特許第6597083号(P6597083)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6597083
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】脈波検出装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20191021BHJP
【FI】
   A61B5/02 310P
   A61B5/02 310K
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-175965(P2015-175965)
(22)【出願日】2015年9月7日
(65)【公開番号】特開2017-51275(P2017-51275A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2018年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151194
【弁理士】
【氏名又は名称】尾澤 俊之
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ブリガム
(72)【発明者】
【氏名】福塚 正幸
(72)【発明者】
【氏名】山下 新吾
(72)【発明者】
【氏名】北川 毅
(72)【発明者】
【氏名】小椋 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】若宮 祐之
【審査官】 伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−40259(JP,A)
【文献】 特開2009−240511(JP,A)
【文献】 特開平10−57323(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3174904(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02 − 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手首に装着して用いられる脈波検出装置であって、
被測定者の橈骨動脈から脈波を検出する脈波検出センサを収容し、手首の円周方向に沿って巻き付け可能に構成された筐体と、
前記筐体を手首に固定するための前記筐体よりも剛性の低いバンドと、を備え、
前記筐体は、前記バンドによって手首に装着された装着状態において、手の甲側に巻き付けられる甲側部と、手のひら側に巻き付けられる手のひら側部と、を有し、
前記装着状態で、前記円周方向に直交する方向において被測定者の手側にある前記筐体の端部である手側端部のうち、前記甲側部を構成する部分の前記直交する方向における位置は、前記手のひら側部を構成する部分のうち最も被測定者の手側にある部分の前記直交する方向における位置よりも被測定者の腕側にある脈波検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の脈波検出装置であって、
前記装着状態で前記直交する方向において被測定者の腕側にある前記筐体の端部である腕側端部は、前記直交する方向における位置が前記円周方向にわたって同じである脈波検出装置。
【請求項3】
請求項1記載の脈波検出装置であって、
前記甲側部の前記直交する方向における幅は、前記手のひら側部の前記直交する方向における幅と同じになっている脈波検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の脈波検出装置であって、
前記甲側部は、前記直交する方向における被測定者の腕側において前記直交する方向に突出する突出部を有し、
前記円周方向において前記突出部と同じ位置にある前記筐体の部分に電源供給のための電池が収容されている脈波検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脈波検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
手首の橈骨動脈等の動脈が通る生体部位に圧力センサを直接接触させた状態で、このセンサにより検出される情報を用いて脈拍や血圧等の生体情報を測定することのできる生体情報測定装置が知られている(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1には、手首に装着した状態で、手の甲側に巻きつけられる筐体部分をS字状にすることで、装着時に尺骨を避けて、装置の手首への装着状態を安定して維持させることのできる生体情報測定装置が記載されている。
【0004】
また、特許文献1は、生体情報測定装置の筐体の手の甲側に巻きつけられる部分をS字状にする代わりに、筐体を補助ベルトによって手首に固定する構成も開示している。
【0005】
特許文献2には、圧力センサ部分だけが手先側に突出した筐体を有し、この筐体をベルトによって手首に固定する生体情報測定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−168054号公報
【特許文献2】実開平04−51907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された補助ベルトを用いて手首への装着を行う生体情報測定装置は、圧力センサを搭載する筐体が手首の周方向(以下、円周方向ともいう)において略一様の幅となっている。圧力センサは、圧脈波の検出精度を考えると、手首の付け根にある皮線になるべく近づけた状態にするのが好ましい。
【0008】
特許文献1の補助ベルトを用いた構成では、圧力センサを皮線に可能な限り近づけると、手の甲側の手首の根元部分を筐体が覆うことになる。このため、筐体によって手首を手の甲側に引き上げる動作が阻害されてしまい、装置を装着しているときに動きが制限されてしまう。
【0009】
特許文献1には、補助ベルトを用いることなく、手首に装着した状態で、手の甲側に巻きつけられる筐体部分をS字状にする構成も記載されている。この構成でも、手の甲側の右端において、手首の根元部分が筐体に覆われるため、筐体によって手首を手の甲側に引き上げる動作が阻害される可能性がある。
【0010】
圧力センサを収容する筐体に伸縮性の高いものを採用すれば、手首の動きが制限されるのを防ぐことはできる。しかし、これでは、装置を手首に固定した後に、筐体の伸縮が原因で圧力センサ部分の位置にずれが生じる可能性があり、精度よく圧脈波を測定することが難しい。
【0011】
特許文献2の生体情報測定装置は、圧力センサを搭載する筐体が手の平側にしか存在しない構成である。このため、上述した課題は生じない。
【0012】
ここでは圧力センサによって圧脈波を検出する装置について述べたが、例えば光電センサによって容積脈波を検出する装置についても同様の課題が生じる。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、手首に装着した状態での手の動きが阻害されるのを防ぐことができ、かつ、精度よく脈波を検出することのできる脈波検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の脈波検出装置は、手首に装着して用いられる脈波検出装置であって、被測定者の橈骨動脈から脈波を検出する脈波検出センサを収容し、手首の円周方向に沿って巻き付け可能に構成された筐体と、前記筐体を手首に固定するための前記筐体よりも剛性の低いバンドと、を備え、前記筐体は、前記バンドによって手首に装着された装着状態において、手の甲側に巻き付けられる甲側部と、手のひら側に巻き付けられる手のひら側部と、を有し、前記装着状態で、前記円周方向に直交する方向において被測定者の手側にある前記筐体の端部である手側端部のうち、前記甲側部を構成する部分の前記直交する方向における位置は、前記手のひら側部を構成する部分のうち最も被測定者の手側にある部分の前記直交する方向における位置よりも被測定者の腕側にあるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、手首に装着した状態での手の動きが阻害されるのを防ぐことができ、かつ、精度よく脈波を検出することのできる脈波検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態を説明するための生体情報測定装置100の外観構成を示す模式図である。
図2図1に示す生体情報測定装置100における筐体20の手首の円周方向Xでの展開図である。
図3】生体情報測定装置100の手首への装着方法を説明するための図である。
図4】生体情報測定装置100の手首への装着方法を説明するための図である。
図5図2に示す生体情報測定装置100の変形例である生体情報測定装置100Aの筐体20の手首の円周方向Xでの展開図である。
図6図2に示す生体情報測定装置100の変形例である生体情報測定装置100Bの筐体20の手首の円周方向Xでの展開図である。
図7】生体情報測定装置100の変形例である生体情報測定装置100Cの筐体20の展開図である。
図8】生体情報測定装置100の変形例である生体情報測定装置100Dの筐体20の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態を説明するための生体情報測定装置100の外観構成を示す模式図である。生体情報測定装置100は、被測定者の手首に装着して用いられるものである。
【0019】
図1には、被測定者の左の手首Hを示しており、図中の手前側が被測定者の手が存在する方向である。また、図中の上側が手のひらの向いている方向である。手首H内には、橈骨Tと、尺骨Sと、橈骨動脈TDとを図示している。
【0020】
生体情報測定装置100は、被測定者の手首Hの橈骨Tに沿う橈骨動脈TDから脈波(圧脈波又は容積脈波)を検出する脈波検出部10を有し、脈波検出部10によって検出される脈波に基づいて血圧値や脈拍数等の生体情報を測定するものである。
【0021】
脈波検出部10は公知の構成を採用することができる。例えば、脈波検出部10は、圧力センサとこれを皮膚に押し当てる機構を有し、圧力センサによって圧脈波を検出する。または、脈波検出部10は、光電センサを有し、光電センサによって検出された信号から容積脈波を検出する。圧力センサと光電センサは脈波検出センサを構成する。
【0022】
生体情報測定装置100は、脈波検出部10と、脈波検出部10によって検出される脈波に基づいて血圧値や脈拍数等の生体情報を演算する図示しない生体情報演算部を収容する筐体20を備える。
【0023】
生体情報測定装置100は、脈波検出部10を少なくとも有するものであればよく、脈波検出装置として機能する。例えば、生体情報演算部は、生体情報測定装置100とは別の機器に設けられるものであってもよい。
【0024】
筐体20は、手首Hの円周方向に沿って巻き付け可能に構成されており、手首Hの尺骨S側が開放された略U字状の筐体である。筐体20は、手首Hの円周方向における両端部間が尺骨Sを覆わない構成になっている。
【0025】
筐体20は、脈波検出部10を収容する筐体1と、筐体1と連結された筐体2とから構成されている。筐体2は、接着、溶着等の固着によって筐体1に連結されたり、連結ピンによって筐体1に着脱自在に連結されたりしている。
【0026】
筐体1は、生体情報測定装置100の手首Hへの装着状態において、脈波検出部10の橈骨動脈TDに対する位置を安定させるため、また、精密素子を含む脈波検出部10を保護するために、剛性の高い第一の剛性の部材を主体に構成されている。第一の剛性の部材としては、例えば、樹脂や金属が用いられる。
【0027】
筐体2は、一部又は全部が第一の剛性よりも低い第二の剛性の部材により構成されている。例えば、筐体2は、外周面(手首Hと対向する面の反対側の面)から所定の厚みまでは第二の剛性の部材により構成され、それ以外の部分は第一の剛性の部材により構成されている。
【0028】
このように、筐体1よりも剛性の低い部材を筐体2の外周面に用いることで、筐体2を手首Hの形状に合わせて変形させることを容易にしている。第二の剛性の部材は、例えば、弾性部材や形状記憶合金等が用いられる。
【0029】
なお、脈波検出部10を収容する筐体20は、図1では筐体1と筐体2に分けているが、同一材料で構成された1つの筐体としてもよい。
【0030】
筐体2の内周面(手首Hと対向する面)には、筐体20を手首Hに固定するための後述するバンド30を固定するバンド留め具22が設けられている。バンド留め具22は、図1の例では、円柱状の金具により構成されている。
【0031】
筐体1の外周面(手首Hと対向する面の反対面)には、バンド30を筐体1に係止するための孔部11,12が、手首Hの円周方向に沿って並べて設けられている。
【0032】
図2は、図1に示す生体情報測定装置100における筐体20の手首の円周方向Xでの展開図であり、筐体20を外周面側から見た図を示している。図2において、円周方向Xに直交する方向を方向Yとしている。
【0033】
生体情報測定装置100を手首に装着した装着状態では、図2中の方向Yにおける下側に被測定者の腕が配置され、方向Yにおける上側に被測定者の手が配置されることになる。
【0034】
図2に示すように、バンド30は、筐体20の長手方向(手首Hの円周方向Xと同義)に沿って伸びる帯状で、かつ、筐体20よりも剛性の低い(第一の剛性及び第二の剛性よりも低い剛性の)バンド部材で構成されている。
【0035】
バンド部材は例えば布や革が用いられる。また、バンド30は、筐体20よりも厚みが十分に小さい。バンド30は、筐体20よりも全体的に柔軟性が高く、筐体20よりも自由に変形させることができる。
【0036】
バンド30の長手方向における基端部は筐体20に固定されている。具体的には、バンド30は、その長手方向における基端側からバンド留め具22に巻き返された状態で同一面同士が接着や縫製されて、バンド留め具22に固定されている。バンド30の長手方向における先端部は、どこにも支持されていないフリーの状態となっている。
【0037】
なお、バンド30の基端部を筐体20に固定する方法は上述したものに限らない。例えば、バンド30の基端部を、ビス等を用いて筐体20に固定する構成としてもよい。
【0038】
図3及び図4は、生体情報測定装置100の手首への装着方法を説明するための図である。図3は、生体情報測定装置100の装着状態を被測定者の手のひら側から見た図である。図4は、生体情報測定装置100の装着状態を被測定者の手の甲側から見た図である。
【0039】
被測定者は、図3のように、筐体20を手首に仮置きした状態から、バンド30の先端を手の甲側から手のひら側に回して、孔部12に挿入し、孔部11からバンド30の先端を引き出す。この状態が図3及び図4の状態である。
【0040】
図示していないが、バンド30の手首Hと対向する面の反対面には、面ファスナーを構成するフック状に起毛されたフック部と、面ファスナーを構成するループ状に密集して起毛されたループ部と、が形成されている。
【0041】
被測定者は、図3の状態から、バンド30の先端部を強く引き、バンド30を手首Hに強く巻き付ける。そして、被測定者は、バンド30の先端部を手の甲側に回し、バンド30に設けられたループ部をバンド30に設けられたフック部に貼り付ける。これにより、バンド30による筐体20の手首Hへの装着が完了する。
【0042】
図2の説明に戻り、筐体20は、バンド30によって手首に装着された状態において、被測定者の手首Hの手の甲側に巻き付けられる部分である甲側部2aと、同状態において被測定者の手首Hの手のひら側に巻き付けられる部分である手のひら側部2bと、甲側部2aと手のひら側部2bとを繋ぐ連結部2cとから構成されている。
【0043】
甲側部2aは、筐体20を手首Hに装着した状態で、手のひらを任意の面に平行にしたときの、この面の平面視において、被測定者の手と重なる筐体20の部分のことを言う。
【0044】
手のひら側部2bは、筐体20を手首に装着した状態で、手の平を任意の面に平行にしたときの、この面の平面視において、被測定者の手と重なる筐体20の部分のことを言う。
【0045】
筐体20が手首Hに装着された状態で、方向Yにおいて被測定者の手側にある筐体20の端部を手側端部といい、図2では符号20aを付している。また、同状態で、方向Yにおいて被測定者の腕側にある筐体20の端部を腕側端部といい、図2では符号20bを付している。
【0046】
手側端部20aのうち甲側部2aを構成する部分の方向Yでの位置Y2は、手側端部20aのうち手のひら側部2bを構成する部分の方向Yでの位置Y1よりも腕側にある。
【0047】
また、脈波検出部10の方向Yにおける被測定者の手側の端部の位置Y3は、位置Y2よりも被測定者の手側にある。
【0048】
このように構成された筐体20を手首Hに装着した状態では、図4に示すように、手の甲側では、手首と手との境界Haから、位置Y1と位置Y2の差であるΔYだけ腕側にずれた位置に筐体20の手側端部20aが位置する。このため、手を手の甲側に引き上げる動作を被測定者が行っても、その動きが阻害されることはない。
【0049】
また、脈波検出部10の方向Yにおける手側の端部の位置Y3が、位置Y2よりも手側にある。このため、脈波検出部10を皮線に十分に近づけることができ、脈波検出精度を向上させることができる。
【0050】
つまり、生体情報測定装置100によれば、手首に装着した状態での手の動きが阻害されるのを防ぐことができ、かつ、精度よく脈波を検出することができる。
【0051】
筐体20では、腕側端部20bのうち、甲側部2aを構成する部分の方向Yにおける位置と、連結部2cを構成する部分の方向Yにおける位置と、手のひら側部2bを構成する部分の方向Yにおける位置とは、それぞれ同じ(完全に同じではなく、多少の公差を含んでいてもよい)になっている。
【0052】
つまり、腕側端部20bは円周方向Xに伸びる直線状になっており、腕側端部20bの方向Yにおける位置は、円周方向Xにわたって同じ(多少の公差があってもよい)になっている。
【0053】
腕側端部20bの甲側部2aを構成する部分は、例えば、腕側端部20bの手のひら側部2bを構成する部分より被測定者の手側にずれていても、手首の動きを阻害しない効果を得ることはできる。
【0054】
図2の構成によれば、腕側端部20bの位置が円周方向Xにわたって同じになっているため、筐体20の方向Yにおける幅を全体的に大きくすることができる。この結果、筐体20の耐久性向上や、筐体20の装着を安定的に行えるといった効果を得ることができる
【0055】
なお、図2では、手側端部20aの手のひら側部2bを構成する全ての部分の位置を位置Y2よりも手側にしている。しかし、手側端部20aの手のひら側部2bを構成する部分の一部が位置Y2よりも被測定者の手側にあれば、脈波検出部10を手首の皮線に近づけつつ、手首の動きを阻害するのを防ぐことができる。
【0056】
図5は、生体情報測定装置100の変形例である生体情報測定装置100Aの筐体20の展開図である。
【0057】
生体情報測定装置100Aは、手側端部20aの手のひら側部2bを構成する部分のうち、脈波検出部10が収容される部分(符号2eの範囲にある部分)だけが位置Y2より被測定者の手側にある。
【0058】
このように、生体情報測定装置100Aは、手側端部20aのうち、甲側部2aを構成する部分の方向Yにおける位置Y2が、手のひら側部2bを構成する部分のうち最も被測定者の手側にある部分(図5の符号2eの範囲にある部分)の方向Yにおける位置Y1よりも被測定者の腕側にある。
【0059】
この構成でも、符号2eの範囲において脈波検出部10を手首の皮線に近づけつつ、手の甲側において、位置Y1と位置Y2の距離差によって手の動きが阻害されるのを防ぐという効果を得ることができる。
【0060】
また、生体情報測定装置100Aによれば、腕側端部20bの位置は円周方向Xにわたって同じ(完全に同じではなく、公差を含んでいてもよい)であるため、生体情報測定装置100と同様に、筐体20の方向Yでの幅を確保して手首への装着性を向上させることができる。
【0061】
図6は、生体情報測定装置100の変形例である生体情報測定装置100Bの筐体20の展開図である。
【0062】
生体情報測定装置100Bは、生体情報測定装置100において、腕側端部20bの形状を手側端部20aと同じにした構成である。
【0063】
つまり、筐体20は、円周方向Xに沿って略S字状に伸びた構成となっており、方向Yにおける幅は、円周方向Xに渡って一定(多少の公差を含んでいてもよい)である。
【0064】
生体情報測定装置100Bによれば、生体情報測定装置100と同様に、脈波検出部10を手首の皮線に近づけつつ、手の甲側において手の動きが阻害されるのを防ぐ効果を得ることができる。
【0065】
また、生体情報測定装置100Bによれば、筐体20の方向Yにおける幅が一定であるため、筐体20の剛性を高めて耐久性を向上させられると共に、手首への装着性を向上させることができる。また、筐体20のデザイン性を高めることができる。
【0066】
図7は、生体情報測定装置100の変形例である生体情報測定装置100Cの筐体20の展開図である。
【0067】
生体情報測定装置100Cは、筐体20の手の甲側部2aの形状が生体情報測定装置100とは異なる。具体的には、手の甲側部2aは、その一部において方向Yに突出する突出部(凸部)40aを有している。つまり、手の甲側部2aの方向Yにおける幅は一定ではなく、突出部40aによって一部の幅が大きくなっている。
【0068】
突出部40aと円周方向Xにおける位置が同じ筐体部分には、生体情報測定装置100の電源供給のための電池としてのバッテリパック40が収容されている。
【0069】
この構成の生体情報測定装置100Cによれば、筐体20の手の甲側部2aに突出部40aが形成されていることで、突出部40aによって被測定者の腕の手首付近の部分を支えることが可能となる。このため、筐体20の手首への装着性を向上させることができる。
【0070】
また、この突出部40aにバッテリパック40が内蔵されることで、バッテリパック40として電池容量の大きなものを用いることができる。この結果、生体情報測定装置100Cの稼働時間を長くすることができ、生体情報の測定を常時行う場合に特に有効となる。
【0071】
また、突出部40aにバッテリパック40が収容されることで、バッテリパック40を交換する作業を行う際に、バッテリパック40の取り出しが容易となる効果も得られる。
【0072】
生体情報測定装置100Cにおいては、バッテリパック40が収容される筐体20の部分の被測定者の手首と接触する側の面を平面ではなく、手の湾曲に沿った形状の曲面にすることが好ましい。このようにすることで、より安定した支持が可能となる。また、筐体20の装着感を向上させることができる。
【0073】
なお、図7に示した手の甲側部2aの構成は、図5の生体情報測定装置100Aと、図6の生体情報測定装置100Bにも同様に適用することができる。
【0074】
また、生体情報測定装置100Cによって得られる上述した効果は、筐体20の手側端部20aが図8に示すように直線状になっている構成であっても得ることができる。つまり、生体情報測定装置100Cにおいて、筐体20の手側端部20aの形状は任意の形状でよい。
【0075】
この構成でも、突出部40aによって被測定者の腕の手首付近の部分を支えることができ、筐体20の手首への装着性を向上させることができる。図8に示す生体情報測定装置100Dによれば、バッテリパック40を生体情報測定装置100Cのものより大きくすることができる。
【0076】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0077】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0078】
開示された脈波検出装置は、手首に装着して用いられる脈波検出装置であって、被測定者の橈骨動脈から脈波を検出する脈波検出センサを収容し、手首の円周方向に沿って巻き付け可能に構成された筐体と、前記筐体を手首に固定するための前記筐体よりも剛性の低いバンドと、を備え、前記筐体は、前記バンドによって手首に装着された装着状態において、手の甲側に巻き付けられる甲側部と、手のひら側に巻き付けられる手のひら側部と、を有し、前記装着状態で、前記円周方向に直交する方向において被測定者の手側にある前記筐体の端部である手側端部のうち、前記甲側部を構成する部分の前記直交する方向における位置は、前記手のひら側部を構成する部分のうち最も被測定者の手側にある部分の前記直交する方向における位置よりも被測定者の腕側にあるものである。
【0079】
開示された脈波検出装置は、前記装着状態で前記直交する方向において被測定者の腕側にある前記筐体の端部である腕側端部は、前記直交する方向における位置が前記円周方向にわたって同じであるものを含む。
【0080】
開示された脈波検出装置は、前記甲側部の前記直交する方向における幅は、前記手のひら側部の前記直交する方向における幅と同じになっているものである。
【0081】
開示された脈波検出装置は、前記甲側部は、前記直交する方向における被測定者の腕側において前記直交する方向に突出する突出部を有し、前記円周方向において前記突出部と同じ位置にある前記筐体の部分に電源供給のための電池が収容されているものである。
【0082】
開示された脈波検出装置は、手首に装着して用いられる脈波検出装置であって、被測定者の橈骨動脈から脈波を検出する脈波検出センサを収容し、手首の円周方向に沿って巻き付け可能に構成された筐体を備え、前記筐体は、手首に装着された装着状態において、手の甲側に巻き付けられる甲側部と、手のひら側に巻き付けられる手のひら側部と、を有し、前記甲側部は、前記直交する方向における被測定者の腕側において前記直交する方向に突出する突出部を有し、前記円周方向において前記突出部と同じ位置にある前記筐体の部分に電源供給のための電池が収容されているものである。
【符号の説明】
【0083】
100,100A,100B 生体情報測定装置
10 脈波検出部
11,12 孔部
20 筐体
22 バンド留め具
T 橈骨
S 尺骨
TD 橈骨動脈
30 バンド
2a 甲側部
2b 手のひら側部
2c 連結部
20a 手側端部
20b 腕側端部
X 手首の円周方向
Y 円周方向に直交する方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8