(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
画像形成装置本体の定められた方向に並べて設けられる複数の現像器であって、感光体を備えた筐体が長手方向に沿って挿入又は抜出される挿入部を、前記複数の現像器が並ぶ方向の一方側にそれぞれ形成する前記複数の現像器と、
前記現像器に設けられ、前記挿入部の入口側に配置されると共に前記現像器の内部の現像剤を排出する排出機構と、
前記筐体に隣接する少なくとも一方の前記現像器に設けられ、前記筐体が挿入又は抜出される際に、前記筐体の挿入方向に対して前記感光体の表面が前記排出機構と対向する前に前記筐体を案内する少なくとも2箇所の案内部と、
を有し、
2箇所の前記案内部は、前記筐体の挿入方向に対して前記筐体の案内を開始する位置を挿入方向にずらしている画像形成装置。
前記画像形成装置本体には、前記筐体の挿入方向に対して前記筐体における前記案内部と接触する部位が前記案内部を抜ける前の位置から、前記筐体の挿入方向に沿って前記筐体を支持する支持部が設けられている請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置10の構成の一例を示す図である。なお、以下の説明では、
図1に矢印Hで示す方向を装置高さ方向、矢印Wで示す方向の装置幅方向とする。また、装置高さ方向および装置幅方向のそれぞれに直交する方向(矢印Dで示す)を装置奥行き方向とする。
【0021】
図1に示されるように、画像形成装置10は、画像読取部90と画像形成部92とを備えている。画像読取部90は、原稿搬送部94と原稿読取部96とを備えており、原稿搬送部94は、連結部98を中心にして原稿読取部96の上方へ開閉可能とされている。
【0022】
画像形成部92は、記録媒体としての記録紙Pを収容する記録紙収容部12、トナー像形成部14、搬送部16、定着装置18、排出部20、補給機構22および制御部24を含んで構成されている。トナー像形成部14は、4つの画像形成ユニット40Y、40M、40C、40Kと、転写ユニット50と、を備えている。ここで、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)は、トナー色の一例である。各々の画像形成ユニット40Y、40M、40C、40Kは、感光体42と、帯電装置44と、露光装置30と、現像器46と、除去装置48と、を備えている。各画像形成ユニット40Y、40M、40C、40Kでは、各感光体42の外周面にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する。また、各画像形成ユニット40Y、40M、40C、40Kは、装置幅方向に対して交差する方向に傾斜して並んだ状態で配置されている。
【0023】
感光体42は、現像器46によって現像されたトナー像を保持する機能を有する。感光体42は、円筒状に形成され、表面に感光層を備えており、駆動手段(図示省略)によって矢印方向に回転駆動される。
【0024】
現像器46は、感光体42に形成された潜像をトナー像として現像する。現像器46は、感光体42の外周面へトナーを供給する現像ロール80と、現像ロール80へトナー及びキャリアを含む現像剤を搬送する2つの搬送部材82、84と、を備えている。補給機構22Y、22M、22C、22Kは、現像剤を各色の現像器46へそれぞれ補給する。
【0025】
転写ユニット50は、転写ベルト52と、各色の一次転写ロール54と、駆動ロール56と、二次転写ロール58と、を備えている。転写ベルト52は、その内周面に接触する4つの一次転写ロール54、支持ロール55、駆動ロール56、張力付与ロール59によって姿勢が決められている。転写ベルト52には、二次転写位置T1の下流側に清掃装置70が設けられている。転写ベルト52の下側の外周面には、各画像形成ユニット40を構成する各感光体42の外周面が接触している。
【0026】
搬送部16は、送出ロール16Aと、複数の搬送ロール対16B、17Bと、反転搬送部16Dと、排出ロール16Eと、を備えており、送出ロール16Aにより送り出された記録紙Pを排出部20まで搬送する。複数の搬送ロール対16B、17Bは、記録紙Pが搬送される搬送路16Cに沿って配置されており、記録紙Pを駆動ロール56と二次転写ロール58との対向位置である二次転写位置T1へ搬送する。また、定着装置18は、定着ロール18Aと加圧ロール18Bとを備えており、記録紙Pに二次転写されたトナー像を記録紙Pに定着させる。
【0027】
この画像形成装置10では、画像形成部92で露光装置30から各色の画像データに応じて出射された露光光が、帯電装置44により帯電された感光体42の外周面に入射され、各感光体42の外周面に各色の画像データに対応した潜像が形成される。各感光体42の外周面に形成された潜像は、各現像器46によって、各色のトナー像として現像される。各感光体42の外周面の各色のトナー像は、各感光体42が対向する各一次転写ロール54によって、転写ベルト52の外周面に一次転写される。
【0028】
一方、記録紙Pは、転写ベルト52に一次転写された各色のトナー像が二次転写位置T1に到達するタイミングに合わせて、記録紙収容部12から送り出され、二次転写位置T1へ搬送される。二次転写位置T1では、転写ベルト52上の各色のトナー像が記録紙Pに二次転写される。さらに、トナー像が転写された記録紙Pは、定着装置18に向かって搬送され、定着ロール18A及び加圧ロール18Bによって加熱、加圧されて、記録紙Pにトナー像が定着された後、記録紙Pは排出部20に排出される。
【0029】
次に、感光体42を備えた筐体(カートリッジ)104が画像形成装置本体102に挿入又は抜出される挿抜構造S100について説明する。
【0030】
図2には、画像形成装置10に設けられる4つの現像器46、及び感光体42(
図3参照)を備えた4つの筐体104が正面図にて示されている。
図3には、画像形成装置10に設けられる4つの現像器46、及び感光体42を備えた4つの筐体104が断面図にて示されている。
図2及び
図3に示されるように、画像形成装置10は、画像形成装置本体102と、画像形成装置本体102の内部に間隔をおいて配置される4つの現像器46と、各々の現像器46と隣り合う位置に配置される4つの筐体104と、を備えている。4つの現像器46は、画像形成装置10の水平方向に対して傾斜する方向に並べて設けられている。本実施形態では、各々の筐体104は、感光体42の他、帯電装置44、除去装置48等を備えている。
【0031】
各々の現像器46には、現像器46を筐体104に対してコンタクトさせた(接触させた)状態と、リトラクトさせた(離間させた)状態とに切り替える切替機構107の一部を構成する操作レバー108が設けられている(
図2参照)。操作レバー108は、現像器46の装置正面側の外壁部に、回転軸108Aを中心に回転可能に支持されており、現像器46を筐体104に対してコンタクトさせた状態、リトラクトさせた状態に切り替える際に操作する。操作レバー108の長手方向が略上下方向(略H方向)に沿って配置されているときは、現像器46が筐体104に対してリトラクトされた状態となっている(
図2、
図3中の画像形成ユニット40Cを参照)。また、操作レバー108の長手方向が略幅方向(略W方向)に沿って配置されているときは、現像器46が筐体104に対してコンタクトされた状態となっている(
図2、
図3中の画像形成ユニット40K、40M、40Yを参照)。本実施形態では、現像器46を筐体104に対してコンタクトさせた状態では、現像器46の現像ロール80が筐体104の感光体42に接触又は近接して配置されている。また、現像器46が筐体104に対してリトラクトされた状態では、現像器46の現像ロール80が筐体104の感光体42に対して退避されている。
【0032】
図4には、筐体104の一つが画像形成装置本体102の挿入部110から抜き出された状態が平面図にて示されている。
図5Aには、筐体104の一つが画像形成装置本体102の挿入部110から抜出された状態が正面図にて示されている。
図2〜
図5Aに示されるように、各々の筐体104は、画像形成装置本体102に対して装置奥行き方向(D方向)に沿って挿入又は抜出可能に構成されている。言い換えると、正面視にて画像形成装置本体102の内部における複数の現像器46が並ぶ方向の左側の空間は、各々の筐体104が、画像形成装置本体102に対して装置奥行き方向(D方向)に沿って挿入又は抜出される挿入部110とされている(
図4中の画像形成ユニット40Cを参照)。筐体104は、筐体104の長手方向(奥行き方向)に沿って画像形成装置本体102に挿入又は抜出される構成とされている。
【0033】
なお、図示を省略するが、本実施形態の画像形成装置10では、各々の現像器46も、画像形成装置本体102に対して装置奥行き方向(D方向)、すなわち現像器46の長手方向(奥行き方向)に沿って挿入又は抜出される構成とされている。
【0034】
図4に示されるように、各々の現像器46は、挿入部110の入口側に配置される排出機構112を備えている。排出機構112は、現像器46の内部の現像剤を図示しない貯留容器に排出する構成とされている。排出機構112は、現像器46の現像ロール80(
図3参照)が設けられた本体部の位置から、挿入部110の入口側(挿入部110より外側)に突出している。言い換えると、排出機構112は、挿入部110の挿入方向の奥側まで挿入された筐体104の感光体42が設けられた位置に対して、挿入部110の入口側(D方向手前側)に突出している。
【0035】
図4及び
図5Aに示されるように、筐体104(
図2参照)と隣り合う両側の現像器46、現像器46には、筐体104が挿入又は抜出される際に筐体104を案内する2箇所の案内部114、116が1つずつ設けられている。より具体的には、筐体104(
図2参照)と隣り合う右側の現像器46には、一方の案内部114が設けられ、筐体104と隣り合う左側の現像器46には、他方の案内部116が設けられている。
【0036】
図4に示されるように、平面視にて2箇所の案内部114、116は、筐体104の挿入部110への挿入方向における入口側に設けられている。すなわち、2箇所の案内部114、116は、筐体104の挿入部110における挿入方向中間部には設けられていない。筐体104に設けられた感光体42は、円筒状部材の軸方向の端部を除いた表面に感光層42Aを備えている(
図6参照)。感光層42Aは筐体104の装置幅方向の右側に露出している。2箇所の案内部114、116は、筐体104の挿入方向(矢印D方向)に対して感光体42(具体的には感光層42A)の表面が排出機構112と対向する前に筐体104の案内を開始する位置に設けられている。本実施形態では、2箇所の案内部114、116のうち少なくとも筐体104の右側(感光体42が露出する側)の案内部114が、筐体104の挿入方向(矢印D方向)に対して感光体42(感光層42A)の表面が排出機構112と対向する前に筐体104の案内を開始する位置に設けられていればよい(
図6参照)。2箇所の案内部114、116は、筐体104の挿入部110の両側に設けられていることで、装置幅方向(W方向)における筐体104の位置を規制し、筐体104を挿入方向(D方向)に案内するようになっている。
【0037】
平面視にて2箇所の案内部114、116は、筐体104の挿入方向(矢印D方向)に対して筐体104の案内を開始する位置を挿入方向にずらしている。すなわち、2箇所の案内部114、116は、筐体104の案内を開始するタイミングを筐体104の挿入方向(矢印D方向)にずらしている。本実施形態では、装置幅方向(W方向)における挿入部110の右側の案内部114が、挿入部110の左側の案内部116よりも、筐体104の挿入方向(矢印D方向)に対して先に筐体104の案内を開始する位置に設けられている(
図9(A)、(B)参照)。すなわち、装置幅方向(W方向)における挿入部110の右側の案内部114が、挿入部110の左側の案内部116よりも、筐体104の挿入方向の手前側で案内を開始するように設けられている。
【0038】
図5Bには、筐体104の両側の現像器46、現像器46に1つずつ設けられた2箇所の案内部114、116に筐体104が案内された状態が模式的な正面図にて示されている。
図5A及び
図5Bに示されるように、案内部114は、筐体104の装置幅方向(W方向)の右側で隣り合う現像器46における装置幅方向の左側の壁部47A(筐体104と対向する壁部47A)に設けられている。案内部114は、画像形成装置本体102の略装置幅方向(W方向)及び略奥行き方向(D方向)に沿って配置された上面部114Aと、上面部114Aの装置幅方向の中間部側の端部から上方に立設された側面部114Bと、側面部114Bの上端から上面部114Aに沿って配置された突出片114Cと、を備えている。
【0039】
案内部116は、筐体104の装置幅方向(W方向)の左側で隣り合う現像器46における装置幅方向の右側の壁部47B(筐体104と対向する壁部47B)に設けられている。案内部116は、画像形成装置本体102の略装置幅方向(W方向)及び略奥行き方向(D方向)に沿って配置された上面部116Aと、上面部116Aの装置幅方向の中間部側の端部から上方側及び中間部側に傾斜した側面部116Bと、上面部116Aの先端から下方に配置された側面部116Cと、を備えている。本実施形態では、案内部114の上面部114Aが、案内部116の上面部116Aの高さよりも高い位置に設けられている。
【0040】
図10(A)、(B)には、操作レバー108の先端を上方側(H方向)に回転し、現像器46を筐体104に対してリトラクトさせた(離間させた)状態が正面図及び平面図にて示されている。また、
図11(A)、(B)には、操作レバー108の先端を装置幅方向(W方向)に回転し、現像器46を筐体104にコンタクトさせた(接触させた)状態が正面図及び平面図にて示されている。
図10及び
図11に示されるように、操作レバー108による切替機構107の動作により、現像器46の一部が搖動する。2箇所の案内部114、116は、現像器46における切替機構107の動作で動かない位置(部位)に設けられている。言い換えると、2箇所の案内部114、116は、操作レバー108による切替機構107の動作で影響されない現像器46の固定位置(現像器46の揺動しない部位)に設けられている。
【0041】
図2及び
図5Bに示されるように、正面視にて筐体104の右側の現像器46と対向する壁部105Aには、案内部114側に突出する接触部としてのリブ122が設けられている(
図2中の画像形成ユニット40Cを参照)。本実施形態では、リブ122は、壁部105Aから装置幅方向(W方向)に沿って突出している。筐体104が画像形成装置本体102に挿入又は抜出される際に、リブ122が案内部114の上面部114Aと突出片114Cとの間に挿入される。リブ122の先端は、案内部114の側面部114Bと接触又は離れることができるように余裕を持たせて配置されている。そして、リブ122の先端側の下面部が案内部114の上面部114Aを摺動することで、筐体104の上下方向及び装置幅方向右側の位置が規制されると共に、筐体104が挿入方向(矢印D方向)に案内されるようになっている(
図6参照)。
【0042】
その際、リブ122の先端が案内部114の側面部114Bに接触した状態で、筐体104(感光体42)と現像器46との距離を保つ構成とされている。すなわち、リブ122の装置幅方向(W方向)の長さは、リブ122の先端が案内部114の側面部114Bに接触した状態で、筐体104(感光体42)と現像器46との距離を保つように設定されている(
図5B、及び
図2中の画像形成ユニット40Cを参照)。
【0043】
図2及び
図5Bに示されるように、正面視にて筐体104の左側の現像器46と対向する壁部105Bには、案内部116側に突出する突出部124が設けられている。本実施形態では、突出部124の下面部124Aは、壁部105Bから装置幅方向(W方向)に突出している。筐体104が画像形成装置本体102に挿入又は抜出される際に、突出部124の下面部124Aが案内部116の上面部116Aを摺動することで、筐体104の上下方向及び装置幅方向左側の位置が規制されると共に、筐体104が挿入方向(矢印D方向)に案内されるようになっている(
図2及び
図6参照)。突出部124の側面部124Bは、案内部116の側面部116Bと接触又は離れることができるように余裕を持たせて配置されている。
【0044】
図6及び
図9(A)、(B)に示されるように、平面視にてリブ122と突出部124は、筐体104の挿入方向(矢印D方向)に対して案内部114、116との接触を開始する位置を挿入方向にずらしている。すなわち、筐体104の挿入方向(矢印D方向)に対して、リブ122の挿入方向奥側端部が、突出部124の挿入方向奥側端部よりも挿入方向奥側に配置されている。これによって、筐体104を挿入方向(矢印D方向)に挿入したときに、リブ122が先に案内部114に接触し、その後、突出部124が案内部116に接触するようになっている。
【0045】
この挿抜構造S100では、筐体104が画像形成装置本体102に挿入又は抜出される際に、筐体104のリブ122が案内部114に接触し、筐体104の突出部124が案内部116に接触することで、筐体104の姿勢が保持されるようになっている。
【0046】
図3〜
図5A、及び
図9(C)に示されるように、画像形成装置本体102には、筐体104の挿入方向に対して筐体104のリブ122、突出部124が案内部114、116を抜ける前の位置から筐体104の挿入方向に沿って筐体104を支持する支持部118が設けられている。支持部118は、筐体104の挿入部110への挿入方向(D方向)に対して入口側から挿入方向奥側まで筐体104を支持する構成とされている。平面視にて、支持部118の筐体104の挿入方向(D方向)に対して入口側は、案内部114、116とオーバーラップするように配置されている(
図4、
図9(C)参照)。
【0047】
図5Aに示されるように、支持部118は、筐体104の下部を支持する底面部118Aと、装置幅方向(W方向)における底面部118Aの一端部から上方に立設される壁部118Bと、壁部118Bの上端部から底面部118Aに沿って延びた支持片118Cと、備えている。さらに、支持部118は、装置幅方向(W方向)における底面部118Aの他端部から上方に立設される壁部118Dを備えている。装置幅方向(W方向)における支持片118Cの長さは、装置幅方向(W方向)における底面部118Aの長さよりも小さく設定されている。すなわち、支持片118Cの先端部と、壁部118Dの上端部との間には、隙間が形成されている。
【0048】
図3に示されるように、筐体104の下部には、略T字状に突出する突出片126が設けられている。正面視にて突出片126は、筐体104の下壁部105Cから下方側に延びた壁部126Aと、壁部126Aの下端部に壁部126Aの両側に延びたフランジ部126Bと、を備えている。筐体104が画像形成装置本体102の挿入部110に対して挿入又は抜出される際に、筐体104の突出片126の壁部126Aが支持片118Cと壁部118Dとの隙間に挿通され、フランジ部126Bが支持部118の支持片118Cと底面部118Aとの間に挿入される。そして、フランジ部126Bが底面部118Aを摺動することで、フランジ部126Bが支持部118に案内され、筐体104の姿勢が保持されるようになっている。
【0049】
図12に示されるように、装置幅方向(W方向)の最も左側に位置するブラックの画像形成ユニット40Kでは、感光体42を備えた筐体104の左側に現像器は設けられていない。このため、画像形成装置10では、画像形成装置本体102の装置幅方向(W方向)の左側に配置される壁部(ハウジング)132に案内部116が設けられている。すなわち、ブラックの画像形成ユニット40Kでは、筐体104の右側のリブ122は、筐体104の右側で隣り合う現像器46の案内部114で案内され、筐体104の左側の突出部124は、画像形成装置本体102の左側の壁部132に設けられた案内部116で案内される構成とされている。
【0050】
次に、本実施形態に係る画像形成装置10に設けられた筐体104の挿抜構造S100の作用及び効果について説明する。
【0051】
感光体42を備えた筐体104は、画像形成装置本体102の挿入部110に対して、筐体104の長手方向に沿って挿入又は抜出される。すなわち、筐体104は、画像形成装置本体102の挿入部110に対して装置奥行き方向(矢印D方向)に挿入される。
【0052】
この画像形成装置10では、画像形成装置本体102の挿入部110での筐体104の挿入又は抜出に伴って、筐体104の挿入方向(矢印D方向)の入口側で、筐体104が右側で隣り合う現像器46の案内部114で案内され、筐体104が左側で隣り合う現像器46の案内部116で案内される。
【0053】
例えば、
図6及び
図9(A)に示されるように、画像形成装置本体102の挿入部110に筐体104を矢印D方向に挿入すると、筐体104の挿入方向の入口側で、筐体104の右側のリブ122が、右側の現像器46の案内部114で案内される。すなわち、筐体104の右側のリブ122の下面部が、右側の現像器46の案内部114の上面部114Aを摺動する。
【0054】
図7、
図8及び
図9(B)に示されるように、画像形成装置本体102の挿入部110に筐体104をさらに矢印D方向に挿入すると、筐体104の挿入方向の入口側で、筐体104の左側の突出部124が、左側の現像器46の案内部116で案内される。すなわち、筐体104の左側の突出部124の下面部124Aが、左側の現像器46の案内部116の上面部116Aを摺動する(
図5B参照)。
【0055】
その際、2箇所の案内部114、116のうち少なくとも筐体104の右側(感光体42が露出する側)の案内部114は、筐体104の挿入方向(矢印D方向)に対して感光体42(感光層42A)の表面が排出機構112と対向する前に筐体104の案内を開始する位置に設けられている(
図6参照)。このため、画像形成装置10では、感光体の表面が現像器の排出機構と対向する前に筐体を案内する案内部を設けない構成と比較して、現像器46の排出機構112と感光体42の表面との干渉が抑制され、これにより感光体42(感光層42A)の表面の傷の発生が抑制される。
【0056】
また、画像形成装置10では、平面視にて2箇所の案内部114、116は、筐体104の挿入方向(矢印D方向)に対して筐体104を案内する位置を挿入方向にずらして配置されている。本実施形態では、挿入部110の右側の案内部114が、挿入部110の左側の案内部116よりも、筐体104の挿入方向(矢印D方向)に対して筐体104を先に案内する位置に設けられている。
【0057】
これにより、
図6、
図7及び
図9(A)、(B)に示されるように、筐体104の右側のリブ122が、右側の現像器46の案内部114に接触して案内が開始された後に、筐体104の左側の突出部124が、左側の現像器46の案内部116に接触して案内が開始される。このため、画像形成装置10では、先に筐体104のリブ122が案内部114で案内されることで、2箇所の案内部114、116の案内が開始される位置が筐体104の挿入方向にずれる。したがって、画像形成装置10では、2箇所の案内部の位置を筐体の挿入方向にずらさない構成と比較して、2箇所の案内部で同時に筐体の案内を開始する必要がないため、2箇所の案内部114、116で筐体104の案内を開始する際の作業性が向上する。
【0058】
また、画像形成装置10では、筐体104と隣り合う両側の現像器46、現像器46に案内部114、116が1つずつ設けられている。このため、画像形成装置10では、筐体と隣り合う一方の現像器に案内部を1つだけ設けた構成と比較して、筐体104の姿勢が安定化する。
【0059】
また、画像形成装置10では、
図10及び
図11に示されるように、2箇所の案内部114、116は、現像器46における切替機構107の動作で動かない位置に設けられている。このため、画像形成装置10では、案内部が現像器における切替機構の動作で動く位置に設けられている場合と比較して、筐体104の挿入又は抜出の際に、筐体104のがたつきがなくなるため、作業性にばらつきが発生することが低減される(筐体104の挿入又は抜出の際の作業性が変わることが低減される)。
【0060】
また、画像形成装置10では、筐体104には、案内部114に接触するリブ122が設けられ、リブ122が案内部114に接触した状態で、感光体42と現像器46との距離を保つ構成とされている(
図5B、及び
図2中の画像形成ユニット40Cを参照)。このため、画像形成装置10では、案内部に接触した状態で感光体と現像器との距離を保つ接触部を設けない構成と比較して、感光体と現像器との干渉が抑制される。
【0061】
図7に示す状態から画像形成装置本体102の挿入部110に筐体104をさらに挿入すると、
図3及び
図9(C)に示されるように、筐体104の下部の突出片126が画像形成装置本体102の支持部118で支持される。すなわち、筐体104の突出片126のフランジ部126Bが支持部118で支持されながら、筐体104が挿入される。その際、画像形成装置10では、筐体104の挿入方向(矢印D方向)に対して筐体104のリブ122、突出部124が案内部114、116を抜ける前の位置から支持部118が筐体104を支持する構成とされている。すなわち、支持部118の筐体104の挿入方向(矢印D方向)に対して入口側は、案内部114、116とオーバーラップするように配置されている(
図6及び
図9参照)。これにより、筐体104のリブ122、突出部124が案内部114、116から外れる前に、筐体104の突出片126が支持部118で支持される。
【0062】
このため、画像形成装置10では、筐体の挿入方向に対して筐体が案内部を抜ける前の位置から筐体を支持する支持部を設けない構成と比較して、筐体104が案内部114、116を抜ける前後で筐体104の姿勢が安定化される。
【0063】
図14には、比較例の画像形成装置200に用いられる感光体42を備えた筐体202が挿入又は抜出される挿抜構造S201が平面図にて示されている。
図14に示されるように、筐体202は、画像形成装置200の挿入部110に筐体202の長手方向に沿って挿入される。すなわち筐体202は、画像形成装置200の挿入部110に装置奥行き方向(D方向)に挿入される。筐体202が挿入される挿入部110の装置幅方向(W方向)の両側には、現像器204が設けられている。現像器204における筐体202の挿入方向(D方向)の入口側には、挿入部110よりも外側に突出する排出機構112が設けられている。
【0064】
画像形成装置200の挿入部110の下側には、筐体202をガイドするガイド部208が設けられている。筐体202に挿入方向奥側には、ガイド部208に接触する突出部210が設けられている。そして、画像形成装置200の挿入部110に筐体202が矢印D方向に挿入される際に、筐体202の突出部210の下部がガイド部208に接触することで、筐体202が位置規制されると共に、筐体202が挿入方向に案内される。
【0065】
この画像形成装置200では、筐体202の突出部210の下部がガイド部208に接触してガイドが開始される際に、感光体42(感光層42A)の表面が排出機構112と対向している。このため、感光体42の表面と排出機構112とが干渉することを抑制できず、感光体42の表面に傷が発生する可能性がある。
【0066】
これに対して、画像形成装置10では、2箇所の案内部114、116のうち少なくとも筐体104の右側(感光体42が露出する側)の案内部114は、筐体104の挿入方向(矢印D方向)に対して感光体42(感光層42A)の表面が排出機構112と対向する前に筐体104の案内を開始する位置に設けられている。このため、画像形成装置10では、感光体の表面が現像器の排出機構と対向する前に筐体を案内する案内部を設けない構成と比較して、現像器46の排出機構112と感光体42(感光層42A)の表面との干渉が抑制され、これにより感光体42(感光層42A)の表面の傷の発生が抑制される。
【0067】
次に、
図13を用いて、本発明の第2実施形態としての画像形成装置について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0068】
図13に示されるように、画像形成装置140では、感光体(図示省略)を備えた筐体144の挿抜構造S142が設けられている。挿抜構造S142では、筐体144に隣接する一方の現像器146(1つの現像器146)に、筐体144が挿入又は抜出される際に筐体144を案内する2箇所の案内部114、148が設けられている。案内部148は、現像器146の下側の側壁部147Aから筐体144側に突出するように構成されている。本実施形態では、案内部148は、正面視にて、装置幅方向(W方向)に沿って配置された上面部148Aと、上面部148Aの先端から下方側に円弧状に配置された湾曲部148Bと、上面部148Aの装置幅方向の中間部側の端部から上方側に配置された壁部148Cと、を備えている。
【0069】
筐体144の下部側には、案内部148側に突出して案内部148に接触する突出部150が設けられている。本実施形態では、正面視にて、突出部150の下面部150Aは、装置幅方向(W方向)に沿って配置されており、突出部150の下面部150Aが、案内部148の上面部148Aを摺動する構成とされている。
【0070】
2箇所の案内部114、148は、筐体144の挿入方向(D方向)に対して感光体(感光層、図示省略)の表面が排出機構112と対向する前に筐体144を案内する構成とされている。その際、現像器146の上側の案内部114が、現像器146の下側の案内部148よりも、筐体144の挿入方向(矢印D方向)に対して筐体144を先に案内する位置に設けられている。
【0071】
この画像形成装置140では、画像形成装置本体102の挿入部に筐体144を挿入すると、筐体144の挿入方向(矢印D方向)の入口側で、筐体104の上側のリブ122が現像器146の上側の案内部114で案内される。さらに、筐体144の下側の突出部150が、現像器146の下側の案内部148で案内される。
【0072】
その際、2箇所の案内部114、148は、筐体144の挿入方向(矢印D方向)に対して感光体(感光層)の表面が排出機構112と対向する前に筐体144の案内を開始する位置に設けられている。このため、画像形成装置140では、感光体の表面が現像器の排出機構と対向する前に筐体を案内する案内部を設けない構成と比較して、現像器146の排出機構112と感光体(感光層)の表面との干渉が抑制され、これにより感光体(感光層)の表面の傷の発生が抑制される。
【0073】
なお、上記第1及び第2実施形態の画像形成装置において、2箇所の案内部の形状、大きさ、位置は、変更が可能である。また、2箇所の案内部で案内される際に接触する筐体の部位の形状、大きさ、位置も、変更が可能である。
【0074】
また、上記第1及び第2実施形態の画像形成装置では、2箇所の案内部は、筐体の挿入方向に対して筐体を案内する位置を挿入方向にずらしていたが、本発明はこの構成に限定されず、筐体の挿入方向に対して筐体を案内する2箇所の案内部の位置を挿入方向にずらさない構成としてもよい。
【0075】
また、上記第1及び第2実施形態の画像形成装置では、感光体を備えた筐体を案内する2箇所の案内部が設けられていたが、本発明はこの構成に限定されず、感光体を備えた筐体を案内する3箇所以上の案内部を設けてもよい。その際、3箇所以上の案内部は、筐体と隣接する一方の現像器にのみ設けてもよいし、筐体の両側で隣り合う現像器の両方に設けてもよい。
【0076】
また、上記第1及び第2実施形態の画像形成装置では、感光体を備えた筐体には、帯電装置、除去装置などが設けられていたが、本発明はこの構成に限定されず、筐体の内部に設けられる感光体以外の構成は変更可能である。
【0077】
さらに、上記第1及び第2実施形態の画像形成装置において、支持部の形状、大きさ、位置は、変更が可能である。また、支持部で支持される筐体の部位の形状、大きさ、位置も、変更が可能である。
【0078】
さらにまた、上記第1及び第2実施形態の画像形成装置において、現像器及び感光体を備えた筐体の数は4つであるが、本発明はこの構成に限定されず、現像器及び感光体を備えた筐体の数を2以上に変更することが可能である。
【0079】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。