(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
床面から上方に離間した位置に配置されて物品の底面における被支持部を支持する支持体と、外部から昇降準備位置に供給された物品を下方から支持して当該物品を受け取る受け取り高さと前記支持体に物品を引き渡す引き渡し高さとの間で昇降させる昇降装置と、を備え、
前記受け取り高さは、前記支持体に直接支持されている物品の高さよりも低く、前記引き渡し高さは、前記支持体に直接支持されている物品の高さよりも高く、
前記支持体は、上下方向に見て少なくとも一部が物品と重複する支持位置と全体が物品の外方に位置する退避位置とに切換自在に構成され、
前記昇降装置の昇降作動及び前記支持体の切換作動により同じ形状の複数の物品を同じ姿勢でかつ積層状態で保管する物品保管設備であって、
物品は、上下幅が狭く形成された薄肉部と当該薄肉部よりも上下幅が広く形成された厚肉部とを水平面に沿う並び方向に並んだ状態で有し、
前記並び方向で物品を移動させる水平移動装置をさらに備え、
前記水平移動装置は、積層状態で保管されている複数の物品のそれぞれの前記厚肉部が前記並び方向で重複し、かつ、この重複する長さが前記厚肉部の前記並び方向の長さよりも短くなる位置に、物品を前記並び方向で移動させるように構成されている物品保管設備。
前記水平移動装置は、前記支持体に直接支持されている物品についての前記厚肉部の一部が、前記並び方向で当該支持体と重複する位置となるように、物品を前記並び方向で移動させるように構成されている請求項1に記載の物品保管設備。
前記水平移動装置は、前記昇降装置と一体的に昇降するように構成され、かつ、前記水平移動装置の作動及び前記昇降装置の作動が少なくとも一定期間重複するように構成されている請求項1又は2に記載の物品保管設備。
前記並び方向に対して水平面に沿って直交する方向で物品を搬送して、外部から前記昇降準備位置に物品を供給する搬送装置を備えている請求項1から3のいずれか一項に記載の物品保管設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような設備において保管される物品の積層数が多いと、最下段の物品が受ける荷重が増大する。積層される複数の物品は同じ形状で、かつ、平面視で完全に重複する状態(同じ位置に位置する状態)で積み重なっているため、物品が厚肉部分と薄肉部分とを有している場合には、前述のように保管対象物品が保管物品を支持する状態を経て物品を積層するために、最下段の物品における薄肉部分を支持体が支持する必要がある。しかも、積層された複数の物品は同じ形状であり、平面視で同じ位置であると、各物品の薄肉部分同士の間には隙間が形成されることになる。そのため、最下段の物品の薄肉部分において積層物品の荷重が支持体により支持されると、当該最下段の物品に変形が生じるおそれがあり、複数の物品を積層状態に保管することが困難となる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、薄肉部分を有する物品を変形が生じ難い状態で積層して保管することが可能な物品保管設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る物品保管設備の特徴構成は、床面から上方に離間した位置に配置されて物品の底面における被支持部を支持する支持体と、外部から昇降準備位置に供給された物品を下方から支持して当該物品を受け取る受け取り高さと前記支持体に物品を引き渡す引き渡し高さとの間で昇降させる昇降装置と、を備え、前記受け取り高さは、前記支持体に直接支持されている物品の高さよりも低く、前記引き渡し高さは、前記支持体に直接支持されている物品の高さよりも高く、前記支持体は、上下方向に見て少なくとも一部が物品と重複する支持位置と全体が物品の外方に位置する退避位置とに切換自在に構成され、前記昇降装置の昇降作動及び前記支持体の切換作動により同じ形状の複数の物品を同じ姿勢でかつ積層状態で保管する物品保管設備であって、物品は、上下幅が狭く形成された薄肉部と当該薄肉部よりも上下幅が広く形成された厚肉部とを水平面に沿う並び方向に並んだ状態で有し、前記並び方向で物品を移動させる水平移動装置をさらに備え、前記水平移動装置は、積層状態で保管されている複数の物品のそれぞれの前記厚肉部が前記並び方向で重複し、かつ、この重複する長さが前記厚肉部の前記並び方向の長さよりも短くなる位置に、物品を前記並び方向で移動させるように構成されている点にある。
【0007】
本構成によれば、薄肉部と厚肉部とを水平面に沿う並び方向に並んだ状態で有する複数の物品を積層状態で保管する際に、水平移動装置により並び方向で物品を移動させることができる。そのため、水平移動装置は、積層状態で保管されている複数の物品のそれぞれの厚肉部が並び方向で重複するように、かつ、この重複する長さが厚肉部の並び方向における長さよりも短くなるように、物品を並び方向で移動させることができる。このような状態で複数の物品が積層されると、積層されている複数の物品のそれぞれは、強度の強い厚肉部において直下に位置する物品によって支持されることになる。従って、本構成によれば、薄肉部分を有する物品を変形が生じ難い状態で積層して保管することが可能となる。
【0008】
また、前記水平移動装置は、前記支持体に直接支持されている物品についての前記厚肉部の一部が、前記並び方向で当該支持体と重複する位置となるように、物品を前記並び方向で移動させるように構成されていると好適である。
【0009】
本構成によれば、支持体に直接支持される物品は、当該支持体によって厚肉部を支持されることができる。従って、本構成によれば、積層される複数の物品のうち直下に位置する物品によって支持されている物品及び支持体によって支持されている最下段の物品の変形を抑えることができる。さらに、支持体の位置が、当該支持体に直接支持される物品についての厚肉部の一部と重複する位置となるように構成されているため、当該直接支持される物品の一部を支持体に支持させつつ、他の一部を当該直接支持される物品の下方から上昇してくる物品に支持させることができる。すなわち、従来では、積層される物品は同じ形状で、かつ、平面視で完全に重複する位置となるように積み重なられるものであるから、支持体に直接支持される物品が厚肉部にて支持体に支持されている場合には、当該直接支持される物品の下方から上昇してくる物品は支持体と干渉してしまい、支持体に直接支持されている物品の厚肉部を支持できなくなる。しかし、本構成によれば、積層される複数の物品のいずれについても厚肉部にて支持できる。
【0010】
また、前記水平移動装置は、前記昇降装置と一体的に昇降するように構成され、かつ、前記水平移動装置の作動及び前記昇降装置の作動が少なくとも一定期間重複するように構成されていると好適である。
【0011】
本構成によれば、複数の物品の厚肉部が並び方向で重複するように当該複数の物品を積層していく際に、昇降装置による物品の上昇と水平移動装置による物品の水平移動とを少なくとも一定期間同時期に進行させることができるため、作業時間の短縮を図ることができる。
【0012】
また、本発明に係る物品保管設備は、前記並び方向に対して水平面に沿って直交する方向で物品を搬送して、外部から前記昇降準備位置に物品を供給する搬送装置を備えていると好適である。
【0013】
本構成によれば、搬送装置によって物品を搬送することにより昇降準備位置に物品を供給することができ、人手による物品の供給の手間を軽減することができる。
【0014】
前記支持体は、第1支持体及び第2支持体を含み、前記第1支持体及び前記第2支持体のそれぞれは、前記支持位置と前記退避位置とに切換自在に構成されると共に、前記第1支持体の前記支持位置と前記第2支持体の前記支持位置とが前記並び方向で異なる位置となるように構成されていると好適である。
【0015】
本構成によれば、複数の物品を段毎に並び方向で異なる2つの位置に交互に配置された状態で積層する場合に、積層された複数の物品の全体における最下段の物品を支持する支持体として、並び方向に異なる位置となっている第1支持体及び第2支持体を交互に用いることで、積層状態の物品の全体を並び方向に移動させる工程を省略することができる。これにより、作業時間の短縮を図ることができる。
【0016】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1実施形態〕
本発明の実施形態に係る物品保管設備1について図面に基づいて説明する。
図1及び
図2に示すように、物品保管設備1は、床面から上方に離間した位置に配置されて物品7の底面における被支持部71を支持する支持体51と、外部から昇降準備位置RPに供給された物品7を下方から支持して当該物品7を受け取る受け取り高さH1と支持体51に物品7を引き渡す引き渡し高さH3との間で昇降させる昇降装置3と、を備えている。また、受け取り高さH1は、支持体51に直接支持されている物品7の高さよりも低く、引き渡し高さH3は、支持体51に直接支持されている物品7の高さよりも高くなるように設定されている。なお、以下では、物品7の底面を基準にして「物品の高さ」を定義するものとする。
【0019】
本実施形態において、物品7はパレットである。
図3に示すように、物品7は、上下幅が狭く形成された薄肉部73と当該薄肉部73よりも上下幅が広く形成された厚肉部74とを水平面に沿う並び方向Xに並んだ状態で有している。
【0020】
図1及び
図2に示すように、物品保管設備1は、並び方向Xに対して水平面に沿って直交する方向で物品7を搬送して、外部から昇降準備位置RPに物品7を供給する搬送装置2を備えている。以下の説明では、並び方向Xに対して水平面に沿って直交する方向を搬送方向Yとする。
【0021】
図1及び
図2に示すように、物品保管設備1は、搬送装置2により物品7を搬送方向Yに沿って搬送して、当該物品7を昇降準備位置RPに供給する。昇降装置3は、昇降準備位置RPに供給された物品7を受け取り、床面から上方に離間した位置に配置される支持体51の高さまで当該物品7を上昇させる。昇降装置3は、支持体51の高さまで物品7を上昇させると、支持体51に当該物品7を引き渡す。支持体51に引き渡された物品7は、当該支持体51によって支持されることにより物品保管設備1に保管される。
【0022】
図2に示すように、搬送装置2は、搬送方向Yにおいて互いに離間して設けられる複数の柱21(図中では2つ)の上部に取り付けられるレールフレーム22と、レールフレーム22の内部において搬送方向Y上で離間した位置に設けられる一対のチェーン用スプロケット23と、これら一対のチェーン用スプロケット23に巻回されるチェーン24と、を備えている。そして、一対のチェーン用スプロケット23のうちの一方が搬送用モータ(図示省略)により駆動されて、チェーン24が作動する。このチェーン24の作動により、搬送用モータの駆動力が他方のチェーン用スプロケット23に伝達することで当該他方のチェーン用スプロケット23が従動する。搬送装置2は、このような構成を、並び方向Xにおいて離間した状態で一対有している。これにより、搬送装置2は、物品7における並び方向Xの両端部付近を支持した状態で、当該物品7を搬送方向Yに沿って搬送可能に構成されている。なお、
図1に示すように、昇降装置3が搬送装置2から物品7を受け取る受け取り高さH1は、搬送装置2のチェーン24が配置される高さに設定されている。
【0023】
図1に示すように、昇降装置3は、昇降準備位置RPにて搬送装置2から物品7を受け取り可能に構成されている。昇降装置3は、昇降準備位置RPにて受け取り高さH1よりも下方に配置されている。昇降装置3は、床面に設けられた基台31と、上下方向から基台31に内挿されると共に当該基台31に対して相対的に昇降する第1昇降部32と、上下方向から第1昇降部32に内挿されると共に当該第1昇降部32に対して相対的に昇降する第2昇降部33と、を備えている。昇降装置3は、油圧シリンダ(図示省略)により駆動されることで、第1昇降部32及び第2昇降部33を昇降可能に構成されている。
【0024】
図1に示すように、支持体51は、床面から上方に離間した位置において物品7の被支持部71を支持可能に構成されている。
図1及び
図2に示すように、昇降装置3のまわりには、4本のフレーム8が立設されている。4本のフレーム8のそれぞれには、搬送方向Yから見て角張ったU字状に形成されたブラケット6が設けられている。ブラケット6には、上下方向に沿う上下軸52がベアリング(図示省略)を介して回転自在に取り付けられている。上下軸52には、アーム50が、上下軸52を基準とする径方向に突出した状態で設けられている。アーム50の先端には、支持体51が設けられている。支持体51は、アーム50に対して水平面内で直交する方向に沿った姿勢で設けられている。すなわち、アーム50と支持体51とは、平面視でL字状となるように一体的に形成されている。支持体51は、上下方向に見て少なくとも一部が物品7と重複する支持位置SPと全体が物品7の外方に位置する退避位置EPとに切換自在に構成されている(
図2参照)。詳細には、支持位置SPは、昇降準備位置RPが位置する上下方向の領域に配置された物品7に対して、上下方向に見て支持体51の少なくとも一部が重複する位置をいう。退避位置EPは、当該物品7に対して、上下方向に見て支持体51の全体が重複しない位置をいう。ブラケット6の上部に設けられた旋回用モータ53によって上下軸52が回転することにより、上下軸52に取り付けられたアーム50及び支持体51が上下軸52を中心に水平面内で旋回する。これにより、支持体51は、支持位置SPと退避位置EPとに切り換え可能になっている。物品保管設備1は、昇降装置3の昇降作動及び支持体51の切換作動により同じ形状の複数の物品7を同じ姿勢でかつ積層状態で保管することができる。
【0025】
前述したように、本実施形態に係る物品保管設備1が保管の対象とする物品7は、パレットである。
図3に示すように、物品7は略板状に形成されている。物品7における並び方向Xの両端部は、搬送方向Yに沿って上方に突出した形状となっている(
図2も参照)。この突出した部分が、厚肉部74となる。そして、物品7における厚肉部74以外の部分が薄肉部73となる。物品7は鉄板からなるパレットであり、重量物であるため、複数の物品7が積層された状態になると物品7には大きな荷重が掛かることとなる。この場合に、物品7について強度の弱い薄肉部73が支持されると、物品7は、荷重の影響により当該支持されている部分を中心に撓むことがある。物品7が撓んだ状態では複数の物品7を積層して保管するのが困難となる。そこで、本実施形態では、積層される複数の物品7の全てが厚肉部74で支持されるために、物品7を並び方向Xで移動させつつ積層するように構成されている。
【0026】
すなわち、
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る物品保管設備1は、並び方向Xで物品7を移動させる水平移動装置4をさらに備えている。水平移動装置4は、箱状フレーム41内において並び方向Xに沿って互いに離間して設けられる一対のベルト用スプロケット42にベルト43が巻回されることにより構成されている。そして、一対のベルト用スプロケット42のうちの一方が移動用モータ(図示省略)により駆動されて、ベルト43が作動する。このベルト43の作動により、移動用モータの駆動力が他方のベルト用スプロケット42に伝達することで当該他方のベルト用スプロケット42が従動する。このため、水平移動装置4は、物品7をベルト43に載置した状態で当該物品7を並び方向Xで移動させることができる。本実施形態では、水平移動装置4は、積層状態で保管されている複数の物品7のそれぞれの厚肉部74が並び方向Xで重複し、かつ、この重複する長さが厚肉部74の並び方向Xの長さよりも短くなる位置に、物品7を並び方向Xで移動させるように構成されている。このような構成により、積層状態で保管される複数の物品7の全てが厚肉部74で支持されることができる。従って、本実施形態によれば、物品7の強度上の問題が生じることを抑制することができる。また、本実施形態では、水平移動装置4は、積層状態で保管される複数の物品7を上下方向に沿って千鳥状に配置させるべく、物品7を移動させるように構成されている。例えば、積層状態で保管される複数の物品7が厚肉部74で支持されるように当該複数の物品7を積層しても、これら複数の物品7の全てが同じ方向に位置をずらして配置されている場合には、積層される物品7全体のバランスが悪くなる。この場合には、積層される複数の物品7が崩れる可能性が高くなる。しかし、本実施形態のように、水平移動装置4が、複数の物品7が上下方向に沿って千鳥状に配置されるように物品7を移動させるように構成されている場合には、積層される物品7全体のバランスを良好に保つことができる。
【0027】
図6等に示すように、物品7の厚肉部74の上面は支持部72となっており、積層される複数の物品7のうちの任意の物品7は、これの直上に配置される他の物品7を支持部72により支持するように構成されている。さらに、物品7の薄肉部73の底面は被支持部71となっており、当該任意の物品7は、これの直下に配置される他の物品7により被支持部71を支持されるように構成されている。そして、積層状態で保管される複数の物品7のうちの最下段に位置する物品7(以下、最下段物品7という)は、被支持部71を支持体51によって支持されるように構成されている。ここで、例えば、最下段物品7の被支持部71の全体が支持体51によって支持されている場合には、最下段物品7の下方から昇降装置3により上昇してくる保管すべき対象の物品7(以下、保管対象物品7という)が、最下段物品7の被支持部71を支持できなくなる。そのため、本実施形態では、水平移動装置4は、最下段物品7についての厚肉部74の一部が、並び方向Xで当該支持体51と重複する位置となるように、物品7を並び方向Xで移動させるように構成されている。これにより、最下段物品7は、厚肉部74のうち並び方向Xで支持体51と重複する部分を当該支持体51によって支持されることができ、厚肉部74のうち他の部分を保管対象物品7によって支持されることができる。なお、最下段物品7が「支持体に直接支持されている物品」に相当する。また、以下では、最下段物品7を含む、既に保管されている物品7を保管物品7として説明することがある。
【0028】
図1及び
図2に示すように、水平移動装置4は、昇降装置3と一体的に昇降するように構成されている。すなわち、水平移動装置4は、昇降装置3の上部に設けられている。これにより、昇降装置3の昇降に伴って、水平移動装置4も昇降するように構成されている。なお、本実施形態において「昇降装置が、昇降準備位置に供給された物品を下方から支持する」とは、水平移動装置4を介して間接的に物品7を支持することを意味する。また、本実施形態では、これら水平移動装置4の作動及び昇降装置3の作動が少なくとも一定期間重複するように構成されている。これにより、物品7に昇降と並び方向Xに沿った水平移動とを、少なくとも一定期間、同時に行わせることができる。従って、物品7にこれらの動作を異なる期間で各別に行わせる場合に比べて、保管作業全体としての作業時間を短縮できる。
【0029】
次に、
図3〜
図7を参照して、物品保管設備1の動作について説明する。
図3〜
図7に示す#1〜#10は、上下方向に沿う領域を並び方向Xで分割した第1〜第10の領域である。また、これらの領域は、物品7における並び方向Xの両端部の近傍の上下方向の領域をそれぞれ区分けしている。また、
図3〜
図7において、支持位置SP(
図2参照)に位置している状態の支持体51をハッチングで表している。退避位置EPに位置している状態の支持体51を破線で表している。以下では、説明の便宜上、並び方向Xにおける一方向を第1並び方向X1とし、他方向を第2並び方向X2とする。
【0030】
物品7の被支持部71は、厚肉部74の底面であると共に、並び方向Xにおける中央側に配置される内被支持部71iと、外側に配置される外被支持部71oと、に区分けされている。本実施形態では、物品7の厚肉部74の一部である内被支持部71i及び外被支持部71oのいずれか一方が、支持体51によって支持されるように構成されている。そして、他方が当該物品7の直下に配置される他の物品7の支持部72により支持されるように構成されている。また、物品7の支持部72は、厚肉部74の上面であると共に、並び方向Xにおける中央側に配置される内支持部72iと、外側に配置される外支持部72oと、に区分けされている。本実施形態では、物品7の厚肉部74の一部である内支持部72i及び外支持部72oのいずれか一方が、当該物品7の直上に配置される他の物品7の内被支持部71i及び外被支持部71oのいずれか一方を支持するように構成されている。
【0031】
図3に示すように、保管物品7に対して、水平移動装置4に載置された保管対象物品7を、昇降装置3の作動により保管物品7の下方から接近させる。ここで、支持体51は、ブラケット6を介してフレーム8に設けられているものであるため、支持位置SPに位置した状態における当該支持体51の位置は、常に一定となる。本実施形態では、支持体51は、支持位置SPで第3領域#3及び第8領域#8に配置されるように構成されている。
図3においては、第3領域#3の支持体51は、保管物品7の第1並び方向X1の外被支持部71oを支持している。第8領域#8の支持体51は、保管物品7の第2並び方向X2の内被支持部71iを支持している。そのため、この状態では、厚肉部74の一部である、第1並び方向X1の内被支持部71i及び第2並び方向X2の外被支持部71oが支持体51によって支持されていない部分となっている。そして、当該内被支持部71iは第4領域#4に、当該外被支持部71oは第9領域#9に配置された状態となっている。そのため、保管対象物品7は、第1並び方向X1の外支持部72oが第4領域#4に、第2並び方向X2の内支持部72iが第9領域#9に配置されるように水平移動装置4によって並び方向Xで位置調整される。
【0032】
図4に示すように、保管対象物品7をさらに上昇させると、第1並び方向X1において、保管対象物品7の外支持部72oが保管物品7の内被支持部71iに当接する。また、第2並び方向X2において、保管対象物品7の内支持部72iが保管物品7の外被支持部71oに当接する。この状態で、支持体51に掛かっていた保管物品7の荷重が保管対象物品7に移り、支持体51を退避位置EPに切り換える。以下では、保管物品7の荷重が支持体51から保管対象物品7に移される高さを荷重抜き高さH2とする。そして、この状態から、保管対象物品7が引き渡し高さH3に位置するように、昇降装置3により保管物品7ごと保管対象物品7を上昇させる。さらに、保管対象物品7の第1並び方向X1の内被支持部71iを支持体51に支持させるべく第3領域#3に、第2並び方向X2の外被支持部71oを支持体51に支持させるべく第8領域#8に位置させるように、水平移動装置4によって当該保管対象物品7を保管物品7ごと並び方向Xに沿って水平移動させる。このように、本実施形態では、水平移動装置4は、物品7に対して、保管対象物品7を保管物品7ごと水平移動させる全体水平移動をさせるように構成されている。水平移動装置4が保管対象物品7及び保管物品7を全体水平移動させるように構成されていることで、支持位置SPに位置している状態の支持体51の位置が常に一定の位置に配置される構成であっても、下方から連続して物品7を積層することができる。
【0033】
保管対象物品7及び保管物品7を並び方向Xに全体水平移動させた後は、
図5に示すように、支持体51を支持位置SPに切り換える。図示しないが、この状態から昇降装置3を下降させることで、支持体51に物品7を引き渡すことができる。昇降装置3は、受け取り高さH1まで下降して搬送装置2から次の保管対象物品7を受け取り、その後、
図5に示すように、当該保管対象物品7を上昇させる。
図5の状態では、最下段物品7の第1並び方向X1の外被支持部71oが第2領域#2に、第2並び方向X2の内被支持部71iが第7領域#7に配置されている。水平移動装置4は、保管対象物品7の第1並び方向X1の内支持部72iが第2領域#2に、第2並び方向X2の外支持部72oが第7領域#7に位置するように、保管対象物品7を水平移動させる。この状態で、昇降装置3は、保管対象物品7が荷重抜き高さH2に位置するように、当該保管対象物品7を上昇させる。
【0034】
図6に示すように、保管対象物品7が荷重抜き高さH2に到達することにより保管対象物品7が最下段物品7に下方から当接すると、最下段物品7を含む複数の保管物品7の荷重が支持体51から保管対象物品7に移される。この状態から、支持体51を退避位置EPに切り換える。また、保管対象物品7を支持体51に支持させるべく保管対象物品7が引き渡し高さH3に位置するように、昇降装置3は、保管対象物品7を複数の保管物品7ごと上昇させる。さらに、保管対象物品7を支持体51に支持させるべく、水平移動装置4は、保管対象物品7及び複数の物品7を全体水平移動させる。本実施形態では、水平移動装置4は、保管対象物品7の第1並び方向X1の外被支持部71oを第3領域#3に、第2並び方向X2の内被支持部71iを第8領域#8に位置させるように、保管対象物品7及び複数の保管物品7を全体水平移動させるように構成されている。
【0035】
保管対象物品7及び複数の保管物品7を並び方向Xに全体水平移動させた後は、
図7に示すように、支持体51を支持位置SPに切り換える。そして、前述した動作と同様の動作を繰り返すことにより、物品保管設備1は、複数の物品7を下方から積層していく。本実施形態では、水平移動装置4は、3つ以上の物品7を積層する場合に、これら3つ以上の物品7を上下方向で千鳥状に配置させるべく物品7を並び方向Xで移動させるように構成されている。これにより、積層される複数の物品7の全体のバランスを良好に保つことができる。
【0036】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係る物品保管設備1について、
図8〜
図11を参照して説明する。第2実施形態では、支持体及び水平移動装置の構成が第1実施形態と異なる。以下では、第2実施形態について第1実施形態と異なる点を中心に説明する。第2実施形態について特に説明しない点については、第1実施形態と同様である。
【0037】
図8〜
図11に示す#1〜#6は、上下方向に沿う領域を並び方向Xで分割した第1〜第6の領域である。また、これらの領域は、物品7における並び方向Xの両端部の近傍の上下方向の領域をそれぞれ区分けしている。
【0038】
図8〜
図11に示すように、第2実施形態では、支持体51は、第1支持体51a及び第2支持体51bを有し、第1支持体51a及び第2支持体51bのそれぞれは、支持位置SPと退避位置EPとに切換自在に構成されると共に、第1支持体51aの支持位置SPと第2支持体51bの支持位置SPとが並び方向Xで異なる位置となるように構成されている。第2実施形態では、第1支持体51aは、支持位置SPで第1領域#1及び第4領域#4に配置されるように構成されている。また、第2支持体51bは、支持位置SPで第3領域#3及び第6領域#6に配置されるように構成されている(
図10参照)。
図8に示すように、保管物品7の第1並び方向X1の外被支持部71o及び第2並び方向X2の内被支持部71iが、第1支持体51aによって支持されている。従って、第1支持体51aによって支持されていない第1並び方向X1の内被支持部71i及び第2並び方向X2の外被支持部71oを、保管対象物品7によって支持させるべく、水平移動装置4は保管対象物品7を並び方向Xに沿って水平移動させる。詳細には、保管対象物品7の第1並び方向X1の外支持部72oを第2領域#2に、第2並び方向X2の内支持部72iを第5領域#5に位置させるように、水平移動装置4は保管対象物品7を水平移動させる。この状態で、昇降装置3は、保管対象物品7を上昇させる。
【0039】
図9に示すように、昇降装置3が、保管対象物品7を荷重抜き高さH2に位置するまで上昇させると、保管物品7に対して保管対象物品7が下方から当接する。保管物品7の荷重が第1支持体51aから保管対象物品7に移された状態で、第1支持体51aを退避位置EPに切り換える。この状態から、昇降装置3は、保管対象物品7が引き渡し高さH3に位置するように、当該保管対象物品7を保管物品7ごと上昇させる。
【0040】
図10に示すように、保管対象物品7が引き渡し高さH3に到達すると、第2支持体51bを支持位置SPに切り換えると共に昇降装置3を下降させて、複数の物品7を第2支持体51bに引き渡す。
図10に示すように、保管物品7である最下段物品7の第1並び方向X1の内被支持部71i及び第2並び方向X2の外被支持部71oが、第2支持体51bによって支持されている。従って、第2支持体51bによって支持されていない第1並び方向X1の外被支持部71o及び第2並び方向X2の内被支持部71iを、保管対象物品7によって支持させるべく、水平移動装置4は保管対象物品7を並び方向Xに沿って水平移動させる。そして、昇降装置3は、保管対象物品7が荷重抜き高さH2に位置するように当該保管対象物品7を上昇させる。
【0041】
図11に示すように、保管対象物品7が荷重抜き高さH2に到達すると、最下段物品7に対して下方から保管対象物品7が当接して、複数の保管物品7の荷重が第2支持体51bから保管対象物品7に移る。そして、第2支持体51bを退避位置EPに切り換え、昇降装置3により保管対象物品7及び複数の保管物品7を引き渡し高さH3まで上昇させると共に第1支持体51aを支持位置SPに切り換え、当該第1支持体51aに複数の物品7を引き渡す。そして、前述した動作と同様の動作を繰り返すことにより、物品保管設備1は、複数の物品7を下方から積層していく。
【0042】
以上のように、第2実施形態では、支持体51が第1支持体51a及び第2支持体51bを有すると共に、これら第1支持体51a及び第2支持体51bが並び方向Xにおいて異なる位置に配置されている。そのため第2実施形態は、水平移動装置4が、物品7に対して、全体水平移動をさせる工程がない。これにより、第2実施形態では、保管作業全体として作業時間を短縮できる。さらに、第1支持体51a及び第2支持体51bが並び方向Xにおいて異なる位置に配置されていることで、作業中に物品7を並び方向Xに移動させる領域を狭くできる。すなわち、第2実施形態では、比較的狭い範囲である第1〜第6の領域#1〜#6内で複数の物品7を下方から積層できる。従って、第2実施形態によれば、並び方向Xの領域を狭くすることで物品保管設備1全体の容量を小さくすることができる。その結果、設置スペースの点で有利となる。
【0043】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の各実施形態では、物品保管設備1が、並び方向Xの両端部が搬送方向Yに沿って上方に突出した形状となった物品7を保管するように構成されている例について説明した。しかし、本発明に係る物品保管設備はこのような構成に限定されない。すなわち、本発明に係る物品保管設備は、
図12に示すように、並び方向Xの両端部及び中央部が搬送方向Yに沿って下方に突出した形状となった物品7を保管するように構成されていても良い。この場合には、物品7における並び方向Xの両端部及び中央部が厚肉部74となり、それ以外の部分が薄肉部73となる。また、この場合には、支持体51は最下段物品7の薄肉部73を直接支持するように構成される。
【0044】
(2)上記の各実施形態では、搬送装置2が、チェーン24により外部から昇降準備位置RPに物品7を供給するように構成されている例について説明した。しかし、本発明はこのような構成に限定されない。すなわち、例えば、無人搬送車又は台車や有人フォークリフトなどにより物品が昇降準備位置に供給するように構成されても良い。
【0045】
(3)上記の各実施形態では、物品7を並び方向Xで移動させる水平移動装置4の他に、並び方向Xに対して水平面に沿って直交する搬送方向Yに物品7を搬送させる搬送装置2を備えて構成されている例について説明した。しかし、本発明はこのような構成に限定されない。すなわち、本発明に係る物品保管設備は、水平移動装置が搬送装置を兼ねるように構成されていても良い。この場合には、並び方向と搬送方向とが同一の方向となり、水平移動装置が物品を搬送するように構成される。
【0046】
(4)上記の各実施形態では、物品保管設備1に保管される物品7が、薄肉部73と厚肉部74とを並び方向Xに並んだ状態で有する例について説明した。本発明に係る物品保管設備は、このような薄肉部と厚肉部とを有する一体物としての物品を保管する他、別体の薄肉部と厚肉部とが互いに連結されることにより一体となる物品を保管するものであっても良い。
【0047】
(5)これらの各実施形態は、単なる例示に過ぎない。また、これらの各実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で相互に組み合わせることができる。