【実施例1】
【0013】
以下、本発明の電気温水器の実施例について図面を参照して説明する。
本発明の電気温水器は、たとえば電気温水器の機器製造番号の末尾番号を使用して50分ごとの5段階シフト時間を発生させることにより、夏冬を通して最も負荷が軽くなる午後12時〜午前5時の間に蓄熱負荷を集中して夜間沸き上げ動作を行い、午前5時〜午前7時の朝食準備に伴う朝の消費電力のピークを迎える時間帯に通電されている電気温水器の台数を減らして、夜間沸き上げ動作による変圧器の過負荷誘発を防止することを特徴とする。
【0014】
そのため、本発明の一実施例による電気温水器1は、
図1(a)に示すように、下部に給水口が設けられるとともに上部に出湯口が設けられた貯湯タンク2と、貯湯タンク2の給水口から水を貯湯タンク2に供給するための給水管3と、貯湯タンク2の出湯口から外部に湯を供給するための給湯管4と、貯湯タンク2内の下部に設けられた下部ヒータ5と、制御部10と、給水管3内に取り付けられた給水温度センサS
Wtと、貯湯タンク2内に上から順に等間隔に取り付けられた第1乃至第5の残湯温度センサS
LWt1〜S
LWt5と、給湯管4内に取り付けられた流量センサS
Fとを具備する。
【0015】
ここで、制御部10は、
図1(b)に示すように、通電時間算出部11と、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12と、時計13と、タイマ14と、下部ヒータオン/オフ制御部15と、メモリ16とを備える。
【0016】
メモリ16には、貯湯タンク2のタンク容量Vを示すタンク容量データD
Vおよび下部ヒータ5のヒータ容量Pを示すヒータ容量データD
Pが予め格納されているとともに、外部から入力される沸き上げ設定温度データD
T(沸き上げ設定温度Tを示すデータ)および末尾番号データD
EN(電気温水器1の製造番号の末尾番号ENを示すデータ)が格納される。
【0017】
通電時間算出部11は、メモリ16から読み出したタンク容量データD
V、ヒータ容量データD
Pおよび沸き上げ設定温度データD
Tと、流量センサS
Fから入力される流量データD
Fと、第1乃至第5の残湯温度センサS
LWt1〜S
LWt5から入力される第1乃至第5の残湯温度データD
LWt1〜D
LWt5と、給水温度センサS
Wtから入力される給水温度データD
Wtとに基づいて、上記(1)式を用いて沸き上げに必要な通電時間HTを算出する。
このとき、通電時間算出部11は、貯湯タンク2には使用した湯と同じ量の水が給水管3を介して供給されるため、流量データD
Fによって示される流量Fに基づいて貯湯タンク2内の残湯量Qは算出する。また、通電時間算出部11は、第1乃至第5の残湯温度データD
LWt1〜D
LWt5によって示される第1乃至第5の残湯温度LWt
1〜LWt
5に基づいて(たとえば、第1乃至第5の残湯温度LWt
1〜LWt
5の平均値を算出して)、貯湯タンク2内の残湯温度LWtを算出する。
【0018】
夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、メモリ16から読み出した末尾番号データD
ENが示す電気温水器1の製造番号の末尾番号ENに基づいて通電開始遅延時間PTを決定する。
また、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、通電時間算出部11によって算出された通電時間HTと決定した通電開始遅延時間PTとに基づいて電気温水器1の夜間沸き上げ動作を開始する時刻(以下、「夜間沸き上げ動作開始時刻」と称する。)を決定し、決定した夜間沸き上げ動作開始時刻を時計13から入力される時刻データが示すと、下部ヒータ5をオンするように指示する下部ヒータオン指示信号を下部ヒータオン/オフ制御部15に出力するとともに、タイマ起動信号をタイマ14に出力してタイマ14を起動させる。
さらに、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、通電時間算出部11によって算出された通電時間HTをタイマ14から入力される経過時間データが示すと、下部ヒータ5をオフするように指示する下部ヒータオフ指示信号を下部ヒータオン/オフ制御部15に出力するとともに、タイマ停止信号をタイマ14に出力してタイマ14を停止させる。
【0019】
なお、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、通電時間算出部11によって算出された通電時間HTと決定した通電開始遅延時間PTとの和が480分よりも大きくなると、末尾番号データD
ENが示す電気温水器1の製造番号の末尾番号ENを所定の値だけ小さくして、小さくした末尾番号ENに基づいて通電開始遅延時間PTを決定し直す。
【0020】
下部ヒータオン/オフ制御部15は、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12から入力される下部ヒータオン指示信号または下部ヒータオフ指示信号が入力されると、下部ヒータ5をオンまたはオフさせるための下部ヒータオン/オフ制御信号S
ON/OFFを下部ヒータ5に出力する。
【0021】
次に、電気温水器1と同様に構成された5台の電気温水器1a〜1e(製造番号の末尾番号ENを“1”、“3”、“4”、“7”および“8”とする。)について夜間沸き上げ動作を行うときの電気温水器1a〜1eの制御部10の動作について、
図2に示したフローチャートを参照して説明する。
なお、末尾番号ENが“0”および“1”の電気温水器1については通電開始遅延時間PTの初期値が0分とされており、末尾番号ENが“2”および“3”の電気温水器1については通電開始遅延時間PTの初期値が50分とされており、末尾番号ENが“4”および“5”の電気温水器1については通電開始遅延時間PTの初期値が100分とされており、末尾番号ENが“6”および“7”の電気温水器1については通電開始遅延時間PTの初期値が150分とされており、末尾番号ENが“8”および“9”の電気温水器1については通電開始遅延時間PTの初期値が200分とされているものとする。
また、通電開始遅延時間PTの初期値を示す通電開始遅延時間初期値データは、メモリ16に予め格納されているものとする。
【0022】
まず、電気温水器1aの制御部10の動作について説明する。
電気温水器1aの制御部10の通電時間算出部11は、電気温水器1aの貯湯タンク2のタンク容量データD
V、電気温水器1aの下部ヒータ5のヒータ容量データD
Pおよび電気温水器1aの沸き上げ設定温度データD
Tをメモリ16から読み出して、読み出したタンク容量データD
V、ヒータ容量データD
Pおよび設定温度データD
Tと、電気温水器1aの流量センサS
Fから入力される流量データD
Fと、電気温水器1aの第1乃至第5の残湯温度センサS
LWt1〜S
LWt5から入力される第1乃至第5の残湯温度データD
LWt1〜D
LWt5と、電気温水器1aの給水温度センサS
Wtから入力される給水温度データD
Wtとに基づいて、上記(1)式を用いて沸き上げに必要な通電時間HTを算出する(ステップS11)。
この例では、通電時間HT=240(分)と算出されたとする。
【0023】
電気温水器1aの制御部10の夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、電気温水器1aの末尾番号データD
ENおよび通電開始遅延時間初期値データをメモリ16から読み出して、読み出した末尾番号データD
ENが示す末尾番号EN=1に基づいて通電開始遅延時間PTを0(分)と決定する(ステップS12,S13,S18)。
【0024】
その後、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、通電時間算出部11によって算出された通電時間HT=240(分)と決定した通電開始遅延時間PT=0(分)との和=240(分)を求め、求めた和が480(分)以下か否かを判定する(ステップS23)。
この場合には、求めた和=240(分)が480(分)以下となり、また、決定した通電開始遅延時間PT=0(分)であるため、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、夜間沸き上げ動作開始時刻を深夜電力通電時間開始時刻である午後11時と決定する。
【0025】
その後、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、決定した夜間沸き上げ動作開始時刻である午後11時を時計13から入力される時刻データが示すと、下部ヒータ5をオンするように指示する下部ヒータオン指示信号を下部ヒータオン/オフ制御部15に出力するとともに、タイマ起動信号をタイマ14に出力してタイマ14を起動させる(ステップS24,S25)。
【0026】
その後、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、通電時間算出部11によって算出された通電時間HT=240(分)をタイマ14から入力される経過時間データが示すと、下部ヒータ5をオフするように指示する下部ヒータオフ指示信号を下部ヒータオン/オフ制御部15に出力するとともに、タイマ停止信号をタイマ14に出力する(ステップS26〜S27)。
【0027】
このとき、ステップS26の代わりに、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12が、第1乃至第5の残湯温度センサS
LWt1〜S
LWt5から入力される第1乃至第5の残湯温度データD
LWt1〜D
LWt5が示す第1乃至第5の残湯温度LWt
1〜LWt
5に基づいて残湯温度LWtを常に監視し、残湯温度LWtが沸き上げ設定温度Tに達すると、下部ヒータオフ指示信号を下部ヒータオン/オフ制御部15に出力するとともに、タイマ停止信号をタイマ14に出力するようにしてもよい。
この場合には、タイマ14はなくてもよい。
【0028】
これにより、
図3(a)に双方向矢印で示すように、電気温水器1aの下部ヒータ5は、下部ヒータオン/オフ制御部15によって午後11時にオンされたのち午後11時から通電時間HT=240(分)経過後の午前3時にオフされる。
【0029】
次に、電気温水器1bの制御部10の動作について説明する。
電気温水器1bの制御部10は上述した電気温水器1aの制御部10と同様に動作するが、電気温水器1bの末尾番号ENは“3”であるため、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は通電開始遅延時間PTを50(分)と決定する(ステップS12,S14,S19)。
その結果、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、夜間沸き上げ動作開始時刻である午後11時から通電開始遅延時間PT=50(分)経過後の午後11時50分を夜間沸き上げ動作開始時刻と決定する。
これにより、
図3(a)に双方向矢印で示すように、電気温水器1bの下部ヒータ5は、下部ヒータオン/オフ制御部15によって午後11時50分にオンされたのち午後11時50分から通電時間HT=240(分)経過後の午前3時50分にオフされる。
【0030】
ただし、たとえば通電時間算出部11によって算出された通電時間HTが440(分)であった場合には、ステップS23において通電時間HT=440(分)と決定した通電開始遅延時間PT=50(分)との和=490(分)が480(分)よりも大きくなるため、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、メモリ16から読み出した末尾番号データD
ENが示す末尾番号EN=3を“2”だけ引いて新たな末尾番号EN=1として通電開始遅延時間PTを決定し直す(ステップS28,S29)。
その結果、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、通電開始遅延時間PTを0(分)と決定し直して(ステップS13,S18)、ステップS23以降の動作を繰り返す。
【0031】
この場合には、ステップS23において通電時間HT=440(分)と決定し直した通電開始遅延時間PT=0(分)との和=440(分)が480(分)以下となるため、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、夜間沸き上げ動作開始時刻である午後11時を夜間沸き上げ動作開始時刻と決定する。
これにより、
図3(b)に双方向矢印で示すように、電気温水器1bの下部ヒータ5は、下部ヒータオン/オフ制御部15によって午後11時にオンされたのち午後11時から通電時間HT=440(分)経過後の午前6時20分にオフされる。
【0032】
次に、電気温水器1cの制御部10の動作について説明する。
電気温水器1cの制御部10は上述した電気温水器1aの制御部10と同様に動作するが、電気温水器1cの末尾番号ENは“4”であるため、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は通電開始遅延時間PTを100(分)と決定する(ステップS12,S15,S20)。
その結果、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、夜間沸き上げ動作開始時刻である午後11時から通電開始遅延時間PT=100(分)経過後の午後12時40分を夜間沸き上げ動作開始時刻と決定する。
これにより、
図3(a)に双方向矢印で示すように、電気温水器1cの下部ヒータ5は、下部ヒータオン/オフ制御部15によって午後12時40分にオンされたのち通電時間HT=240(分)経過後の午前4時40分にオフされる。
【0033】
ただし、たとえば通電時間算出部11によって算出された通電時間HTが410(分)である場合には、ステップS23において通電時間HT=410(分)と決定した通電開始遅延時間PT=100(分)との和=510(分)が480(分)よりも大きくなるため、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、メモリ16から読み出した末尾番号データD
ENが示す末尾番号EN=4を“2”だけ引いて新たな末尾番号EN=2として通電開始遅延時間PTを決定し直す(ステップS28,S29)。
その結果、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、通電開始遅延時間PTを50(分)と決定し直して(ステップS14,S19)、ステップS23以降の動作を繰り返す。
【0034】
このとき、ステップS23において通電時間HT=410(分)と決定し直した通電開始遅延時間PT=50(分)との和=460(分)が480(分)以下となるため、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、夜間沸き上げ動作開始時刻である午後11時から決定し直した通電開始遅延時間PT=50(分)経過後の午後11時50分を夜間沸き上げ動作開始時刻と決定する。
これにより、
図3(b)に双方向矢印で示すように、電気温水器1cの下部ヒータ5は、下部ヒータオン/オフ制御部15によって午後11時50分にオンされたのち午後11時50分から通電時間HT=410(分)経過後の午前6時40分にオフされる。
【0035】
また、たとえば通電時間算出部11によって算出された通電時間HTが450(分)である場合には、ステップS23において通電時間HT=450(分)と決定し直した通電開始遅延時間PT=50(分)との和=500(分)が480(分)よりも大きくなるため、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、新たな末尾番号EN=2を再度“2”だけ引いて新たな末尾番号EN=0として通電開始遅延時間PTを再度決定し直す(ステップS28,S29)。
その結果、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、通電開始遅延時間PTを0(分)と再度決定し直して(ステップS13,S18)、ステップS23以降の動作を繰り返す。
【0036】
このとき、ステップS23において通電時間HT=450(分)と再度決定し直した通電開始遅延時間PT=0(分)との和=450(分)が480(分)以下となるため、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、夜間沸き上げ動作開始時刻である午後11時を夜間沸き上げ動作開始時刻と決定する。
これにより、
図3(b)に破線の双方向矢印で示すように、電気温水器1cの下部ヒータ5は、下部ヒータオン/オフ制御部15によって午後11時にオンされたのち通電時間HT=450(分)経過後の午前6時30分にオフされる。
【0037】
次に、電気温水器1dの制御部10の動作について説明する。
電気温水器1dの制御部10は、上述した電気温水器1aの制御部10と同様に動作するが、電気温水器1dの末尾番号ENは“7”であるため、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は通電開始遅延時間PTを150(分)と決定する(ステップS12,S16,S21)。
その結果、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、夜間沸き上げ動作開始時刻である午後11時から通電開始遅延時間PT=150(分)経過後の午前1時30分を夜間沸き上げ動作開始時刻と決定する。
これにより、
図3(a)に双方向矢印で示すように、電気温水器1dの下部ヒータ5は、下部ヒータオン/オフ制御部15によって午前1時30分にオンされたのち通電時間HT=240(分)経過後の午前5時30分にオフされる。
【0038】
また、ステップS23において通電時間HTと決定した通電開始遅延時間PT=150(分)との和が480(分)よりも大きくなる場合には、上述した電気温水器1cと同様の動作を行う(ステップS23,S28,S29)。
【0039】
次に、電気温水器1eの制御部10の動作について説明する。
電気温水器1eの制御部10は、上述した電気温水器1aの制御部10と同様に動作するが、電気温水器1eの末尾番号ENは“8”であるため、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は通電開始遅延時間PTを200(分)と決定する(ステップS12,S17,S22)。
その結果、夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、夜間沸き上げ動作開始時刻である午後11時から通電開始遅延時間PT=200(分)経過後の午前2時20分を夜間沸き上げ動作開始時刻と決定する。
これにより、
図3(a)に双方向矢印で示すように、電気温水器1eの下部ヒータ5は、下部ヒータオン/オフ制御部15によって午前2時20分にオンされたのち通電時間HT=240(分)経過後の午前6時20分にオフされる。
【0040】
また、ステップS23において通電時間HTと決定した通電開始遅延時間PT=150(分)との和が480(分)よりも大きくなる場合には、上述した電気温水器1cと同様の動作を行う(ステップS23,S28,S29)。
【0041】
なお、ステップS28において“2”だけ引いた新たな末尾番号ENが“0”よりも小さくなった場合には、電気温水器1a〜1eの制御部10の夜間沸き上げ動作開始時刻決定部12は、夜間沸き上げ動作開始時刻を深夜電力通電時間開始時刻である午後11時と決定するとともに、夜間沸き上げ動作終了時刻を深夜電力通電時間終了時刻である午前7時と決定する(ステップS29〜S33)。
これにより、電気温水器1a〜1eの下部ヒータ5は、下部ヒータオン/オフ制御部15によって午後11時にオンされたのち午前7時にオフされる。
【0042】
以上の説明では、電気温水器1の機器製造番号の末尾番号ENを使用して通電開始遅延時間PTの初期値を決定したが、電気温水器1をグループ分けできるものであればよく、お客様契約番号、計器番号や電話番号のような数値を含む電気温水器識別符号を使用してもよい。
また、通電開始遅延時間PTを50分間隔で変えるようにしたが、30分間隔や60分間隔等の任意の間隔にしてもよい。