特許第6597466号(P6597466)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6597466
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】ウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
   C21D 1/00 20060101AFI20191021BHJP
   F27B 9/24 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   C21D1/00 112Z
   F27B9/24 W
   C21D1/00 114B
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-81912(P2016-81912)
(22)【出願日】2016年4月15日
(65)【公開番号】特開2017-190511(P2017-190511A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2018年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 正司
【審査官】 河野 一夫
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−057262(JP,U)
【文献】 実開昭56−078861(JP,U)
【文献】 実開昭57−044162(JP,U)
【文献】 米国特許第04863376(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 1/00
F27B 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォーキングビーム式加熱炉の炉室内に連通し、移動ビームが挿通された開口部を遮蔽する遮蔽装置であって、
当該遮蔽装置は、前記炉室下に設けられ、
前記開口部に固定された第1遮蔽板と、
前記移動ビームに設けられた第2遮蔽板とを備え、
前記第1遮蔽板および前記第2遮蔽板で前記開口部を遮蔽することを特徴とするウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置。
【請求項2】
請求項1に記載のウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置において、
前記炉室を下方で支持する炉室支持部内に設けられていることを特徴とするウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置において、
前記第1遮蔽板は、前記開口部に固定された基端部から先端部に向かって下方に傾斜していることを特徴とするウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置において、
前記第2遮蔽板は、前記移動ビームに固定された基端部から先端部に向かって下方に傾斜していることを特徴とするウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置において、
前記移動ビームが支持された移動フレームに設けられ、前記炉室を封止する液体が収容されたシールトラフと、
前記液体で前記第1遮蔽板を冷却する冷却管とを備え、
前記冷却管は、前記第1遮蔽板から下方に延設され、その開口端が前記シールトラフ内に収容された前記液体に浸漬されていることを特徴とするウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置において、
前記第2遮蔽板上に設けられ、落下物を受ける受け箱を備えていることを特徴とするウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄所での圧延工程においては、炉室内でスラブ等の鋼片を加熱しながら搬送するウォーキングビーム式加熱炉が使用される。ウォーキングビーム式加熱炉では、炉室下に設けた駆動機構で移動ビームを移動させるため、移動ビームポストを駆動機構から炉室内に向けて挿通する開口部が設けられている。このため、開口部を通じて、炉室内の二酸化炭素濃度の上昇や、熱損失による燃焼効率の低下が生じるという課題がある。そこで、特許文献1〜2に記載のように、開口部を遮蔽する遮蔽装置を設けることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−290722号公報
【特許文献2】特開昭55−85882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の遮蔽装置は、炉室内に設けられているため、高温雰囲気に曝されることによる変形や劣化が生じやすく、耐久性が劣ってしまうという問題がある。
特許文献2に記載の遮蔽装置は、構造が複雑であるため、やはり耐久性に問題がある。
【0005】
本発明の目的は、耐久性を向上できるウォーキングビーム式加熱炉の開口部を遮蔽する遮蔽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置は、ウォーキングビーム式加熱炉の炉室内に連通し、移動ビームが挿通された開口部を遮蔽する遮蔽装置であって、当該遮蔽装置は、前記炉室下に設けられ、前記開口部に固定された第1遮蔽板と、前記移動ビームに設けられた第2遮蔽板とを備え、前記第1遮蔽板および前記第2遮蔽板で前記開口部を遮蔽することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、ウォーキングビーム式加熱炉の開口部を遮蔽する遮蔽装置が炉室下に設けられているため、遮蔽装置が直接ふく射熱の影響を受けにくくなり、高温雰囲気による遮蔽装置の変形や劣化を抑制することができる。また、開口部に固定された第1遮蔽板と、移動ビームに設けられた第2遮蔽板とで遮蔽装置が構成されるため、遮蔽装置の構造を簡素化することができる。従って、ウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置の耐久性を向上することができる。
【0008】
本発明のウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置は、前記炉室を下方で支持する炉室支持部内に設けられていることが好ましい。
【0009】
本発明によれば、遮蔽装置が炉室支持部内に配置されているため、炉室支持部内のスペースを利用して遮蔽装置を配置でき、ウォーキングビーム式加熱炉全体の高さを抑えることができる。
【0010】
本発明のウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置において、前記第1遮蔽板は、前記開口部に固定された基端部から先端部に向かって下方に傾斜していることが好ましい。
【0011】
本発明によれば、第1遮蔽板が基端部から先端部に向かって下方に傾斜しているため、開口部内の落下物が第1遮蔽板の傾斜に沿って滑り落ちることができ、落下物が第1遮蔽板上に滞留することを防止できる。
【0012】
本発明のウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置において、前記第2遮蔽板は、前記移動ビームに固定された基端部から先端部に向かって下方に傾斜していることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、開口部内の落下物が第2遮蔽板の傾斜に沿って滑り落ちることができ、落下物が第2遮蔽板上に滞留することを防止できる。
【0014】
本発明のウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置は、前記移動ビームが支持された移動フレームに設けられ、前記炉室を封止する液体が収容されたシールトラフと、前記液体で前記第1遮蔽板を冷却する冷却管とを備え、前記冷却管は、前記第1遮蔽板から下方に延設され、その開口端が前記シールトラフ内に収容された前記液体に浸漬されていることが好ましい。
【0015】
本発明によれば、冷却管の下方側の開口端がシールトラフ内に収容された液体に浸漬されているため、移動ビームを移動させる際のシールトラフの昇降動作により、シールトラフ内の液体を冷却管に流れ込ませることができ、移動ビームのモーションを利用して第1遮蔽板を冷却することができる。
【0016】
本発明のウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置は、前記第2遮蔽板上に設けられ、落下物を受ける受け箱を備えていることが好ましい。
【0017】
本発明によれば、落下物を受け箱で受けることができるので、落下物がシールトラフ内に落ちて堆積することを防止できる。また、開閉式の点検口を設ければ、受け箱で受けた落下物を点検口を介して回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るウォーキングビーム式加熱炉を示す側面図。
図2】ウォーキングビーム式加熱炉の封止装置を示す斜視図。
図3】ウォーキングビーム式加熱炉の遮蔽装置を示す側面図。
図4】遮蔽装置の動作説明図。
図5】遮蔽装置の動作説明図。
図6】本発明の変形例に係る遮蔽装置を示す側面図。
図7】本発明の変形例に係る遮蔽装置を示す側面図。
図8】本発明の変形例に係る遮蔽装置を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態において、方向を表す場合、鋼片の搬送方向(図1の手前方向、図3の右方向)を基準とし、前は当該搬送方向、後はその反対方向、上下左右は当該搬送方向から見たそれぞれの方向とする。
【0020】
[ウォーキングビーム式加熱炉の全体構造]
図1において、ウォーキングビーム式加熱炉1は、炉室2と、炉室2を下方で支持する炉室支持部3と、複数の固定ビーム4と、複数の移動ビーム5と、炉室2内に連通し、移動ビーム5が挿通された開口部22、31を遮蔽する遮蔽装置6と、炉室2を封止する封止装置としての水封装置7と、移動ビーム5を移動させる移動装置8とを備えている。
【0021】
炉室2は、耐火れんが等の耐火材で形成されている。この炉室2は、炉床21と、炉床21を貫通して上下に開口した開口部22とを備えている。開口部22は、前後方向に長い長円形状を有し、移動ビーム5の前後方向の移動スペースを確保できる最小限の大きに形成されている。
【0022】
炉室支持部3は、炉室2の下方に設けられ、炉室2を炉床21側から支持している。この炉室支持部3は、上下に開口した開口部31を備えている。開口部31は、開口部22の直下に設けられ、開口部22を介して炉室2内と連通する。
本実施形態の場合、炉室支持部3は、図2にも示すように、平行に配置された複数のH形鋼と、その間に架け渡されたH形鋼とを備え、これらのH形鋼を相互に溶接した横梁(炉床横梁)で構成される。また、開口部31は、横梁におけるH形鋼で形成された枠体で構成される。
【0023】
固定ビーム4は、炉室2内に設けられ、左右方向に複数並設されている。各固定ビーム4は、炉床21に前後方向に間隔を空けて立設された複数の支柱41と、これら支柱41の上端に架け渡され、前後方向に延設された梁42とを備えている。
【0024】
移動ビーム5は、隣接する固定ビーム4の間に配置されている。各移動ビーム5は、移動フレーム81に前後方向に間隔を空けて立設された複数の支柱51と、これら複数の支柱51の上端に架け渡され、前後方向に延設された梁52とを備えている。このうち、支柱51は、開口部22、31に挿通され、梁52は、炉室2内に配置されている。
【0025】
遮蔽装置6は、炉室2下に設けられ、開口部31内に収容されている。この遮蔽装置6は、開口部31を遮蔽することで、当該開口部31に連通する開口部22を遮蔽する。遮蔽装置6の詳細については、後述する。
【0026】
水封装置7は、図2にも示すように、炉室2を封止する液体としてのシール水が収容されたシールトラフ71と、炉室支持部3の下部に設けられ、下端側がシールトラフ71内のシール水に浸漬されたシールボックス72と、シールボックス72に支持されたスクレーパ73とを備えている。
シールトラフ71は、上部が開口した水槽であり、移動フレーム81の上面に設けられている。このシールトラフ71は、前後方向に延設され、1つの移動ビーム5に対して設けられた全てのシールボックス72の下端部を収容する。
シールボックス72は、筒状の部材であり、一般に高温腐食を防止するために耐腐食性を有する鋼板で形成される。このシールボックス72は、後述する第1遮蔽板61の下面に固定され、開口部31、22を介して炉室2内と連通する。
スクレーパ73は、シールボックス72の前面部および後面部から前後方向に延設されたブラケット74に取り付けられ、当該ブラケット74を介してシールボックス72に支持されている。
【0027】
移動装置8は、水封装置7とともに、炉室支持部3の下方の空間に配置されている。この移動装置8は、移動フレーム81と、油圧モータや電気モータ等の原動機82と、原動機82の出力軸に接続され、移動フレーム81の底面部に当接するカム83と、移動フレーム81を前後方向に往復動させる図示しない油圧シリンダとを備えている。
【0028】
[遮蔽装置]
図3において、遮蔽装置6は、開口部31に固定された第1遮蔽板61と、移動ビーム5に設けられた第2遮蔽板62と、シール水で第2遮蔽板を冷却する冷却管63と、第2遮蔽板62上に設けられた受け箱64と、開口部31内を点検するための開閉式の点検口65とを備えている。
【0029】
第1遮蔽板61は、SS材やSUS材で形成したものや、当該鋼材とセラミックス等の耐火材とで形成したもので構成され、開口部31の開口縁に沿って形成された環状形状を有し、開口部22、31を遮蔽する。この第1遮蔽板61は、基端部としての外縁部61Aが開口部31の下面に固定され、先端部としての内縁部61Bが開口部31の中心側に向かって張り出している。また、第1遮蔽板61は、外縁部61Aから内縁部61Bに向かって下方に傾斜している。
【0030】
第2遮蔽板62は、開口部31内に設けられ、開口部22、31を遮蔽する。この第2遮蔽板62は、移動ビーム5の支柱51に支持され、当該支柱51から傘状に張り出した形状を有している。この第2遮蔽板62も、SS材、SUS材等の鋼材で形成したものや、当該鋼材とセラミックス等の耐火材とで形成したもので構成される。
【0031】
冷却管63は、第1遮蔽板61内に設けられた第1管路63Aと、第1遮蔽板61から下方に延設された第2管路63Bと、シールトラフ71側への逆流を防止する逆止機構63Cとを備えている。
第1管路63Aは、第1遮蔽板61の傾斜に沿って延設され、第1遮蔽板61の下面から第1遮蔽板61の内縁にかけて当該第1遮蔽板61を貫通し、シールトラフ71に向けて開放する。
第2管路63Bは、第1遮蔽板61の下面で第1管路63Aに接続され、第1管路63Aと連通する。第2管路63Bの下方の開口端は、シールトラフ71内に収容されたシール水に浸漬されている。
逆止機構63Cは、第2管路63B内に設けられている。
【0032】
受け箱64は、上方が開口した円筒状の箱状体で構成され、その側面部および底面部が網目状に形成されている。この受け箱64により、開口部31内に落下したスケール塊や脱落した耐火物、スキッドボタン等の大きめの固形物塊等の落下物を受けることができる。このため、落下物が開口部31を通ってシールトラフ71内に落下することを防止でき、落下物によるスクレーパ73の破損を防止できる。
【0033】
点検口65は、炉室支持部3を構成する横梁に設けられ、開閉可能に構成されている。この点検口65を開けることで、開口部31内の遮蔽装置6を点検したり、受け箱64に収容された落下物を回収したりすることができる。
【0034】
[ウォーキングビーム式加熱炉および遮蔽装置の動作]
以上のウォーキングビーム式加熱炉1において、移動ビーム5による鋼片の搬送動作および遮蔽装置6の動作について説明する。
先ず、移動ビーム5は、図1中実線で示すように、梁52が固定ビーム4の梁42よりも下方に位置している。この際、第2遮蔽板62は、図4中実線で示す位置で開口部22、31を遮蔽している。
【0035】
そして、鋼片が炉室2内に搬入されると、原動機82が駆動され、カム83が回転して移動フレーム81が上昇する。これにより、図1中二点鎖線で示すように、移動ビーム5が上昇し、その梁52で鋼片を押し上げる。この際、第2遮蔽板62は、図4中二点鎖線で示す位置で開口部22、31を遮蔽する。また、シールトラフ71が移動フレーム81とともに上昇するため、シールトラフ71内のシール水が冷却管63の第2管路63B内に流れ込んで上昇し、第1管路63A内を流れて第1遮蔽板61を冷却する。その後、シール水は、第1管路63Aから開口部31内に放出され、シールボックス72内を流れ落ちてシールトラフ71に戻る。
【0036】
次いで、図示しない油圧シリンダが駆動され、移動フレーム81が前方に移動し、鋼片を前方に移動させる。これにより、図5に示すように、移動ビーム5が前方に移動する。この際、第2遮蔽板62は、図5中実線で示す位置で開口部22、31を遮蔽する。また、シールトラフ71が移動フレーム81とともに前方に移動するため、スクレーパ73がシールトラフ71内に落ちた落下物を後方に掻いて移動させる。続いて、原動機82が駆動され、移動ビーム5が移動フレーム81とともに下降し、鋼片が移動ビーム5から固定ビーム4に移載される。この際、第2遮蔽板62は、図5中二点鎖線で示す位置で開口部22、31を遮蔽する。そして、図示しない油圧シリンダが駆動され、移動ビーム5が移動フレーム81とともに後方に移動し、図4中実線で示す位置に戻る。その後は、上記同様の動作が繰り返され、鋼片が前方に順次搬送される。
【0037】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
すなわち、遮蔽装置6が炉室2下に設けられているため、高温雰囲気による遮蔽装置6の変形や劣化を抑制することができる。また、開口部31に固定された第1遮蔽板61と、移動ビーム5に設けられた第2遮蔽板62とで遮蔽装置6が構成されるため、遮蔽装置6の構造を簡素化することができる。従って、遮蔽装置6の耐久性を向上することができる。
また、遮蔽装置6が炉室2下に設けられているため、遮蔽装置6を容易にメンテナンスすることができ、遮蔽装置6のメンテナンス性を向上できる。
さらに、遮蔽装置6が炉室支持部3内に配置されているため、炉室支持部3内のスペースを利用して遮蔽装置6を配置でき、ウォーキングビーム式加熱炉1全体の高さを抑えることができる。従って、ウォーキングビーム式加熱炉1の建設費用を低減できるとともに、据え付け工事の工期短縮を図ることができる。
【0038】
また、第1遮蔽板61が外縁部61Aから内縁部61Bに向かって下方に傾斜しているため、開口部31内の落下物が第1遮蔽板61の傾斜に沿って滑り落ちることができ、落下物が第1遮蔽板61上に滞留することを防止できる。
【0039】
また、冷却管63の下方側の開口端がシールトラフ71内に収容されたシール水に浸漬されているため、移動ビーム5を移動させる際のシールトラフ71の昇降動作により、シールトラフ71内のシール水を冷却管63に流れ込ませることができ、移動ビーム5のモーションを利用して第1遮蔽板61を冷却することができる。
【0040】
また、落下物を受け箱64で受けることができるので、大きめの固形落下物がシールトラフ71内に落ちて堆積することを防止でき、スクレーパ73が破損することを防止できる。また、開閉式の点検口65が設けられているため、受け箱64で受けた落下物を点検口65を介して回収することができる。
【0041】
[変形例]
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の改良ならびに設計の変更などが可能であり、以下のような変形を含むものである。
【0042】
例えば、遮蔽装置6は、図6に示すように、第1遮蔽板61と第2遮蔽板62とを接続する遮蔽部材66を備えてもよい。遮蔽部材66は、可撓性を有する素材で形成され、移動ビーム5の移動に合わせて変形可能に構成されている。この遮蔽部材66としては、小さな落下物が通過できる大きさの網目状に形成したものを、第1遮蔽板61と第2遮蔽板62との間の隙間全体にわたって設けてもよいし、第1遮蔽板61と第2遮蔽板62との間の隙間に周方向に間隔を空けて複数の遮蔽部材66設け、当該隙間を周方向に断続して閉塞してもよい。
【0043】
遮蔽装置6は、図7に示す冷却管67を備えてもよい。冷却管67は、第1管路63Aと同様に構成された第1管路67Aと、上方に湾曲した湾曲部67Dを有する第2管路67Bと、湾曲部67D内に設けられた逆止機構67Cとを備えている。このような冷却管67を設ければ、シールトラフ71が移動フレーム81とともに下降した際も、シールトラフ71内のシール水を冷却管67内に流れ込ませることができる。
【0044】
遮蔽装置6は、シールボックス72内に設けられてもよく、例えば、第1遮蔽板61がシールボックス72内で当該シールボックス72に固定され、第2遮蔽板62がシールボックス72内で移動ビーム5の支柱51に支持されてもよい。
また、遮蔽装置6は、開口部31およびシールボックス72にわたって設けられてもよく、例えば、第1遮蔽板61が開口部31内に設けられ、第2遮蔽板62がシールボックス72内で移動ビーム5の支柱51に支持されてもよい。
【0045】
前記実施形態では、第1遮蔽板61は、開口部31の下面に固定されていたが、開口部31内で当該開口部31に固定されてもよい。
また、第1遮蔽板61は、図8に示すように、シールボックス75の一部として構成されてもよい。このシールボックス75は、上方側の第1筒状部75Aと、第1筒状部75Aの下端から下方に向って前後左右の幅が次第に狭幅する第1遮蔽板としての狭幅部75Bと、狭幅部75Bの下端に連続する第2筒状部75Cとを備えている。この場合、第1遮蔽板は、第1筒状部75Aが開口部31に支持されることで、第1筒状部75Aを介して開口部31に固定される。
【0046】
冷却管63、67の第1管路63A、67Aは、開口部31内に開口しなくてもよく、例えば、第1遮蔽板61の底面における第1管路63A、67Aとの接続部以外の位置で開口してもよい。この場合でも、冷却管63、67から放出されたシール水は、シールボックス72内を流れ落ちてシールトラフ71に戻る。
前記実施形態では、移動ビーム5のモーションを利用して第1遮蔽板61を冷却していたが、冷却能力を拡大するために、炉室2下のスペースを活用して、ポンプで送水してもよい。
【0047】
前記実施形態では、受け箱64の側面部および底面部が網目状に形成されていたが、一定の大きさの落下物が通り抜けることができれば、これに限られず、例えば、すのこ状や格子状に形成されてもよい。
【0048】
前記実施形態では、点検口65は、炉室支持部3を構成する横梁に設けられていたが、シールボックス75が図8に示す構成の場合、当該シールボックス75に設けてもよい。この際、横梁の外側から点検口65を開閉できるよう、横梁に開口部を設ければよい。
【0049】
前記実施形態では、封止装置として水封装置7が用いられていたが、シール水以外の液体で炉室2を封止するものであってもよい。
【0050】
移動装置8は、前記実施形態のものに限られず、例えば、移動フレーム81の底面部に出力軸が接続された油圧シリンダその他の構成によって、移動フレーム81を移動させるものであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…ウォーキングビーム式加熱炉、2…炉室、3…炉室支持部、4…固定ビーム、5…移動ビーム、6…遮蔽装置、7…水封装置、8…移動装置、22…開口部、31…開口部、61…第1遮蔽板、62…第2遮蔽板、63…冷却管、64…受け箱、71…シールトラフ、81…移動フレーム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8