【実施例】
【0018】
以下、本発明の積層型電子部品の実施例を
図1から
図5を参照して説明する。
図1は本発明の積層型電子部品の第1の実施例を示す分解斜視図である。
図1において、10は積層体、11Aから11Gは磁性体層、12Aから12Eは導体パターンである。
積層体10は、矩形に形成される磁性体層11Aから11Gと導体パターン12Aから12Eを積層して形成される。積層体10は、積層方向に直交し、外部端子が配置される底面と、底面に隣接し、積層方向に平行な4つの側面とを有する。4つの側面は、矩形の磁性体層の長手方向と直交する長手方向の側面2つと、磁性体層の長手方向に平行な短手方向の側面2つとからなる。磁性体層11Aから11Gは、Fe、Si、Fe−Si−Cr、Fe−Si−Al、Fe−Ni−Al、Fe−Cr−Al、アモルファス等の金属磁性を有する粉末等の金属磁性体を用いて形成される。また、導体パターン12Aから12Eは、銀、銀系、金、金系、銅、銅系等の金属材料をペースト状にした導体ペーストを用いて形成される。
磁性体層11Aは、矩形のシート状に形成され、後述の導体パターン12Aの一端に対応する位置に貫通孔が形成される。磁性体層11Aの貫通孔には磁性体層11Aと同じ厚みの導体13が形成される。導体13は、後述の導体パターンを形成する材質と同じ材質を用いて印刷により形成される。
磁性体層11Bは、矩形のシート状に形成され、上面(積層体10の底面とは反対側の面)に形成される導体パターン12Aの一端に対応する位置に貫通孔が形成される。該貫通孔には磁性体層11Bと同じ厚みの導体が導体パターン12Aを形成する材質と同じ材質を用いて印刷により形成される。導体パターン12Aは、1ターン未満分が形成され、一端が磁性体層11Bに形成された貫通孔内の導体を介して導体13に接続される。
磁性体層11Cは、矩形のシート状に形成され、上面に形成される導体パターン12Bの一端に対応する位置に貫通孔が形成される。該貫通孔には磁性体層11Cと同じ厚みの導体が導体パターン12Bを形成する材質と同じ材質を用いて印刷により形成される。導体パターン12Bは、1ターン未満分が形成され、一端が磁性体層11Cに形成された貫通孔内の導体を介して導体パターン12Aの他端に接続される。
磁性体層11Dは、矩形のシート状に形成され、上面に形成される導体パターン12Cの一端に対応する位置に貫通孔が形成される。該貫通孔には磁性体層11Dと同じ厚みの導体が導体パターン12Cを形成する材質と同じ材質を用いて印刷により形成される。導体パターン12Cは、1ターン未満分が形成され、一端が磁性体層11Dに形成された貫通孔内の導体を介して導体パターン12Bの他端に接続される。
磁性体層11Eは、矩形のシート状に形成され、上面に形成される導体パターン12Dの一端に対応する位置に貫通孔が形成される。該貫通孔には磁性体層11Eと同じ厚みの導体が導体パターン12Dを形成する材質と同じ材質を用いて印刷により形成される。導体パターン12Dは、1ターン未満分が形成され、一端が磁性体層11Eに形成された貫通孔内の導体を介して導体パターン12Cの他端に接続される。
磁性体層11Fは、矩形のシート状に形成され、上面に形成される導体パターン12Eの一端に対応する位置に貫通孔が形成される。該貫通孔には磁性体層11Fと同じ厚みの導体が導体パターン12Eを形成する材質と同じ材質を用いて印刷により形成される。導体パターン12Eは、1ターン未満分が形成され、一端が磁性体層11Fに形成された貫通孔内の導体を介して導体パターン12Dの他端に接続され、他端が長手方向の側面に引き出される。
この導体パターン12Eが形成された磁性体層11Fの上には導体パターンを保護するための磁性体層11Gが形成される。
【0019】
このように、磁性体層間の導体パターン12Aから12Eを螺旋状に接続することにより積層体内にコイルパターンが形成される。このコイルパターンは、積層体10の底面から距離が近い引き出し端(第一端部)が導体13に接続されて積層体10の底面に露出すると共に、積層体10の底面から距離が遠いコイルパターンの引出し端(第二端部)が積層体10の長手方向の側面に露出する。また、積層体10には、
図2に示す様に、底面に第一外部端子15および第二外部端子16が形成され、コイルパターンの引出し端(第二端部)が露出する長手方向の側面に第二外部端子16に接続される電極17が形成される。電極17は、積層体10の長手方向の側面に形成された絶縁体膜18によって覆われる。絶縁体膜18は、ガラス、ガラスセラミックス等の誘電体、フェライト等の磁性体、非磁性体等の絶縁性を有するものが用いられ、特に、積層体10を構成する材料よりも体積抵抗率、耐電圧が高いものが用いられる。
そして、コイルの第一端部が導体13を介して第一外部端子15に接続され、コイルの第二端部が積層体10の長手方向の側面に形成された電極17を介して第二外部端子16に接続されることにより、第一外部端子15と第二外部端子16との間にコイルが接続される。
【0020】
図3は本発明の積層型電子部品の第2の実施例を示す分解斜視図である。第2の実施例では、側面に電極を設ける代わりに、表面の一部を露出して側面に埋設される導体が設けられる。
磁性体層31Aは、矩形のシート状に形成され、長手方向の側面の一方に切欠きが、後述の導体パターン32Aの一端に対応する位置に貫通孔が形成される。磁性体層31Aの貫通孔には磁性体層31Aと同じ厚みの導体33が形成される。また、磁性体層31Aに形成された切欠きには磁性体層31Aと同じ厚みの導体34Aが形成される。導体33と導体34Aは、導体パターンを形成する材質と同じ材質を用いて印刷により形成される。
【0021】
磁性体層31Bは、矩形のシート状に形成され、長手方向の側面の一方に切欠きが、後述の導体パターン32Aの一端に対応する位置に貫通孔が形成される。該貫通孔には磁性体層31Bと同じ厚みの導体が導体パターン32Aを形成する材質と同じ材質を用いて印刷により形成される。磁性体層31Bの上面には、導体パターン32Aが形成される。この導体パターン32Aは、1ターン未満分が形成され、一端が磁性体層31Bに形成された貫通孔内の導体を介して導体33に接続される。磁性体層31Bに形成された切欠きには磁性体層31Bと同じ厚みの導体34Bが形成される。導体34Bは導体パターン32Aと同じ材質を用いて印刷により形成される。
【0022】
磁性体層31Cは、矩形のシート状に形成され、長手方向の側面の一方に切欠きが、後述の導体パターン32Bの一端に対応する位置に貫通孔が形成される。該貫通孔には磁性体層31Cと同じ厚みの導体が導体パターン32Bを形成する材質と同じ材質を用いて印刷により形成される。磁性体層31Cの上面には、導体パターン32Bが形成される。この導体パターン32Bは、1ターン未満分が形成され、一端が磁性体層31Cに形成された貫通孔内の導体を介して導体パターン32Aの他端に接続される。磁性体層31Cの切欠きには磁性体層31Cと同じ厚みの導体34Cが形成される。導体34Cは導体パターン32Bと同じ材質を用いて印刷により形成される。
【0023】
磁性体層31Dは、矩形のシート状に形成され、長手方向の側面の一方に切欠きが、後述の導体パターン32Cの一端に対応する位置に貫通孔が形成される。該貫通孔には磁性体層31Dと同じ厚みの導体が導体パターン32Cを形成する材質と同じ材質を用いて印刷により形成される。この磁性体層31Dの上面には、導体パターン32Cが形成される。この導体パターン32Cは、1ターン未満分が形成され、一端が磁性体層31Dに形成された貫通孔内の導体を介して導体パターン32Bの他端に接続される。磁性体層31Dの切欠きには磁性体層31Dと同じ厚みの導体34Dが形成される。導体34Dは導体パターン32Cと同じ材質を用いて印刷により形成される。
【0024】
磁性体層31Eは、矩形のシート状に形成され、長手方向の側面の一方に切欠きが、後述の導体パターン32Dの一端に対応する位置に貫通孔が形成される。貫通孔には磁性体層31Eと同じ厚みの導体が導体パターン32Dを形成する材質と同じ材質を用いて印刷により形成される。この磁性体層31Eの上面には、導体パターン32Dが形成される。この導体パターン32Dは、1ターン未満分が形成され、一端が磁性体層31Eに形成された貫通孔内の導体を介して導体パターン32Cの他端に接続される。磁性体層31Eの切欠きには磁性体層31Eと同じ厚みの導体34Eが形成される。導体34Eは導体パターン32Dと同じ材質を用いて印刷により形成される。
【0025】
磁性体層31Fは、矩形のシート状に形成され、長手方向の側面の一方に切欠きが、後述の導体パターン32Eの一端に対応する位置に貫通孔が形成される。該貫通孔には磁性体層31Fと同じ厚みの導体が導体パターン32Eを形成する材質と同じ材質を用いて印刷により形成される。この磁性体層31Fの上面には、1ターン未満の導体パターン32Eが形成される。磁性体層31Fの切欠きには磁性体層31Fと同じ厚みの導体34Fが形成される。導体34Fは導体パターン32Eと同じ材質を用いて印刷により形成される。導体パターン32Eは、一端が磁性体層31Fに形成されたスルーホール内の導体を介して導体パターン32Dの他端に接続され、他端が磁性体層31Fの長手方向の側面まで引き出される。
この導体パターン32Eが形成された磁性体層31Fの上には導体パターンを保護するための磁性体層31Gが形成される。
【0026】
このように、磁性体層間の導体パターン32Aから32Eを螺旋状に接続することにより積層体内にコイルパターンが形成される。この積層体30では、コイルパターンの引き出し端(第一端部)が接続された導体の表面の一部が底面に露出すると共に、コイルパターンの第二端部と第二端部に接続され、長手方向の側面に埋設された導体の表面の一部が積層体30の長手方向の側面に露出する。この時、導体は、積層体30の底面と第二端部との間において磁性体層の積層方向に延在する。また、この積層体30は、底面に1対の外部端子(第一外部端子および第二外部端子)が形成され、コイルパターンの引き出し端がそれぞれ導体を介して接続されることにより1対の外部端子間にコイルが接続される。さらに、積層体30の長手方向の側面に表面の一部を露出して埋設された導体の表面は、積層体30の長手方向の側面に形成された絶縁体膜によって被覆される。絶縁体膜は、ガラス、ガラスセラミックス等の誘電体、フェライト等の磁性体、非磁性体等の絶縁性を有するものが用いられ、特に、積層体を構成する材料よりも体積抵抗率、耐電圧が高いものが用いられる。
【0027】
この様な積層型電子部品は以下の様にして製造される。まず、磁性体層と導体パターンを積層し、磁性体層間の導体パターンを螺旋状に接続して内部にコイルが形成された積層体が形成される。コイルは、第一端部が積層体の底面に引き出され、第二端部が積層体の長手方向の側面に引き出され、
図4(A)に示す様に、コイルの第二端部がその表面の一部が積層体の側面に露出した導体34を介して積層体30の底面まで引き出される。
次に、
図4(B)に示す様に、積層体30の底面に第一外部端子35と第二外部端子36を形成し、コイルの第一端部が導体(図示せず)を介して第一外部端子35に接続され、コイルの第二端部が導体34を介して積層体の底面に形成された第二外部端子36に接続される。
続いて、
図4(C)に示す様に、積層体30のコイルの積層体の長手方向の側面に、第二端部と第二外部端子36を接続する導体34を覆う様に絶縁体膜38が形成される。
【0028】
図5は本発明の積層型電子部品の第3の実施例を示す分解斜視図である。第3の実施例では、側面に設けられる導体とコイルとの間に絶縁体部が設けられる。
磁性体層51Aは、矩形のシート状に形成され、長手方向の側面の一方に切欠きが形成され、後述の導体パターン52Aの一端に対応する位置に第一貫通孔が形成され、後述の導体パターン52Aと対応する位置の切欠きに近接する部分と切欠きとの間に第二貫通孔が形成される。磁性体層51Aの導体パターンの一端に対応する位置の第一貫通孔には磁性体層51Aと同じ厚みの導体53が形成される。また、磁性体層51Aに形成された切欠きには磁性体層51Aと同じ厚みの導体54Aが形成される。導体53Aと導体54は、導体パターンを形成する材質と同じ材質を用いて印刷により形成される。さらに、導体パターンと対応する位置の切欠きに近接する部分と切欠きとの間に形成された第二貫通孔には絶縁体部59Aが形成される。絶縁体部59Aは、ガラス、ガラスセラミックス等の誘電体、フェライト等の磁性体、非磁性体等の絶縁性を有するものが用いられ、特に、磁性体層51Aを構成する材料よりも体積抵抗率、耐電圧が高いものが用いられる。
【0029】
磁性体層51Bは、矩形のシート状に形成され、長手方向の側面の一方に切欠きが形成され、後述の導体パターン52Aの一端に対応する位置に第一貫通孔が形成され、後述の導体パターン52Aの切欠きに近接する部分と切欠きとの間に第二貫通孔が形成される。磁性体層51Bに形成された切欠きには、磁性体層51Bと同じ厚みに、導体パターン52Aと同じ材質を用いて印刷により導体54Bが形成される。第一貫通孔にも同様に導体が形成される。磁性体層51Bの上面には、1ターン未満の導体パターン52Aが形成され、一端が磁性体層51Bに形成された第一貫通孔内の導体を介して導体53に接続される。また、導体パターン52Aの切欠きに近接する部分と切欠きとの間に形成された第二貫通孔には、磁性体層51Bの厚みと導体パターン52Aの厚みを合計した厚みの絶縁体部59Bが形成される。絶縁体部59Bは、ガラス、ガラスセラミックス等の誘電体、フェライト等の磁性体、非磁性体等の絶縁性を有するものが用いられ、特に、磁性体層51Bを構成する材料よりも体積抵抗率、耐電圧が高いものが用いられる。
【0030】
磁性体層51Cは、矩形のシート状に形成され、長手方向の側面の一方に切欠きが形成され、後述の導体パターン52Bの一端に対応する位置に第一貫通孔が形成され、後述の導体パターン52Cと対応する位置の切欠きに近接する部分と切欠きとの間に第二貫通孔が形成される。磁性体層51Cの切欠きには、磁性体層51Cと同じ厚みに、導体パターン52Bと同じ材質を用いて印刷により導体54Cが形成される。第一貫通孔にも同様に導体が形成される。磁性体層51Cの上面には、1ターン未満の導体パターン52Bが形成され、一端が磁性体層51Cに形成された第一貫通孔内の導体を介して導体パターン52Aの他端に接続される。また、導体パターン52Cと対応する位置の切欠きに近接する部分と切欠きとの間に形成された第二貫通孔には、磁性体層51Cの厚みと導体パターン52Bの厚みを合計した厚みの絶縁体部59Cが形成される。絶縁体部59Cは、ガラス、ガラスセラミックス等の誘電体、フェライト等の磁性体、非磁性体等の絶縁性を有するものが用いられ、特に、磁性体層51Cを構成する材料よりも体積抵抗率、耐電圧が高いものが用いられる。
【0031】
磁性体層51Dは、矩形のシート状に形成され、長手方向の側面の一方に切欠きが形成され、後述の導体パターン52Cの一端に対応する位置に第一貫通孔が形成され、後述の導体パターン52Cの切欠きに近接する部分と切欠きとの間に第二貫通孔が形成される。磁性体層51Dの切欠きには、磁性体層51Dと同じ厚みに、導体パターン52Cと同じ材質を用いて印刷により導体54Dが形成される。第一貫通孔にも同様に導体が形成される。磁性体層51Dの上面には、1ターン未満の導体パターン52Cが形成され、一端が磁性体層51Dに形成された第一貫通孔内の導体を介して導体パターン52Bの他端に接続される。また、導体パターン52Cの切欠きに近接する部分と切欠きとの間に形成された第二貫通孔には、磁性体層51Dの厚みと導体パターン52Cの厚みを合計した厚みの絶縁体部59Dが形成される。絶縁体部59Dは、ガラス、ガラスセラミックス等の誘電体、フェライト等の磁性体、非磁性体等の絶縁性を有するものが用いられ、特に、磁性体層51Dを構成する材料よりも体積抵抗率、耐電圧が高いものが用いられる。
【0032】
磁性体層51Eは、矩形のシート状に形成され、長手方向の側面の一方に切欠きが形成され、後述の導体パターン52Dの一端に対応する位置に第一貫通孔が形成され、導体パターン52Cに対応する位置の切欠きに近接する部分と切欠きとの間に第二貫通孔が形成される。磁性体層51Eの切欠きには、磁性体層51Eと同じ厚みに、導体パターン52Dと同じ材質を用いて印刷により、導体54Eが形成される。第一貫通孔にも同様に導体が形成される。磁性体層51Eの上面には、1ターン未満の導体パターン52Dが形成され、一端が磁性体層51Eに形成された第一貫通孔内の導体を介して導体パターン52Cの他端に接続される。また、導体パターン52Cと対応する位置の切欠きに近接する部分と切欠きとの間に形成された第二貫通孔には、磁性体層51Eの厚みと導体パターン52Dの厚みを合計した厚みの絶縁体部59Eが形成される。絶縁体部59Eは、ガラス、ガラスセラミックス等の誘電体、フェライト等の磁性体、非磁性体等の絶縁性を有するものが用いられ、特に、磁性体層51Eを構成する材料よりも体積抵抗率、耐電圧が高いものが用いられる。
【0033】
磁性体層51Fは、矩形のシート状に形成され、長手方向の側面の一方に切欠きが、後述の導体パターン52Eの一端に対応する位置に第一貫通孔が形成され、導体パターン52Cと対応する位置の切欠きに近接する部分と切欠きとの間に第二貫通孔が形成される。切欠きには、磁性体層51Fと同じ厚みに、後述の導体パターン52Eと同じ材質を用いて印刷により導体54Fが形成される。第一貫通孔にも同様に導体が形成される。磁性体層51Fの上面には、1ターン未満の導体パターン52Eが形成され、一端が磁性体層51Fに形成された第一貫通孔内の導体を介して導体パターン52Dの他端に接続され、他端が磁性体層51Fの長手方向に垂直な側面まで引き出されて導体54Fと接続される。また、導体パターン52Cと対応する位置の切欠きに近接する部分と切欠きとの間に形成された第二貫通孔には、磁性体層51Fの厚みと同じ厚みの絶縁体部59Fが形成される。絶縁体部59Fは、ガラス、ガラスセラミックス等の誘電体、フェライト等の磁性体、非磁性体の等絶縁性を有するものが用いられ、特に、磁性体層51Fを構成する材料よりも体積抵抗率、耐電圧が高いものが用いられる。
この導体パターン52Eが形成された磁性体層51Fの上には導体パターンを保護するための磁性体層51Gが形成される。
【0034】
このように、磁性体層間の導体パターン52Aから52Eを螺旋状に接続することにより積層体内にコイルパターンが形成される。この積層体50では、コイルパターンの引き出し端(第一端部)が接続された導体の表面に一部が底面に露出すると共に、コイルパターンの第二端部と第二端部に接続され、長手方向の側面に埋設された導体の表面の一部が積層体50の長手方向の側面に露出する。この時、導体は、積層体50の底面と第二端部との間において磁性体層の積層方向に延在する。また、この積層体50は、底面に1対の外部端子(第一外部端子および第二外部端子)が形成され、コイルパターンの引き出し端がそれぞれ導体を介して接続されることにより1対の外部端子間にコイルが接続される。さらに、積層体50の長手方向の側面に表面の一部を露出して埋設された導体の表面は、積層体50の長手方向の側面に形成された絶縁体膜によって被覆される。絶縁体膜は、ガラス、セラミックス等の誘電体、フェライト等の磁性体、非磁性体等の絶縁性を有するものが用いられ、特に、積層体50を構成する材料よりも体積抵抗率、耐電圧が高いものが用いられる。
また、この積層体50内において、積層体50の第二端部に接続された導体と、コイルパターンの間に、磁性体層の積層方向に延在する絶縁体部が形成される。
【0035】
この様に形成された積層型電子部品は、コアの断面積が0.37mm
2、インダクタンスが0.105μH、直流抵抗値(Rdc)が23.1mΩであり、インダクタの直流重畳特性を測定し、無負荷時のインダクタンスより−30%のインダクタンスとなる時の電流値である定格電流(Isat)が7.1Aとなった。これは、
図6、
図7に示す従来の積層型電子部品のものがそれぞれ0.36mm
2、0.105μH、22.8mΩ、6.9A、
図8、
図9に示す従来の積層型電子部品のものがそれぞれ0.35mm
2、0.104μH、22.6mΩ、6.6Aであるので、本発明の積層型電子部品は、従来に比較して、直流重畳特性に優れ、高い絶縁性と耐電圧特性を有している。
なお、インダクタンスと直流重畳特性はLCRメータ 4285Aを、直流抵抗値はミリオームメータ 4338Bを用いて測定した。
【0036】
以上、本発明の積層型電子部品の実施例を述べたが、本発明はこの実施例に限られるものではない。例えば、実施例において、外部端子は、積層体の底面において側面から見える様に形成した場合を示したが、側面から見えない様に積層体の底面において側面に接する辺と離間して形成されても良い。また、第1の実施例において、コイルの第二端部が引き出された積層体の側面に形成された電極と、コイルパターン間に絶縁体部が設けられても良い。さらに、第1の実施例において、さらに、コイルパターンの第二端部と、積層体の底面に形成された第二外部端子とが導体により接続されても良い。
さらに、第2、第3の実施例において、コイルの第二端部が引き出された積層体の長手方向の側面にさらに電極が形成されても良い。