面において、ユーザが「はい(Y)」をタッチパネル上でクリックすると、ステップS18(
図2参照)において、制御部26は、ユーザからサンプル印刷指示を受けたと判定し、ステップS20において出力部18が当該印刷ジョブをサンプル印刷(例えば1部だけ印刷)する。なお、サンプル印刷をしないとユーザが選択した場合は、そのままプリフライト処理を終了する。
【0039】
サンプル印刷後、ステップS22において、制御部26は、検出されたエラー印刷指示それぞれについて、許容の可否をユーザに入力させるための画面を表示させる。
図4に、そのような画面の例が示されている。
【0040】
図4に示される通り、検出されたエラー印刷指示毎に、「はい」及び「いいえ」に対応するチェックボックスが設けられており、ユーザが今回の印刷ジョブから検出されたエラー印刷指示を許容できるときは「はい」にチェックし、許容できない場合は「いいえ」をチェックする。
【0041】
プリフライト処理によりエラー印刷指示が検出された場合であっても、実際に印刷してみると、印刷結果物においてその影響があまり感じられない場合がある。つまり、ユーザがエラー印刷指示を許容できる場合がある。ユーザは、実際に印刷されたサンプル印刷結果を確認することで、検出されたエラー印刷指示が許容できるものであるか否かを判断する。本実施形態では、R92%に関する印刷指示に対しては許容し、2ドットの細線に関する印刷指示については許容しないとユーザが判断したとする。
【0042】
ステップS24において、制御部26は、印刷ジョブ内において検出されたエラー印刷指示、及び、当該エラー印刷指示に対するユーザの許容の可否を示す情報を応答履歴DB28に記憶させる。
【0043】
図5に、応答履歴DB28の例が示されている。応答履歴DB28においては、過去において検出されたエラー印刷指示を示す情報と、それに対するユーザの許容可否を示す情報が関連付けられて記憶される。また、エラー印刷指示及びその許容可否が登録された時刻、当該エラー印刷指示が含まれていた印刷ジョブに対応する文書の文書名、及び当該印刷ジョブの印刷指示を入力したユーザ名を示す情報が関連付けられている。好適には、さらにエラー印刷指示に対応するエラー条件も関連付けて記憶される。
【0044】
本実施形態では、応答履歴DB28はテーブル形式となっており、上記の情報がそれぞれ関連付けられて1つのレコードとして記憶されている。本明細書では、応答履歴DB28における1つのレコードを応答履歴情報として記載する。もちろん、応答履歴DB28における各情報記憶形式としてはテーブル形式に限られない。
【0045】
以下、再警告処理の流れを説明する前に、記憶部20に記憶される応答設定情報30について説明する。
図6に、応答設定情報の例が示されている。以下に説明する応答設定は、ユーザにより予め設定される。
【0046】
画像形成装置10においては、過去の印刷ジョブにおいて満たされ、且つ、ユーザにより許容されたエラー条件を今回の印刷ジョブが満たすこととなった場合に、当該エラー条件についての警告(再警告)を表示するか否かを設定することができる。今回の印刷ジョブが満たしたエラー条件が過去に満たされたものであるか否かは、応答履歴DB28を参照することにより判定される。
【0047】
また、画像形成装置10においては、今回の印刷ジョブがあるエラー条件を満たして再警告表示をする場合に、再警告表示と共に、応答履歴DB28に記憶されている当該エラー条件に関する応答履歴情報を表示するか否かを設定することができる。例えば、過去の印刷ジョブが当該エラー条件を満たしたときの、当該過去の印刷ジョブに含まれていたエラー印刷指示の内容、及び、当該過去の印刷ジョブにおける当該エラー条件に対する許容可否についての情報を表示するか否かを設定することができる。
【0048】
さらに、画像形成装置10においては、今回の印刷ジョブにおいて満たされたエラー条件が、過去の印刷ジョブにおいて満たされたエラー条件と同一であると判定するなどにあたっての、応答履歴DB28の検索範囲を示す応答範囲を設定することができる。例えば、応答範囲が「同一ユーザ」に設定されている場合、当該判定においては、応答履歴DB28のうち、今回の印刷ジョブを入力したユーザ名と同一のユーザ名の応答履歴情報のみが参照され、その中において今回の印刷ジョブにより満たされたエラー条件に関する応答履歴情報が存在するか否かが判定される。
【0049】
本実施形態では、応答範囲として、「同一ユーザ」の他に、「文書名」あるいは「レコード中のキーワード」などが選択可能である。応答範囲が「文書名」に設定された場合は、今回の印刷ジョブにおいて満たされたエラー条件と過去に満たされたエラー条件とが同一であるか否かの判定などにおいて、応答履歴DB28の中から今回の印刷ジョブの文書名と同一の文書名の応答履歴情報のみが参照される。また、応答範囲が「レコード中のキーワード」に設定された場合は、応答履歴DB28の中から、今回の印刷ジョブを入力したユーザ名あるいは今回の印刷ジョブの文書名(キーワード)が、レコード(応答履歴情報)中の文書名あるいはユーザ名の一部に含まれる応答履歴情報のみが参照される。
【0050】
以下、
図1を参照しつつ
図2及び
図7を用いて、画像形成装置10の処理の流れ、特に、今回の印刷ジョブが、過去の印刷ジョブが満たしたエラー条件と同一のエラー条件を満たす場合における処理(再警告処理)の流れについて説明する。
【0051】
画像形成装置10に印刷ジョブが入力され、当該印刷ジョブについてプリフライト処理が実行された結果エラー印刷指示が検出されると(
図2のステップS10〜S12)、ステップS14において、制御部26は、今回の印刷ジョブが満たしたエラー条件のうち、過去においてユーザに許容されたエラー条件を含むか否かを判定する。
【0052】
今回の処理においては、応答履歴DB28として
図5に示すテーブルが記憶されており、応答設定情報30として
図6に示す設定内容が記憶されているとする。さらに、今回の印刷ジョブを入力したユーザのユーザ名は「パンフレット作成部」であり、ステップS10におけるプリフライトチェックで、印刷ジョブ内に、R91%の印刷指示及び1ドットの細線の印刷指示が検出されたものとする。つまり、今回の印刷ジョブが、「R90%以上」及び「細線2ドット以下」というエラー条件を満たすものとする。
【0053】
応答設定情報30における応答範囲が「同一ユーザ」であり、今回の印刷ジョブを入力したユーザのユーザ名が「パンフレット作成部」であるから、制御部26は、ステップS14の処理において、まず、応答履歴DB28に含まれる応答履歴情報のうち、ユーザ名が「パンフレット作成部」である応答履歴情報を抽出する。次に、抽出された応答履歴情報の中に、今回の印刷ジョブが満たした「R90%以上」のエラー条件に対応する応答履歴情報であって、ユーザによる許容が「する」である応答履歴情報を検索する。その結果、応答履歴DB28の中からレコードR1(
図5参照)が抽出される。さらに、制御部26は、ユーザ名をキーとして抽出された応答履歴情報の中に、今回の印刷ジョブが満たした「細線2ドット以下」のエラー条件に対応する応答履歴情報であって、ユーザによる許容が「する」である応答履歴情報を検索する。その結果、レコードR2が抽出される。したがって、制御部26は、今回の印刷ジョブが満たしたエラー条件の中に、過去においてユーザに許容されたエラー条件が含まれると判定し、S26(
図7)に進む。
【0054】
ステップS26において、制御部26は、応答設定情報30を参照し、再警告表示設定が「する」に設定されているか否かを判定する。まず、再警告表示設定が「しない」に設定されていた場合の処理について説明する。再警告表示設定が「しない」に設定されていた場合、ステップS28に進む。
【0055】
ステップS28において、制御部26は、今回の印刷ジョブの中に、過去において許容されなかったエラー条件を満たすエラー印刷指示が含まれるか否かを判定する。具体的には、今回の印刷ジョブが複数のエラー条件を満たしており、そのうちの少なくとも1つのエラー条件が過去において1度も許容されていない場合は、ステップS30に進む。本実施形態では、今回の印刷ジョブは1ドットの細線の印刷指示を含み、応答履歴DB28においてエラー条件「細線2ドット以下」のエラー条件に対応する応答履歴情報が存在するが、当該応答履歴情報においてユーザからの許容は「しない」となっているため、ステップS30に進む。そうでない場合、つまり、今回の印刷ジョブにおいて満たされたエラー条件の全てが、過去において許容されている場合は、制御部26は警告を表示させずにプリフライト処理を終了する。
【0056】
ステップS30において、制御部26は、今回の印刷ジョブにおいて満たされたエラー条件であって、過去において許容されなかったエラー条件についての警告を表示する。本実施形態では、応答履歴DB28を参照して、エラー条件「R90%以上」は過去において許容されているから、制御部26は、R91%の印刷指示については警告を表示させない。一方、エラー条件「細線2ドット以下」は過去において許容されていないから、制御部26は、1ドットの細線の印刷指示についての警告を表示させる。
【0057】
ステップS30の後、ステップS16(
図2)に進み、以後上記説明と同様の処理を行う。この場合、ステップS22において、今回検出されたエラー印刷指示(本実施形態ではR91%の印刷指示及び1ドットの細線の印刷指示)について許容するか否かをユーザに問う画面を表示させ、各エラー印刷指示とそれについてのユーザの許容可否を示す情報を応答履歴DB28に記憶させる。
【0058】
ステップS26において、再警告表示設定が「する」に設定されていた場合、ステップS32に進む。ステップS32において、制御部26は、応答設定情報30を参照し、応答履歴表示が「する」に設定されているか否かを判定する。
【0059】
応答履歴表示が「しない」に設定されている場合、ステップS34に進み、制御部26は、表示部24に今回の印刷ジョブにおいて検出されたエラー印刷指示についての警告を表示する。つまり、過去において許容されたエラー条件を満たすエラー印刷指示についても、再警告を表示する。今回検出されたR91%の印刷指示に対する警告文は、例えば、「xページ目の座標(xcm、xcm)に配置されたxcm×xcmの画像中にR91%のイメージが存在します。」となる。
【0060】
また、今回の印刷ジョブに含まれていた、過去において許容されていないエラー条件を満たすエラー印刷指示についても警告を表示する。本実施形態では、今回検出された1ドットの細線の印刷指示に対して、例えば、「xページ目の座標(xcm、xcm)に右からxcmの長さで1ドットの細線が存在します。」のような警告文が表示される。また、当該警告と共に、ユーザにサンプル印刷を可否を問うボタンも表示される。
【0061】
応答履歴表示が「する」に設定されている場合、ステップS36に進み、制御部26は、表示部24にステップS34で表示される警告と同様の警告を表示すると共に、今回の印刷ジョブが満たしたエラー条件に対応する過去の応答履歴を表示する。
【0062】
具体的には、制御部26は、応答設定情報30の応答範囲の設定に基づいて、まず、応答履歴DB28に含まれる応答履歴情報であってユーザ名が「パンフレット作成部」である応答履歴情報を抽出する。そして、抽出された応答履歴情報のうち、今回の印刷ジョブが満たしたエラー条件毎に、対応する応答履歴情報を全て抽出する。本実施形態では、今回の印刷ジョブが含むエラー条件「R90%以上」(エラー印刷指示としてはR91%)に対してレコードR1(
図5参照)が抽出され、エラー条件「細線2ドット以下」(エラー印刷指示としては1ドットの細線)に対してレコードR2が抽出される。応答履歴DB28に、上記条件を満たす応答履歴情報が複数ある場合は、各エラー条件毎に複数の応答履歴情報が抽出される。そして、抽出された応答履歴情報の内容、対応する警告文と共に表示される。そのような表示の例が
図8に示されている。
【0063】
図8に示されるように、エラー条件「R90%以上」を満たしたことを示す警告と共に、過去においてエラー条件「R90%以上」に対する応答履歴情報が示される。具体的には、「1ページ目の座標(5cm,5cm)に配置された10cm×10cmの画像中にR91%のイメージが存在します。」との警告文の直下に、「履歴:2015/03/17 10:00 同ユーザからの“ABCパンフレット”においてR92%が許容されています。」と表示される。応答履歴DB28において、エラー条件「R90%以上」に対応する応答履歴情報が複数抽出された場合は、抽出された複数の応答履歴情報の内容が表示される。
【0064】
同様に、過去において許容されていないエラー条件についても、警告文とその応答履歴が表示される。具体的には、「1ページ目の座標(20cm,20cm)に右から5cmの長さで1ドットの細線が存在します。」との警告文の直下に、「履歴:2015/03/17 10:00 同ユーザからの“ABCパンフレット”において2ドット細線が拒否されています。」と表示される。
【0065】
以後、ステップS16へ進み、ステップS16以降、上記にて説明した通りの処理を行う。
【0066】
基本実施形態は以上の通りである。今回の印刷ジョブが、過去において許容されたエラー条件を満たしていたとしても、それが印刷結果に大きな影響を与える可能性は比較的少ないと考えられる。本実施形態によれば、ユーザは、再警告表示を「しない」に設定することが可能であり、このような設定においては、今回の印刷ジョブが、過去に許容したエラー条件を満たす場合には警告が表示されないから、プリフライト処理後に表示される警告の確認作業を省略することができる。
【0067】
また、本実施形態においては、再警告(つまり今回の印刷ジョブが過去に許容されたエラー条件を満たす場合における警告)を表示可能とすることもできる。これにより、印刷結果に高品質が求められる場合など、より確実に印刷ジョブの確認を行いたい場合に、柔軟にそれに対応できる。さらに、再警告の表示の際に、当該エラー条件に対する過去の応答履歴を表示することができる。これにより、ユーザは、今回の印刷ジョブに対する処理の決定にあたり、過去における当該エラー条件に対する応答履歴を参考にすることができる。
【0068】
また、応答範囲を適宜変更可能としたことで、ユーザの使用環境に応じて、どのような過去の応答履歴を参照するかを変更することができる。例えば、同一のユーザによる過去の応答履歴よりも、同一の文書名に対する過去の応答履歴の方が、今回の印刷ジョブの処置の決定にあたりより参考にできる使用環境の場合は、応答範囲を「文書名」に変更することができる。
【0069】
<第1変形例>
上述の基本実施形態におけるステップS34又はステップS36においてユーザに対して再警告を表示する際に、今回の印刷ジョブに含まれていた、あるエラー条件を満たすエラー印刷指示(以下「今回エラー印刷指示」と記載する)の内容と、過去において当該エラー条件を満たしたエラー印刷指示であってユーザに許容されたエラー印刷指示(以下「過去エラー印刷指示」と記載する)の内容との比較に基づいて、警告内容を変更するようにしてもよい。
【0070】
より詳しくは、今回エラー印刷指示が、過去エラー印刷指示よりも厳しい条件である場合、つまり印刷ジョブの内容と印刷結果により大きい差異が出る場合には、よりユーザに注意を促す警告を表示させ、そうでない場合には通常の警告を表示させる。
【0071】
例えば、過去において入力された印刷ジョブに、R92%のエラー印刷指示が含まれており、それに対しユーザが許容したとする。つまり、応答履歴DB28に
図5に示すレコードR1が記憶されているとする。
【0072】
その状態において、R91%のエラー印刷指示を含む印刷ジョブが入力された場合、制御部26は、今回エラー印刷指示である「R91%」と過去エラー印刷指示である「R92%」を比較する。Rの輝度の場合、印刷ジョブに含まれるRの輝度が大きいほど、印刷ジョブの内容と印刷結果により大きい差異が出る。したがって、今回エラー印刷指示である「R91%」は、許容された過去エラー印刷指示である「R92%」よりも厳しくない条件であるから、例えば
図9(a)に示されるような通常の警告を表示させる。
【0073】
一方、R95%の印刷指示を含む印刷ジョブが入力された場合、今回エラー印刷指示である「R95%」は、過去エラー印刷指示である「R92%」よりも厳しい条件であるから、例えば
図9(b)に示されるような、ユーザに対してより注意を促す警告内容を表示させる。具体的には、表示させるアイコンをより大きく目立つものにするとか、あるいは、ユーザにより注意を促す警告文を表示させる。
【0074】
今回エラー印刷指示が過去エラー印刷指示よりも厳しくない条件である場合には、今回エラー印刷指示は、ユーザによって許容される可能性が比較的高いといえる。一方、今回エラー印刷指示が過去エラー印刷指示よりも厳しい条件である場合には、今回エラー印刷指示がユーザによって許容されるとは限られない。したがって、今回エラー印刷指示の内容と、過去エラー印刷指示との内容に応じて警告内容を変えることで、より好適な警告を出力することができる。
【0075】
<第2変形例>
上記基本実施形態、及び第1変形例においては、警告を出力するか否かの判定は、予め定められたエラー条件(上記基本実施形態及び第1変形例においては、R、G、Bのいずれかにおいて90%以上の輝度による印刷指示を含むという条件、及び2ドット以下の太さの細線の印刷指示を含むという条件)に基づいて判定していたが、過去において許容されたエラー印刷指示である過去エラー印刷指示の内容に基づいて、当該エラー条件を動的に変動させるようにしてもよい。
【0076】
例えば、過去において入力された印刷ジョブに、R92%のエラー印刷指示が含まれており、それに対しユーザが許容したとする。つまり、応答履歴DB28に
図5に示すレコードR1が記憶されているとする。
【0077】
その状態において、R91%のエラー印刷指示を含む印刷ジョブが入力された場合、今回の印刷ジョブにエラー条件を満たす印刷指示が含まれるか否かの判定(特にRの輝度についての判定)において、応答履歴DB28の中から、Rに関する応答履歴情報であって、ユーザに許容された応答履歴情報を抽出する。そして、抽出された応答履歴情報の中から、最も厳しいエラー印刷指示に対応するものを特定する。つまり、Rの場合は、Rの輝度値が最も大きいエラー印刷指示に対応する応答履歴情報を特定する。そのように特定された応答履歴情報に含まれるエラー印刷指示に基づいて、エラー条件が設定される。
【0078】
本例では、応答履歴DB28に、レコードR1が記憶されていることから、Rについてのエラー条件は「R92%以上」となる。したがって、今回の印刷ジョブに含まれるR91%の印刷指示はエラー印刷指示とは判定されない。つまり、その他にエラー印刷指示が含まれていなければ、今回の印刷ジョブにR91%の印刷指示が含まれていたとしても、今回の印刷ジョブはエラー条件を満たさないと判定され、警告は表示されずにプリフライト処理が終了する。
【0079】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。