特許第6597551号(P6597551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイフクの特許一覧

<>
  • 特許6597551-物品搬送設備 図000002
  • 特許6597551-物品搬送設備 図000003
  • 特許6597551-物品搬送設備 図000004
  • 特許6597551-物品搬送設備 図000005
  • 特許6597551-物品搬送設備 図000006
  • 特許6597551-物品搬送設備 図000007
  • 特許6597551-物品搬送設備 図000008
  • 特許6597551-物品搬送設備 図000009
  • 特許6597551-物品搬送設備 図000010
  • 特許6597551-物品搬送設備 図000011
  • 特許6597551-物品搬送設備 図000012
  • 特許6597551-物品搬送設備 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6597551
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20191021BHJP
【FI】
   B65G1/04 541
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-207262(P2016-207262)
(22)【出願日】2016年10月21日
(65)【公開番号】特開2018-65686(P2018-65686A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2018年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】安部 健史
(72)【発明者】
【氏名】森川 靖志
(72)【発明者】
【氏名】上田 俊人
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5800193(JP,B2)
【文献】 特開2006−327759(JP,A)
【文献】 特開2002−114320(JP,A)
【文献】 特開2010−083593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定状態で設けられて物品を支持する固定支持部と、
前記固定支持部に対して設定された停止位置を経由する移動経路に沿って移動する移動体と、
前記移動体と一体に移動する移動支持部を前記移動経路の長手方向に対して水平面内で直交する幅方向に沿って移動自在に備えて、前記幅方向で前記移動経路内に収まる引退位置と前記幅方向で前記移動経路外に突出する突出位置との間での前記移動支持部の出退を伴って前記固定支持部との間で物品を受け取り及び供給する移載装置と、
前記移動体の移動及び前記移載装置の移載作動を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記移動体を前記停止位置に停止させる停止制御と、前記移載装置における前記移動支持部を前記引退位置から前記突出位置まで突出させる突出制御と、を実行する物品搬送設備であって、
前記停止位置に対応した位置に設けられ、前記長手方向の長さが前記停止位置として許容できる許容停止範囲の長さに形成された被検出体と、
前記引退位置に対する位置が固定された状態で前記移動体に設けられ、前記移動体が前記許容停止範囲内に位置した状態で前記被検出体を検出する検出部と、をさらに有し、
前記制御部は、前記停止制御により前記移動体が前記停止位置よりも前記移動体の移動方向で上流側に設定された突出開始位置に達すると前記突出制御の実行を開始するとともに、前記停止位置に向かう前記移動体の移動方向で前記突出開始位置よりも下流側であって前記検出部が前記被検出体を検出できる位置に設定された突出監視開始位置に前記移動体が達した後は、前記検出部が前記被検出体を検出していることを条件に前記突出制御の実行を継続する物品搬送設備。
【請求項2】
前記制御部は、前記停止制御により前記移動体が前記停止位置に停止した後も、前記検出部が前記被検出体を検出しなくなった場合には、前記突出制御の実行を中断する請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記制御部は、前記突出制御の実行を中断した後に前記検出部が前記被検出体を再び検出した場合には、前記突出制御の実行を再開する請求項1又は2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記制御部は、前記突出開始位置として、受け取り用突出開始位置及び供給用突出開始位置を選択的に設定自在に構成され、
前記受け取り用突出開始位置は、前記固定支持部が支持している物品を前記移載装置における前記移動支持部により受け取る受け取り動作を行う場合に設定される前記突出開始位置であり、
前記供給用突出開始位置は、前記移載装置における前記移動支持部が支持している物品を前記固定支持部に前記移載装置により供給する供給動作を行う場合に設定される前記突出開始位置であり、
前記受け取り用突出開始位置は、前記供給用突出開始位置よりも前記停止位置までの距離が長い請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記被検出体を検出する第2検出部が前記移動支持部に固定状態で設けられ、
前記第2検出部は、前記移動体が前記許容停止範囲内に位置しかつ前記移動支持部が前記引退位置に位置している状態であることを条件に前記被検出体を検出する請求項1〜4のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記移動体は、上下方向に沿う軸心周りに回転する回転部を備え、
前記移載装置及び前記検出部は、前記回転部に設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定状態で設けられて物品を支持する固定支持部と、前記固定支持部に対して設定された停止位置を経由する移動経路に沿って移動する移動体と、前記移動体と一体に移動する移動支持部を前記移動経路の長手方向に対して水平面内で直交する幅方向に沿って移動自在に備えて、前記幅方向で前記移動経路内に収まる引退位置と前記幅方向で前記移動経路外に突出する突出位置との間での前記移動支持部の出退を伴って前記固定支持部との間で物品を受け取り及び供給する移載装置と、前記移動体の移動及び前記移載装置の移載作動を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記移動体を前記停止位置に停止させる停止制御と、前記移載装置における前記移動支持部を前記引退位置から前記突出位置まで突出させる突出制御と、を実行する物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品搬送設備に関する従来技術として、特許第5800193号公報(特許文献1)には、制御部が、停止制御により移動体が停止位置よりも移動体の移動方向で上流側に設定された突出開始位置に達すると突出制御の実行を開始するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された技術は、停止制御が完了する前に突出制御の実行を開始することで、移載装置による固定支持部との間での物品の受け取り及び供給を少しでも早い時期に完了させることができる点で搬送効率の向上に資する技術である。
特許文献1の物品搬送設備のように停止制御が完了する前に突出制御を開始した場合、物品の受け取り又は供給の対象となる固定支持部に移動体の移動方向で上流側に隣接する固定支持部が存在すると、当該隣接する固定支持部やその固定支持部に支持されている物品等の干渉対象物と移動支持部との干渉が問題になる。そこで、特許文献1の物品搬送設備では、突出制御を開始した後に、移動支持部の幅方向の引退位置からの移動量が一定値を越えた時点で、移動経路における移動体の位置が、移動支持部と干渉対象物とが干渉する干渉範囲を通過したか否かを判別したうえで、その後の突出制御を継続するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5800193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の物品搬送設備では、移動支持部が干渉対象物と干渉する範囲を移動体が通過したか否かを移動体の位置情報に基づいて判別する技術を採用している。この技術は、干渉範囲を通過したか否かを移動体の位置情報に基づいて判別しており、干渉対象物や干渉対象物の周辺の構造物を直接的に検出して突出制御の継続の可否を判別しているわけではない。特許文献1の段落0090には、干渉物の存否を検出する存否センサを移動支持部に設けて、その存否センサの検出情報に基づいて干渉対象物と干渉する範囲を移動体が通過したか否かを判別する技術が記載されている。
ところが、存否センサを移動支持部に設けた場合、移動支持部の取付状態に異常が発生した場合は、干渉対象物と干渉する範囲を移動体が通過したか否かを誤判別することになり、移動支持部が干渉対象物と干渉するおそれがある。
【0005】
上記実状に鑑みて、停止制御が完了する前に突出制御を開始した後、突出制御の継続の可否を適切に判別できる物品搬送設備が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物品搬送設備の特徴構成は、
固定状態で設けられて物品を支持する固定支持部と、
前記固定支持部に対して設定された停止位置を経由する移動経路に沿って移動する移動体と、
前記移動体と一体に移動する移動支持部を前記移動経路の長手方向に対して水平面内で直交する幅方向に沿って移動自在に備えて、前記幅方向で前記移動経路内に収まる引退位置と前記幅方向で前記移動経路外に突出する突出位置との間での前記移動支持部の出退を伴って前記固定支持部との間で物品を受け取り及び供給する移載装置と、
前記移動体の移動及び前記移載装置の移載作動を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記移動体を前記停止位置に停止させる停止制御と、前記移載装置における前記移動支持部を前記引退位置から前記突出位置まで突出させる突出制御と、を実行する物品搬送設備において、
前記停止位置に対応した位置に設けられ、前記長手方向の長さが前記停止位置として許容できる許容停止範囲の長さに形成された被検出体と、
前記引退位置に対する位置が固定された状態で前記移動体に設けられ、前記移動体が前記許容停止範囲内に位置した状態で前記被検出体を検出する検出部と、をさらに有し、
前記制御部は、前記停止制御により前記移動体が前記停止位置よりも前記移動体の移動方向で上流側に設定された突出開始位置に達すると前記突出制御の実行を開始するとともに、前記停止位置に向かう前記移動体の移動方向で前記突出開始位置よりも下流側であって前記検出部が前記被検出体を検出できる位置に設定された突出監視開始位置に前記移動体が達した後は、前記検出部が前記被検出体を検出していることを条件に前記突出制御の実行を継続する点にある。
【0007】
本特徴構成によれば、制御部が実行する停止制御により移動体が停止位置に停止するまでに移動体が突出開始位置に達すると突出制御が開始されるので、突出制御をいち早く開始して、移動体が停止位置に停止した後における受け取り動作及び供給動作の所要時間を短縮して物品の搬送効率を向上させることできる。
被検出体は、停止位置に対応した位置に設けられ、長手方向の長さが停止位置として許容できる許容停止範囲の長さに形成されており、検出部は、停止位置として許容できる許容停止範囲内に移動体が位置した状態で被検出体を検出するので、検出部が被検出体を検出すれば、制御部は移動体が許容停止範囲内に位置した状態であると判別できる。そのため、制御部は、突出制御の実行を継続するにあたって、移動体が突出監視開始位置に達してからは検出部が被検出部を検出しているかを監視することで、既に実行が開始されている突出制御を継続して実行して良いか否かを判断できる。
しかも、検出部は、引退位置に対する位置が固定された状態で移動体に設けられているので、移動支持部が引退位置と突出位置とで幅方向に沿って移動しても検出部の位置は変化せず、移動支持部の取付状態が衝撃や経年変化等により変わっても検出部の検出機能に影響を及ぼしにくい。したがって、移動体が許容停止範囲内に位置した状態であるか否かを適切に判別して突出制御の継続の可否を適切に判別できる。
このように、本特徴構成によると、停止制御が完了する前に突出制御を開始した後、突出制御の継続の可否を適切に判別できる物品搬送設備が得られる。
【0008】
ここで、前記制御部は、前記停止制御により前記移動体が前記停止位置に停止した後も、前記検出部が前記被検出体を検出しなくなった場合には、前記突出制御の実行を中断すると好適である。
【0009】
この構成によれば、移動体が停止した後に移動体に揺れが残存している場合に、移動体が許容停止範囲内に位置した状態でなくなったときには、突出制御が中断される。これにより、移動支持部が不適切な状態で突出位置に向けて移動することを、移動体が停止するまでだけでなく移動体が停止した後も防止できる。
【0010】
また、前記制御部は、前記突出制御の実行を中断した後に前記検出部が前記被検出体を再び検出した場合には、前記突出制御の実行を再開すると好適である。
【0011】
この構成によれば、移動体が許容停止範囲内に位置した状態に復帰すれば、中断されていた突出制御が再開されるので、移動支持部が不適切な状態で突出位置に向けて移動することを避けつつ突出位置まで突出させることができる。
【0012】
また、前記制御部は、前記突出開始位置として、受け取り用突出開始位置及び供給用突出開始位置を選択的に設定自在に構成され、前記受け取り用突出開始位置は、前記固定支持部が支持している物品を前記移載装置における前記移動支持部により受け取る受け取り動作を行う場合に設定される前記突出開始位置であり、前記供給用突出開始位置は、前記移載装置における前記移動支持部が支持している物品を前記固定支持部に前記移載装置により供給する供給動作を行う場合に設定される前記突出開始位置であり、前記受け取り用突出開始位置は、前記供給用突出開始位置よりも前記停止位置までの距離が長いと好適である。
【0013】
受け取り動作では、移動支持部に物品が支持されていない状態で移動支持部が突出位置に向けて移動し、供給動作では、移動支持部に物品が支持されている状態で移動支持部が突出位置に向けて移動する。つまり、受け取り動作を行う場合は、移動支持部に物品が支持されていない分、干渉対象物と干渉しない範囲で移動支持部をより突出位置側に位置させることができる。
そこで、受け取り用突出開始位置を、供給用突出開始位置よりも停止位置までの距離が長い位置に設定することで、受け取り動作を行う場合は供給動作を行う場合よりも停止位置から遠い位置で突出制御の実行を開始させることができる。その結果、受け取り動作における移動支持部の移動を、移動体が停止するまでに極力進行させて、移動体が停止位置に停止した後における受け取り動作の所要時間を短縮して物品の搬送効率を向上させることできる。
【0014】
また、前記被検出体を検出する第2検出部が前記移動支持部に固定状態で設けられ、
前記第2検出部は、前記移動体が前記許容停止範囲内に位置しかつ前記移動支持部が前記引退位置に位置している状態であることを条件に前記被検出体を検出すると好適である。
【0015】
この構成によれば、移動体が目標停止位置についての許容停止範囲内に位置し、かつ、移動支持部が引退位置に位置している状態であれば、第2検出部は被検出体を検出するのであるから、第2検出部の検出状態を確認することで、移動支持部の取り付け状態等の異常が発生している場合にはその異常を発見することができる。すなわち、第2検出部が被検出体を検出していれば、移動支持部の引退位置における姿勢等が正常であると判別し、検出していなければ、移動支持部の移動体における取り付け状態等に何らかの異常が発生しているとして、異常と判別することが考えられる。これにより、受け取り動作及び供給動作が適正に行える状態であるか否かを定期的に確認することができる。
【0016】
また、前記移動体は、上下方向に沿う軸心周りに回転する回転部を備え、前記移載装置及び前記検出部は、前記回転部に設けられていると好適である。
【0017】
この構成によれば、移載装置が回転部に設けられているので、引退位置と突出位置とで移動する移動支持部の移動方向として複数の方向を設定することができる。そのため、移動経路に対して固定支持部を平面視で一方向だけでなく複数の方向に配置することができ、固定支持部の配置の自由度を向上させることができる。
そして、検出部も回転部に設けられているので、例えば、移動経路に対して平面視で複数の方向に配置された固定支持部に対して被検出部を設けることで、複数の方向に配置された固定支持部に対する受け取り動作及び供給動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】物品搬送設備の全体側面図
図2】物品搬送設備の要部平面図
図3】棚板と移載装置とを示す斜視図
図4】移載装置が供給動作用の目標停止位置に位置している状態を示す側面図
図5】移載装置が受け取り動作用の目標停止位置に位置している状態を示す側面図
図6】制御ブロック図
図7】空移動制御及び実移動制御のうち走行制御における停止制御のフローチャート
図8】走行制御によるスタッカークレーンの移動速度変化パターンの一部を示す図
図9】突出制御のフローチャート
図10】実移動制御における突出開始位置、突出監視開始位置、目標停止位置を説明する図
図11】空移動制御における突出開始位置、突出監視開始位置、目標停止位置を説明する図
図12】停止制御、突出制御、監視制御の実行タイミングを説明するタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る物品搬送設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態の物品搬送設備は、複数枚の半導体基板を収容自在な容器Wを搬送するスタッカークレーン1を移動体として有している。スタッカークレーン1は、保管庫2の内部に設定された直線状の移動経路Lに沿って移動自在に設けられている。容器Wは、物品の一例であり、FOUP:Front Opening Unified Podと呼ばれる。物品としては、容器Wのほか、各種の荷を支持自在な一定の寸法で形成されたパレットでもよく、物品の寸法は一定のものが好ましい。以下に、本実施形態の物品搬送設備におけるスタッカークレーン1及び保管庫2の構成、並びに、スタッカークレーン1による容器Wの搬送を制御する制御装置Hの構成について詳細に説明する。なお、以下の説明では、図1図3に矢印で示すように、移動経路Lの長手方向を左右方向Xとし、鉛直方向に沿う方向を上下方向Yとし、移動経路Lの長手方向(左右方向X)に対して水平面内で直交する幅方向を出退方向Zとして説明する。
【0020】
〔保管庫〕
図1及び図2に示すように、保管庫2の内部には複数の収納部3が左右方向X及び上下方向Yに並べて設けられている。各収納部3は、容器Wを支持する棚板3aと棚板3aにおける容器Wの位置を位置決めする位置決め部3bを備えている。位置決め部3bは具体的には上方に突出する3つのピンにて構成されており、容器Wの底面部に放射状に配置された長溝部にそれぞれのピンが係合することで、位置決め部3bは容器Wを位置決めした状態で支持する。詳しくは後述するが、棚板3aの先端部にはスタッカークレーン1による容器Wの移載が可能な位置を示す鉛直面に沿う反射板にて構成された定位置ターゲットGが取り付けられている。
【0021】
このように、本実施形態では、固定状態で設けられて物品(容器W)を支持する固定支持部として、棚板3aが設けられている。
【0022】
保管庫2と外部の間で容器Wを搬出入するコンベヤ4が、保管庫2の側壁に形成された搬出入口9を貫通する状態で設置されている。コンベヤ4は、容器Wを載置支持自在で内部側端部と外部側端部との間で往復移動する搬送台車(図示せず)が設けられており、外部側端部及び内部側端部に設けられた荷受部(外部荷受部4a・内部荷受部4b)の間で容器Wを搬送する。
【0023】
〔天井搬送車〕
図1に示すように、保管庫2の外部には、天井レール6に沿って走行する天井搬送車5が設けられている。天井搬送車5は、天井レール6に案内される走行車輪を備えた走行部5aと、走行部5aの下方において走行部5aに接続された本体部5bとを備えている。本体部5bは、昇降ベルト8の繰り出し・巻き取りにより昇降部7を上下方向Yに昇降させるホイスト装置を備えている。図示は省略するが、昇降部7には、容器Wの上端部を把持自在なチャック装置が設けられている。
【0024】
天井搬送車5は、処理装置(図示せず)での処理が完了した保管対象の容器Wを処理装置のロードポートから受け取り、コンベヤ4の外部側端部に設けられた外部荷受部4aに供給するとともに、処理装置での処理が予定されている処理対象の容器Wをコンベヤ4の内部側端部に設けられた内部荷受部4bから受け取り、処理装置のロードポートに供給する。
【0025】
〔スタッカークレーン〕
図1図3に示すように、スタッカークレーン1は、移動経路Lに沿って左右方向Xに走行自在な走行台車10と、走行台車10に立設された昇降マスト11と、昇降マスト11に沿って上下方向Yに昇降自在な昇降キャリッジ12と、昇降キャリッジ12に上下方向Yに沿う縦軸心周りに回転自在に設けられた移載装置13と、移載装置13を回転自在に支持する回転部14とを備えている。走行台車10は保管庫2の底部に設置された走行レール15に案内される状態で走行駆動部16により移動経路Lに沿って走行駆動される。
【0026】
本実施形態の走行駆動部16は、例えば、移動経路Lの端部に設置された走行モータM1(図6参照)により、両端が走行台車10に連結された歯付き駆動ベルトを巻回作動させて、走行台車10を左右方向Xに押し引き操作する。走行駆動部は、走行台車10に備えられた走行車輪を回転駆動させる走行モータを走行台車10と一体移動するように構成してもよく、スタッカークレーン1を左右方向Xに沿って移動させるように構成されたものであればよい。また、走行台車10には、走行台車10の走行位置を検出する走行位置検出部Dx(図6参照)が設けられており、走行モータM1は、走行位置検出部Dxの検出情報に基づいて制御装置H(図6参照)により制御される。走行位置検出部Dxは、例えば、移動経路Lにおける左右方向Xについての基準位置からの距離を計測する走行距離計測部により構成される。走行距離計測部は、走行モータM1の回転量を検出するロータリーエンコーダを用いて構成してもよいし、移動経路Lの一端部近傍に設定された基準位置から走行台車10までの距離を計測する光学式測距装置を用いて構成してもよい。
【0027】
走行台車10には、昇降キャリッジ12に接続された昇降ベルト8を巻回駆動して昇降キャリッジ12を上下方向Yに沿って昇降させる昇降モータM2(図6参照)が設けられている。また、走行台車10には、昇降キャリッジ12の昇降位置を検出する昇降位置検出部Dy(図6参照)が設けられており、昇降モータM2は、昇降位置検出部Dyの検出情報に基づいて制御装置H(図6参照)により制御される。昇降位置検出部Dyは、例えば、昇降経路における基準位置からの距離を計測する昇降距離計測部により構成される。昇降距離計測部は、昇降モータM2の回転量を検出するロータリーエンコーダを用いて構成してもよいし、昇降経路の一端部近傍に設定された基準高さから昇降キャリッジ12までの距離を計測する光学式測距装置を用いて構成してもよい。
【0028】
〔移載装置〕
図1図5に示すように、移載装置13は、昇降キャリッジ12が備える回転部14により上下方向Yに沿う縦軸心周りに回転自在に支持されており、左右方向X及び上下方向Yに昇降キャリッジ12と一体的に移動する。回転部14は、例えば、円盤状に形成されたターンテーブルとこのターンテーブルを回転させる旋回モータM4(図6参照)を備え、移載装置13がこのターンテーブルに一体回転自在に取り付けられる。したがって、移載装置13は、回転部14が有する旋回モータM4により、第1回転位置と第2回転位置との間でターンテーブルと一体に回転駆動される。
【0029】
第1回転位置は、出退方向Zで移動経路Lの一方側に位置する収納部3に対して移載装置13が容器Wを受け取り及び供給する場合の回転部14の回転位置(移載装置13の回転位置)であり、第2回転位置は、出退方向Zで移動経路Lの他方側に位置する収納部3に対して移載装置13が容器Wを受け取り及び供給する場合の回転部14の回転位置(移載装置13の回転位置)である。回転部14の回転位置は、旋回位置検出部Dr(図6参照)により検出される。旋回位置検出部Drは、例えば、ロータリーエンコーダ等を用いて構成される。
【0030】
移載装置13は、出退駆動部17により出退方向Zに沿って突出位置と引退位置との間で出退操作される出退支持部18を備えている。引退位置及び突出位置は出退方向Zについての位置である。引退位置は、図1及び図2に示す出退支持部18の位置であり、出退方向Z(幅方向)で移動経路L内に収まる位置である。突出位置は、当該突出位置において出退支持部18が昇降することで棚板3aと出退支持部18との間で容器Wが授受される位置(容器Wの荷重を支持する主体が切り換わる位置)であり、出退方向Zで移動経路Lの外に突出する位置である。なお、出退支持部18には、容器Wを位置決めした状態で支持する位置決め部18aが設けられている。この位置決め部18aも棚板3aにおける位置決め部3bと同様に上方に突出する3つのピンにて構成されている。
【0031】
図2図5に示すように、出退駆動部17は、2つのリンクからなる屈伸アームと、この屈伸アームを屈伸させる出退モータM3(図6参照)とを備えている。出退駆動部としては、スライドフォーク及びこれを出退操作するモータとを備えたもので構成してもよい。
【0032】
出退支持部18の出退方向Zでの位置は、出退位置検出部Dz(図6参照)により検出される。出退位置検出部Dzは、例えば、出退支持部18が引退位置に位置している状態からの出退駆動部17の駆動量を検出することで、出退支持部18の出退方向Zでの位置を検出することができる。具体的には、出退位置検出部Dzは、例えば、出退モータM3の回転駆動量を検出するロータリーエンコーダを用いて構成される。
【0033】
このように、移載装置13は、スタッカークレーン1と一体に移動する移動支持部としての出退支持部18を、移動経路Lの長手方向(左右方向X)に対して水平面内で直交する幅方向(出退方向Z)に沿って移動自在に備えている。移載装置13は、出退方向Zで移動経路L内に収まる引退位置と出退方向Zで移動経路L外に突出する突出位置との間での出退支持部18の出退を伴って固定支持部としての棚板3a及び内部荷受部4bとの間で容器Wを受け取り及び供給する。また、スタッカークレーン1は、上下方向Yに沿う軸心周りに回転する回転部14を備え、移載装置13は、回転部14に設けられている。
【0034】
図2図5に示すように、移載装置13は、2つの定位置センサS(第1定位置センサS1及び第2定位置センサS2)が設けられている。第1定位置センサS1及び第2定位置センサS2は、回転部14におけるターンテーブルに固定されたセンサ取り付けブラケット19に上下方向Yに並ぶ状態で取り付けられている。したがって、第1定位置センサS1及び第2定位置センサS2は、出退支持部18の引退位置に対する位置が固定された状態でスタッカークレーン1に設けられている。
【0035】
定位置センサSは、スタッカークレーン1が左右方向X及び上下方向Yのいずれについても許容停止範囲内に位置した状態であれば、棚板3aに設けられた定位置ターゲットGを検出する位置に設けられている。許容停止範囲は、各収納部3の棚板3aについて設定される目標停止位置を含む範囲であり、移載装置13が収納部3に対する容器Wの受け取り及び供給を適正に行える位置の範囲として設定されている。一方、定位置ターゲットGは、棚板3aについての目標停止位置に対応した位置に設けられ、定位置ターゲットGの左右方向Xの長さは、左右方向Xについての目標停止位置P0として許容できる許容停止範囲の長さに形成され、定位置ターゲットGの上下方向Yの長さは、上下方向Yについての目標停止位置として許容できる許容停止範囲の長さに形成されている。これにより、スタッカークレーン1が左右方向X及び上下方向Yのいずれについても許容停止範囲内に位置した状態であれば、定位置センサSが定位置ターゲットGを検出する。
【0036】
目標停止位置のうち、上下方向Yについての目標停止位置は、同じ棚板3aについて供給動作用の位置と受取り動作用の位置との2つの位置設定されており、各棚板3aについての2つの目標停止位置が制御装置Hに記憶されている。供給動作用の目標停止位置は、図4に示す位置に移載装置13が位置するときの昇降キャリッジ12の位置であり、受け取り動作用の目標停止位置は、図5に示す位置に移載装置13が位置するときの昇降キャリッジ12の位置である。第1定位置センサS1及び第2定位置センサS2のセンサ取り付けブラケット19による上下方向Yの支持高さは、供給動作用の目標停止位置と受け取り動作用の目標停止位置との上下方向Yの差と同じ長さだけ異なっている。第1定位置センサS1は、図4に示すように、容器Wを棚板3aに供給する場合に定位置ターゲットGを検出し、第2定位置センサS2は、図5に示すように、容器Wを棚板3aから受け取る場合に定位置ターゲットGを検出する。
【0037】
〔制御装置〕
スタッカークレーン1には、制御装置H(図6参照)が設けられている。制御装置Hには、制御対象として走行モータM1、昇降モータM2、出退モータM3、旋回モータM4が接続され、これらの制御に用いる制御情報の入力として、走行位置検出部Dx、昇降位置検出部Dy、旋回位置検出部Dr、出退位置検出部Dzが接続されている。
【0038】
制御装置Hは、図外の搬送管理装置から容器Wの入庫指令(内部荷受部4bを搬送元とし棚板3aを搬送先とする指令)や出庫指令(棚板3aを搬送元とし内部荷受部4bを搬送先とする指令)を受信すると、容器Wを支持していない状態で搬送元まで移載装置13を移動させる空移動制御、搬送元の位置に応じた移載装置13の回転位置に切り替える第1回転制御、搬送元から搬送対象の容器Wを受け取る受け取り制御、搬送対象の容器Wを支持した状態で搬送先まで移載装置13を移動させる実移動制御、搬送先の位置に応じた移載装置13の回転位置に切り替える第2回転制御、搬送先に搬送対象の容器Wを供給する供給制御を実行する。
【0039】
本実施形態では、棚板3aは出退方向Zで移動経路Lの両側に設置されており、入庫指令や出庫指令の搬送元及び搬送先の棚板3aの位置に応じて、制御装置Hが第1回転制御や第2回転制御を実行することにより、移載装置13を出退方向Zのいずれかの向きに対応した回転位置(第1回転位置又は第2回転位置)に切り替えることで、全ての棚板3aについて、容器Wの供給と受け取りが行えるようになっている。
【0040】
搬送元と搬送先とが出退方向Zで移動経路Lの同じ側に位置している入庫指令や出庫指令の場合は、移載装置13の回転位置を切り換える必要がないため、第2回転制御は実行されない。また、第1回転制御及び第2回転制御は、出退支持部18が引退位置に位置している状態で実行され、第1回転制御と空移動制御は同時期に並行して実行されることが好ましく、第2回転制御と実移動制御は同時期に並行して実行されることが好ましい。ただし、搬送元及び搬送先の位置によっては、空移動制御が完了した後に第1回転制御が完了する場合や、実移動制御が完了した後に第2回転制御が完了する場合がある。また、第1回転制御が完了してから空移動制御を開始し、第2回転制御が完了してから実移動制御を開始するようにしてもよい。
【0041】
制御装置Hは、空移動制御において、搬送元についての目標停止位置に移載装置13を位置させるべく、移載装置13が左右方向Xの目標停止位置P0に位置するように走行位置検出部Dxの検出情報に基づいて走行モータM1を制御する走行制御、移載装置13が上下方向Yの目標停止位置に位置するように昇降位置検出部Dyの検出情報に基づいて昇降モータM2を制御する昇降制御を実行する。
【0042】
制御装置Hは、実移動制御において、搬送先についての目標停止位置に移載装置13を位置させるべく、移載装置13が左右方向Xの目標停止位置P0に位置するように走行位置検出部Dxの検出情報に基づいて走行モータM1を制御する走行制御、移載装置13が上下方向Yの目標停止位置に位置するように昇降位置検出部Dyの検出情報に基づいて昇降モータM2を制御する昇降制御を実行する。
【0043】
走行制御では、搬送元と搬送先との左右方向Xの距離により定まる速度変化パターンにしたがって走行モータM1が制御される。速度変化パターンは、走行開始時から設定上限速度に達するまでの加速状態、設定上限速度を維持する定速状態、設定上限速度から停止するまでの減速状態に順次遷移する走行速度の変化を示すものである。制御装置Hは、加速状態では開始制御を実行し、定速状態では定常制御を実行し、減速状態では停止制御を実行する。速度変化パターンのうち、定常制御を実行している定速状態から停止制御の実行が開始されて減速状態に遷移して停止するまでの走行台車10の速度変化を図8に示す。
【0044】
図7のフローチャートに示すように、制御装置Hは、走行台車10が減速開始位置P3に達すると(ステップ#1)、速度変化パターンで示される設定減速度で減速を開始し、走行台車10は減速状態となる(ステップ#2)。減速状態において走行台車10が低速走行開始位置P1に達すると(ステップ#3)、制御装置Hは、走行台車10を速度変化パターンで示される設定低速度で走行させる(ステップ#4)。走行台車10が目標停止位置P0に達すると(ステップ#5)、制御装置Hは、走行台車10を停止させる(ステップ#6)。制御装置Hは、走行台車10を停止させた後、昇降制御の完了を条件に定位置センサSの検出状態を確認する。定位置センサSが定位置ターゲットGを検出していなければ(ステップ#7でNo)、スタッカークレーン1が左右方向X及び上下方向Yのいずれかについて目標停止位置の許容停止範囲内に位置していないと判断して、エラーを出力する(ステップ#8)。
【0045】
なお、制御装置Hは、ステップ#7では、容器Wの供給動作を行う搬送先についての目標停止位置(図4に示す位置)に移載装置13を位置させた場合は第1定位置センサS1の検出状態を確認し、容器Wの受け取り動作を行う搬送元についての目標停止位置(図5に示す位置)に移載装置13を位置させた場合は第2定位置センサS2の検出状態を確認する。
【0046】
制御装置Hは、受け取り制御において、出退支持部18を引退位置から突出位置に移動させるべく出退位置検出部Dzの検出情報に基づいて出退モータM3を制御する突出制御、移載装置13を受取り動作用の目標停止位置から供給動作用の目標停止位置まで上昇させるべく昇降モータM2を制御する上昇制御、出退支持部18を突出位置から引退位置に移動させるべく出退位置検出部Dzの検出情報に基づいて出退モータM3を制御する引退制御を実行する。
【0047】
制御装置Hは、供給制御において、出退支持部18を引退位置から突出位置に移動させるべく出退位置検出部Dzの検出情報に基づいて出退モータM3を制御する突出制御、移載装置13を供給動作用の目標停止位置から受取り動作用の目標停止位置まで下降させるべく昇降モータM2を制御する下降制御、出退支持部18を突出位置から引退位置に移動させるべく出退位置検出部Dzの検出情報に基づいて出退モータM3を制御する引退制御を実行する。
【0048】
このように、制御装置Hは、スタッカークレーン1を目標停止位置P0に停止させる停止制御と、移載装置13における出退支持部18を引退位置から突出位置まで突出させる突出制御と、を実行する。つまり、制御装置Hは制御部として機能する。
【0049】
本実施形態の物品搬送設備では、搬送元での容器Wの受け取りや搬送先での容器Wの供給をできるだけ迅速に行えるように、受け取り制御における突出制御の開始タイミングを空移動制御での走行制御における停止制御が完了する時点よりも早くし、供給制御における突出制御の開始タイミングを実移動制御での走行制御における停止制御が完了する時点よりも早くしている。
【0050】
具体的には、制御装置Hは、停止制御によりスタッカークレーン1の走行台車10が左右方向Xの目標停止位置P0よりも走行台車10の移動方向で上流側に設定された突出開始位置Pf(図10におけるPf1及び図11におけるPf2)に達すると、停止制御によりスタッカークレーン1が左右方向Xの目標停止位置P0に停止していなくても突出制御の実行を開始する。ただし、移載装置13の回転位置(回転部14の回転位置)が目標回転位置に位置している回転完了条件、及び、移載装置13の昇降位置(昇降キャリッジ12の昇降位置)が目標昇降位置に位置している昇降完了条件のいずれか一方が成立していない場合は、制御装置Hは、走行台車10が突出開始位置Pfを通過した後もこれらの両条件の双方が成立するまで突出制御の実行の開始を保留し、両条件が成立したら突出制御の実行を開始する。
【0051】
スタッカークレーン1が目標停止位置に停止する直前や直後は、慣性力による昇降マスト11の変形に起因して昇降マスト11に振動が生じるが、振動が大きい場合には棚板3aに対して容器Wを適切に供給及び受け取りできない程度に移載装置13が棚板3aに対して左右方向Xに変移することが考えられる。そこで、制御装置Hは、突出制御の開始後、定位置センサSが定位置ターゲットGを検出できる突出監視開始位置Pc(図10における供給用突出監視開始位置Pc1、及び、図11における受け取り用突出監視開始位置Pc2)を走行台車10が通過した後は、突出制御の継続が可能な状態か否かを監視する監視制御を実行する。
【0052】
監視制御では、制御装置Hは、定位置センサSが定位置ターゲットGを検出しない場合は、移載装置13の変移が大きく突出制御を継続すべきでない状態として、突出制御の実行を中断する。突出制御が中断された後、定位置センサSが再び定位置ターゲットGを検出した場合は、移載装置13の変移が小さく突出制御を継続すべき状態に復帰したとして、突出制御を再開する。
【0053】
具体的には、制御装置Hは、突出制御の実行開始後、走行台車10が突出監視開始位置Pcを通過した後は、定位置センサSが定位置ターゲットGを検出しなくなった場合には突出制御の実行を中断する。さらに、制御装置Hは、停止制御によりスタッカークレーン1が目標停止位置P0に停止した後も、定位置センサSが定位置ターゲットGを検出しなくなった場合には、突出制御の実行を中断する。制御装置Hは、突出制御の実行を中断した後に定位置センサSが定位置ターゲットGを再び検出した場合には、突出制御の実行を再開する。
【0054】
このように、制御装置Hは、突出開始位置Pfよりも目標停止位置P0へ向かう移動方向で下流側であって定位置センサSが定位置ターゲットGを検出できる位置に設定された突出監視開始位置Pcにスタッカークレーン1の走行台車10が達した後は、制御装置Hは、突出制御が完了するまで、定位置センサSが定位置ターゲットGを検出していることを条件に突出制御の実行を継続する。これにより、搬送元や搬送先の棚板3aに左右方向Xで一つ隣に位置する棚板3a及び当該隣の棚板3aに支持されている容器Wと、出退支持部18及びこれに支持されている容器Wとが干渉することを防止している。
【0055】
実移動制御と空移動制御とでは出退支持部18における容器Wの有無に関して違いがあるため、この点に着目して、本実施形態では、制御装置Hは、突出開始位置Pfとして、図10及び図11に示すように、供給用突出開始位置Pf1及びこの供給用突出開始位置Pf1よりも目標停止位置P0までの距離が長い受け取り用突出開始位置Pf2が、移動制御の種類(空移動制御及び実移動制御)に応じて選択的に設定される。受け取り用突出開始位置Pf2は、棚板3aが支持している容器Wを移載装置13における出退支持部18により受け取る受け取り動作を行う場合に設定される突出開始位置Pfであり、空移動制御の実行開始までに設定される。供給用突出開始位置Pf1は、移載装置13における出退支持部18が支持している容器Wを棚板3aに移載装置13により供給する供給動作を行う場合に設定される突出開始位置Pfであり、実移動制御の実行開始までに設定される。
【0056】
上述の通り、突出制御は、回転制御及び昇降制御が完了している状態において空移動制御及び実移動制御における停止制御により走行台車10が突出開始位置Pfに達したときに開始されるが、空移動制御においては、出退支持部18は容器Wを支持していないため、移動先となる棚板3a(図11で右に位置する棚板3aであり容器Wの搬送元の棚板3a)に対して左右方向Xで隣に位置する棚板3a(図11で左に位置する棚板3a)に支持されている容器Wと干渉しない領域は、実移動制御において移動先となる棚板3a(図10で右に位置する棚板3aであり容器Wの搬送先の棚板3a)に対して左右方向Xで隣に位置する棚板3a(図10で左に位置する棚板3a)に支持されている容器Wと干渉しない領域に比べて広い。そのため、突出制御の開始タイミングを比較的早期に設定して、走行台車10の左右方向Xの位置に対する出退支持部18の出退方向Zの位置をより進めることができる。そこで、受け取り用突出開始位置Pf2から目標停止位置P0に至るまでの距離を、供給用突出開始位置Pf1から目標停止位置P0に至るまでの距離よりも長く設定することで、突出制御の開始タイミングが早くなるようにしている。
【0057】
突出開始位置Pfは、上述のように空移動制御及び実移動制御で異なる位置となっているが、突出監視開始位置Pcは、空移動制御及び実移動制御で同じ位置となっている。つまり、図10における供給用突出監視開始位置Pc1、及び、図11における受け取り用突出監視開始位置Pc2は、左右方向Xの目標停止位置P0に対して同じ位置に設定されている。このため、図12に示す突出制御を開始してから監視制御が開始されるまでの遅延時間Tdは、空移動制御及び実移動制御で異なる。すなわち、実移動制御の停止制御の実行中に開始される突出制御及び監視制御の遅延時間Tdよりも、空移動制御の停止制御の実行中に開始される突出制御及び監視制御の遅延時間Tdの方が長くなる。つまり、供給動作よりも受け取り動作の方が、突出制御が開始されてから監視制御が開始されるまで比較的長い時間が確保されるので、監視制御が開始されるときの出退支持部18の出退方向Zの位置は、受け取り制御における突出制御の方が供給制御における突出制御よりも突出位置へ近づくことになる。これにより、受け取り動作を迅速に完了させることができる。
【0058】
制御装置Hによる突出制御を図9に示すフローチャート及び図12に示すタイミングチャートを参照して説明する。
昇降制御及び回転制御が完了した状態で停止制御の実行中に走行台車10が突出開始位置Pfに位置すると、突出制御が開始される。まず、出退モータM3を突出側の回転方向で駆動させて出退駆動部17により、引退位置の出退支持部18を突出位置に向けて出退方向Zに沿って移動させる(ステップ#1)。その後、走行台車10が突出監視開始位置Pcに位置すると(ステップ#2でYes)、定位置センサSの検出状態を監視する監視制御の実行が開始される(ステップ#3)。
【0059】
供給制御における突出制御の場合は、走行台車10が供給用突出開始位置Pf1に達した後、供給用突出監視開始位置Pc1に達すると第1定位置センサS1の検出状態を監視する監視制御の実行が開始される。また、受け取り制御における突出制御の場合は、走行台車10が受け取り用突出開始位置Pf2に達した後、受け取り用突出監視開始位置Pc2に達すると第2定位置センサS2の検出状態を監視する監視制御の実行が開始される。図12に示すように、突出制御が開始されてから監視制御が開始されるまで遅延時間Tdが存在し、この遅延時間Tdは、上述の通り、供給制御が実行される場合の遅延時間Tdよりも受け取り制御が実行される場合の遅延時間Tdの方が長い。
【0060】
監視制御の実行中に定位置センサSが定位置ターゲットGを検出しない状態が発生すると(ステップ#3でYes)、出退支持部18の突出作動が中断され(ステップ#4)、定位置センサSが定位置ターゲットGを再び検出する状態に復帰するまで出退支持部18の出退方向Zの位置が維持される(ステップ#5でNo)。定位置センサSが定位置ターゲットGを再び検出する状態に復帰すると(ステップ#5でYes)、出退支持部18の突出作動が再開される(ステップ#6)。そして、定位置センサSが定位置ターゲットGを検出し続けることを条件に出退支持部18が突出位置に達するまで出退支持部18の突出作動が継続される(ステップ#3でNo、ステップ#7でNo)。出退支持部18が突出位置に達すると(ステップ#7でYes)、出退支持部18の突出作動が停止する(ステップ#8)。
【0061】
図12では、突出制御の実行を開始した後、走行台車10が突出監視開始位置Pcに達してから出退支持部18が突出位置に達するまでに、定位置センサSが定位置ターゲットGを検出しない状態が合計2回発生した場合を例示している。1回目は、走行台車10が目標停止位置P0に停止する前に発生し、2回目は走行台車10が目標停止位置P0に停止した後に発生している。図12には、走行台車10が目標停止位置P0に停止した後、つまり停止制御が完了した後であっても、定位置センサSが定位置ターゲットGを検出しない期間は、突出制御が中断され出退支持部18の突出量が変化しない点が示されている。
【0062】
なお、図12では例示していないが、突出制御の開始後、監視制御が開始されるまでに定位置センサSが定位置ターゲットGを検出しない状態が発生しても、制御装置Hは、突出制御を中断しない。これは、出退支持部18が、出退方向Zで棚板3aや保管されている容器Wと干渉する位置まで至っていないことから、出退支持部18の移動を停止する必要がないからである。
【0063】
詳細な説明は省略するが、突出制御が完了した後は、出退支持部18が突出位置に位置した状態で昇降キャリッジ12を昇降させる昇降制御(受け取り制御の場合は上昇制御、供給制御の場合は下降制御)、出退支持部18を突出位置から引退位置に移動させる引退制御、スタッカークレーン1の走行台車10を次の目標停止位置まで移動させる実移動制御又は空移動制御が実行される。この場合、受け取り制御における上昇制御又は供給制御における下降制御が完了するまでに引退制御を開始し、引退制御が完了するまでに移動制御における走行制御の初期である開始制御を開始するのが好ましい。図12では、引退制御が完了するまでに開始制御の実行が開始されている点が示されている。
【0064】
本実施形態の物品搬送設備では、図2図5に示すように、定位置ターゲットGを検出する基準状態検出センサS3が第2検出部として出退支持部18の下面に固定状態で設けられている。図3及び図5に示すように、基準状態検出センサS3は、スタッカークレーン1が受け取り動作用の目標停止位置についての許容停止範囲内に位置しかつ出退支持部18が引退位置に位置している状態において、定位置ターゲットGを検出する位置に設置されている。図6に示すように、基準状態検出センサS3は制御装置Hに電気的に接続されている。
【0065】
制御装置Hは、稼動状態が一定期間経過すると、入庫指令や出庫指令を待機している待機状態となる時間を利用して、基準状態確認処理を実行する。基準状態確認処理では、出退支持部18が引退位置となっている移載装置13を、左右方向X及び上下方向Yの双方に関して、任意の棚板3aについての受け取り動作用の目標停止位置に位置させ、その状態において、基準状態検出センサS3が定位置ターゲットGを検出しているか否かを判別する。
【0066】
スタッカークレーン1の移載装置13が、左右方向X及び上下方向Yの双方に関して、受け取り動作用の目標停止位置についての許容停止範囲内に位置し、かつ、出退支持部18が引退位置に位置している状態であれば、基準状態検出センサS3は定位置ターゲットGを検出するはずであるから、基準状態確認処理で基準状態検出センサS3の検出状態を確認することで、出退支持部18の取り付け状態等の異常が発生している場合にはその異常を発見することができる。
【0067】
そこで、制御装置Hは、基準状態検出センサS3が定位置ターゲットGを検出していれば、出退支持部18の引退位置における姿勢等が正常であると判別し、検出していなければ、出退支持部18の移載装置13における取り付け状態や回転部14に対する移載装置13の取り付け状態の異常が発生していたり、走行台車10、昇降キャリッジ12、回転部14、移載装置13の制御系統における何らかの異常が発生していたりするとして、異常と判別する。これにより、供給制御及び受け取り制御が適正に行える状態であるか否かを定期的に確認することができる。
【0068】
以上に説明した本実施形態の物品搬送設備では、容器Wの搬送元や搬送先の棚板3aと左右方向Xで一つ隣の棚板3a及び当該隣の棚板3aに支持されている容器Wと、出退支持部18及びこれに支持されている容器Wとが干渉することを回避しながら、できるだけ早いタイミングで突出制御の実行を開始して、搬送元での容器Wの受け取りや搬送先での容器Wの供給をできるだけ迅速に行えるようになっている。
【0069】
〔別の実施形態〕
以上、発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。以下、本発明の別実施形態を例示する。上記実施形態及び下記実施形態は、矛盾の生じない範囲で組み合わすことができる。
【0070】
(1)上記実施形態では、左右方向Xの移動について本発明を適用したものを例示したが、上下方向Yの移動について本発明を適用してもよい。つまり、上記実施形態のように昇降制御及び回転制御が完了した状態で停止制御の実行中に走行台車10が突出開始位置Pfに位置すると、制御装置Hが突出制御を開始し、その後監視処理を実行する構成に加えて又は代えて、走行制御及び回転制御が完了した状態で昇降制御における停止制御の実行中に昇降キャリッジ12が上下方向Yについての突出開始位置に位置すると、突出制御を開始し、その後監視処理を実行するように構成してもよい。この構成の場合、監視処理は昇降制御が完了した後も突出制御が完了するまで継続することになる。なお、上下方向Yの移動について本発明を適用する場合は、定位置ターゲットGの上下方向Yの長さを必要に応じて長く形成することが好ましい。
【0071】
(2)上記実施形態では、固定支持部として、棚板3aが設けられているものを例示したが、内部荷受部4bを固定支持部としてもよい。つまり、内部荷受部4bに対して容器Wを供給する場合や内部荷受部4bから容器Wを受け取る場合に、内部荷受部4bについての目標停止位置P0よりも走行台車10の移動方向で上流側に設定された突出開始位置Pfに走行台車10が達したときに、突出制御を開始し、その後、監視処理を実行するように構成してもよい。
【0072】
(3)上記実施形態では、移動体としてのスタッカークレーンが移載装置を移動させるもの、すなわち、移載装置がスタッカークレーンの走行台車の走行作動及びスタッカークレーンの昇降キャリッジの昇降作動により移動されるものを例示したが、移動体としては、曲線状の部分を有する移動経路に沿って床面又は天井を移動する搬送台車や、上下方向に沿う直線状の移動経路に沿って移動する昇降体であってもよい。
【0073】
(4)上記実施形態では、移動経路の長手方向が水平面に沿うように移動経路が配置されたものを例示したが、移動経路の長手方向が上下方向に沿うように移動経路を配置してもよい。この場合、移動経路の長手方向に対して水平面内で直交する幅方向としては、3つ以上の複数の方向を設定することが可能である。例えば、平面視で移動経路を囲むように3つ以上の複数の固定支持部を配置し、移載装置を縦軸心周りに回転させる回転部により、固定支持部の複数の位置に対応した複数の回転位置に移載装置の姿勢を切り換える構成とすることで、移動支持部の移動方向は複数の回転位置に対応して3つ以上の移動方向が設定できる。
【0074】
(5)上記実施形態では、移載装置が回転部に設けられるものを例示したが、回転部を備えず、移載装置の移動体に対する平面視の姿勢を固定した状態で移載装置を移動体に設けてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 :スタッカークレーン(移動体)
3a :棚板(固定支持部)
13 :移載装置
14 :回転部
G :定位置ターゲット(被検出体)
H :制御装置(制御部)
L :移動経路
P0 :左右方向の目標停止位置(停止位置)
Pc :突出監視開始位置
Pf :突出開始位置
S1 :第1定位置センサ(検出部)
S2 :第2定位置センサ(検出部)
S3 :基準状態検出センサ(第2検出部)
W :容器(物品)
X :左右方向(移動経路の長手方向)
Y :上下方向
Z :出退方向(幅方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12