特許第6597599号(P6597599)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社村田製作所の特許一覧

特許6597599二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム
<>
  • 特許6597599-二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム 図000007
  • 特許6597599-二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム 図000008
  • 特許6597599-二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム 図000009
  • 特許6597599-二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム 図000010
  • 特許6597599-二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム 図000011
  • 特許6597599-二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム 図000012
  • 特許6597599-二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム 図000013
  • 特許6597599-二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム 図000014
  • 特許6597599-二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム 図000015
  • 特許6597599-二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム 図000016
  • 特許6597599-二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム 図000017
  • 特許6597599-二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム 図000018
  • 特許6597599-二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム 図000019
  • 特許6597599-二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム 図000020
  • 特許6597599-二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム 図000021
  • 特許6597599-二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム 図000022
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6597599
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0525 20100101AFI20191021BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20191021BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20191021BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20191021BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20191021BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20191021BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20191021BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   H01M10/0525
   H01M10/0585
   H01M10/0587
   H01M4/485
   H01M4/505
   H01M4/58
   H01M4/525
   H01M2/02 K
【請求項の数】17
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2016-511336(P2016-511336)
(86)(22)【出願日】2015年1月30日
(86)【国際出願番号】JP2015000423
(87)【国際公開番号】WO2015151376
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2017年11月14日
(31)【優先権主張番号】特願2014-77107(P2014-77107)
(32)【優先日】2014年4月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(72)【発明者】
【氏名】坂本 卓誠
(72)【発明者】
【氏名】浅川 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 翔
【審査官】 松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−129095(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/145301(WO,A1)
【文献】 特開2001−210324(JP,A)
【文献】 特開2007−294164(JP,A)
【文献】 特開2012−033279(JP,A)
【文献】 特開2011−091039(JP,A)
【文献】 特開2011−113961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0525
H01M 10/0585
H01M 10/0587
H01M 4/485
H01M 4/505
H01M 4/58
H01M 4/525
H01M 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質を有する正極活物質層を含む正極と、
負極活物質を有する負極活物質層を含む負極と、
電解質と
を備え、
前記正極活物質は、オリビン構造を有し、且つ、リチウムと鉄とリンとを少なくとも含むリン酸鉄リチウム化合物、および、スピネル構造を有し、且つ、リチウムとマンガンとを少なくとも含むリチウムマンガン複合酸化物の少なくとも何れかを含み、
前記負極活物質は、チタン含有無機酸化物を含み、
下記の式(A)、式(B)、且つ、式(C)を満たす二次電池。
式(A)
1.005≦(Aa/Ac)≦1.08
(式中、Ac:正極の電極面積(cm2)、Aa:負極の電極面積(cm2))
式(B)
1.03≦(QA1/QC1
(式中、QC1(mAh/cm2):前記正極と、対極としてリチウム金属と、電解質としてプロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の混合物とを含むコインセル電池において、0.2C相当の電流電圧条件にて充放電を行ったときの単位面積当たりの初回正極充電容量、QA1(mAh/cm2):前記負極と、対極としてリチウム金属と、電解質としてプロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の混合物とを含むコインセル電池において、0.2C相当の電流電圧条件にて充放電を行ったときの単位面積当たりの初回負極充電容量)
式(C)
0.90≦(QCL/QAL)≦1.10
(式中、QCL(mAh/cm2):前記正極と、対極としてリチウム金属と、電解質としてプロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の混合物とを含むコインセル電池において、0.2C相当の電流電圧条件にて充放電を行ったときの正極の単位面積当たりの不可逆容量、QAL(mAh/cm2):前記負極と、対極としてリチウム金属と、電解質としてプロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の混合物とを含むコインセル電池において、0.2C相当の電流電圧条件にて充放電を行ったときの負極の単位面積当たりの不可逆容量)
【請求項2】
前記(QA1/QC1は、(QA1/QC1≦1.50である請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記リン酸鉄リチウム化合物は、下記(化1)で表されるリン酸鉄リチウム化合物である請求項1に記載の二次電池。
(化1)
LiuFerM1(1-r)PO4
(式中、M1は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)およびジルコニウム(Zr)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。rは、0<r≦1の範囲内の値である。uは、0.9≦u≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、uの値は完全放電状態における値を表している。)
【請求項4】
前記リン酸鉄リチウム化合物は、LiuFePO4(uは前記と同義である)およびLiuFerMn(1-r)PO4(uは前記と同義である。rは前記と同義である。)の少なくとも何れかである請求項3に記載の二次電池。
【請求項5】
前記リチウムマンガン複合酸化物は、下記(化2)で表されるリチウムマンガン複合酸化物である請求項1に記載の二次電池。
(化2)
LivMn(2-w)M2ws
(式中、M2は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。v、wおよびsは、0.9≦v≦1.1、0≦w≦0.6、3.7≦s≦4.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、vの値は完全放電状態における値を表している。)
【請求項6】
前記リチウムマンガン複合酸化物は、LivMn24(vは前記と同義である)である請求項5に記載の二次電池。
【請求項7】
前記チタン含有無機酸化物は、下記(化3)〜(化5)で表されるチタン含有リチウム複合酸化物およびTiO2のうちの少なくとも何れかである請求項1に記載の二次電池。
(化3)
Li[LixM3(1-3x)/2Ti(3+x)/2]O4
(M3はMg、Ca、Cu、ZnおよびSrのうちの少なくとも1種であり、xは0≦x≦1/3を満たす。)
(化4)
Li[LiyM41-3yTi1+2y]O4
(M4はAl、Sc、Cr、Mn、Fe、GaおよびYのうちの少なくとも1種であり、yは0≦y≦1/3を満たす。)
(化5)
Li[Li1/3M5zTi(5/3)-z]O4
(M5はV、ZrおよびNbのうちの少なくとも1種であり、zは0≦z≦2/3を満たす。)
【請求項8】
少なくとも前記正極および前記負極を含む電池素子を外装する外装材を備え、
前記外装材は、フィルム状の外装材である請求項1に記載の二次電池。
【請求項9】
前記電池素子は、積層型電極構造または巻回型電極構造を有するものである請求項8に記載の二次電池。
【請求項10】
前記正極および前記負極の間にあるセパレータをさらに備える請求項1に記載の二次電池。
【請求項11】
正極活物質を有する正極活物質層を含む正極と、
負極活物質を有する負極活物質層を含む負極と、
電解質と
を備え、
前記正極活物質は、容量に対する電位(VvsLi/Li+)の変化を示す曲線が、プラトー領域と、充電末期に急激に電位が上昇変化する電位上昇領域とを少なくとも有するものであり、
前記負極活物質は、チタン含有無機酸化物を含み、
下記の式(A)、式(B)、且つ、式(C)を満たす二次電池。
式(A)
1.005≦(Aa/Ac)≦1.08
(式中、Ac:正極の電極面積(cm2)、Aa:負極の電極面積(cm2))
式(B)
1.03≦(QA1/QC1
(式中、QC1(mAh/cm2):前記正極と、対極としてリチウム金属と、電解質としてプロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の混合物とを含むコインセル電池において、0.2C相当の電流電圧条件にて充放電を行ったときの単位面積当たりの初回正極充電容量、QA1(mAh/cm2):前記負極と、対極としてリチウム金属と、電解質としてプロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の混合物とを含むコインセル電池において、0.2C相当の電流電圧条件にて充放電を行ったときの単位面積当たりの初回負極充電容量)
式(C)
0.90≦(QCL/QAL)≦1.10
(式中、QCL(mAh/cm2):前記正極と、対極としてリチウム金属と、電解質としてプロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の混合物とを含むコインセル電池において、0.2C相当の電流電圧条件にて充放電を行ったときの正極の単位面積当たりの不可逆容量、QAL(mAh/cm2):前記負極と、対極としてリチウム金属と、電解質としてプロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の混合物とを含むコインセル電池において、0.2C相当の電流電圧条件にて充放電を行ったときの負極の単位面積当たりの不可逆容量)
【請求項12】
請求項1に記載の二次電池と、
前記二次電池を制御する制御部と、
前記二次電池を内包する外装と
を有する電池パック。
【請求項13】
請求項1に記載の二次電池を有し、前記二次電池から電力の供給を受ける電子機器。
【請求項14】
請求項1に記載の二次電池と、
前記二次電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
前記二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
を有する電動車両。
【請求項15】
請求項1に記載の二次電池を有し、前記二次電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
【請求項16】
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報制御装置を備え、
前記電力情報制御装置が受信した情報に基づき、前記二次電池の充放電制御を行う請求項15に記載の蓄電装置。
【請求項17】
請求項1に記載の二次電池を有し、前記二次電池から電力の供給を受け、または、発電装置もしくは電力網から前記二次電池に電力が供給される電力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の二次電池では、高性能化の要求がますます高くなっており、高容量、高出力等の電池特性を向上することが求められている。
【0003】
二次電池の負極に用いる負極材料としては、従来の炭素系負極材料以外に、チタン酸リチウム(Li4Ti512)等の高電位負極材料等が用いられている。近年では、高電位負極材料等を用いた二次電池の開発が、活発に進められている。
【0004】
下記の特許文献1〜6には、二次電池に関連する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−91039号公報
【特許文献2】特開2011−113961号公報
【特許文献3】特許第5191232号公報
【特許文献4】特開2013−16522号公報
【特許文献5】特開2011−124220号公報
【特許文献6】国際公開第2011/145301号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
二次電池では、ガス発生およびサイクル特性の劣化を抑制することが求められている。
【0007】
したがって、本技術の目的は、ガス発生およびサイクル特性の劣化を抑制できる二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本技術は、正極活物質を有する正極活物質層を含む正極と、負極活物質を有する負極活物質層を含む負極と、電解質とを備え、正極活物質は、オリビン構造を有し、且つ、リチウムと鉄とリンとを少なくとも含むリン酸鉄リチウム化合物、および、スピネル構造を有し、且つ、リチウムとマンガンとを少なくとも含むリチウムマンガン複合酸化物の少なくとも何れかを含み、負極活物質は、チタン含有無機酸化物を含み、下記の式(A)、式(B)、且つ、式(C)を満たす二次電池である。
式(A)
1.005≦(Aa/Ac)≦1.08
(式中、Ac:正極の電極面積(cm2)、Aa:負極の電極面積(cm2))
式(B)
1.03≦(QA1/QC1
(式中、QC1(mAh/cm2):正極と、対極としてリチウム金属と、電解質としてプロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の混合物とを含むコインセル電池において、0.2C相当の電流電圧条件にて充放電を行ったときの単位面積当たりの初回正極充電容量、QA1(mAh/cm2):負極と、対極としてリチウム金属と、電解質としてプロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の混合物とを含むコインセル電池において、0.2C相当の電流電圧条件にて充放電を行ったときの単位面積当たりの初回負極充電容量)
式(C)
0.90≦(QCL/QAL)≦1.10
(式中、QCL(mAh/cm2):正極と、対極としてリチウム金属と、電解質としてプロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の混合物とを含むコインセル電池において、0.2C相当の電流電圧条件にて充放電を行ったときの正極の単位面積当たりの不可逆容量、QAL(mAh/cm2):負極と、対極としてリチウム金属と、電解質としてプロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の混合物とを含むコインセル電池において、0.2C相当の電流電圧条件にて充放電を行ったときの負極の単位面積当たりの不可逆容量)
【0009】
本技術は、正極活物質を有する正極活物質層を含む正極と、負極活物質を有する負極活物質層を含む負極と、電解質とを備え、正極活物質は、容量に対する電位(VvsLi/Li+)の変化を示す曲線が、プラトー領域と、充電末期に急激に電位が上昇変化する電位上昇領域とを少なくとも有するものであり、負極活物質は、チタン含有無機酸化物を含み、下記の式(A)、式(B)、且つ、式(C)を満たす二次電池である。
式(A)
1.005≦(Aa/Ac)≦1.08
(式中、Ac:正極の電極面積(cm2)、Aa:負極の電極面積(cm2))
式(B)
1.03≦(QA1/QC1
(式中、QC1(mAh/cm2):正極と、対極としてリチウム金属と、電解質としてプロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の混合物とを含むコインセル電池において、0.2C相当の電流電圧条件にて充放電を行ったときの単位面積当たりの初回正極充電容量、QA1(mAh/cm2):負極と、対極としてリチウム金属と、電解質としてプロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の混合物とを含むコインセル電池において、0.2C相当の電流電圧条件にて充放電を行ったときの単位面積当たりの初回負極充電容量)
式(C)
0.90≦(QCL/QAL)≦1.10
(式中、QCL(mAh/cm2):正極と、対極としてリチウム金属と、電解質としてプロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の混合物とを含むコインセル電池において、0.2C相当の電流電圧条件にて充放電を行ったときの正極の単位面積当たりの不可逆容量、QAL(mAh/cm2):負極と、対極としてリチウム金属と、電解質としてプロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の混合物とを含むコインセル電池において、0.2C相当の電流電圧条件にて充放電を行ったときの負極の単位面積当たりの不可逆容量)
【0010】
本技術の電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムは、上述の二次電池を備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
本技術によれば、ガス発生およびサイクル特性の劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1Aは二次電池の外観を示す略線図である。図1Bは二次電池の構成例を示す略線図である。図1Cは二次電池の外観底面側を示す略線図である。
図2図2Aおよび図2Bは外装材により外装される電池素子の側面図である。
図3図3Aは正極の構成例を示す斜視図である。図3Bは負極の構成例を示す斜視図である。
図4図4Aは電池素子の構成の一部を示す概略断面図である。図4Bは電池組成の構成を示す概略平面図である。
図5図5Aは容量に対する正極および負極の電位変化の一例を示すグラフである。図5Bは容量に対する正極および負極の電位変化の一例を示すグラフである。図5Cは容量に対する正極および負極の電位変化の一例を示すグラフである。
図6図6Aは二次電池の外観を示す略線図である。図6Bは二次電池の構成例を示す略線図である。図6Cは二次電池の外観底面側を示す略線図である。図6Dは外装材により外装される電池素子の側面図である。
図7図7Aは電池素子を構成する正極の構成例を示す。図7Bは電池素子を構成する負極の構成例を示す。
図8図8は巻回電極体を収容した二次電池の分解斜視図である。
図9図9図8に示した巻回電極体50のI−I線に沿った断面構造を表すものである。
図10図10は二次電池の構成例を示す断面図である。
図11図11図10に示した巻回電極体90の一部を拡大して表すものである。
図12図12は簡易型の電池パックの構成例を示す分解斜視図である。
図13図13Aは簡易型の電池パックの外観を示す概略斜視図であり、図13Bは簡易型の電池パックの外観を示す概略斜視図である。
図14図14は本技術の二次電池を電池パックに適用した場合の回路構成例を示すブロック図である。
図15図15は本技術が適用される住宅用の蓄電システムの例を示す概略図である。
図16図16は本技術が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本技術の概要)
まず、本技術の理解を容易にするため、本技術の概要について説明する。いわゆる炭素系負極材料は、大電流充電や低温充電に課題がある。一方、負極にチタン酸リチウム(Li4Ti512)等の高電位負極材料を用いると負極電位がLi析出電位よりも高いため、Li析出せず劣化しにくいので、安全性が著しく低下することを抑制できる。
【0014】
また、正極容量が負極容量を超えるような組み合わせでセルを組むと、負極で充電が規定される。すなわち、充電終止が負極の充電末期の急激な電圧変化(電圧降下)によって規定される。その結果、負極電位が降下してガスが大量発生することが分かった。
【0015】
以上の知見に基づき、本願発明者等が鋭意検討したところ、正極で充電を規定する(すなわち充電終止を正極の充電末期の電圧変化によって規定する)ためには、容量は負極が常に大きい状態を維持する必要があることを見出した。これにより、負極の電位降下を避けることで、ガス発生等を抑制できることを見出した。
【0016】
負極材料にチタン酸リチウム(Li4Ti512)等の高電位負極材料を用いた二次電池では、負極面積の大小関係について検討されているものもあるが、正極および負極の容量バランスまでは規定されていない。電極面積および容量バランスの両者を規定することが重要である。電極面積および容量バランスの両者を規定することによって、長期にわたって特性が劣化しない電池を得ることができる。
【0017】
上述した特許文献1〜特許文献6と本技術との相違点等について説明する。例えば、特許文献1(特開2011−91039号公報)に記載のものでは、負極で充電を規定しているため、ガス発生を抑制することはできない。
【0018】
特許文献2(特開2011−113961号公報)には、正極の面積を負極の面積を大きくすることは記載されているが、電極面積および容量バランスの両者を規定することについては記載されていない。
【0019】
特許文献3(特許第5191232号公報)および特許文献4(特開2013−16522号公報)には、電極容量比(正極容量/負極容量)が1以上であることが記載されている。しかしながら、電極容量比(正極容量/負極容量)が1である場合には、充電が正極と負極両方の影響を受け、負極電位が降下してガス発生が生じるおそれがある。1超の場合には、充電が負極で規定されるため、負極電位が降下してガス発生が生じるおそれがある。
【0020】
特許文献5(特開2011−124220号公報)に記載のものにおいて、正極および負極で面積を変えているのは、製造時の歩留まりを抑え、安定した特性の電池を作製するためであり、正極および負極の大きさを同じにすると積層ずれにより容量のばらつきが生じる恐れがある。
【0021】
特許文献6(国際公開第2011/145301号)には、正極活物質としてニッケル系リチウム含有複合酸化物を用い、負極活物質として黒鉛材料を用いたリチウム二次電池が記載されている。このリチウム二次電池では、負極活物質として黒鉛材料を用いた場合において、放電時の正極電位、負極電位を規定することで過放電での劣化を抑制し、電池の長寿命化が可能となる。しかしながら、このリチウム二次電池は、負極活物質として非炭素系材料を用いた場合において、放電時の正極電位、負極電位を規定するものではない。また、このリチウム二次電池では、負極の放電末期における電位上昇によって放電を終了させているが、放電末期を片方の電極の電位に負担させると、電位変化が大きくなり、電解液が分解する電位まで到達する恐れがある。これに対して、本技術の二次電池では、放電末期の電圧変化を両極に分担させることにより、電解液分解電位まで到達させず、長期サイクル安定性とともに、放電時の実使用電圧が下げられるため、出力を向上させることができる。
【0022】
以下、本技術の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(二次電池の例)
2.第2の実施の形態(二次電池の例)
3.第3の実施の形態(二次電池の例)
4.第4の実施の形態(二次電池の例)
5.第5の実施の形態(電池パックの例)
6.第6の実施の形態(電池パックの例)
7.第7の実施の形態(蓄電システム等の例)
8.他の実施の形態(変形例)
なお、以下に説明する実施の形態等は本技術の好適な具体例であり、本技術の内容がこれらの実施の形態等に限定されるものではない。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また例示した効果と異なる効果が存在することを否定するものではない。
【0023】
1.第1の実施の形態
(1−1)二次電池の構成例
本技術の第1の実施の形態による二次電池について説明する。図1Aは、本技術の第1の実施の形態による二次電池の外観を示す略線図であり、図1Bは、二次電池の構成を示す略線図である。なお、図1Bは、図1Aに示す二次電池の底面および上面を反転させた場合の構成を示している。また、図1Cは、二次電池の外観底面側を示す略線図である。図2Aおよび図2Bは、外装材により外装される電池素子の側面図である。図3Aは、正極の構成例を示す斜視図である。図3Bは、負極の構成例を示す斜視図である。
【0024】
二次電池は、例えば、非水電解質二次電池であり、リチウムイオン二次電池等である。図1A図1Cおよび図2A図2Bに示すように、二次電池は、電池素子40と外装材31とを備える。電池素子40は、外装材31にて外装されている。正極集電体露出部4Cおよび負極集電体露出部5Cとそれぞれ接続された正極タブ32および負極タブ33は、外装材31の封止部分の一辺から外部に同一方向に導出されている。正極タブ32および負極タブ33は、外装材31の封止部分の一辺から外部に同一方向に導出されている。
【0025】
外装材31は少なくとも一方の面に予め深絞り加工またはエンボス加工等が施されることにより凹部36が形成されたものであり、この凹部36に電池素子40が収納される。図1Bでは、外装材31を構成する第1外装部31Aに凹部36が形成されており、電池素子40はこの凹部36に収納される。そして、第2外装部36Bが、凹部36の開口を覆うように配置され、凹部36の開口の周囲が熱融着等により接着されることにより封止される。
【0026】
(電池素子)
図2Aおよび図2Bに示すように、電池素子40は、図3Aに示す略矩形状の正極4と、正極4と対向して配された図3Bに示す略矩形状の負極5とが、セパレータ6を介して交互に積層された積層型電極構造を有している。なお、図示は省略するが、電池素子40は、電解質を備えていてもよい。この場合、例えば、電池素子40において、正極4およびセパレータ6の間、並びに、負極5およびセパレータ6の間の少なくとも何れかの間に、電解質(電解質層)が形成されていてもよい。電解質は、例えば、電解液が高分子化合物に保持されたもの等であり、例えば、ゲル状の電解質等である。なお、電解質として、液状の電解質である電解液を用いる場合には、電解質層は形成されず、電池素子40は外装材31内に充填された電解液に含浸される。
【0027】
電池素子40からは、複数枚の正極4とそれぞれ電気的に接続された正極集電体露出部4Cと複数枚の負極5とそれぞれ電気的に接続された負極集電体露出部5Cとが、引き出されている。
【0028】
複数枚重ねられた正極集電体露出部4Cは、曲げ部分において適切なたるみを持った状態で断面が略U字状となるように折り曲げられて構成されている。複数枚重ねられた正極集電体露出部4Cの先端部には、超音波溶接または抵抗溶接等の方法により正極タブ32が接続されている。
【0029】
正極集電体露出部4Cと接続される正極タブ32は、例えばアルミニウム(Al)等からなる金属リード体を用いることができる。
【0030】
なお、正極タブ32の一部分には、外装材31と正極タブ32との接着性を向上させるための密着フィルム34が設けられる。密着フィルム34は、金属材料との接着性の高い樹脂材料により構成され、例えば正極タブ32が上述した金属材料から構成される場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂により構成されることが好ましい。
【0031】
正極4と同様に、負極集電体露出部5Cは、複数枚重ねられた上で、曲げ部分において適切なたるみを持った状態で断面が略U字状となるように折り曲げられて構成されている。複数枚重ねられた負極集電体露出部5Cの先端部には、超音波溶接または抵抗溶接等の方法により負極タブ33が接続されている。
【0032】
負極集電体露出部5Cと接続される負極タブ33は、例えばニッケル(Ni)等からなる金属リード体を用いることができる。
【0033】
負極タブ33の一部分には、正極タブ32と同様に、外装材31と負極タブ33との接着性を向上させるための密着フィルム34が設けられる。
【0034】
(正極)
図3Aに示すように、正極4は、正極活物質層4Bが正極集電体4Aの両面に設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、正極集電体4Aの片面のみに正極活物質層4Bを設けるようにしてもよい。正極集電体4Aとしては、例えばアルミニウム(Al)箔、ニッケル(Ni)箔あるいはステンレス(SUS)箔等の金属箔が用いられる。
【0035】
また、正極集電体4Aから一体に正極集電体露出部4Cが延出されている。上述したように、複数枚重ねられた正極集電体露出部4Cは、断面が略U字状となるように折り曲げられ、先端部には超音波溶接または抵抗溶接等の方法により正極タブ32と接続される。
【0036】
正極活物質層4Bは、正極集電体4Aの矩形状の主面部上に形成される。正極集電体4Aが露出した状態の正極集電体露出部4Cは、正極端子としての役割を担うものである。正極集電体露出部4Cの幅は任意に設定可能である。特に、第1の実施の形態のように、正極タブ32および負極タブ33を同一辺から導出する場合には、正極集電体露出部4Cの幅は正極4の幅の50%未満とすることが好ましい。このような正極4は、矩形状の正極集電体4Aの一辺に、正極集電体露出部4Cを設けるようにして正極活物質層4Bを形成し、不要な部分を切断すること等で得られる。なお、正極集電体4Aと正極端子として機能する正極集電体露出部4Cとは、別個のものとして形成して接続するという構成にしてもよい。
【0037】
(正極活物質層)
正極活物質層4Bは、例えば正極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料を含有して構成されている。正極活物質層4Bは、必要に応じて、結着剤、導電剤等の他の材料を含んでいてもよい。正極活物質としては、正極材料のいずれか1種または2種以上を用いてもよい。
【0038】
(正極材料)
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、容量に対する電位(V対Li/Li+)の変化を示す曲線が、電位が略一定になるプラトー領域と、充電末期に急激に電位が上昇変化する電位上昇領域とを少なくとも有する正極活物質が用いられる。このような正極活物質としては、オリビン構造のリン酸鉄リチウム化合物およびスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物の少なくとも何れかを用いることができる。
【0039】
オリビン構造のリン酸鉄リチウム化合物は、オリビン構造を有し、且つ、リチウムと鉄とリンとを少なくとも含むリン酸鉄リチウム化合物である。
【0040】
スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物は、スピネル構造を有し、且つ、リチウムとマンガンとを少なくとも含むリチウムマンガン複合酸化物である。
【0041】
オリビン構造のリン酸鉄リチウム化合物としては、例えば、(化1)で表されるリン酸化合物等が挙げられる。
(化1)
LiuFerM1(1-r)PO4
(式中、M1は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)およびジルコニウム(Zr)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。rは、0<r≦1の範囲内の値である。uは、0.9≦u≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、uの値は完全放電状態における値を表している。)
【0042】
(化1)で表されるリチウムリン酸化合物としては、典型的には、例えば、LiuFePO4(uは上記と同義である)、LiuFerMn(1-r)PO4(uは上記と同義である。rは上記と同義である。)等が挙げられる。
【0043】
スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物としては、例えば、(化2)で表されるリチウム複合酸化物等が挙げられる。
(化2)
LivMn(2-w)M2ws
(式中、M2は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。v、wおよびsは、0.9≦v≦1.1、0≦w≦0.6、3.7≦s≦4.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、vの値は完全放電状態における値を表している。)
【0044】
(化2)で表されるリチウム複合酸化物としては、具体的には、例えば、LivMn24(vは上記と同義である)等が挙げられる。
【0045】
オリビン構造のリン酸鉄リチウム化合物やスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物は、炭素材料等で被覆されたものであってもよい。
【0046】
(導電剤)
導電剤としては、例えばカーボンブラックあるいはグラファイト等の炭素材料等が用いられる。
【0047】
(結着剤)
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリロニトリル(PAN)、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)等の樹脂材料、ならびにこれら樹脂材料を主体とする共重合体等から選択される少なくとも1種が用いられる。
【0048】
(負極)
図3Bに示すように、負極5は、負極活物質層5Bが負極集電体5Aの両面に設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、負極集電体5Aの片面のみに負極活物質層5Bを設けるようにしてもよい。負極集電体5Aとしては、例えば銅(Cu)箔、ニッケル(Ni)箔あるいはステンレス(SUS)箔等の金属箔により構成されている。負極集電体5Aから一体に負極集電体露出部5Cが延出されている。複数枚重ねられた負極集電体露出部5Cは、断面が略U字状となるように折り曲げられ、先端部には超音波溶接または抵抗溶接等の方法により負極タブ33と接続される。
【0049】
負極活物質層5Bは、負極集電体5Aの矩形状の主面部上に形成される。負極集電体5Aが露出した状態の負極集電体露出部5Cは、負極端子としての役割を担うものである。負極集電体露出部5Cの幅は任意に設定可能である。特に、第1の実施の形態のように正極タブ32および負極タブ33を同一辺から導出する場合には、負極集電体露出部5Cの幅は負極5の幅の50%未満とすることが好ましい。このような負極5は、矩形状の負極集電体5Aの一辺に、負極集電体露出部5Cを設けるようにして負極活物質層5Bを形成し、不要な部分を切断すること等で得られる。なお、負極集電体5Aと負極端子として機能する負極集電体露出部5Cとは、別個のものとして形成して接続するという構成にしてもよい。
【0050】
(負極活物質層)
負極活物質層5Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されており、必要に応じて正極活物質層4Bと同様の結着剤や導電剤等の他の材料を含んで構成されていてもよい。
【0051】
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、少なくともチタン(Ti)および酸素を構成元素として含有するチタン含有無機酸化物を用いることができる。チタン含有無機酸化物としては、チタン含有リチウム複合酸化物、チタン含有酸化物等が挙げられる。なお、チタン含有無機酸化物は、導電性を向上させるために、Ti以外の異種金属元素等の異種元素がドープされたものであってもよい。
【0052】
チタン含有リチウム複合酸化物としては、下記の(化3)〜(化5)で表されるチタン含有リチウム複合酸化物のいずれか1種類または2種類以上である。
【0053】
(化3)
Li[LixM3(1-3x)/2Ti(3+x)/2]O4
(M3はMg、Ca、Cu、ZnおよびSrのうちの少なくとも1種であり、xは0≦x≦1/3を満たす。)
【0054】
(化4)
Li[LiyM41-3yTi1+2y]O4
(M4はAl、Sc、Cr、Mn、Fe、GaおよびYのうちの少なくとも1種であり、yは0≦y≦1/3を満たす。)
【0055】
(化5)
Li[Li1/3M5zTi(5/3)-z]O4
(M5はV、ZrおよびNbのうちの少なくとも1種であり、zは0≦z≦2/3を満たす。)
【0056】
このチタン含有リチウム複合酸化物は、LiおよびTiと共に他の1種類または2種類以上の金属元素を構成元素として含む酸化物であり、スピネル型の結晶構造を有している。なお、(化3)中のM3は2価イオンとなり得る金属元素、(化4)中のM4は3価イオンとなり得る金属元素、(化5)中のM5は4価イオンとなり得る金属元素である。
【0057】
(化3)に示したチタン含有リチウム複合酸化物は、その(化3)に示した化学式の条件を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、Li4Ti512(Li[Li1/3Ti5/3]O4)、Li3.75Ti4.875Mg0.37512等である。(化4)に示したチタン含有リチウム複合酸化物は、その(化4)に示した化学式の条件を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、LiCrTiO4等である。(化5)に示したチタン含有リチウム複合酸化物は、その(化5)に示した化学式の条件を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、Li4Ti4.95Nb0.0512等である。
【0058】
チタン含有酸化物は、Tiと酸素とを含む酸化物である。チタン含有酸化物としては、TiO2が挙げられる。TiO2は、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型のいずれであってもよい。
【0059】
なお、チタン含有リチウム複合酸化物等のチタン含有無機酸化物は、炭素により被覆されていてもよい。このためには、例えば、化学気相成長(CVD)法等を用いて、炭化水素等を分解させてチタン含有リチウム複合酸化物の表面に炭素皮膜を成長させればよい。
【0060】
(セパレータ)
セパレータ6は、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度を有する絶縁性の薄膜から構成されている。例えば、セパレータ6は、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系等の樹脂材料よりなる多孔質膜、または不織布等の無機材料からなる多孔質膜により構成されている。なお、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系の多孔質膜を含むものは、正極4と負極5との分離性に優れ、内部短絡や開回路電圧の低下をいっそう低減できるので好適である。
【0061】
なお、セパレータ6は、枚葉のセパレータであってもよく、つづら折りにより折り畳まれた一枚の帯状のセパレータであってもよい。枚葉のセパレータを用いる場合、電池素子40は、例えば、枚葉のセパレータを介して正極4および負極5を積層した構造を有する。つづら折りにより折り畳まれた一枚の帯状のセパレータを用いる場合、電池素子40は、つづら折りにより折り畳まれた一枚の帯状のセパレータを介して正極4および負極5を積層した構造、負極5を挟んだ状態でつづら折りにより折り畳まれた一対のセパレータ6を介して正極4および負極5を積層した構造を有するもの等が挙げられる。
【0062】
(電解質)
電解質は、高分子化合物と、溶媒および電解質塩を含む非水電解液(電解液)とを含む。電解質は、例えば、非水電解液が高分子化合物により保持されたゲル状の電解質を含むものである。例えば、高分子化合物に電解液が含浸されて高分子化合物が膨潤し、いわゆるゲル状となっている。電解質では、例えば、電解液を吸収してこれを保持したゲル状の高分子化合物自体がイオン伝導体として機能する。なお、電解質は、液状の電解質である電解液であってもよい。
【0063】
(非水電解液)
非水電解液は、電解質塩と、この電解質塩を溶解する非水溶媒とを含む。
【0064】
(電解質塩)
電解質塩は、例えば、リチウム塩等の軽金属化合物の1種または2種以上を含有している。このリチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C654)、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3SO3)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4)、六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2SiF6)、塩化リチウム(LiCl)または臭化リチウム(LiBr)等が挙げられる。中でも、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウムおよび六フッ化ヒ酸リチウムからなる群のうちの少なくとも1種が好ましく、六フッ化リン酸リチウムがより好ましい。
【0065】
(非水溶媒)
非水溶媒としては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンあるいはε−カプロラクトン等のラクトン系溶媒、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ブチレン(BC)、炭酸ビニレン(VC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸エチルメチル(EMC)あるいは炭酸ジエチル(DEC)等の炭酸エステル系溶媒、1,2−ジメトキシエタン、1−エトキシ−2−メトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフランあるいは2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、スルフォラン系溶媒、リン酸類、リン酸エステル溶媒、ピロリドン類、ジスルホン酸無水物、またはカルボン酸エステル等の非水溶媒が挙げられる。非水溶媒は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0066】
また、非水溶媒として、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ブチレン(BC)等の環状炭酸エステルおよび炭酸ジメチル(DMC)、炭酸エチルメチル(EMC)、炭酸ジエチル(DEC)等の鎖状炭酸エステルを混合して用いることが好ましく、環状炭酸エステルまたは鎖状炭酸エステルの水素の一部または全部がフッ素化された化合物を含むことがより好ましい。このフッ素化された化合物としては、フルオロエチレンカーボネート(4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン:FEC)またはジフルオロエチレンカーボネート(4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン:DFEC)を用いることが好ましい。中でも、非水溶媒としてジフルオロエチレンカーボネートを用いることが好ましい。サイクル特性改善効果に優れるためである。
【0067】
(高分子化合物)
非水電解液を保持する高分子化合物(マトリックス高分子化合物)としては、溶媒に相溶可能な性質を有するもの等を用いることができる。例えば、フッ素系高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ビニリデンフルオライド(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とを繰り返し単位に含む共重合体、ビニリデンフルオライド(VdF)とトリフルオロエチレン(TFE)とを繰り返し単位に含む共重合体等が挙げられる。その他、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレンオキサイド(PEO)を含む架橋体等のエーテル系高分子化合物、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)若しくはポリメチルメタクリレート(PMMA)を繰返し単位として含むもの、シリコン樹脂、ポリフォスファゼン変性ポリマー等が挙げられる。高分子化合物は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0068】
(外装材)
外装材31は、電池素子40を収容する第1外装部31Aと、電池素子40を覆う蓋として機能する第2外装部31Bとから構成されている。
【0069】
外装材31の一例として用いるフィルム状の外装材であるラミネートフィルムは、金属箔等の金属層の両面にそれぞれ外側樹脂層と内側樹脂層とが形成された、防湿性、絶縁性を有する多層フィルムからなる。外側樹脂層には、外観の美しさや強靱さ、柔軟性等からナイロン(Ny)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられる。金属箔は、水分、酸素、光の浸入を防ぎ、内容物である電池素子40を守る最も重要な役割を担っており、軽さ、伸び性、価格、加工のしやすさからアルミニウム(Al)が最もよく使われる。内側樹脂層は、熱や超音波で溶け、互いに融着する部分であり、ポリオレフィン系樹脂材料、例えば無延伸ポリプロピレン(CPP)が多用される。なお、外装材31は、上述のラミネートフィルムに代えて、他の積層構造を有するラミネートフィルム、ポリプロピレン等の高分子フィルムまたは金属フィルム等のフィルム状の外装材により構成するようにしてもよい。
【0070】
(本技術の二次電池の特徴的な構成)
本技術の二次電池は、下記式(A)、式(B)、且つ、式(C)を満たすものである。
式(A)
1.005≦(Aa/Ac)≦1.08
(式中、Ac:正極の電極面積(cm2)、Aa:負極の電極面積(cm2))
式(B)
1.03≦(QA1/QC1
(式中、QC1(mAh/cm2):単位面積当たりの初回正極充電容量、QA1(mAh/cm2):単位面積当たりの初回負極充電容量)
式(C)
0.90≦(QCL/QAL)≦1.10
(式中、QCL(mAh/cm2):正極の単位面積当たりの不可逆容量、QAL(mAh/cm2):負極の単位面積当たりの不可逆容量)
【0071】
式(A)、式(B)、且つ、式(C)を満たす構成を有する二次電池では、負極の電極面積Aa(cm2)が正極の電極面積Ac(cm2)よりも0.5%〜8%大きい構造を有する。式(A)、式(B)、且つ、式(C)を満たす構成を有する二次電池では、単位面積当たりの初回正極充電容量QC1(mAh/cm2)が、単位面積当たりの初回負極充電容量QA1(mAh/cm2)より小さい構成とされる。また、正極の単位面積当たりの不可逆容量QCL(mAh/cm2)と、負極の単位面積当たりの不可逆容量QAL(mAh/cm2)との比が所定範囲内にある。
【0072】
このような二次電池では、サイクル特性の劣化を抑制できると共に、ガス発生を抑制することができる。
【0073】
以下、図5A図5Cに示すグラフを参照しながら本技術の二次電池の特性を説明する。図5Aは、本技術の二次電池についての容量に対する正極および負極の電位変化(V対Li/Li+)の例を示すグラフである。図5Bは、本技術の二次電池と異なる構成を有する他の二次電池についての容量に対する正極および負極の電位変化(V対Li/Li+)の例を示すグラフである。図5Cは、本技術の二次電池と異なる構成を有する他の二次電池についての容量に対する正極および負極の電位変化(V対Li/Li+)の例を示すグラフである。
【0074】
式(A)〜式(C)満たす二次電池では、式(A)を満たす(すなわち、負極の電極面積Aaが正極の電極面積Acよりも0.5%〜8%大きい)ため、式(B)を満たすことで規定される充電終止を規定する電極が、サイクルが進んでも逆転しないで正極のまま維持される。負極の電極面積が正極の電極面積より大きいと、負極活物質層の正極活物質層に対向していない領域(負極のクリアランス部と称する)がマージンとなり、Li受け入れのバッファーとなる。式(A)〜式(C)を満たす二次電池では、サイクルが進んだ際、負極のクリアランス部にLiが消費されることで、正極の容量がサイクル初期から減少するので、充電終止を規定する電極が、サイクルが進んでも逆転しないで正極のまま維持される。このような二次電池では、充電時に負極電位が降下しないため、長期にわたってサイクル特性を安定化させることが可能である。また、充電時に負極電位が降下しないため、ガス発生を抑制することができる。
【0075】
式(A)〜式(C)を満たす二次電池では、式(B)を満たすため、二次電池の充電終止が、常に正極の充電末期の急激な電位上昇によって規定される。すなわち、充電終止を規定する電極が常に正極となっている。例えば、図5Aの電位変化を示す曲線に示すように、QA1>QC1の関係を満たし、二次電池の充電終止が正極の充電末期の急激な電位上昇によって規定され、充電終止を規定する電極が正極となっている。また、充放電に伴う使用領域ずれが生じても、マージンが確保されているので、充電終止を規定する電極の逆転は生じない。二次電池の充電終止を規定する電極が負極となり、充電終止が負極の充電末期の急激な電位降下によって規定されるようになされると、負極の電位が、電解液が安定に存在できない電位まで降下してしまい、電解液の分解によってガスが大量に発生してしまう。なお、式(B)の上限値については、(QA1/QC1)≦1.50であることが好ましい。(QA1/QC1)が大きすぎると使用しない領域が増加してしまい効率が悪いセルになってしまうからである。
【0076】
また、式(A)〜式(C)を満たす二次電池では、式(C)を満たすため、放電終止が、片方の電極の放電末期の急激な電圧変化のみによって規定されず、放電末期の電圧変化を両極に分担させることで、電極が過放電状態になることを抑えることによって、特性の劣化を抑制することができる。また、放電カットオフ電圧を下げることができるため、出力を向上することができる。例えば、放電時のカットオフ電圧を1.0Vに設定した場合には、正極の電位と負極の電位との差が1.0Vになる。極端に負極の不可逆容量が大きい場合、放電が負極のみで決定されるため、負極のプラトー電位+1.0Vまで負極電位が上昇することになり、副反応が起こりやすい電位領域にさらされる恐れがある。これらの場合、副反応を抑制するには、放電カットオフ電圧を上昇させればよいが(例えば、1.5V等)、放電カットオフ電圧を上昇させると効率が悪く、出力が低下してしまうため、放電カットオフ電圧を下げた方が好ましい。
【0077】
例えば、正極活物質としてオリビン構造のリン酸鉄リチウム化合物を用い、負極活物質としてチタン含有リチウム複合酸化物を用いた場合には、放電カットオフ電圧を0.9Vまで下げるのが好ましい。カットオフ電圧を下げて、且つ、副反応を抑制するには、放電時に正極の電位が下がる位置と、負極の電位が上昇する位置をほぼ同じ位置にすれば、片方の電極のみの電位変化を小さくすることができる。
【0078】
一方、式(C)を満たさない二次電池では、例えば、図5Bに示すように、放電終止が負極のみの放電末期の急激な電位変化によって規定され、放電末期に負極の電位が上昇して、負極が極端に過放電状態になり、負極上で副反応を生じて劣化する恐れがある。図5Cに示すように、放電終止が正極のみの放電末期の急激な電位変化によって規定され、放電末期に正極の電位が下降し、正極が極端に過放電状態になり、副反応を生じて劣化する恐れがある。
【0079】
(電極面積の規定方法)
式(A)の正極の電極面積は、正極活物質層の形成領域の面積のことをいい、負極の電極面積は、負極活物質層の形成領域の面積ことをいう。例えば、電極活物質層が形成されていない電極集電体露出部の領域は、電極面積から除外される。
【0080】
積層型電極構造を有する電池素子を用いた二次電池では、例えば、次のように正極の電極面積Acおよび負極の電極面積Aaを規定することができる。セパレータを介して対向する一対の正極活物質層および負極活物質層のうちの、正極活物質層の形成領域の面積を正極の電極面積Acとし、負極活物質層の形成領域の面積を負極の電極面積Aaとする。図4Aおよび図4Bに示す一例では、正極活物質層の形成領域は、縦幅Dc、横幅Wcの矩形状であり、正極の電極面積Acは、Ac=Dc×Wcである。同様に、負極活物質層の形成領域は、縦幅Da、横幅Waの矩形状であり、負極の電極面積Aaは、Aa=Da×Waである。
【0081】
なお、電極面積が大きくなるに従い、正極と負極とのクリアランスの面積が相対的に小さくなり、単位体積当たりのエネルギー密度を向上できるため、電極面積は40cm2以上であることが好ましい。また、積層数を増加すると、セル(二次電池)の厚みが増加し、充放電に伴う発熱によって温度分布が生じて劣化する傾向にある。これに対して、放熱性を向上されるため、積層型電極構造を有する電池素子の厚みは15mm以内が好ましい。
【0082】
(1−2)二次電池の製造方法
上述の二次電池は、例えば、以下のような工程で作製することができる。
【0083】
(正極の作製)
正極材料と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤に分散させて正極合剤スラリーとする。続いて、この正極合剤スラリーを帯状の正極集電体4Aの両面に塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機等により圧縮成型して正極活物質層4Bを形成し、正極シートとする。この正極シートを所定の寸法に切断し、正極4を作製する。このとき、正極集電体4Aの一部を露出するようにして正極活物質層4Bを形成する。その後、正極集電体露出部の不要な部分を切断して正極集電体露出部4Cを形成する。これにより、正極4が得られる。
【0084】
(負極の作製)
負極材料と、結着剤と、導電剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤に分散させて負極合剤スラリーとする。続いて、この負極合剤スラリーを負極集電体5Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機等により圧縮成型して負極活物質層5Bを形成し、負極シートとする。この負極シートを所定の寸法に切断し、負極5を作製する。このとき、負極集電体5Aの一部を露出するようにして負極活物質層5Bを形成する。その後、負極集電体露出部の不要な部分を切断して負極集電体露出部5Cを形成する。これにより、負極5が得られる。
【0085】
(マトリックス高分子化合物層の形成)
次に、セパレータの両方の主面のうちの少なくとも一方の主面に、非水電解液と、高分子化合物と、N−メチル−2−ピロリドン等の分散溶媒とを含む塗布溶液を塗布した後、乾燥等を行うことにより、マトリックス高分子化合物層を形成する。
【0086】
(積層工程)
次に、正極4と負極5とを、マトリックス高分子化合物層が形成されたセパレータ6間に交互に挿入し、例えば、負極5、セパレータ6、正極4・・・セパレータ6、正極4、セパレータ6、負極5となるように重ね合わせて所定数の正極4および負極5を積層する。続いて、正極4、負極5およびセパレータ66が密着するように押圧した状態で固定し、電池素子40を作製する。電池素子40をより強固に固定するには、例えば接着テープ等の固定部材35を用いることができる。固定部材35を用いて固定する場合には、例えば電池素子40の両サイド部に固定部材35を設ける。
【0087】
(集電体露出部切断工程)
次に、複数枚の正極集電体露出部4Cおよび複数枚の負極集電体露出部5Cを断面U字状となるように折り曲げる。次に、U字曲げ部を形成した正極集電体露出部4Cおよび負極集電体露出部5Cの先端を切り揃える。集電体露出部切断工程では、予め最適な形状を有するU字曲げ部を形成し、そのU字曲げ形状に合わせて正極集電体露出部4Cおよび負極集電体露出部5Cの余剰分を切断する。
【0088】
(正極タブおよび負極タブ接続工程)
続いて、正極集電体露出部4Cと正極タブ32との接続を行う。負極集電体露出部5Cと負極タブ33との接続を行う。なお、正極タブ32および負極タブ33にはあらかじめ密着フィルム34が設けられているものとする。
【0089】
(外装工程)
作製した電池素子40を外装材31で外装し、正極タブ32および負極タブ33が導出されたトップ部およびトップ部と対向する側のボトム部、並びに、トップ部とボトム部とに挟まれた両辺のサイド部の一方を、ヒータヘッドで加熱して熱融着する
【0090】
続いて、熱融着していない他のサイド部の開口から、電解液を注液する。最後に、注液を行ったサイド部の外装材31を熱融着し、電池素子40を外装材31内に封止する。このとき真空封止することにより、非水電解液がマトリックス高分子化合物層に含浸され、高分子化合物が膨潤して、ゲル状の電解質からなる電解質層(図示は省略)が形成される。以上により、二次電池が完成する。なお、電解質層は、あらかじめ、正極および負極の少なくとも何れかの電極の両面、または、セパレータの少なくとも一方の面に塗布することにより形成してもよい。
【0091】
2.第2の実施の形態
(2−1)二次電池の構成例
本技術の第2の実施の形態による二次電池について説明する。図6Aは、本技術の第2の実施の形態による二次電池の外観を示す略線図であり、図6Bは、二次電池の構成を示す略線図である。なお、図6Bは、図6Aに示す二次電池の底面および上面を反転させた場合の構成を示している。また、図6Cは、二次電池の外観底面側を示す略線図である。図6Dは、外装材により外装される電池素子の側面図である。
【0092】
第2の実施の形態による二次電池は、電池素子の構成等が第1の実施の形態と異なる点以外は、第1の実施の形態と同様である。したがって、以下では、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施の形態と重複する部分の説明を適宜省略する。
【0093】
図6A図6Dに示すように、二次電池は、電池素子40と外装材31とを備える。電池素子40は、外装材31にて外装されている。正極集電体露出部4Cおよび負極集電体露出部5Cとそれぞれ接続された正極タブ32および負極タブ33は、外装材31の封止部から外部に導出されている第1の実施の形態による二次電池と異なり、正極タブ32および負極タブ33は、互いに対向する辺から導出されている。
【0094】
(電池素子)
電池素子40は、図7Aに示す略矩形状の正極4と、正極4と対向して配された図7Bに示す略矩形状の負極5とが、セパレータ6を介して交互に積層された積層型電極構造を有している。なお、図示は省略するが、第1の実施の形態と同様、電池素子40は、電解質層を備えていてもよい。この場合、例えば、電池素子40において、正極4およびセパレータ6の間、並びに、負極5およびセパレータ6の間の少なくとも何れかの間に、電解質(電解質層)が形成されていてもよい。電解質は、例えば、電解液が高分子化合物に保持されたもの等であり、例えば、ゲル状の電解質である。なお、電解質として、液状の電解質である電解液を用いる場合には、電解質層は形成されず、電池素子40は外装材31内に充填された電解液に含浸される。
【0095】
図6Dに示すように、電池素子40からは、複数枚の正極4とそれぞれ電気的に接続された正極集電体露出部4Cと、複数枚の負極5とそれぞれ電気的に接続された負極集電体露出部5Cとが引き出されている。正極集電体露出部4Cおよび負極集電体露出部5Cには、それぞれ正極タブ32および負極タブ33が接続されている。さらに、正極集電体露出部4Cおよび負極集電体露出部5Cは、断面が略U字形状となるように折り曲げられて構成されている。正極タブ32および負極タブ33は、外装材31の封止部分から外部に向かい異なる方向に導出されている。
【0096】
第2の実施の形態による二次電池は、第1の実施の形態と同様、式(A)、式(B)、且つ、式(C)を満たすものである。したがって、第1の実施の形態による二次電池と同様の効果を奏する。
【0097】
(2−2)二次電池の製造方法
図2Aおよび図2Bに示す電池素子40に代えて、図6Dに示す電池素子40を形成すること以外は、第1の実施の形態として同様にして、二次電池を作製することができる。
【0098】
3.第3の実施の形態
(3−1)二次電池の構成例
第3の実施の形態による二次電池について説明する。第3の実施の形態による二次電池は、積層型の電池素子に代えて、巻回型の電池素子である巻回電極体50を用いたこと以外は、第1の実施の形態と同様である。
【0099】
図8は、巻回電極体を収容した電池の分解斜視図である。この二次電池は、正極リード52および負極リード53が取り付けられた巻回電極体50を、外装材60の内部に収容したものである。
【0100】
正極リード52は、例えば、アルミニウム等の金属材料によって構成されており、負極リード53は、例えば、銅、ニッケルまたはステンレス等の金属材料によって構成されている。これらの金属材料は、例えば、薄板状または網目状になっている。外装材60は、第1の実施の形態の外装材31と同様のものである。
【0101】
正極リード52および負極リード53は、それぞれ、外装材60の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。外装材60は、外装材60と正極リード52および負極リード53との間には、外装材60と、金属材料からなる正極リード52および負極リード53との接着性を向上させるための、第1の実施の形態と同様の密着フィルム61が配置されている。
【0102】
図9は、図8に示した巻回電極体50のI−I線に沿った断面構造を表すものである。図9に示すように、巻回電極体50は、帯状の正極54と帯状の負極55とを帯状のセパレータ56および電解質層57を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は必要に応じて保護テープ58により保護されている。なお、正極、負極、セパレータは、形状以外は、第1の実施の形態と同様であり、電解質層57は、第1の実施の形態の電解質層と同様である。電解質として、液状の電解質である電解液を用いる場合には、電解質層57は形成されず、電解質層57を省略した構成の巻回電極体50は、外装材60内に充填された電解液に含浸される。
【0103】
第3の実施の形態による二次電池は、第1の実施の形態と同様、式(A)、式(B)、且つ、式(C)を満たすものである。したがって、第1の実施の形態による二次電池と同様の効果を奏する。
【0104】
(電極面積の規定方法)
なお、第3の実施の形態のように巻回型電極構造を有する電池素子を用いた二次電池では、例えば、次のように正極の電極面積Acおよび負極の電極面積Aaを規定することができる。セパレータを介して対向する一対の正極および負極のうちの、正極集電体の一方の面に形成された正極活物質層の形成領域の面積と、他方の面に形成された正極活物質層の形成領域の面積との合計面積を正極の電極面積Acとする。同様に、負極集電体の一方の面に形成された負極活物質層の形成領域の面積と、他方の面に形成された負極活物質層の形成領域の面積との合計面積を負極の電極面積Aaとする。
【0105】
(3−2)二次電池の製造方法
上述した二次電池は、例えば、以下のような工程で作製することができる。
【0106】
(正極の製造方法)
正極材料と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーを作製する。次に、この正極合剤スラリーを正極集電体54Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機等により圧縮成型することにより正極活物質層54Bを形成し、正極54を作製する。
【0107】
(負極の製造方法)
負極材料と、結着剤と、導電剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーを作製する。次に、この負極合剤スラリーを負極集電体55Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機等により圧縮成型することにより負極活物質層55Bを形成し、負極55を作製する。
【0108】
正極54および負極55のそれぞれの両面に、非水電解液と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質層57を形成する。そののち、正極集電体54Aの端部に正極リード52を溶接により取り付けると共に、負極集電体55Aの端部に負極リード53を溶接により取り付ける。
【0109】
次に、電解質層57が形成された正極54と負極55とをセパレータ56を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ58を接着して巻回電極体50を形成する。
【0110】
最後に、例えば、外装材60の間に巻回電極体50を挟み込み、外装材60の外縁部同士を熱融着等により密着させて封入する。その際、正極リード52および負極リード53と外装材60との間には密着フィルム61を挿入する。これにより、図8および図9に示した二次電池が完成する。
【0111】
(二次電池の他の製造方法)
この二次電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述と同様に正極54および負極55の作製、および非水電解液の調製を行う。
【0112】
次に、セパレータ56の両方の主面のうちの少なくとも一方の主面に、非水電解液と、高分子化合物と、N−メチル−2−ピロリドン等の分散溶媒とを含む塗布溶液を塗布した後、乾燥等を行いマトリックス高分子化合物層を形成する。
【0113】
次に、正極54と負極55とを、少なくとも一方の主面にマトリックス高分子化合物層が形成されたセパレータ56を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ58を接着して巻回電極体50を作製する。
【0114】
次に、この巻回電極体50を外装材60に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装材60の内部に収納する。その際、正極リード52および負極リード53と外装材60との間には密着フィルム61を挿入する。
【0115】
続いて、非水電解液を外装材60の未溶着部分から内部に注入したのち、その外装材60の未溶着部を熱融着等で密封する。このとき真空封止することにより、非水電解液がマトリックス高分子化合物層に含浸され、そのマトリックス高分子化合物が膨潤して、電解質層57が形成される。これにより、目的とする二次電池が得られる。
【0116】
また、この二次電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述したようにして正極54および負極55を作製し、正極54および負極55に正極リード52および負極リード53を取り付けたのち、正極54と負極55とをセパレータ56を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ58を接着して、巻回電極体50を形成する。次に、この巻回電極体50を外装材60に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装材60の内部に収納する。続いて、非水電解液とともに、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤等の他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装材60の内部に注入する。
【0117】
電解質用組成物を注入したのち、外装材60の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。次に、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることにより電解質層57が形成される。これにより、目的とする二次電池が得られる。
【0118】
4.第4の実施の形態
(4−1)二次電池の構成例
本技術の第4の実施の形態による二次電池について説明する。図10は、第4の実施の形態による二次電池の一例を示す断面図である。この二次電池は、いわゆる円筒型と呼ばれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶81の内部に、図示しない液体状の電解質(以下、電解液と適宜称する場合もある)とともに帯状の正極91と負極92とがセパレータ93を介して巻回された巻回電極体90を有している。
【0119】
電池缶81は、一端部が閉鎖されると共に他端部が開放された中空構造を有していると共に、例えば、Fe、Alまたはそれらの合金等により形成されている。なお、電池缶81の表面にNi等が鍍金されていてもよい。一対の絶縁板82、83は、巻回電極体90を上下から挟むと共にその巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
【0120】
電池缶81の開放端部には、電池蓋84、安全弁機構85および熱感抵抗素子(positive temperature coefficient:PTC素子)86がガスケット87を介してかしめられている。これにより、電池缶81は密閉されている。電池蓋84は、例えば、電池缶81と同様の材料により形成されている。安全弁機構85および熱感抵抗素子86は、電池蓋84の内側に設けられており、その安全弁機構85は、熱感抵抗素子86を介して電池蓋84と電気的に接続されている。この安全弁機構85では、内部短絡、または外部からの加熱等に起因して内圧が一定以上になると、ディスク板85Aが反転して電池蓋84と巻回電極体90との間の電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子86は、大電流に起因する異常な発熱を防止するものである。この熱感抵抗素子86では、温度上昇に応じて抵抗が増加するようになっている。ガスケット87は、例えば、絶縁材料により形成されており、その表面にはアスファルトが塗布されていてもよい。
【0121】
巻回電極体90の中心には、センターピン94が挿入されていてもよい。正極91には、例えば、Al等の導電性材料により形成された正極リード95が接続されていると共に、負極92には、例えば、Ni等の導電性材料により形成された負極リード96が接続されている。正極リード95は、安全弁機構85に溶接等され、電池蓋84と電気的に接続されていると共に、負極リード96は、電池缶81に溶接等され、その電池缶81と電気的に接続されている。
【0122】
図11は、図10に示した巻回電極体90の一部を拡大して表すものである。以下、正極91、負極92、セパレータ93について、詳細に説明する。
【0123】
(正極)
正極91は、例えば、正極集電体91Aの両面に正極活物質層91Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、正極集電体91Aの片面のみに正極活物質層91Bが設けられた領域を有していてもよい。正極集電体91Aとしては、例えばアルミニウム(Al)箔、ニッケル(Ni)箔あるいは、ステンレス(SUS)箔等の金属箔を用いることができる。
【0124】
正極活物質層91Bは、正極活物質としては、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されており、必要に応じて、結着剤や導電剤等の他の材料を含んでいてもよい。なお、正極活物質、導電剤および結着剤は、それぞれ第1の実施の形態と同様のものを用いることができる。
【0125】
正極91は正極集電体91Aの一端部にスポット溶接または超音波溶接で接続された正極リード95を有している。
【0126】
(負極)
負極92は、例えば、負極集電体92Aの両面に負極活物質層92Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、負極集電体92Aの片面のみに負極活物質層92Bが設けられた領域を有していてもよい。負極集電体92Aは、例えば、銅箔、アルミニウム箔等の金属箔により構成されている。
【0127】
負極活物質層92Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されており、必要に応じて正極活物質層91Bと同様の結着剤や導電剤等の他の材料を含んで構成されていてもよい。なお、負極活物質、導電剤および結着剤は、それぞれ第1の実施の形態と同様のものを用いることができる。
【0128】
(セパレータ)
セパレータ93は、帯状であること以外は第1の実施の形態によるセパレータ6と同様である。
【0129】
(非水電解液)
非水電解液は、第1の実施の形態と同様である。
【0130】
第4の実施の形態による二次電池は、第1の実施の形態と同様、式(A)、式(B)、且つ、式(C)を満たすものである。したがって、第1の実施の形態による二次電池と同様の効果を奏する。
【0131】
(電極面積の規定方法)
なお、第4の実施の形態のように巻回型電極構造を有する電池素子を用いた二次電池では、第3の実施の形態と同様に、正極の電極面積Acおよび負極の電極面積Aaを規定することができる。
【0132】
(4−2)二次電池の製造方法
(正極および負極の作製、非水電解液の調製)
まず、第3の実施の形態と同様に正極54および負極55の作製、および非水電解液の調製を行う。
【0133】
(非水電解質電池の組み立て)
正極集電体91Aに正極リード95を溶接等により取り付けると共に、負極集電体92Aに負極リード96を溶接等により取り付ける。その後、正極91と負極92とをセパレータ93を介して巻回し巻回電極体90とする。正極リード95の先端部を安全弁機構に溶接すると共に、負極リード96の先端部を電池缶81に溶接する。この後、巻回電極体90の巻回面を一対の絶縁板82,83で挟み、電池缶81の内部に収納する。巻回電極体90を電池缶81の内部に収納したのち、非水電解液を電池缶81の内部に注入し、セパレータ93に含浸させる。そののち、電池缶81の開口端部に電池蓋84、安全弁等からなる安全弁機構85および熱感抵抗素子86をガスケット87を介してかしめることにより固定する。これにより、図10に示す本技術の二次電池が作製される。
【0134】
5.第5の実施の形態
第5の実施の形態では、第1の実施の形態、第2の実施の形態または第3の実施の形態と同様のラミネートフィルム型の二次電池を用いた単電池の電池パックの例について説明する
【0135】
この電池パックは、簡易型の電池パック(ソフトパックとも称する)である。簡易型の電池パックは、典型的には、スマートフォン(smartphone)等の電子機器等に内蔵されるものであり、電池セルや保護回路等が絶縁テープ等で固定され、電池セルの一部が露出され、電子機機本体に接続されるコネクタ等の出力が設けられたものである。
【0136】
簡易型の電池パックの構成の一例について説明する。図12は簡易型の電池パックの構成例を示す分解斜視図である。図13Aは、簡易型の電池パックの外観を示す概略斜視図であり、図13Bは、簡易型の電池パックの外観を示す概略斜視図である。
【0137】
図12および図13A図13Bに示すように、簡易型の電池パックは、電池セル101と、電池セル101から導出されたタブ102aおよび102bと、絶縁テープ103a〜103cと、絶縁プレート104と、保護回路(PCM(Protection Circuit Module))が形成された回路基板105と、コネクタ106とを備える。電池セル101は、例えば、第1の実施の形態〜第3の実施の形態の何れかの二次電池と同様である。
【0138】
電池セル101の前端のテラス部101aに、絶縁プレート104および回路基板105が配置され、電池セル101から導出されたタブ102aおよびタブ102bが、回路基板105に接続される。
【0139】
回路基板105には、出力のためのコネクタ106が接続されている。電池セル101、絶縁プレート104および回路基板105等の部材は、絶縁テープ103a〜103cを所定箇所に貼ることによって固定されている。
【0140】
<6.第6の実施の形態>
図14は、本技術の第1の実施の形態〜第4の実施の形態による二次電池を電池パックに適用した場合の回路構成例を示すブロック図である。電池パックは、組電池301、外装、充電制御スイッチ302aと、放電制御スイッチ303a、を備えるスイッチ部304、電流検出抵抗307、温度検出素子308、制御部310を備えている。
【0141】
また、電池パックは、正極端子321および負極リード322を備え、充電時には正極端子321および負極リード322がそれぞれ充電器の正極端子、負極端子に接続され、充電が行われる。また、電子機器使用時には、正極端子321および負極リード322がそれぞれ電子機器の正極端子、負極端子に接続され、放電が行われる。
【0142】
組電池301は、複数の二次電池301aを直列および/または並列に接続してなる。この二次電池301aとしては、本技術の第1の実施の形態〜第4の実施の形態の少なくとも何れかの二次電池を用いることができる。なお、図14では、6つの二次電池301aが、2並列3直列(2P3S)に接続された場合が例として示されているが、その他、n並列m直列(n,mは整数)のように、どのような接続方法でもよい。
【0143】
スイッチ部304は、充電制御スイッチ302aおよびダイオード302b、ならびに放電制御スイッチ303aおよびダイオード303bを備え、制御部310によって制御される。ダイオード302bは、正極端子321から組電池301の方向に流れる充電電流に対して逆方向で、負極リード322から組電池301の方向に流れる放電電流に対して順方向の極性を有する。ダイオード303bは、充電電流に対して順方向で、放電電流に対して逆方向の極性を有する。尚、例では+側にスイッチ部304を設けているが、−側に設けても良い。
【0144】
充電制御スイッチ302aは、電池電圧が過充電検出電圧となった場合にOFFされて、組電池301の電流経路に充電電流が流れないように充放電制御部によって制御される。充電制御スイッチ302aのOFF後は、ダイオード302bを介することによって放電のみが可能となる。また、充電時に大電流が流れた場合にOFFされて、組電池301の電流経路に流れる充電電流を遮断するように、制御部310によって制御される。
【0145】
放電制御スイッチ303aは、電池電圧が過放電検出電圧となった場合にOFFされて、組電池301の電流経路に放電電流が流れないように制御部310によって制御される。放電制御スイッチ303aのOFF後は、ダイオード303bを介することによって充電のみが可能となる。また、放電時に大電流が流れた場合にOFFされて、組電池301の電流経路に流れる放電電流を遮断するように、制御部310によって制御される。
【0146】
温度検出素子308は例えばサーミスタであり、組電池301の近傍に設けられ、組電池301の温度を測定して測定温度を制御部310に供給する。電圧検出部311は、組電池301およびそれを構成する各二次電池301aの電圧を測定し、この測定電圧をA/D変換して、制御部310に供給する。電流測定部313は、電流検出抵抗307を用いて電流を測定し、この測定電流を制御部310に供給する。
【0147】
スイッチ制御部314は、電圧検出部311および電流測定部313から入力された電圧および電流を基に、スイッチ部304の充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aを制御する。スイッチ制御部314は、二次電池301aのいずれかの電圧が過充電検出電圧もしくは過放電検出電圧以下になったとき、また、大電流が急激に流れたときに、スイッチ部304に制御信号を送ることにより、過充電および過放電、過電流充放電を防止する。
【0148】
ここで、例えば、コバルト酸リチウムとグラファイトを用いたリチウムイオン二次電池の場合、過充電検出電圧が例えば4.20V・0.05Vと定められ、過放電検出電圧が例えば2.4V・0.1Vと定められる。
【0149】
充放電スイッチは、例えばMOSFET等の半導体スイッチを使用できる。この場合MOSFETの寄生ダイオードがダイオード302bおよび303bとして機能する。充放電スイッチとして、Pチャンネル型FETを使用した場合は、スイッチ制御部314は、充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aのそれぞれのゲートに対して、制御信号DOおよびCOをそれぞれ供給する。充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aはPチャンネル型である場合、ソース電位より所定値以上低いゲート電位によってONする。すなわち、通常の充電および放電動作では、制御信号COおよびDOをローレベルとし、充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aをON状態とする。
【0150】
そして、例えば過充電もしくは過放電の際には、制御信号COおよびDOをハイレベルとし、充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aをOFF状態とする。
【0151】
メモリ317は、RAMやROMからなり例えば不揮発性メモリであるEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)等からなる。メモリ317では、制御部310で演算された数値や、製造工程の段階で測定された各二次電池301aの初期状態における電池の内部抵抗値等が予め記憶され、また適宜、書き換えも可能である。また、二次電池301aの満充電容量を記憶させておくことで、制御部310とともに例えば残容量を算出することができる。
【0152】
温度検出部318では、温度検出素子308を用いて温度を測定し、異常発熱時に充放電制御を行ったり、残容量の算出における補正を行う。
【0153】
<7.第7の実施の形態>
上述した本技術の第1の実施の形態〜第4の実施の形態による二次電池および第5の実施の形態〜第6の実施の形態による電池パックの少なくとも何れかは、例えば電子機器や電動車両、蓄電装置等の機器に搭載または電力を供給するために使用することができる。
【0154】
電子機器として、例えばノート型パソコン、PDA(携帯情報端末)、携帯電話、コードレスフォン子機、ビデオムービー、デジタルスチルカメラ、電子書籍、電子辞書、音楽プレイヤー、ラジオ、ヘッドホン、ゲーム機、ナビゲーションシステム、メモリーカード、ペースメーカー、補聴器、電動工具、電気シェーバー、冷蔵庫、エアコン、テレビ、ステレオ、温水器、電子レンジ、食器洗い器、洗濯機、乾燥器、照明機器、玩具、医療機器、ロボット、ロードコンディショナー、信号機等が挙げられる。
【0155】
また、電動車両としては鉄道車両、ゴルフカート、電動カート、電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)等が挙げられ、これらの駆動用電源または補助用電源として用いられる。
【0156】
蓄電装置としては、住宅をはじめとする建築物用または発電設備用の電力貯蔵用電源等が挙げられる。
【0157】
以下では、上述した適用例のうち、上述した本技術の二次電池を適用した蓄電装置を用いた蓄電システムの具体例を説明する。
【0158】
この蓄電システムは、例えば下記の様な構成が挙げられる。第1の蓄電システムは、再生可能エネルギーから発電を行う発電装置によって蓄電装置が充電される蓄電システムである。第2の蓄電システムは、蓄電装置を有し、蓄電装置に接続される電子機器に電力を供給する蓄電システムである。第3の蓄電システムは、蓄電装置から、電力の供給を受ける電子機器である。これらの蓄電システムは、外部の電力供給網と協働して電力の効率的な供給を図るシステムとして実施される。
【0159】
さらに、第4の蓄電システムは、蓄電装置から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、蓄電装置に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう制御装置とを有する電動車両である。第5の蓄電システムは、他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部とを備え、送受信部が受信した情報に基づき、上述した蓄電装置の充放電制御を行う電力システムである。第6の蓄電システムは、上述した蓄電装置から、電力の供給を受け、または発電装置または電力網から蓄電装置に電力を供給する電力システムである。以下、蓄電システムについて説明する。
【0160】
(7−1)応用例としての住宅における蓄電システム
本技術の二次電池を用いた蓄電装置を住宅用の蓄電システムに適用した例について、図15を参照して説明する。例えば住宅401用の蓄電システム400においては、火力発電402a、原子力発電402b、水力発電402c等の集中型電力系統402から電力網409、情報網412、スマートメータ407、パワーハブ408等を介し、電力が蓄電装置403に供給される。これと共に、家庭内の発電装置404等の独立電源から電力が蓄電装置403に供給される。蓄電装置403に供給された電力が蓄電される。蓄電装置403を使用して、住宅401で使用する電力が給電される。住宅401に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
【0161】
住宅401には、発電装置404、電力消費装置405、蓄電装置403、各装置を制御する制御装置410、スマートメータ407、各種情報を取得するセンサ411が設けられている。各装置は、電力網409および情報網412によって接続されている。発電装置404として、太陽電池、燃料電池等が利用され、発電した電力が電力消費装置405および/または蓄電装置403に供給される。電力消費装置405は、冷蔵庫405a、空調装置であるエアコン405b、テレビジョン受信機であるテレビ405c、バス(風呂)405d等である。さらに、電力消費装置405には、電動車両406が含まれる。電動車両406は、電気自動車406a、ハイブリッドカー406b、電気バイク406cである。
【0162】
蓄電装置403に対して、本技術の二次電池が適用される。本技術の二次電池は、例えば上述したリチウムイオン二次電池によって構成されていてもよい。スマートメータ407は、商用電力の使用量を測定し、測定された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網409は、直流給電、交流給電、非接触給電の何れか一つまたは複数を組み合わせても良い。
【0163】
各種のセンサ411は、例えば人感センサ、照度センサ、物体検知センサ、消費電力センサ、振動センサ、接触センサ、温度センサ、赤外線センサ等である。各種のセンサ411により取得された情報は、制御装置410に送信される。センサ411からの情報によって、気象の状態、人の状態等が把握されて電力消費装置405を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置410は、住宅401に関する情報をインターネットを介して外部の電力会社等に送信することができる。
【0164】
パワーハブ408によって、電力線の分岐、直流交流変換等の処理がなされる。制御装置410と接続される情報網412の通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transceiver:非同期シリアル通信用送受信回路)等の通信インターフェースを使う方法、Bluetooth、ZigBee、Wi−Fi等の無線通信規格によるセンサーネットワークを利用する方法がある。Bluetooth方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBeeは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network)またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
【0165】
制御装置410は、外部のサーバ413と接続されている。このサーバ413は、住宅401、電力会社、サービスプロバイダーの何れかによって管理されていても良い。サーバ413が送受信する情報は、たとえば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置(たとえばテレビジョン受信機)から送受信しても良いが、家庭外の装置(たとえば、携帯電話機等)から送受信しても良い。これらの情報は、表示機能を持つ機器、たとえば、テレビジョン受信機、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等に、表示されても良い。
【0166】
各部を制御する制御装置410は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成され、この例では、蓄電装置403に格納されている。制御装置410は、蓄電装置403、家庭内の発電装置404、電力消費装置405、各種のセンサ411、サーバ413と情報網412により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能等を備えていても良い。
【0167】
以上のように、電力が火力発電402a、原子力発電402b、水力発電402c等の集中型電力系統402のみならず、家庭内の発電装置404(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置403に蓄えることができる。したがって、家庭内の発電装置404の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、または、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置403に蓄えると共に、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置403に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置403によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
【0168】
なお、この例では、制御装置410が蓄電装置403内に格納される例を説明したが、スマートメータ407内に格納されても良いし、単独で構成されていても良い。さらに、蓄電システム400は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
【0169】
(7−2)応用例としての車両における蓄電システム
本技術を車両用の蓄電システムに適用した例について、図16を参照して説明する。図16に、本技術が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンで動かす発電機で発電された電力、あるいはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
【0170】
このハイブリッド車両500には、エンジン501、発電機502、電力駆動力変換装置503、駆動輪504a、駆動輪504b、車輪505a、車輪505b、バッテリー508、車両制御装置509、各種センサ510、充電口511が搭載されている。バッテリー508に対して、上述した本技術の二次電池が適用される。
【0171】
ハイブリッド車両500は、電力駆動力変換装置503を動力源として走行する。電力駆動力変換装置503の一例は、モータである。バッテリー508の電力によって電力駆動力変換装置503が作動し、この電力駆動力変換装置503の回転力が駆動輪504a、504bに伝達される。なお、必要な個所に直流−交流(DC−AC)あるいは逆変換(AC−DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置503が交流モータでも直流モータでも適用可能である。各種センサ510は、車両制御装置509を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ510には、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサ等が含まれる。
【0172】
エンジン501の回転力は発電機502に伝えられ、その回転力によって発電機502により生成された電力をバッテリー508に蓄積することが可能である。
【0173】
図示しない制動機構によりハイブリッド車両500が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置503に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置503により生成された回生電力がバッテリー508に蓄積される。
【0174】
バッテリー508は、ハイブリッド車両500の外部の電源に接続されることで、その外部電源から充電口511を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
【0175】
図示しないが、二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていても良い。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置等がある。
【0176】
なお、以上は、エンジンで動かす発電機で発電された電力、或いはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、モータで走行するシリーズハイブリッド車を例として説明した。しかしながら、エンジンとモータの出力がいずれも駆動源とし、エンジンのみで走行、モータのみで走行、エンジンとモータ走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車に対しても本技術は有効に適用可能である。さらに、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する所謂、電動車両に対しても本技術は有効に適用可能である。
【実施例】
【0177】
以下、実施例により本技術を詳細に説明する。なお、本技術は、下記の実施例の構成に限定されるものではない。
【0178】
<実施例1−1>
次のようにして、実施例1−1のラミネートフィルム型の二次電池を作製した。
【0179】
(正極作製)
正極は以下のように作製した。まず、正極活物質としてLiFePO485質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン5質量部と、導電剤として炭素10質量部と、分量外のN−メチルピロリドンとをミキサーで混錬、さらに所望の粘度になるようにN−メチルピロリドン(NMP)を添加し分散させ、正極合剤スラリーを得た。なお、LiFePO4は、導電性を向上させるため、炭素によりコーティングされているものを使用した。
【0180】
次に、正極集電体露出部が形成されるように正極合剤スラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥した後、ロールプレス機等により圧縮成型することにより正極活物質層を形成した。
【0181】
(負極作製)
負極は以下のようにして作製した。まず、負極活物質としてLi4Ti51285質量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン5質量部と、導電剤として炭素10質量部と、分量外のN−メチルピロリドンを混錬し、負極合剤スラリーを得た。なお、Li4Ti512は、導電性を向上させるため炭素によりコーティングされているものを使用した。
【0182】
次に、負極合剤スラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥した後、ロールプレス機等により圧縮成型することにより負極活物質層を形成した。
【0183】
なお、正極活物質層、負極活物質層をそれぞれ正極集電体、負極集電体に塗布形成する前に、あらかじめ負極合剤の重量当たりのリチウム吸蔵能力、正極合剤の重量当たりのリチウム放出能力を測定し、正極合剤スラリーおよび負極合剤スラリーの塗布量および電極面積を調整することにより、(Aa/Ac)、(QA1/QC1)、(QCL/QAL)が所定の値になるように調整した。実施例1−1では、(Aa/Ac)=1.07、(QA1/QC1)=1.21、(QCL/QAL)=0.97となるように調整した。なお、負極合剤の重量当たりのリチウム吸蔵能力、正極合剤の重量当たりのリチウム放出能力は、合剤塗布後の電極を規定の大きさに打ち抜き、Li金属を対極としたコインセルを組み、充放電を行い、容量を測定することにより求めた。この際、充放電時の電流は0.2C相当、電極の面積密度にもよるが、約0.1mA〜1mAの大きさの電流値で、充電および放電を行った。
【0184】
(電池素子作製)
電池素子は以下のようにして作製した。まず、各電極を規定の大きさに打ち抜き、厚さ16μmのポリエチレン製微多孔フィルムを負極よりも大きくなるように切断し、これをセパレータとした。次に、上述のようにして得られた正極15枚、負極16枚、セパレータ30枚を、図2Aおよび図2Cに示すように、負極、セパレータ、正極・・・、正極、セパレータ、負極の順で積層した。電池素子の厚みは5mmとなるようにした。なお、電池素子の上下最外層は負極活物質層となるが、これらの部分は正極と対向していないため電池反応には寄与するものではない。また、この積層に際しては、図4Bに示すように、積層方向から見て、正極活物質層の投影面が負極活物質層の投影面の内側に収まるように、負極と正極の相対位置を調整した。
【0185】
(二次電池作製)
次に、正極集電体露出部15枚を同時にアルミニウム製の正極タブに超音波溶接により接続した。同様にして、負極集電体露出部16枚を同時にアルミニウム製の負極タブに超音波溶接した。次に、外装材として、無延伸ポリプロピレン(CPP)からなる樹脂層、接着層、アルミニウム箔、接着層、ナイロンからなる樹脂層を順次積層した積層構造を有する2枚の矩形状のアルミラミネートフィルムを準備した。2枚の矩形状のアルミラミネートフィルムのうちの一方のアルミラミネートフィルムの一部には、電池素子を収容する凹部を形成した。次に、正極タブおよび負極タブの一端を外部に引き出すようにして、電池素子を一方のアルミラミネートフィルムの凹部に収容した。次に、残りのアルミラミネートフィルムを、電池素子を収容した凹部を覆うように重ね合わせて、1辺を除く周縁部を熱融着して袋状とした。
【0186】
次に、プロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)と六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を、PC:DMC:LiPF6=35:50:15の質量比で混合することにより、電解液を調製した。
【0187】
次に、袋状のアルミラミネートフィルムの開口部(未融着部分)から、電解液を注入し、電池素子に含浸させたのち、開口部を熱融着して封止した。以上により、目的とする二次電池を得た。
【0188】
<実施例1−2>〜<実施例1−4>
正極合剤スラリーおよび負極合剤スラリーの塗布量、電極面積を調整することにより、Ac、Aa、(Aa/Ac)、(QA1/QC1)、(QCL/QAL)を、下掲の表1に示す値になるように調整した。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして、二次電池を作製した。
【0189】
<比較例1−1>〜<比較例1−6>
正極合剤スラリーおよび負極合剤スラリーの塗布量、電極面積を調整することにより、Ac、Aa、(Aa/Ac)、(QA1/QC1)、(QCL/QAL)を、下掲の表1に示す値になるように調整した。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして、二次電池を作製した。
【0190】
(評価)
作製した二次電池について以下のサイクル維持率の測定および厚み増加率の測定を行った。
【0191】
(サイクル維持率の測定)
作製した電池について、以下のサイクル試験を行い容量維持率(サイクル維持率)を求めた。23℃にて所定の充電電圧2.3Vで1Cの電流でCC−CV充電(定電流定電圧充電)を3時間行い、1時間休止した後、1Cの放電電流で1Vの電圧まで放電した。この操作を2回繰り返した。2回目の放電を1サイクル目として、このときの放電容量をこの電池の初期放電容量とした。同様の条件にて充放電を繰り返し行い、[500サイクル後の容量/初期放電容量]×100(%)をサイクル維持率とした。なお、1Cは、理論容量を1時間で放電(または充電)しきる電流値である。0.5は、理論容量を2時間で放電(または充電)しきる電流値である。
【0192】
(厚み増加率の測定)
上述サイクル試験を行った二次電池について、サイクル試験前のセル厚みおよびサイクル試験後のセル厚みを測定し、セル厚みの増加率を、{(500サイクル目のセル厚み)/初回充放電後のセル厚み}×100(%)により求めた。
【0193】
評価結果を表1に示す。
【0194】
【表1】
【0195】
表1に示すように、式(A)、式(B)、且つ、式(C)を満たす実施例1−1〜実施例1−4の二次電池では、サイクル特性が良好であり、且つ、厚み増加率も小さくガス発生を抑制できることがわかった。一方、比較例1−1〜比較例1−6の二次電池は、式(A)、式(B)および式(C)のうちの少なくとも何れか一の式を満たさないものであり、ガス発生およびサイクル特性の劣化の少なくとも何れかを十分に抑制できなかった。
【0196】
<実施例2−1>〜<実施例2−4>および<比較例2−1>〜<比較例2−4>
正極活物質として、LiMn0.75Fe0.25PO4を用いた。正極合剤スラリーおよび負極合剤スラリーの塗布量、電極面積を調整することにより、Ac、Aa、(Aa/Ac)、(QA1/QC1)、(QCL/QAL)を、下掲の表2に示す値になるように調整した。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして、二次電池を作製した
【0197】
(評価)
作製した各実施例および各比較例の二次電池について、実施例1−1と同様にして、サイクル維持率の測定および厚み増加率の測定を行った。
【0198】
評価結果を表2に示す。
【0199】
【表2】
【0200】
表2に示すように、式(A)、式(B)、且つ、式(C)を満たす実施例2−1〜実施例2−4の二次電池では、サイクル特性が良好であり、且つ、厚み増加率も小さくガス発生を抑制できることがわかった。一方、比較例2−1〜比較例2−4の二次電池は、式(A)、式(B)および式(C)のうちの少なくとも何れか一の式を満たさないものであり、ガス発生およびサイクル特性の劣化の少なくとも何れかを十分に抑制できなかった。
【0201】
<実施例3−1>〜<実施例3−4>および<比較例3−1>〜<比較例3−4>
正極活物質として、LiMn24を用いた。正極合剤スラリーおよび負極合剤スラリーの塗布量、電極面積を調整することにより、Ac、Aa、(Aa/Ac)、(QA1/QC1)、(QCL/QAL)を、下掲の表に示す値になるように調整した。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして、二次電池を作製した。
【0202】
(評価)
作製した各実施例および各比較例の二次電池について、実施例1−1と同様にして、サイクル維持率の測定および厚み増加率の測定を行った。
【0203】
評価結果を表3に示す。
【0204】
【表3】
【0205】
表3に示すように、式(A)、式(B)、且つ、式(C)を満たす実施例3−1〜実施例3−4の二次電池では、サイクル特性が良好であり、且つ、厚み増加率も小さくガス発生を抑制できることがわかった。一方、比較例3−1〜比較例3−4の二次電池は、式(A)、式(B)および式(C)のうちの少なくとも何れか一の式を満たさないものであり、ガス発生およびサイクル特性の劣化の少なくとも何れかを十分に抑制できなかった。
【0206】
<実施例4−1>〜<実施例4−5>および<比較例4−1>〜<比較例4−5>
実施例1−1と同様にして、正極および負極を作製した。正極集電体露出部に正極リードを取り付け、負極集電体露出部に負極リードを取り付け、これにより、正極および負極を得た。なお、正極および負極の作製の際、正極合剤スラリーおよび負極合剤スラリーの塗布量、電極面積を調整することにより、Ac、Aa、(Aa/Ac)、(QA1/QC1)、(QCL/QAL)を、下掲の表4に示す値になるように調整した。
【0207】
(セパレータ)
セパレータとして、厚さ16mm、正極幅より大きくなるよう裁断したポリエチレン(PE)製微多孔性フィルム(ポリエチレンセパレータ)を用いた。
【0208】
ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて、マトリックス樹脂溶液を調製した。
【0209】
次にセパレータの両面に、マトリックス樹脂溶液を塗布した後、乾燥することによりマトリックス樹脂溶液からNMPを除去し、両面にPVdFからなるマトリックス高分子化合物層が形成されたセパレータを作製した。
【0210】
[二次電池の組み立て]
正極、負極およびマトリックス高分子化合物層が両面に形成されたセパレータを、正極、セパレータ、負極、セパレータの順に積層し、長手方向に多数回、扁平形状に巻回させた後、巻き終わり部分を粘着テープで固定することにより巻回電極体を形成した。
【0211】
次に、巻回電極体を、外装材の間に挟み、3辺を熱融着した。なお、外装材には、実施例1−1と同様の2枚のアルミラミネートフィルムを用いた。
【0212】
そののち、これに実施例1−1と同様の電解液を注入し、減圧下で残りの1辺を熱融着し、密封した。この際、電解液をマトリックス高分子化合物層に含浸させ、マトリックス高分子化合物層であるPVdFを膨潤させゲル状の電解質(ゲル電解質層)を形成した。以上により、目的とする二次電池を得た。
【0213】
(評価)
作製した各実施例および各比較例の二次電池について、実施例1−1と同様にして、サイクル維持率の測定および厚み増加率の測定を行った。
【0214】
評価結果を表4に示す。
【0215】
【表4】
【0216】
表4に示すように、式(A)、式(B)、且つ、式(C)を満たす実施例4−1〜実施例4−5の二次電池では、サイクル特性が良好であり、且つ、厚み増加率も小さくガス発生を抑制できることがわかった。一方、比較例4−1〜比較例4−5の二次電池は、式(A)、式(B)および式(C)のうちの少なくとも何れか一の式を満たさないものであり、ガス発生およびサイクル特性の劣化の少なくとも何れかを十分に抑制できなかった。
【0217】
<実施例5−1>〜<実施例5−6>および<比較例5−1>〜<比較例5−5>
(正極の作製)
実施例1−1と同様の正極合剤スラリーを調製し、この正極合剤スラリーを帯状アルミニウム箔からなる正極集電体の両面に塗布した。この後、塗布した正極合剤スラリーの分散媒を蒸発・乾燥させ、ロールプレスにて圧縮成型することにより、正極活物質層を形成した。最後に、アルミニウムからなる正極リードを正極集電体露出部に取り付け、正極を形成した。
【0218】
(負極の作製)
実施例1−1と同様の負極合剤スラリーを調製し、この負極合剤スラリーを帯状アルミニウム箔からなる負極集電体の両面に、負極集電体の一部が露出するようにして塗布した。この後、塗布した負極合剤スラリーの分散媒を蒸発・乾燥させ、ロールプレスにて圧縮成型することにより、負極活物質層を形成した。最後に、ニッケルからなる負極リードを負極集電体露出部に取り付け、負極を形成した。なお、正極および負極の作製の際、正極合剤スラリーおよび負極合剤スラリーの塗布量、電極面積を調整することにより、Ac、Aa、(Aa/Ac)、(QA1/QC1)、(QCL/QAL)を、下掲の表5に示す値になるように調整した。
【0219】
(電解液の調製)
実施例1−1と同様の電解液を調製した。
【0220】
(セルの組み立て)
次に、セパレータを正極および負極で挟みながら巻回することにより巻回電極体を得た。次に、この巻回電極体を電池缶に挿入し、負極リードを電池缶の缶底に抵抗溶接により接続し、正極リードには正極蓋を超音波溶接により接続した。次に、実施例1−1と同様の電解液を注液し、その後、正極蓋を電池缶にかしめて密封し、目的の円筒型の二次電池(18650サイズ)を得た。
【0221】
(評価)
作製した各実施例および各比較例の二次電池について、実施例1−1と同様にして、サイクル維持率の測定を行った。
【0222】
評価結果を表5に示す。
【0223】
【表5】
【0224】
表5に示すように、式(A)、式(B)、且つ、式(C)を満たす実施例5−1〜実施例5−6の二次電池では、サイクル特性が良好であった。なお、実施例5−1〜実施例5−6では、外装材として円筒缶を用いた二次電池であり、ガス発生による膨れが生じにくい。したがって、外装材の膨れによってガス発生抑制効果を評価することは難しいため、ガス発生抑制効果の評価を行っていないが、ガス発生抑制効果を否定するものではない。上述した実施例1−1等と同様、式(A)、式(B)、且つ、式(C)を満たす実施例5−1〜実施例5−5の二次電池では、ガス発生抑制効果を奏する。
【0225】
8.他の実施の形態
本技術は、上述した本技術の実施の形態および実施例に限定されるものでは無く、本技術の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0226】
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構造、形状、材料、原料、製造プロセス等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、材料、原料、製造プロセス等を用いてもよい。
【0227】
また、上述の実施の形態および実施例の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0228】
本技術は、以下の構成をとることもできる
[1]
正極活物質を有する正極活物質層を含む正極と、
負極活物質を有する負極活物質層を含む負極と、
電解質と
を備え、
前記正極活物質は、オリビン構造を有し、且つ、リチウムと鉄とリンとを少なくとも含むリン酸鉄リチウム化合物、および、スピネル構造を有し、且つ、リチウムとマンガンとを少なくとも含むリチウムマンガン複合酸化物の少なくとも何れかを含み、
前記負極活物質は、チタン含有無機酸化物を含み、
下記の式(A)、式(B)、且つ、式(C)を満たす二次電池。
式(A)
1.005≦(Aa/Ac)≦1.08
(式中、Ac:正極の電極面積(cm2)、Aa:負極の電極面積(cm2))
式(B)
1.03≦(QA1/QC1
(式中、QC1(mAh/cm2):単位面積当たりの初回正極充電容量、QA1(mAh/cm2):単位面積当たりの初回負極充電容量)
式(C)
0.90≦(QCL/QAL)≦1.10
(式中、QCL(mAh/cm2):正極の単位面積当たりの不可逆容量、QAL(mAh/cm2):負極の単位面積当たりの不可逆容量)
[2]
前記(QA1/QC1)は、(QA1/QC1)≦1.50である[1]に記載の二次電池。
[3]
前記リン酸鉄リチウム化合物は、下記(化1)で表されるリン酸鉄リチウム化合物である[1]〜[2]の何れかに記載の二次電池。
(化1)
LiuFerM1(1-r)PO4
(式中、M1は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)およびジルコニウム(Zr)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。rは、0<r≦1の範囲内の値である。uは、0.9≦u≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、uの値は完全放電状態における値を表している。)
[4]
前記リン酸鉄リチウム化合物は、LiuFePO4(uは前記と同義である)およびLiuFerMn(1-r)PO4(uは前記と同義である。rは前記と同義である。)の少なくとも何れかである[3]に記載の二次電池。
[5]
前記リチウムマンガン複合酸化物は、下記(化2)で表されるリチウムマンガン複合酸化物である[1]〜[4]の何れかに記載の二次電池。
(化2)
LivMn(2-w)M2ws
(式中、M2は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。v、wおよびsは、0.9≦v≦1.1、0≦w≦0.6、3.7≦s≦4.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、vの値は完全放電状態における値を表している。)
[6]
前記リチウムマンガン複合酸化物は、LivMn24(vは前記と同義である)である[5]に記載の二次電池。
[7]
前記チタン含有無機酸化物は、下記(化3)〜(化5)で表されるチタン含有リチウム複合酸化物およびTiO2のうちの少なくとも何れかである[1]〜[6]の何れかに記載の二次電池。
(化3)
Li[LixM3(1-3x)/2Ti(3+x)/2]O4
(M3はMg、Ca、Cu、ZnおよびSrのうちの少なくとも1種であり、xは0≦x≦1/3を満たす。)
(化4)
Li[LiyM41-3yTi1+2y]O4
(M4はAl、Sc、Cr、Mn、Fe、GaおよびYのうちの少なくとも1種であり、yは0≦y≦1/3を満たす。)
(化5)
Li[Li1/3M5zTi(5/3)-z]O4
(M5はV、ZrおよびNbのうちの少なくとも1種であり、zは0≦z≦2/3を満たす。)
[8]
少なくとも前記正極および前記負極を含む電池素子を外装する外装材を備え、
前記外装材は、フィルム状の外装材である[1]〜[7]の何れかに記載の二次電池。
[9]
前記電池素子は、積層型電極構造または巻回型電極構造を有するものである[8]に記載の二次電池。
[10]
前記正極および前記負極の間にあるセパレータをさらに備える[1]〜[9]の何れかに記載の二次電池。
[11]
正極活物質を有する正極活物質層を含む正極と、
負極活物質を有する負極活物質層を含む負極と、
電解質と
を備え、
前記正極活物質は、容量に対する電位(VvsLi/Li+)の変化を示す曲線が、プラトー領域と、充電末期に急激に電位が上昇変化する電位上昇領域とを少なくとも有するものであり、
前記負極活物質は、チタン含有無機酸化物を含み、
下記の式(A)、式(B)、且つ、式(C)を満たす二次電池。
式(A)
1.005≦(Aa/Ac)≦1.08
(式中、Ac:正極の電極面積(cm2)、Aa:負極の電極面積(cm2))
式(B)
1.03≦(QA1/QC1
(式中、QC1(mAh/cm2):単位面積当たりの初回正極充電容量、QA1(mAh/cm2):単位面積当たりの初回負極充電容量)
式(C)
0.90≦(QCL/QAL)≦1.10
(式中、QCL(mAh/cm2):正極の単位面積当たりの不可逆容量、QAL(mAh/cm2):負極の単位面積当たりの不可逆容量)
[12]
[1]〜[11]の何れかに記載の二次電池と、
前記二次電池を制御する制御部と、
前記二次電池を内包する外装と
を有する電池パック。
[13]
[1]〜[11]の何れかに記載の二次電池を有し、前記二次電池から電力の供給を受ける電子機器。
[14]
[1]〜[11]の何れかに記載の二次電池と、
前記二次電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
前記二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
を有する電動車両。
[15]
[1]〜[11]の何れかに記載の二次電池を有し、前記二次電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
[16]
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報制御装置を備え、
前記電力情報制御装置が受信した情報に基づき、前記二次電池の充放電制御を行う[15]に記載の蓄電装置。
[17]
[1]〜[11]の何れかに記載の二次電池から電力の供給を受け、または、発電装置もしくは電力網から前記二次電池に電力が供給される電力システム。
【符号の説明】
【0229】
4・・・正極、4A・・・正極集電体、4B・・・正極活物質層、4C・・・正極集電体露出部、5・・・負極、5A・・・負極集電体、5B・・・負極活物質層、5C・・・負極集電体露出部、6・・・セパレータ、31・・・外装材、31A・・・第1外装部、31B・・・第2外装部、32・・・正極タブ、33・・・負極タブ、34・・・密着フィルム、35・・・固定部材、36・・・凹部、40・・・電池素子、50・・・巻回電極体、52・・・正極リード、53・・・負極リード、54・・・正極、54A・・・正極集電体、54B・・・正極活物質層、55・・・負極、55A・・・負極集電体、55B・・・負極活物質層、56・・・セパレータ、57・・・電解質層、58・・・保護テープ、60・・・外装材、61・・・密着フィルム、66・・・セパレータ、81・・・電池缶、82,83・・・絶縁板、84・・・電池蓋、85・・・安全弁機構、85A・・・ディスク板、86・・・熱感抵抗素子、87・・・ガスケット、90・・・巻回電極体、91・・・正極、91A・・・正極集電体、91B・・・正極活物質層、92・・・負極、92A・・・負極集電体、92B・・・負極活物質層、93・・・セパレータ、94・・・センターピン、95・・・正極リード、96・・・負極リード、101・・・電池セル、101a・・・テラス部、102a・・・タブ、102b・・・タブ、103a・・・絶縁テープ、103b・・・絶縁テープ、103c・・・絶縁テープ、104・・・絶縁プレート、105・・・回路基板、106・・・コネクタ、301・・・組電池、301a・・・二次電池、302a・・・充電制御スイッチ、302b・・・ダイオード、303a・・・放電制御スイッチ、303b・・・ダイオード、304・・・スイッチ部、307・・・電流検出抵抗、308・・・温度検出素子、310・・・制御部、311・・・電圧検出部、313・・・電流測定部、314・・・スイッチ制御部、317・・・メモリ、318・・・温度検出部、321・・・正極端子、322・・・負極リード、400・・・蓄電システム、401・・・住宅、402・・・集中型電力系統、402a・・・火力発電、402b・・・原子力発電、402c・・・水力発電、403・・・蓄電装置、404・・・発電装置、405・・・電力消費装置、405a・・・冷蔵庫、405b・・・エアコン、405c・・・テレビ、405d・・・バス、406・・・電動車両、406a・・・電気自動車、406b・・・ハイブリッドカー、406c・・・電気バイク、407・・・スマートメータ、408・・・パワーハブ、409・・・電力網、410・・・制御装置、411・・・センサ、412・・・情報網、413・・・サーバ、500・・・ハイブリッド車両、501・・・エンジン、502・・・発電機、503・・・電力駆動力変換装置、504a・・・駆動輪、504b・・・駆動輪、505a・・・車輪、505b・・・車輪、508・・・バッテリー、509・・・車両制御装置、510・・・センサ、511・・・充電口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16