特許第6597448号(P6597448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6597448
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】ケーブル及びケーブルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/00 20060101AFI20191021BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   H01B7/00 306
   H01B13/00 521
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-64971(P2016-64971)
(22)【出願日】2016年3月29日
(65)【公開番号】特開2017-182954(P2017-182954A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】福山 健一
(72)【発明者】
【氏名】丸山 正幸
(72)【発明者】
【氏名】樋口 英也
【審査官】 和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−165586(JP,A)
【文献】 特開2015−056283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/00
H01B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリード線をシールド編線及び外被の順に一括して覆うケーブル線と、
前記ケーブル線の端部に接続されるコネクタと、
前記ケーブル線の端部外周を被覆して前記コネクタと絶縁するための第1の絶縁性チューブと、を有し、
前記ケーブル線の端部において前記外被の一部を除去して前記シールド編線を露出させ、
前記シールド編線を前記外被とほぼ同じ位置で切断して前記複数のリード線を露出させ、
前記複数のリード線のうち、一部のリード線を前記コネクタに結線し、それ以外のリード線を前記シールド編線よりも長く、かつ前記コネクタと結線させたリード線よりも短くなるように切断し、
前記シールド編線の切断部及び前記コネクタに結線しないリード線の端部を隠すように前記第1の絶縁性チューブで覆うことを特徴とするケーブル。
【請求項2】
前記ケーブル線は、前記シールド編線内を貫通するドレインワイヤと、
前記ドレインワイヤの端部外周を被覆して前記コネクタと絶縁するための第2の絶縁性チューブと、を有し、
前記シールド編線の切断部から前記ドレインワイヤを引き出して前記コネクタに接続させるとともに、前記ドレインワイヤが露出したままの部分を前記第2の絶縁性チューブで覆うことを特徴とする請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記ケーブルは、サーボモータと、前記サーボモータを駆動制御するためのドライバとの接続に使用するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のケーブル。
【請求項4】
前記サーボモータは、レゾルバを有し、
前記ケーブルは、前記レゾルバからのアナログ信号を前記ドライバに送信可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載のケーブル。
【請求項5】
前記ケーブル線は、前記リード線の配置が、最も中心部に配置されるものと、その外側に配置されるものとからなる、2層以上の構造を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項6】
複数のリード線をシールド編線及び外被の順に一括して覆うケーブル線と、
前記ケーブル線の端部に接続されるコネクタと、
前記ケーブル線の端部外周を被覆して前記コネクタと絶縁するための第1の絶縁性チューブと、を有するケーブルの製造方法であって、
前記ケーブル線の端部において前記外被の一部を除去して前記シールド編線を露出させ、
前記シールド編線を前記外被とほぼ同じ位置で切断して前記複数のリード線を露出させ、
前記複数のリード線のうち、一部のリード線を前記コネクタに結線し、それ以外のリード線を前記シールド編線よりも長く、かつ前記コネクタと結線させたリード線よりも短くなるように切断し、
前記シールド編線の切断部及び前記コネクタに結線しないリード線の端部を隠すように前記第1の絶縁性チューブで覆うことを特徴とするケーブルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイレクトドライブモータなど、サーボモータの駆動制御全般に使用するケーブル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のケーブルでは、コネクタと結線しないリード線を、シールド編線とほぼ同じ位置で切断して絶縁性チューブ内に収めたり、コネクタと結線するリード線と同じ長さに切断したりして、コネクタ内に収めていた(例えば、特許文献1、2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−204955号公報
【特許文献2】特開平10−50418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のケーブルでは、結線しないリード線を構成する導体が、同じく導体であるコネクタシェルやシールド編線などに接触することにより、コネクタに結線したリード線が伝達するインピーダンスに変化を与え、電気的特性が変わることがあった。
【0005】
特に、ケーブルが、サーボモータとドライバとの接続に使用され、レゾルバ用の信号など回転体のインピーダンスをセンシングする信号を伝送する場合、このような電気的特性の変化は、モータの回転精度の悪化、回転音の増大、停止のさせ辛さなどを招きかねず、好ましくないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、安定した電気的特性を持つケーブル及びケーブルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るケーブルは、複数のリード線をシールド編線及び外被の順に一括して覆うケーブル線と、前記ケーブル線の端部に接続されるコネクタと、前記ケーブル線の端部外周を被覆して前記コネクタと絶縁するための第1の絶縁性チューブと、を有し、前記ケーブル線の端部において、前記外被の一部を除去して前記シールド編線を露出させ、前記シールド編線を前記外被とほぼ同じ位置で切断して前記複数のリード線を露出させ、前記複数のリード線のうち、一部のリード線を前記コネクタに結線し、それ以外のリード線を前記シールド編線よりも長く、かつ前記コネクタと結線させたリード線よりも短くなるように切断し、前記シールド編線の切断部及び前記コネクタに結線しないリード線の端部を隠すように前記第1の絶縁性チューブで覆う。
【0008】
本発明に係るケーブルにおいて、前記ケーブル線は、前記シールド編線内を貫通するドレインワイヤと、前記ドレインワイヤの端部外周を被覆して前記コネクタと絶縁するための第2の絶縁性チューブと、を有し、前記シールド編線の切断部から前記ドレインワイヤを引き出して前記コネクタに接続させるとともに、前記ドレインワイヤが露出したままの部分を前記第2の絶縁性チューブで覆うことが好ましい。
【0009】
本発明に係るケーブルは、サーボモータと、前記サーボモータを駆動制御するためのドライバとの接続に使用するものであることが好ましい。
【0010】
本発明に係るケーブルにおいて、前記サーボモータは、レゾルバを有し、前記ケーブルは、前記レゾルバからのアナログ信号を前記ドライバに送信可能に構成されていることが好ましい。
【0011】
本発明に係るケーブルにおいて、前記ケーブル線は、前記リード線の配置が、最も中心部に配置されるものと、その外側に配置されるものとからなる、2層以上の構造であることが好ましい。
【0012】
本発明に係るケーブルの製造方法は、複数のリード線をシールド編線及び外被の順に一括して覆うケーブル線と、前記ケーブル線の端部に接続されるコネクタと、前記ケーブル線の端部外周を被覆して前記コネクタと絶縁するための第1の絶縁性チューブと、を有するケーブルの製造方法であって、前記ケーブル線の端部において、前記外被の一部を除去して前記シールド編線を露出させ、前記シールド編線を前記外被とほぼ同じ位置で切断して前記複数のリード線を露出させ、前記複数のリード線のうち、一部のリード線を前記コネクタに結線し、それ以外のリード線を前記シールド編線よりも長く、かつ前記コネクタと結線させたリード線よりも短くなるように切断し、前記シールド編線の切断部及び前記コネクタに結線しないリード線の端部を隠すように前記第1の絶縁性チューブで覆う。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、安定した電気的特性を持つケーブル及びケーブルの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係るケーブルの全体構成図である。
図2】本実施形態に係るケーブルを構成するケーブル線とコネクタとの接続構造を説明する断面図である。
図3】本実施形態に係るケーブルを構成するケーブル線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。
【0016】
本実施形態に係るケーブル100は、図1及び図2に示すように、ケーブル線10と、ケーブル線10の両端に接続されるコネクタ20(20A,20B(図2では略))と、ケーブル線10の端部外周を被覆する第1の絶縁性チューブ30とを有する。
【0017】
ケーブル線10は、図3に示すように、断面円形であり、伝送部11と、伝送部11を収納してその表面を被覆する円筒状の外被としてのシース12とを有する。
【0018】
伝送部11は、繊維性の介在11Aと、介在11Aとともに均等に配置され、太さが等しい複数のリード線11Bと、これらリード線11Bの外側に配置される押え巻11Cと、押え巻11Cの外側に配置される金属製のシールド編線11Dと、シールド編線11D内を貫通する少なくとも1本のグラウンド用の導線であるドレインワイヤ11Eとを有する。また、シース12は、樹脂製であり、シールド編線11Dの表面を被覆している。
【0019】
リード線11Bは、その中心に配置される導線11Baと、その導線を外側から被覆する絶縁体製の外被11Bbとから構成されている。
【0020】
なお、本実施形態においては、リード線11Bの配置が、最も中心部に配置されるものと、その外側に配置されるものとからなる、2層以上の構造を有していることが好ましい。
【0021】
押え巻11Cは、紙製のテープであり、リード線11Bの束を外側から螺旋状に巻いて、各リード線11Bを一つにまとめるものである。押え巻11Cでしっかりと巻くことによって、各リード線11Bの位置がずれないようになっている。
【0022】
シールド編線11Dは、細い電線を網目状に編んだものであり、リード線11Bの束を内包して、ノイズの発生を防止する遮蔽として使用される。
【0023】
コネクタ20は、リード線11Bと結線させるコネクタプラグ21と、コネクタプラグ21を保持するコネクタシェル22とを有する。
【0024】
第1の絶縁性チューブ30は、ケーブル線10の端部に被せられ、コネクタ20と結線しないリード線11B´及びシールド編線11Dを固定するとともに、他部品と絶縁する。なお、第1の絶縁性チューブ30は、熱収縮性チューブであることが好ましい。
【0025】
本実施形態に係るケーブル100は、複数のリード線11Bのうち、一部のリード線をコネクタプラグ21のピンと結線させ、それ以外のリード線(11B´)をシールド編線11Dよりも長く、かつ前記コネクタプラグ21と結線させたリード線よりも短くなるように切断するとともに、シールド編線11Dの切断部及びコネクタプラグ21に結線しないリード線(11B´)の端部を隠すように、第1の絶縁性チューブ30で覆うように製造されている。
【0026】
このように結線しないリード線を短く切断し定位置に固定してシールド編線11Dや(コネクタシェル22等の)コネクタ20と接触しないように構成すること(図1及び図2に示す記号11B´)で、安定した電気的特性を持つケーブル100を提供することができる。
【0027】
本実施形態に係るケーブル100は、図2に示すように、ケーブル線10が、シールド編線11D内を貫通するドレインワイヤ11Eと、ドレインワイヤ11Eの端部外周を被覆してコネクタシェル22と絶縁するための第2の絶縁性チューブ40と、を有し、シールド編線11Dの切断部からドレインワイヤ11Eを引き出してコネクタプラグ21に接続させるとともに、ドレインワイヤ11Dが露出したままの部分を第2の絶縁性チューブ40で覆うことが好ましい。なお、第2の絶縁性チューブ40は、熱収縮性チューブであることが好ましい。
【0028】
このようにドレインワイヤ11Dを(コネクタシェル22等の)コネクタ20と接触しないように構成することで、より安定した電気的特性を持つケーブル100を提供することができる。
【0029】
本実施形態に係るケーブル100は、サーボモータと、前記サーボモータを駆動制御するためのドライバ(いずれも図示略)との接続に使用するものである。また、前記サーボモータがレゾルバ(図示略)を有する場合、ケーブル100はレゾルバからのアナログ信号をドライバに送信可能に構成されていることが好ましい。
【0030】
このようにサーボモータとドライバとの接続に使用され、レゾルバ用の信号など回転体のインピーダンスをセンシングする信号を伝送する場合に、安定した電気的特性を持つケーブル100を用いることで、モータの回転精度の向上、回転音の抑制、停止させ易さなど、高精度なモータの駆動制御を行うことができる。
【符号の説明】
【0031】
10 ケーブル線
11 伝送部
11A 介在
11B リード線
11B´ コネクタと結線しないリード線
11C 押え巻
11D シールド編線
11E ドレインワイヤ
12 シース(外被)
20(20A,20B) コネクタ
21 コネクタプラグ
22 コネクタシェル
30 第1の絶縁性チューブ
40 第2の絶縁性チューブ
100 ケーブル

図1
図2
図3