(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
展開膨張時に車両の窓を覆う構成とされて前記窓の車内側における上縁側に収納されるエアバッグと、該エアバッグの上縁側を前記窓の上縁側のボディ側に取り付ける取付ブラケットと、展開膨張時の下縁側を上縁側に接近させるように折り畳んだ前記エアバッグの折り完了体を収納する合成樹脂製のケースと、を備える構成として、
前記ケースが、少なくとも下方を開口させて構成されるとともに、前記取付ブラケットを取り付けた状態の前記折り完了体を、下方側から内部に挿入させて、内部に収納させる構成とされ、
前記取付ブラケットが、前記ボディ側に取り付けられる部位として前記ケースから突出するように配設される取付片部と、該取付片部の元部側に配設されて前記ケースに連結される連結板部と、を備える構成とされ、
前記連結板部が、上下方向に略沿って配置される略板状として構成され、
前記ケースが、前記連結板部を係合させる係合部を備える構成とされる頭部保護エアバッグ装置であって、
前記係合部が、前記折り完了体を内部に収納させる際に前記連結板部を上下方向に略沿ってスライド移動させつつ挿入可能な挿入用隙間と、車内外方向に略沿って突出するように形成されて前記連結板部に形成される係止孔に挿入されて前記連結板部の上下のずれを規制可能に前記連結板部を係止するように形成される係止爪部と、を有するとともに、前記係止孔に前記係止爪部を挿入させた状態で、前記連結板部の車内側と車外側とを押えて前記連結板部の車内外方向側への移動を規制可能とする車内側押え面及び車外側押え面を、備える構成とされていることを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。
前記係止爪部が、上下方向に略沿って配置される係止首部と、該係止首部の先端側から車内外方向に略沿って突出するように形成されて前記係止孔に挿入されて前記連結板部を係止する爪本体と、を備える構成とされ、
前記係止首部における前記連結板部側の面が、前記車内側押え面若しくは前記車外側押え面を、構成していることを特徴とする請求項1に記載の頭部保護エアバッグ装置。
前記係止爪部を突出させている側に配置される前記車内側押え面若しくは前記車外側押え面が、前記係止爪部から前後方向側で離れた位置にも配置されていることを特徴とする請求項2に記載の頭部保護エアバッグ装置。
前記係合部が、前記連結板部の上面側に当接して、前記連結板部の上方側へのずれを規制する上方移動規制面を、有していることを特徴とする請求項4に記載の頭部保護エアバッグ装置。
前記係合部が、前記連結板部の前後両側の面にそれぞれ当接して、前記連結板部の前後方向側へのずれを規制する前後移動規制面を、有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の頭部保護エアバッグ装置。
前記エアバッグが、バッグ本体と、該バッグ本体の上縁から上方に突設されて前記取付ブラケットと連結される可撓性を有したループ状の連結タブと、を備える構成とされ、
前記取付ブラケットが、前記係止孔を、前記連結タブを挿通させる連結孔から、構成していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の頭部保護エアバッグ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の頭部保護エアバッグ装置では、ケースが、車内側のみを開口させた構成とされることから、取付ブラケットは、取付片部を先端側に向けるように、横倒しにした状態で、ケースの車内側から差し込み、車内側押え面と車外側押え面を周縁に配設させている取付用の開口を挿通させ、その後、連結板部を上下方向に沿わせるように回転させつつ、連結板部の下端側を車外側に押圧して、ケースの下端側に形成される車外側押え面を乗り越えさせることにより、連結板部をケースに連結させる構成であった。すなわち、従来の頭部保護エアバッグ装置では、取付ブラケットを、ケースに対して大きく回転させるようにして、連結板部をケースに連結させる構成であることから、連結板部のケースへの連結作業が簡便ではなく、連結板部をケースへの連結作業を簡便とする点に、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、取付ブラケットのケースに対する位置ずれを的確に抑制して、連結板部を簡便にケースに連結させることが可能な頭部保護エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置は、展開膨張時に車両の窓を覆う構成とされて窓の車内側における上縁側に収納されるエアバッグと、エアバッグの上縁側を窓の上縁側のボディ側に取り付ける取付ブラケットと、展開膨張時の下縁側を上縁側に接近させるように折り畳んだエアバッグの折り完了体を収納する合成樹脂製のケースと、を備える構成として、
ケースが、少なくとも下方を開口させて構成されるとともに、取付ブラケットを取り付けた状態の折り完了体を、下方側から内部に挿入させて、内部に収納させる構成とされ、
取付ブラケットが、ボディ側に取り付けられる部位としてケースから突出するように配設される取付片部と、取付片部の元部側に配設されてケースに連結される連結板部と、を備える構成とされ、
連結板部が、上下方向に略沿って配置される略板状として構成され、
ケースが、連結板部を係合させる係合部を備える構成とされる頭部保護エアバッグ装置であって、
係合部が、折り完了体を内部に収納させる際に連結板部を上下方向に略沿ってスライド移動させつつ挿入可能な挿入用隙間と、車内外方向に略沿って突出するように形成されて連結板部に形成される係止孔に挿入されて連結板部の上下のずれを規制可能に連結板部を係止するように形成される係止爪部と、を有するとともに、係止孔に前記係止爪部を挿入させた状態で、連結板部の車内側と車外側とを押え連結板部の車内外方向側への移動を規制可能とする車内側押え面及び車外側押え面を、備える構成とされていることを特徴とする。
【0007】
本発明の頭部保護エアバッグ装置では、折り完了体をケースの内部に収納させる際に、取付ブラケットの連結板部を、ケースの係合部に形成される挿入用隙間に挿入させつつ、上下方向に略沿ってスライド移動させれば、係合部に配設される係止爪部が、連結板部に形成される係止孔に挿入されて、係止孔周縁(内周面)に係止されることとなる。すなわち、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、取付ブラケットの連結板部を、ケースの係合部に形成される挿入用隙間に挿入させて上下方向に略沿ってスライド移動させるだけで、連結板部を係合部に係合させることができることから、ケースの係合部への連結板部の係合作業が容易であり、取付ブラケットを多数備える長尺状の折り完了体を、簡便かつ迅速にケース内に収納させることができる。
【0008】
また、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、係止孔に係止爪部を挿入させた状態では、連結板部の車内側と車外側とは、ケースの係合部に形成される車内側押え面と車外側押え面とに押えられることとなる。すなわち、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、連結板部は、車内側押え面と車外側押え面とによって車内外方向側への移動を規制された状態で、係止孔周縁(内周面)に係止爪部を係止させることにより、上下方向側への大きな移動も規制されて、ケースに連結される構成である。そのため、取付ブラケットのケースに対する位置ずれを的確に抑制することができる。
【0009】
したがって、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、取付ブラケットのケースに対する位置ずれを的確に抑制して、連結板部を簡便にケースに連結させることができる。
【0010】
また、本発明の頭部保護エアバッグ装置において、係止爪部を、上下方向に略沿って配置される係止首部と、係止首部の先端側から車内外方向に略沿って突出するように形成されて係止孔に挿入されて連結板部を係止する爪本体と、を備える構成とし、
係止首部における連結板部側の面によって、車内側押え面若しくは車外側押え面を、構成することが、好ましい。
【0011】
頭部保護エアバッグ装置を上記構成とすれば、連結板部を挿入用隙間に沿ってスライド移動させる際に、係止首部が撓むこととなり、この係止首部の撓みによって、係止首部の先端側に配設される爪本体が、連結板部を、対向して配置される車内側押え面若しくは車外側押え面側に向かって押圧することとなる。そのため、連結板部を、ぶれることなく安定して上下方向に沿ってスライド移動させることが可能となる。また、連結板部のスライド移動が完了して、係止孔が係止爪部の爪本体に対応した位置に移動すれば、係止首部が復元されて、連結板部側の面で連結板部を押えて、爪本体が自動的に係止孔内に挿入されて連結板部を係止することとなり、連結板部の係合部への係合作業が一層容易となる。
【0012】
さらに、上記構成の頭部保護エアバッグ装置において、係止爪部を突出させている側に配置される車内側押え面若しくは車外側押え面を、係止爪部から前後方向側で離れた位置にも配置させる構成とすれば、連結板部を挿入用隙間に沿ってスライド移動させる際において、係止首部が撓んでいる状態においても、連結板部は、係止爪部の前後方向側で離れた位置に配置される車内側押え面若しくは車外側押え面と、対向して配置される車内側押え面若しくは車外側押え面と、によって、上下方向に沿ったスライド移動をガイドされることとなり、連結板部を、一層ぶれることなく安定して上下方向に沿ってスライド移動させることが可能となって、好ましい。
【0013】
さらにまた、上記構成の頭部保護エアバッグ装置において、爪本体を、係止首部の下端側において、車外側に向かって突出するように形成し、
連結板部を、挿入用隙間内に、下方から上方に向かってスライド移動させつつ挿入される構成とし、
係合部において、爪本体の下方の連結板部の車外側を覆う領域に、連結板部の車外側を補助的に押え可能な補助規制面を、配設させる構成とすることが、好ましい。
【0014】
頭部保護エアバッグ装置をこのような構成とすれば、車両搭載前の状態において、例えば、係止爪部における爪本体近傍の部位に、爪本体と係止孔周縁との係止状態を解除させるような力が作用しても、連結板部において、係止爪部を係止させている係止孔の下方の領域が、補助規制面により車外側への移動を規制されることとなり、すなわち、連結板部の係止爪部からの抜け方向への移動が規制されることから、係止爪部の係止孔周縁との係止状態を的確に維持させることができて、好ましい。
【0015】
さらに、上記構成の頭部保護エアバッグ装置において、係合部に、連結板部の上面側に当接して、連結板部の上方側へのずれを規制する上方移動規制面を、配設させる構成とすれば、連結板部を、上方へのずれ移動を的確に規制してケースに連結させることができて、好ましい。
【0016】
さらにまた、上記構成の頭部保護エアバッグ装置において、係合部に、連結板部の前後両側の面にそれぞれ当接して、連結板部の前後方向側へのずれを規制する前後移動規制面を、配設させる構成とすれば、連結板部を、車内外方向側、上下方向側に加えて、前後方向側へのずれを規制されて、ケースに連結させることができることから、取付ブラケットのケースに対する位置ずれを一層的確に抑制することが可能となって、好ましい。
【0017】
具体的には、上記構成の頭部保護エアバッグ装置において、エアバッグを、バッグ本体と、バッグ本体の上縁から上方に突設されて取付ブラケットと連結される可撓性を有したループ状の連結タブと、を備える構成として、
係止孔を、連結タブを挿通させる連結孔から、構成してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態では、特に断らない限り、上下,前後の方向を、車両搭載時における車両Vの上下,前後の方向と一致させて、説明する。
【0020】
実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mは、
図1に示すように、2つの窓(サイドウィンド)W1,W2を有した二列シートタイプの車両Vに搭載されている。実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mは、
図1に示すように、エアバッグ32と、エアバッグ32に膨張用ガスを供給するインフレーター12と、インフレーター12をボディ1側に取り付ける取付ブラケット14と、エアバッグ32をボディ1側に取り付ける取付ブラケット18と、折り畳まれたエアバッグ32(折り完了体95)を収納するケース50と、を備えて構成されている。エアバッグ32は、
図1に示すように、車両Vの車内側における窓W1,W2の上縁側において、フロントピラー部FPの下縁側から、ルーフサイドレール部RRの下縁側を経て、リヤピラー部RPの上方の領域まで、折り畳まれて収納されている。また、折り畳まれたエアバッグ32、インフレーター12、及び、ケース50は、車両Vへの搭載時に、車内側Iをエアバッグカバー9に覆われて収納されている(
図1,2参照)。エアバッグカバー9は、実施形態の場合、フロントピラー部FPの車内側を覆うフロントピラーガーニッシュ4の下縁と、ルーフサイドレール部RRの車内側を覆うルーフヘッドライニング5の下縁と、から構成されている。フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5とは、合成樹脂製として、フロントピラー部FPとルーフサイドレール部RRとにおいて、それぞれ、ボディ(車体)1側のインナパネル2における車内側Iに、取付固定されている。また、エアバッグカバー9は、折り畳まれて収納されるエアバッグ32の車内側Iを覆って、展開膨張時のエアバッグ32を車内側下方へ突出可能とするために、エアバッグ32に押されて車内側Iに開き可能に、構成されている。
【0021】
インフレーター12は、エアバッグ32に膨張用ガスを供給するもので、
図1に示すように、略円柱状のシリンダタイプとして、先端側に、膨張用ガスを吐出可能な図示しないガス吐出口を、配設させている。インフレーター12は、ガス吐出口付近を含めた先端側を、エアバッグ32の後述する接続口部37に挿入させ、接続口部37の外周側に配置されるクランプ13を用いて、エアバッグ32に対して連結されている。また、インフレーター12は、インフレーター12を保持する取付ブラケット14と、取付ブラケット14をボディ1側のインナパネル2に固定するためのボルト15と、を利用して、インナパネル2においてリヤピラー部RPの上方となる位置に、取り付けられている(
図1参照)。
【0022】
取付ブラケット18は、
図2,4,5に示すように、エアバッグ32(バッグ本体33)の上縁33a側を窓W1,W2の上縁側のボディ1側に取り付けるための部材である。実施形態の場合、取付ブラケット18は、
図7,8に示すように、板金製の一枚のプレートを曲げ加工して形成されるもので、ボディ1側に取り付けられる取付片部19と、取付片部19の元部(下端19a)側に配設されてケース50に連結される連結板部23と、を備える構成とされている。この取付ブラケット18は、前後方向側で略対称形とされている。
【0023】
取付片部19は、ボディ1側のインナパネル2に取り付けられるもので、
図2に示すように、インナパネル2に沿うように、略上下方向に沿うように形成されている。また、取付片部19は、インナパネル2に固定させるための固定手段としてのボルト28を挿通可能な挿通孔20を備える構成とされている。また、取付片部19の前後両縁側には、
図3に示すように、取付片部19のインナパネル2への取付時に、インナパネル2に形成される係止孔2bの周縁に係止されて仮止め可能な係止爪部21が、インナパネル2側となる車外側Oに突出しつつ上方に突出するように、形成されている(
図5〜8参照)。
【0024】
連結板部23は、取付片部19の元部側(実施形態の場合、下端19a側)に配設されるもので、実施形態の場合、取付片部19の下端19a側から下方に延びるように、形成されている。詳細には、連結板部23は、前後方向側から見た状態で、取付片部19の下端19aと段差を設けるように、取付片部19より車内側Iとなる位置において、取付片部19と略沿って下方に延びるように、形成されている。すなわち、連結板部23は、上下方向に略沿って配置される構成である。この連結板部23は、外形形状を、前後方向側の幅寸法H1を取付片部19の前後方向側の幅寸法H2よりも大きく設定されて(
図7参照)、前後に幅広とされる略長方形板状とされており、取付片部19から前後に延びるように形成されている。また、連結板部23の略中央には、エアバッグ32の後述する連結タブ45を連結させる連結孔24が、長手方向を前後方向に略沿わせるように長尺状に開口して、形成されている。この連結孔24は、実施形態の場合、前後方向側の開口幅寸法OW1(
図7参照)を、取付片部19の前後方向側の幅寸法H2と同等として、取付片部19の下方の領域に配設されている。また、この連結孔24の前後方向側の開口幅寸法OW1は、連結板部23の前後方向側の幅寸法H1の2/3程度に、設定されている。
【0025】
実施形態では、この連結孔24は、ケース50の後述する係合部53に形成される係止爪部60の爪本体63を挿入させて係止する係止孔も、構成している。そして、連結孔24は、前後方向側の開口幅寸法OW1と上下方向側の開口幅寸法OW2(
図7参照)とを、
図24のBに示すように、連結タブ45を連結させた状態で、爪本体63を挿入させて、周縁(実施形態の場合、上側内周面24a)で爪本体63を係止可能な寸法に、設定されている。
【0026】
そして、実施形態の連結板部23において、この連結孔24の前側の領域と後側の領域とは、ケース50の後述する係合部53に形成される挿入用隙間80F,80Rに挿入されて、車内側Iと車外側Oとを押えられる前側被押え部25F,後側被押え部25Rを構成している(
図17,19,20〜22参照)。また、連結板部23における連結孔24の上側の領域は、車内側Iを、係止爪部60における係止首部61の車外側面61aに押えられる上側被押え部26を、構成している(
図17,18参照)。
【0027】
この取付ブラケット18は、エアバッグ32におけるバッグ本体33の上縁33a側から突出するように形成されるループ状の連結タブ45を、連結板部23に形成される連結孔24に挿通させることにより、連結タブ45を連結させる構成である。そして、取付ブラケット18は、取付片部19を、係止爪部21をインナパネル2に形成される係止孔2b周縁に係止させるようにして、インナパネル2の所定位置に仮固定し、固定手段としてのボルト28を、取付片部19に形成される挿通孔20に挿通させつつ、インナパネル2に固着されているナット2aに締結させて、取付片部19をインナパネル2に取り付けることにより、エアバッグ32(バッグ本体33)の上縁33a側を窓W1,W2の上縁側のボディ1側に取り付けることとなる(
図2,3参照)。
【0028】
エアバッグ32は、
図4に示すように、バッグ本体33と、バッグ本体33の上縁33aから上方に突設されて取付ブラケット18と連結される連結タブ45と、を備える構成とされている。
【0029】
バッグ本体33は、
図1の二点鎖線に示すように、インフレーター12からの膨張用ガスを内部に流入させて、折畳状態から展開して、窓W1,W2や、センターピラー部CP及びリヤピラー部RPのピラーガーニッシュ7,8の車内側を覆うように、展開膨張する構成とされている。バッグ本体33は、
図4に示すように、膨張用ガスGを流入させて車内側壁部34aと車外側壁部34bとを離すように膨張するガス流入部34と、車内側壁部34a,車外側壁部34b相互を結合させるように形成されて膨張用ガスを流入させない非流入部39と、を備えている。ガス流入部34は、実施形態の場合、保護膨張部35と、保護膨張部35に膨張用ガスを流入させるガス案内流路36と、接続口部37と、を備え、非流入部39は、周縁部40、板状部41、及び、閉じ部42を、備える構成とされている。
【0030】
ガス流入部34の保護膨張部35は、
図4に示すように、エアバッグ32の膨張完了時に、前席の側方の窓W1を覆う前保護部35aと、後席の側方の窓W2を覆う後保護部35bと、を備えている。ガス案内流路36は、バッグ本体33の上縁33a側において、前後方向に略沿って延びるように配設されるもので、インフレーター12から吐出される膨張用ガスGを、ガス案内流路36の下方に配置される保護膨張部35(前保護部35a,後保護部35b)に、案内するように構成されている。接続口部37は、実施形態の場合、ガス案内流路36の後端側において、バッグ本体33から後方に突出するように形成されるもので、インフレーター12を接続可能に、後端側を開口させて構成されている。前保護部35aと後保護部35bとは、エアバッグ32の膨張完了時に、平らに展開した状態からの前後方向側の幅寸法を狭められ、また、厚さを規制されて前後方向に延びる板状を維持できるように、内部領域に、閉じ部42を配置させている。
【0031】
非流入部39における周縁部40は、ガス流入部34の外周縁を、接続口部37の後端側を除いて全域にわたって囲むように形成されている。板状部41は、前保護部35aと後保護部35bとの間に配置されるもので、略長方形板状とされている。
【0032】
実施形態の場合、バッグ本体33は、ポリアミド糸やポリエステル糸等を使用した袋織りによって形成されており、連結タブ45は、バッグ本体33と別体として構成されている。
【0033】
連結タブ45は、バッグ本体33の上縁33a側を車両Vのボディ1側のインナパネル2に取り付けるための部位であり、
図4,5に示すように、バッグ本体33の上縁33a側から突設されるようにして、前後方向に沿った複数箇所(実施形態の場合、4箇所)に、配置されている。各連結タブ45は、ポリアミド糸やポリエステル糸等を使用した織布から形成されるもので、幅寸法を、取付ブラケット18における連結孔24に、挿入可能に設定される帯状として、連結孔24に挿通させた状態の両端側を、バッグ本体33の上縁33a側に結合(縫着)されることにより、取付ブラケット18を連結させた状態で、バッグ本体33に連結される構成である(
図5,6参照)。
【0034】
また、バッグ本体33は、前端から前方に延びて前端側をボディ1側に取り付けられる連結ベルト44を、備える構成とされている。この連結ベルト44も、バッグ本体33と別体として構成されている。連結ベルト44は、実施形態の場合、バッグ本体33の前端側において、平らに展開した状態の上下の中央よりやや上方となる位置から前方に延びるように配置されるもので、前端側を、連結タブ45と同様に、取付ブラケット18を利用して、フロントピラー部FPの部位におけるインナパネル2に、取付固定される構成である(
図1,4参照)。
【0035】
折り畳まれたエアバッグ32(折り完了体95)を収納させるケース50は、
図2に示すように、内部に収納させた折り完了体95の上側から車外側Oにかけてを覆い、下方を開口させて構成される断面略逆U字形状として、前後方向に延びた長尺状に形成されている。実施形態の場合、ケース50としては、
図1に示すように、前保護部35aの部位を収納するケース50Fと、後保護部35bの部位を収納するケース50Rと、の二つが使用されている。
【0036】
各ケース50(50F,50R)は、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等の合成樹脂から形成されるもので、
図2に示すように、折り完了体95の車外側Oから上面側にかけてを覆うように、構成されている。各ケース50(50F,50R)において、折り完了体95から突出する取付ブラケット18が配置される部位には、
図9,10に示すように、取付ブラケット18の連結板部23を係合させるための係合部53が、形成されている。
【0037】
係合部53は、
図9に示すように、ケース50の一般部51から車外側上方に向かって突出するように形成される係合部形成部54の部位に形成されるもので、実施形態の場合、前後方向側で略対称形として、構成されている。係合部形成部54は、一般部51から部分的に略箱状に突出するように形成されるもので、前後の略中央側を、切り欠いて開口させて構成されている。そして、係合部形成部54は、この切り欠いた領域の周囲において、一般部51の上面側においてから車外側Oに向かって張り出すように車内外方向に略沿って形成される上壁部55と、一般部51から一段車外側に突出するように配置されて上下方向に略沿って形成される車外側壁部56と、前後方向の端縁側において、それぞれ上下方向に略沿うように形成される前側壁部57,後側壁部58と、を備える構成とされている。係合部形成部54において、前後の略中央側を切り欠いた領域は、
図9〜11,14,15に示すように、取付ブラケット18における取付片部19を挿通させてケース50の外方に突出可能とする挿通用開口59を、構成している。この挿通用開口59は、前後方向側の開口幅寸法OW3(
図10参照)を、取付片部19の前後方向側の幅寸法H2より大きく、かつ、連結板部23の前後方向側の幅寸法H1より小さく設定されて、取付片部19のみを挿通可能に、構成されている。
【0038】
挿通用開口59の上縁59a側には、上壁部55の車外側の端縁側から連なるようにして、係止爪部60が、形成されている。係止爪部60は、
図9,10に示すように、挿通用開口59の上縁59a側における前後方向の略中央となる位置において、下方に延びるように配置されるもので、実施形態の場合、
図18に示すように、連結板部23を係合させた状態で、連結板部23の車内側Iに位置する構成とされている。係止爪部60は、
図9〜11に示すように、連結板部23に沿うように略上下方向に沿って配置される係止首部61と、係止首部61の先端(下端61b)側から車外側Oに向かって突出するように形成される爪本体63と、を備える構成とされている。爪本体63は、連結板部23において連結タブ45を連結させている連結孔24を係止孔として、この連結孔24に挿入される構成とされるもので、係止首部61に対して略直交するように、車内外方向に略沿って、車外側Oに突出する構成とされている。詳細には、実施形態では、爪本体63は、連結孔24の上側内周面24aと係止される上面63aを、係止首部61の車外側面61aと略直交させるように、構成されている。また、実施形態では、係止首部61の車内側面61c側には、車内側Iに突出する補強リブ62が、前後方向側で2個並設されている(
図14参照)。この補強リブ62は、係止首部61と係合部形成部54の上壁部55とを連結するように、前後方向側からみて、略三角形状とされている(
図11の二点鎖線参照)。そして、実施形態では、係止首部61の車外側面61aが、連結孔24に爪本体63を係止させた状態で、連結板部23の車内側Iを押え可能な車内側押え面を構成している。詳細には、係止首部61の車外側面61aは、連結板部23において、連結孔24の上方の領域である上側被押え部26の車内側(車内側面26a)を押える車内側中央押え面82を、構成している(
図11,14,18,21参照)。
【0039】
挿通用開口59の前縁59b側と後縁59c側とには、それぞれ、
図9,10に示すように、連結板部23の上側から車外側Oにかけてを覆う車外側押え壁部67(67F,67R)が、形成されている。この車外側押え壁部67(67F,67R)は、
図9,12に示すように、上壁部55から連なって車外側Oに突出する上側部位68(68F,68R)と、上側部位68(68F,68R)の先端から下方に延びて車外側壁部56における下端側の部位と連結される車外側部位69(69F,69R)と、を備える構成とされている。
【0040】
実施形態では、上側部位68(68F,68R)と、車外側部位69(69F,69R)において上側に配置される外上側部70(70F,70R)と、は、
図9に示すように、前後方向の幅寸法を略同一として構成される帯状として構成されるもので、連結板部23を挿通可能に、挿通用開口59から離れた側における前後方向の端縁側を開口されている。具体的には、外上側部70(70F,70R)は、
図10に示すように、係止爪部60より下方に延びるように、構成されるもので、係止爪部60を連結孔24に挿入させた状態で、連結孔24の下縁付近まで延びるように、構成されている。
【0041】
車外側部位69(69F,69R)において、下側に配置される外下側部71(71F,71R)は、
図9,10に示すように、外上側部70(70F,70R)から連なって下方に延びつつ、前後方向の外方に向かって延びるように、形成されている。この外下側部71(71F,71R)は、連結板部23における下側の領域の前縁若しくは後縁を覆うように、前後方向の外方側の端縁側から前側壁部57,後側壁部58に連なる前側連結部72F及び後側連結部72Rを有するとともに(
図15参照)、下端側を係合部形成部54の車外側壁部56に連ならせるように構成されている。この外下側部71(71F,71R)は、
図10に示すように、係止爪部60の下方となる位置に、形成されている。
【0042】
そして、実施形態では、車外側押え壁部67(67F,67R)における外上側部70(70F,70R)の領域の車内側面70aが、
図12,14,19,21に示すように、連結板部23において、連結孔24の前側と後側との領域である前側被押え部25F,後側被押え部25Rの車外側(車外側面25b)を押える車外側押え面85F,85Rを、構成している。また、外下側部71(71F,71R)の領域の車内側面71aが、
図12,13,15,19,20,22に示すように、係止爪部60の爪本体63の下方において連結板部23の車外側Oを補助的に押え可能な補助規制面86F,86Rを、構成している。すなわち、これらの補助規制面86F,86Rは、連結板部23における前側被押え部25F,後側被押え部25Rの下部側の領域の車外側(車外側面25b)を補助的に押える構成である。さらに、外側押え壁部67(67F,67R)における上側部位68(68F,68R)の下面68aが、
図12,19に示すように、連結板部23の上面23a側に当接して、連結板部23の上方側へのずれを規制する上方移動規制面88F,88Rを構成し、外下側部71(71F,71R)における前側連結部72F,後側連結部72Rの内側面72aが、それぞれ、連結板部23の前面23b,後面23cにそれぞれ当接して、連結板部23の前後方向側へのずれを規制する前後移動規制面89F,89Rを構成している。
【0043】
また、車外側押え壁部67(67F,67R)における外上側部70(70F,70R)の前後方向側における外方側(挿通用開口59から離れた外縁側)には、
図9,10に示すように、連結板部23の車内側Iを覆う車内側押え壁部74(74F,74R)が、形成されている。この車内側押え壁部74(74F,74R)は、上壁部55から下方に延びるように形成されるともに、前後方向側の端縁側を、前側壁部57若しくは後側壁部58に連ならせて構成されている(
図13,14参照)。この車内側押え壁部74(74F,74R)は、ケース50を上下方向側あるいは前後方向側から見た状態で、係止爪部60における係止首部61と車内外方向側で略一致した位置に、配設されており(
図14参照)、車外側押え壁部67(67F,67R)の車外側部位69(69F,69R)から車内外方向側で離れた車内側Iとなる位置に配置されるように、形成されている。さらに、この車内側押え壁部74(74F,74R)は、ケース50を車内外方向側から見た状態で、車外側押え壁部67(67F,67R)から外れた位置に、形成されている。すなわち、車内側押え壁部74(74F,74R)は、車外側押え壁部67(67F,67R)と車内外方向側で重ならないように、構成されている(
図13,14参照)。そして、実施形態では、車内側押え壁部74(74F,74R)における車外側面74aが、
図13,14,20,21に示すように、連結板部23において、連結孔24の前側と後側との領域である前側被押え部25F,後側被押え部25Rの車内側(車内側面25a側)を押える車内側端縁押え面83F,83Rを構成している。
【0044】
また、この車内側押え壁部74(74F,74R)は、
図9,13,14に示すように、車外側押え壁部67(67F,67R)における外上側部70(70F,70R)と外下側部71(71F,71R)との境界部位付近に、スリット状の隙間を有する構成とされており、この隙間が、下端側を開口させて構成されて、連結板部23を上方に向かってスライド移動させつつ挿入可能な挿入用隙間80F,80Rを、構成することとなる。挿入用隙間80F,80Rは、開口幅寸法OW4(
図14参照)、換言すれば、前後方向側あるいは上下方向側から見た状態での車内側押え壁部74と車外側押え壁部67との間の離隔距離を、連結板部23の板厚より僅かに大きくして、連結板部23を挿入可能な寸法に設定されている。この開口幅寸法OW4は、連結板部23を、車内側押え壁部74若しくは車外側押え壁部67の一方に当接させた際に、他方の車内側押え壁部74若しくは車外側押え壁部67を連結板部23に近接して配置させるような寸法に、設定されている。そして、実施形態では、挿入用隙間80F,80Rの下端側の開口80aは、内側押え壁部74(74F,74R)の下縁74bと、外下側部71(71F,71R)の上縁71bとの間の前後方向に略沿って延びる隙間の領域から構成されることとなり(
図9,13参照)、挿入用隙間80F,80Rは、車内側押え壁部74(74F,74R)の前後方向側の内縁74cと、外上側部70(70F,70R)の前後方向側の外縁70b(
図9,14参照)との間の上下方向に略沿って延びる隙間の領域から構成されることとなる。
【0045】
すなわち、実施形態のケース50の係合部53は、取付ブラケット18の取付片部19を挿通可能な挿通用開口59と、取付ブラケット18の連結板部23を下方から上方に向かってスライド移動させつつ挿入可能な挿入用隙間80F,80Rと、を有するとともに、挿通用開口59の周縁において、挿入用隙間80F,80Rをスライド移動させた連結板部23を連結可能とする係止爪部60と、係止爪部60に係止された連結板部23の周囲への移動を規制する車内側中央押え面82,車内側端縁中央押え面83F,83R,車外側押え面85F,85R,補助規制面86F,86R,上方移動規制面88F,88R,前後移動規制面89F,89Rと、を備える構成である。そして、
図16,17に示すように、実施形態のケース50の係合部53に連結板部23を係合させた状態では、連結板部23は、連結孔24に係止爪部60の爪本体63を係止させ、車内側Iを、車内側端縁押え面83F,83Rと車内側中央押え面82とによって押えられ、車外側Oを、車外側押え面85F,85Rによって押えられることとなる(
図18〜22参照)。また、このとき、上方移動規制面88F,88Rと前後移動規制面89F,89Rとによって、連結板部23は、上方へのずれと前後方向側へのずれも規制されることとなる(
図19,22参照)。
【0046】
次に、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載について説明をする。まず、バッグ本体33を、車内側壁部34aと車外側壁部34bとを重ねるように平らに展開した状態から、下縁33b側を上縁33a側に接近させるように折り畳み、前後方向に沿うような長尺状の折り完了体95を、形成する。具体的には、実施形態では、バッグ本体33において、上縁33a側の領域であるガス案内流路36の部位を、前後方向に沿った複数の折目を付けて蛇腹折りするとともに、ガス案内流路36より下方となる保護膨張部35の部位を、下縁33b側を車外側に向かって巻くようにロール折りして、バッグ本体33を折り畳んでいる(
図2参照)。折り完了体95の形成後には、破断可能な図示しない折り崩れ防止用のラッピング材により、折り完了体95の周囲の所定箇所をくるんでおく。
【0047】
次いで、折り完了体95の上面側に露出しているバッグ本体33の上縁33a側に、取付ブラケット18の連結孔24に挿通された状態の連結タブ45を、縫合糸を用いて縫着させる。その後、折り完了体95を、下方側から内部に収納させるようにして、ケース50内に収納させる。このとき、まず、
図23のAに示すように、各取付ブラケット18の取付片部19を、上端19bを車外側Oに向けるように傾斜させつつ、上端19b側から係合部形成部54に形成される挿通用開口59に挿通させて、ケース50から突出させる。次いで、
図23のBに示すように、取付ブラケット18を、取付片部19の上端19bを車内側I上方に向かって引き上げつつ、取付ブラケット18の連結板部23を、挿入用隙間80F,80Rの下端側の開口80aから挿入用隙間80F,80R内に挿入させて(
図24のA参照)、上方にスライド移動させる。このとき、係止爪部60は、
図24のAに示すように、係止首部61を撓ませるようにして、爪本体63の先端63bを、連結板部23における上側被押え部26の車内側面26aに当接されることとなる。そして、連結板部23が、連結孔24を係止爪部60における爪本体63の配置位置まで上昇させるように、スライド移動すれば、
図24のBに示すように、係止首部61が復元して、爪本体63を連結孔24内に挿入させることとなり、爪本体63を連結孔24の周縁に係止させることができて、連結板部23を係合部53に係合させることができる。このようにして、各取付ブラケット18の連結板部23を、ケース50に形成される各係合部53に係合させれば、取付ブラケット18をケース50に連結させた状態で、折り完了体95をケース50に収納することができる。次いで、取付ブラケット14を取付済みのインフレーター12を、クランプ13を利用して、エアバッグ32の接続口部37と接続させれば、エアバッグ組付体を形成することができる。
【0048】
次いで、取付ブラケット14,18を、ボディ1側のインナパネル2の所定箇所に配置させて、ボルト15,28止めし、所定のインフレーター作動用の制御装置から延びる図示しないリード線を、インフレーター12に結線し、フロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5をボディ1側のインナパネル2に取り付け、さらに、ピラーガーニッシュ6,7をボディ1側のインナパネル2に取り付ければ、頭部保護エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
【0049】
頭部保護エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載後、制御装置からの作動信号を受けてインフレーター12が作動させれば、インフレーター12から吐出される膨張用ガスがバッグ本体33内に流入して、膨張するバッグ本体33が、図示しないラッピング材を破断させつつ、エアバッグカバー9を押し開いて、下方へ突出しつつ展開し、
図1の二点鎖線に示すように、窓W1,W2やセンターピラー部CP及びリヤピラー部RPの車内側を覆うように、膨張を完了させることとなる。
【0050】
そして、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、折り完了体95をケース50の内部に収納させる際に、取付ブラケット18の連結板部23を、ケース50の係合部53に形成される挿入用隙間80F,80Rに挿入させつつ、上下方向に略沿ってスライド移動させれば、係合部53に配設される係止爪部60が、連結板部23に形成される係止孔としての連結孔24に挿入されて、連結孔24周縁(上側内周面24a)に係止されることとなる。すなわち、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、取付ブラケット18の連結板部23を、ケース50の係合部53に形成される挿入用隙間80F,80Rに挿入させて上下方向に略沿ってスライド移動させるだけで、連結板部23を係合部53に係合させることができることから、ケース50の係合部53への連結板部23の係合作業が容易であり、取付ブラケット18を多数備える長尺状の折り完了体95を、簡便かつ迅速にケース50(50F,50R)内に収納させることができる。
【0051】
また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、連結孔24に係止爪部60を挿入させた状態では、連結板部23の車内側Iと車外側Oとは、ケース50の係合部53に形成される車内側押え面(詳細には、車内側中央押え面82と車内側端縁押え面83F,83R)と車外側押え面85F,85Rとに押えられることとなる。すなわち、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、連結板部23は、車内側中央押え面82と車内側端縁押え面83F,83Rと車外側押え面85F,85Rとによって車内外方向側への移動を規制された状態で、連結孔24周縁(上側内周面24a)に係止爪部60の爪本体63を係止させることにより、上下方向側への大きな移動も規制されて、ケース50に連結される構成である。そのため、取付ブラケット18のケース50に対する位置ずれを的確に抑制することができる。
【0052】
したがって、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、取付ブラケット18のケース50に対する位置ずれを的確に抑制して、連結板部23を簡便にケース50に連結させることができる。
【0053】
また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、係止爪部60は、上下方向に略沿って配置される係止首部61と、係止首部61の先端(下端61b)側から車外側Oに向かって突出するように形成される爪本体63と、を備える構成とされ、係止首部61における連結板部23側の面(車外側面61a)が、車内側押え面(車内側中央押え面82)を、構成している。そのため、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、連結板部23を挿入用隙間80F,80Rに沿ってスライド移動させる際に、係止首部61が撓むこととなり、この係止首部61の撓みによって、係止首部61の先端(下端61b)側に配設される爪本体63が、連結板部23を、対向して配置される車外側押え面85F,85R側に向かって押圧することとなる。そのため、連結板部23を、ぶれることなく安定して上下方向に沿ってスライド移動させることが可能となる。また、連結板部23のスライド移動が完了して、連結孔(係止孔)24が係止爪部60の爪本体63に対応した位置に移動すれば、係止首部61が復元されて、連結板部23側の面(車外側面61a)で連結板部23を押えて、爪本体63が自動的に連結孔24内に挿入されて連結板部23を係止することとなり、連結板部23の係合部53への係合作業が一層容易となる。なお、このような点を考慮しなければ、係止爪部として、連結板部に沿って配置される係止首部を備えず、例えば、係合部として、連結板部と略直交するように配置される構成として、先端側を係止孔に挿入可能な構成の係止爪部を用い、車内側押え面と車外側押え面とを別途配設させる構成としてもよい。
【0054】
さらに、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、係止爪部60を突出させている側に配置される車内側押え面を、係止爪部60から前後方向側で離れた位置にも配置させている。すなわち、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、係止爪部60における係止首部61の車外側面61aから構成される車内側中央押え面82に加えて、車内側中央押え面82から前後方向側で離れた位置に、車内側端縁押え面83F,83Rを配設させている構成である。そのため、連結板部23を挿入用隙間80F,80Rに沿ってスライド移動させる際において、係止首部61が撓んでいる状態においても、連結板部23は、係止爪部60の前後方向側で離れた位置に配置される車内側端縁押え面83F,83Rと、対向して配置される車外側押え面85F,85Rと、によって、上下方向に沿ったスライド移動をガイドされることとなり、連結板部23を、一層ぶれることなく安定して上下方向に沿ってスライド移動させることができる。なお、このような点を考慮しなければ、係止首部から前後方向で離れた側に、車内側押え面を配設させず、車内側押え面を、係止首部の車外側面のみから、構成してもよい。
【0055】
特に、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、挿入用隙間80F,80Rが、連結孔24に係止爪部60を挿入させた状態で連結板部23の車内側Iと車外側Oとを押える車内側端縁押え面83F,83Rと車外側押え面85F,85Rとの間の隙間自体から構成されているが、この挿入用隙間80F,80Rは、係止爪部60と前後方向側でずれた位置に配置される構成である。すなわち、挿入用隙間80F,80Rの開口幅寸法OW4が、連結板部23のみを挿通可能に、小さく設定される構成であっても、挿入用隙間80F,80Rに連結板部23を挿入させて上方にスライド移動させる際に、係止爪部60を、挿入用隙間80F,80Rの影響を受けることなく、円滑に、係止首部61を撓ませることができ、スライド移動完了後には、この係止首部61の撓みからの復元を利用して、円滑に、爪本体63を連結孔24に挿入させることができ、また、この爪本体63の連結孔24への挿入時に、同時に、連結板部23の車内側Iと車外側Oとを、車内側端縁押え面83F,83Rと車外側押え面85F,85Rとによって、押えることができる。そのため、連結板部23の係合部53への係合作業が、簡便である。
【0056】
さらにまた、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、爪本体63が、係止首部61の下端61b側において、車外側Oに向かって突出するように形成され、係合部53において、爪本体63の下方の連結板部23の車外側Oを覆う領域に、連結板部23の車外側Oを補助的に押え可能な補助規制面86F,86Rが配設される構成である。そのため、車両搭載前の状態において、例えば、係止爪部60における爪本体63近傍の部位に、爪本体63と連結孔24周縁との係止状態を解除させるような力が作用しても、連結板部23において、係止爪部60を係止させている連結孔24の下方の領域(具体的には、前側被押え部25F,後側被押え部25Rの下部側の領域)が、補助規制面86F,86Rにより車外側Oへの移動を規制されることとなり、連結板部23の係止爪部60から抜ける方向への移動が規制されることから、係止爪部60の連結孔24周縁との係止状態を的確に維持させることができる。なお、このような点を考慮しなければ、係止爪部を連結板部の車外側に配置させて、補助規制面を配設させない構成としてもよい。
【0057】
なお、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、連結板部23の車内側Iと車外側Oとを、車内側中央押え面82,車内側端縁押え面83F,83R,車外側押え面85F,85R,補助規制面86F,86Rによって押える構成であっても、これらの車内側中央押え面82,車内側端縁押え面83F,83R,車外側押え面85F,85R,補助規制面86F,86Rは、ケース50を車内外方向側から見た状態で、相互に重ならないように配置されていることから、連結板部23を、挿入用隙間80F,80R内に簡便に挿入させることができる。
【0058】
さらに、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、係合部53に、連結板部23の上面23a側に当接して、連結板部23の上方側へのずれを規制する上方移動規制面88F,88Rを、配設させていることから、連結板部23を、上方へのずれ移動を的確に規制してケース50に連結させることができる。なお、このような点を考慮しなければ、係止爪部を係止孔へ挿入させることによる上方移動規制のみで、上方移動規制面を配設させない構成としてもよい。
【0059】
さらにまた、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、係合部53に、連結板部23の前面23b,後面23cにそれぞれ当接して、連結板部23の前後方向側へのずれを規制する前後移動規制面89F,89Rを、配設させていることから、連結板部23を、車内外方向側、上下方向側に加えて、前後方向側へのずれを抑制されて、ケース50に連結させることができて、取付ブラケット18のケース50に対する位置ずれを一層的確に抑制することできる。なお、このような点を考慮しなければ、係止爪部を係止孔へ挿入させることによる前後移動規制のみで、前後移動規制面を配設させない構成としてもよい。
【0060】
なお、実施形態では、ケース50に対する取付ブラケット18の下方移動は、連結孔24に係止される爪本体63のみによって規制する構成であるが、取付ブラケット18(連結板部23)の下方には、ケース50内に収納される折り完了体95が配置される構成であることから、折り完了体95自体でも、取付ブラケット18の下方移動を規制することができ、爪本体63のみであっても、取付ブラケット18の下方移動は的確に規制することができる。
【0061】
また、実施形態では、取付ブラケット18として、ケース50の係止爪部60を、エアバッグ32から延びるループ状の連結タブ45を挿通させる連結孔24に係止させる構成としている。このような取付ブラケット18を用いる構成とすれば、連結孔24を係止孔と共用させることにより、ケース50の係止爪部60を係止させるための係止孔を別途形成しなくともよい。しかしながら、取付ブラケットとしては、実施形態に限られるものではなく、エアバッグから延びる取付片部の表裏に、2枚の板状体を配置させ、この板状体を相互にかしめられて取付片部に固定させるタイプの取付ブラケットに、別途、連結板部を設けるように構成して、使用してもよい。
【0062】
さらに、実施形態では、連結板部23は、挿入用隙間80F,80R内を下方から上方に向かってスライド移動させることにより、車外側Oに向かって突出している爪本体63を、連結孔24に挿入させる構成であるが、連結板部の移動方向や、係止爪部の配置位置は、実施形態に限られるものではない。例えば、連結タブの長さ寸法を長く設定すれば、連結板部は、ケースの外方に一旦回すようにして、上方から下方に向かってスライド移動させる構成としてもよい。また、係止爪部も、連結板部の車外側に配置させて、爪本体を、車内側に向かって突出するように形成してもよい。
係止爪部を連結板部の車外側に配置させて、爪本体を車内側に向かって突出させるような構成とする場合、係止首部における連結板部側の面は、車外側押え面を構成することとなる。