(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、住設機器に用いられている各種センサ,ポンプ,ファン等に故障等の異常が検出されると、エラーが発生した旨のエラー報知を行うとともに、多くの場合は安全のために運転を強制停止させることが行われている。又、故障ではないものの、中和能力や送風能力等の機能が使用に伴い劣化する場合があり、これらの機能劣化を検出して交換等の対応をユーザーに促すための警告報知も行われている。さらに、前記のタイムスタンプ機能の如く住設機器そのものは正常であるものの、所定の使用期間が経過したから念のために定期点検をユーザーに促すための点検報知も行われている。これらの報知に基づき、ユーザーは例えばコールセンターに故障修理、機能部品の交換、もしくは、定期点検の依頼を行い、この情報が例えば当該地域を管轄するサービスショップに通報されて、サービスマンが当該ユーザー宅に訪問して故障対応、交換対応、もしくは、点検対応というメンテナンス対応を実施することになる。
【0005】
ところが、地域のサービスショップにおいては、地域毎の担当ユーザー数の多少という地域的要因の他に、特に季節により修理要請の多・少が大きく変動し、特に凍結による影響や使用頻度が高まる冬季に修理要請が集中する傾向にある。そのようなサービスマンの繁忙期に、さらに前記の定期点検のためのサービスコールが重なると、コールセンターでの電話受付対応のみならずサービスショップの業務体制そのものについても維持し得ない事態に陥るおそれがある。そして、サービスショップの業務体制が維持し得なくなると、ユーザーに対する修理対応等を含むメンテナンス対応を十分に行い得ず、ユーザーにとって不都合が生じることになる。
【0006】
このような不都合発生を回避するために、特に故障対応等との対比において緊急性の比較的高くない定期点検に係る報知タイミングが冬期に到来したとしても、その定期点検に係る報知タイミングを冬期以外の時期に遅延させるようにすることが考えられる。しかしながら、その遅延された報知時期までの間に、前記の如き異常検出に基づきエラー報知がなされることも考えられる。この場合、住設機器そのものが使用不能となるため、ユーザーはほぼ確実にコールセンターに対しメンテナンス対応を依頼し、サービスマンによるメンテナンス対応(修理対応)が行われることになる。その後、定期点検を促すための点検報知が行われて、これに基づいてユーザがメンテナンス対応を依頼することになると、少し前の修理対応に引き続いて、今回の点検対応というようにユーザーにとっては二度手間になってしまい、ユーザーに、手間やコスト面で不都合を招くおそれが生じると考えられる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、修理対応、交換対応もしくは点検対応等のメンテナンス対応のために、ユーザーにとって二度手間となるような事態の発生を回避し得る住設機器の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、報知部を備えた住設機器の制御装置を対象にして次の技術的手段を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明では、前記住設機器の使用実績に係るパラメータを計測する使用実績計測部と、前記使用実績計測部により計測された使用実績に基づいて前記報知部により要点検の旨を報知処理するための点検報知処理部と、前記住設機器の異常発生を検出するエラー検出部と、前記エラー検出部により検出されたとき前記報知部により異常発生の旨を報知処理するためのエラー報知処理部と、前記使用実績計測部により計測された使用実績が要点検状態に達したときに、現時点が予め設定された抑制期の期間内に属するか否かを判定して判定結果を出力する抑制期判定部と、前記抑制期判定部により現時点が抑制期の期間内に属すると判定されたとき、前記点検報知処理部による報知処理の時期として、前記抑制期の期間外の時期であって前記抑制期の期間よりも後の時期を決定し、前記点検報知処理部に対し前記決定された報知時期に要点検の旨の報知処理を実行するよう予約設定を行うための時期決定部とを備えることとする。そして、前記点検報知処理部として、前記使用実績計測部により計測された使用実績が要点検状態に達した時点から、前記決定された時期までの間に、前記エラー検出部により異常発生が検出されたとき、前記予約設定をキャンセルする一方、前記エラー報知処理部による異常発生の旨の報知処理に加え前記要点検の旨の報知処理も併せて実行する構成とした(請求項1)。
【0010】
第1の発明の場合、抑制期において、報知部により住設機器が所定の点検時期に達したことを報知処理されることが抑制又は低減され、これに伴い、ユーザーから点検依頼されるサービスコールも抑制又は低減されることになる。これにより、抑制期におけるコールセンターやサービスショップのサービスコール対応やメンテナンス対応に対するリソース(人員等の資産)の枯渇やオーバーワークを回避して、その平準化を図ることが可能となる。この結果、抑制期においても、緊急性の高い要修理案件に対するサービスコール対応やメンテナンス対応についてリソースを十分に割り当てることができるようになり、住設機器を使用しているユーザーに対する保守点検・修理対応の向上を図り、ユーザーの不都合を回避することが可能となる。そして、このように報知時期を遅延させた場合であっても、メンテナンス対応においてユーザーが二度手間に陥ることを確実に回避させ得ることになる。すなわち、抑制期よりも後の時期まで遅延された報知時期が到来するまでの間に、もしも、エラー検出部により異常発生が検出され、それに伴いエラー報知処理部により異常発生の旨の報知が行われることになった場合には、そのエラー報知と共に点検報知も同時に行うようにしているため、メンテナンス対応について二度手間となる事態を回避することができる。つまり、予約設定がキャンセルされずに、エラー報知と点検報知とが時期をずらせて2回にわたり別個に行われる場合には、2回のサービスコールがかかり、故障修理等のエラー対応と、定期点検との2回のメンテナンス対応を余儀なくされるおそれを招くことになるが、このような事態になることを確実に回避し得ることになる。これにより、ユーザーに、手間やコスト面での不都合を招く事態を回避させることが可能となる。
【0011】
第1の発明の住設機器の制御装置において、抑制期として、冬期に相当する期間を設定することができる(請求項2)。このようにすることにより、エラー検出が無い場合には、特に修理依頼等が集中する傾向にある冬期において、ユーザーから点検依頼されるサービスコールを抑制又は低減させることが可能となる。これにより、コールセンターやサービスショップのサービスコール対応やメンテナンス対応に対するリソース(人員等の資産)の枯渇やオーバーワークを回避してその平準化を図り、ユーザーが十分なサービスを受け得る、という効果を十分に意義あるものとすることができるようになる。
【0012】
又、第2の発明では、前記住設機器の使用実績又は使用状況に起因する構成要素の機能劣化状況を検出する劣化状況検出部と、前記劣化状況検出部により検出される機能劣化の程度に応じ
て交換が必要である旨の少なくとも1回の事前警告及
び強制運転停止処理してユーザー自身の操作では解除不可とする最終段階の警告に係る報知処理を実行するように構成された劣化報知処理部と、前記住設機器の異常発生を検出するエラー検出部と、前記エラー検出部により異常発生が検出されたとき前記報知部により異常発生の旨を報知処理するためのエラー報知処理部とを備えることとする。そして、前記劣化報知処理部として、前記事前警告の時点から、前記最終段階の警告の時点までの間に、前記エラー検出部により異常発生が検出されたとき、前記エラー報知処理部による異常発生の旨の報知処理に加え前記最終段階の警告に係る報知処理も併せて実行す
ることにより、前記最終段階の警告の時点まで待つことなく前記異常発生の旨の報知と共に前記最終段階の警告を同時に行う構成とした(請求項3)。
【0013】
第2の発明の場合、事前警告の時点から最終警告までの間に、もしも、エラー検出部により異常検出が有り、それに伴いエラー報知処理部による異常発生した旨の報知が行われることになった場合には、そのエラー報知と共に機能劣化に伴い交換対応が必要である旨の最終警告も同時に行うようにしているため、メンテナンス対応について二度手間となる事態を回避することが可能となる。すなわち、最終警告が同時に行われずに、エラー報知と最終警告とが時期をずらせて2回にわたり別個に行われる場合には、2回のサービスコールがかかる結果、故障修理等のエラー対応と、構成要素の交換との2回のメンテナンス対応を余儀なくされるおそれを招くことになるが、このような事態になることを確実に回避することが可能となる。これにより、ユーザーに、手間やコスト面での不都合を招く事態を回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明したように、第1の発明の住設機器の制御装置によれば、抑制期において、報知部により住設機器が所定の点検時期に達したことを報知処理されることが抑制又は低減させることができ、これに伴い、ユーザーから点検依頼されるサービスコールも抑制又は低減させることができるようになる。これにより、抑制期におけるコールセンターやサービスショップのサービスコール対応やメンテナンス対応に対するリソース(人員等の資産)の枯渇やオーバーワークを回避して、その平準化を図ることができるようになる。この結果、抑制期においても、緊急性の高い要修理案件に対するサービスコール対応やメンテナンス対応についてリソースを十分に割り当てることができるようになり、住設機器を使用しているユーザーに対する保守点検・修理対応の向上を図り、ユーザーの不都合を回避することができるようになる。そして、このように報知時期を遅延させた場合であっても、メンテナンス対応においてユーザーが二度手間に陥ることを確実に回避させることができるようになる。すなわち、抑制期よりも後の時期まで遅延された報知時期が到来するまでの間に、もしも、エラー検出部により異常発生が検出され、それに伴いエラー報知処理部により異常発生の旨の報知が行われることになった場合には、そのエラー報知と共に点検報知も同時に行うようにしているため、メンテナンス対応について二度手間となる事態を確実に回避することができる。つまり、予約設定がキャンセルされずに、エラー報知と点検報知とが時期をずらせて2回にわたり別個に行われる場合には、2回のサービスコールがかかり、故障修理等のエラー対応と、定期点検との2回のメンテナンス対応を余儀なくされるおそれを招くことになるが、このような事態になることを確実に回避することができるようになる。これにより、ユーザーの手間やコスト面での不都合を招く事態を回避させることができるようになる。
【0015】
特に、請求項2の住設機器の制御装置によれば、抑制期として、冬期に相当する期間を設定することにより、異常発生のエラー検出が無い場合には、特に修理依頼等が集中する傾向にある冬期において、ユーザーから点検依頼されるサービスコールを抑制又は低減させることができる。これにより、コールセンターやサービスショップのサービスコール対応やメンテナンス対応に対するリソース(人員等の資産)の枯渇やオーバーワークを回避してその平準化を図り、ユーザーが十分なサービスを受け得る、という効果を十分に意義あるものとすることができるようになる。
【0016】
第2の発明の住設機器の制御装置によれば、事前警告の時点から最終警告までの間に、もしも、エラー検出部により異常検出が有り、それに伴いエラー報知処理部による異常発生した旨の報知が行われることになった場合には、そのエラー報知と共に機能劣化に伴い交換対応が必要である旨の最終警告も同時に行うようにしているため、メンテナンス対応について二度手間となる事態を回避することができるようになる。すなわち、最終警告が同時に行われずに、エラー報知と最終警告とが時期をずらせて2回にわたり別個に行われる場合には、2回のサービスコールがかかる結果、故障修理等のエラー対応と、構成要素の交換との2回のメンテナンス対応を余儀なくされるおそれを招くことになるが、このような事態になることを確実に回避することができる。これにより、ユーザーの手間やコスト面での不都合を招く事態を回避することができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る住設機器の制御装置を備えた住設機器の例として給湯装置1を示す模式図である。この給湯装置1は、給湯機能を実現する給湯回路2、追い焚き機能を実現する追焚回路3、給湯回路2から追焚回路3へ湯張り等のために湯又は水を供給する注湯回路4、及び、これらの作動制御を行う制御装置としてのコントローラ5を備えたものである。なお、図例のものは2缶2水タイプのものを図示しているが、1缶2水タイプのものでも、あるいは、給湯機能だけの単機能の給湯装置でも、本発明の住設機器の制御装置を適用することができる。又、図例のものは、熱交換器として、燃焼ガスの顕熱を吸熱する一次熱交換器に加え燃焼排ガスからの潜熱を回収する二次熱交換器を組み合わせた潜熱回収型に構成されたものを図示しているが、これに限らず、二次熱交換器を有しないものでも本発明を実施することができ、潜熱回収型であることは必須ではない。以下の説明では、一次熱交換器及び二次熱交換器を組み合わせたものを、単に給湯用熱交換器22又は追焚用熱交換器32と表示する。以下、簡単に給湯装置1について説明する。
【0020】
給湯回路2は、水道水等の給水を入水路21に受けて給湯用熱交換器22において燃焼バーナ23の燃焼熱との熱交換加熱により所定温度まで加熱した湯を給湯路24に出湯させ、この湯を台所や洗面所等の各所の給湯栓25まで給湯するようになっている。このような給湯用熱交換器22と燃焼バーナ23とを含んで加熱部が構成される。入水路21と給湯路24との間には、給湯用熱交換器22をバイパスして入水路21からの給水を給湯路24に流入させるバイパス路26が設けられ、分配弁26aを開にすれば連通するようになっている。分配弁26aは、コントローラ5により制御され、給湯用熱交換器22からの出湯に対し水を所定の混合比で混合することで所定の設定温度に温調するようになっている。入水路21には、バイパス路26の分岐位置よりも下流側位置(熱交換器22側位置)に、缶体流量センサ27や、入水温度を検出する入水温度センサ28が介装されている。又、給湯路24には、給湯用熱交換器22で加熱された直後の出湯の温度を検出する缶体温度センサ29が介装され、バイパス路26との合流部の下流側であって注湯路41の分岐部近傍位置に水量調整弁24aが介装され、この水量調整弁24aの上流側位置に出湯温度センサ40が介装されている。この出湯温度センサ40が、給湯栓25に給湯される湯の温度を検出する他、注湯路41を通して注湯される湯の温度を検出することになる。前記の給湯用熱交換器22での熱交換加熱として、入水路21を通して給水された水は先ず二次熱交換器に通されて予熱され、次に、接続路20を通して一次熱交換器に通されて加熱されて給湯路24に出湯されることになる。
【0021】
追焚回路3は、追い焚き機能を実現するために、浴槽6の循環アダプタ61との間に配管された戻り路30a及び往き路30bからなる追焚循環路30を備え、浴槽6内に湯張りされた浴槽湯水を所定温度まで追い焚き加熱し得るようになっている。すなわち、循環ポンプ31の作動により浴槽6から戻り路30aを通して追焚用熱交換器32において燃焼バーナ33の燃焼熱により熱交換加熱されて追い焚きされ、追い焚き後の浴槽湯水が往き路30bを通して浴槽6に供給されるというように循環され、所定の沸き上がり温度まで追い焚きされるようになっている。循環ポンプ31は戻り路30a及び往き路30bのいずれか一方(図例では戻り路30a)に介装されている。戻り路30aには流れを検知して後述のコントローラ5に出力する水流スイッチ34や戻り路30aにより戻される浴槽6内の浴槽湯水の温度を検出する戻り温度センサ35が介装されている。なお、
図1中の符号36は燃焼バーナ23,33に燃焼用空気を供給するための送風ファンであり、この送風ファン36は燃焼バーナ23,33の燃焼加熱による要求能力に基づき所定の目標回転数になるように作動制御されるようになっている。又、
図1中の符号37は、前記の給湯用燃焼バーナ23や追焚用燃焼バーナ33に燃料ガスを供給するためのガス供給系である。このガス供給系37は、元ガス弁371と、ガス比例弁372とを備え、ガス比例弁372は燃焼バーナ23,33の燃焼加熱による要求能力に基づき開度が変更制御されるようになっている。ここで、追焚用熱交換器32も、給湯用熱交換器22の例と同様に、燃焼ガスの顕熱を吸熱する一次熱交換器と、燃焼排ガスから潜熱を回収するための二次熱交換器とで構成されている。
【0022】
注湯回路4は、給湯路24の途中、すなわち前記水量調整弁24aの出口側位置か、それよりも下流側位置から分岐して、追い焚き循環路30の戻り路30aに連通接続される注湯路41を備えており、この注湯路41を通して給湯路24の湯が戻り路30aに流入され、これが両側に分流して戻り路30a及び往き路30bのそれぞれを通す両搬送形式で浴槽6に注湯されて浴槽6内に湯張りし得るようになっている。前記の注湯路41には、給湯路24の側である上流側から順に注湯流量センサ42,注湯するか否かを開閉切換により切換える注湯電磁弁43,逆流防止用の一対の逆止弁44がそれぞれ介装され、加えて、追焚循環路30との合流点近傍には浴槽6内の水位を検出する圧力式の水位センサ46が介装されている。
【0023】
なお、
図1中の符号7は外気温センサであり、この外気温センサ7はケース内の雰囲気温度を検出することにより外気温を検出するようになっている。又、符号8はドレン処理装置であり、このドレン処理装置8は、中和剤が充填された中和器81を備え、給湯用熱交換器22や追焚用熱交換器33に含まれる二次熱交換器において燃焼排ガスが潜熱回収のための熱交換により冷やされて凝縮することにより生じたドレンを集水路82を通して集水し、中和器81において中和処理した上で、排水路83を通して系外に排水させるために設置されたものである。
【0024】
以上の給湯回路2,追焚回路3及び注湯回路4等は、MPU,メモリ(EEPROM),インターフェース等を備え各種の制御用プログラムが格納されたコントローラ5(
図2参照)によって、給湯運転、追焚運転又は注湯運転等の各種の運転制御が、リモコン51からの出力及び前記の各種センサ27,28,29,40,42からの出力等に基づいて行われるようになっている。このコントローラ5は、
図2に例示するように、給湯運転制御部52、注湯運転制御部53、及び、追焚運転制御部54等に加えて、エラー検出制御部55及び点検報知制御部56,57,58を備えている。
【0025】
給湯運転制御部52による給湯運転制御、注湯運転制御部53による注湯運転制御、及び、追焚運転制御部54による追焚運転制御について簡単に説明する。給湯運転制御は、ユーザーが給湯栓25を開いて最低作動流量以上の流れを缶体流量センサ27が検出すると開始される。まず、給湯用燃焼バーナ23,送風ファン36及びガス供給系37からなる給湯燃焼系を制御して所定の燃焼状態にすることで、その燃焼熱を受けて給湯用熱交換器22を通る入水が熱交換加熱され、所定温度まで加熱・温調された湯が給湯路24に出湯される。次いで、分配弁26aが制御されて、バイパス路26を通して供給される水が出湯に混合され、これにより、所定の給湯設定温度に温調された上で、給湯栓25に給湯されることになる。
【0026】
注湯運転制御は、例えばリモコン51の注湯スイッチをユーザーがON操作することで単独で実行され、注湯電磁弁43を開変換制御して、給湯用燃焼バーナ23及びガス供給系37からなる給湯燃焼系を制御して所定の燃焼状態にする。これにより、給湯用熱交換器22を通る入水が熱交換加熱され、所定温度まで加熱・温調された湯が給湯路24に出湯され、前記と同様に分配弁26aが制御されて、バイパス路26からの水との混合により、所定の注湯設定温度に温調した上で、開状態の注湯電磁弁43、注湯路41及び追焚路30を通して浴槽6に注湯されることになる。あるいは、例えばリモコン51のふろ自動スイッチをユーザーがON操作することで、ふろ自動制御の一部として注湯運転制御が開始される。ふろ自動制御の場合、まず、注湯回路4及び追焚循環路30を通して給湯回路2からの湯が浴槽6に注湯されて湯張りされる。次に、追焚回路3の追焚用燃焼バーナ33及びガス供給系37からなる追焚燃焼系や循環ポンプ31が作動制御されて追焚運転制御が開始される。追焚運転制御では、追焚用燃焼バーナ33の燃焼熱を受けて追焚用熱交換器32を通る浴槽6内の湯水が熱交換加熱され、所定の沸き上げ温度まで追焚加熱される。そして、追焚加熱が終了すれば、引き続いて、浴槽6内の湯水温度を一定に維持させるために間欠的に追焚制御を実行する保温運転を設定時間が経過するまで、又は、ユーザーによりふろ自動スイッチがOFFされるまで行う。
【0027】
<第1実施形態>
図3は第1実施形態に係るエラー検出制御部55及び点検報知制御部56の詳細を示している。エラー検出制御部55は、異常発生を検出するためのエラー検出部551と、異常発生の旨を報知処理するためのエラー報知処理部552とを含み、エラー検出部551は、流量センサ27,42及び温度センサ28,29,40等のセンサ類、各種弁24a,26a,43等や、送風ファン36及び循環ポンプ31等の各種駆動系等に生じるおそれのある異常(故障エラー)を検出するようになっている。検出の具体例を挙げると、前記の温度センサの場合、通常はそれが接触する温度(入水温度等)に応じて変化する電圧値を検出し、それが温度値に変換されて給湯制御等に利用されることになる。しかるに、その検出温度が常用範囲外のあり得ない温度値(入水温度センサ28の場合には例えば+200度等)となった場合には、センサ入力のための回路にオープン故障・ショート故障等が発生したと判定し、エラー発生検出とする。あるいは、送風ファン36の場合であると、通常は目標回転数を実現するように出力信号を送出し、これに対し入力信号が帰ってくることになるものの、その入力信号が全く帰ってこないときには断線等の故障状態に陥っていると判定し、エラー発生検出とする。そして、エラー発生が検出されると、図示省略のエラー処理部による安全処理(例えば強制運転停止)が実行される一方、エラー報知処理部552によりエラー発生の旨が報知部510を通して報知されることになる。報知部510は例えばリモコン51により構成することができ、その表示部51aや音声案内部を利用して、例えば「エラーが発生したのでサービスコールして下さい」のテキスト表示又は音声案内と共に、該当するエラー・ナンバーを表示することができる。
【0028】
点検報知制御部56による点検報知制御とは、給湯装置の使用時間が予め設定した点検時期に対応する点検時間に達すれば、住設機器自体は正常使用可能であるものの、念のためにユーザーに対し定期点検の実施を促すための案内を自動的に報知する機能を基本とするものである。このような点検報知制御の対象としては、例えばタイムスタンプ警告(使用時間が例えば10年経過時点での警告)が挙げられる。タイムスタンプ警告の場合であれば、住設機器である給湯器1がコンセントに接続されることで使用時間の積算が開始される。なお、以上の内容は第2実施形態の点検報知制御部57も同様であり、以下の第1又は第2実施形態ではタイムスタンプ警告(点検時期:10年間の使用時間の経過後)を対象にして説明する。又、コントローラ5において、前記の各種運転制御部52,53,54の存在は、本発明の住設機器の制御装置1として必須ではない。さらに、点検報知制御部56,57,58をコントローラ5に設ける代わりに、リモコン51に備えるようにすることができるし、あるいは、リモコン51とコントローラ5とを相互通信可能に接続し、点検報知制御部56,57,58を構成する一部構成要素のみをリモコン51に備え、他をコントローラ5に備えるようにすることもできる。
【0029】
点検報知制御部56は、点検時期を設定するための点検時期設定部501と、所定の開始時刻を設定するための時刻設定部502と、対象とする住設機器である給湯装置1の使用時間を計測する時間計測部503と、EEPROMを含む記憶部504と、現在時刻を計時する時計部を含む抑制期判定部505と、報知部510による点検報知時期を決定するための時期決定部506と、報知部510に対する報知処理を実行するための点検報知処理部507とを備えている。
【0030】
点検時期設定部501は、各種の点検時期の入力設定を受け付けて、入力設定された点検時期を記憶部504の所定の記憶領域に記録するものである。具体的には、例えば、リモコン51の設定操作により表示部51aに点検時期の入力設定画面を表示させ、この入力設定画面に入力操作を行うことで、例えばタイムスタンプ機能の点検時期(例えば10年間の使用後)を設定することができるようになっている。なお、かかる点検時期についてはコントローラ5の例えば記憶部504に対し予め記憶設定しておくようにすることができ、この場合には、前記の如き入力設定は不要である。時刻設定部502は、例えば工場出荷時において現在の時刻についての入力設定操作を受け付けて、入力された現在の時刻(年月日及び時分秒)を抑制期判定部505の時計部に初期値として設定して計時を開始させるようになっている。この入力設定操作についても、前記と同様に、例えばリモコン51の表示部51aを用いて行い得るようになっている。
【0031】
時間計測部503は、対象(例えば給湯装置1)の使用時間を計測し、使用が終了する度にその使用時間を記憶部504の使用時間に係る記憶領域に記録されている使用時間に対し積算して更新するようになっている。この時間計測部503が使用実績計測部を構成し、使用実績に係るパラメータとして使用時間を用いたものである。ここで、記憶部504に対し使用時間の積算・更新を行う一方、時間計測部503において、前回までの使用時間を読み出して、これに今回計測した使用時間を積算して更新し、これを後述の時期決定部506に対し出力するようにすることができる。給湯装置1の使用時間としては、例えば図外の電源装置を介してコントローラ5へ通電される通電時間を積算することができる。抑制期判定部505は、時計部から出力される現在時刻に基づいて現時点が所定の抑制期に属するか否かを判定し、判定結果を時期決定部506に出力するようになっている。前記時計部は、図示省略のバックアップ電源(例えばボタン電池)から電源供給されるリアルタイムクロック(RTC)により構成され、コントローラ5に対する電源供給が遮断されていても現在時刻を計時するようになっている。このRTCは、時計機能を有するICにより構成され、前記の初期値の設定により、時刻データとして年,月,日,時,分,秒等を出力するようになっている。
【0032】
時期決定部506は、時間計測部503又は記憶部504から出力される使用時間(積算された累積使用時間)に係る情報と、記憶部504から読み出される点検時期に係る情報と、抑制期判定部505から出力される現時点が抑制期に属するか否かに係る情報とに基づいて、ユーザーに対し定期点検の実施を勧める旨の点検報知を行う報知時期を決定するようになっている。すなわち、まず、使用時間の増加推移を監視し、その使用時間が点検時期に対応する点検時間に到達したか否かを判定する。次に、使用時間が点検時間に到達すれば、抑制期判定部505から出力される判定結果に基づき、現時点が抑制期に属さなければそのまま点検報知処理部507に対し点検報知を実行する旨の指令を出力する一方、現時点が抑制期に属すれば、点検報知の報知時期について所定の回避期間だけ遅延させることにより、現時点から抑制期以外の所定時期まで自動的に遅延させ、遅延後の報知時期に点検報知することを内容とする点検報知予約(予約設定)を点検報知処理部507に出力する。そして、点検報知処理部507は、リモコン51の表示部51aに、例えば「定期点検時期となったため、サービスコールして下さい」との旨をテキスト表示したり、リモコン51に内蔵されている音声部を用いて同様の旨を音声案内したりする点検報知のための制御信号をリモコン51に対し出力することができる。
【0033】
抑制期としては、1年の間(1月から12月)において、ユーザからの定期点検のサービスコールをなるべく抑制したい時期を設定する。すなわち、抑制期としては、コールセンターに対するサービスコール(ユーザから故障修理や定期点検を依頼する連絡)への対応や、サービスショップでのメンテナンス対応(修理対応や点検対応のためにユーザーへの対処)が過密化することになる繁忙期、例えば冬期に対応する期間(地域性に依存するが、例えば前年の11月1日から翌年の3月1日までの期間)を設定することができる。
【0034】
そして、時期決定部506による遅延処理は、まず、前記の抑制期に点検報知がなされることを回避して点検報知の時期が抑制期以外になるように、予め画一的に設定した回避期間だけ遅延させる。回避期間としては、点検報知の時期が前記の抑制期以外になるように設定される。好ましくは前記のサービスコール対応やメンテナンス対応が閑散期となるであろうと推定し得る時期に点検報知の時期が到来するように回避期間を設定する。従って、画一的な期間を設定する場合には、前記の抑制期として設定された期間よりも長い期間(例えば6ヶ月間:半年間)を設定する。このような抑制期や回避期間は、工場出荷時等において予め内部情報として記憶部504に記憶設定することができるし、それを現場設置時に例えばDIPスイッチ等の手段を用いて変更設定可能に構成することもできる。変更設定可能な構成とすることは、給湯装置が設置される地域の環境特性や、設置地域のサービスショップ等によるメンテナンス対応能力等に応じて変更設定し得る点で有利となる。
【0035】
点検報知処理部507は、点検報知予約が時期決定部506から出力された場合には、その点検報知予約に係る点検報知時期までの間に、エラー検出部551からの出力に基づきエラー検出の有無を監視し、もしもエラー検出が有った場合には、前記の点検報知予約をキャンセルし、エラー報知処理部552によるエラー報知に加えて、定期点検を促すための点検報知をも併せて実行するようになっている。
【0036】
以上の点検報知制御部56による点検報知制御を
図4のフローチャートを参照しつつ、詳細に説明する。まず、工場出荷時の際に(ステップS1でNO)、点検時期設定部501による点検時期の設定や、時刻設定部502による現在時刻(年月日及び時分秒)の設定を行い(ステップS2)、時計部505の計時を開始させる(ステップS3)。以上の工場出荷時の処理が終了すれば(ステップS1でYES)、時間計測部503による使用時間の計測・積算を行い(ステップS4)、使用時間の増加推移を監視する(ステップS5でNO)。この使用時間が点検時期に対応する点検時間に到達すれば(ステップS5でYES)、次に、時計部505から出力される現在時刻に基づいて、現在時刻は抑制期(冬期)に属するか否かを判定する(ステップS6)。現在時刻が冬期以外に属する場合には(ステップS6でNO)、点検報知処理部507に対し点検報知処理の開始指令を出力する(ステップS7)。その一方、現在時刻が冬期に属する場合には点検報知処理の開始指令の出力を、時期決定部506による遅延処理により決定される時期変更量だけ点検報知の時期を自動的に遅延させて点検報知処理部507に対し点検報知予約を出力する(ステップS8)。
【0037】
そして、その遅延された期間が経過するまでの間、エラー検出部551によるエラー検出の有無を監視し(ステップS9)、点検報知予約に基づく点検時期に至るまでエラー検出が無ければ(ステップS9でNO)、点検報知予約に基づき点検報知処理部507による点検報知を実行する(ステップS10)。一方、点検報知予約された報知時期までの間に、エラー検出が有れば(ステップS9でYES)、前記の点検報知予約をキャンセルし、点検報知をエラー報知処理部552によるエラー報知と同時に実行する(ステップS11)。
【0038】
このような点検報知制御部56による点検報知制御の場合、抑制期において、緊急性に乏しい定期点検についてユーザーからのサービスコールを抑制・低減させることができるため、特にコールセンターやサービスショップの繁忙期を抑制期として設定することにより、コールセンターやサービスショップのサービスコール対応やメンテナンス対応に対するリソース(人員等の資産)の枯渇やオーバーワークを回避して、その平準化を図ることができるようになる。その結果、緊急性の高い要修理案件に対するサービスコール対応やメンテナンス対応についてリソースを十分に割り当てることができるようになり、給湯装置(住設機器)1を使用しているユーザーに対する保守点検・修理対応の向上を図ることができるようになる。加えて、前記の如き遅延処理により遅延された報知時期が到来するまでの間に、もしも、エラー検出部551によりエラー検出が有り、それに伴いエラー報知処理部552によるエラー報知が行われることになった場合には、そのエラー報知と共に点検報知も同時に行われるため、メンテナンス対応について二度手間となる事態を回避することができる。すなわち、点検報知予約がキャンセルされずに、エラー報知と点検報知とが時期をずらせて2回にわたり別個に行われる場合には、2回のサービスコールがかかり、故障修理等のエラー対応と、定期点検との2回のメンテナンス対応を余儀なくされるおそれを招くことになるが、このような事態になることを確実に回避することができるようになる。これにより、ユーザーの手間やコスト面での不都合を招く事態を回避することができる。
【0039】
<第2実施形態>
図5は、制御装置であるコントローラ5が備える第2実施形態に係る点検報知制御部57を示している。この点検報知制御部57は、現時点が抑制期(例えば冬期)に属するか否かの判定を環境温度に基づいて判定する構成を備えている点で第1実施形態と異なるものである。その他の構成は第1実施形態の点検報知制御部56と同じであるため、第1実施形態のものと同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0040】
第2実施形態の抑制期判定部505aは、現時点が抑制期(例えば冬期)に属するか否かを、入水温度センサ28(
図1又は
図2参照)により検出される検出入水温度に基づいて判定し、その判定結果を時期決定部506に出力するようになっている。すなわち、抑制期が冬期であれば、入水温度センサ28から出力されるその時点の検出入水温度が所定の判定温度よりも低ければ、現時点は抑制期に属していると判定し、高ければ現時点は抑制期以外(抑制期には属していない)であると判定する。このような抑制期に属するか否かの判定指標となり得る環境温度としては、入水温度センサ28により検出される入水温度以外に、外気温センサ7(
図1参照)により検出される雰囲気温度、あるいは、送風ファン36により吸気されて燃焼バーナ23,33に給気される空気温度も対象とすることができ、これらの検出温度と、それに対応する所定の判定温度との比較によって、現時点が抑制期に属するか否かについての判定を行うことができる。
【0041】
又、環境温度に基づいて現時点が抑制期に属するか否かの判定を行う場合には、特にその判定温度の設定如何について給湯装置1が設置された地域性に左右されるため、地域性を考慮に入れることもできる。この場合には、対象とする環境温度(例えば検出入水温度)について、給湯装置1の設置後の例えば1年又は数年に亘り年間の変化特性をデータとして取得し、この変化特性データを用いて統計的手法により判定温度を設定するようにすることができる。
【0042】
この第2実施形態の点検報知制御について、
図6のフローチャートを参照しつつ説明する。まず、工場出荷時の際に(ステップS11でNO)、点検時期設定部501による点検時期の設定等を行う(ステップS12)。以上の工場出荷時の処理が終了すれば(ステップS11でYES)、時間計測部503による使用時間の計測・積算を行い(ステップS13)、使用時間の増加推移を監視する(ステップS14でNO)。この使用時間が点検時期に対応する点検時間に到達すれば(ステップS14でYES)、次に、入水温度センサ28からの検出入水温度と判定温度との対比に基づき、抑制期判定部505aにより現時点が抑制期に属するか否かの判定を行う(ステップS15)。現時点が抑制期以外、例えば冬期以外に属する場合には(ステップS15でNO)、点検報知処理部507に対し点検報知の開始指令を出力する(ステップS16)。現在時刻が冬期に属する場合には点検報知処理の開始指令の出力を、時期決定部506による遅延処理により決定される時期変更量だけ点検報知の時期を自動的に遅延させて点検報知処理部507に対し点検報知予約を出力する(ステップS17)。
【0043】
そして、その遅延された期間が経過するまでの間、エラー検出部551によるエラー検出の有無を監視し(ステップS18)、点検報知予約に基づく点検時期に至るまでエラー検出が無ければ(ステップS18でNO)、点検報知予約に基づき点検報知処理部507による点検報知を実行する(ステップS19)。一方、点検報知予約された報知時期までの間に、エラー検出が有れば(ステップS18でYES)、前記の点検報知予約をキャンセルし、点検報知をエラー報知処理部552によるエラー報知と同時に実行する(ステップS20)。
【0044】
以上の点検報知制御部57による点検報知制御の場合、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、抑制期において、緊急性に乏しい定期点検についてユーザーからのサービスコールを抑制・低減させることができるため、特にコールセンターやサービスショップの繁忙期を抑制期として設定することにより、コールセンターやサービスショップのサービスコール対応やメンテナンス対応に対するリソース(人員等の資産)の枯渇やオーバーワークを回避して、その平準化を図ることができるようになる。その結果、緊急性の高い要修理案件に対するサービスコール対応やメンテナンス対応についてリソースを十分に割り当てることができるようになり、給湯装置(住設機器)1を使用しているユーザーに対する保守点検・修理対応の向上を図ることができるようになる。加えて、前記の如き遅延処理により遅延された報知時期が到来するまでの間に、もしもエラー検出部551によりエラー検出が有り、それに伴いエラー報知処理部552によるエラー報知が行われることになった場合には、そのエラー報知と共に点検報知も同時に行われるため、メンテナンス対応について二度手間となる事態を回避することができる。すなわち、点検報知予約がキャンセルされずに、エラー報知と点検報知とが時期をずらせて2回にわたり別個に行われる場合には、2回のサービスコールがかかり、2回のメンテナンス対応を余儀なくされるおそれを招くことになるが、このような事態になることを確実に回避することができるようになる。これにより、ユーザーの手間やコスト面での不都合を招く事態を回避することができる。
【0045】
<第3実施形態>
第3実施形態の点検報知制御部58(
図7参照)は、劣化状況検出部508と、劣化報知処理部509とを備えて構成されている点で、第1又は第2実施形態の点検報知制御部56,57と異なるものである。その他のエラー検出制御部55等の構成は第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と同様の構成要素については第1実施形態と同じ符号を付して重複した詳細な説明を省略する。この第3実施形態は、点検報知制御部58が報知する内容が主として交換又は点検・交換が必要である旨の警告を行うためのものである点で、定期点検の実施を促すための点検報知を主とする第1又は第2実施形態と異なるものである。
【0046】
すなわち、第1又は第2実施形態の点検報知制御部56,57が住設機器は正常に継続運転可能ではあるものの念のための点検整備(定期点検)を促すための報知(例えばタイムスタンプ機能)、つまり、年単位でのさらなる使用継続は好ましくはないものの1年未満程度の継続使用は許容されるという、エラー報知と比較すると緊急性の低い報知を対象とする。これに対し、第3実施形態の点検報知制御部58は、住設機器である給湯装置1を構成する種々の構成要素の内、特に経年使用に対応して機能劣化が生じるものの、その構成要素を交換すれば使用継続が可能となる構成要素であって、機能劣化の進行状況の監視により最終的な要交換時期が予測可能な構成要素について、その交換が必要である旨の警告報知を対象とするものである。
【0047】
このような構成要素として、例えば中和器81や送風ファン36等がある。以下、劣化状況検出部508が検出する対象の構成要素が中和器81である場合を例にして説明する。中和器81は、熱交換器22,32の二次熱交換器での潜熱回収に伴い発生するドレンを集水し、このドレンを中和処理するための構成要素であり、中和処理に伴い内部に充填された中和剤が消耗し中和処理機能が劣化することになる。そして、中和剤の消耗状況(中和処理機能の劣化状況)はドレンの発生量、つまり燃焼バーナ23,33の燃焼量にほぼ比例して進行すると考えられることから、劣化状況検出部508では、中和器81の稼働時間(具体的には燃焼バーナ23,33の燃焼使用における積算燃焼号数)を監視するようになっている。そして、所定の積算燃焼号数に至れば中和剤の寿命が近づいているとして点検・交換の必要がある旨の事前警告を行うための検出情報を劣化報知処理部509に出力し、最終段階の限界積算燃焼号数に至れば要交換であり使用継続不可である旨の最終警告を行うための検出情報を劣化報知処理部509に出力するようになっている。
【0048】
より詳細な劣化状況検出に基づく劣化報知処理部509による劣化報知(要交換である旨の警告)について
図8の例を参照しつつ説明すると、積算燃焼号数の増大に応じて、事前警告として、単に報知するだけでユーザーが給湯運転等を開始すればその報知を解除する事前警告#1と、それよりも警告の程度を増大させて燃焼運転も強制的に一時停止させるもののユーザー自身の所定操作により燃焼運転の再開が可能になる事前警告#2と、最終的な警告と共に強制運転停止処理してユーザー自身の操作では解除不可とする最終警告とを順に行うようになっている。事前警告#1は例えば警告灯の点滅による警告報知とすることができ、複数回(例えば5回)繰り返すことができる。そして、使用継続によりさらに積算燃焼号数が増大すれば、事前警告#2として中和器の寿命により交換が必要である旨を例えば表示部51aにテキスト表示等によりユーザーに明確に報知したり、さらに最終警告として中和器が寿命により交換しなければ使用は不可である旨を前記と同様にテキスト表示等によりユーザーに明確に報知したり、することができる。
【0049】
一方、前記の劣化報知処理部509は、事前警告#2の時点から最終警告までの間に、エラー検出部551からの出力に基づきエラー検出の有無を監視し、もしもエラー検出が有った場合には、前記の最終警告の段階(積算燃焼号数が設定最大値に到達する段階)まで待たずに、エラー報知処理部552によるエラー報知に加えて、最終警告をも併せて実行するようになっている。このようにエラー検出の有無を監視し、もしもエラー検出があれば最終警告の段階まで待たずに最終警告をエラー報知と併せて行うという処理対象期間Lyは例えば3ヶ月程度以下に制限することができ、前記の事前警告#2の時点から最終警告に至るまでの期間は、通常の使用状態であれば統計的に1〜2ヶ月程度であると想定される。なお、前記の処理対象期間Lyとして、第1回目の事前警告#1の時点から最終警告までの間を設定するようにすることができる。
【0050】
第3実施形態の点検報知制御について、
図9のフローチャートを参照しつつ説明する。まず、所定の構成要素が事前警告が必要となるまで機能劣化が進行したことが検出されると(ステップS21でYES)、劣化進行に係る指定の事前警告処理を実行する(ステップS22)。そして、エラー検出部551によるエラー検出の有無を監視し(ステップS23)、エラー検出が無いまま(ステップS23でNO)、所定の最終警告の段階まで機能劣化が進行すれば(ステップS24でYES)、最終警告を実行する(ステップS25)。一方、前記のステップS23でエラー検出が有れば、つまり、事前警告した後から最終警告に至るまでの間にエラー検出が有れば(ステップS23でYES)、機能劣化の進行に対応して実行される本来の最終警告の段階まで待たずに、エラー報知と共に最終警告をも同時に報知処理する(ステップS26)。
【0051】
以上の第3実施形態の場合、事前警告の時点から最終警告までの間に、もしも、エラー検出部551によりエラー検出が有り、それに伴いエラー報知処理部552によるエラー報知が行われることになった場合には、そのエラー報知と共に機能劣化に伴い交換対応が必要である旨の最終警告も同時に行われるため、メンテナンス対応について二度手間となる事態を回避することができる。すなわち、最終警告が同時に行われずに、エラー報知と最終警告とが時期をずらせて2回にわたり別個に行われる場合には、2回のサービスコールがかかる結果、故障修理等のエラー対応と、構成要素の交換との2回のメンテナンス対応を余儀なくされるおそれを招くことになるが、このような事態になることを確実に回避することができるようになる。これにより、ユーザーの手間やコスト面での不都合を招く事態を回避することができる。
【0052】
なお、以上の第3実施形態では、劣化状況検出に基づく劣化報知処理部509による劣化報知として中和器81の例を説明したが、それ以外にも例えば送風ファン36についての自己診断に基づく事前警告及び強制運転停止させるという安全処理を伴う最終警告がある。これについて簡単に説明すると、風の流入又は熱交換器22,32のフィン詰まり等に起因する給排気閉塞を主因とし、併せて送風ファン36の駆動モータ自身の寿命をも含む要因で、送風ファン36において、燃焼用空気の供給という機能の劣化が使用継続に伴い進行する。例えば、送風ファン36を所定の目標回転数で駆動させても、ファンの仕事量を表すファン電流値が低下してくれば閉塞傾向に陥っている、もしくは、寿命による劣化が進行していると判定し、駆動目標の目標回転数を一定量(例えば2%)ずつ増大補正して駆動させる。この増大補正を使用継続によりファン電流値が一定量低下する度に繰り返し、劣化報知処理部552による報知処理として、所定補正量(例えば6%)に到達すれば事前警告し、上限補正量(例えば10%)に到達すれば最終警告する、というようにすることができる。そして、この事前警告の時点と最終警告との間にエラー検出があれば、エラー検出に伴うエラー報知と共に最終警告をも同時に行うのである。
【0053】
<他の実施形態>
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、前記各実施形態では、住設機器の例として給湯装置を例示したが、これに限らず、給湯装置以外の例えばガスコンロ,風呂釜,温水暖房機,食洗機等に前述の制御装置を適用することもできる。又、前記各実施形態では住設機器として給湯装置を例示し、その場合の報知部としてリモコン51を例示したが、これに限らず、他のもので構成することもできる。特に、給湯装置以外の住設機器であれば、リモコン以外のもので報知部を構成することができる。