特許第6597073号(P6597073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

特許6597073表示装置、表示装置の制御方法及び表示システム
<>
  • 特許6597073-表示装置、表示装置の制御方法及び表示システム 図000002
  • 特許6597073-表示装置、表示装置の制御方法及び表示システム 図000003
  • 特許6597073-表示装置、表示装置の制御方法及び表示システム 図000004
  • 特許6597073-表示装置、表示装置の制御方法及び表示システム 図000005
  • 特許6597073-表示装置、表示装置の制御方法及び表示システム 図000006
  • 特許6597073-表示装置、表示装置の制御方法及び表示システム 図000007
  • 特許6597073-表示装置、表示装置の制御方法及び表示システム 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6597073
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】表示装置、表示装置の制御方法及び表示システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20191021BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   H04N5/74 Z
   G09G5/00 510H
   G09G5/00 510B
   G09G5/00 510V
   G09G5/00 550C
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-173561(P2015-173561)
(22)【出願日】2015年9月3日
(65)【公開番号】特開2017-50755(P2017-50755A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100194102
【弁理士】
【氏名又は名称】磯部 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】今井 俊
【審査官】 鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−044764(JP,A)
【文献】 特開2000−078066(JP,A)
【文献】 特開2001−016666(JP,A)
【文献】 特開2014−072822(JP,A)
【文献】 特開2010−217223(JP,A)
【文献】 特開2015−008372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/74
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置であって、
画像を表示する表示手段と、
リモートコントローラーが送信した信号を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した信号と前記表示装置との対応を前記信号に含まれている情報に基づいて判定する判定手段と、
前記表示装置に対応した信号ではないと前記判定手段が判定した場合、前記信号を受信済みであるか確認するための確認信号を他の表示装置へ送信する確認手段と、
前記確認信号に応じて前記他の表示装置から送信された応答信号が、受信済みではないことを表す場合、前記他の表示装置へ前記受信手段が受信した信号に含まれている情報を送信する送信手段と、
前記表示装置に対応した信号であると前記判定手段が判定した場合、前記受信手段が受信した信号に含まれている情報に対応した処理を実行する処理実行手段と
を備える表示装置。
【請求項2】
前記送信手段は、前記他の表示装置へ前記確認手段が前記確認信号を送信してから予め定められた時間内に前記他の表示装置から前記応答信号が前記表示装置へ送信されなかった場合、前記受信手段が受信した信号に含まれている情報を前記他の表示装置へ送信する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
識別子を記憶する記憶手段を有し、
前記判定手段は、前記受信手段が受信した信号が前記表示装置に対応した信号であるか否かを、前記受信手段が受信した信号に含まれている識別子と、前記記憶手段に記憶されている識別子を用いて判定する
請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記他の表示装置を識別する装置識別子と、前記他の表示装置の前記記憶手段に記憶された識別子とを対応付けて記憶する記憶手段
を備える請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記受信手段が受信した信号に前記リモートコントローラーの操作子が押され続けていることを示すリピート情報が含まれている場合、前記確認手段は、前記確認信号を送信せず、前記送信手段は、前記受信手段が受信した信号に含まれている情報を前記他の表示装置へ送信する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記受信手段が前記リモートコントローラーからの信号を受信してから予め定められた時間内に新たに前記リモートコントローラーからの信号を受信した場合、前記確認手段は、前記確認信号を送信せず、前記送信手段は、前記受信手段が受信した信号に含まれている情報を前記他の表示装置へ送信する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
表示装置の制御方法であって、
リモートコントローラーが送信した信号を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信した信号と前記表示装置との対応を前記信号に含まれている情報に基づいて判定する判定ステップと、
前記表示装置に対応した信号ではないと前記判定ステップで判定された場合、前記信号を受信済みであるか確認するための確認信号を他の表示装置へ送信する確認ステップと、
前記確認信号に応じて前記他の表示装置から送信された応答信号が、受信済みではないことを表す場合、前記他の表示装置へ前記受信ステップで受信した信号に含まれている情報を送信する送信ステップと、
前記表示装置に対応した信号であると前記判定ステップで判定された場合、前記受信ステップで受信した信号に含まれている情報に対応した処理を実行する処理実行ステップと
を備える表示装置の制御方法。
【請求項8】
第1の表示装置と第2の表示装置を有する表示システムであって、
前記第1の表示装置は、
第1の画像を表示する第1の表示手段と、
リモートコントローラーが送信した信号を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した信号と前記第1の表示装置との対応を前記信号に含まれている情報に基づいて判定する判定手段と、
前記第1の表示装置に対応した信号ではないと前記判定手段が判定した場合、前記信号を受信済みであるか確認するための確認信号を前記第2の表示装置へ送信する確認手段と、
前記確認信号に応じて前記第2の表示装置から送信された応答信号が、受信済みではないことを表す場合、前記第2の表示装置へ前記受信手段が受信した信号に含まれている情報を送信する送信手段と、
前記第1の表示装置に対応した信号であると前記判定手段が判定した場合、前記受信手段が受信した信号に含まれている情報に対応した処理を実行する処理実行手段とを有し、
前記第2の表示装置は、
第2の画像を表示する第2の表示手段と、
前記第1の表示装置と通信する通信部と、
前記通信部が前記確認信号を受信した場合、前記確認信号を受信した時から予め決められた時間内に前記信号を受信したか判断し、前記信号を前記予め決められた時間内に受信していないと判断したときに、前記通信部に前記応答信号を送信させる制御部と
を有することを特徴とする表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置を操作する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1つのリモコンで複数のプロジェクターを操作する技術が開示されている。特許文献1に開示されている複数のプロジェクターにおいては、ユーザーにより予め各々異なる識別番号が設定される。リモコンにおいて識別番号が入力されると、入力された識別番号が全てのプロジェクターへ送信される。複数のプロジェクターにおいては、送信された識別番号が自身の識別番号と一致したプロジェクターが動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−61160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、リモコンで入力された識別番号に対応したプロジェクターに、リモコンからの信号が届かなかった場合には、識別番号に対応したプロジェクターを操作することができないという不具合が発生する恐れがあった。
【0005】
本発明は、操作対象のプロジェクターにリモートコントローラーからの信号が届かなかった場合に、操作対象のプロジェクターを操作することができないという不具合の発生を軽減する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、表示装置であって、画像を表示する表示手段と、リモートコントローラーが送信した信号を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した信号と前記表示装置との対応を前記信号に含まれている情報に基づいて判定する判定手段と、前記表示装置に対応した信号ではないと前記判定手段が判定した場合、前記信号を受信済みであるか確認するための確認信号を他の表示装置へ送信する確認手段と、前記確認信号に応じて前記他の表示装置から送信された応答信号が、受信済みではないことを表す場合、前記他の表示装置へ前記受信手段が受信した信号に含まれている情報を送信する送信手段と、前記表示装置に対応した信号であると前記判定手段が判定した場合、前記受信手段が受信した信号に含まれている情報に対応した処理を実行する処理実行手段とを備える表示装置を提供する。
本発明によれば、操作対象のプロジェクターにリモートコントローラーからの信号が届かなかった場合に、操作対象のプロジェクターを操作することができないという不具合の発生を軽減することができる。
【0007】
本発明においては、前記送信手段は、前記他の表示装置へ前記確認手段が前記確認信号を送信してから予め定められた時間内に前記他の表示装置から前記応答信号が前記表示装置へ送信されなかった場合、前記受信手段が受信した信号に含まれている情報を前記他の表示装置へ送信する構成としてもよい。
この構成によれば、リモートコントローラーから送信された信号に含まれている情報を他の表示装置へ送信し、他の表示装置において、リモートコントローラーから送信された信号に含まれている情報に含まれている情報に対応した処理を実行させることができる。
【0008】
また、本発明においては、識別子を記憶する記憶手段を有し、前記判定手段は、前記受
信手段が受信した信号が前記表示装置に対応した信号であるか否かを、前記受信手段が受信した信号に含まれている識別子と、前記記憶手段に記憶されている識別子を用いて判定する構成としてもよい。
この構成によれば、自装置がリモートコントローラーからの信号を受信できなくとも、リモートコントローラーからの信号に含まれている情報に対応した処理を実行することができる。
【0009】
また、本発明においては、前記他の表示装置を識別する装置識別子と、前記他の表示装置の前記記憶手段に記憶された識別子とを対応付けて記憶する記憶手段を備える構成としてもよい。
この構成によれば、リモートコントローラーからの信号に含まれている情報を送信する際に、信号に含まれていた識別子に対応した表示装置のみへ、リモートコントローラーからの信号に含まれている情報を送信することができる。
【0010】
また、本発明においては、前記受信手段が受信した信号に前記リモートコントローラーの操作子が押され続けていることを示すリピート情報が含まれている場合、前記確認手段は、前記確認信号を送信せず、前記送信手段は、前記受信手段が受信した信号に含まれている情報を前記他の表示装置へ送信する構成としてもよい。
この構成によれば、リモートコントローラーにおいて操作子が押され続けている場合には、確認信号を送信せずにすぐにリモートコントローラーからの信号に含まれていた情報を他の表示装置へ送信することができる。
【0011】
また、本発明においては、前記受信手段が前記リモートコントローラーからの信号を受信してから予め定められた時間内に新たに前記リモートコントローラーからの信号を受信した場合、前記確認手段は、前記確認信号を送信せず、前記送信手段は、前記受信手段が受信した信号に含まれている情報を前記他の表示装置へ送信する構成としてもよい。
この構成によれば、リモートコントローラーにおいて操作子が連続して押された場合には、確認信号を送信せずにすぐにリモートコントローラーからの信号に含まれていた情報を他の表示装置へ送信することができる。
【0012】
また、本発明は、表示装置の制御方法であって、リモートコントローラーが送信した信号を受信する受信ステップと、前記受信ステップで受信した信号と前記表示装置との対応を前記信号に含まれている情報に基づいて判定する判定ステップと、前記表示装置に対応した信号ではないと前記判定ステップで判定された場合、前記信号を受信済みであるか確認するための確認信号を他の表示装置へ送信する確認ステップと、前記確認信号に応じて前記他の表示装置から送信された応答信号が、受信済みではないことを表す場合、前記他の表示装置へ前記受信ステップで受信した信号に含まれている情報を送信する送信ステップと、前記表示装置に対応した信号であると前記判定ステップで判定された場合、前記受信ステップで受信した信号に含まれている情報に対応した処理を実行する処理実行ステップとを備える表示装置の制御方法を提供する。
本発明によれば、操作対象のプロジェクターにリモートコントローラーからの信号が届かなかった場合に、操作対象のプロジェクターを操作することができないという不具合の発生を軽減することができる。
【0013】
また、発明は、第1の表示装置と第2の表示装置を有する表示システムであって、前記第1の表示装置は、第1の画像を表示する第1の表示手段と、リモートコントローラーが送信した信号を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した信号と前記第1の表示装置との対応を前記信号に含まれている情報に基づいて判定する判定手段と、前記第1の表示装置に対応した信号ではないと前記判定手段が判定した場合、前記信号を受信済みであるか確認するための確認信号を前記第2の表示装置へ送信する確認手段と、前記確認信号に応じて前記第2の表示装置から送信された応答信号が、受信済みではないことを表す場合、前記第2の表示装置へ前記受信手段が受信した信号に含まれている情報を送信する送信手段と、前記第1の表示装置に対応した信号であると前記判定手段が判定した場合、前記受信手段が受信した信号に含まれている情報に対応した処理を実行する処理実行手段とを有し、前記第2の表示装置は、第2の画像を表示する第2の表示手段と、前記第1の表示装置と通信する通信部と、前記通信部が前記確認信号を受信した場合、前記確認信号を受信した時から予め決められた時間内に前記信号を受信したか判断し、前記信号を前記予め決められた時間内に受信していないと判断したときに、前記通信部に前記応答信号を送信させる制御部とを有することを特徴とする表示システムを提供する。
本発明によれば、操作対象のプロジェクターにリモートコントローラーからの信号が届
かなかった場合に、操作対象のプロジェクターを操作することができないという不具合の
発生を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態の表示システム1に係る装置を示した図。
図2】プロジェクター10のハードウェア構成を示した図。
図3】制御部110で実現する機能の構成を示した機能ブロック図。
図4】制御部110が行う処理の流れを示したフローチャート。
図5】制御部110が行う処理の流れを示したフローチャート。
図6】制御部110が行う処理の流れを示したフローチャート。
図7】制御部110が行う処理の流れを示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る表示システム1に含まれる装置を示した図である。プロジェクター10A〜10Cは、外部装置から供給された映像信号が表す画像や、外部装置から取得した画像データが表す画像をスクリーンや壁面へ投写する表示装置の一例である。プロジェクター10A〜10Cの構成は、それぞれ同じであるため、以下、プロジェクター10A〜10Cの各々を区別する必要がない場合は、プロジェクター10と称する。プロジェクター10A〜10Cは、通信ネットワーク又は無線通信により接続されており、ユーザーの操作に応じて互いに通信を行う。また、プロジェクター10A〜10Cは、プロジェクター10A〜10Cが投写する映像により一つの映像が表示されるように設置されている。本実施形態においては、投写する一つの映像を横方向で3つの領域に分割し、分割された左端の領域の映像信号をプロジェクター10Aに供給し、中央の領域の映像信号をプロジェクター10Bに供給し、右端の領域の映像信号をプロジェクター10Cに供給することにより、映像の全体が表示される。
【0016】
リモートコントローラー20は、赤外光の信号によりプロジェクター10を操作するコントローラーであり、複数のボタン(操作子)を備えている。リモートコントローラー20は、ボタンが操作されると、操作されたボタンを表すコードと予め設定された識別子を含む信号を送信する。また、リモートコントローラー20は、ボタンが押し続けられた場合、操作されたボタンを表すコードと、予め設定された識別子と、ボタンが押し続けられていることを表すリピート情報を含む信号を送信する。
【0017】
(プロジェクター10A〜10Cの構成)
図2は、プロジェクター10A〜10Cのハードウェア構成を示した図である。本実施形態においては、プロジェクター10A〜10Cの基本的なハードウェア構成は同じである。以下、プロジェクター10A〜10Cの各部を区別する必要がある場合、説明の便宜上、プロジェクター10Aの各部の符号の末尾には「A」を付し、プロジェクター10Bの各部の符号の末尾には「B」を付して説明を行う。また、プロジェクター10Cの各部
の符号の末尾には「C」を付して説明を行い、各部を区別する必要がない場合、符号の末尾への「A」、「B」、「C」の付加を省略して説明を行う。
【0018】
プロジェクター10は、制御部110、記憶部120、操作部130、投写部140を備える。また、プロジェクター10は、映像処理部150、映像インターフェース160、受光部170、通信部180を備える。
【0019】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備えたマイクロコンピューターである。プロジェクター10においては、ROMに記憶されているプログラムをCPUが実行すると、制御部110が各部を制御し、画像を投写する機能や外部装置と通信を行う機能などが実現する。
【0020】
記憶部120は、投写する画像の画質に係る設定や、各種機能の設定に係る情報、予めユーザーにより設定された識別子を記憶する。記憶部120は、識別子を記憶する記憶手段の一例である。また、記憶部120は、協働して映像全体を表示する他のプロジェクター10のIPアドレスを記憶する。例えば、プロジェクター10Aは、プロジェクター10B、10Cのそれぞれに割り当てられたIPアドレスを記憶する。IPアドレスは、それぞれのプロジェクター10を一意に識別する装置識別子の一例である。
【0021】
操作部130は、プロジェクター10を操作するための複数のボタンを備えている。操作されたボタンに応じて制御部110が各部を制御することにより、投写される画像の調整や、プロジェクター10が有する各種機能の設定などが行われる。受光部170は、リモートコントローラー20が発する赤外光の信号を受光し、受光した信号を表す電気信号を制御部110へ供給する。制御部110は、受光部170から供給される信号に応じて各部を制御する。また、受光部170は、発光ダイオードを備えている。この発光ダイオードは、制御部110からの制御に応じて点灯する。
【0022】
通信部180は、有線通信の通信インターフェースや、IEEE802.11の規格に従った無線通信の通信インターフェース、Bluetooth(登録商標)の通信インターフェース、USB(Universal Serial Bus)の通信インターフェースなどを有し、各種インターフェースによって他のコンピューター装置や他のプロジェクター10と通信を行う。通信部180は、他のプロジェクター10と接続して通信を行う通信手段の一例である。
【0023】
映像インターフェース160は、映像信号を取得する映像信号取得手段の一例である。RCA、D−Sub、HDMI(登録商標)などのコネクターを有し、外部装置からコネクターに供給された映像信号を映像処理部150へ供給する。映像処理部150は、映像インターフェース160から供給される映像信号を取得する。また、映像処理部150は、プロジェクター10を操作するためのGUI(Graphical User Interface)やメニューなどのオンスクリーン画像の信号を制御部110から取得する。映像処理部150は、各種の画像処理機能を備えており、映像インターフェース160から供給された映像信号に画像処理を施し、投写する画像の画質を調整する。映像処理部150は、画質を調整した映像信号を投写部140へ供給する。また、映像処理部150は、制御部110からオンスクリーン画像の信号が供給された場合には、オンスクリーン画像の信号を重畳した映像信号を投写部140へ供給する。
【0024】
画像を投写する投写部140は、光源141、ライトバルブ142、駆動回路144及び投写光学系143を有している。投写部140と映像処理部150は、画像を表示する表示手段として機能する。光源141は、光を発するランプであり、光源141が発した
光は、図示省略した複数のダイクロイックミラーやミラーによって赤、緑、青の光に分光され、分光された赤、緑、青のそれぞれの光はライトバルブ142に導かれる。なお、光源141は、ランプではなく、発光ダイオード又はレーザー光を発する半導体レーザー装置であってもよい。
【0025】
駆動回路144は、映像処理部150から供給される映像信号を取得する。駆動回路144に供給される映像信号は、投写する画像における赤の成分の階調を表す階調データ、投写する画像における緑の成分の階調を表す階調データ及び投写する画像における青の成分の階調を表す階調データを有する。駆動回路144は、赤、緑、青の各色の階調データを抽出し、抽出した各色の階調データに基づいてライトバルブ142を駆動する。
【0026】
ライトバルブ142は、前述の赤の光が入射する液晶ライトバルブ、前述の緑の光が入射する液晶ライトバルブ、及び前述の青の光が入射する液晶ライトバルブを有している。液晶ライトバルブは、透過型の液晶パネルであり、複数行複数列でマトリクス状に配置された画素を備えている。赤の光が入射する液晶ライトバルブは赤の階調データに基づいて駆動され、緑の光が入射する液晶ライトバルブは緑の階調データに基づいて駆動され、青の光が入射する液晶ライトバルブは青の階調データに基づいて駆動される。各液晶ライトバルブは、駆動回路144によって各画素が制御されて画素の透過率が変化する。画素の透過率が制御されることにより、液晶ライトバルブを透過した各色の光は、各階調データに対応した画像となる。液晶ライトバルブを透過した赤、緑、青の光の画像は、図示省略したダイクロイックプリズムにより合成されて投写光学系143に入射する。投写光学系143は、入射した画像を拡大する光学系であり、入射した画像をレンズやミラーによって拡大して投写する。
【0027】
図3は、制御部110がROMのプログラムを実行することにより実現する機能の構成を示した機能ブロック図である。受信部1001は、リモートコントローラー20が送信した信号を受信する受信手段の一例である。判定部1002は、受信部1001が受信した信号が自装置に対応した信号であるか信号に含まれる情報を用いて判定する判定手段の一例である。確認部1003は、自装置に対応した信号ではないと判定部1002が判定した場合、リモートコントローラー20が送信した信号を受信済みであるか確認するための確認信号を他のプロジェクター10へ送信する確認手段の一例である。取得部1004は、リモートコントローラー20が送信した信号を受信した他のプロジェクター10から当該信号に含まれている情報を取得する取得手段の一例である。送信部1005は、確認信号に応じて他のプロジェクター10から送信された応答信号が、受信済みではないことを表す場合、当該応答信号を送信したプロジェクター10へ受信部1001が受信した信号に含まれている情報を送信する送信手段の一例である。処理実行部1006は、自装置に対応した信号であると判定部1002が判定した場合、受信部1001が受信した信号に含まれている情報に対応した処理を実行し、取得部1004が他のプロジェクター10から送信された情報を受信した場合、取得部1004が取得した情報に対応した処理を実行する処理実行手段の一例である。報知部1007は、処理実行部1006が処理を実行した場合、処理を実行したことを報知し、受信部1001がリモートコントローラー20からの信号を受信した場合、リモートコントローラー20からの信号を受信したことを報知する報知手段の一例である。
【0028】
(実施形態の動作例)
次に本実施形態の動作例について、図4図7のフローチャートを用いて説明する。なお、以下の説明においては、リモートコントローラー20において設定された識別子を「3」、プロジェクター10Aで設定された識別子が「1」、プロジェクター10Bで設定された識別子が「2」、プロジェクター10Cで設定された識別子が「3」である場合を想定して動作例の説明を行う。また、リモートコントローラー20が送信した信号が、プ
ロジェクター10Aで受信され、プロジェクター10Bとプロジェクター10Cで受信されなかった場合を想定して動作例の説明を行う。
【0029】
リモートコントローラー20は、ボタンが操作されると、設定されている識別子の「3」と、操作されたボタンに対応したコードを含む赤外光の信号を送信する。リモートコントローラー20が送信した赤外光の信号は、受光部170Aで受光される。受光部170Aは、受光した赤外光を電気信号に変換し、識別子の「3」と、操作されたボタンに対応したコードを表す電気信号を制御部110Aへ供給する。
【0030】
制御部110Aは、受光部170Aから電気信号が供給されると、受光部170Aの発光ダイオードを予め定められた時間の間において点滅させる(図4:ステップSA1)。また、制御部110Aは、供給された信号に含まれる識別子と、記憶部120Aに記憶されている識別子とが同じであるか判断する(ステップSA2)。ここで記憶部120Aに記憶されている識別子は「1」であるため、制御部110Aは、供給された電気信号に含まれる識別子と、記憶部120Aに記憶されている識別子とが同じではないと判断する(ステップSA2でNO)。
【0031】
制御部110Aは、供給された電気信号に含まれる識別子と、記憶部120Aに記憶されている識別子とが同じではないと判断した場合、リモートコントローラー20が送信した信号を受信したか確認する確認メッセージ(確認信号)を、記憶部120Aに記憶されているIPアドレスを参照し、協働して映像全体を投写する他のプロジェクター10B、10Cへ送信する(ステップSA3)。
【0032】
この確認メッセージを通信部180Bが受信すると、制御部110Bは、この確認メッセージを受信した時点から過去の予め定められた時間内において、リモートコントローラー20からの信号を受信済みであるか判断する(図5:ステップSB1)。制御部110Bは、リモートコントローラー20からの信号を受信済みではない場合(ステップSB1でNO)、受信済みではないことを通知する応答メッセージを、通信部180Bを制御してプロジェクター10Aへ送信する(ステップSB2)。
【0033】
また、プロジェクター10Aが送信したメッセージを通信部180Cが受信すると、制御部110Cは、このメッセージを受信した時点から過去の予め定められた時間内において、リモートコントローラー20からの信号を受信済みであるか判断する(ステップSB2)。制御部110Cは、リモートコントローラー20からの信号を受信済みではない場合(ステップSB1でNO)、受信済みではないことを通知する応答メッセージを、通信部180Cを制御してプロジェクター10Aへ送信する(ステップSB2)。
【0034】
通信部180Aが、プロジェクター10Bから送信された応答メッセージを受信すると、制御部110Aは、受信した応答メッセージが受信済みであることを表すものであるか判断する(図6:ステップSC1)。制御部110Aは、受信した応答メッセージが受信済みであることを表すものではない場合(ステップSC1でNO)、受光部170Aから供給された信号に含まれていた識別子とコードを、応答メッセージを送信したプロジェクター10Bへ、通信部180Aを制御して送信する(ステップSC2)。また、通信部180Aが、プロジェクター10Cから送信された応答メッセージを受信すると、制御部110Aは、受信した応答メッセージが受信済みであることを表すものであるか判断する(ステップSC1)。制御部110Aは、受信した応答メッセージが受信済みであることを表すものではない場合(ステップSC1でNO)、受光部170Aから供給された信号に含まれていた識別子とコードを、応答メッセージを送信したプロジェクター10Cへ、通信部180Aを制御して送信する(ステップSC2)。
【0035】
通信部180Bがプロジェクター10Aから送信された識別子及びコードを受信すると、制御部110Bは、供給された識別子と、記憶部120Bに記憶されている識別子とが同じであるか判断する(図7:ステップSD1)。ここで、受信した識別子は「3」であり、記憶部120Bに記憶されている識別子は「2」であり、受信した識別子と記憶している識別子が異なるため(ステップSD1でNO)、制御部110Bは、通信部180Bが受信したコードに対応した処理を行わない。
【0036】
また、通信部180Cがプロジェクター10Aから送信された識別子及びコードを受信すると、制御部110Cは、供給された識別子と、記憶部120Cに記憶されている識別子とが同じであるか判断する(ステップSD1)。ここで、受信した識別子は「3」であり、記憶部120Cに記憶されている識別子は「3」であり、受信した識別子と記憶している識別子が同じであるため(ステップSD1でYES)、制御部110Cは、通信部180Bが受信したコードに対応した処理を行う(ステップSD2)。
また、制御部110Cは、リモートコントローラー20で行われた操作に応じた処理を実行したことを知らせるアイコンのOSDが表示されるように、映像処理部150Cと投写部140Cを制御する(ステップSD3)。この制御が行われると、リモートコントローラー20で行われた操作に応じた処理を実行したことを知らせるアイコンのOSDが、プロジェクター10Cが投写する映像の領域内に表示される。
【0037】
なお、制御部110Bは、リモートコントローラー20からの信号を受信していた場合(ステップSB1でYES)、リモートコントローラー20からの信号を受信していたことを通知する応答メッセージをプロジェクター10Aへ送信する(ステップSB3)。制御部110Aは、リモートコントローラー20からの信号を受信済みであることを通知する応答メッセージをプロジェクター10Bから受信した場合(ステップSC1でYES)、受光部170Aから供給された信号に含まれていた識別子及びコードをプロジェクター10Bへ送信しない。
【0038】
次に、リモートコントローラー20において設定された識別子を「1」、プロジェクター10Aで設定された識別子が「1」、プロジェクター10Bで設定された識別子が「2」、プロジェクター10Cで設定された識別子が「3」であり、リモートコントローラー20が送信した信号が、プロジェクター10Aで受信され、プロジェクター10Bとプロジェクター10Cで受信されなかった場合を想定して動作例の説明を行う。
【0039】
リモートコントローラー20は、ボタンが操作されると、設定されている識別子の「1」と、操作されたボタンに対応したコードを含む赤外光の信号を送信する。リモートコントローラー20が送信した赤外光の信号は、受光部170Aで受光される。受光部170Aは、受光した赤外光を電気信号に変換し、識別子の「1」と、操作されたボタンに対応したコードを表す電気信号を制御部110Aへ供給する。
【0040】
制御部110Aは、受光部170Aから電気信号が供給されると、受光部170Aの発光ダイオードを予め定められた時間の間において点滅させる(ステップSA1)。また、制御部110は、供給された信号に含まれる識別子と、記憶部120に記憶されている識別子とが同じであるか判断する(ステップSA2)。記憶部120Aに記憶されている識別子は「1」であるため、制御部110Aは、供給された電気信号に含まれる識別子と、記憶部120Aに記憶されている識別子とが同じであると判断する(ステップSA2でYES)。
【0041】
制御部110Aは、供給された電気信号に含まれる識別子と、記憶部120Aに記憶されている識別子とが同じであると判断した場合、供給された信号に含まれていたコードに対応した処理を行う(ステップSA4)。また、制御部110Aは、リモートコントロー
ラー20で行われた操作に応じた処理を実行したことを知らせるアイコンのOSDが投写(表示)されるように、映像処理部150と投写部140を制御する(ステップSA5)。この制御が行われると、リモートコントローラー20で行われた操作に応じた処理を実行したことを知らせるアイコンのOSDが、プロジェクター10Aが投写する映像の領域内に投写される。
【0042】
以上説明したように本実施形態によれば、リモートコントローラー20が送信する識別子と同じ識別子を記憶しているプロジェクター10にリモートコントローラー20からの信号が届かなくとも、リモートコントローラー20が送信する識別子と同じ識別子を記憶しているプロジェクター10において、リモートコントローラー20が送信したコードに対応した処理を行わせることができる。また、本実施形態によれば、リモートコントローラー20からの信号を受信したプロジェクター10と、リモートコントローラー20が送信したコードに対応した処理を実行したプロジェクター10をユーザーに報知することができる。また、本実施形態によれば、リモートコントローラー20からの信号を受信したプロジェクター10を報知する態様が発光ダイオードの点滅であり、リモートコントローラー20が送信したコードに対応した処理を実行したプロジェクター10をユーザーに報知する態様がOSDの表示であり、報知の態様が異なるため、リモートコントローラー20からの信号を受信したプロジェクター10と、処理を実行したプロジェクター10を容易に区別することができる。
【0043】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した各実施形態及び以下の変形例は、一つ又は複数を適宜組み合わせて実施してもよい。
【0044】
上述した実施形態においては、受光部170からの信号を取得した制御部110は、リモートコントローラー20が送信した信号を受信したか確認する確認メッセージを送信してから予め定められた時間内に応答メッセージが送信されてこない場合、応答メッセージを送信してこなかったプロジェクター10がリモートコントローラー20からの信号を受信していないものと判断し、受光部170から供給された信号に含まれている識別子とコードを、応答メッセージを送信してこなかったプロジェクター10へ送信するようにしてもよい。
【0045】
上述した実施形態においては、協働して映像全体を表示する他のプロジェクター10のIPアドレスを記憶しているが、IPアドレスと共にIPアドレスで特定されるプロジェクター10に記憶されている識別子を記憶するようにしてもよい。
この構成の場合、制御部110は、受光部170から供給された信号に含まれている識別子が記憶部120に記憶されている識別子とは異なる識別子の場合、供給された信号に含まれている識別子と組みで記憶されているIPアドレスのプロジェクター10へのみ、リモートコントローラー20が送信した信号を受信したか確認する確認メッセージを送信するようにしてもよい。
【0046】
上述した実施形態においては、制御部110は、受光部170から取得した信号に含まれている識別子及びコードを他のプロジェクター10へ送信した後、予め定められた時間内に新たに受光部170からの信号を取得した場合、新たに取得した信号について、リモートコントローラー20が送信した信号を受信したか確認する確認メッセージを送信することなく、新たに取得した信号に含まれていた識別子及びコードを、他のプロジェクター10へ送信する構成としてもよい。
【0047】
上述した実施形態においては、受光部170が受信した信号にリピート情報が含まれている場合、リモートコントローラー20が送信した信号を受信したか確認する確認メッセージを送信することなく、取得した信号に含まれていた識別子及びコードを、他のプロジェクター10へ送信する構成としてもよい。
【0048】
上述した実施形態においては、リモートコントローラー20からの信号を受信したプロジェクター10は、発光ダイオードを点滅させることにより、自装置がリモートコントローラー20からの信号を受信したことをユーザーに報知しているが、自装置がリモートコントローラー20からの信号を受信したことをユーザーに報知する構成は、この構成に限定されるものではない。例えば、プロジェクター10がスピーカーを備える構成とし、予め定められた音をスピーカーから放音させることにより、自装置がリモートコントローラー20からの信号を受信したことをユーザーに報知するようにしてもよい。また、リモートコントローラー20からの信号を受信したプロジェクター10は、リモートコントローラー20からの信号を受信したことを表すアイコンを表示する構成としてもよい。また、リモートコントローラー20からの信号を受信したプロジェクター10がアイコンを表示し、リモートコントローラー20から送信されたコードに応じた処理を行ったプロジェクター10が発光ダイオードを点滅させる構成としてもよい。
また、リモートコントローラー20から送信されたコードに応じた処理を行ったプロジェクター10は、表示する画面を予め定められた回数で点滅させることにより、リモートコントローラー20から送信されたコードに応じた処理を行ったことを報知する構成としてもよい。
【0049】
上述した実施形態においては、他のプロジェクター10へ識別子とコードを送信したプロジェクター10は、他のプロジェクター10へ識別子とコードを送信したことを報知してもよい。この報知は、例えば、アイコン、発光ダイオードの点滅のしかた、放音する音の内容で報知してもよい。
【0050】
上述した実施形態においては、3台のプロジェクター10で映像全体を投写する構成となっているが、映像全体を投写するプロジェクター10の数は、複数であれば、3台以外の構成であってもよい。また、上述した実施形態においては、3台のプロジェクター10がそれぞれ映像全体を分割して投写する構成となっているが、3台のプロジェクター10の各々が同じ映像全体を投写する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
10、10A〜10D…プロジェクター、20…リモートコントローラー、110…制御部、120…記憶部、130…操作部、140…投写部、141…光源、142…ライトバルブ、143…投写光学系、144…駆動回路、150…映像処理部、160…映像インターフェース、170…受光部、180…通信部、1001…受信部、1002…判定部、1003…確認部、1004…取得部、1005…送信部、1006…処理実行部、1007…報知部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7