特許第6597557号(P6597557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6597557
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】端子対および基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/18 20060101AFI20191021BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20191021BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   H05K1/18 K
   B23K26/21 N
   H05K3/32 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-213143(P2016-213143)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2018-74029(P2018-74029A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2018年10月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】笹木 哲
【審査官】 黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−056971(JP,A)
【文献】 特開2015−174087(JP,A)
【文献】 特開2009−224367(JP,A)
【文献】 特開2014−160617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/18
B23K 26/21
H05K 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に取り付けられ、第1溶接面を有する第1板状端子と、
前記第1溶接面とレーザ溶接される第2溶接面を有する第2板状端子と、
を備え、
前記第1溶接面と前記第2溶接面との溶接面を前記基板側へ延長した面は、前記第1板状端子の前記第1溶接面以外の部分または前記第2板状端子の前記第2溶接面以外の部分と前記第1板状端子が前記基板に取り付けられた側で交わり、かつ前記基板と交わる、
端子対。
【請求項2】
前記第1板状端子は、前記基板に面で取り付けられる取付部を有し、
前記第1溶接面は、前記基板に対して略垂直であり、
前記第1板状端子は、前記第1溶接面と前記取付部の間で少なくとも一回屈曲し、
前記延長した面は、前記第1板状端子の前記第1溶接面以外の部分と交わることを特徴とする請求項1に記載の端子対。
【請求項3】
請求項1または2に記載の端子対を備える基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子対および基板に関し、特に、電子部品やプリント回路基板上の端子対をレーザ溶接により溶接する溶接用端子対およびその端子対を備える基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一対の端子を溶接する際の熱により基板が焼損することを防止する技術が知られている。例えば、特許文献1は、回路基板より起立する一対の端子を、非接触型の溶接器を用いて溶接する際に、近くの端子の溶損を抑制する溶接用マスク部材および回路基板の溶接方法を開示する。この溶接方法では、溶接時に回路基板上に配設される溶接用マスク部材を用いる。この溶接用マスク部材では、溶接用マスク部材のベースプレートに、端子が挿通する複数の開口部と、開口部同士の間に起立する仕切壁とを設ける。この仕切壁により、近接する一対の端子を溶接する際に発生する輻射熱などが、周囲の端子に伝達することを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−174087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2つの端子面同士を突き合わせ、突き合わせ方向とは垂直な方向(端子面とは平行な方向)からレーザ光を照射して端子同士を溶接しようとする場合、両端子面の間に隙間が存在する場合がある。このような場合、レーザ光を照射すると両端子の奥に存在する基板や電子部品などを焼損する恐れがある。上記従来技術では、かかる焼損を避けるため溶接用のマスク部材を必要としている。
そこで、本発明は、かかる溶接用のマスク部材を必要とせず、両端子面の間に隙間があった場合でも、レーザ光により基板等が焼損しない端子対およびその端子対を備える基板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、基板に取り付けられ、第1溶接面を有する第1板状端子と、第1溶接面とレーザ溶接される第2溶接面を有する第2板状端子と、を備え、第1溶接面と第2溶接面との溶接面を基板側へ延長した面は、第1板状端子の第1溶接面以外の部分または第2板状端子の第2溶接面以外の部分と第1板状端子が基板に取り付けられた側で交わり、かつ基板と交わる端子対が提供される。
これによれば、溶接面を基板側へ延長した面が端子自身と交わっていることで、溶接用のマスク部材を必要とせず、両端子面の間に隙間があった場合でも、レーザ光により基板等が焼損しない端子対を提供することができる。
【0006】
さらに、第1板状端子は、基板に面で取り付けられる取付部を有し、第1溶接面は、基板に対してほぼ垂直であり、第1板状端子は、第1溶接面と取付部の間で少なくとも一回屈曲し、延長した面は、第1板状端子の第1溶接面以外の部分と交わることを特徴としてもよい。
これによれば、溶接面を基板側へ延長した面が基板に取り付けられた端子自身と交わっていることで、溶接用のマスク部材を必要とせず、両端子面の間に隙間があった場合でも、レーザ光により基板等が焼損しない端子対を提供することができる。
【0007】
上記課題を解決するために、上記端子対を備える基板が提供される。
これによれば、溶接用のマスク部材を必要とせず、レーザ光により電子部品等が焼損していない基板を提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、溶接用の部材を必要とせず、両端子面の間に隙間があった場合でも、レーザ光により基板等が焼損しない端子対およびその端子対を備える基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る第一実施例の端子対の平面図。
図2】本発明に係る第一実施例の端子対のA−A断面における断面図。
図3】本発明に係る第二実施例の端子対の断面図。
図4】本発明に係る第三実施例の端子対の断面図。
図5】本発明に係る第四実施例の端子対の断面図。
図6】本発明に係る第五実施例の端子対の断面図。
図7】本発明に係る第六実施例の端子対の断面図。
図8】本発明に係る第七実施例の端子対の断面図。
図9】従来技術における端子対の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、図面を参照して、各実施例について説明する。まず、図9を参照し、従来技術における端子対TPZを説明する。端子対TPZは、2つの板状端子からなり、第1板状端子TM1と第2板状端子TM2とから構成される。第1板状端子TM1は、基板BSの表面にはんだ付けなどにより一定の面で取り付けられ、取り付けられている部分からほぼ垂直に立ち上がるように屈曲し、断面視L字型の形状を有する。第1板状端子TM1の立ち上がった部分の上部は、第2板状端子TM2とレーザ溶接される第1溶接面WS1となっている。
【0011】
第2板状端子TM2は、一端側が第1溶接面WS1とレーザ溶接される第2溶接面WS2となっており、他端側がその第2溶接面WS2から第1板状端子TM1と反対側に屈曲し、基板BSとは電気的に接続されていない電子部品EPと接続されている。端子対TPZは、基板BSに電気的に接続された第1板状端子TM1と、基板BSとは電気的に接続されていない部品に電気的に接続された第2板状端子TM2とから構成され、第1板状端子TM1と第2板状端子TM2をレーザ溶接することにより、基板BSと該部品を電気的に接続する端子対である。
【0012】
第1板状端子TM1と第2板状端子TM2をレーザ溶接する際、本図の点線矢印のように第1溶接面WS1と第2溶接面WS2の間に向けてレーザ光を射出し溶接する。その際、その両者の間には通常わずかな間隙があり、射出されたレーザ光は、その間隙を通って第1溶接面WS1と第2溶接面WS2の溶接面を通り抜け、一点鎖線矢印のように基板BSに衝突する。この時、樹脂で作製されている基板BSを焼損することとなり、仮に焼損が僅かであっても将来の故障(短絡等)の原因ともなりうるものである。従来技術においては、この焼損を防止するために溶接用のマスク部材を用いてきたところであるが、本発明では、かかるマスク部材を用いることなく、かかる焼損を防止することができる。
【0013】
<第一実施例>
図1および図2を参照し、本実施例における端子対TPAを説明する。端子対TPAは、2つの板状端子からなり、第1板状端子TM1と第2板状端子TM2とから構成される。第1板状端子TM1は、基板BSの表面にはんだ付けにより一定の面で取り付けられる取付部FXと、基板BSの表面に対してほぼ垂直に形成され、第2板状端子TM2とレーザ溶接される第1溶接面WS1と、取付部FXと第1溶接面WS1の中間において屈曲して形成される中間部MDを有する。なお、第1板状端子TM1は、基板BSにはんだ付け以外の方法で電気的に接続されていてもよい。
【0014】
第2板状端子TM2は、一端側が第1溶接面WS1とレーザ溶接される第2溶接面WS2となっており、他端側がその第2溶接面WS2から第1板状端子TM1と反対側に屈曲し、基板BSとは電気的に接続されていない電子部品EPと接続されている。なお、基板BSと電子部品EPは、ダイキャストDC上に搭載されている。これらは例示であり、たとえば、電子部品EPは基板BSとは異なる基板であってもよいし、ダイキャストDCは、異なる絶縁体からなる部品であってもよい。
【0015】
端子対TPAは、基板BSに電気的に接続された第1板状端子TM1と、基板BSとは電気的に接続されていない電子部品EPに電気的に接続された第2板状端子TM2とから構成され、第1板状端子TM1と第2板状端子TM2をレーザ溶接することにより、基板BSと電子部品EPを電気的に接続する端子対である。なお、第1板状端子TM1は、レーザ光に対する基板BSの防護壁となるので、図1に示されるように第2板状端子TM2に比べて幅広の板状に作製されることが好ましい。
【0016】
中間部MDは、取付部FXの第2板状端子TM2側の端部において基板BSから離れるように立ち上がり、その立ち上がった部分から電子部品EPから離れるように屈曲して取付部FXと平行をなすように延在し、その延在した部分と基板BSにほぼ垂直な第1溶接面WS1の下部と接続されるように形成されている。すなわち、第1板状端子TM1は、第1溶接面WS1と取付部FXの間で3回屈曲している。そして、第1溶接面WS1と第2溶接面WS2との溶接面を基板側へ延長した面ESは、第1板状端子TM1の第1溶接面WS1以外の部分である中間部MDおよび取付部FXと交わっている。
【0017】
このように、溶接面を基板側へ延長した面ESが基板BSに取り付けられた端子自身(第1板状端子TM1)と2回に亘り交わっていることで、照射されたレーザ光が直接基板BSに衝突することがなくなるので、溶接用のマスク部材を必要とせず、両端子面の間に隙間があった場合でも、レーザ光により基板等が焼損しない端子対を提供することができる。
【0018】
<第二実施例>
図3を参照し、本実施例における端子対TPBを説明する。なお、重複記載を避けるために上記実施例と異なる点を中心に説明する。端子対TPBは、第1板状端子TM1と第2板状端子TM2とから構成される。第1板状端子TM1は、基板BSの表面にはんだ付けにより一定の面で取り付けられる取付部FXと、基板BSの表面に対してほぼ垂直に形成され、第2板状端子TM2とレーザ溶接される第1溶接面WS1と、取付部FXと第1溶接面WS1の中間において屈曲して形成される中間部MDを有する。
【0019】
第2板状端子TM2は、一端側が第1溶接面WS1とレーザ溶接される第2溶接面WS2となっており、他端側がその第2溶接面WS2から第1板状端子TM1と反対側に屈曲し、基板BSとは電気的に接続されていない電子部品EPと接続されている。
【0020】
中間部MDは、取付部FXの第2板状端子TM2とは反対側の端部において基板BSから離れるように立ち上がり、その立ち上がった部分から第2板状端子TM2に近づくように屈曲して取付部FXと平行をなすように延在し、その延在した部分と基板BSにほぼ垂直な第1溶接面WS1の下部と接続されるように形成されている。すなわち、第1板状端子TM1は、第1溶接面WS1と取付部FXの間で3回屈曲している。そして、第1溶接面WS1と第2溶接面WS2との溶接面を基板側へ延長した面ESは、第1板状端子TM1の第1溶接面WS1以外の部分である取付部FXと交わっている。
【0021】
このように、溶接面を基板側へ延長した面ESが基板BSに取り付けられた端子自身(第1板状端子TM1)と交わっていることで、照射されたレーザ光が直接基板BSに衝突することがなくなるので、溶接用のマスク部材を必要とせず、両端子面の間に隙間があった場合でも、レーザ光により基板等が焼損しない端子対を提供することができる。
【0022】
<第三実施例>
図4を参照し、本実施例における端子対TPCを説明する。端子対TPCは、第1板状端子TM1と第2板状端子TM2とから構成される。第1板状端子TM1は、基板BSの表面にはんだ付けにより一定の面で取り付けられる取付部FXと、基板BSの表面に対してほぼ垂直に形成され、第2板状端子TM2とレーザ溶接される第1溶接面WS1を有する。
【0023】
第2板状端子TM2は、一端側が第1溶接面WS1とレーザ溶接される第2溶接面WS2となっており、他端側がその第2溶接面WS2から第1板状端子TM1と反対側に屈曲し、基板BSとは電気的に接続されていない電子部品EPと接続されている。
【0024】
第1溶接面WS1の下部は、取付部FXの第2板状端子TM2とは反対側の端部において直接接続されるように作製されている。すなわち、第1板状端子TM1は、第1溶接面WS1と取付部FXの間で1回屈曲している。そして、第1溶接面WS1と第2溶接面WS2との溶接面を基板側へ延長した面ESは、第1板状端子TM1の第1溶接面WS1以外の部分である取付部FXと交わっている。
【0025】
このように、溶接面を基板側へ延長した面ESが基板BSに取り付けられた端子自身(第1板状端子TM1)と交わっていることで、照射されたレーザ光が直接基板BSに衝突することがなくなるので、溶接用のマスク部材を必要とせず、両端子面の間に隙間があった場合でも、レーザ光により基板等が焼損しない端子対を提供することができる。
【0026】
<第四実施例>
図5を参照し、本実施例における端子対TPDを説明する。端子対TPDは、第1板状端子TM1と第2板状端子TM2とから構成される。第1板状端子TM1は、基板BSの表面にはんだ付けにより一定の面で取り付けられる取付部FXと、基板BSの表面に対してほぼ垂直に形成され、第2板状端子TM2とレーザ溶接される第1溶接面WS1と、取付部FXと第1溶接面WS1の中間において湾曲して形成される中間部MDを有する。
【0027】
第2板状端子TM2は、一端側が第1溶接面WS1とレーザ溶接される第2溶接面WS2となっており、他端側がその第2溶接面WS2から第1板状端子TM1と反対側に屈曲し、基板BSとは電気的に接続されていない電子部品EPと接続されている。
【0028】
中間部MDは、取付部FXの第2板状端子TM2側の端部において基板BSから離れるように湾曲しながら立ち上がり、その湾曲が半円を描くようにして立ち上がった部分と基板BSにほぼ垂直な第1溶接面WS1の下部と接続されるように形成されている。すなわち、第1板状端子TM1は、第1溶接面WS1と取付部FXの間で1回屈曲しまた1回大きく湾曲している。そして、第1溶接面WS1と第2溶接面WS2との溶接面を基板側へ延長した面ESは、第1板状端子TM1の第1溶接面WS1以外の部分である中間部MDおよび取付部FXと交わっている。
【0029】
このように、溶接面を基板側へ延長した面ESが基板BSに取り付けられた端子自身(第1板状端子TM1)と2回に亘り交わっていることで、照射されたレーザ光が直接基板BSに衝突することがなくなるので、溶接用のマスク部材を必要とせず、両端子面の間に隙間があった場合でも、レーザ光により基板等が焼損しない端子対を提供することができる。
【0030】
<第五実施例>
図6を参照し、本実施例における端子対TPEを説明する。端子対TPEは、第1板状端子TM1と第2板状端子TM2とから構成される。第1板状端子TM1は、基板BSの穴に差し込まれる差込部ISと、基板BSの表面に対してほぼ垂直に形成され、第2板状端子TM2とレーザ溶接される第1溶接面WS1と、差込部ISと第1溶接面WS1の中間において屈曲して形成される中間部MDを有する。
【0031】
第2板状端子TM2は、一端側が第1溶接面WS1とレーザ溶接される第2溶接面WS2となっており、他端側がその第2溶接面WS2から第1板状端子TM1と反対側に屈曲し、基板BSとは電気的に接続されていない電子部品EPと接続されている。
【0032】
中間部MDは、差込部ISの上部から基板BSに平行をなし電子部品EPに近づくように屈曲し、その平行をなしている部分から基板BSに垂直をなすように立ち上がり、その立ち上がった部分から電子部品EPから離れるように屈曲して延在し、その延在した部分と基板BSにほぼ垂直な第1溶接面WS1の下部と接続されるように形成されている。すなわち、第1板状端子TM1は、第1溶接面WS1と差込部ISの間で4回屈曲している。そして、第1溶接面WS1と第2溶接面WS2との溶接面を基板側へ延長した面ESは、第1板状端子TM1の第1溶接面WS1以外の部分である中間部MDと交わっている。
【0033】
このように、溶接面を基板側へ延長した面ESが基板BSに取り付けられた端子自身(第1板状端子TM1)と2回に亘り交わっていることで、照射されたレーザ光が直接基板BSに衝突することがなくなるので、溶接用のマスク部材を必要とせず、両端子面の間に隙間があった場合でも、レーザ光により基板等が焼損しない端子対を提供することができる。
【0034】
<第六実施例>
図7を参照し、本実施例における端子対TPFを説明する。端子対TPFは、第1板状端子TM1と第2板状端子TM2とから構成される。第1板状端子TM1は、基板BSの表面にはんだ付けにより一定の面で取り付けられる取付部FXと、基板BSの表面に対して傾いて形成され、第2板状端子TM2とレーザ溶接される第1溶接面WS1と、取付部FXと第1溶接面WS1の中間において屈曲して形成される中間部MDを有する。第1溶接面WS1は、先端を第2板状端子TM2の方へ傾けるように、すなわち、第1溶接面WS1と第1溶接面WS1の下部とがなす角度が180度以下となるように傾いている。
【0035】
第2板状端子TM2は、一端側が第1溶接面WS1とレーザ溶接される第2溶接面WS2となっており、他端側がその第2溶接面WS2から第1板状端子TM1と反対側に屈曲し、基板BSとは電気的に接続されていない電子部品EPと接続されている。第2溶接面WS2は、第1溶接面WS1の同じ傾きをもって形成されている。
【0036】
中間部MDは、取付部FXの第2板状端子TM2側の端部において基板BSから離れるように立ち上がり、その立ち上がった部分から第2板状端子TM2から離れるように屈曲して取付部FXと平行をなすように延在し、その延在した部分と第1溶接面WS1の下部と接続されるように形成されている。すなわち、第1板状端子TM1は、第1溶接面WS1と取付部FXの間で4回屈曲している。そして、第1溶接面WS1と第2溶接面WS2との溶接面を基板側へ延長した面ESは、第1板状端子TM1の第1溶接面WS1以外の部分である第1溶接面WS1の下部と交わっている。
【0037】
このように、溶接面を基板側へ延長した面ESが基板BSに取り付けられた端子自身(第1板状端子TM1)と交わっていることで、照射されたレーザ光が直接基板BSに衝突することがなくなるので、溶接用のマスク部材を必要とせず、両端子面の間に隙間があった場合でも、レーザ光により基板等が焼損しない端子対を提供することができる。
【0038】
以上の実施例では、第1板状端子TM1は、第五実施例を除き基板BSに面で取り付けられる取付部FXを有し、第1溶接面WS1は、第六実施例を除き基板BSに対してほぼ垂直であり、第1板状端子TM1は、第1溶接面WS1と取付部FXの間で少なくとも一回屈曲し、延長した面ESは、第1板状端子TM1の第1溶接面WS1以外の部分と交わるっている。このように、溶接面を基板側へ延長した面ESが基板BSに取り付けられた端子自身(第1板状端子TM1)と交わっていることで、照射されたレーザ光が直接基板BSに衝突することがなくなるので、溶接用のマスク部材を必要とせず、両端子面の間に隙間があった場合でも、レーザ光により基板等が焼損しない端子対を提供することができる。
【0039】
<第七実施例>
図8を参照し、本実施例における端子対TPGを説明する。端子対TPGは、第1板状端子TM1と第2板状端子TM2とから構成される。第1板状端子TM1は、基板BSの表面にはんだ付けにより一定の面で取り付けられる取付部FXと、基板BSの表面に対してほぼ垂直に形成され、第2板状端子TM2とレーザ溶接される第1溶接面WS1と、取付部FXと第1溶接面WS1の中間において屈曲して形成される中間部MDを有する。
【0040】
第2板状端子TM2は、第1溶接面WS1とレーザ溶接される第2溶接面WS2と、電子部品EPに接続される接続部分CNと、第2溶接面WS2と接続部分CNの中間において屈曲して形成される中間部MD’を有する。
【0041】
中間部MDは、取付部FXの第2板状端子TM2側の端部において基板BSから離れるように立ち上がり、その立ち上がった部分から第2板状端子TM2に近づくように屈曲して取付部FXと平行をなすように延在し、その延在した部分と基板BSにほぼ垂直な第1溶接面WS1と接続されるように形成されている。また、中間部MD’は、接続部分CNの最も第1板状端子TM1に近い部分から基板BSから離れるように立ち上がり、立ち上がった部分から電子部品EPの方へ近づくように延在し、その延在した部分と基板BSにほぼ垂直な第2溶接面WS2の下部と接続されるように形成されている。第1溶接面WS1と第2溶接面WS2との溶接面を基板側へ延長した面ESは、第2板状端子TM2の第2溶接面WS2以外の部分である中間部MD’と交わっている。
【0042】
このように、溶接面を基板側へ延長した面ESが端子自身(第2板状端子TM2)と交わっていることで、溶接用のマスク部材を必要とせず、両端子面の間に隙間があった場合でも、レーザ光により基板等が焼損しない端子対を提供することができる。
【0043】
上記実施例では、第1溶接面WS1と第2溶接面WS2との溶接面を基板BS側へ延長した面ESは、第1板状端子TM1の第1溶接面WS1以外の部分または第2板状端子TM2の第2溶接面WS2以外の部分と交わる。これによれば、溶接面を基板側へ延長した面が端子自身と交わっていることで、溶接用のマスク部材を必要とせず、両端子面の間に隙間があった場合でも、レーザ光により基板等が焼損しない端子対を提供することができる。
【0044】
また、上述した端子対TPA〜TPGを備える基板BSは、溶接用のマスク部材を必要とせず、レーザ光により電子部品等が焼損していない。
【0045】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【符号の説明】
【0046】
BS 基板
TPx 端子対
TM1 第1板状端子
WS1 第1溶接面
FX 取付部
IS 差込部
MD 中間部
TM2 第2板状端子
WS2 第2溶接面
ES 延長した面
EP 電子部品
DC ダイカスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9