(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
図1は、本実施の形態にかかる圧延設備1を含むH形鋼の製造ラインTについての説明図である。
図1に示すように、製造ラインTには上流側から順に、加熱炉2、サイジングミル3、粗圧延機4、中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8が配置されている。また、中間ユニバーサル圧延機5に近接してエッジャー圧延機9が設けられている。なお、以下では、説明のために製造ラインTにおける鋼材を、総称して「被圧延材A」と記載し、各図において適宜その形状を破線・斜線等を用いて図示する場合がある。
【0023】
図1に示すように、製造ラインTでは、加熱炉2から抽出された例えばスラブ11である矩形断面素材(後の被圧延材A)がサイジングミル3ならびに粗圧延機4において粗圧延される。次いで、中間ユニバーサル圧延機5において中間圧延される。この中間圧延時には、必要に応じてエッジャー圧延機9によって被圧延材の端部等(フランジ対応部12)に対して圧下が施される。通常の場合、サイジングミル3及び粗圧延機4のロールには、エッジング孔型及びウェブ部分を減厚し、フランジ部分の形状を成形するいわゆる平造形孔型が刻設されており、これらを経由して複数パスのリバース圧延でH形粗形材13が造形され、該H形粗形材13を前記中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスの圧下が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。
【0024】
ここで、加熱炉2から抽出されるスラブ11のスラブ幅Tは、例えば、240mm以上300mm以下の範囲内である。これは、一般的なH形鋼製品を製造する際に用いられるスラブ寸法である。
【0025】
次に、以下では
図1に示したサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型構成や孔型形状について図面を参照して説明する。なお、サイジングミル3を配置しないミルレイアウト(圧延機列構成)で本プロセスを行う場合、粗圧延機4には、以下に説明する第1孔型〜第4孔型に加え、それら孔型にて造形された被圧延材Aをいわゆるドッグボーン形状のH形粗形材13とする孔型(いわゆる平造形孔型)が更に設けられているが、この孔型は従来より既知のものであるため本明細書での図示・説明は省略する。また、製造ラインTにおける加熱炉2や中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8、エッジャー圧延機9等は、従来よりH形鋼の製造に用いられている一般的な装置であり、その装置構成等は既知であるため本明細書では説明を省略する。
【0026】
図2〜
図5は粗圧延工程を行うサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型についての概略説明図である。ここで、説明する第1孔型〜第4孔型は、例えばサイジングミル3に全て刻設されても良く、サイジングミル3及び粗圧延機4に第1孔型〜第4孔型の4つの孔型が分けて刻設されても良い。即ち、第1孔型〜第4孔型はサイジングミル3及び粗圧延機4の両方に亘って刻設されても良く、どちらか一方の圧延機に刻設されても良い。通常のH形鋼の製造における粗圧延工程では、これら各孔型において1又は複数パスでの造形が行われる。
【0027】
また、本実施の形態では刻設される孔型が4つの場合を例示して説明するが、その孔型数についても、必ずしも4孔型である必要はなく、4以上の複数の孔型数であっても良い。即ち、H形粗形材13を造形するために好適な孔型構成であれば良い。なお、
図2〜
図5では、各孔型における造形時の被圧延材Aの概略最終パス形状を破線にて図示している。
【0028】
図2は第1孔型K1の概略説明図である。第1孔型K1は、一対の水平ロールである上孔型ロール20と下孔型ロール21に刻設され、これら上孔型ロール20と下孔型ロール21のロール隙において被圧延材Aが圧下・造形される。また、上孔型ロール20の周面(即ち、第1孔型K1の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部25が形成されている。更に、下孔型ロール21の周面(即ち、第1孔型K1の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部26が形成されている。これら突起部25、26はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部25と突起部26とでそれぞれ等しく構成されている。突起部25、26の高さ(突出長さ)をh1とし、先端部角度をθ1aとする。
【0029】
この第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される。ここで、突起部25、26の先端部角度(ウェッジ角度とも呼称される)θ1aは例えば25°以上50°未満であることが望ましい。
【0030】
ここで、第1孔型K1の孔型幅は、被圧延材Aの厚み(即ち、スラブ厚)とほぼ等しいことが好ましい。具体的には、第1孔型K1に形成された突起部25、26の先端部における孔型の幅と、スラブ厚を同一にすることで、被圧延材Aの左右センタリング性が好適に確保される。また、このような孔型寸法の構成とすることで、
図2に示すように、第1孔型K1での造形時において、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)においては、上記突起部25、26及び孔型側面(側壁)の一部が被圧延材Aと接していて、割り込み28、29により4つの要素(部位)に分割されたスラブ上下端部に対して、第1孔型K1の上面及び底面にて積極的な圧下が行われない方が好ましい。孔型の上面及び底面による圧下は、被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせてしまい、フランジ(後述するフランジ部80)の生成効率を低下させてしまうからである。即ち、第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される際の突起部25、26における圧下量(ウェッジ先端圧下量)は、スラブ上下端部における圧下量(スラブ端面圧下量)よりも十分に大きなものとされ、これにより割り込み28、29が形成される。
なお、この第1孔型K1は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に深さの比較的浅い割り込み(溝)を付与するものであることから、「溝付け孔型」とも呼称される。
【0031】
図3は第2孔型K2の概略説明図である。第2孔型K2は、一対の水平ロールである上孔型ロール30と下孔型ロール31に刻設される。上孔型ロール30の周面(即ち、第2孔型K2の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部35が形成されている。更に、下孔型ロール31の周面(即ち、第2孔型K2の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部36が形成されている。これら突起部35、36はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部35と突起部36とでそれぞれ等しく構成されている。これら突起部35、36の先端部角度は25°以上50°未満のウェッジ角度θ1bであることが望ましい。なお、これら突起部35、36は本明細書において「ウェッジ部」、「ウェッジ」とも呼称される。
【0032】
ここで、突起部35、36のウェッジ角度θ1bの好適な数値範囲を25°以上50°未満とすべき理由と、それに合わせて上記第1孔型K1のウェッジ角度θ1aの数値も好適な数値範囲とする理由について説明する。
【0033】
ウェッジ角度の下限値は通常ロールの強度により決まる。被圧延材Aがロール(第2孔型K2では上孔型ロール30及び下孔型ロール31、第1孔型K1では上孔型ロール20及び下孔型ロール21)と接触し、その間に受ける熱によりロールが膨張し、被圧延材Aがロールから離れるとロールが冷却され収縮する。造形中はこれらのサイクルが繰り返されるが、ウェッジ角度が小さすぎると、突起部(第2孔型K2では突起部35、36、第1孔型K1では突起部25、26)の厚みが薄いために被圧延材Aからの入熱が当該突起部の左右から入りやすくなり、ロールがより高温になり易い。ロールが高温になると熱振れ幅が大きくなるためにヒートクラックが入り、ロール破損に至る恐れがある。このような理由によりウェッジ角度θ1a、θ1b共に25°以上、より好ましくは30°以上であることが望ましい。
【0034】
一方、ウェッジ角度θ1a、θ1bが大きくなると、ウェッジ傾斜角が拡大するために、被圧延材Aに対して圧下方向の圧延力による上下方向への押し下げ力が作用し易く、割り込み形成時にフランジ相当部の内面部において肉引けが生じ、特に第2孔型K2以降での造形においてフランジの生成効率が低下する。従って、ウェッジ角度θ1a、θ1bは50°未満であることが望ましい。
なお、上記第1孔型K1のウェッジ角度θ1aは、誘導性を高め、圧延の安定性を担保するためには、後段の第2孔型K2のウェッジ角度θ1bと同じ角度であることが好ましい。
【0035】
また、突起部35、36の高さ(突出長さ、ウェッジ高さとも呼称される)h2は、上記第1孔型K1の突起部25、26の高さh1より高く構成されており、h2>h1となっている。ここで、上述したように、突起部35、36の先端部角度(ウェッジ角度θ1b)は上記第1孔型K1の突起部25、26の先端部角度と同じ(即ち、θ1a=θ1b)であることが好ましい。これら上孔型ロール30と下孔型ロール31のロール隙において、上記第1孔型K1通材後の被圧延材Aが更に造形される。
【0036】
ここで、第1孔型K1に形成される突起部25、26の高さh1より、第2孔型K2に形成される突起部35、36の高さh2の方が高く、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)への侵入長さも同様に第2孔型K2の方が長くなる。第2孔型K2での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さは、突起部35、36の高さh2と同じである。即ち、第1孔型K1での突起部25、26の被圧延材Aへの侵入深さh1’と、第2孔型K2での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さh2はh1’<h2との関係になっている。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bと、突起部35、36の傾斜面とのなす角度θfは、
図3に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
【0037】
図3に示すように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)へ押し当てられた時の突起部の侵入長さが長いことから、第2孔型K2においては、第1孔型K1において形成された割り込み28、29が更に深くなるように造形が行われ、割り込み38、39が形成される。なお、ここで形成される割り込み38、39の寸法に基づき粗圧延工程でのフランジ造形工程終了時のフランジ片幅が決定される。
【0038】
また、
図3に示す第2孔型K2での造形は多パスにより行われるが、この多パス造形のうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第2孔型K2の上面及び底面)が接触していることが好ましい。但し、全てのパスにおいて接触していることが望ましいのではなく、例えば最終パスのみ被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触し、スラブ端面圧下量ΔEが正の値となる(ΔE>0)ことが望ましい。これは、第2孔型K2での全てのパスにおいて被圧延材Aの上限端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
一方で、その他のパスにおいては、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において上記突起部35、36を除き孔型と被圧延材Aは接触しておらず、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧下は行われない。これは、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ相当部(後述するフランジ部80に相当)の生成効率を低下させてしまうからである。
【0039】
即ち、第2孔型K2での多パス造形においては、必要最小限のパス(例えば最終パスのみ)において被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部を接触させて圧下を行い、その他のパスにおいては積極的な圧下を行わないといったパススケジュールを設定することが好ましい。また、この第2孔型K2においても、上記第1孔型K1同様、突起部35、36における圧下量(ウェッジ先端圧下量)は、スラブ上下端部における圧下量(スラブ端面圧下量)よりも十分に大きなものとされ、これにより割り込み38、39が形成される。
なお、この第2孔型K2は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に割り込みを形成させるものであることから、「割り込み孔型」とも呼称される。
【0040】
図4は第3孔型K3の概略説明図である。第3孔型K3は、一対の水平ロールである上孔型ロール40と下孔型ロール41に刻設される。上孔型ロール40の周面(即ち、第3孔型K3の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部45が形成されている。更に、下孔型ロール41の周面(即ち、第3孔型K3の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部46が形成されている。これら突起部45、46はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部45と突起部46とでそれぞれ等しく構成されている。
【0041】
上記突起部45、46の先端部角度θ2は、上記角度θ1bに比べ広角に構成され、突起部45、46の被圧延材Aへの侵入深さh3は、上記突起部35、36の侵入深さh2よりも短くなっている(即ち、h3<h2)。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面40a、40b及び孔型底面41a、41bと、突起部45、46の傾斜面とのなす角度θfは、
図4に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
【0042】
図4に示すように、第3孔型K3では、第2孔型K2通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において形成された割り込み38、39が、突起部45、46が押し当てられることにより、割り込み48、49となる。即ち、第3孔型K3での造形における最終パスでは、割り込み48、49の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ2となる。換言すると、第2孔型K2において割り込み38、39の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部80に対応する部位)が外側に折り曲げられるような造形が行われる。
【0043】
また、
図4に示す第3孔型K3での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、このうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第3孔型K3の上面及び底面)が接触している必要がある。但し、全てのパスにおいて接触していることが望ましいのではなく、例えば最終パスのみ被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触し、スラブ端面圧下量ΔEが正の値となる(ΔE>0)ことが望ましい。これは、第3孔型K3での全てのパスにおいて被圧延材Aの上限端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
一方で、その他のパスにおいては、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において上記突起部45、46を除き孔型と被圧延材Aは接触しておらず、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧下は行われない。これは、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ相当部(後述するフランジ部80に相当)の生成効率を低下させてしまうからである。
【0044】
なお、この第3孔型K3における造形では、被圧延材Aの上下端部の4箇所の部位に対する曲げ加工が同時に行われる。そのため、4箇所の部位が均一に曲げ加工されないといった事情により通材が不安定になる恐れがあり、1パスでの造形が好ましい。この場合、1パス造形では被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第3孔型K3の上面及び底面)が接触した状態で造形が行われる。
【0045】
図5は第4孔型K4の概略説明図である。第4孔型K4は、一対の水平ロールである上孔型ロール50と下孔型ロール51に刻設される。上孔型ロール50の周面(即ち、第4孔型K4の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部55が形成されている。更に、下孔型ロール51の周面(即ち、第4孔型K4の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部56が形成されている。これら突起部55、56はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部55と突起部56とでそれぞれ等しく構成されている。
【0046】
上記突起部55、56の先端部角度θ3は、上記角度θ2に比べ広角に構成され、突起部55、56の被圧延材Aへの侵入深さh4は、上記突起部45、46の侵入深さh3よりも短くなっている(即ち、h4<h3)。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面50a、50b及び孔型底面51a、51bと、突起部55、56の傾斜面とのなす角度θfは、上記第3孔型K3と同様に、
図5に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
【0047】
第4孔型K4では、第3孔型K3通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において形成された割り込み48、49が、突起部55、56が押し当てられることにより押し広げられ、割り込み58、59となる。即ち、第4孔型K4での造形における最終パスでは、割り込み58、59の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ3となる。換言すると、第3孔型K3において割り込み48、49の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部80に対応する部位)が更に外側に折り曲げられるような造形が行われる。このようにして造形された被圧延材Aの上下端部の部位は、後のH形鋼製品のフランジに相当する部位であり、ここではフランジ部80と呼称する。なお、第4孔型K4の割り込み角度θ3は180°よりもやや小さい角度に設定されることが望ましい。これは、割り込み角度θ3を180°としてしまうと、次工程である平造形孔型においてウェブ厚の減厚を行う際に、フランジ部80の外側に拡がりが生じ、平造形孔型での圧延においてかみ出しが生じやすいからである。即ち、次工程の平造形孔型の形状及びウェブ厚の圧下量に応じてフランジ部80の外側での拡がり量が決まるため、ここでの割り込み角度θ3は、平造形孔型の形状及びウェブ厚の圧下量を勘案して好適に定められることが望ましい。
【0048】
また、
図5に示す第4孔型K4での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、この多パス造形のうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第4孔型K4の上面及び底面)が接触している必要がある。但し、全てのパスにおいて接触していることが望ましいのではなく、例えば最終パスのみ被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触し、スラブ端面圧下量ΔEが正の値となる(ΔE>0)ことが望ましい。これは、第4孔型K4での全てのパスにおいて被圧延材Aの上限端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
一方で、その他のパスにおいては、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において上記突起部55、56を除き孔型と被圧延材Aは接触しておらず、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧下は行われない。これは、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ部80の生成効率を低下させてしまうからである。
【0049】
なお、この第4孔型K4における造形では、被圧延材Aの上下端部の4箇所の部位に対する曲げ加工が同時に行われる。そのため、4箇所の部位が均一に曲げ加工されないといった事情により通材が不安定になる恐れがあり、1パスでの造形が好ましい。この場合、1パス造形では被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第4孔型K4の上面及び底面)が接触した状態で造形が行われる。
また、以上説明した第3孔型K3ならびに第4孔型K4は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に形成された分割部位(後のフランジ部80)を外側に折り曲げる造形を行うことから、「折り曲げ孔型」とも呼称される。
【0050】
以上説明した第1孔型K1〜第4孔型K4によって造形された被圧延材Aに対し、既知の孔型を用いて更に圧下・造形が行われ、いわゆるドッグボーン形状であるH形粗形材13が造形される。通常はこの後、スラブ厚に相当する部分を減厚する平造形孔型でウェブ厚が減厚される。その後、
図1に示す中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスの圧下が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。
【0051】
ここで、上記説明した第1孔型K1〜第4孔型K4を用いた造形方法において、特に第2孔型K2における造形では、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において孔型と被圧延材Aをできるだけ接触させずに、積極的な圧下を行わないものとしている。これは、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ相当部(即ち、後のフランジ部80)の生成効率が低下するのを避けるためである。
【0052】
本発明者らは、上記のような第2孔型K2での圧延造形において、被圧延材Aの側面を孔型によって拘束するといった構成を採っていないために、被圧延材Aの左右方向に関する溝ずれ等のセンタリング不良が懸念され、これにより、造形されるフランジ相当部の厚みが上下左右方向において不均一になり、特にフランジ左右厚みに差異が生じ易いといった知見を見出した。加えて、第3孔型K3、第4孔型K4でも被圧延材Aの側面を孔型によって拘束するといった構成は採られないために、当該形状不良等は解消せず、製品形状不良につながってしまう恐れがあることも分かっている。
なお、溝ずれとは、第2孔型K2での圧延造形において、突起部35、36によって割り込み38、39を形成させる際に、形成された割り込み38、39の中心部が、被圧延材Aの厚み方向中心部に対してずれてしまう現象である。
【0053】
また、上記知見に関し、例えばスラブ厚260mm未満の素材から製品フランジ幅400mm以上のH形鋼製品を製造する場合に、第1孔型K1の突起部25、26の高さ(突出長さ)h1を高くすることで、上記溝ずれ等の問題を解消するといった方法も考え得る。しかしながら、このような方法では、第1孔型K1の側壁の傾斜角と突起部25、26側面の傾斜角度との関係により、フランジ相当部(後のフランジ部80)の厚みが、孔型底に向かうにつれて薄くなってしまうことが懸念され、その場合、後段の工程(第2孔型K2以降の工程)での造形に制約が生じ、安定した圧延造形が継続できない恐れがある。即ち、第1孔型K1の突起部25、26の高さ(突出長さ)h1を高くするといった方法が採用できない場合には、上記溝ずれ等を解消するための他の方法を創案する必要がある。
【0054】
このような事情に鑑み、本発明者らは、第2孔型K2の孔型形状について更なる検討を行い、上述した溝ずれ等に起因し、造形されるフランジ相当部の厚みが上下左右方向において不均一になり、特にフランジ左右厚みに差異が生じるといった問題点を解消することが可能な第2孔型K2の孔型形状を創案するに至った。以下では、新たに創案された構成を有する第2孔型K2aについて図面を参照して説明する。
【0055】
図6は、改良された構成を有する第2孔型K2aの概略説明図である。なお、
図6において、上記説明した改良前の第2孔型K2(
図3参照)と同一の機能構成を有する構成要素については同一の符号を付して図示し、その説明は省略する。
図6に示すように、改良後の第2孔型K2a(以下、単に第2孔型K2aと記載する)の基本的な孔型構成は改良前の第2孔型K2とほぼ同様であり、相違点として、孔型の左右に形成されている孔型側面30c及び31cが被圧延材Aを拘束するように、当該被圧延材Aに当接して構成されることが挙げられる。即ち、改良前の第2孔型K2では側壁を設けていない構成だったのに対し、改良後の第2孔型K2aは側壁幅が設けられた構成(孔型設計)となる。
【0056】
被圧延材Aにおける孔型側面30c、31cとの当接箇所は、第1孔型K1で造形され、第2孔型K2aに導入された直後の被圧延材Aの厚みにおいて最も厚みが大きい箇所(図中に側壁幅aとして示す箇所)とすることが望ましく、その箇所は、通常、被圧延材Aのフランジ相当部(後のフランジ部80)の外側面の中央部近傍である。これは、第1孔型K1のウェッジ角度θ1aと、第2孔型K2aのウェッジ角度θ1bが同じ角度である場合に、被圧延材Aの外側面形状が垂直に近い形状となることに起因する。
【0057】
また、
図6に示すように、複数パスで行われる第2孔型K2aでの圧延造形時には、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において、突起部35、36を除き孔型と被圧延材Aは接触しておらず、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧下は行われない。これは、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ相当部(後述するフランジ部80に相当)の生成効率が低下してしまうからである。
また、
図6に示す孔型構成において、孔型側面30c、31cの形状は、被圧延材Aを左右から効率的に拘束するという観点からは、孔型ロール軸に対して垂直となる鉛直形状が好ましいが、ロール摩耗に伴うロールの修復を容易にするために、鉛直方向に対し例えば5〜10%程度のテーパー角度を付けた形状とすることが望ましい。
【0058】
なお、
図6に示す第2孔型K2aの構成と、
図3に示す第2孔型K2の構成を比較すると、第2孔型K2aは孔型側面30c、31cを設けた形状となっているために、孔型設計上、その両側にカラーを有する孔型となる。そのため、孔型ロールにおいて、同じく両側にカラーを有する構成の第1孔型K1と隣接するように第2孔型K2aを刻設することが望ましい。これにより、第1孔型K1から第2孔型K2aへの被圧延材Aの移動量を小さくすると共に、両孔型でカラーの共有化が実現され、孔型ロールにおける孔型刻設スペースの節約を図ることができる。
【0059】
このように、
図6に示す構成の改良された第2孔型K2aを用いることで、当該孔型における被圧延材Aの左右方向に関する溝ずれ等のセンタリング不良が抑制される。これにより、造形されるフランジ相当部の厚みが上下左右方向において不均一になり、特にフランジ左右厚みに差異が生じるといった形状不良が抑制され、製品寸法精度の向上が実現される。
【0060】
以上説明した、本実施の形態に係るH形鋼の製造方法によれば、第1孔型K1〜第4孔型K4を用いて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に割り込みを入れ、それら割り込みによって左右に分かれた各部分を左右に折り曲げる加工を行い、フランジ部80を形成するといった造形をすることで、被圧延材A(スラブ)の上下端面を上下方向に圧下することなくH形粗形材13の造形を行うことができる。即ち、従来行われていたスラブ端面を常に圧下する粗圧延方法に比べ、フランジ幅を広幅化させてH形粗形材13を造形することが可能となり、その結果、例えばウェブ高さ1000mm以上、フランジ幅400mm以上といった大型の最終製品(H形鋼製品)を製造することができる。
【0061】
また、特に、改良された構成の第2孔型K2aを用いた造形では、孔型側面30c及び31cが被圧延材Aを拘束するように、当該被圧延材Aの側面に当接することとしている。これにより、造形されるフランジ相当部の厚みが上下左右方向において不均一になり、特にフランジ左右厚みに差異が生じるといった形状不良が抑制され、その結果、製品寸法精度の向上が実現される。特に、例えばスラブ厚260mm未満の素材から製品フランジ幅400mm以上のH形鋼製品を製造する場合にあっては、第1孔型K1の突起部25、26の高さ(突出長さ)h1を高くするといった方法を採ることなくフランジ相当部の形状不良の抑制を図ることができる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0063】
(本発明の第1の他実施形態)
上記本発明の実施の形態に係る改良された第2孔型K2aでの圧延造形では、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ相当部(後のフランジ部80)の生成効率が低下してしまうことに鑑み、複数パスで行われる第2孔型K2aでの圧延造形時には、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において、突起部35、36を除き孔型と被圧延材Aは接触しておらず、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧下は行われないものとして説明したが、本発明はこのような構成に限定されない。
【0064】
即ち、本発明において、複数パスで行われる第2孔型K2aでの圧延造形時に、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)の一部又は全部が孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bと接触するような方法を採っても良い。
図7には、被圧延材Aの上下端部全体と孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bとが接触している場合の圧延造形の様子を示している。
【0065】
図7に示すように、被圧延材Aの上下端部と孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bとを接触させる方法としては、第2孔型K2aの孔型設計寸法を被圧延材Aの上下端部と孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bが接触するように設計をすることや、第2孔型K2aにおける圧下量を被圧延材Aの上下端部と孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bが接触するような圧下量に設定する(即ち、パススケジュール設計)といった方法が考えられる。
【0066】
このように、複数パスで行われる第2孔型K2aでの圧延造形時に、被圧延材Aの上下端部が孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bと接触するような構成とすることで、上記実施の形態で説明した「造形されるフランジ相当部の厚みが上下左右方向において不均一になり、特にフランジ左右厚みに差異が生じる」といった形状不良がより顕著に抑制されることになる。
【0067】
但し、被圧延材Aの上下端部が孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bと接触しているため、ここでの圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びが生じ、フランジ相当部(後のフランジ部80)の生成効率が低下するといった懸念もある。従って、フランジ相当部の肉量確保が十分である場合には、このような技術を採用し、フランジ相当部の肉量確保が十分でない場合には、上記実施の形態で説明した技術を採用することが好ましい。
【0068】
(本発明の第2の他実施形態)
上記本発明の実施の形態では、第2孔型K2あるいは第2孔型K2aにおいては、1段階での圧延造形によって第1孔型K1において形成された割り込み28、29が更に深くなるように造形が行われ、割り込み38、39が形成されるものとして説明したが、第2孔型での圧延造形方法はこれに限られるものではない。具体的には、第2孔型がそれぞれ寸法形状の異なる2種類の孔型群「第2孔型K2−1」及び「K2−2」で構成されても良い。
【0069】
図8は、第2孔型を寸法形状の異なる2種類の孔型K2−1(第2−1孔型)、K2−2(第2−2孔型)で構成した場合の説明図であり、(a)がK2−1、(b)がK2−2を示している。ここで、第2孔型K2−2は、上記説明した第2孔型K2aと同じ構成を有しており、各構成要素については同じ符号を用いて図示し、その説明は省略する。
第2孔型K2−1は、第2孔型K2−2に比べて高さの低い突起部を有する構成となっており、第2孔型K2−2で形成される割り込み38、39よりも深さの小さい割り込み98、99を形成させる構成となっている。具体的な第2孔型K2−1の構成は以下の通りである。
【0070】
第2孔型K2−1は、一対の水平ロールである上孔型ロール90と下孔型ロール91に刻設される。上孔型ロール90の周面(即ち、第2孔型K2−1の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部95が形成されている。更に、下孔型ロール91の周面(即ち、第2孔型K2−1の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部96が形成されている。これら突起部95、96はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部95と突起部96とでそれぞれ等しく構成されている。これら突起部95、96の先端部角度は25°以上50°未満のウェッジ角度θ1bであることが望ましい。
【0071】
突起部95、96の高さh2aは、上記第1孔型K1の突起部25、26の高さh1より高く構成されており、h2a>h1となっている。また、突起部95、96の高さh2aは、第2孔型K2−2の突起部高さh2よりは低く構成されており、h2a<h2となっている。突起部95、96の先端部角度(ウェッジ角度θ1b)は第1孔型K1の突起部25、26の先端部角度と同じ(θ1a=θ1b)であることが好ましい。これら上孔型ロール90と下孔型ロール91のロール隙において、上記第1孔型K1通材後の被圧延材Aが造形され、その後、第2孔型K2−2へと送られる。また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面90a、90b及び孔型底面91a、91bと、突起部95、96の傾斜面とのなす角度θfは、
図8(a)に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
【0072】
以上のように構成される第2孔型K2−1において、先ず、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に突起部95、96が押し当てられることにより、深さの小さい割り込み98、99が形成される。ここで、第2孔型K2aでの造形は例えば多パスにより行われるが、この多パス造形のうちの少なくとも1パス以上は、
図8(a)に示すように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第2孔型K2aの孔型上面90a、90b及び孔型底面91a、91b)が接触していることが好ましい。これは、第2孔型K2aでの圧延造形において4箇所のフランジ相当部(後のフランジ部80)の長さを揃えることで、後に造形されるフランジ部80の寸法精度の向上を図るためである。
そして、被圧延材Aが第2孔型K2−2へ送られ、当該第2孔型K2−2では、割り込み98、99の深さを更に深くするような造形が行われ、割り込み38、39が形成されることになる。
【0073】
図8に示すような、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に、形成させる深さが異なる2段階の工程で割り込み38、39を形成させることで、割り込み形成時に生じてしまう形状不良等の問題が軽減される。即ち、被圧延材Aの左右方向に関する溝ずれ等のセンタリング不良や、それに伴うフランジ相当部の厚みの不均一性、フランジ左右厚み差異等が抑制される。
【0074】
また、
図8に示す2段階で構成される第2孔型では、後段の第2孔型K2−2においてのみ孔型側面30c及び31cが被圧延材Aを拘束するように、当該被圧延材Aの側面に当接する構成を採っている。これは、2段階で構成される第2孔型K2−1、K2−2の両方で被圧延材Aの側面を拘束してしまうと、両方の孔型でフランジ相当部の厚みが減じられることになり、当該フランジ相当部(後のフランジ部80)の厚みが、孔型底に向かうにつれて薄くなってしまう恐れがあるからである。加えて、2段階の第2孔型両方において被圧延材Aの側面を拘束する構成とすると、孔型設計上、第2孔型K2−1とK2−2の両方の孔型の両側にカラーを設ける構成にしなくてはならず、ロール胴長に制約がある中で孔型刻設スペースが増大してしまうことが懸念されるからである。
【0075】
なお、ここでは、第2孔型が2段階構成である場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。即ち、第2孔型が3段階以上の孔型群で構成されても良い。このような場合においては、当該3段階以上の孔型群のうちの最終孔型において被圧延材Aを左右の孔型側面によって拘束する構成としても良い。
【実施例】
【0076】
本発明の実施例として以下のような検証を行った。先ず、比較例として、
図2及び
図3に示す構成の第1孔型K1及び第2孔型K2を用いて圧延造形を行った場合の被圧延材長手方向でのフランジ相当部の厚み変動(フランジ厚変動)を測定した。そして、実施例として、
図2及び
図8に示す構成の第1孔型K1及び第2孔型K2−1、K2−2を用いて圧延造形を行った場合の被圧延材長手方向でのフランジ相当部の厚み変動(フランジ厚変動)を測定した。
本検証の条件としては、素材スラブ断面を1800mm×250mmとし、ウェッジ角度は全て40°とした。また、フランジ厚測定にあたり、検証対象のフランジ厚としては、被圧延材の上下左右4箇所に造形されるフランジ相当部の厚みの平均値を採用した。なお、フランジ相当部の厚みの平均値とは、当該フランジ相当部の根元部、中央部、先端部の厚みの平均値を採った値である。
【0077】
図9は比較例の検証結果を示すグラフである。
図9に示すように、比較例では、フランジ相当部の厚みが、上下左右の4箇所で大きく異なっている。即ち、4箇所のフランジ相当部が同じ厚みに造形されていないことが分かる。また、同一箇所のフランジ相当部において被圧延材長手方向で厚みが大きく変動している。即ち、1箇所のフランジ相当部に限って見た場合であってもその厚みは長手方向で大きく異なって造形されていることが分かる。
【0078】
一方、
図10は実施例の検証結果を示すグラフである。
図10に示すように、実施例では、フランジ相当部の厚みが、上下左右でほぼ等しくなっている。即ち、4箇所のフランジ相当部がほぼ同じ厚みに造形されていることが分かる。また、同一箇所のフランジ相当部において被圧延材長手方向で厚みの変動が小さい。即ち、1箇所のフランジ相当部に限って見た場合に、その厚みは長手方向でほぼ均一になるように造形されていることが分かる。
【0079】
以上の検証結果から、
図2及び
図3に示す構成の第1孔型K1及び第2孔型K2を用いて圧延造形を行った場合に比べ、
図2及び
図8に示す構成の第1孔型K1及び第2孔型K2−1、K2−2を用いて圧延造形を行った場合の方が、4箇所のフランジ相当部の厚み及び1箇所のフランジ相当部の長手方向における厚み変動のいずれもが均一化されていることが分かる。即ち、本発明に係る技術、具体的には、第2孔型において、孔型側面を被圧延材側面に当接させ、被圧延材を拘束した状態で圧延造形を実施するといった技術を採用することで、第2孔型での圧延造形後のフランジ相当部の均一化(4箇所のフランジ相当部厚みの均一化及びフランジ相当部厚みの長手方向における均一化)が実現されたことが分かる。