(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記第二非常停止指令によって前記搬送装置の全体の動作を停止させた後、前記個別異常による影響を受ける移載装置を動作停止状態に維持したまま、前記個別異常による影響を受けない移載装置を動作させて前記搬送装置による物品の搬送を行う分離モードを実行可能である請求項1又は2に記載の物品搬送設備。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.第一実施形態
1−1.物品搬送設備の概略構成
物品搬送設備1の第一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、物品搬送設備1は、物品Wを搬送する搬送装置2と、搬送装置2を制御する制御装置Hと、を備えている(
図4も参照)。
図1及び
図2に示すように、本実施形態では、物品搬送設備1は、上下方向に沿って延在する筒状の区画体99と、区画体99の内部において複数個所に分散して配置される複数の収納部98と、区画体99を水平方向に沿って貫いて区画体99の外部と内部との間で物品Wを搬送するコンベア4と、を更に備えている。例えば、搬送装置2は、コンベア4によって区画体99の外部から内部に搬送される物品Wを受け取り、当該物品Wを上下方向に沿って搬送して、複数の収納部98のいずれかに当該物品Wを載置(移載)する。このようにして搬送装置2は、物品Wの入庫作業を行う。また、例えば、搬送装置2は、収納部98に載置された物品Wを受け取り(移載)、当該物品Wを上下方向に沿って搬送すると共にコンベア4に引き渡す。
【0011】
コンベア4に引き渡された物品Wは、当該コンベア4によって区画体99の内部から外部へ搬送される。このようにして搬送装置2は、物品Wの出庫作業を行う。コンベア4は、上下方向に離間した状態で複数設けられていても良い。本例では、コンベア4は、上下方向に離間した状態で一対設けられている。物品Wは、入庫又は出庫の対象とされるものであれば良い。例えば、物品Wとして内容物を収容する容器等であっても良い。本例では、半導体基板を収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)を物品Wとしており、物品搬送設備1は、クリーン環境下において物品Wの処理等を行うクリーンルームに設置される設備である。本実施形態では、制御装置Hが、搬送装置2及びコンベア4の作動を制御することで、物品Wの入庫作業及び出庫作業が行われる。なお、本明細書において、ある特定の方向に沿うとは、当該特定の方向に完全に平行である場合の他、設置や組付け等の製造上の誤差の範囲内において当該特定の方向に対して僅かに傾いている状態も含む概念である。より具体的には、当該特定の方向に対して±15°以下の範囲で傾いている状態も含む。
【0012】
1−2.物品搬送設備の機械的構成
図1に示すように、搬送装置2は、上下方向に沿って昇降することにより物品Wを上下方向に搬送する。例えば、搬送装置2は、区画体99の内部に形成された空間を上下方向に沿って昇降する。本実施形態では、区画体99の内部に、上下方向に沿って延在する昇降レール97が配置されており、搬送装置2は、昇降レール97に沿って物品Wを上下方向に搬送する。
【0013】
搬送装置2は、複数の搬送対象場所Tのそれぞれにおいて各別に物品Wの移載動作を行う複数の移載装置3を有している。搬送対象場所Tは、物品Wが搬送される対象となる場所である。例えば、搬送対象場所Tは、搬送作業が行われる前の物品Wがある場所、又は搬送作業が完了した後の物品Wがある場所である。ここで、本明細書において物品Wの搬送とは、異なる複数の搬送対象場所Tとの間で物品Wを移動させることをいう。本実施形態では、搬送対象場所Tは、複数の収納部98のそれぞれ、又は、コンベア4上におけるコンベア4と搬送装置2とが物品Wの授受を行う授受場所である。搬送対象場所Tとしての収納部98は、複数設けられている。本実施形態では、
図1に示すように、複数の収納部98は、上下方向に分散した状態で配置されている。また、
図2に示すように、複数の収納部98は、平面視で、搬送装置2を囲むように配置されている。
【0014】
移載装置3は、搬送装置2と複数の搬送対象場所Tのそれぞれとの間で物品Wの移載を行う。ここで、物品Wの移載とは、搬送装置2と搬送対象場所Tとの間で物品Wを移動させることをいう。より具体的には、搬送装置2が上下方向に動かない状態で、搬送対象場所Tに載置された状態の物品Wを移載装置3によって受け取る行為、及び搬送装置2に保持された状態の物品Wを移載装置3によって搬送対象場所Tに載置する行為をいう。すなわち、本実施形態においては、前述した物品Wの搬送とは、物品Wの移載をも含む概念である。
【0015】
搬送装置2は、複数の移載装置3を一体的に昇降させる。これにより、上下方向に分散して配置される複数の搬送対象場所Tのそれぞれとの間で、複数の移載装置3のそれぞれに物品Wの移載を行わせることができる。本実施形態では、搬送装置2は、複数の移載装置3を一体的に昇降させる昇降体21を有している。昇降体21は、昇降レール97に沿って移動可能である。例えば、昇降体21は、昇降レール97の上下それぞれの両端部に設けられる一対の回転体22に巻回された昇降ベルト2Bに連結されている。そして、昇降レール97の上方の端部に設けられた主昇降モータ2Mによって回転体22が回転されると共に回転体22に巻回された昇降ベルト2Bが駆動する。昇降ベルト2Bの駆動により、当該昇降ベルト2Bに連結された昇降体21が上下方向に移動する。
【0016】
複数の移載装置3のそれぞれは、昇降体21に連結されている。例えば、複数の移載装置3は、上下方向に並んで配置されている。本実施形態では、第一移載装置3Aと、第一移載装置3Aの下方に配置される第二移載装置3Bと、が上下方向に沿って並んで配置された状態で一つの昇降体21に連結されている。本実施形態では、第一移載装置3Aと第二移載装置3Bとは、同一構造となっている。以下の説明では、第一移載装置3Aと第二移載装置3Bとを総称して移載装置3ということがある。移載装置3は、搬送対象場所Tに載置された物品Wを受け取って保持することができる。また、移載装置3は、当該移載装置3が保持している物品Wを搬送対象場所Tに載置することができる。本実施形態では、複数の移載装置3のそれぞれは、物品Wを下方から支持する支持部31と、支持部31を昇降体21に対して相対的に昇降させる昇降部32と、支持部31を出退させる出退部33と、支持部31を旋回させる旋回部34と、を有している。本実施形態では、第一移載装置3Aが、第一支持部31A、第一昇降部32A、第一出退部33A、第一旋回部34Aを有している。そして、第二移載装置3Bが、第二支持部31B、第二昇降部32B、第二出退部33B、第二旋回部34Bを有している。以下の説明では、第一支持部31Aと第二支持部31Bとを、総称して支持部31ということがある。また、第一昇降部32Aと第二昇降部32Bとを、総称して昇降部32ということがある。また、第一出退部33Aと第二出退部33Bとを、総称して出退部33ということがある。また、第一旋回部34Aと第二旋回部34Bとを、総称して旋回部34ということがある。
【0017】
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、第一支持部31Aは、第一昇降部32Aに連結されると共に、第一昇降部32Aに備えられた第一昇降モータ32AMによって駆動されて昇降体21に対して相対的に昇降する。また、第一昇降部32Aは、第一出退部33Aに連結されている。第一出退部33Aは、第一出退モータ33AMにより駆動されて伸縮する。本実施形態では、第一出退部33Aは、複数のリンク部材から構成されるリンク機構となっており、伸びた状態で、第一昇降部32A及び第一昇降部32Aに連結された第一支持部31Aを、昇降体21に対して相対的に水平方向に突出させることができる。そして、第一出退部33Aは、伸びた状態から縮んだ状態(折りたたまれた状態)になることで、第一昇降部32A及び第一昇降部32Aに連結された第一支持部31Aを引退させて、これらをホームポジションに位置させることができる。ここで、本明細書においてホームポジションとは、移載装置3が移載動作を行っていない状態での、移載装置3が有する各部のそれぞれの位置をいう。本実施形態では、第一出退部33Aは、第一旋回部34Aに連結されている。第一旋回部34Aは、第一旋回モータ34AMにより駆動されて旋回する。この第一旋回部34Aの旋回によって、第一出退部33Aを介した第一支持部31Aの出退方向を変更できる。これにより、平面視で搬送装置2(移載装置3)を囲むように配置された複数の収納部98のそれぞれに対して、第一支持部31Aの出退方向を調整できる(
図2も参照)。そして、第一支持部31Aが、複数の収納部98のうちのいずれかの収納部98に出退方向を合わせた状態で突出することにより、当該収納部98に接近して当該収納部98との間で物品Wの移載ができる。以下の説明では、第一支持部31Aが複数の収納部98のそれぞれに向かって出退する方向を移載方向という。ここでは、移載方向は、複数の収納部98のそれぞれについて設定されるものであり、一方向に限られない。なお、前述したように、第二移載装置3Bは第一移載装置3Aと同一の構成であるため、第二移載装置3Bについての詳細な説明は省略する。
【0018】
図2に示すように、本実施形態では、搬送対象場所Tとしての収納部98は、平面視でU字状に形成されると共に移載方向における移載装置3を向く側が開放された形状となっている。より具体的には、収納部98は、移載方向における移載装置3側に向かって突出する一対の突出部98aを有している。そして、一対の突出部98aは、移載方向に対して水平面内で直交する方向(以下、移載幅方向という)に沿って離間して配置されている。一対の突出部98aの間の離間距離は、収納部98に載置される姿勢での物品Wの移載幅方向の長さよりも短くなっている。そのため、一対の突出部98aは物品Wを下方から支持できる。また、一対の突出部98aの間の離間距離は、移載装置3が物品Wを移載する姿勢での支持部31の移載幅方向の長さよりも長くなっている。そのため、支持部31は、一対の突出部98aの間を、上下方向に通過できる。これにより、支持部31が物品Wを下方から支持した状態で、収納部98における一対の突出部98aの間を上方から下方に通過することで、支持部31は物品Wを収納部98に載置することができる。また、収納部98が物品Wを載置した状態で、支持部31が収納部98における一対の突出部98aの間を下方から上方に通過することで、支持部31は収納部98に載置された物品Wを受け取ることができる。このようにして本実施形態では、支持部31が、旋回部34を介して旋回し、出退部33を介して出退し、昇降部32を介して昇降することで、複数の収納部98のそれぞれとの間で物品Wの移載動作を行う。
【0019】
1−3.異常検出部
図4に示すように、物品搬送設備1は、異常が発生した場合に当該異常を検出する異常検出部Sを備えている。ここで、本明細書において異常とは、物品搬送設備1の通常の運用を継続できない状態をいう。異常の検出には、区画体99に設けられた点検扉(図示省略)から作業者の肉眼によって検出する場合と、センサー等の検出装置によって検出する場合と、があるが、本実施形態では、センサー等の検出装置によって構成される異常検出部Sによって物品搬送設備1の異常が検出される。
【0020】
本実施形態では、物品搬送設備1は、物品搬送設備1の全体又は搬送装置2の全体に係る異常を検出する異常検出部Sである設備異常検出部S1を備えている。例えば、設備異常検出部S1は、昇降ベルト2Bの異常を検出するベルト異常検出部2BSと、点検扉の異常を検出する点検扉異常検出部DSと、物品Wの搬送の妨げとなる障害物の有無を検出する障害物検出部CSと、を備えている。例えば、ベルト異常検出部2BSは、昇降ベルト2Bの発熱や切断などを検出する。また、例えば、点検扉異常検出部DSは、搬送装置2の作動中に点検扉が開いている状態を検出する。また、例えば、障害物検出部CSは、搬送装置2の昇降経路に障害物がある状態を検出する。
【0021】
また、物品搬送設備1は、移載装置3の固有の異常を検出する異常検出部Sである移載異常検出部S2を備えている。例えば、複数の移載装置3のそれぞれが、当該複数の移載装置3のそれぞれについての異常を検出する異常検出部Sを有している。本実施形態では、第一移載装置3A及び第二移載装置3Bのそれぞれが、第一移載装置3A及び第二移載装置3Bのそれぞれについての異常を検出する異常検出部S(移載異常検出部S2)を有している。
【0022】
本実施形態では、第一移載装置3Aは、第一支持部31Aの異常を検出する第一支持部異常検出部31ASと、第一昇降部32Aの異常を検出する第一昇降部異常検出部32ASと、第一出退部33Aの異常を検出する第一出退部異常検出部33ASと、第一旋回部34Aの異常を検出する第一旋回部異常検出部34ASと、を有している。例えば、第一支持部異常検出部31ASは、物品Wが不適切な姿勢で第一支持部31Aに支持されている状態である荷崩れ状態や、移載装置3が収納部98に載置された物品Wを移載するために移載動作をしたにも関わらず第一支持部31Aによって物品Wが支持されていない状態である空出荷状態を検出する。また、例えば、第一昇降部異常検出部32ASは、第一昇降モータ32AMの故障や昇降軸(図示省略)の湾曲などの第一支持部31Aの昇降に支障をきたすおそれのある異常を検出する。また、例えば、第一出退部異常検出部33ASは、第一出退モータ33AMの故障や出退軸(図示省略)の湾曲などの第一支持部31Aの出退に支障をきたすおそれのある異常を検出する。また、例えば、第一旋回部異常検出部34ASは、第一旋回モータ34AMの故障や旋回軸(図示省略)の湾曲などの第一支持部31Aの旋回に支障をきたす異常を検出する。なお、第二移載装置3Bは、第一移載装置3Aと同一の構成であり、前述した複数の異常検出部Sを第一移載装置3Aと同様に有している。そのため、第二移載装置3Bが有する異常検出部Sについての詳細な説明は省略する。
【0023】
1−4.物品搬送設備の制御構成
物品搬送設備1は、搬送装置2を制御する制御装置Hを備えている。例えば、制御装置Hは、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアと、コンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムと、の協働により、制御装置Hの各機能が実現される。
図4に示すように、本実施形態では、制御装置Hは、物品搬送設備1全体の制御を行う統括制御装置Htと、搬送装置2全体の制御を行う第一制御装置Hfと、移載装置3の制御を行う第二制御装置Hmと、を含んで構成されている。統括制御装置Htと第一制御装置Hfとは、相互に通信可能である。また、第一制御装置Hfと第二制御装置Hmとは、相互に通信可能である。本実施形態では、統括制御装置Htは、第一制御装置Hf及び第二制御装置Hmが取得した各種の情報に基づいて、第一制御装置Hf及び第二制御装置Hmに対して各種の指令を実行する。本例では、第一制御装置Hfは、物品搬送設備1のいずれかの領域に固定される状態で配置されている。また、第二制御装置Hmは、搬送装置2に配置されて当該搬送装置2と共に昇降レール97に沿って昇降する。
【0024】
第一制御装置Hfは、異常検出部Sによって検出された情報に基づいて、主昇降モータ2Mを制御する。例えば、第一制御装置Hfは、異常検出部Sによって検出された情報を取得すると共に当該取得した情報を統括制御装置Htに送信し、統括制御装置Htからの指令に基づいて主昇降モータ2Mを制御して搬送装置2の動作を停止させる。
図4に示すように、本実施形態では、第一制御装置Hfは、ベルト異常検出部2BSによって検出された情報と、点検扉異常検出部DSによって検出された情報と、障害物検出部CSによって検出された情報と、を取得すると共に当該取得した情報を統括制御装置Htに送信し、主昇降モータ2Mを制御する。
【0025】
第二制御装置Hmは、異常検出部Sによって検出された情報に基づいて、搬送装置2が有する複数の移載装置3を制御する。例えば、第二制御装置Hmは、異常検出部Sによって検出された情報を取得すると共に当該取得した情報を統括制御装置Htに送信し、統括制御装置Htからの指令に基づいて、第一移載装置3Aと第二移載装置3Bとを制御する。本実施形態では、第二制御装置Hmから統括制御装置Htへの情報の送信は、第一制御装置Hfを介して行われる。また、統括制御装置Htから第二制御装置Hmへの指令は、第一制御装置Hfを介して行われる。例えば、第二制御装置Hmは、異常検出部Sによって検出された情報を取得すると共に当該取得した情報を第一制御装置Hfを介して統括制御装置Htに送信し、第一制御装置Hfを介する統括制御装置Htからの指令に基づいて第一移載装置3A及び第二移載装置3Bのそれぞれの動作を停止させる。
図4に示すように、本実施形態では、第二制御装置Hmは、第一支持部異常検出部31ASによって検出された情報と、第一昇降部異常検出部32ASによって検出された情報と、第一出退部異常検出部33ASによって検出された情報と、第一旋回部異常検出部34ASによって検出された情報と、に基づいて、第一昇降モータ32AM、第一出退モータ33AM及び第一旋回モータ34AMを制御する。また、第二制御装置Hmは、第二支持部異常検出部31BSによって検出された情報と、第二昇降部異常検出部32BSによって検出された情報と、第二出退部異常検出部33BSによって検出された情報と、第二旋回部異常検出部34BSによって検出された情報と、に基づいて、第二昇降モータ32BM、第二出退モータ33BM及び第二旋回モータ34BMを制御する。
【0026】
制御装置Hは、搬送装置2に物品Wを搬送させる搬送指令Ctと、搬送装置2に異常が発生した場合に当該搬送装置2に動作を停止させる非常停止指令Ceと、を実行可能である。本実施形態では、統括制御装置Htは、第一制御装置Hfに対して搬送指令Ctと非常停止指令Ceとを実行する。そして、統括制御装置Htが搬送指令Ctを実行することにより、第一制御装置Hfが搬送処理Ptを実行する。また、統括制御装置Htが非常停止指令Ceを実行することにより、第一制御装置Hfが非常停止処理Peを実行する。例えば、搬送指令Ct又は非常停止指令Ceを受けた第一制御装置Hfは、主昇降モータ2Mを制御すると共に第二制御装置Hmに昇降モータ32M、出退モータ33M及び旋回モータ34Mを制御させる。搬送指令Ctが実行されることで各種のアクチュエータが作動して、複数の搬送対象場所Tのそれぞれとの間での物品Wの搬送を行う搬送処理Ptが行われる。また、非常停止指令Ceが実行されることで各種のアクチュエータの作動を直ちに停止する非常停止処理Peが行われる。
【0027】
制御装置Hは、非常停止指令Ceとして、発生した異常が搬送装置2の全体に影響を与える全体異常である場合には、搬送装置2の全体の動作を直ちに停止させる第一非常停止指令Ce1を実行し、発生した異常が複数の移載装置3のうちいずれかの移載装置3のみに影響を与える個別異常である場合には、個別異常による影響を受ける移載装置3の動作を直ちに停止させると共に、個別異常による影響を受けない移載装置3については移載動作を完了させた後で当該移載装置3の動作を停止させる第二非常停止指令Ce2を実行する。本実施形態では、統括制御装置Htは、第一制御装置Hfに対して第一非常停止指令Ce1と第二非常停止指令Ce2とを実行する。そして、統括制御装置Htが第一非常停止指令Ce1を実行することにより、第一制御装置Hfが第一非常停止処理Pe1を実行する。また、統括制御装置Htが第二非常停止指令Ce2を実行することにより、第一制御装置Hfが第二非常停止処理Pe2を実行する。
【0028】
本実施形態では、第一非常停止指令Ce1を受けた第一制御装置Hfは、第一非常停止処理Pe1を実行することで移載装置3を含む搬送装置2の全体の動作を直ちに停止させる。ここで、直ちに停止させるとは、非常停止指令Ce(Ce1,Ce2)の実行直後に対象となる装置の動作を停止させることをいう。直ちに停止させるとは、少なくとも、非常停止指令Ce(Ce1,Ce2)が実行されてから非常停止処理Pe(Pe1,Pe2)が実行されるまでの間に、対象となる装置の継続中の動作を除く他の動作を新たに行わせることなく、当該継続中の動作を停止させることをいう。また、本実施形態では、第二非常停止指令Ce2を受けた第一制御装置Hfは、第二非常停止処理Pe2を実行することで、個別異常による影響を受ける移載装置3の動作を直ちに停止させると共に、個別異常による影響を受けない移載装置3については移載動作を完了させた後で当該移載装置3の動作を停止させる。例えば、第一制御装置Hfは、発生した異常が第一移載装置3Aに関する個別異常である場合には、当該第一移載装置3Aの動作を直ちに停止させると共に、第二移載装置3Bについては物品Wの移載動作を完了させた後で当該第二移載装置3Bの動作を停止させる。
【0029】
制御装置Hは、異常が発生した場合に、各種の異常検出部Sから情報を取得すると共に当該取得した情報に基づいて、発生した異常の種別を判定する。制御装置Hは、異常が発生した場合に、複数の異常状態を識別可能である。そして、制御装置Hは、複数の異常状態のそれぞれに基づいて、発生した異常が全体異常であるか個別異常であるかを判定する。例えば、統括制御装置Htは、第一制御装置Hf及び第二制御装置Hmを介して各種の異常検出部Sから情報を取得すると共に当該取得した情報に基づいて、発生した異常の種別を判定する。本実施形態では、制御装置Hは、支持部31の異常と、昇降部32の異常と、出退部33の異常と、旋回部34の異常と、のいずれかが発生した場合には個別異常が発生したと判定する。より具体的には、統括制御装置Htは、支持部31と、昇降部32と、出退部33と、旋回部34と、のいずれかにおいて異常が発生した旨の情報を、第一制御装置Hf及び第二制御装置Hmを介して各種の異常検出部Sから取得することにより、個別異常が発生したと判定する。例えば、統括制御装置Htは、第一支持部31Aにおいて異常が発生した旨の情報を第一支持部異常検出部31ASから取得した場合には、当該発生した異常が第一移載装置3Aに関する個別異常であると判定する。言い換えれば、統括制御装置Htは、異常が発生した場合であって第一移載装置3Aを構成する要素に異常が発生したことを認知した場合には、当該発生した異常が第一移載装置3Aに関する個別異常であると判定する。同様に、統括制御装置Htは、異常が発生した場合であって第二移載装置3Bを構成する要素に異常が発生したことを認知した場合には、当該発生した異常が第二移載装置3Bに関する個別異常であると判定する。
【0030】
図5に示すように、制御装置Hは、各種の異常検出部Sから取得した情報に基づいて、発生した異常の状態を識別し、当該異常の状態に基づいて、発生した異常が全体異常であるか個別異常であるかについて異常の種別を判定する。本実施形態では、予め想定される複数の異常状態のそれぞれについてエラーコードが設定されており、統括制御装置Htは、これらのエラーコードを記憶している。また、これらのエラーコードの全てについて、全体異常であるか個別異常であるかについての異常種別が設定されている。本例では、異常が発生した場合に、統括制御装置Htが、異常状態のエラーコードを確認し、発生した異常が全体異常であるか個別異常であるかを判定する。
図5に示すように、例えば、予め想定される異常状態としては、非常停止ボタン押下、昇降ベルト異常、点検扉開状態、搬送装置2の昇降経路に障害物あり、制御装置H相互間の通信システムの異常、などがあり、これらの異常状態の場合には、発生した異常は全体異常であるとの判定が統括制御装置Htによってなされる。その他にも、予め想定される異常状態としては、前述した荷崩れ状態等の支持部31の異常、昇降部32の異常、出退部33の異常、旋回部34の異常、などがあり、これらの異常状態の場合には、発生した異常は個別異常であるとの判定が統括制御装置Htによってなされる。以上で述べた異常状態は、単なる例示に過ぎず、統括制御装置Htは、その他に想定される種々の異常状態も記憶することができる。
【0031】
次に、異常が発生した後、非常停止処理Peが完了するまでの手順について
図6のフローチャートを参照して説明する。
異常発生後、各種の異常検出部Sのうち、発生した異常に対応する異常検出部Sが異常の発生を検知する(#100)。統括制御装置Htは、異常の発生を検知した異常検出部Sから、異常が発生した旨の情報を取得して、当該取得した情報(異常状態)についてのエラーコードを確認する(#101)。統括制御装置Htは、確認したエラーコードに基づいて、発生した異常が全体異常であるか否かを判定する(#102)。統括制御装置Htは、発生した異常が全体異常であると判定した場合には(#102:Yes)、第一制御装置Hfに対して第一非常停止指令Ce1を実行する(#103)。第一非常停止指令Ce1を受けた第一制御装置Hfは、第一非常停止処理Pe1を実行することで移載装置3を含む搬送装置2の全体の動作を直ちに停止させる(#104)。
【0032】
また、統括制御装置Htは、発生した異常が全体異常でないと判定した場合には(#102:No)、発生した異常が個別異常であるとして第一制御装置Hfに対して第二非常停止指令Ce2を実行する(#105)。また、統括制御装置Htは、個別異常が、第一移載装置3Aに関連するものであるか否かを判定する(#106)。統括制御装置Htは、個別異常が第一移載装置3Aに関連するものであると判定した場合には(#106:Yes)、第一制御装置Hfに指令して第一移載装置3Aの全体の動作を停止させる(#107)。次に、統括制御装置Htは、第二移載装置3Bの移載動作が完了したか否かを判定する(#108)。統括制御装置Htは、第二移載装置3Bの移載動作が完了していないと判定した場合には(#108:No)、ステップ108を繰り返す。ここで、図示は省略するが、移載装置3が移載動作を行うのに十分な時間として規定される規定時間を過ぎても第二移載装置3Bの移載動作が完了しない場合には、統括制御装置Htは、第二非常停止処理Pe2を実行できない事態が生じたものとしてエラーを報知する。統括制御装置Htは、第二移載装置3Bの移載動作が完了したと判定した場合には(#108:Yes)、第一制御装置Hfに指令して第二移載装置3Bを含む搬送装置2の全体の動作を停止させる(#104)。
【0033】
また、統括制御装置Htは、個別異常が第一移載装置3Aに関するものでないと判定した場合には(#106:No)、個別異常が第二移載装置3Bに関するものであるとして第一制御装置Hfに指令し、当該第二移載装置3Bの全体の動作を停止させる(#109)。次に、統括制御装置Htは、第一移載装置3Aの移載動作が完了したか否かを判定する(#110)。統括制御装置Htは、第一移載装置3Aの移載動作が完了していないと判定した場合には(#110:No)、ステップ110を繰り返す。規定時間を過ぎても第一移載装置3Aの移載動作が完了しない場合には、統括制御装置Htはエラーを報知する(図示省略)。統括制御装置Htは、第一移載装置3Aの移載動作が完了したと判定した場合には(#110:Yes)、第一制御装置Hfに指令して第一移載装置3Aを含む搬送装置2の全体の動作を停止させる(#104)。
【0034】
2.第二実施形態
次に、第二実施形態に係る物品搬送設備1について説明する。第二実施形態では、第二非常停止処理Pe2の実行後に、搬送処理Ptについて分離モードを実行可能である点が、第一実施形態と異なる。以下では、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。特に説明しない点については、第一実施形態と同様である。
【0035】
第二実施形態では、制御装置Hは、第二非常停止指令Ce2によって搬送装置2の全体の動作を停止させた後、個別異常による影響を受ける移載装置3を動作停止状態に維持したまま、個別異常による影響を受けない移載装置3を動作させて搬送装置2による物品Wの搬送を行う分離モードを実行可能である。例えば、統括制御装置Htは、第二非常停止指令Ce2を実行することにより第一制御装置Hfに第二非常停止処理Pe2を実行させた後、第一制御装置Hfに対して搬送処理分離モードを実行するように指令する。例えば、第一移載装置3Aに関連する個別異常が発生したことにより第二非常停止処理Pe2が実行された後、第一移載装置3Aを搬送装置2から電気的に切り離すことで当該第一移載装置3Aを動作停止状態に維持したまま、個別異常による影響を受けない第二移載装置3Bを動作させて搬送装置2による物品Wの搬送を行う。
【0036】
次に、搬送処理分離モードを実行する手順について、
図7のフローチャートを参照して説明する。
まず、異常の発生により、第一制御装置Hfによって非常停止処理Peが実行される(#200)。その後、統括制御装置Htは、実行された非常停止処理Peが第一非常停止処理Pe1であったか否かを判定する(#201)。統括制御装置Htは、実行された非常停止処理Peが第一非常停止処理Pe1であったと判定した場合には(#201:Yes)、処理を終了する。統括制御装置Htは、実行された非常停止処理Peが第一非常停止処理Pe1でなかったと判定した場合には(#201:No)、実行された非常停止処理Peが第二非常停止処理Pe2であったとして搬送処理分離モードが開始される(#202)。統括制御装置Htは、第二非常停止処理Pe2が実行される要因となった個別異常が第一移載装置3Aに関連するものであったか否かを判定する(#203)。統括制御装置Htは、第二非常停止処理Pe2が実行される要因となった個別異常が第一移載装置3Aに関連するものであったと判定した場合には(#203:Yes)、第一移載装置3Aを搬送装置2から電気的に切り離す(#204)。一方で、統括制御装置Htは、第二非常停止処理Pe2が実行される要因となった個別異常が第一移載装置3Aに関連するものでなかったと判定した場合には(#203:No)、当該個別異常が第二移載装置3Bに関連するものであったとして当該第二移載装置3Bを搬送装置2から電気的に切り離す(#205)。ステップ204及びステップ205の後は、統括制御装置Htは、第一制御装置Hfに対して搬送指令Ctを実行し、搬送指令Ctを受けた第一制御装置Hfは、運用可能な移載装置3を動作させて搬送処理Ptを実行する(#206)。搬送処理Ptが実行された後は、搬送処理分離モードが終了され(#207)、統括制御装置Htは、処理を終了する。
【0037】
3.その他の実施形態
次に、物品搬送設備1のその他の実施形態について説明する。
【0038】
(1)上記の実施形態では、移載装置3が有する出退部33がリンク機構により構成されている例について説明した。しかし、本発明に係る物品搬送設備1は、このような構成に限定されない。すなわち、出退部33は移載方向にスライド自在なスライド機構により構成されていても良い。この場合であっても、支持部31を移載方向に出退させることができる。
【0039】
(2)上記の実施形態では、制御装置Hが、物品搬送設備1全体の制御を行う統括制御装置Htと、搬送装置2全体の制御を行う第一制御装置Hfと、移載装置3の制御を行う第二制御装置Hmと、を含んで構成されている例について説明した。しかし、本発明に係る物品搬送設備1は、このような構成に限定されない。すなわち、制御装置Hは、単体であっても良い。この場合には、単体の制御装置Hが、装置の内部で搬送指令Ct及び非常停止指令Ce並びに搬送処理Pt及び非常停止処理Peを実行する。また、各種のアクチュエータのそれぞれが、制御装置を備えていても良い。この場合には、搬送指令Ct及び非常停止指令Ceに基づいて、各種のアクチュエータに備えられるそれぞれの制御装置が、各種のアクチュエータのそれぞれを制御する。
【0040】
(3)上記の実施形態では、予め想定される複数の異常状態のそれぞれについてエラーコードが設定されており、これらのエラーコードの全てについて、全体異常であるか個別異常であるかについての異常種別が設定されている例について説明した。しかし、本発明に係る物品搬送設備1は、このような構成に限定されない。すなわち、予め想定される複数の異常状態は、全体異常に関するもののみであっても良い。統括制御装置Htは、異常が発生した場合に、異常状態が予め想定される異常状態であるときは、当該異常が全体異常であると判定する。異常状態が予め想定される異常状態以外の異常状態であるときは、当該異常が個別異常であると判定する。この構成によれば、予め想定される異常状態の全てについてエラーコードを設定していなくても良く、プログラムの簡素化が図れる。また、反対に、予め想定される複数の異常状態は、個別異常に関するもののみであっても良い。上記構成と同様に、この構成によってもプログラムの簡素化が図れる。
【0041】
(4)上記の第二実施形態では、分離モード(搬送処理分離モード)を実行するに際して、個別異常の影響を受ける移載装置3を搬送装置2から電気的に切り離すことで当該個別異常の影響を受ける移載装置3を動作停止状態に維持したまま、個別異常による影響を受けない移載装置3を動作させて搬送装置2による物品Wの搬送を行う例について説明した。しかし、本発明に係る物品搬送設備1は、このような構成に限定されない。すなわち、搬送処理分離モードを実行するに際しての個別異常の影響を受ける移載装置3の切り離しは、物理的なものであっても良い。この場合、移載装置3の物理的な切り離しは、人手によって行われるものであっても良い。この構成によっても、個別異常による影響を受けない移載装置3を動作させて物品搬送設備1の効率的な運用を図れる。
【0042】
(5)なお、前述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0043】
4.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品搬送設備の概要について説明する。
【0044】
物品を搬送する搬送装置と、前記搬送装置を制御する制御装置と、を備える物品搬送設備であって、前記搬送装置は、複数の搬送対象場所のそれぞれにおいて各別に物品の移載動作を行う複数の移載装置を有し、前記制御装置は、前記搬送装置に物品を搬送させる搬送指令と、前記搬送装置に異常が発生した場合に当該搬送装置に動作を停止させる非常停止指令と、を実行可能であり、前記制御装置は、前記非常停止指令として、前記異常が前記搬送装置の全体に影響を与える全体異常である場合には、前記搬送装置の全体の動作を直ちに停止させる第一非常停止指令を実行し、前記異常が前記複数の移載装置のうちいずれかの移載装置のみに影響を与える個別異常である場合には、前記個別異常による影響を受ける移載装置の動作を直ちに停止させると共に、前記個別異常による影響を受けない移載装置については移載動作を完了させた後で当該移載装置の動作を停止させる第二非常停止指令を実行する。
【0045】
本構成によれば、搬送装置に個別異常が発生した場合には、制御装置が第二非常停止指令を実行することで、個別異常による影響を受ける移載装置の動作が停止されると共に個別異常による影響を受けない移載装置については移載動作が完了した後で当該移載装置の動作が停止される。これにより、個別異常による影響を受けない移載装置については移載動作が完了した後のホームポジションに戻った状態で動作が停止されるので、復旧作業において当該移載装置をホームポジションに戻す作業が不要となる。従って、本構成によれば、複数の移載装置を有する搬送装置を備える場合において、非常停止後の復旧作業を簡略化することができる。
一方、搬送装置の全体に影響を与える全体異常が発生した場合には、制御装置が第一非常停止指令を実行することで、搬送装置の全体の動作を直ちに停止させるため、非常時においても設備の安全な運用を図ることができる。
以上から、本構成によれば、異常の種別に応じて、復旧作業の簡略化と設備の安全な運用とのバランスを図ることができる。
【0046】
また、上記の構成において、前記搬送装置は、前記複数の移載装置を一体的に昇降させる昇降体を有し、前記複数の移載装置のそれぞれは、物品を下方から支持する支持部と、前記支持部を前記昇降体に対して相対的に昇降させる昇降部と、前記支持部を出退させる出退部と、前記支持部を旋回させる旋回部と、を有し、前記制御装置は、前記支持部の異常と、前記昇降部の異常と、前記出退部の異常と、前記旋回部の異常と、のいずれかが発生した場合には前記個別異常が発生したと判定すると好適である。
【0047】
本構成によれば、移載装置が有する各部の異常を検出することにより、発生した異常が個別異常か全体異常かを適切に判定することができる。
【0048】
また、上記の構成において、前記制御装置は、前記第二非常停止指令によって前記搬送装置の全体の動作を停止させた後、前記個別異常による影響を受ける移載装置を動作停止状態に維持したまま、前記個別異常による影響を受けない移載装置を動作させて前記搬送装置による物品の搬送を行う分離モードを実行可能である。
【0049】
本構成によれば、複数の移載装置の一部に異常が発生した場合であっても、搬送装置の全体を停止させたままにするのではなく、残りの正常な移載装置を用いて物品の搬送を行うことができる。従って、本構成によれば、設備全体として効率的な運用を図ることができる。