(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記指針早送り制御手段による前記早送り速度の変化には、前記早送り動作における前記指針の残りの移動量に基づいて前記早送り速度を変化させる変速動作が含まれることを特徴とする請求項1記載のアナログ電子時計。
前記指針早送り制御手段は、前記切り替え後の表示対象の種別が時間である場合には、前記指針を所定の初期位置に早送り移動させた後に、当該指針を前記切り替え後の表示内容に対応する位置へ早送り移動させる前記早送り動作を行わせることを特徴とする請求項3記載のアナログ電子時計。
前記指針早送り制御手段は、前記早送り動作において前記少なくとも2本の指針を連動して早送り移動させない場合には、当該少なくとも2本の指針の早送り速度を前記早送り動作中に変化させ、前記少なくとも2本の指針に連動して早送り動作を行わせる場合には、当該少なくとも2本の指針の早送り速度を前記早送り動作中に変化させないことを特徴とする請求項6記載のアナログ電子時計。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本発明の電子時計の第1実施形態のアナログ電子時計を示す正面図である。
【0012】
本実施形態のアナログ電子時計1は、回転円板である日車14を含む5本の指針により日時を表示可能な電子腕時計である。このアナログ電子時計1では、ケーシング6と、文字盤7と、前面を覆う図示略の風防ガラスとの間に、時針11と、分針12と、秒針13と、モード指針15とが設けられている。また、日車14は、文字盤7の下方(風防ガラス側(露出面側)と反対側)に文字盤7と略平行に設けられている。これらのうち、時針11、分針12、秒針13及び日車14は、文字盤7の中央部の同一軸を中心に回動可能に配置され、モード指針15は、文字盤7の6時方向に設けられた小窓9の内側で回動可能に配置されている。ケーシング6の側面には、押しボタンスイッチB1、B2と、りゅうずC1とが設けられている。
【0013】
小窓9には、円周上に等間隔で実行中の機能モード又は現在のホーム位置における曜日を示すための標識が設けられている。即ち、日曜日〜土曜日を示す各標識と、世界時計機能に係る標識「WT」、アラーム機能に係る標識「AL」、ストップウォッチ機能に係る標識「ST」及びタイマ機能に係る標識「TR」が設けられている。
【0014】
日車14は、円環状の回転円板であり、円周上に日付を表す「1」〜「31」の標識(日付標識)が順番に等間隔で配列されている。日車14が回転されることにより、文字盤7の3時方向に設けられた開口部8から一の日付標識が露出されて日付が示される。
【0015】
押しボタンスイッチB1、B2は、ユーザにより押下されることで操作を受け付ける。りゅうずC1は、2段階の引き出し操作が可能であり、当該引き出し操作、引き出された状態での回転操作、及び、押し戻される操作が受け付けられる。
【0016】
図2は、本実施形態のアナログ電子時計1の機能構成を示すブロック図である。
【0017】
このアナログ電子時計1は、時針11と、輪列機構31を介して時針11を回動させるステッピングモータ51と、分針12と、輪列機構32を介して分針12を回動させるステッピングモータ52と、秒針13と、輪列機構33を介して秒針13を回動させるステッピングモータ53と、日車14と、輪列機構34を介して日車14を回動させるステッピングモータ54と、モード指針15と、輪列機構35を介してモード指針15を回動させるステッピングモータ55と、指針早送り制御手段としてのCPU41(Central Processing Unit)と、ROM42(Read Only Memory)と、RAM43(Random Access Memory)と、発振回路44と、分周回路45と、計時回路46と、操作受付手段としての操作部47と、報知部48と、駆動回路49と、電源部50などを備えている。
【0018】
CPU41は、各種演算処理を行い、また、アナログ電子時計1の全体動作を制御統括する。また、CPU41は、駆動回路49に対して適宜なタイミングで時針11、分針12、秒針13、日車14、及びモード指針15(以降、一部又は全部をまとめて指針11〜15などと記す)をそれぞれ回動させる制御信号を出力する。
【0019】
ROM42は、CPU41が実行する各種プログラムや、各種プログラムで利用される初期設定データを格納する。これらのプログラムや初期設定データは、アナログ電子時計1の起動時、及び必要に応じて随時CPU41により読み出されて実行、利用される。
なお、ROM42は、書き換え可能なフラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)といった種々の不揮発性メモリであっても良い。
【0020】
RAM43は、CPU41に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM43に記憶される一時データには、各機能に係る設定データや履歴データなどが含まれる。例えば、ホーム時刻表示機能(基本動作)や世界時計機能に係る一時データとしては、各時計機能で求められる地方時の設定情報、即ち、タイムゾーンや夏時間の実施情報、及びこれらの設定情報に基づいて計時回路46が計時する日時から換算された現地時刻(地方時)が含まれる。ストップウォッチ機能に係る一時データとしては、実行中に計測されたラップタイムやスプリットタイム、及び過去の計測時間の履歴などが含まれる。また、タイマ機能に係る一時データとしては、タイマ計測の実行時に計数される設定時間の情報や、計数の途中で中断された場合の当該中断時点での残り時間の情報が含まれる。また、アラーム機能に係る一時データとしては、アラーム設定時刻及びアラーム動作のオンオフに係る設定が含まれる。
【0021】
発振回路44は、所定の周波数信号を生成して分周回路45に出力する。分周回路45は、発振回路44から入力された周波数信号を分周し、CPU41からの制御信号により設定された周波数の信号を生成してCPU41に出力する。また、分周回路45は、予め定められた周波数信号(例えば、1秒信号)を生成して計時回路46に出力する。計時回路46は、入力された周波数信号をカウントして日時を計数するカウンタである。或いは、計時回路46は、CPU41によりソフトウェア的に計数された日時を記憶するDRAMなどのメモリであっても良い。
【0022】
操作部47は、外部からのユーザによる操作(ユーザ操作)を受け付け、電気信号に変換して入力信号としてCPU41に出力する。この操作部47には、押しボタンスイッチB1、B2、及びりゅうずC1が含まれる。ユーザは、これら押しボタンスイッチB1、B2及びりゅうずC1への入力操作により、現在時刻を修正したり、世界各地の現地時刻(地方時)を表示させたり、或いは、アラーム機能、ストップウォッチ機能やタイマ機能の各機能に係る動作を行わせたりすることが出来る。
【0023】
報知部48は、ユーザに対して所定の報知動作を行う。所定の報知動作としては、例えば、ブザー音の発生、振動の発生やランプの点灯(点滅)動作などが挙げられる。報知部48は、これらの動作に対応する構成のうち一又は複数を有する。例えば、ブザー音の発生には、両端に電極が設けられた圧電素子と振動板とが用いられる。振動の発生には、例えば、錘が設けられた回転モータが用いられる。また、ランプの点灯には、例えば、LEDが用いられる。
【0024】
電源部50は、CPU41に対し、動作に必要な電力を供給する。この電源部50は、特には限られないが、例えば、ソーラパネルと二次電池とを組み合わせて長期的且つ安定的な電力供給を可能としたものである。また、電源部50から供給された電力は、CPU41により他の各部に供給される。
【0025】
ステッピングモータ51〜55は、それぞれ駆動回路49から入力される駆動パルスの電圧波形に基づいてステップ駆動されて、複数設けられた指針11〜15をそれぞれ独立に正転方向(時間、時刻が進む方向)又は逆転方向(時間、時刻が戻る方向)に所定の角度ずつ回転移動させることが可能となっている。これらのステッピングモータ51〜55は、ここではそれぞれ正転方向に最速で64pps(pulse per second)の駆動パルスにより駆動動作が可能であり、逆転方向に最速で32ppsの駆動パルスにより駆動動作が可能である。
【0026】
駆動回路49は、CPU41から出力された指針11〜15の動作に係る制御信号に基づいて、ステッピングモータ51〜55に各々設定されたパルス幅の駆動パルスを出力する。この駆動回路49は、複数のステッピングモータに対して同時に駆動パルスを出力しないように構成されている。即ち、同時に複数の指針に対する運針命令が入力された場合には、駆動回路49は、運針対象となる指針に予め設定された優先度に応じて各ステッピングモータに対して順番に駆動パルスを出力する。
【0027】
本実施形態のアナログ電子時計1では、ステッピングモータ51〜55が1ステップ駆動されるごとに、時針11及び分針12が1度回転し、秒針13及びモード指針15が6度回転し、また、日車14が1/124度(360/(31×1440)度)回転するように輪列機構31〜35が構成されている。従って、通常の時刻表示モードでは、秒針13がステッピングモータ53への駆動パルスの入力間隔(単位時間)に基づいて1秒(秒針13の単位時間)ごとに1ステップ回転し、分針12が当該秒針13の移動に連動して1秒桁が「0」となるタイミングで10秒(分針12の単位時間)ごと(秒針13の動作10ステップごと)に1ステップ回転し(時間比で1:10)、時針11が分針12の移動に連動して1分桁が偶数となるタイミングで2分(時針11の単位時間)ごと(分針12の動作12ステップごと)に1ステップ回転する(時間比で1:12)ように、動作制御(連動動作)がなされる。日車14は、日付の変わり目で、即ち、時針11が12時の方向を指し示すタイミングで1回おきに、早送りで1440ステップ回転動作して表示が1日分変化する。
【0028】
ここでは、指針位置として、秒針13の位置は、0秒方向を位置「0」として、正転方向に順番に「1」〜「59」として定められる。また、分針12及び時針11の位置は、それぞれ0分方向(0時方向)を位置「0」として、正転方向に順番に「1」〜「359」として定められる。また、分針12及び時針11が時刻を表示する場合に、当該分針12及び時針11の位置の組合せを示す位置(連動位置)は、0時0分を位置「0」として、時間の経過と共に10秒間隔で11時59分50秒まで「1」〜「4319」に定められ、現在の指針位置や、指針の早送り先の位置(指針移動先位置)は、これらの値を用いて管理される。
【0029】
これらの輪列機構31〜35には、複数の歯車間にそれぞれ遊び(バックラッシュ)があり、回転方向を反転させた場合に、当該バックラッシュに応じたステップ数空回りが生じる。この空回りステップ数(バックラッシュステップ数)は、指針11〜15の各々について予め検査されて、ROM42などに記憶保持されている。なお、温度条件などによる遊び量の変化を考慮して、バックラッシュステップ数が若干多めに設定されても良い。
【0030】
次に、本実施形態のアナログ電子時計1における指針11〜15を用いた表示動作について説明する。
本実施形態のアナログ電子時計1では、操作部47へのユーザの入力操作、例えば、押しボタンスイッチB2の押下操作に応じて各機能(表示対象)が変更され、当該切り替えられた機能に係る表示内容に応じた位置(表示状態)へ各指針11〜15が早送りされることで当該指針11〜15による表示内容が切り替えられる。上述のように、アナログ電子時計1では、基本動作である現在位置(ホーム位置)の現地時刻(ホーム時刻)表示機能の他、世界時計機能、ストップウォッチ機能、タイマ機能及びアラーム機能が実行可能となっており、機能の切替と並行して、又は表示内容の変更後に各機能に係る動作制御プログラムが起動されて各機能に移行する。
【0031】
例えば、ホーム時刻表示機能や世界時計機能において、りゅうずC1が2段階引き出されて回転動作されることにより、現在位置や世界時計位置の変更動作がなされる。
また、ストップウォッチ機能において、押しボタンスイッチB1が押下されることで、時間の計測が開始及び停止され、当該開始タイミングから停止タイミングまでの間(操作に応じて定められるタイミング間)の経過時間が計数される。
これらの変更された設定や計数された経過時間の履歴などは、適宜RAM43に記憶され、他の機能に変更後、再度これらの機能に切り替えられた場合や、当該機能の中で呼び出された場合に、RAM43から読み出して表示させることが出来る。
【0032】
図3は、本実施形態のアナログ電子時計1における表示切替処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この表示切替処理は、押しボタンスイッチB2の押下操作が検出されるごとに起動される。
【0033】
表示切替処理が開始されると、CPU41は、選択された表示機能がホーム時刻表示であるか否かを判別する(ステップS11)。ホーム時刻表示であると判別された場合には(ステップS11で“YES”)、CPU41は、計時回路46の計数する日時情報に基づいて現在位置における現在の曜日を取得する(ステップS12)。CPU41は、駆動回路49に制御信号を出力し、モード指針15に当該曜日と対応する標識を指示させる(ステップS13)。CPU41は、ホーム時刻表示処理を呼び出して実行し(ステップS14)、その終了後、表示切替処理を終了する。
【0034】
選択された表示機能がホーム時刻表示ではないと判別された場合には(ステップS11で“NO”)、CPU41は、選択された表示機能が世界時計表示であるか否かを判別する(ステップS21)。世界時計表示であると判別された場合には(ステップS21で“YES”)、CPU41は、駆動回路49に制御信号を出力し、モード指針15に標識「WT」を指示させる(ステップS22)。CPU41は、世界時計表示処理を呼び出して実行し(ステップS23)、その終了後、表示切替処理を終了する。
【0035】
選択された表示機能が世界時計表示ではないと判別された場合には(ステップS21で“NO”)、CPU41は、選択された表示機能が時間計測表示(ストップウォッチ)であるか否かを判別する(ステップS31)。時間計測表示であると判別された場合には(ステップS31で“YES”)、CPU41は、駆動回路49に制御信号を出力し、モード指針15に標識「ST」を指示させる(ステップS32)。CPU41は、ストップウォッチ表示処理を呼び出して実行し(ステップS33)、その終了後、表示切替処理を終了する。
【0036】
選択された表示機能が時間計測表示ではないと判別された場合には(ステップS31で“NO”)、CPU41は、選択された表示機能がタイマ表示であるか否かを判別する(ステップS41)。タイマ表示であると判別された場合には(ステップS41で“YES”)、CPU41は、駆動回路49に制御信号を出力し、モード指針15に標識「TR」を指示させる(ステップS42)。CPU41は、タイマ表示処理を呼び出して実行し(ステップS43)、その終了後、表示切替処理を終了する。
【0037】
選択された表示機能がタイマ表示ではないと判別された場合には(ステップS41で“NO”)、CPU41は、選択された表示機能がアラーム表示であるか否かを判別する(ステップS51)。アラーム表示であると判別された場合には(ステップS51で“YES”)、CPU41は、駆動回路49に制御信号を出力し、モード指針15に標識「AL」を指示させる(ステップS52)。CPU41は、アラーム表示処理を呼び出して実行し(ステップS53)、その終了後、表示切替処理を終了する。
【0038】
図4は、表示切替処理で呼び出されるホーム時刻表示処理及び世界時計表示処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
【0039】
図4(a)に示すように、ホーム時刻表示処理が呼び出されると、CPU41は、計時回路46から現在時刻を取得して、現在位置における地方時(現地時刻)に変換する(ステップS101)。CPU41は、当該現地時刻に応じた指針移動先位置を算出して設定する(ステップS102)。即ち、秒針13の移動先位置は、現在時刻の秒値に定められ、分針12の移動先位置としては、現在の分値の6倍に秒値の十秒桁(秒値を10で除した商)を加算した値が求められ、また、時針11の移動先位置としては、現在の時桁の値を12で除した剰余の30倍と分値を2で除した商の値との和が求められる。CPU41は、早送りモードを「時刻」に設定し(ステップS103)、指針早送り処理を呼び出して実行する(ステップS104)。その終了後、CPU41は、ホーム時刻表示処理を終了して、処理を表示切替処理に戻す。
【0040】
また、
図4(b)に示すように、世界時計表示処理が呼び出されると、CPU41は、RAM43から世界時計機能に係る地方時設定を取得する(ステップS201)。CPU41は、計時回路46から取得された現在時刻と、地方時設定に含まれる時差情報とに基づいて選択されている位置における現地時刻を算出する(ステップS202)。CPU41は、現地時刻に応じた指針移動先位置を算出して設定する(ステップS203)。CPU41は、早送りモードを「時刻」に設定し(ステップS204)、指針早送り処理を呼び出して実行する(ステップS205)。その終了後、CPU41は、世界時計表示処理を終了して、処理を表示切替処理に戻す。
【0041】
図5は、表示切替処理で呼び出されるストップウォッチ表示処理及びタイマ表示処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
【0042】
図5(a)に示すように、ストップウォッチ表示処理が呼び出されると、CPU41は、RAM43からストップウォッチ機能で計数中(継続中又は停止中を問わない)の計数時間を読み出して取得する(ステップS301)。CPU41は、計数時間に応じた指針移動先位置を設定する(ステップS302)。CPU41は、早送りモードを「時間」に設定し(ステップS303)、指針早送り処理を呼び出して実行する(ステップS304)。その終了後、CPU41は、ストップウォッチ表示処理を終了して、処理を表示切替処理に戻す。
【0043】
また、
図5(b)に示すように、タイマ表示処理が呼び出されると、CPU41は、RAM43から計数中のタイマ残時間を読み出して取得する(ステップS401)。CPU41は、当該残時間に応じた指針移動先位置を設定する(ステップS402)。CPU41は、早送りモードを「時間」に設定し(ステップS403)、指針早送り処理を呼び出して実行する(ステップS404)。その終了後、CPU41は、タイマ表示処理を終了して、処理を表示切替処理に戻す。
【0044】
図6は、表示切替処理で呼び出されるアラーム表示処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
【0045】
アラーム表示処理が呼び出されると、CPU41は、RAM43からアラーム設定時刻を読み出して取得する(ステップS501)。CPU41は、当該アラーム設定時刻に応じた指針移動先位置を設定する(ステップS502)。CPU41は、早送りモードを「時刻」に設定し(ステップS503)、指針早送り処理を呼び出して実行する(ステップS504)。その終了後、CPU41は、アラーム表示処理を終了して、処理を表示切替処理に戻す。
【0046】
図7は、ホーム時刻表示処理、世界時計表示処理、ストップウォッチ表示処理、タイマ表示処理及びアラーム表示処理でそれぞれ呼び出される指針早送り処理、及び当該指針早送り処理で呼び出される時刻早送り処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。また、
図8は、指針早送り処理で呼び出される時間早送り処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
【0047】
図7(a)に示すように、指針早送り処理が呼び出されると、CPU41は、早送りモードが「時刻」であるか否かを判別する(ステップS601)。早送りモードが「時刻」であると判別された場合、即ち、早送りによる表示内容の切り替え後における表示対象の種別が時刻に係るものである場合には(ステップS601で“YES”)、CPU41は、時刻早送り処理を呼び出して実行し(ステップS602)、その終了後、指針早送り処理を終了して処理を親処理に戻す。早送りモードが「時刻」ではない、即ち、「時間」であると判別された場合(早送りによる表示内容の切り替え後における表示対象の種別が時間に係るものである場合)には(ステップS601で“NO”)、CPU41は、時間早送り処理を呼び出して実行し(ステップS603)、その終了後、指針早送り処理を終了して処理を親処理に戻す。
【0048】
ステップS602の処理で時刻早送り処理が呼び出されると、
図7(b)に示すように、CPU41は、先ず、駆動回路49に制御信号を出力して秒針13を指針移動先位置まで正転早送りを行わせる(ステップS621)。早送り速度は、最速の64ppsとすることが出来る。
【0049】
CPU41は、時針11及び分針12の現在位置と移動先位置とをそれぞれ比較して正転方向と逆転方向で最短移動時間(移動に要する最短時間)が短くなる方向を選択し、当該選択された回転方向と移動ステップ数とを個別に設定する(ステップS622)。上述のように、ここでは正転方向に逆転方向の倍速で早送りが可能であるので、現在位置を基準として移動先位置が正転方向に240ステップ以内の場合には正転方向が選択され、逆転方向に120ステップ未満の場合には逆転方向が選択される。CPU41は、逆転方向に移動させる指針があるか否かを判別し(ステップS623)、あると判別された場合には(ステップS623で“YES”)、CPU41は、当該逆転移動させる指針のバックラッシュステップ数をROM42から読み出して、当該バックラッシュステップ数を移動ステップ数に加算する(ステップS624)。即ち、逆転早送りを行わせる場合、当該逆転早送りの対象の指針は、メモリ上では、当初の移動先位置をバックラッシュステップ数超過した位置まで早送りされることになる。それから、CPU41の処理は、ステップS625に移行する。逆転方向に移動させる指針がないと判別された場合には(ステップS623で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS625に移行する。
【0050】
ステップS625の処理に移行すると、CPU41は、駆動回路49に制御信号を出力し、時針11及び分針12を並列でそれぞれ指針移動先位置まで最速の早送り速度、即ち、正転の場合には64pps、逆転の場合には32ppsで早送りさせる(ステップS625)。早送りが終了すると、CPU41は、逆転移動させた指針があるか否かを判別し(ステップS626)、あると判別された場合には(ステップS626で“YES”)、当該逆転移動させた指針をバックラッシュステップ数正転方向に64ppsで早送りさせる(ステップS627)。そして、CPU41は、時刻早送り処理を終了して処理を指針早送り処理に戻す。逆転移動させた指針がないと判別された場合には(ステップS626で“NO”)、CPU41は、時刻早送り処理を終了して処理を指針早送り処理に戻す。
【0051】
指針早送り処理のステップS603で時間早送り処理が呼び出されると、
図8に示すように、CPU41は、先ず、駆動回路49に制御信号を出力して秒針13を指針移動先位置に64ppsで正転早送りさせる(ステップS631)。CPU41は、時分針の現在位置に該当する時刻(連動位置)と、移動先位置の時刻(連動位置)とを比較し、時針11を分針12に連動させて時刻を早送り(連動動作での早送り)させた場合により短い時間(連動移動時間)で移動先位置に到達する回転方向を選択し、当該回転方向と、移動ステップ数(連動移動ステップ数、即ち、分針12の移動ステップ数)とを設定する(ステップS632)。
【0052】
CPU41は、時針11及び分針12の回転方向が逆転方向に設定されたか否かを判別する(ステップS633)。逆転方向に設定されたと判別された場合には(ステップS633で“YES”)、CPU41は、ROM42からこれら時針11及び分針12のバックラッシュステップ数を読み出し、駆動回路49に制御信号を出力して、時針11及び分針12をそれぞれバックラッシュステップ数32ppsで逆転早送りさせる(ステップS634)(空回り中には、実際には時針11及び分針12は回転しない)。それから、CPU41の処理は、ステップS635に移行する。早送り方向が逆転方向に設定されていない、即ち、正転方向に設定されたと判別された場合には(ステップS633で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS635に移行する。
【0053】
ステップS635の処理に移行すると、CPU41は、駆動回路49に制御信号を出力し、時針11と分針12とが共に指針移動先位置(移動先の連動位置)に到達するまで(即ち、分針12は、時針11の移動ステップ数に応じた回数の周回動作の後に)、設定された連動移動ステップ数分連動動作での早送りを行わせる(ステップS635)。早送りが終了すると、CPU41は、時針11及び分針12を逆転方向に早送りさせたか否かを判別する(ステップS636)。逆転方向に早送りさせたと判別された場合には(ステップS636で“YES”)、CPU41は、駆動回路49に制御信号を出力し、時針11及び分針12をそれぞれバックラッシュステップ数正転方向に64ppsで早送り移動させる(ステップS637)。即ち、ここでも時針11及び分針12は、空回り中には実際には移動しない。そして、CPU41は、時間早送り処理を終了して処理を指針早送り処理に戻す。逆転方向に早送りさせていないと判別された場合には(ステップS636で“NO”)、CPU41は、時間早送り処理を終了して処理を指針早送り処理に戻す。
【0054】
以上のように、第1実施形態のアナログ電子時計1は、回動可能に設けられた指針11〜13と、指針11〜13による表示内容を切り替える場合に、当該切り替え後の表示対象の種別が時刻であるか時間であるかに応じて異なる早送り動作を行わせるCPU41と、を備える。
これにより、小窓9内で動作する小さなモード指針15が見難い場合でも、表示対象の種別が判別可能となるので、表示内容の切替時における切替表示対象がより分かりやすくなる。
【0055】
また、CPU41は、表示内容の切り替えに係る早送り動作において、最短時間で時針11及び分針12を切り替え後の表示内容に対応する位置に移動させることの出来る回転方向にこれら時針11及び分針12を回動させるので、表現上必要ない部分では早送り時間を長引かせない。
【0056】
また、複数の指針11〜13が設けられて、秒針13は1秒単位で表示を行い、分針12は10秒単位で表示を行い、また、時針11は2分単位で表示を行うように定められ、CPU41は、表示内容の切り替えに係る早送り動作において、切り替え後の表示対象の種別が時間である場合にのみ、複数の指針11〜13のうち少なくとも時針11及び分針12を単位時間の時間比に従った動作間隔で連動して早送り移動させ、切り替え後の表示対象の種別が時刻である場合には、複数の指針11〜13を各々独立に切り替え後の表示内容に対応する位置に早送り移動させる。
このように、経過時間に応じた時間表示の流れに沿って早送り動作を行うことにより、切り替え後の表示対象が時間に係るストップウォッチの計数時間やタイマの残時間であることをユーザがより感覚的に理解することが出来る。
【0057】
また、ユーザ操作を受け付ける操作部47を備え、CPU41は、操作部47への所定の入力操作に応じて表示対象を切り替える。このようにユーザが表示対象(機能)を切り替える場合に、切替対象が何れであるかを指針表示のみで感覚的にユーザに示すことが出来る。
【0058】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のアナログ電子時計1について説明する。
第2実施形態のアナログ電子時計1の構成は、第1実施形態のアナログ電子時計1と同一の構成であり、同一の符号を用いることとして説明を省略する。
【0059】
次に、第2実施形態のアナログ電子時計1での表示切替動作について説明する。
第2実施形態のアナログ電子時計1で実行される表示切替処理は、指針早送り処理で呼び出される時間早送り処理の処理内容が異なる点を除いて同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付すこととして詳しい説明を省略する。
図9は、第2実施形態のアナログ電子時計1で実行される指針早送り処理で呼び出される時間早送り処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
【0060】
時間早送り処理が呼び出されると、CPU41は、駆動回路49に制御信号を出力し、時針11、分針12及び秒針13をそれぞれ並列で0時0分0秒の位置(所定の初期位置)まで64ppsで正転で早送り(帰零)を行わせる(ステップS630)。CPU41は、駆動回路49に制御信号を出力し、秒針13を指針移動先位置まで64ppsで正転早送りさせる(ステップS631a)。次いで、CPU41は、駆動回路49に制御信号を出力し、時針11と分針12が共に指針移動先位置(移動先の連動位置)に到達するまで、即ち、指示させる経過時間の値に対応するステップ数連動動作で早送りさせる(ステップS635a)。そして、CPU41は、時間早送り処理を終了して、処理を指針早送り処理に戻す。
【0061】
以上のように、第2実施形態のアナログ電子時計1では、CPU41は、表示内容の切り替えに係る早送り動作において、切り替え後の表示対象の種別が時間である場合にのみ、指針11〜13を所定の初期位置に早送り移動、即ち、帰零させた後に、当該指針11〜13を表示対象の切り替え後の表示内容に対応する位置へ早送り移動させる。
このように時間経過に係る早送りをその初期位置から行わせるように一度指針11〜13を移動させることで、より明確に時間の表示への切替であることをユーザに示し、時刻の表示への切替と差別化することが出来る。
【0062】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態のアナログ電子時計について説明する。
第3実施形態のアナログ電子時計1の構成は、第1実施形態のアナログ電子時計1の構成と同一であり、同一の符号を用いることとして説明を省略する。
【0063】
次に、本実施形態のアナログ電子時計1における表示切替動作について説明する。
本実施形態のアナログ電子時計1で実施される表示切替処理は、指針早送り処理で呼び出される時刻早送り処理と時間早送り処理の内容が異なる点を除き同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
図10は、第3実施形態のアナログ電子時計で実行される指針早送り処理で呼び出される時刻早送り処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この時刻早送り処理では、第1実施形態のアナログ電子時計で呼び出された時刻早送り処理に対して、ステップS625の処理の代わりにステップS641〜S649の処理が追加されている。その他の同一の処理については、詳しい説明を省略する。
【0065】
ステップS623の判別処理で“NO”に分岐し、又はステップS624の処理が終了すると、CPU41は、時針11及び分針12が何れも(分針12は、時針11の移動ステップ数に応じた回数の周回の後に)指針移動先位置に到達したか否かを判別する(ステップS641)。到達していないと判別された場合には(ステップS641で“NO”)、CPU41は、各指針11、12の早送り速度に応じた少なくとも何れかの移動タイミングであるか否かを判別する(ステップS642)。移動タイミングではないと判別された場合には(ステップS642で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS641に戻る。
【0066】
少なくとも何れかの指針の移動タイミングであると判別された場合には(ステップS642で“YES”)、CPU41は、制御信号を駆動回路49に出力し、当該移動タイミングの指針を設定された移動方向に1ステップ移動させる(ステップS643)。CPU41は、移動させた指針の残り移動ステップ数から1減じる(ステップS644)。ここで、残り移動ステップ数は、ステップS622の処理で移動ステップ数が設定された際に、当該移動ステップ数がそのまま初期値として設定され、ステップS624で移動ステップ数が加算された場合には、残り移動ステップ数も同数加算される。
【0067】
CPU41は、移動させた指針の残り移動ステップ数が180未満であるか否かを判別する(ステップS645)。180未満ではないと判別された場合には(ステップS645で“NO”)、CPU41は、当該指針の早送り速度を32ppsに設定し(ステップS646)、処理をステップS641に戻す。180未満であると判別された場合には(ステップS645で“YES”)、CPU41は、残り移動ステップ数が45未満であるか否かを判別する(ステップS647)。45未満ではないと判別された場合には(ステップS647で“NO”)、CPU41は、早送り速度を24ppsに設定し(ステップS648)、処理をステップS641に戻す。45未満であると判別された場合には(ステップS647で“YES”)、CPU41は、早送り速度を16ppsに設定し(ステップS649)、処理をステップS641に戻す。
【0068】
ステップS641の判別処理で、時針11及び分針12が何れも指針移動先位置に到達したと判別された場合には(ステップS641で“YES”)、CPU41の処理は、ステップS626に移行する。
【0069】
即ち、この時刻早送り処理では、早送りが開始されてから終了するまでの早送り動作中に、当該早送り動作の残り移動ステップ数(残りの移動量)に基づいて早送り速度が漸減(変化)するように次の移動タイミングまでの動作間隔を広げていく減速動作(変速動作)が行われる。この減速動作は、早送り動作の全体で行われなくても良く、例えば、残り移動ステップ数が移動ステップ数の半分以下になってから行われることとしても良い。
【0070】
図11は、第3実施形態のアナログ電子時計1で実行される指針早送り処理で呼び出される時間早送り処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
【0071】
この時間早送り処理は、第1実施形態のアナログ電子時計1で実行される時間早送り処理におけるステップS635の処理がステップS635bの処理に置き換えられた点を除いて同一、同一の処理内容には同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
この時間早送り処理では、ステップS633で“NO”に分岐し、又はステップS634の処理が終了すると、CPU41は、駆動回路49に制御信号を出力して、時針11と分針12が連動して、即ち、分針12が時針11の移動ステップ数に応じた回数周回した後に共に移動先位置に到達するまで、時針11と分針12を連動動作で早送り(32pps)させる(ステップS635b)。即ち、CPU41は、早送りの方向に関わらず、連動動作による早送りの早送り速度を固定値とする。
【0073】
以上のように、第3実施形態のアナログ電子時計1では、CPU41は、切り替え後の表示対象の種別が時刻である場合に、指針12、13の早送り速度を切り替えに係る早送り動作中に変化させる。これにより、時間経過の場合の早送りと明確な差別化を行うことが出来る。
【0074】
また、CPU41により制御される早送り速度の変化には、表示内容の切り替えに係る早送り動作における指針11、12の残りの移動量に基づいて早送り速度を変化させる変速動作が含まれる。このように速度と残り移動量とを対応させることで、単にユーザに感覚的に表示対象の種別を示すという目的を果たすだけではなく、早送りの終了までの時間を示唆することによるユーザの移動待ち時間の無駄やストレスの軽減を図ることが出来る。
【0075】
また、CPU41は、表示内容の切り替えに係る早送り動作において時針11及び分針12を連動動作で早送り移動させない場合、即ち、時刻早送りの場合には、当該時針11及び分針12の早送り速度を早送り動作中に変化させる。一方で、CPU41は、時針11及び分針12に連動して早送り動作を行わせる場合、即ち、時間早送りの場合には、時針11及び分針12の早送り速度を早送り動作中に変化させない。このように、時間早送りに係る経過時間に応じた時間表示の流れに沿って早送り動作を行うというコンセプトに沿って、時間早送りと時刻早送りとで2種類の差異点を設けるので、より明確に、ユーザに対して何れの早送り動作であるかを感覚的に知得させることが出来る。
【0076】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態のアナログ電子時計について説明する。
この第4実施形態のアナログ電子時計1の構成は、第1実施形態のアナログ電子時計1の構成と同一であり、同一の符号を用いることとして説明を省略する。
【0077】
次に、本実施形態のアナログ電子時計1における表示切替動作について説明する。
本実施形態のアナログ電子時計1で実施される表示切替処理は、指針早送り処理で呼び出される時刻早送り処理が第1実施形態〜第3実施形態の指針早送り処理で呼び出されるものと異なる点を除いて同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
図12は、第4実施形態の指針早送り処理で呼び出される時刻早送り処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この時刻早送り処理では、時針11と分針12を連動動作で早送りさせる。これに伴い、第3実施形態の時刻早送り処理におけるステップS622〜S627の処理がステップS632〜S637の処理に置き換えられ、ステップS642及びステップS643の処理がそれぞれステップS642c、S643cに置き換えられている。その他の処理については、第3実施形態のアナログ電子時計1で実行される時刻早送り処理と同一であり、また、ステップS632〜S637の処理については、第3実施形態のアナログ電子時計1で実行される時間早送り処理と同一であるので、詳しい説明を省略する。
【0079】
ステップS641の処理で、時分針共指針移動先位置に到達していない、即ち、分針12が設定された連動移動ステップ数動作されていないと判別された場合には(ステップS641で“NO”)、CPU41は、少なくとも分針12の移動タイミングであるか否かを判別する(ステップS642c)。移動タイミングではないと判別された場合には(ステップS642cで“NO”)、CPU41の処理は、ステップS641に戻る。
【0080】
少なくとも分針12の移動タイミングであると判別された場合には(ステップS642cで“YES”)、CPU41は、駆動回路49に制御信号を出力し、分針12を設定された回転方向に1ステップ移動させると共に、時針11を連動して移動させるタイミングの場合には、併せて時針11を設定された回転方向に1ステップ移動させる(ステップS643c)。それから、CPU41の処理は、ステップS644に移行する。
【0081】
以上のように、第4実施形態のアナログ電子時計1では、CPU41は、早送り動作において、複数の指針11〜13のうち少なくとも2つ(時針11及び分針12)を単位時間の時間比に従った動作間隔で連動して早送り移動させる。このように、時刻、時間の早送りとも、時間の流れに従って早送り動作をさせても良い。或いは、もともと時針11及び分針12が共通のステッピングモータの動作に対応してこれら時針11及び分針12が連動して回転動作する輪列機構の構成であっても良い。このような場合でも、他の動作、ここでは、移動速度の漸減動作を時刻早送り処理でのみ行わせることで、同様にユーザに対し、表示対象の種別を感覚的に示すことが出来る。
【0082】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、経過時間に係る表示に切り替える場合に、時間の流れに応じて連動動作や固定速度での早送りを行わせることとしたが、時刻の経過の方が不変であって連動動作に相応しいと考える場合には、時刻の変更を連動動作や固定速度で行い、時間の変更を各指針独立で行わせ、また、早送り速度を変化させることとしても良い。また、何れか一方に対して設定を用いるかについて、ユーザに操作部47への入力操作により選択設定を行わせることが可能であっても良い。
【0083】
また、上記実施の形態では、時刻及び時間の経過として時分(時針11及び分針12)の切り替えを異ならせる場合について説明したが、日以上や秒以下の表示の変更についても同様に表示切替動作の差別化を行うことが出来る。この場合、早送りの処理を異ならせる指針の形状(日車14のような回転円板形状のものなど、回転して一の情報を示すもの全般を含む)や本数は、適宜変更可能である。
【0084】
また、上記実施の形態では、早送りの順番として、秒針13を先に移動させてから時針11と分針12を移動させることとしたが、これとは反対の順番であっても良い。秒針13を後に早送り移動させてからそのまま1秒ごとに運針に移行させることで、通常の時刻表示や経過時間の計数表示と繋げても良い。
【0085】
また、上記実施の形態では、最短時間で表示内容に対応する位置に到達可能な回転方向を選択したり、第2実施形態において時間早送り処理で正転方向に回転させることとしたりしたが、例えば、ストップウォッチ機能に係る早送りの場合には正転方向に早送りさせ、タイマ機能に係る早送りの場合には逆転方向に回転させる、というように、更に異ならせても良い。
【0086】
また、上記実施の形態では、表示対象の変更による表示内容の切り替えを例に挙げて説明したが、これに限られない。同一の表示対象について表示内容を切り替える場合、即ち、通常の機能の実行に係る時間経過などに応じた表示内容の変更ではない場合にも、同様に早送り動作を異ならせることが出来る。例えば、ストップウォッチ機能において、ラップタイムやスプリットタイムの履歴の表示を順番に切り替える場合や、アラーム機能において複数の設定時刻の表示を順番に切り替える場合にも、本発明を適用してそれぞれ時間早送り処理や時刻早送り処理を用いた早送り動作を行わせることが出来る。
【0087】
また、第2実施形態のアナログ電子時計1において、切り替え後の表示対象がタイマ機能に係る表示の場合には、初期位置への早送り時に帰零させるのではなく、当初設定された計数時間に応じた位置に指針を移動させ、その後、現在計数中又は中断されているタイマ残時間の位置まで当該指針を逆転早送りさせることとしても良い。
【0088】
また、上記実施の形態では、残りの移動ステップ数に応じて早送り速度を減少させたが、逆に早送り速度を上昇させても良い。或いは、残り移動ステップ数の半分の時点を基準として早送り速度を上昇させた後に減少させても良い。
【0089】
また、上述の各実施の形態において、早送り速度の変化有無、帰零動作の有無、分針12及び時針11の連動動作による早送りと独立した早送り、及び回転方向の設定を異ならせる点について説明したが、これらの処理の差異は、時間早送りと時刻早送りのコンセプトに従ってユーザの主観により任意に組み合わせて設定することが可能である。
【0090】
また、ここでは、アナログ電子時計として回転円板(日車14)を含む指針11〜15のみで時刻や時間を表示するものを示したが、これらの指針で表示を行う機能を備えたものであれば、デジタル表示画面を用いた表示と併用された電子時計もアナログ電子時計に含まれる。
また、アナログ電子時計は、腕時計型のものに限られず、表示内容の切り替えが行われるものであれば、携帯型時計、置時計や掛け時計などであっても良い。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成や数値などの細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0092】
[付記]
<請求項1>
回動可能に設けられた指針と、
前記指針による表示内容を切り替える場合に、当該切り替え後の表示対象の種別が時刻であるか時間であるかに応じて異なる早送り動作を行わせる指針早送り制御手段と、
を備えることを特徴とするアナログ電子時計。
<請求項2>
前記指針早送り制御手段は、前記切り替え後の表示対象の種別が時刻である場合及び時間である場合のうち何れか一方で、前記指針の早送り速度を前記早送り動作中に変化させることを特徴とする請求項1記載のアナログ電子時計。
<請求項3>
前記指針早送り制御手段による前記早送り速度の変化には、前記早送り動作における前記指針の残りの移動量に基づいて前記早送り速度を変化させる変速動作が含まれることを特徴とする請求項2記載のアナログ電子時計。
<請求項4>
前記指針早送り制御手段は、前記切り替え後の表示対象の種別が時刻である場合及び時間である場合のうち何れか一方で、前記指針を所定の初期位置に早送り移動させた後に、当該指針を前記切り替え後の表示内容に対応する位置へ早送り移動させる前記早送り動作を行わせることを特徴とする請求項1又は2記載のアナログ電子時計。
<請求項5>
前記指針早送り制御手段は、前記切り替え後の表示対象の種別が時間である場合には、前記指針を所定の初期位置に早送り移動させた後に、当該指針を前記切り替え後の表示内容に対応する位置へ早送り移動させる前記早送り動作を行わせることを特徴とする請求項4記載のアナログ電子時計。
<請求項6>
前記指針早送り制御手段は、前記早送り動作において、最短時間で前記指針を前記切り替え後の表示内容に対応する位置に移動させることの出来る回転方向に前記指針を回動させることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のアナログ電子時計。
<請求項7>
前記指針は、複数設けられて各々異なる単位時間ごとの表示を行うように定められ、
前記指針早送り制御手段は、前記早送り動作において、前記複数の指針のうち少なくとも2つを前記単位時間の時間比に従った動作間隔で連動して早送り移動させる
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のアナログ電子時計。
<請求項8>
前記指針は、複数設けられて各々異なる単位時間ごとの表示を行うように定められ、
前記指針早送り制御手段は、前記早送り動作において、前記切り替え後の表示対象の種別が時刻である場合及び時間である場合のうち何れか一方で、前記複数の指針のうち少なくとも2本を前記単位時間の時間比に従った動作間隔で連動して早送り移動させ、他方では、前記複数の指針を各々独立に前記切り替え後の表示内容に対応する位置に早送り移動させる
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のアナログ電子時計。
<請求項9>
前記指針早送り制御手段は、前記早送り動作において前記少なくとも2本の指針を連動して早送り移動させない場合には、当該少なくとも2本の指針の早送り速度を前記早送り動作中に変化させ、前記少なくとも2本の指針に連動して早送り動作を行わせる場合には、当該少なくとも2本の指針の早送り速度を前記早送り動作中に変化させないことを特徴とする請求項8記載のアナログ電子時計。
<請求項10>
ユーザ操作を受け付ける操作受付手段を備え、
前記指針早送り制御手段は、前記操作受付手段への所定の入力操作に応じて表示対象を切り替える
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載のアナログ電子時計。