(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1切り欠きおよび前記第2切り欠きは、前記軸方向において互いに形成領域が重ならないように設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の攪拌搬送部材。
前記第1螺旋羽根および前記第2螺旋羽根は、前記回転軸を1周する間において180°隔てた2箇所で交差することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の攪拌搬送部材。
前記第1切り欠きは、前記第1螺旋羽根が前記回転軸を1周する間において1つだけ形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の攪拌搬送部材。
前記第2切り欠きは、前記第2螺旋羽根が前記回転軸を1周する間において1つだけ形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の攪拌搬送部材。
前記現像容器は、互いに並列配置される第1搬送室および第2搬送室と、前記第1搬送室および前記第2搬送室の長手方向の両端部側で前記第1搬送室および前記第2搬送室を連通させる連通部と、前記第1搬送室にトナーを補給するトナー補給口と、を有し、
前記現像剤担持体は、前記第2搬送室内の現像剤を表面に担持するように配置されており、
前記現像容器には、前記第1搬送室内の現像剤を回転軸方向に攪拌、搬送する第1攪拌搬送部材と、前記第2搬送室内の現像剤を前記第1攪拌搬送部材と逆方向に攪拌、搬送する第2攪拌搬送部材と、が設けられており、
前記第1攪拌搬送部材として前記攪拌搬送部材を用いることを特徴とする請求項11に記載の現像装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の現像装置2a〜2dが搭載された画像形成装置1の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラープリンターについて示している。画像形成装置1内には各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム11a、11b、11c及び11dがそれぞれ配設されており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。さらに、
図1において時計回り方向に回転する中間転写ベルト17が感光体ドラム11a〜11dを含む各画像形成部に隣接して設けられている。
【0015】
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電器13a〜13dによって感光体ドラム11a〜11dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置12によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム11a〜11d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置2a〜2dには、トナーコンテナ(図示せず)によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう)が所定量充填されており、現像装置2a〜2dによって感光体ドラム11a〜11d上に現像剤中のトナーが供給され、静電的に付着する。これにより、露光装置12からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0016】
そして、一次転写ローラー26a〜26dにより一次転写ローラー26a〜26dと感光体ドラム11a〜11dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム11a〜11d上のシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのトナー像が中間転写ベルト17上に一次転写される。一次転写後に感光体ドラム11a〜11dの表面に残留したトナー等はクリーニング装置14a〜14dにより除去される。
【0017】
トナー像が転写される転写紙Sは、画像形成装置1内の下部に配置された用紙カセット32内に収容されており、給紙ローラー33aおよびレジストローラー対33bを介して転写紙Sが所定のタイミングで中間転写ベルト17に隣接して設けられた二次転写ローラー34と中間転写ベルト17のニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送される。トナー像が二次転写された転写紙Sは定着部18へと搬送される。二次転写後に中間転写ベルト17の表面に残留したトナー等はベルトクリーニング装置31により除去される。
【0018】
定着部18に搬送された転写紙Sは、加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Sの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Sは、そのまま(或いは分岐部39によって反転搬送路40に振り分けられ、両面に画像が形成された後)排出ローラー対19によって排出トレイ37に排出される。
【0019】
図2は、本発明の現像装置2aの構成を示す側面断面図である。なお、以下の説明では、
図1に示す感光体ドラム11aに対応する現像装置2aの構成及び動作について説明するが、現像装置2b〜2dの構成及び動作については現像装置2aと同様であり、説明を省略する。
【0020】
図2に示すように、現像装置2aは、現像ローラー20と、磁気ローラー(現像剤担持体)21と、規制ブレード24と、攪拌搬送部材42、及び現像容器(粉体容器)22等により構成されている。
【0021】
現像容器22は、現像装置2aの外郭を構成し、その下部で仕切り部22bによって第1搬送室22cと第2搬送室22dに仕切っている。第1搬送室22c及び第2搬送室22dには、キャリアとトナーからなる現像剤が収容される。また、現像容器22は、攪拌搬送部材42と磁気ローラー21及び現像ローラー20を回転可能に保持している。更に、現像容器22には、現像ローラー20を感光体ドラム11aに向けて露出させる開口22aが形成されている。
【0022】
現像ローラー20は、感光体ドラム11aに対向し、一定の間隔を設けて感光体ドラム11aの右方に配設される。また、現像ローラー20は、感光体ドラム11aに接近した対向位置において、感光体ドラム11aにトナーを供給する現像領域Dを形成している。磁気ローラー21は、一定の間隔を設けて現像ローラー20に対向し、現像ローラー20の右斜め下方に配設される。また、磁気ローラー21は、現像ローラー20に接近した対向位置において、現像ローラー20にトナーを供給する。攪拌搬送部材42は磁気ローラー21の略下方に配設される。また、規制ブレード24は磁気ローラー21の左斜め下方にて現像容器22に固定保持されている。
【0023】
攪拌搬送部材42は、第1スパイラル(第1攪拌搬送部材)43と第2スパイラル(第2攪拌搬送部材)44の2本で構成される。第2スパイラル44が磁気ローラー21の下方で、第2搬送室22d内に設けられ、第1スパイラル43が第2スパイラル44の右方に隣接して、第1搬送室22c内に設けられる。
【0024】
第1及び第2スパイラル43、44は現像剤を攪拌して現像剤中のトナーを所定のレベルに帯電させる。これによりトナーはキャリアに保持される。また、第1搬送室22cと第2搬送室22dを仕切る仕切り部22bの長手方向(
図2の紙面表裏方向)の両端部分には、連通部(図略)が設けられており、第1スパイラル43が回転すると、帯電した現像剤が仕切り部22bに設けた一方の連通部から第2スパイラル44に搬送され、現像剤が第1搬送室22c内と第2搬送室22d内とを循環する。そして、第2スパイラル44から磁気ローラー21に現像剤が供給される。
【0025】
磁気ローラー21は、ローラー軸21aと磁極部材M及び非磁性材からなる非磁性スリーブ21bを備え、攪拌搬送部材42により供給された現像剤を担持し、担持した現像剤からトナーのみを現像ローラー20に供給するものである。磁極部材Mは、断面扇形に形成された外周部の極性の異なる複数の磁石が交互に配設され、ローラー軸21aに接着等により固着される。ローラー軸21aは、非磁性スリーブ21b内で、磁極部材Mと非磁性スリーブ21bの間に所定の間隔を設けて、現像容器22に回転不能に支持される。非磁性スリーブ21bは、図示しないモーターと歯車からなる駆動機構により、現像ローラー20と同方向(
図2の時計回り方向)に回転し、また直流電圧56aに交流電圧56bを重畳したバイアス56を印加される。非磁性スリーブ21b表面において、帯電した現像剤は磁極部材Mの磁力によって磁気ブラシを形成して担持され、磁気ブラシは規制ブレード24によって所定の高さに調節される。
【0026】
非磁性スリーブ21bが回転すると、磁気ブラシは、磁極部材Mによって非磁性スリーブ21b表面に担持されて搬送され、現像ローラー20に接触すると、磁気ブラシのトナーのみが、非磁性スリーブ21bに印加されたバイアス56に応じて、現像ローラー20に供給される。
【0027】
現像ローラー20は、固定軸20aと、磁極部材20bと、非磁性の金属材料で円筒状に形成される現像スリーブ20c等を備えて構成されている。
【0028】
固定軸20aは現像容器22に回転不能に支持される。この固定軸20aには、現像スリーブ20cが回転可能に保持され、更に、磁石よりなる磁極部材20bが磁気ローラー21と対向する位置に現像スリーブ20cと所定の間隔を設けて、接着等により固着される。現像スリーブ20cは、図示しないモーターと歯車からなる駆動機構により、
図2の矢印方向(時計回り方向)に回転させられる。また、現像スリーブ20cには、直流電圧55aに交流電圧55bを重畳した現像バイアス55が印加される。
【0029】
現像バイアス55を印加された現像スリーブ20cが
図2の時計回り方向に回転すると、現像領域Dにおいて、現像バイアス電位と感光体ドラム11の露光部位の電位との電位差により、現像スリーブ20c表面に担持されたトナーが感光体ドラム11aに飛翔する。飛翔したトナーは矢印A方向(反時計回り方向)に回転する感光体ドラム11a上の露光部位に順次付着し、感光体ドラム11a上の静電潜像が現像される。
【0030】
次に、
図3を用いて現像装置2aの攪拌部について詳しく説明する。
図3は現像装置2aの攪拌部を示す平面断面図(
図2のXX′矢視断面図)である。
【0031】
現像容器22には、前述のように、第1搬送室22cと、第2搬送室22dと、仕切り部22bと、が形成され、その他に、上流側連通部(連通部)22e、及び下流側連通部(連通部)22fと、現像剤補給口(トナー補給口)22gと、現像剤排出口22hと、上流側壁部22i、及び下流側壁部22jが形成されている。なお、第1搬送室22cにおいて、
図3の左側を上流側、
図3の右側を下流側とし、また、第2搬送室22dにおいて、
図3の右側を上流側、
図3の左側を下流側とする。従って、連通部及び壁部は、第2搬送室22dを基準として、上流側及び下流側と呼称している。
【0032】
仕切り部22bは、現像容器22の長手方向に延びて第1搬送室22cと第2搬送室22dを並列させるように仕切っている。仕切り部22bの長手方向の右側端部は、上流側壁部22iの内壁部とともに上流側連通部22eを形成し、一方、仕切り部22bの長手方向の左側端部は、下流側壁部22jの内壁部とともに下流側連通部22fを形成している。現像剤は、第1搬送室22c、上流側連通部22e、第2搬送室22d、及び下流側連通部22fを順次通過して現像容器22内を循環する。
【0033】
現像剤補給口22gは、現像容器22の上部に設けられた現像剤補給容器(図略)から新たなトナー及びキャリアを現像容器22内に補給するための開口であり、第1搬送室22cの上流側(
図3の左側)に配置される。
【0034】
現像剤排出口22hは、現像剤の補給によって、第1及び第2搬送室22c、22d内で余剰となった現像剤を排出するための開口であり、第2搬送室22dの下流側で第2搬送室22dの長手方向に連続して設けられる。
【0035】
第1スパイラル43は、回転軸43bと、回転軸43bの軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成される第1螺旋羽根43aと、回転軸43bの軸方向に第1螺旋羽根43aと同じピッチで第1螺旋羽根43aとは逆巻き(逆位相)の第2螺旋羽根43cとを有する。また、第1螺旋羽根43a及び第2螺旋羽根43cは、第1搬送室22cの長手方向の両端部側まで延び、上流側及び下流側連通部22e、22fにも対向して設けられている。回転軸43bは現像容器22の上流側壁部22iと下流側壁部22jに回転可能に軸支されている。なお、第1螺旋羽根43a、第2螺旋羽根43cは合成樹脂によって回転軸43bと一体に成型される。
【0036】
第2スパイラル44は、回転軸44bと、回転軸44bの軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成される第1螺旋羽根44aと、回転軸44bの軸方向に第1螺旋羽根44aと同じピッチで第1螺旋羽根44aとは逆巻き(逆位相)の第2螺旋羽根44cとを有する。第1螺旋羽根44aは、第1スパイラル43の第1螺旋羽根43aと同じピッチで第1螺旋羽根43aとは逆巻き(逆位相)である。また、第1螺旋羽根44a、第2螺旋羽根44cは、磁気ローラー21の軸方向長さ以上の長さを有し、更に、上流側連通部22eに対向する位置まで延びて設けられている。回転軸44bは、回転軸43bと平行に配置され、現像容器22の上流側壁部22iと下流側壁部22jに回転可能に軸支されている。また、回転軸44bには、第1螺旋羽根44a、第2螺旋羽根44cとともに、規制部52及び排出羽根53が一体に配設されている。第1螺旋羽根43a、44a及び第2螺旋羽根43c、44cの詳細な構成については後述する。
【0037】
規制部52は、第2搬送室22d内で下流側に搬送された現像剤を塞き止め、且つ、所定量以上になった現像剤を現像剤排出口22hに搬送することを可能にするものである。規制部52は、回転軸44bに設けられる第1螺旋羽根44aと逆巻き(逆位相)の螺旋羽根からなり、且つ、第1螺旋羽根44aの外径と略同じで螺旋羽根44aのピッチより小さく設定されている。また、規制部52は、下流側壁部22j等の現像容器22の内壁部と規制部52の外周部において所定量の隙間を形成している。この隙間から余剰の現像剤が排出されることになる。
【0038】
回転軸44bは現像剤排出口22h内まで延びている。現像剤排出口22h内の回転軸44bには排出羽根53が設けられている。排出羽根53は、第1螺旋羽根44aと同じ方向を向く螺旋状の羽根からなるが、第1螺旋羽根44aよりピッチが小さく、また羽根の外周が小さくなっている。従って、回転軸44bが回転すると、排出羽根53も回転し、規制部52を乗り越えて現像剤排出口22h内に搬送された余剰現像剤は、
図3の左側に送られて、現像容器22外に排出されるようになっている。なお、排出羽根53、規制部52、及び第1螺旋羽根44a、第2螺旋羽根44cは合成樹脂によって回転軸44bと一体に成型される。
【0039】
現像容器22の外壁には、歯車61〜64が配設されている。歯車61、62は回転軸43bに固着され、歯車64は回転軸44bに固着され、歯車63は、現像容器22に回転可能に保持されて、歯車62、64に噛合している。
【0040】
上記構成の第1スパイラル43によれば、回転軸43bの外周面に第1螺旋羽根43aが設けられており、第1螺旋羽根43aは、回転軸43bの回転によって第1の方向(
図3の矢印P方向)に現像剤を攪拌しながら搬送する。また、回転軸43bの外周面には、第1螺旋羽根43aのピッチ間(羽根と羽根との間)に第1螺旋羽根43aと逆位相であり、且つ第1螺旋羽根43aよりも小径の第2螺旋羽根43cが設けられている。第2螺旋羽根43cは、回転軸43bの回転によって第1の方向とは逆方向の第2の方向(矢印Q方向)への搬送作用を現像剤に生じさせる。
【0041】
また、上記構成の第2スパイラル44によれば、回転軸44bの外周面に第1螺旋羽根44aが設けられており、第1螺旋羽根44aは、回転軸44bの回転によって第1の方向(
図3の矢印Q方向)に現像剤を攪拌しながら搬送する。また、回転軸44bの外周面には、第1螺旋羽根44aのピッチ間(羽根と羽根との間)に第1螺旋羽根44aと逆位相であり、且つ第1螺旋羽根44aよりも小径の第2螺旋羽根44cが設けられている。第2螺旋羽根44cは、回転軸44bの回転によって第1の方向とは逆方向の第2の方向(矢印P方向)への搬送作用を現像剤に生じさせる。
【0042】
第2螺旋羽根43c、44cは、径方向において第1螺旋羽根43a、44aの外端部よりも内方に位置していることにより、第2螺旋羽根43c、44cの回転によって生じる第2の方向への搬送作用は回転軸43b、44b近傍に存在する現像剤の一部に対して生じる。そのため、第1螺旋羽根43a、44aによる第1の方向への搬送作用をほとんど阻害しない。
【0043】
このように、第2螺旋羽根43c、44cを用いて、第1螺旋羽根43a、44aによる現像剤の搬送方向(第1の方向)とは逆方向(第2の方向)の搬送作用を生じさせることにより、第1螺旋羽根43a、44aのピッチ間において現像剤の対流が生じ、第1螺旋羽根43a、44aの粉体(現像剤)搬送作用をほとんど阻害することなく第1螺旋羽根43a、44a間における現像剤の攪拌が促進される。従って、現像剤補給口22gから補給される新たなトナーとキャリアを、第1搬送室22c、第2搬送室22d内の二成分現像剤と迅速に且つ効果的に攪拌するとともに、第1搬送室22c、第2搬送室22d内の現像剤搬送速度の低下を有効に防止することができる。
【0044】
なお、回転軸43b、44bから第2螺旋羽根43c、44cの先端までの高さ(径方向高さR2、
図5参照)が、回転軸43b、44bから第1螺旋羽根43a、44aの先端までの高さ(径方向高さR1、
図5参照)の1/4よりも小さい場合、第1螺旋羽根43a、44aのピッチ間において現像剤の対流を十分に生じさせることができず、攪拌効果が低下する場合がある。一方、R2がR1の1/2よりも大きい場合、第2螺旋羽根43c、44cによる第2の方向への搬送力が大きくなり過ぎて、第1螺旋羽根43a、44aによる第1の方向への搬送作用を阻害してしまう場合がある。
【0045】
従って、第2螺旋羽根43c、44cの径方向高さR2は、第1螺旋羽根43a、44aの径方向高さR1の1/4以上1/2以下であることが好ましい。これにより、第1螺旋羽根43a、44aのピッチ間において現像剤の対流を生じさせつつ、搬送速度の低下を有効に防止することができる。
【0046】
以下、
図4〜
図7を用いて第1搬送室22cに配置される第1スパイラル43の第1螺旋羽根43a及び第2螺旋羽根43cの詳細な構成について説明する。なお、第2搬送室22dに配置される第1スパイラル44の第1螺旋羽根44a及び第2螺旋羽根44cについても同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0047】
図4および
図5に示すように、第1スパイラル43を構成する第1螺旋羽根43a、第2螺旋羽根43cは、各螺旋羽根の長さ方向を横断する断面形状が台形状である。そして、第1螺旋羽根43aと第2螺旋羽根43cが回転軸43bを1周する間において180°隔てた2箇所の交点47において交差するように形成されている。第2螺旋羽根43cの径方向高さR2は第1螺旋羽根43aの径方向高さR1よりも低くなっている。
【0048】
具体的には、第1螺旋羽根43aの径方向高さR1は、交点47周辺以外(第1切り欠き50以外)において一定である。第1螺旋羽根43aは、交点47から第1螺旋羽根43aの現像剤搬送方向上流側(
図4および
図5の左側)の所定の範囲に、第1切り欠き50が形成されている。第1螺旋羽根43aの第1切り欠き50が形成された部分の径方向高さR1は、第2螺旋羽根43cの後述する第2切り欠き51が形成されていない部分の径方向高さR2よりも小さくなっている。また、
図6および
図7に示すように、第2螺旋羽根43cの径方向高さR2は、交点47周辺以外(第2切り欠き51以外)において一定である。なお、
図6および
図7は、
図4および
図5に示した第1スパイラル43の裏側を示す図であり、
図4および
図5の状態から回転軸43bを半回転(180°回転)させた状態を示す図である。第2螺旋羽根43cは、交点47から第2螺旋羽根43cの現像剤搬送方向上流側(
図6および
図7の右側)の所定の範囲に、第2切り欠き51が形成されている。
【0049】
これにより、回転軸43bの回転方向に対し交点47の下流側(
図5および
図7の下側)近傍の領域Wの現像剤は、第1切り欠き50および切り欠き51を通過して分散するので、現像剤の滞留が抑制される。なお、本実施形態では、第1切り欠き50が回転軸43bの外周面に達するまで形成されているため、第1螺旋羽根43aの第1切り欠き50が形成された部分の径方向高さR1は、0となっている。また、第2切り欠き51が回転軸43bの外周面に達するまで形成されているため、第2螺旋羽根43cの第2切り欠き51が形成された部分の径方向高さR2は、0となっている。
【0050】
第1切り欠き50は、第1螺旋羽根43aが回転軸43bを1周する間において1つだけ形成されている。すなわち、第1切り欠き50は、全ての交点47に対して形成されているのではなく、交点47に対して1つ置きに形成されている。また、第2切り欠き51は、第2螺旋羽根43cが回転軸43bを1周する間において1つだけ形成されている。すなわち、第2切り欠き51は、全ての交点47に対して形成されているのではなく、交点47に対して1つ置きに形成されている。なお、第1切り欠き50および第2切り欠き51は、同じ交点47に対して形成されているのではなく、交点47に対して交互に(180°毎に)形成されている。
【0051】
第1切り欠き50は、回転軸43bの周方向において60°以上120°以下の角度で形成されている。また、第2切り欠き51は、回転軸43bの周方向において60°以上180°未満の角度で形成されている。なお、第1切り欠き50および第2切り欠き51は、回転軸43bの軸方向において互いに形成領域が重ならないように設けられている。
【0052】
本実施形態では、上記のように、第1螺旋羽根43aは、交点47から第1螺旋羽根43aの現像剤搬送方向上流側の所定の範囲に、第1切り欠き50が形成されており、第1螺旋羽根43aの第1切り欠き50が形成された部分の径方向高さR1は、第2螺旋羽根43cの第2切り欠き51が形成されていない部分の径方向高さR2よりも小さい。また、第2螺旋羽根43cは、交点47から第2螺旋羽根43cの現像剤搬送方向上流側の所定の範囲に、第2切り欠き51が形成されている。これにより、回転軸43bの回転方向に対し交点47の下流側近傍の領域Wの現像剤は、第1切り欠き50および第2切り欠き51を通過して分散する。このため、現像剤の滞留を抑制して攪拌性を向上させることができる。
【0053】
第2スパイラル44も同様、第1螺旋羽根44aは、交点47から第1螺旋羽根44aの現像剤搬送方向上流側の所定の範囲に、第1切り欠き50が形成されており、第1螺旋羽根44aの第1切り欠き50が形成された部分の径方向高さR1は、第2螺旋羽根44cの第2切り欠き51が形成されていない部分の径方向高さR2よりも小さい。また、第2螺旋羽根44cは、交点47から第2螺旋羽根44cの現像剤搬送方向上流側の所定の範囲に、第2切り欠き51が形成されている。これにより、回転軸44bの回転方向に対し交点47の下流側近傍の領域Wの現像剤は、第1切り欠き50および第2切り欠き51を通過して分散する。このため、現像剤の滞留を抑制して攪拌性を向上させることができる。
【0054】
また、上記のように、第1切り欠き50は、回転軸43bおよび44bの周方向において60°以上120°以下の角度で形成されている。これにより、容易に、第1螺旋羽根43aおよび44aによる現像剤の搬送力を維持しながら、現像剤の攪拌性を向上させることができる。
【0055】
また、上記のように、第2切り欠き51は、回転軸43bおよび44bの周方向において60°以上180°未満の角度で形成されている。これにより、容易に、第2螺旋羽根43cおよび44cによる逆方向の搬送力を維持しながら、現像剤の攪拌性を向上させることができる。
【0056】
また、上記のように、第1切り欠き50および第2切り欠き51は、回転軸43b、44bの軸方向において互いに形成領域と重ならないように設けられている。これにより、回転軸43b、44bの軸方向において第1螺旋羽根43a、44aと第2螺旋羽根43c、44cとが存在しない領域ができるのを防止することができるので、現像剤がその領域で滞留するのを防止することができる。
【0057】
また、上記のように、第1螺旋羽根43aおよび44aの第1切り欠き50が形成された部分の径方向高さR1は、0である。これにより、現像剤が第1切り欠き50を通過しやすくなるので、現像剤の攪拌性を十分に向上させることができる。
【0058】
また、上記のように、第2螺旋羽根43cおよび44cの第2切り欠き51が形成された部分の径方向高さR2は、0である。これにより、現像剤が第2切り欠き51を通過しやすくなるので、現像剤の攪拌性を十分に向上させることができる。
【0059】
また、上記のように、第1搬送室22cに配置される第1スパイラル43および第2搬送室22dに配置される第2スパイラル44の両方に、本発明の構成を適用している。これにより、第1搬送室22cおよび第2搬送室22dの両方において、現像剤の滞留を抑制して攪拌性を向上させることができる。また、第1搬送室22cにおける現像剤搬送速度と、第2搬送室22dにおける現像剤搬送速度と、を容易に略同じにすることができる。
【0060】
以下、実施例により本発明の効果について更に具体的に説明する。
【0061】
図1に示したような画像形成装置1に、
図2及び
図3に示した現像装置2a〜2dを搭載し、第1搬送室22c内の第1スパイラル43の構成を変化させた場合のトナー帯電量について調査した。なお、試験は現像装置2aを含むマゼンタの画像形成部において行った。
【0062】
実施例では、第1スパイラル43の回転軸43bの直径を8mm、第1螺旋羽根43aの直径を20mm(径方向高さR1を6mm)、第1螺旋羽根43aのピッチを20mm、第2螺旋羽根43cの直径を12mm(径方向高さR2を2mm)、第2螺旋羽根43cのピッチを20mm、第1螺旋羽根43aおよび第2螺旋羽根43cの軸方向長さを330mm、とした。また、
図5に示すように、第1螺旋羽根43aに第1切り欠き50を形成した。第1切り欠き50は、第1螺旋羽根43aが回転軸43bを1周する間において1つだけ設け、回転軸43bの周方向において60°の角度で、回転軸43bの外周面に達するまで形成した。また、
図7に示すように、第2螺旋羽根43cに第2切り欠き51を形成した。第2切り欠き51は、第2螺旋羽根43cが回転軸43bを1周する間において1つだけ設け、回転軸43bの周方向において60°の角度で、回転軸43bの外周面に達するまで形成した。この第1スパイラル43を用いた構成を実施例とした。
【0063】
比較例では、第1スパイラル43に第1切り欠き50および第2切り欠き51を形成しなかった。その他の条件を実施例と同じにした第1スパイラル43を用いた構成を比較例とした。
【0064】
実施例及び比較例の現像装置2aに、平均粒子径6.8μmの正帯電性トナーと、平均粒子径35μmのフェライト・樹脂コートキャリアとを混合した二成分現像剤を150cm
3充填した。そして、第1搬送室22cの上流側端部に現像装置2a内のトナーとは色違いのトナー(以下、補給トナーとも言う)を1g補給し、第1スパイラル43の上流側端部から下流側端部まで攪拌搬送した。その後、補給トナーを取り出し、予め測定していた攪拌搬送前の補給トナーの帯電量と攪拌搬送後に測定した補給トナーの帯電量とに基づいて、トナー帯電量の増加量を求めた。なお、この実験は、絶対湿度が10g/m
3の場合と20g/m
3の場合とについて行った。結果を表1に示す。
【0066】
表1に示すように、第1螺旋羽根43aに第1切り欠き50を形成し、第2螺旋羽根43cに第2切り欠き51を形成した実施例では、補給トナーの帯電量は、絶対湿度が10g/m
3および20g/m
3の場合に、それぞれ6.8μC/gおよび4.4μC/g増加した。
【0067】
これに対し、第1スパイラル43に第1切り欠き50および第2切り欠き51を形成しなかった比較例では、補給トナーの帯電量は、絶対湿度が10g/m
3および20g/m
3の場合に、それぞれ3.5μC/gおよび2.4μC/gだけ増加した。なお、補給トナーの帯電量の増加量が3.0μC/g以下の場合、非画像部である白地部分にトナーが付着するカブリ現象が発生する場合がある。
【0068】
以上の結果より、実施例の構成では、比較例の構成に比べて、トナーの帯電量を増加させることが確認された。これは、第1スパイラル43に第1切り欠き50および第2切り欠き51を形成した実施例では、回転軸43bの回転方向に対し交点47の下流側近傍の領域W(
図5および
図7参照)の現像剤が第1切り欠き50および第2切り欠き51を通過して分散するので、現像剤の滞留が抑制され攪拌性が向上したためであると考えられる。
【0069】
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0070】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に用いる現像装置及びそれを備えた画像形成装置に利用することができ、特に、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤を用いる現像装置の攪拌搬送部材として利用することができる。
【0071】
また、本発明の攪拌搬送部材は、
図3に示したような、現像剤補給口22gと現像剤排出口22hとを備え、磁気ローラー21と現像ローラー20とを備えた現像装置2a〜2dに限定されるものではなく、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いる種々の現像装置に適用可能である。
【0072】
また、本発明は、現像装置の攪拌搬送部材に限らず、現像剤以外の粉末を攪拌搬送する攪拌搬送部材にも適用可能である。
【0073】
また、上記実施形態では、
図4〜
図7に示した第1螺旋羽根43aおよび第2螺旋羽根43cの構成を、第1搬送室22cに配置される第1スパイラル43及び第2搬送室22dに配置される第2スパイラル44の両方に用いた例について説明したが、本発明はこれに限らない。現像剤の仕様によっては、第2搬送室22dの攪拌効果のみを高めるために、第2搬送室22dに配置される第2スパイラル44のみに本発明を適用してもよい。或いは、第1搬送室22cの攪拌効果のみを高めるために、第1搬送室22cに配置される第1スパイラル43のみに本発明を適用してもよい。なお、第2搬送室22dの現像剤を均一な状態で磁気ローラー21に供給して画像ムラを抑制するためには、第2搬送室22dに搬送する現像剤を均一な状態にしておくことが好ましい。このため、少なくとも第1搬送室22cに配置される第1スパイラル43に本発明の構成を適用することが好ましい。
【0074】
また、上記実施形態では、第1螺旋羽根43aおよび第2螺旋羽根43cを同じピッチで形成した例について示したが、本発明はこれに限らず、第1螺旋羽根43aおよび第2螺旋羽根43cを互いに異なるピッチで形成してもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、第1切り欠き50および第2切り欠き51を、交点47に対して交互に(180°毎に)形成した例について示したが、第1切り欠き50および第2切り欠き51を、同じ交点47に対して形成してもよい。すなわち、1つ置きの交点47に対して第1切り欠き50および第2切り欠き51の両方を形成してもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、第1螺旋羽根43aが回転軸43bを1周する間において1つだけ第1切り欠き50を設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、第1螺旋羽根43aが回転軸43bを1周する間において2つ以上第1切り欠き50を設けてもよい。また、第1切り欠き50を、全ての交点47に対して設けてもよい。この場合、現像剤の攪拌性をさらに向上させることができる。
【0077】
同様に、上記実施形態では、第2螺旋羽根43cが回転軸43bを1周する間において1つだけ第2切り欠き51を設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、第2螺旋羽根43cが回転軸43bを1周する間において2つ以上第2切り欠き51を設けてもよい。また、第2切り欠き51を、全ての交点47に対して設けてもよい。この場合、現像剤の攪拌性をさらに向上させることができる。