特許第6597532号(P6597532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6597532
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】携帯機器
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20191021BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   H04M1/02 C
   H05K5/02 N
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-177593(P2016-177593)
(22)【出願日】2016年9月12日
(65)【公開番号】特開2018-46329(P2018-46329A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2018年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(72)【発明者】
【氏名】目黒 啓益
(72)【発明者】
【氏名】千葉 康則
(72)【発明者】
【氏名】奥村 慎也
【審査官】 吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0265696(US,A1)
【文献】 特表2010−529630(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0315763(US,A1)
【文献】 特開2010−182059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/00
1/16−1/18
H04M1/02−1/23
H05K5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器ケースと、前記機器ケース内に配置されるインナーケースと、を備え、
前記インナーケースは、
前記機器ケース内に配置される第1フレームと、
前記機器ケース内に前記第1フレームと並列に配置される第2フレームと、
前記第1フレームと前記第2フレームとを連結する連結部と、
前記連結部に設けられ、前記第1フレームと前記第2フレームとが受けた衝撃を緩衝する緩衝部材と、
を備え、
前記第2フレームは、前記第1フレームが連結される連結方向に対して直交する方向の長さが、前記第1フレームにおける前記連結方向と直交する方向の長さよりも短く形成され、
前記連結部は、前記第1フレームと前記第2フレームとの前記連結方向に対して直交する方向の長さが、前記第1フレームにおける前記連結方向と直交する方向の両側の端部側から、これに対応する前記第2フレームにおける前記連結方向と直交する方向の両側の端部に向けて、次第に短くなるように形成されている、
ことを特徴とする携帯機器。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯機器において、
前記緩衝部材は、前記連結部における前記連結方向と直交する方向の長さよりも少し短い長さで、前記連結部に埋め込まれている、
ことを特徴とする携帯機器。
【請求項3】
機器ケースと、前記機器ケース内に配置されるインナーケースと、を備え、
前記インナーケースは、
前記機器ケース内に配置される第1フレームと、
前記機器ケース内に前記第1フレームと並列に配置される第2フレームと、
前記第1フレームと前記第2フレームとを連結する連結部と、
前記連結部に設けられ、前記第1フレームと前記第2フレームとが受けた衝撃を緩衝する緩衝部材と、
を備え、
前記第2フレームは、前記第1フレームが連結される連結方向に対して直交する方向の長さが、前記第1フレームにおける前記連結方向と直交する方向の長さよりも短く形成され、
前記連結部は、前記第1フレームと前記第2フレームとの前記連結方向に対して直交する方向の長さが、前記第2フレームにおける前記連結方向と直交する方向の長さとほぼ同じ長さに形成され、
前記緩衝部材は、前記連結部における前記連結方向と直交する方向の長さよりも少し短い長さで、前記連結部に埋め込まれている、
ことを特徴とする携帯機器。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の携帯機器において、
前記第1フレームと前記第2フレームとは、それぞれ矩形状をなし、前記連結部と共に合成樹脂によって一体に形成されている、
ことを特徴とする携帯機器。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の携帯機器において、
前記第2フレームは、前記第1フレームに搭載される部品の重量よりも重い重量の部品が搭載されている、
ことを特徴とする携帯機器。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の携帯機器において、
前記第2フレームはバッテリが搭載され、
前記第1フレームは表示モジュールが搭載されている、
ことを特徴とする携帯機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯端末機、携帯電話機などの携帯機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯端末機においては、特許文献1に記載されているように、機器ケース内にインナーケースを設け、このインナーケースに各種の部品を搭載することにより、各種の部品を機器ケース内に組み込むように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−134785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような携帯端末機は、機器ケースを持ち易くするため、機器ケースが細長い長方形状に形成され、これに伴ってインナーケースも細長い長方形状に形成されている。このため、この携帯端末機では、機器ケースが外部から衝撃を受け、その衝撃がインナーケースに伝わると、その衝撃がインナーケースの長手方向における中間部に集中し易く、インナーケースの中間部が劣化し、破損し易い。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、耐衝撃性の高い携帯機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る第1の態様の携帯機器は、機器ケースと、前記機器ケース内に配置されるインナーケースと、を備え、前記インナーケースは、前記機器ケース内に配置される第1フレームと、前記機器ケース内に前記第1フレームと並列に配置される第2フレームと、前記第1フレームと前記第2フレームとを連結する連結部と、前記連結部に設けられ、前記第1フレームと前記第2フレームとが受けた衝撃を緩衝する緩衝部材と、を備え、前記第2フレームは、前記第1フレームが連結される連結方向に対して直交する方向の長さが、前記第1フレームにおける前記連結方向と直交する方向の長さよりも短く形成され、前記連結部は、前記第1フレームと前記第2フレームとの前記連結方向に対して直交する方向の長さが、前記第1フレームにおける前記連結方向と直交する方向の両側の端部側から、これに対応する前記第2フレームにおける前記連結方向と直交する方向の両側の端部に向けて、次第に短くなるように形成されている、ことを特徴とする。
また、この発明に係る第2の態様の携帯機器は、機器ケースと、前記機器ケース内に配置されるインナーケースと、を備え、前記インナーケースは、前記機器ケース内に配置される第1フレームと、前記機器ケース内に前記第1フレームと並列に配置される第2フレームと、前記第1フレームと前記第2フレームとを連結する連結部と、前記連結部に設けられ、前記第1フレームと前記第2フレームとが受けた衝撃を緩衝する緩衝部材と、を備え、前記第2フレームは、前記第1フレームが連結される連結方向に対して直交する方向の長さが、前記第1フレームにおける前記連結方向と直交する方向の長さよりも短く形成され、前記連結部は、前記第1フレームと前記第2フレームとの前記連結方向に対して直交する方向の長さが、前記第2フレームにおける前記連結方向と直交する方向の長さとほぼ同じ長さに形成され、前記緩衝部材は、前記連結部における前記連結方向と直交する方向の長さよりも少し短い長さで、前記連結部に埋め込まれている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、機器ケースが外部から衝撃を受け、その衝撃がインナーケースに伝わっても、その衝撃を緩衝部材によって緩衝することができるので、耐衝撃性の高いものを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明を携帯端末機に適用した一実施形態を示した正面図である。
図2図1に示された携帯端末機の側面図である。
図3図1に示された携帯端末機を裏面側から見た斜視図である。
図4図1に示された携帯端末機のA−A矢視における拡大断面図である。
図5図3に示された携帯端末機において、下部ケースを取り外した状態を示した拡大裏面図である。
図6図5に示されたインナーケースを示し、(a)はその拡大正面図、(b)はそのB−B矢視における拡大断面図である。
図7図6に示されたインナーケースの要部を示し、(a)は図6(a)における要部を示した拡大正面図、(b)は図6(b)における要部を示した拡大断面図である。
図8図3に示された携帯端末機のC−C矢視における要部を示した拡大断面図である。
図9図5に示されたインナーケースの変形例を示し、(a)はその拡大正面図、(b)はそのD−D矢視における拡大断面図である。
図10図9に示されたインナーケースの要部を示し、(a)は図9(a)における要部を示した拡大正面図、(b)は図9(b)における要部を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図8を参照して、この発明を携帯端末機に適用した一実施形態について説明する。
この携帯端末機は、図1図3に示すように、機器ケース1を備えている。この機器ケース1は、上部ケース2と下部ケース3とで構成されている。上部ケース2内には、表示部4と入力部5とが配置されている。下部ケース3の裏面(図3では表面)には、読取装置6と電池蓋7とが設けられている。
【0010】
この場合、機器ケース1は、図1図3に示すように、上部ケース2の表示部4側およびこれに対応する下部ケース3の読取装置6側に位置する先端部側(図1では上辺部側)が、前後方向(図1では上下方向)に長い長方形状の本体部1aに形成され、上部ケース2の入力部5側およびこれに対応する下部ケース3の電池蓋7側に位置する手前部側(図1では下辺部側)が、前後方向に長い長方形状の握り部1bに形成されている。
【0011】
すなわち、この機器ケース1は、図1図3に示すように、握り部1bにおける機器ケース1の長手方向と直交する方向の長さ(幅)が、本体部1aにおける機器ケース1の長手方向と直交する方向の長さ(幅)よりも短く形成されている。これにより、機器ケース1は、全体がほぼ羽子板形状に形成されている。つまり、この機器ケース1は、本体部1aにおける表面の面積が握り部1bにおける表面の面積よりも広く形成され、かつ握り部1bが握り易い形状に形成されている。
【0012】
ところで、この機器ケース1は、図4図6示すように、その内部にインナーケース8が設けられている。このインナーケース8は、機器ケース1の本体部1a内に配置される第1フレーム10と、機器ケース1の握り部1b内に第1フレーム10と並列に配置される第2フレーム11と、この第1フレーム10と第2フレーム11とを連結する連結部12と、この連結部12に設けられた第1緩衝部材13と、を備えている。
【0013】
この場合、第1フレーム10と第2フレーム11とは、図5および図6に示すように、それぞれ矩形状をなし、連結部12と共にABS樹脂、またはPC樹脂とABS樹脂との複合材などの合成樹脂によって一体に形成されている。第1フレーム10は、機器ケース1の本体部1aと同じ長方形状で、本体部1aよりも少し小さい大きさの枠状に形成されている。
【0014】
第2フレーム11は、図5および図6に示すように、機器ケース1の握り部1bと同じ長方形状で、握り部1bよりも少し小さい大きさの樋状、つまり断面半円形状または断面台形状に形成されている。この第2フレーム11は、第1フレーム10と第2フレーム11とが連結される連結方向であるインナーケース8の長手方向に対して直交する方向の長さが、第1フレーム10における連結方向である長手方向と直交する方向の長さよりも短く形成されている。
【0015】
連結部12は、図5図7に示すように、第1フレーム10と第2フレーム11とが連結される連結方向であるインナーケース8の長手方向に対して直交する方向の長さが、第2フレーム11の連結方向である長手方向に対して直交する方向の長さとほぼ同じ長さで形成されている。この連結部12には、第1緩衝部材13が嵌着するスリット状の嵌合部12aが第2フレーム11の長手方向に対して直交する方向の長さよりも少し短い長さで形成されている。
【0016】
この場合、スリット状の嵌合部12aは、図6および図7に示すように、インナーケース8の長手方向の長さが、連結部12におけるインナーケース8の長手方向の長さよりも少し短く形成され、かつインナーケース8の長手方向と直交する方向の長さが、連結部12におけるインナーケース8の長手方向と直交する方向の長さよりも少し短く形成されている。
【0017】
すなわち、この嵌合部12aは、図6および図7に示すように、連結部12の外周縁部を除いて、連結部12の外形よりも少し小さい大きさで形成されている。また、この嵌合部12aは、連結部12の表裏面方向である厚み方向に貫通しない凹部状に形成されているが、これに限らず、連結部12の表裏面方向である厚み方向に貫通した状態で形成されていても良い。
【0018】
第1緩衝部材13は、図6および図7に示すように、シリコーン樹脂、エラストマーなどの弾力性が高く、かつ硬度が80〜90程度の合成樹脂で形成されている。この第1緩衝部材13は、第2フレーム11における長手方向と直交する方向の長さよりも少し短い長さで形成され、連結部12に設けられたスリット状の嵌合部12a内に嵌め込まれるように構成されている。
【0019】
すなわち、この第1緩衝部材13は、図6および図7に示すように、連結部12のスリット状の嵌合部12a内に嵌め込まれた状態で、嵌合部12aを弾力的に押し広げるように嵌め込まれている。これにより、第1緩衝部材13は、機器ケース1が外部から衝撃を受け、その衝撃がインナーケース8に伝わった際に、連結部12に集中する衝撃を緩衝して連結部12を保護するように構成されている。
【0020】
一方、第1フレーム10は、図4に示すように、その表面(図4では左側面)に表示部4が設けられ、裏面(図4では右側面)に回路基板14が設けられるように構成されている。また、第2フレーム11は、その表面(図4では左側面)に入力部5が設けられ、下部(図4では右側面)に電池収納部15が設けられるように構成されている。
【0021】
表示部4は、図1および図4に示すように、液晶表示パネル、EL(エレクトロ・ルミネッセンス)表示パネルなどの平面型の表示パネルを備え、この表示パネルで情報を電気光学的に表示するように構成されている。この表示部4は、図4に示すように、機器ケース1の本体部1aに対応する上部ケース2の箇所に設けられた表示開口部2aに対応した状態で、上部ケース2の内部に配置されている。
【0022】
これにより、表示部4は、図1および図4に示すように、表示した情報が表示開口部2aを通して上部ケース2の外部から見えるように構成されている。この場合、表示部4の上辺側に位置する上部ケース2の箇所には、図1に示すように、スピーカ16aとインジケータ用の発光素子(LED)16bとが設けられている。
【0023】
回路基板14は、図4および図5に示すように、携帯端末機全体を制御する回路部が搭載され、第1フレーム10の裏面(図5では表面)に複数のビス14aによって取り付けられ、この状態で上部ケース2の内部に配置されるように構成されている。この回路基板14は、表示部4が電気的に接続されると共に、入力部5、読取装置6、スピーカ16a、発光素子16b、および後述する電池22がそれぞれ電気的に接続されるように構成されている。
【0024】
入力部5は、図1図2および図4に示すように、テンキー、演算キー、カーソルキー、決定キー、バッテリキーなどの各種のキー5aを備えている。この入力部5は、各種のキー5aが上部ケース2の表面に設けられた複数のキー挿入孔2bから外部に露出した状態で、上部ケース2に配列されている。これにより、入力部5は、各種のキー5aを操作することにより、情報を入力するように構成されている。
【0025】
この場合、入力部5の上辺部には、図1および図2に示すように、センタートリガーキー17aが設けられている。このセンタートリガーキー17aは、上部ケース2のほぼ中央部に設けられたキー挿入孔2bに挿入されて表面側に露出するように構成されている。また、機器ケース1の両側面には、図2および図3に示すように、サイドトリガーキー17bがそれぞれ設けられている。このサイドトリガーキー17bは、機器ケース1の両側部に設けられたキー挿入孔2cに挿入されて外部に露出するように構成されている。
【0026】
読取装置6は、図2図4に示すように、ユニットケース18を備え、このユニットケース18の内部に読取部20と撮影部21とが設けられた構成になっている。この場合、ユニットケース18は、下部ケース3の裏面(図3では表面)に複数のビス18aによって着脱可能に取り付けられるように構成されている。
【0027】
読取部20は、図4に示すように、スキャナであり、レーザ光線などの光線を被読取物(図示せず)に照射し、その反射光を受光することにより、被読取物のコード情報を読み取るように構成されている。撮影部21は、撮像素子を備えたカメラであり、読取部20で読み取る被読取物を画像として撮影するように構成されている。
【0028】
この読取装置6は、図4に示すように、読取部20で読み取った被読取物のコード情報が表示部4に表示されると共に、撮影部21で撮影した被読取物の画像が表示部4に表示されることにより、表示部4に表示された被読取物のコード情報および被読取物の画像を見ながら、読取部20による読取操作と撮影部21による撮影操作とが同時に行われるように構成されている。
【0029】
ユニットケース18は、図3および図4に示すように、四角形状の平板を機器ケース1の長手方向に沿って緩やかに傾斜する山形状に突出させて形成されている。このユニットケース18には、読取部20に対応する読取窓部19aと、撮影部21に対応する撮影窓部19bと、が設けられている。これら読取部20と撮影部21とは、読取部20による光線の照射方向S1と撮影部21による撮影方向S2とが同一方向に設定されている。
【0030】
この場合、読取部20と撮影部21とは、図2および図4に示すように、読取部20による光線の照射方向S1と撮影部21による撮影方向S2とが、機器ケース1の裏面に対して所定角度θで傾いた状態で、ユニットケース18内に配置されている。すなわち、読取部20による光線の照射方向S1と撮影部21による撮影方向S2とは、下部ケース3の裏面に対して握り部1bと反対側に位置する下部ケース3の先端側に向けて、40°〜80°の角度範囲で、好ましくは60°の角度で傾いていることが望ましい。
【0031】
電池収納部15は、図4および図5に示すように、第2フレーム11にその表面側(図4では左側面)に向けて凸となる断面半円形状または断面台形状に形成され、その裏面側(図4では右側面)が開放され、この開放された箇所を通して電池22が収納されるように構成されている。この電池収納部15は、第2フレーム11と共に下部ケース3内に配置され、この状態で電池蓋7によって塞がれるように構成されている。
【0032】
電池蓋7は、図3および図4に示すように、入力部5の裏面側に対応する下部ケース3の裏面側(図3では表面側)にビス7aによって着脱可能に取り付けられるように構成されている。すなわち、この電池蓋7は、断面半円形の逆樋状に形成され、裏面側が凸になる状態で、下部ケース3内の電池収納部15を覆って塞ぐことにより、握り部1bが握り易い形状になるように構成されている。
【0033】
ところで、機器ケース1は、図8に示すように、上部ケース2と下部ケース3とを重ね合わせた際に、上部ケース2の下部周縁部(図8では右側周縁部)に設けられた係止溝23に、下部ケース3の上部周縁部(図8では左側周縁部)に設けられた係合突起24が係合することにより、上部ケース2と下部ケース3とが結合されるように構成されている。
【0034】
すなわち、上部ケース2の係止溝23は、図5および図8に示すように、上部ケース2の内側下部(図5では表面部)にその外周に沿って形成されている。下部ケース3の係合突起24は、図8に示すように、下部ケース3の内側上部にその外周に沿って形成されている。これにより、機器ケース1は、上部ケース2と下部ケース3とを重ね合わせた際に、上部ケース2の係止溝23に下部ケース3の係合突起24が嵌合して、上部ケース2と下部ケース3とが結合されるように構成されている。
【0035】
また、この機器ケース1は、図5および図8に示すように、上部ケース2と下部ケース3とのうちの一方である上部ケース2に設けられて、上部ケース2と下部ケース3とを連結するための複数の連結ボス部25と、これら複数の連結ボス部25の周囲にそれぞれ設けられて、上部ケース2と下部ケース3とに弾接する複数の第2緩衝部材26と、を備えている。
【0036】
この場合、複数の連結ボス部25それぞれは、図5および図8に示すように、内部にねじ部が設けられた円筒状に形成され、上部ケース2内に起立して設けられている。すなわち、これら複数の連結ボス部25それぞれは、図8に示すように、上部ケース2の表面側に位置する基端部の外径が下部ケース3側に位置する先端部の外形よりも大きく形成されている。
【0037】
これにより、複数の連結ボス部25それぞれは、図8に示すように、外周面に受け部25aが段差状に形成された円筒形状に形成されている。また、これらの複数の連結ボス部25それぞれは、下部ケース3に設けられた複数のビス挿入部27を通して複数のビス28がそれぞれ螺合するように構成されている。
【0038】
この場合、複数のビス挿入部27それぞれは、図8に示すように、下部ケース3の裏面側内面(図8では右側内面)から上部ケース2の裏面側(図8では右側)に向けて垂下されている。これら複数のビス挿入部27それぞれは、ビス28がその頭部28aと共に挿入する筒部27aと、この筒部27aの上端部(図8では左端部)に設けられてビス28のねじ部28bが挿入する挿入孔を有する当接部27bと、で構成されている。
【0039】
これにより、複数の連結ボス部25は、図8に示すように、下部ケース3の複数のビス挿入部27を通して複数のビス28の各ねじ部28bがそれぞれ螺合した際に、上部ケース2と下部ケース3とが複数の第2緩衝部材26を弾力的に挟み付けた状態で、上部ケース2と下部ケース3とを相互に固定するように構成されている。
【0040】
すなわち、上部ケース2と下部ケース3とは、図8に示すように、複数のビス28の各ねじ部28bが複数の連結ボス部25にそれぞれ螺合した際に、複数のビス28の各頭部28aが複数のビス挿入部27の各当接部27bを複数の第2緩衝部材26に押し付け、これら複数の第2緩衝部材26が複数の連結ボス部25の段差状の各受け部25aに押し付けられることにより、複数の第2緩衝部材26を弾力的に挟み付けるように構成されている。
【0041】
この場合、複数の連結ボス部25は、図5に示すように、上部ケース2内における四隅に設けられているほか、上部ケース2の長手方向における中間部に位置する両側部にも設けられている。これに伴って、複数のビス挿入部27は、図8に示すように、下部ケース3の四隅と下部ケース3の長手方向における中間部に位置する両側部とに、複数の連結ボス部25それぞれと対応するように設けられている。
【0042】
複数の第2緩衝部材26は、図5および図8に示すように、複数の連結ボス部25における小径の先端部の各外周に配置されて、上部ケース2の内周面に弾接するほぼ円筒状に形成されている。これら第2緩衝部材26それぞれは、その表面側に位置する端面が上部ケース2に設けられた複数の連結ボス部25の段差状の各受け部25aに弾接し、裏面側に位置する端面が下部ケース3のビス挿入部27の下端部に設けられた当接部27bに弾接し、かつ外周面が上部ケース2の内周面に弾接するように構成されている。
【0043】
すなわち、これら複数の第2緩衝部材26は、第1緩衝部材13と同様、シリコーン樹脂、エラストマーなどの弾力性が高く、かつ硬度が80〜90程度の合成樹脂によって、ほぼ円筒形状に形成されている。これら複数の第2緩衝部材26は、図5に示すように、上部ケース2の内周面に沿う形状に形成されている。この場合、複数の第2緩衝部材26には、上部ケース2の内周面に沿う方向に突出する突出部26aが上部ケース2の内周面に弾接する状態で形成されている。
【0044】
また、これら複数の第2緩衝部材26は、図5および図8に示すように、上部ケース2と下部ケース3との間に配置されたインナーケース8をフローティング状態で保持するように構成されている。この場合、インナーケース8には、複数の第2緩衝部材26がそれぞれ装着する第1〜第3の装着部30〜32が設けられている。
【0045】
すなわち、第1の装着部30は、図5および図6(a)に示すように、インナーケース8の上辺の両側部つまり第1フレーム10の上辺の両側部に設けられている。第2の装着部31は、インナーケース8の下辺の両側部つまり第2フレーム11の下辺の両側部に各連結ボス部25に向けて突出して設けられている。第3の装着部32は、インナーケース8の長手方向における中間部の両側部つまり連結部12の両側部と電池収納部15の外周部とに位置する箇所に設けられている。
【0046】
この場合、第1フレーム10の上辺の両側部に設けられた第1の装着部30は、図5に示すように、これに対応する第2緩衝部材26が装着する円弧状の切欠き部に形成されている。第2フレーム11の下辺の両側部に設けられた第2の装着部31は、これに対応する第2緩衝部材26に食い込む突起部に形成されている。連結部12の両側部と電池収納部15の外周部とに位置する箇所に設けられた第3の装着部32は、これに対応する第2緩衝部材26が装着する切欠き段差部に形成されている。
【0047】
これにより、インナーケース8は、図5および図8に示すように、第1〜第3の装着部30〜32が複数の第2緩衝部材26の各外周部に装着されることにより、これら複数の第2緩衝部材26によって上部ケース2と下部ケース3とに対して非接触状態で配置されるように構成されている。このため、このインナーケース8は、機器ケース1内にフローティング状態で保持されるように構成されている。
【0048】
この場合、インナーケース8は、図5および図8に示すように、第1〜第3の装着部30〜32が複数の第2緩衝部材26に装着されて、機器ケース1内に保持された状態で、機器ケース1が落下などの衝撃を受け、その衝撃がインナーケース8に伝わった際に、インナーケース8の長手方向の衝撃と、その長手方向と直交する方向の衝撃と、表裏面方向である厚み方向の衝撃とが、複数の第2緩衝部材26によって緩衝されるように構成されている。
【0049】
次に、このような携帯端末機の作用について説明する。
この携帯端末機を組み立てる場合には、予め、インナーケース8を形成し、このインナーケース8に表示部4、入力部5、回路基板14を搭載する。すなわち、インナーケース8を形成する際には、ABS樹脂、またはPC樹脂とABS樹脂との複合材などの合成樹脂によって第1フレーム10と第2フレーム11と連結部12とを一体に形成する。
【0050】
このときには、連結部12にシリコーン樹脂、エラストマーなどの弾力性を有する合成樹脂製の第1緩衝部材13を2色成型によって一体に埋め込んで成型しても良いが、連結部12にスリット状の嵌合部12aを形成し、この嵌合部12aに第1緩衝部材13を嵌め込むことが望ましい。この場合には、第1緩衝部材13が嵌合部12aをインナーケース8の長手方向に押し広げる状態で嵌合部12aに嵌め込まれる。
【0051】
この状態で、第1フレーム10の表面に表示部4を取り付けると共に、第1フレーム10の裏面に回路基板14を取り付ける。また、第2フレーム11の表面に入力部5を取り付ける。そして、表示部4、回路基板14、および入力部5が組み付けられたインナーケース8を機器ケース1の上部ケース2内に組み込む。
【0052】
この場合には、予め、上部ケース2内に設けられた複数の連結ボス部25における小径の先端部の各外周に複数の第2緩衝部材26をそれぞれ配置する。このときには、複数の第2緩衝部材26の表面側の各端面を上部ケース2に設けられた複数の連結ボス部25の段差状の各受け部25aに弾接させると共に、複数の第2緩衝部材26の各外周面を上部ケース2の内周面に弾接させる。
【0053】
この状態で、上部ケース2内にインナーケース8を配置する。このときには、インナーケース8の第1〜第3の装着部30〜32を複数の第2緩衝部材26の各外周部に装着させる。すなわち、第1フレーム10の上辺の両側部に円弧状の切欠き部状に形成された第1の装着部30を、これに対応する第2緩衝部材26に装着させて、この第2緩衝部材26の外周部に第1の装着部30を弾接させて保持させる。
【0054】
同様に、第2フレーム11の下辺の両側部に突起部状に形成された第2の装着部31を、これに対応する第2緩衝部材26に食い込ませて、この第2緩衝部材26の外周部に第2の装着部31を弾力的に保持させる。また、連結部12の両側部と電池収納部15の両側部とに位置する箇所に切欠き段差部状に形成された第3の装着部32を、これに対応する第2緩衝部材26に装着させて、この第2緩衝部材26の外周部に第3の装着部32を弾接させて保持させる。
【0055】
これにより、インナーケース8は、第1〜第3の装着部30〜32が複数の第2緩衝部材26の各外周部に装着されることにより、これら複数の第2緩衝部材26によって上部ケース2に対して非接触状態で配置される。このため、インナーケース8は、その長手方向から加わる衝撃、その長手方向と直交する方向から加わる衝撃、および表裏面方向である厚み方向から加わる衝撃を、複数の第2緩衝部材26によって緩衝する状態で、上部ケース2内にフローティング状態で保持される。
【0056】
この状態では、表示部4が上部ケース2の表示開口部2aに対応して配置され、入力部5の各キー5aが上部ケース2のキー挿入孔2bに挿入して外部に露出する。また、このときには、センタートリガーキー17aが上部ケース2のキー挿入孔2bに挿入して外部に露出し、サイドトリガーキー17bが機器ケース1の両側部に位置する上部ケース2の両側部のキー挿入孔2cに挿入して外部に露出する。
【0057】
そして、上部ケース2に下部ケース3を取り付ける。このときには、上部ケース2の裏面側の周縁部に設けられた係止溝23に、下部ケース3の表面側の周縁部に設けられた係合突起24を対応させると共に、上部ケース2に設けられた複数の連結ボス部25に、下部ケース3に設けられた複数のビス挿入部27を対応させ、この状態で上部ケース2と下部ケース3とを重ね合わせる。
【0058】
すると、上部ケース2の係止溝23に下部ケース3の係合突起24が嵌め込まれて、上部ケース2と下部ケース3とが結合される。この状態で、下部ケース3の複数のビス挿入部27の各筒部27a内にその外部から複数のビス28をそれぞれ挿入させ、この挿入した複数のビス28の各ねじ部28bを複数のビス挿入部27の各当接部27bの挿入孔に挿入させ、この挿入した複数のビス28の各ねじ部28bを複数の連結ボス部25に螺合させて締め付ける。
【0059】
これにより、複数のビス28の各頭部28aによって下部ケース3の複数のビス挿入部27の各当接部27bが複数の第2緩衝部材26の裏面側の各端面に押し付けられて弾接する。これに伴って、複数の第2緩衝部材26の表面側の各端面が上部ケース2に設けられた複数の連結ボス部25の段差状の各受け部25aに押し付けられて弾接する。このため、上部ケース2と下部ケース3とが複数の第2緩衝部材26を介して相互に固定される。この結果、機器ケース1が組み立てられる。
【0060】
この状態で、機器ケース1の本体部1aの裏面、つまり機器ケース1の本体部1aに対応する下部ケース3の裏面に読取装置6のユニットケース18を複数のビス18aによって取り付ける。この場合には、予め、ユニットケース18の読取窓部19aに読取部20を対応させ、ユニットケース18の撮影窓部19bに撮影部21を対応させ、この状態でユニットケース18内に読取部20と撮影部21とを組み付ける。
【0061】
また、機器ケース1の握り部1bに対応するインナーケース8の第2フレーム11に設けられた電池収納部15内に電池22を収納し、機器ケース1の握り部1b内に設けられた電池収納部15を電池蓋7で覆う。この状態で、機器ケース1の握り部1bに対応する下部ケース3の裏面に電池蓋7をビス7aによって取り付ける。これにより、携帯端末機が組み立てられる。
【0062】
次に、この携帯端末機を使用する場合について説明する。
この場合には、まず、機器ケース1の上部ケース2を上に向けて、機器ケース1の握り部1bをオペレータが手で握る。この状態では、上部ケース2の表示部4と入力部5とが上を向くので、入力部5の各種のキー5aを操作して商品やその在庫などの情報を入力することができ、その入力された情報が表示部4に表示される。
【0063】
また、読取装置6で商品に張られたラベルなどの被読取物のコード情報およびその画像を取り込む場合には、ユニットケース10に設けられた読取窓部19aと撮影窓部19bとを被読取物に向けて、入力部5の上辺部に設けられたセンタートリガーキー5bと機器ケース1の両側部に設けられたサイドトリガーキー5cとのいずれかを操作する。すると、読取装置6の読取部20が被読取物のコード情報を読み取ると共に、これと同時に撮影部21が被読取物を画像として撮影する。
【0064】
このようにして、読取装置6が取り込んだ被読取物のコード情報とその画像とは、表示部4に表示される。このため、表示部4に表示された被読取物のコード情報とその画像とをオペレータが見ながら、入力部5の決定キー5aを操作することにより、表示部4に表示された被読取物のコード情報とその画像とが記憶される。
【0065】
ところで、この携帯端末機の機器ケース1が落下などの衝撃を受けた際には、機器ケース1の上部ケース2と下部ケース3とが複数の第2緩衝部材26を介して相互に固定されていることにより、これら複数の第2緩衝部材26によって機器ケース1の受けた衝撃が緩衝される。
【0066】
すなわち、複数の第2緩衝部材26は、上部ケース2内の四隅と上部ケース2の長手方向における中間部の両側部とに設けられた複数の連結ボス部25の外周に設けられ、複数の第2緩衝部材26の表面側の各端面が上部ケース2に設けられた複数の連結ボス部25の段差状の各受け部25aに弾接し、複数の第2緩衝部材26の裏面側の各端面が下部ケース3の複数のビス挿入部27の各当接部27bに弾接していることにより、機器ケース1がその厚み方向の衝撃を受けた際に、その厚み方向の衝撃を複数の第2緩衝部材26によって確実にかつ良好に緩衝することができる。
【0067】
また、複数の第2緩衝部材26は、複数の連結ボス部25の外周に設けられた状態で、複数の第2緩衝部材26の各外周部が上部ケース2の内周面に弾接しているので、機器ケース1がその長手方向または長手方向と直交する方向の衝撃を受けた際に、その衝撃を複数の第2緩衝部材26によって確実にかつ良好に緩衝することができ、これにより機器ケース1内のインナーケース8に衝撃が伝わらないようにすることができる。
【0068】
すなわち、複数の第2緩衝部材26は、シリコーン樹脂、エラストマーなどの弾力性が高く、かつ硬度が80〜90程度の合成樹脂によって、上部ケース2の内周面に沿うほぼ円筒形状に形成されているので、外周部が上部ケース2の内周面に確実にかつ良好に弾接させることができる。
【0069】
この場合、複数の第2緩衝部材26には、上部ケース2の内周面に沿う方向に突出する突出部26aが上部ケース2の内周面に弾接する状態で形成されていることにより、機器ケース1が外部から衝撃を受けた際に、その衝撃を複数の第2緩衝部材26の各突出部26aによって、より一層、確実にかつ良好に緩衝することができる。
【0070】
また、機器ケース1内に配置されたインナーケース8は、複数の第2緩衝部材26によって機器ケース1内にフローティング状態で保持されているため、機器ケース1が外部から衝撃を受けても、その衝撃が複数の第2緩衝部材26によって緩衝され、機器ケース1が受けた衝撃がインナーケース8に伝わらないようにすることができる。これにより、インナーケース8に搭載された表示部4、入力部5、回路基板14などの部品が衝撃の影響を受けないように、これらの部品を確実にかつ良好に保護することができる。
【0071】
すなわち、インナーケース8は、第1〜第3の装着部30〜32を備え、これら第1〜第3の装着部30〜32が複数の第2緩衝部材26の各外周部に装着されていることにより、これら複数の第2緩衝部材26によってインナーケース8を上部ケース2と下部ケース3とに対して非接触状態で配置することができる。これにより、インナーケース8を機器ケース1内にフローティング状態で良好に保持することができるので、機器ケース1が外部から衝撃を受けても、その衝撃がインナーケース8に伝わらないようにすることができる。
【0072】
この場合、インナーケース8は、第1フレーム10の上辺の両側部に円弧状の切欠き部状に形成された第1の装着部30が、これに対応する第2緩衝部材26の外周部に装着され、第2フレーム11の下辺の両側部に突起部状に形成された第2の装着部31が、これに対応する第2緩衝部材26の外周部に食い込んで装着され、連結部12の両側部と電池収納部15の外周部とに位置する切欠き段差部状に形成された第3の装着部32が、これに対応する第2緩衝部材26の外周部に装着されているので、インナーケース8を機器ケース1内にフローティング状態で確実にかつ良好に保持させることができる。
【0073】
すなわち、インナーケース8は、第1〜第3の装着部30〜32が複数の第2緩衝部材26に装着された状態で、機器ケース1内に保持された際に、インナーケース8の長手方向から加わる衝撃、その長手方向と直交する方向から加わる衝撃、およびインナーケース8の表裏面方向である厚み方向から加わる衝撃を、複数の第2緩衝部材26によって確実にかつ良好に緩衝することができる。このため、機器ケース1が外部から衝撃を受けても、その衝撃がインナーケース8に伝わることがない。
【0074】
ところで、機器ケース1が外部から衝撃を受け、その衝撃を複数の第2緩衝部材26で緩衝しきれないときには、その衝撃が機器ケース1内のインナーケース8に伝わるが、このインナーケース8に伝わった衝撃が第1緩衝部材13によって緩衝されるので、インナーケース8が衝撃によって破損しないようにすることができる。
【0075】
この場合、第1緩衝部材13は、第1フレーム10と第2フレーム11とを連結するインナーケース8の連結部12に設けられたスリット状の嵌合部12a内に嵌め込まれた状態で、嵌合部12aを弾力的に押し広げるように嵌め込まれていることにより、インナーケース8が受けた衝撃を第1緩衝部材13によって確実にかつ良好に緩衝することができる。
【0076】
すなわち、このインナーケース8は、機器ケース1が外部から衝撃を受け、その衝撃がインナーケース8に伝わって連結部12に集中しても、この連結部12に集中した衝撃を第1緩衝部材13によって確実にかつ良好に緩衝することができるので、衝撃による連結部12の劣化を抑えて連結部12の破損を防ぐことができ、これにより連結部12を良好に保護することができる。
【0077】
この場合、機器ケース1の握り部1b内には、重量の重い電池22が収納されているため、機器ケース1が外部から衝撃を受けると、電池22がその重量によって慣性力を発生し、この電池22の慣性力による衝撃がインナーケース8に加わるが、電池22の慣性力による衝撃を第1緩衝部材13によって確実にかつ良好に緩衝することができる。このため、電池22の慣性力の衝撃による連結部12の劣化を抑えて、連結部12の破損を防ぐことができる。
【0078】
このように、この携帯端末機によれば、機器ケース1内に配置されるインナーケース8が、機器ケース1内に配置される第1フレーム10と、機器ケース1内に第1フレーム10と並列に配置される第2フレーム11と、第1フレーム10と第2フレーム11とを連結する連結部12と、この連結部12に設けられた第1緩衝部材13と、を備えていることにより、機器ケース1が外部から衝撃を受け、その衝撃がインナーケース8に伝わっても、その衝撃を第1緩衝部材13によって緩衝することができ、これにより耐衝撃性の高いものを提供することができる。
【0079】
すなわち、インナーケース8は、第1フレーム10と第2フレーム11とがそれぞれ矩形状をなし、連結部12と共に合成樹脂によって一体に形成され、この連結部12に第1緩衝部材13が埋め込まれていることにより、インナーケース8がその長手方向の衝撃を受けた際に、その衝撃が連結部12に集中しても、連結部12に埋め込まれた第1緩衝部材13によって連結部12に集中する衝撃を確実にかつ良好に緩衝することができる。
【0080】
この場合、第2フレーム11は、第1フレーム10が連結される連結方向に対して直交する方向の長さが、第1フレーム10における連結方向である長手方向に対して直交する方向の長さよりも短く形成されていることにより、インナーケース8を機器ケース1内に配置する場合、第1フレーム10が配置される機器ケース1の本体部1aにおける長手方向に対して直交する方向の長さを、第2フレーム11が配置される機器ケース1の握り部1bにおける長手方向に対して直交する方向の長さより短く形成することができる。
【0081】
このため、このインナーケース8では、機器ケース1の握り部1bを機器ケース1の本体部1aよりも小さく形成して、機器ケース1の握り部1bを握り易い形状に形成することができ、また機器ケース1の本体部1aを機器ケース1の握り部1bよりも大きく形成して、機器ケース1の本体部1a内に配置される表示部4を大きく形成することができ、これにより表示部4の大画面化を図ることができる。
【0082】
この場合、連結部12は、第1フレーム10と第2フレーム11との連結方向である長手方向に対して直交する方向の長さが、第2フレーム11における連結方向である長手方向に対して直交する方向の長さとほぼ同じ長さに形成されていることにより、インナーケース8がその長手方向の衝撃を受けた際に、その衝撃を連結部12に集中させることができ、これにより連結部12に集中した衝撃を第1緩衝部材13で良好に緩衝することができる。
【0083】
すなわち、第1緩衝部材13は、連結部12における連結方向である長手方向と直交する方向の長さよりも少し短い長さで、連結部12に埋め込まれていることにより、インナーケース8がその長手方向の衝撃を受け、その衝撃が連結部12に集中した際に、連結部12に集中した衝撃を第1緩衝部材13の全体で受け止めることができる。
【0084】
このため、このインナーケース8では、連結部12に集中した衝撃を第1緩衝部材13によって確実にかつ良好に緩衝することができるので、衝撃による連結部12の劣化を良好に抑えて連結部12の破損を防ぐことができ、これにより連結部12を確実にかつ良好に保護することができると共に、耐衝撃性の高いインナーケース8を得ることができる。
【0085】
この場合、連結部12には、第1緩衝部材13が嵌着するスリット状の嵌合部12aが第2フレーム11の長手方向に対して直交する方向の長さよりも少し短い長さで形成され、このスリット状の嵌合部12a内に第1緩衝部材13が、嵌合部12aを弾力的に押し広げるように嵌め込まれていることにより、連結部12に集中した衝撃を第1緩衝部材13の全体で受け止めて確実にかつ良好に緩衝することができる。
【0086】
また、このインナーケース8では、第2フレーム11に搭載された部品の重量が第1フレーム10に搭載された部品の重量よりも重いことにより、インナーケース8が衝撃を受けた際に、第2フレーム11に搭載された部品がその重量によって慣性力を発生し、この第2フレーム11に搭載された部品の慣性力による衝撃がインナーケース8に加わっても、その慣性力による衝撃を第1緩衝部材13によって確実にかつ良好に緩衝することができる。
【0087】
この場合、第2フレーム11にはバッテリである重量の重い電池22が搭載され、第1フレーム10には表示部4および回路基板14などの表示モジュールである重量の軽い部品が搭載されていることにより、機器ケース1が衝撃を受けると、電池22がその重量によって慣性力を発生し、この電池22の慣性力による衝撃がインナーケース8に加わっても、電池22の慣性力による衝撃を第1緩衝部材13によって確実にかつ良好に緩衝することができる。
【0088】
なお、上述した実施形態では、インナーケース8の連結部12が、第2フレーム11の長手方向と直交する方向の長さとほぼ同じ長さで形成されている場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば図9および図10に示す変形例のように、連結部35を形成しても良い。
【0089】
すなわち、この変形例の連結部35は、図9(a)および図10(a)に示すように、第1フレーム10と第2フレーム11との長手方向に対して直交する方向の長さが、第1フレーム10における長手方向と直交する方向の両側端部から、これに対応する第2フレーム11における長手方向と直交する方向の両側端部に向けて、次第に短くなるように形成されている。
【0090】
つまり、この変形例の連結部35は、その両側部が第1フレーム10の両側端部から第2フレーム11の両側端部に向けて次第に狭くなる湾曲部または傾斜部に形成されている。この場合、連結部35には、第1緩衝部材13が嵌着するスリット状の嵌合部35aが第2フレーム11の長手方向に対して直交する方向の長さと同じか、それよりも少し長い長さで、表裏面に貫通して形成されている。
【0091】
このため、第1緩衝部材13は、第2フレーム11における長手方向と直交する方向の長さと同じか、それよりも少し長く形成され、連結部35に設けられたスリット状の嵌合部35a内に表裏に貫通して嵌め込まれるように構成されている。すなわち、この第1緩衝部材13は、連結部35のスリット状の嵌合部35a内に嵌め込まれた状態で、嵌合部35aを弾力的に押し広げるように嵌め込まれている。
【0092】
このようなインナーケース8では、上述した実施形態と同様、機器ケース1が外部から衝撃を受け、その衝撃がインナーケース8に伝わった際に、連結部35に集中する衝撃を第1緩衝部材13で緩衝して連結部35を保護することができるほか、連結部35の両側部が第1フレーム10の両側端部から第2フレーム11の両側端部に向けて次第に狭くなる湾曲部または傾斜部に形成されているので、上述した実施形態よりも連結部35の強度を高めることができ、これにより連結部35に集中する衝撃による連結部35の劣化を防いで、連結部35の破損を防ぐことができる。
【0093】
また、上述した実施形態では、連結ボス部25と第2緩衝部材26とを上部ケース2内に設けた場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば、連結ボス部25と第2緩衝部材26とを下部ケース3内に設け、ビス挿入孔部27を上部ケース2内に設けた構成であっても良い。
【0094】
さらに、上述した実施形態およびその変形例では、携帯端末機に適用した場合について述べたが、この発明は必ずしも携帯端末機である必要はなく、例えば携帯電話機、携帯情報処理装置などの携帯機器に適用することができる。
【0095】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0096】
(付記)
請求項1に記載の発明は、機器ケースと、前記機器ケース内に配置されるインナーケースと、を備え、前記インナーケースは、前記機器ケース内に配置される第1フレームと、前記機器ケース内に前記第1フレームと並列に配置される第2フレームと、前記第1フレームと前記第2フレームとを連結する連結部と、前記連結部に設けられ、前記第1フレームと前記第2フレームとが受けた衝撃を緩衝する緩衝部材と、を備えていることを特徴とする携帯機器である。
【0097】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯機器において、前記第1フレームと前記第2フレームとは、それぞれ矩形状をなし、前記連結部と共に合成樹脂によって一体に形成され、前記連結部に前記緩衝部材が埋め込まれていることを特徴とする携帯機器である。
【0098】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の携帯機器において、前記第2フレームは、前記第1フレームが連結される連結方向に対して直交する方向の長さが、前記第1フレームにおける前記連結方向と直交する方向の長さよりも短く形成されていることを特徴とする携帯機器である。
【0099】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の携帯機器において、前記連結部は、前記第1フレームと前記第2フレームとの前記連結方向に対して直交する方向の長さが、前記第2フレームにおける前記連結方向と直交する方向の長さとほぼ同じ長さに形成されていることを特徴とする携帯機器である。
【0100】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の携帯機器において、前記連結部は、前記第1フレームと前記第2フレームとの前記連結方向に対して直交する方向の長さが、前記第1フレームにおける前記連結方向と直交する方向の両側の端部側から、これに対応する前記第2フレームにおける前記連結方向と直交する方向の両側の端部に向けて、次第に短くなるように形成されていることを特徴とする携帯機器である。
【0101】
請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の携帯機器において、前記緩衝部材は、前記連結部における前記連結方向と直交する方向の長さよりも少し短い長さで、前記連結部に埋め込まれていることを特徴とする携帯機器である。
【0102】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の携帯機器において、前記第2フレームは、前記第1フレームに搭載される部品の重量よりも重い重量の部品が搭載されていることを特徴とする携帯機器である。
【0103】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の携帯機器において、前記第2フレームはバッテリが搭載され、前記第1フレームは表示モジュールが搭載されていることを特徴とする携帯機器である。
【符号の説明】
【0104】
1 機器ケース
2 上部ケース
3 下部ケース
4 表示部
5 入力部
6 読取装置
7 電池蓋
8 インナーケース
10 第1フレーム
11 第2フレーム
12、35 連結部
12a、35a 嵌合部
13 第1緩衝部材
14 回路基板
15 電池収納部
22 電池
25 連結ボス部
25a 受け部
26 第2緩衝部材
26a 突起部
27 ビス挿入部
28 ビス
30〜32 第1〜第3の装着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10