特許第6597581号(P6597581)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6597581-画像形成装置、及び動作量補正方法 図000002
  • 特許6597581-画像形成装置、及び動作量補正方法 図000003
  • 特許6597581-画像形成装置、及び動作量補正方法 図000004
  • 特許6597581-画像形成装置、及び動作量補正方法 図000005
  • 特許6597581-画像形成装置、及び動作量補正方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6597581
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】画像形成装置、及び動作量補正方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20191021BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   G03G15/00 303
   G03G15/08 340
   G03G15/08 362
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-241914(P2016-241914)
(22)【出願日】2016年12月14日
(65)【公開番号】特開2018-97163(P2018-97163A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2018年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】谷口 諒
【審査官】 田代 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−134045(JP,A)
【文献】 特開平08−328435(JP,A)
【文献】 特開平08−006403(JP,A)
【文献】 特開2013−114212(JP,A)
【文献】 特開平02−137856(JP,A)
【文献】 特開2011−154087(JP,A)
【文献】 特開2002−072658(JP,A)
【文献】 特開2008−310246(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0061209(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 15/08
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤が収容される収容室と、前記収容室に設けられ前記現像剤に含まれるトナーを外周面に保持しつつ回転駆動される現像ローラーとを有する現像装置と、
前記現像ローラーに対向するように配置され、前記現像ローラーから供給された前記トナーを外周面に担持可能であり、回転駆動される像担持体と、
前記像担持体上のトナー量を検知するトナー量検知部と、
予め定められた補正動作モードにおいて、画像形成動作時の現像動作に係わる所定の動作量を補正する補正制御部と、を備え、
前記補正制御部は、
前記像担持体を停止させた状態で前記現像ローラーを回転駆動させて前記現像装置を予め定められた設定時間駆動させ、前記設定時間後に前記像担持体に飛散した飛散トナーのトナー量を前記トナー量検知部に検知させるとともに、前記飛散トナーのトナー量に基づいて前記現像動作における前記動作量を補正し、
前記像担持体から転写されるトナーを保持する転写ベルトと、
印加された転写バイアスによって前記像担持体から前記転写ベルトに前記飛散トナーを転写させる転写部と、を更に備え、
前記トナー量検知部は、前記転写部によって前記転写ベルトに転写された前記飛散トナーのトナー量を検知することによって前記像担持体上の前記飛散トナーのトナー量を検知する画像形成装置。
【請求項2】
前記補正制御部は、
前記現像ローラーを前記画像形成動作時の回転速度よりも速い回転速度で回転させることにより、前記像担持体に飛散する前記飛散トナーの飛散量を増加させ、前記トナー量検知部によって検知された増加後の前記飛散トナーのトナー量に基づいて前記現像動作における前記動作量を補正する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー量検知部は、前記像担持体において前記飛散トナーが付着した領域の周方向の幅を測定し、その測定値を前記飛散トナーのトナー量として検知する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー量検知部は、前記転写ベルトにおいて前記飛散トナーが付着した領域のベルト搬送方向の幅を測定し、その測定値を前記飛散トナーのトナー量として検知する請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記補正制御部は、
前記転写バイアスを前記画像形成動作時の電圧値よりも大きくすることにより、前記像担持体から前記転写ベルトへの前記飛散トナーの転写量を増加させ、前記トナー量検知部によって検知された増加後の前記飛散トナーのトナー量に基づいて前記現像動作における前記動作量を補正する請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記動作量は、外部から前記収容室に補給される前記トナーの補給量、前記収容室に収容された前記現像剤の撹拌時間、前記収容室に収容された前記現像剤の撹拌時の撹拌速度、のいずれか一つ又は複数である請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像剤は、前記トナー及び磁性キャリアを含む請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
現像剤が収容される収容室と、前記収容室に設けられ前記現像剤に含まれるトナーを外周面に保持しつつ回転駆動される現像ローラーとを有する現像装置と、
前記現像ローラーに対向するように配置され、前記現像ローラーから供給された前記トナーを外周面に担持可能であり、回転駆動される像担持体と、
前記像担持体から転写されるトナーを保持する転写ベルトと、
印加された転写バイアスによって前記像担持体から前記転写ベルトにトナーを転写させる転写部と、を備える画像形成装置に適用され、前記画像形成装置における画像形成動作時に前記現像装置が備える前記現像ローラーから前記像担持体にトナーを供給して現像する現像動作に係わる動作量を補正する動作量補正方法であって、
予め定められた補正動作モードにおいて、前記像担持体を停止させた状態で前記現像ローラーを回転駆動させて前記現像装置を予め定められた設定時間駆動し、前記設定時間後に前記転写部を駆動して前記像担持体に飛散した飛散トナーを前記転写ベルトに転写し、前記転写ベルトに転写した前記飛散トナーのトナー量を検知することによって前記像担持体に飛散した前記飛散トナーのトナー量を検知し、前記飛散トナーのトナー量に基づいて前記現像動作における前記動作量を補正する動作量補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置から感光体ドラム等の像担持体にトナー像を供給して現像することが可能な画像形成装置、及び現像装置による現像動作に関わる動作量を補正する動作量補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式によって用紙に画像を形成する複写機やプリンター等の画像形成装置には現像装置が搭載されている。現像装置は、感光体ドラム等の像担持体上に形成された静電潜像をトナーで現像する。現像装置は、前記像担持体から所定のギャップを隔てて配置された現像ローラーを有している。現像方式としては、現像剤収容室から現像ローラーの表面に磁気的に現像剤を汲み上げて、現像ローラーに印加された現像バイアスによって生じた電界により現像ローラーから前記像担持体の静電潜像へトナーを飛ばして付着させる方式が知られている。この種の現像装置には、現像剤収容室に収容された現像剤を撹拌することによって、トナーを所定の電荷に帯電させるための撹拌部材が設けられている。
【0003】
ところで、現像装置内のトナーの帯電量が一定レベル未満となって不適正になると、現像バイアスが印加されたときに像担持体上の静電潜像に十分な量のトナーが移動しなくなり、画像濃度低下を生じるおそれがある。また、像担持体上の静電潜像以外の領域に低帯電のトナーが飛散して、所謂トナーかぶりが生じるおそれがある。かかる問題は、経時劣化によってトナーが帯電し難くなった場合や、現像装置内に新たなトナーを補給した直後に生じ易い。
【0004】
このような問題を解決可能な従来技術として、カラー画像形成装置において、現像装置から直接に転写ベルトにトナー像を転写させ、その転写されたトナー像のトナー量を検出し、その検出されたトナー量に基づいて画像形成処理に関わる電気的設定値を制御する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−134045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来技術は、現像装置から転写ベルトに感光体ドラムなどの像担持体を経由せずにトナー像を転写ベルト転写させるため、転写時にトナーが周辺部材に飛び散り、周辺部材をトナーで汚すおそれがある。また、転写ベルトに到達するまでの間に周辺部材にトナーが飛び散るため、転写ベルト上のトナー像のトナー量の検出値の精度が低いという問題もある。かかる問題は、現像装置の現像ローラーと転写ベルトとを近接配置すれば生じないが、一般に現像ローラーと前記像担持体とのギャップが1.0[mm]以下であることや、転写ベルトの撓みによる現像ローラーとの接触のおそれなどを考慮すると、現像ローラーと転写ベルトとを前記ギャップほどに近接配置することはできず、上述の問題は現像ローラーと転写ベルトとの位置関係だけでは解決できない。また、画像形成装置において前記電気的設定値の補正が必要かどうかの判断を事前に行うことができず、既に補正が必要な状態で画像形成が行われたことによって、上述の画像濃度低下や、トナーかぶりなどが生じてしまう場合がある。
【0007】
本発明は、画像形成時に画像濃度低下やトナーかぶりを防止することができ、また、画像濃度低下やトナーかぶりが生じる前に、現像動作に係る動作量を高精度に補正することが可能な画像形成装置、及び動作量補正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、現像装置と、像担持体と、トナー量検知部と、補正制御部と、を備える。前記現像装置は、現像剤が収容される収容室と、前記収容室に設けられ前記現像剤に含まれるトナーを外周面に保持しつつ回転駆動される現像ローラーとを有する。前記像担持体は、前記現像ローラーに対向するように配置され、前記現像ローラーから供給された前記トナーを外周面に担持可能であり、回転駆動可能に構成されている。前記トナー量検知部は、前記像担持体上のトナー量を検知する。前記補正制御部は、予め定められた補正動作モードにおいて、画像形成動作時の現像動作に係わる所定の動作量を補正する。前記補正制御部は、前記像担持体を停止させた状態で前記現像ローラーを回転駆動させて前記現像装置を予め定められた設定時間駆動させ、前記設定時間後に前記像担持体に飛散した飛散トナーのトナー量を前記トナー量検知部に検知させるとともに、前記飛散トナーのトナー量に基づいて前記現像動作における前記動作量を補正する。
【0009】
本発明の他の局面に係る動作量補正方法は、画像形成装置に適用され、前記画像形成装置における画像形成動作時に現像装置が備える現像ローラーから像担持体にトナーを供給して現像する現像動作に係わる動作量を補正する。前記動作量補正方法は、予め定められた補正動作モードにおいて、前記像担持体を停止させた状態で前記現像ローラーを回転駆動させて前記現像装置を予め定められた設定時間駆動し、前記設定時間後に前記像担持体に飛散した飛散トナーのトナー量を検知し、前記飛散トナーのトナー量に基づいて前記現像動作における前記動作量を補正する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成時に画像濃度低下やトナーかぶりを防止することができ、また、画像濃度低下やトナーかぶりが生じる前に、現像動作に係る動作量を高精度に補正することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す模式図である。
図2図2は、画像形成装置が備える現像装置の構成を示す断面図である。
図3図3は、画像形成装置が備える制御部の構成を示すブロック図である。
図4図4は、画像形成装置の制御部によって実行される動作量補正処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、画像形成装置が備える濃度センサーによって取得された飛散トナーの濃度分布を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態は適宜変更できる。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10(本発明の画像形成装置の一例)の構成を示す模式図である。図1に示されるように、画像形成装置10は、いわゆるタンデム方式のカラー画像形成装置であり、複数の画像形成部11〜14と、4つの濃度センサー15(本発明のトナー量検知部の一例)と、中間転写ベルト21(本発明の転写ベルトの一例)と、ベルトクリーニング装置21Aと、駆動ローラー22Aと、従動ローラー22Bと、4つのトナーコンテナ23と、二次転写装置24と、定着装置25と、給紙トレイ26と、排紙トレイ27と、露光装置28,29と、制御部30(本発明の補正制御部の一例、図3参照)と、を備えている。なお、本発明の実施形態に係る画像形成装置10は、タンデム方式のカラー画像形成装置に限られず、モノクロ画像を形成可能なプリンターや複写機、ファクシミリ、これらの各機能を備えた複合機であってもよい。
【0014】
画像形成部11〜14は、電子写真方式に基づいて画像を形成するものである。画像形成部11〜14それぞれは、後述の感光体ドラム16(本発明の像担持体の一例)を有しており、感光体ドラム16に各色のトナー像を形成し、そのトナー像を走行中(移動中)の中間転写ベルト21に順次重ね合わせて転写する。図1に示される例では、矢印D1で示す中間転写ベルト21の移動方向(本発明のベルト搬送方向の一例)の下流側から順に、ブラック用の画像形成部11、イエロー用の画像形成部12、シアン用の画像形成部13、及びマゼンタ用の画像形成部14がその順番で一列に配置されている。
【0015】
画像形成部11〜14それぞれは、感光体ドラム16、帯電装置17、現像装置18(本発明の現像装置の一例)、一次転写装置19(本発明の転写部の一例)、ドラムクリーニング装置20等を備えている。つまり、画像形成装置10は、4つの現像装置18を備えている。
【0016】
感光体ドラム16は、後述する現像ローラー63に対向するように配置されており、現像ローラー63から供給されたトナーを外周面に担持可能に構成されている。感光体ドラム16は、画像形成装置10の内部フレームなどに回転可能に支持されている。感光体ドラム16は、外周面に感光層を有するものであり、本実施形態では、直径が24.0[mm]の円筒形状のものが用いられる。
【0017】
帯電装置17は、対応する感光体ドラム16の表面を所定の電位に帯電させる。露光装置28,29は、各感光体ドラム16の表面を露光して光を走査して、光が照射した領域の電位を低下させることにより、各感光体ドラム16の表面に静電潜像を形成する装置である。露光装置28が画像形成部11,12の感光体ドラム16の表面を露光し、露光装置29が画像形成部13,14の感光体ドラム16の表面を露光する。
【0018】
現像装置18は、露光装置28,29によって形成された感光体ドラム16上の静電潜像をトナーによって現像する。一次転写装置19は、回転する感光体ドラム16上のトナー像を中間転写ベルト21に転写する。ドラムクリーニング装置20は、感光体ドラム16上に残存したトナーを除去する。
【0019】
中間転写ベルト21は、感光体ドラム16から転写されたトナー像を保持する。中間転写ベルト21は、例えばゴムやウレタン等の素材からなる無端環状のベルトである。中間転写ベルト21は、駆動ローラー22A及び従動ローラー22Bによって回転駆動可能に支持されている。従動ローラー22Bは定着装置25に近い位置(図1において右側)に配置されており、駆動ローラー22Aは定着装置25から離れた位置(図1において左側)に配置されている。駆動ローラー22Aの表面は中間転写ベルト21との摩擦力を高めるために例えばゴムやウレタン等の素材で形成されている。駆動ローラー22A及び従動ローラー22Bによって支持されることにより、中間転写ベルト21は、その表面が各感光体ドラム16の表面に接しながら移動(走行)可能となる。中間転写ベルト21の左側にベルトクリーニング装置21Aが対向配置されている。ベルトクリーニング装置21Aは、クリーニングローラーなどのクリーニング部材を有しており、二次転写装置24によって印刷用紙にトナー像が転写された後に中間転写ベルト21の表面に残存したトナーを除去する。
【0020】
そして、中間転写ベルト21が感光体ドラム16と一次転写装置19との間を通過する際に、一次転写装置19から転写バイアスが印加されることによって、各感光体ドラム16からトナー像が順に重ね合わせるようにして中間転写ベルト21に転写される。なお、本実施形態では、一次転写装置19は、前記転写バイアスとして−2300[V]の電圧を感光体ドラム16の表面に印加する。
【0021】
感光体ドラム16や駆動ローラー22Aには、不図示のモーターからの回転駆動力が伝達され、この回転駆動力を受けて所定方向へ回転駆動される。本実施形態では、感光体ドラム16及び中間転写ベルト21は、線速が166[mm/s]となるように回転駆動される。
【0022】
濃度センサー15は、中間転写ベルト21に転写されたトナー像の濃度を検知するセンサーである。図1に示されるように、4つの濃度センサー15は、画像形成部11〜14それぞれに対応して設けられている。各濃度センサー15は、画像形成部11〜14それぞれよりもベルトよりも中間転写ベルト21の移動方向(矢印D1参照)の下流側に配置されており、概ね、ドラムクリーニング装置20と中間転写ベルト21との間のスペースに設けられている。濃度センサー15は、具体的には、中間転写ベルト21に転写されたトナーの付着量を測定するセンサーであり、発光素子及び受光素子を備える。前記発光素子から出射して、中間転写ベルト21上のトナー像を反射した光が前記受光素子に入力されると、前記受光素子から前記トナー像の濃度に応じた電圧信号が出力される。濃度センサー15は制御部30に電気的に接続されており、前記電圧信号は制御部30に入力される。制御部30では、CPU31が前記受光素子から入力した前記電圧信号を演算処理することにより、前記トナー像の濃度を算出する。なお、本実施形態では、濃度センサー15及び制御部30によって、本発明のトナー量検知部が具体的に実現されている。
【0023】
二次転写装置24は、中間転写ベルト21に転写された4色からなるトナー像を給紙トレイ26から搬送されてきた印刷用紙に転写させる。トナー像が転写された印刷用紙は、図示しない搬送ローラーによって定着装置25に搬送される。定着装置25は、高温に加熱された加熱ローラー25Aと、この加熱ローラー25Aに対向配置された加圧ローラー25Bとを有する。定着装置25に搬送された印刷用紙は、加熱ローラー25Aと加圧ローラー25Bとによって挟持されつつ搬送されることによって、トナー像が印刷用紙に溶着される。その後、印刷用紙は排紙トレイ27に排出される。
【0024】
このように、画像形成装置10は、複数の画像形成部11〜14によって各色のトナー像を走行中の中間転写ベルト21上に重ねて転写することにより、カラーのトナー像を中間転写ベルト21の表面に形成させる。そして、そのカラーのトナー像は、二次転写装置24によって中間転写ベルト21から印刷用紙へ転写される。これにより、印刷用紙上にカラー画像が形成される。
【0025】
一般に、上述した画像形成装置10のようなカラー画像を形成する装置は、設置環境の温度や湿度等の環境条件や経時変化によって画像出力特性が変化する。具体的には、中間転写ベルト21に転写される各色のトナー像の濃度がばらついたり、各トナー像の重ね合わせにずれが生じたりする。このような画像出力特性の変化が生じた場合は、常に安定した画像を形成出力するために、制御部30は、所定のタイミングで、従来周知のキャリブレーションを実行している。当該キャリブレーションは、印刷用紙に画像を形成する通常の画像形成動作モードとは異なるキャリブレーション動作モード時に、各色の特定階調のテストパターンを中間転写ベルト21上に形成し、その後に、濃度センサー15を用いて中間転写ベルト21上のテストパターンの濃度を測定し、その測定された濃度に基づいて各色の濃度のばらつきを補正したり、各色のずれを補正する処理である。つまり、濃度センサー15は、前記キャリブレーションに用いられるセンサーである。本実施形態では、後述する動作量補正処理においても、濃度センサー15が用いられる。
【0026】
図2は、画像形成部11〜14が備える現像装置18の構成を示す断面図である。現像装置18は、感光体ドラム16に対して非接触状態でトナーを静電潜像に静電的に付着させる現像方式によって前記静電潜像をトナーで現像する装置である。一般に、現像に用いられる現像剤としては、磁性トナー或いは非磁性トナーを主要成分とする1成分現像剤や、非磁性トナー及び磁性キャリアを主要成分とする2成分現像剤などがある。本実施形態では、2成分現像剤を用いて現像する現像装置18を例示する。
【0027】
図2に示されるように、現像装置18は、現像容器60、第1撹拌スクリュー61、第2撹拌スクリュー62、現像ローラー63などを備えている。
【0028】
現像容器60には、トナーを含む2成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう。)が収納されている。本実施形態では、現像剤として、直径が6.8[μm]のトナーと、直径が36[μm]のキャリアと、酸化チタンやシリカなどの外添剤とを含むものを用いる。現像容器60は、現像剤を収容するとともに、現像装置18の筐体としての役割も担う。現像容器60は、現像装置18の長手方向(図2において紙面に垂直な方向)に長い形状に形成されている。現像容器60は仕切壁60Aによって第1収容室60B及び第2収容室60C(本発明の収容室の一例)に区画されている。第1収容室60B及び第2収容室60Cそれぞれに、現像剤が収容されている。なお、第1収容室60B及び第2収容室60Cは、完全に仕切り分けられているのではなく、現像装置18の長手方向における両端部に両室を連通する連通路(不図示)が設けられている。
【0029】
第1収容室60Bには、軸周りに螺旋形状の羽部材66を有する第1撹拌スクリュー61が回転可能に設けられている。第2収容室60Cには、軸周りに螺旋形状の羽部材67を有する第2撹拌スクリュー62が回転可能に設けられている。第1撹拌スクリュー61及び第2撹拌スクリュー62は、いずれも、現像容器60の側壁に回転可能に支持されている。第1収容室60Bの底壁60Gには、現像剤におけるトナー濃度を測定するためのトナー残量検知センサー68が取り付けられている。トナー残量検知センサー68は、現像剤における磁性体の透磁率を利用する透磁率検知方式のセンサーや、トナー量の重量を検知する方式のセンサーなどである。
【0030】
第1撹拌スクリュー61及び第2撹拌スクリュー62それぞれの回転軸61A,62Aに第1モーター37(図3参照)からの回転駆動力が伝達される。第1モーター37は、回転駆動力を出力するステッピングモーターなどの駆動源である。第1モーター37は、ギヤなどの伝達機構41を介して、第1撹拌スクリュー61、第2撹拌スクリュー62に連結されている。これにより、第1撹拌スクリュー61及び第2撹拌スクリュー62が所定の方向に回転し、収容されている現像剤が撹拌される。第1撹拌スクリュー61及び第2撹拌スクリュー62によって現像剤が撹拌されることにより、トナーに電荷が付与される。本実施形態では、現像剤は、仕切壁60Aに形成された前記連通路を介して第1収容室60B及び第2収容室60C間を一方向に循環搬送される。
【0031】
現像容器60には、補給口60Dが形成されている。補給口60Dは、第1収容室60Bの上側にある平坦な壁面を構成する上壁60Fに形成されている。補給口60Dは、トナーコンテナ23から供給されるトナーを現像容器60に案内する貫通孔である。
【0032】
トナーコンテナ23は、画像形成装置10の内部フレーム(装置本体)に対して着脱可能に構成されている。トナーコンテナ23には、内部に収容されたトナーを排出する排出口が形成されている。また、トナーコンテナ23の内部には、補給スクリュー(不図示)が回転可能に設けられている。トナーコンテナ23が前記内部フレームに装着されると、前記排出口が補給口60Dに位置合わせされて、前記排出口から補給口60Dへトナーが供給可能となる。前記補給スクリューには、図示しないモーターが連結されており、前記モーターからの回転駆動力が入力される。前記モーターは、制御部30によって駆動制御される。前記補給スクリューが回転すると、トナーコンテナ23内のトナーが前記排出口へ向けて搬送されて、前記排出口から補給口60Dに供給される。
【0033】
図2に示されるように、現像容器60内に現像ローラー63が回転可能に設けられている。具体的には、現像ローラー63は、第2収容室60C内の第2撹拌スクリュー62よりも上方に設けられている。詳細には、現像ローラー63は、第2撹拌スクリュー62よりも感光体ドラム16側であって、第2撹拌スクリュー62に平行に設けられている。現像ローラー63は、第2撹拌スクリュー62との間に所定のギャップを隔てた状態で対向するように配置されている。
【0034】
現像ローラー63は、現像剤に含まれるトナーを外周面に保持しつつ回転駆動されるローラー部材である。現像ローラー63は、円筒状の現像スリーブ63Aを備えている。本実施形態では、直径が16.0[mm]の現像スリーブ63Aが用いられる。つまり、現像ローラー63の直径は16.0[mm]に定められている。現像スリーブ63Aが第2収容室60Cにおいて回転可能に支持されている。現像スリーブ63Aは、アルミニウム製の素管で構成されている。
【0035】
現像ローラー63は、感光体ドラム16に対向している。現像ローラー63は、感光体ドラム16の外周面に所定のギャップを隔てた状態で対向するように配置されている。本実施形態では、現像ローラー63と感光体ドラム16とのギャップは、0.36[mm]に設定されている。
【0036】
現像装置18では、現像時に、感光体ドラム16と現像スリーブ63Aとの間に、所定電位の現像バイアスが印加される。本実施形態では、直流電圧に交流電圧が重畳された電圧が現像バイアスとして印加される。
【0037】
現像ローラー63は、第2モーター38(図3参照)から回転駆動力を受けて、図2において矢印D2に示される反時計回転方向へ回転される。現像ローラー63は、第2撹拌スクリュー62と同じ回転方向へ回転される。第2モーター38は、回転駆動力を出力するステッピングモーターなどの駆動源である。第2モーター38は、ギヤなどの伝達機構42を介して、現像ローラー63に連結されている。これにより、第2モーター38は、現像ローラー63に回転駆動力を伝達して現像ローラー63を回転駆動させる。なお、本実施形態では、撹拌スクリュー61,62と、現像ローラー63とが別々のモーターによって回転駆動される例について説明するが、一つのモーターによって連動して回転駆動される構成であってもよい。
【0038】
現像ローラー63は、複数の磁極を有する磁石ユニット63Bを備えている。磁石ユニット63Bは、現像スリーブ63Aの内部に設けられている。磁石ユニット63Bは、現像スリーブ63A内で固定されている。本実施形態では、磁石ユニット63Bは、主極75、搬送極76、剥離極77、汲上極78、及び規制極79の5極の磁極を有する。各磁極75〜79は、例えば、磁力を発生する永久磁石で構成されている。
【0039】
主極75は、感光体ドラム16と対面する位置にピーク磁力を生じさせる磁極である。主極75は、その磁極面が感光体ドラム16側に向けられた状態で磁石ユニット63Bに取り付けられている。
【0040】
搬送極76は、主極75とは異極性の磁極であり、現像スリーブ63Aの周方向の磁界を生じさせて、現像スリーブ63A上の現像剤を保持して周方向へ運ぶ。
【0041】
剥離極77は、現像スリーブ63Aにおいて感光体ドラム16とは反対側に実質的に磁束密度が零の剥離領域69を形成する磁極である。この剥離領域69に現像剤が運ばれると、現像剤を磁力吸着する力が失われて、現像剤が剥離領域69から剥離される。剥離された現像剤は、その下方に位置する第2撹拌スクリュー62に落下し、第2収容室60Cに戻されて、第2撹拌スクリュー62によって再び撹拌されつつ搬送される。そして、第1撹拌スクリュー61及び第2撹拌スクリュー62によって撹拌、搬送された後、再び適正なトナー濃度で均一に帯電された現像剤として汲上極78により再び現像スリーブ63A上に汲み上げられる。
【0042】
汲上極78は、第2撹拌スクリュー62との対向位置にピーク磁力を生じさせる磁極である。具体的には、汲上極78は、第2撹拌スクリュー62の回転軸62Aと現像ローラー63の回転軸とを結ぶ線分の方向に前記ピーク磁力を生じさせる。汲上極78によって現像剤が現像スリーブ63Aの表面上に磁力によって引き寄せられて、磁力によって吸着される。これにより、現像剤が現像スリーブ63Aの表面に担持される。そして、この状態で現像スリーブ63Aが回転されることによって、現像剤が感光体ドラム16との対向位置に運ばれる。
【0043】
現像容器60には規制ブレード65が設けられている。規制ブレード65は、磁性体で構成されており、例えば磁性を有する金属製の板状部材である。規制ブレード65は、現像容器60の長手方向(図2の紙面に垂直な方向)に延出している。規制ブレード65は、現像ローラー63の回転方向(矢印D2参照)において、現像ローラー63と第2撹拌スクリュー62との対向位置よりも現像ローラー63の回転方向の下流側に配置されている。規制ブレード65の先端部65Aと現像ローラー63のローラー面との間には僅かなギャップが形成されている。現像ローラー63に付着した現像剤は、規制ブレード65によって前記ギャップに応じた厚みに規制される。
【0044】
規制極79は、規制ブレード65に対向する現像スリーブ63A上の位置にピーク磁力を生じさせつつ、現像スリーブ63A上の現像剤を保持して、規制ブレード65と現像スリーブ63Aとのギャップを通過させつつ周方向へ運ぶ磁極である。
【0045】
次に、図3を参照して、制御部30について説明する。制御部30は、画像形成装置10を統括的に制御する。図3に示されるように、制御部30は、CPU31、ROM32、RAM33、EEPROM34(登録商標)、モータードライバー35等を有している。ROM32は不揮発性の記憶装置、RAM33は揮発性の記憶装置、EEPROM34は不揮発性の記憶装置である。RAM33、EEPROM34は、CPU31が実行する各種の処理の一時記憶メモリーとして使用される。モータードライバー35は、CPU31からの制御信号に基づいて第1モーター37及び第2モーター38を駆動制御する。ROM32には、所定の制御プログラムが記憶されている。なお、制御部30は、集積回路(ASIC、DSP)等の電子回路により構成されてもよい。また、制御部30は、画像形成装置10を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部であってもよい。
【0046】
制御部30は、ROM32に記憶された所定の制御プログラムをCPU31で実行することによって、画像形成装置10を統括的に制御する。具体的に、ROM32には、画像形成を実現するためのプログラム(画像形成処理プログラム)が記憶されている。さらに、ROM32には、後述の補正動作モードにおいて、画像形成動作時の現像動作に係わる所定の動作量を補正する動作量補正処理を実行するための補正制御プログラムが記憶されている。
【0047】
このように構成された画像形成装置10においては、現像装置18のトナーの帯電量が一定レベル未満となって不適正になると、感光体ドラム16上の静電潜像に十分な量のトナーが移動しなくなり、画像濃度低下を生じるおそれがある。また、感光体ドラム16上の静電潜像以外の領域にも低帯電のトナーが飛散して、所謂トナーかぶりが生じるおそれがある。かかる問題は、経時劣化によってトナーが帯電し難くなった場合や、現像装置18内にトナーコンテナ23から新たなトナーが補給された場合に生じ易い。そこで、本実施形態の画像形成装置10では、制御部30は、補正動作モードにおいて、前記補正制御プログラムにしたがって前記動作量補正処理をCPU31に実行させる。これにより、画像形成動作時に画像濃度低下やトナーかぶりなどの問題が生じることを防止することができ、また、このような問題が生じる前に現像動作に係る動作量を高精度に補正することを可能にしている。
【0048】
以下、図4のフローチャートを参照して、画像形成装置10で実行される前記動作量補正処理の手順の一例を説明するとともに、画像形成装置10に適用される現像動作に係る動作量の補正方法(以下、動作量補正方法という。)について説明する。なお、以下においては、画像形成部11〜14のうち任意の一つに対して前記動作量補正処理が行われるものとして説明するが、画像形成部11〜14の全てに対して同じタイミングで前記動作量補正処理が行われても良い。ここで、図4におけるS11、S12、…は処理手順(ステップ)の番号を表している。
【0049】
画像形成装置10に電源が投入されると、制御部30は、画像形成装置10の動作モードを補正動作モードに移行させる。ここで、補正動作モードとは、画像形成装置10における画像形成動作時に現像装置18が行う現像動作に係わる所定の動作量を補正するための制御モードのことである。現像動作に係わる所定の動作量は、例えば、トナーコンテナ23から現像装置18に新たなトナーを補給するトナー補給動作における前記補給スクリューの回転速度や、前記トナー補給動作に要する動作時間、第1撹拌スクリュー61及び第2撹拌スクリュー62の回転速度や、各撹拌スクリュー61,62が回転されたことによってトナーを帯電させるのに要するトナー帯電動作時間などである。
【0050】
ステップS11において、画像形成装置10の動作モードが前記補正動作モードである判定されると、制御部30は、次のステップS12に進む。なお、前記補正動作モードへの移行は、前記電源が投入された場合に限られない。例えば、制御部30は、何れかの現像装置18にトナーが補給されこと、画像形成装置10が所謂省電力モードから画像形成動作の可能な通常動作モードに復帰したこと、前回実行された前記動作量補正処理から所定時間が経過したこと、の何れかの条件を満たした場合に、前記補正動作モードに移行させて、前記動作量補正処理を実行してもよい。
【0051】
ステップS12では、制御部30は、感光体ドラム16及び中間転写ベルト21の動作を停止させる。例えば、電源投入直後に画像形成装置10の画像形成準備を行うための初期準備動作が行われたことにより感光体ドラム16や中間転写ベルト21が駆動している場合は、初期準備動作が完了した後に、モーターの駆動を停止させて、感光体ドラム16及び中間転写ベルト21の動作を停止させる。なお、もとより感光体ドラム16及び中間転写ベルト21が停止している場合は、その状態を維持する。
【0052】
次に、ステップS13において、制御部30は、現像装置18を駆動させる。具体的には、現像ローラー63を画像形成時に回転駆動される方向と同方向へ回転駆動させ、また、各撹拌スクリュー61,62を回転駆動させる。また、感光体ドラム16と現像ローラー63の現像スリーブ63Aとの間に、現像時に印加される現像バイアスとは異なる電位が印加される。具体的には、前記現像バイアスに含まれていた交流成分の交流電圧のみ印加される。なお、感光体ドラム16は、前記補正動作モードにおいて、帯電装置17によって所定の電位に帯電されている。
【0053】
本実施形態では、制御部30は、ステップS13において、前記補正動作モード時の現像ローラー63の回転速度が、画像形成時の現像ローラー63の回転数(以下、通常回転数という。)よりも2倍の速さの回転数(以下、補正回転数という。)となるように、現像ローラー63を回転駆動させる。具体的には、モータードライバー35から第2モーター38に前記通常回転数の2倍となる駆動信号を出力して、現像ローラー63の回転速度を一時的に前記補正回転数まで増速させる。前記補正回転数で現像ローラー63が回転駆動されることによって、低帯電のトナーが感光体ドラム16へ向けて飛散しやすい環境を作っている。これにより、通常の画像形成動作時では感光体ドラム16に飛散しないようなトナーであっても、前記補正回転数で現像ローラー63が回転駆動されることにより感光体ドラム16に低帯電のトナーを飛散させることができる。つまり、画像形成動作時の回転速度よりも速い回転速度で現像ローラー63を回転させることにより、現像ローラー63から感光体ドラム16へのトナーの飛散量を増加させることができる。
【0054】
なお、前記通常回転数は、現像ローラー63の線速(周速度)であり、本実施形態では299[mm/s]に定められている。また、前記補正回転数は、現像ローラー63の線速(周速度)であり、本実施形態では448[mm/s]に定められている。
【0055】
前記補正動作モードにおいては、現像装置18は、予め定められた設定時間だけ駆動される。具体的には、現像装置18は、例えば10[sec]駆動される。本実施形態では、前記補正回転数で現像ローラー63が前記設定時間だけ回転駆動されることによって、停止中の感光体ドラム16の表面へ向けてトナーを飛ばして移動させて付着させている。言い換えると、前記補正回転数で現像ローラー63を前記設定時間だけ回転駆動させることによって、意図的に、低帯電のトナーを感光体ドラム16の表面へ飛散させている。このとき、感光体ドラム16は停止しているので、感光体ドラム16上には、感光体ドラム16の周方向にある程度の幅を有し、感光体ドラム16の長手方向に延びる帯状のトナー像が形成される。
【0056】
ステップS14では、制御部30は前記設定時間が経過したかどうかを判定する。ステップS14において、前記設定時間が経過したと判定されると、制御部30は、次のステップS15において、現像装置18の駆動を停止する。これにより、現像ローラー63および各撹拌スクリュー61,62が停止され、また、前記現像バイアスも印加されなくなる。
【0057】
続いて、制御部30は、ステップS16において、感光体ドラム16及び中間転写ベルト21を駆動させる。また、次のステップS17において、一次転写装置19を駆動させる。ここで、感光体ドラム16及び中間転写ベルト21は、画像形成時に駆動されるときの線速と同じ速度(166[mm/s])で駆動される。また、一次転写装置19では、画像形成時に印加される転写バイアスと同じ電位(−2300[V])が感光体ドラム16の表面との間に印加される。
【0058】
次のステップS18では、制御部30は、前記設定時間だけ現像装置18を駆動させたことにより現像ローラー63から感光体ドラム16の表面に移動して付着した飛散トナーのトナー量を測定する処理を行う。具体的には、制御部30は、前記設定時間の経過後に、感光体ドラム16の表面に付着し、その後に一次転写装置19によって中間転写ベルト21に転写された飛散トナーのトナー量を、濃度センサー15からの電圧信号に基づいて測定する。つまり、本実施形態では、感光体ドラム16の外周面に付着した飛散トナーのトナー量を感光体ドラム16の外周面から直接得るのではなく、制御部30は、一次転写装置19によって中間転写ベルト21に一端転写された飛散トナーのトナー量を、濃度センサー15から出力された電圧信号に基づいて測定する。
【0059】
上述したように、濃度センサー15は、発光素子及び受光素子を備えたものであり、前記発光素子から出射して、中間転写ベルト21上で反射した光が前記受光素子に入力されると、その光量に応じた電圧信号が出力される。制御部30は、中間転写ベルト21の移動時に前記受光素子から出力された前記電圧信号に基づいて、中間転写ベルト21上のトナーの濃度を測定する。本実施形態では、中間転写ベルト21の移動方向(矢印D1参照)に沿って中間転写ベルト21上のトナーの濃度が測定される。その結果、図5の折れ線L1に示される濃度分布が得られる。詳細には、上述したように、前記補正回転数が448[mm/s]であり、感光体ドラム16及び中間転写ベルト21の線速が166[mm/s]であり、一次転写装置19の転写バイアスが−2300[V]であるため、この条件の下では、図5の折れ線L1に示される濃度分布が得られる。図5の折れ線L1に示されるように、濃度が検知されはじめた中間転写ベルト21上の位置P11から濃度の検知が終了した位置P20までの距離T1は、現像装置18を前記設定時間だけ駆動したときに感光体ドラム16の表面に付着した飛散トナーの幅T1(中間転写ベルト21の移動方向における長さ)を示す。本実施形態では、制御部30は、この幅T1を前記濃度分布から算出(測定)して、その算出値を飛散トナーのトナー量を示すものとして用いている。
【0060】
次のステップS19では、制御部30は、飛散トナーのトナー量を示す前記幅T1が、予め定められた基準値(閾値)よりも大きいか否かを判定する。ここで、前記基準値は、画像形成動作時に画像濃度低下やトナーかぶりなどが生じるか否かを判定するための基準値である。この基準値は、画像形成装置10に求められる画質レベルに応じて定めることができる。例えば、適正値に帯電されたトナーを含む現像剤を現像装置18に収容させておき、前記幅T1を測定したときと同じ条件で中間転写ベルト21上のトナー濃度を測定してその濃度分布を取得し、その濃度分布の幅を前記基準値とすることができる。このように得られた前記基準値は、制御部30のRAM33又はEEPROM34に記憶されている。
【0061】
前記幅T1が前記基準値よりも大きいと判定された場合は、現像装置18内に低帯電のトナーが比較的多く含まれていて、画像形成動作時にすぐには感光体ドラム16にトナーの飛散が生じることはないが、トナーの飛散が生じる可能性が高い状態であると判定できる。この場合、制御部30は、ステップS19以降の処理を行う。一方、前記幅T1が前記基準値以下と判定された場合は、現像装置18内に低帯電のトナーが少なく、画像形成装置10は、トナーの飛散が生じ難い状態であると判定できる。この場合、制御部30は、ステップS22において補正動作モードを通常動作モードに移行させた後に、一連の処理を終了する。
【0062】
ステップS20では、制御部30は、現像装置18内のトナーの帯電を良好にするために、前記通常動作モード時における各撹拌スクリュー61,62の回転速度の設定値を大きくする。つまり、前記通常動作モード時に各撹拌スクリュー61,62によって現像剤が撹拌される撹拌速度の設定値を大きくする。これにより、現像装置18が駆動されたときに、前記設定値の変更前に比べてより現像剤が撹拌されるため、トナーの帯電性が向上する。なお、常動作モード時に各撹拌スクリュー61,62によって現像剤が撹拌される現像剤の撹拌時間の設定値を大きくしてもよい。ここで、撹拌スクリュー61,62の回転速度の設定値、及び前記撹拌時間の設定値は、本発明の現像動作に係わる所定の動作量の一例である。
【0063】
また、次のステップS21では、制御部30は、トナーコンテナ23からトナーが補給されるときの補給量の設定値を小さくする。具体的には、トナーコンテナ23の前記補給スクリューの回転速度の設定値を小さくしたり、或いは、前記補給スクリューの駆動時間を短くして、トナーの補給量を少なくする。これにより、現像装置18に補給される新たなトナーの補給量が少なくなるので、補給後に現像装置18内のトナーの帯電性が急激に低下することを抑制できる。なお、トナー補給時の補給量の設定値は、本発明の現像動作に係わる所定の動作量の一例である。
【0064】
その後、制御部30は、ステップS22において補正動作モードを通常動作モードに移行させた後に、一連の処理を終了する。
【0065】
このように構成された画像形成装置10では、補正動作モードにおいて、制御部30が上述した動作量補正処理を実行するため、画像形成動作時に画像濃度低下やトナーかぶりなどが生じなくなり、画質低下を防止することができる。また、画像濃度低下やトナーかぶりが生じる前に、現像動作に係る動作量を高精度に補正することが可能となる。補正後の動作量にて現像動作が行われることにより、画像濃度低下やトナーかぶりの原因である低帯電のトナーの帯電性が改善されて、現像装置18に収容されたトナーの帯電が常に良好な状態に維持することができる。その結果として、画像形成時において飛散トナーが感光体ドラム16に生じなくなり、前記画像濃度低下やトナーかぶりが防止される。
【0066】
[変形例1]
なお、上述の実施形態では、前記補正動作モードにおいて現像ローラー63の回転速度を増速する例について説明したが、本発明はこの構成に限られない。例えば、上述の実施形態の変形例として、現像ローラー63の回転速度を増速する代わりに、前記補正動作モードにおいて、一次転写装置19による転写バイアスを前記画像形成動作時の電圧値(−2300[V])よりも大きくしてもよい。具体的には、前記補正動作モードにおける前記転写バイアスを−3000[V]にする。これにより、感光体ドラム16に飛散して付着した飛散トナーが中間転写ベルト21に転写するときの転写量は、前記転写バイアスが前記画像形成動作時の電圧値である場合に比べて、増加する。つまり、前記補正動作モードにおける転写バイアスを、画像形成動作時の転写バイアスよりも大きくすることにより、感光体ドラム16から中間転写ベルト21への転写量を増加させることができる。この場合、現像ローラー63の回転速度が229[mm/s]であり、感光体ドラム16及び中間転写ベルト21の線速が166[mm/s]であり、一次転写装置19の転写バイアスが−3000[V]であるため、この条件下では、図5の折れ線L2に示される濃度分布が得られる。図5の折れ線L2に示されるように、濃度が検知されはじめた中間転写ベルト21上の位置P12から濃度の検知が終了した位置P20までの距離T2は、現像装置18を前記設定時間だけ駆動させたときに感光体ドラム16の表面に付着した飛散トナーが更に前記転写バイアスによって中間転写ベルト21に転写したときの飛散トナーの幅T2(中間転写ベルト21の移動方向における長さ)を示す。この幅T2は、前記幅T1よりも小さいが、後述の幅T3よりは大きい。このとき、上述したように通常の画像形成動作時よりも大きい転写バイアスが印加されるため、感光体ドラム16の外周面に付着した飛散トナーは、感光体ドラム16にほとんど残留することなく中間転写ベルト21に転写される。つまり、このように前記補正動作モードにおいて前記転写バイアスを大きくすることにより、感光体ドラム16に付着した低帯電の飛散トナーが中間転写ベルト21に転写される転写量を、画像形成動作時の転写量よりも増加させることができる。なお、制御部30は、この幅T2を前記濃度分布から算出(測定)して、その算出値を飛散トナーのトナー量として用いている。
【0067】
[変形例2]
また、他の変形例として、前記補正動作モードにおいて、現像ローラー63の回転速度を増速させず、また、前記転写バイアスを大きくせずに、画像形成動作時の条件と同じ条件の下で、現像ローラー63を前記設定時間駆動させて中間転写ベルト21に転写された飛散トナーの幅T3(図5参照)を求めても良い。この場合、現像ローラー63の回転速度が229[mm/s]であり、感光体ドラム16及び中間転写ベルト21の線速が166[mm/s]であり、一次転写装置19の転写バイアスが−2300[V]であり、この条件下では、図5の折れ線L3に示されるような濃度分布が得られる。図5の折れ線L3に示されるように、濃度が検知されはじめた中間転写ベルト21上の位置P13から濃度の検知が終了した位置P20までの距離T3は、現像装置18を前記設定時間だけ駆動したときに感光体ドラム16の表面に付着した飛散トナーの幅T3(中間転写ベルト21の移動方向における長さ)を示す。なお、制御部30は、この幅T3を前記濃度分布から算出(測定)して、その算出値を飛散トナーのトナー量として用いている。
【0068】
[他の変形例]
上述の実施形態では、前記補正動作モード時に中間転写ベルト21に転写された飛散トナーの濃度を前記キャリブレーションに用いられる濃度センサー15を用いて検知する例について説明したが、本発明はこの構成に限られない。例えば、濃度センサー15とは別の濃度センサーを用いて、感光体ドラム16又は中間転写ベルトに付着した飛散トナーの幅を求めるものであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
10:画像形成装置
15:濃度センサー
16:感光体ドラム
17:帯電装置
18:現像装置
19:一次転写装置
30:制御部
61:第1撹拌スクリュー
62:第2撹拌スクリュー
63:現像ローラー
図1
図2
図3
図4
図5