特許第6597710号(P6597710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6597710
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】車両用合流支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20191021BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20191021BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20191021BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20191021BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20191021BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20191021BHJP
【FI】
   G08G1/16 D
   G08G1/09 Q
   G08G1/09 F
   G08G1/09 H
   B62D6/00
   B62D101:00
   B62D113:00
   B62D119:00
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-102414(P2017-102414)
(22)【出願日】2017年5月24日
(65)【公開番号】特開2018-197961(P2018-197961A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2018年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】奥木 友和
(72)【発明者】
【氏名】山田 秀行
(72)【発明者】
【氏名】寺島 将太
【審査官】 上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−073925(JP,A)
【文献】 特表2016−533289(JP,A)
【文献】 特開2007−296978(JP,A)
【文献】 特開平11−039599(JP,A)
【文献】 特開2016−199114(JP,A)
【文献】 特開2008−151507(JP,A)
【文献】 特開2016−091412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
G01C 21/00−21/36
23/00−25/00
B60W 30/00−50/16
B62D 6/00−6/10
B62D 101/00
B62D 113/00
B62D 119/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の支線から本線への合流を支援する車両用合流支援装置であって、
前記自車両の本線合流時の目標車速を設定する目標車速設定部と、
前記自車両の支線走行中に、前記自車両の車速が前記目標車速に到達するように前記自車両の運転者の車速操作を支援する車速制御支援部と、
前記自車両の車速が前記目標車速に到達した後に、前記自車両が本線に合流するための前記運転者の操舵操作を支援する操舵支援部と
前記自車両の支線走行中に前記操舵支援部による操舵操作支援の前に前記運転者が操舵操作を行った場合、前記運転者に対して操舵操作を止める旨の警報を行う警報制御部とを備えた
車両用合流支援装置。
【請求項2】
自車両の支線から本線への合流を支援する車両用合流支援装置であって、
前記自車両の本線合流時の目標車速を設定する目標車速設定部と、
前記自車両の支線走行中に、前記自車両の車速が前記目標車速に到達するように前記自車両の運転者の車速操作を支援する車速制御支援部と、
前記自車両の車速が前記目標車速に到達した後に、前記自車両が本線に合流するための前記運転者の操舵操作を支援する操舵支援部と、
前記車速制御支援部による車速操作支援が行われる車速調整区間と、前記操舵支援部による操舵操作支援が行われる操舵区間とを前記支線に設定する区間設定部とを備え、
前記操舵区間は、前記支線の長さに依らない一定時間と前記目標車速とを乗算した長さに設定された
車両用合流支援装置。
【請求項3】
前記車速制御支援部は、前記自車両の車速が前記目標車速に到達した後、前記自車両の車速を前記目標車速に維持する
請求項1または請求項2に記載の車両用合流支援装置。
【請求項4】
前記車速制御支援部は、支線に制限車速が設定されている場合、前記自車両の車速を、前記制限車速を上限とする車速に変化させ、前記制限車速が解除された後に前記目標車速に到達するように、前記運転者の車速操作を支援する
請求項1から請求項3のうちの一項に記載の車両用合流支援装置。
【請求項5】
前記車速制御支援部は、前記車速調整区間内で前記自車両の車速を前記目標車速に到達させるための基準車速ラインを設定し、前記自車両の車速が前記基準車速ラインに沿って前記目標車速に到達するように前記運転者の車速操作を支援する
請求項2に記載の車両用合流支援装置。
【請求項6】
前記車速制御支援部は、前記車速調整区間内で、前記運転者の車速操作に対して前記自車両の車速が前記基準車速ラインから超過又は不足している場合、その超過分又は不足分の車速が相殺されるように前記自車両の車速を制御する
請求項5に記載の車両用合流支援装置。
【請求項7】
前記操舵支援部は、前記操舵区間内で、前記運転者の操舵操作に対して前記自車両の操舵トルクが前記自車両の本線合流に必要な必要操舵トルクから超過又は不足している場合、その超過分又は不足分の操舵トルクが相殺されるように前記自車両の操舵トルクを制御する
請求項2、請求項5、請求項6のうちの一項に記載の車両用合流支援装置。
【請求項8】
前記車速制御支援部は、前記自車両の車速メータに前記目標車速に関する情報を表示することで、前記自車両の運転者の車速操作を支援する
請求項1から請求項7のうちの一項に記載の車両用合流支援装置。
【請求項9】
表示部を備え、
前記操舵支援部は、前記自車両の本線合流のための操舵操作を行う旨の指示を前記表示部に表示することで、前記運転者の操舵操作を支援する
請求項1から請求項8のうちの一項に記載の車両用合流支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高速道路のインターチェンジ等の合流ポイントへの自車両の合流を支援する車両用合流支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の走行支援装置では、自車両を支線から本線に合流させる際、本線走行中の他車両の車速をそれら各他車両の車間距離が接近し過ぎないように制御すると共に、それら各他車両の走行状態に基づいて、支線走行中の自車両の車速及び操舵を自動制御することで、自車両をそれら各他車両の間に合流させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−170385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の走行支援装置では、自車両の車速及び操舵が自動制御されるため、自車両の運転者は、本線合流のための運転操作が上達し難いという欠点がある。運転者の運転操作を上達させるには、車速及び操舵を自動制御するのではなく、運転者の運転操作(車速操作及び操舵操作)で本線に合流させることが望ましい。
【0005】
しかし、運転者の運転操作で本線に合流させる場合、運転者は、車速操作しつつ操舵操作を行う必要があるため、運転操作スキルの低い運転者にとっては、本線合流時の安全性確保が難しかったり、本線合流時の運転操作の負担が大きかったりするという欠点があった。
【0006】
そこで、この発明は、運転者の運転操作で自車両を本線合流させる場合において、本線合流時の安全性を向上できると共に運転操作の負担を軽減することができる車両用合流支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、自車両の支線から本線への合流を支援する車両用合流支援装置であって、前記自車両の本線合流時の目標車速を設定する目標車速設定部と、前記自車両の支線走行中に、前記自車両の車速が前記目標車速に到達するように前記自車両の運転者の車速操作を支援する車速制御支援部と、前記自車両の車速が前記目標車速に到達した後に、前記自車両が本線に合流するための前記運転者の操舵操作を支援する操舵支援部と、前記自車両の支線走行中に前記操舵支援部による操舵操作支援の前に前記運転者が操舵操作を行った場合、前記運転者に対して操舵操作を止める旨の警報を行う警報制御部とを備えたものである。
【0008】
この構成によれば、本線合流のための車速操作と操舵操作とに分けて運転支援が行われるため、それら各操作(車速操作及び操舵操作)に運転者を集中させることができる。この結果、本線合流時の安全性を高めることができると共に本線合流時の運転者の運転操作の負担を軽減することができる。
【0009】
また、この発明は、前記自車両の支線走行中に前記操舵支援部による操舵操作支援の前に前記運転者が操舵操作を行った場合、前記運転者に対して操舵操作を止める旨の警報を行う警報制御部を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、自車両の支線走行中に操舵支援部による操舵操作支援の前に運転者が操舵操作を行うことを抑制でき、この結果、運転者を車速操作に集中させることができ、本線合流時の安全性を高めることができる。
【0010】
また、この発明は、自車両の支線から本線への合流を支援する車両用合流支援装置であって、前記自車両の本線合流時の目標車速を設定する目標車速設定部と、前記自車両の支線走行中に、前記自車両の車速が前記目標車速に到達するように前記自車両の運転者の車速操作を支援する車速制御支援部と、前記自車両の車速が前記目標車速に到達した後に、前記自車両が本線に合流するための前記運転者の操舵操作を支援する操舵支援部と、前記車速制御支援部による車速操作支援が行われる車速調整区間と、前記操舵支援部による操舵操作支援が行われる操舵区間とを前記支線に設定する区間設定部とを備え、前記操舵区間は、前記支線の長さに依らない一定時間と前記目標車速とを乗算した長さに設定されたものである。
【0011】
この構成によれば、支線を車速調整区間と操舵区間とに区分でき、これによっても、運転者を車速操作及び操舵操作の各々に集中させることができる。
さら、この構成によれば、自車両が操舵区間を通過する通過時間(=操舵区間/目標車速)は、支線の長さに関係なく一定時間になるため、支線の長さが短い場合でも、操舵操作のための時間を十分に確保することができる。
【0012】
この発明の態様として、前記車速制御支援部は、前記自車両の車速が前記目標車速に到達した後、前記自車両の車速を前記目標車速に維持してもよい。
この構成によれば、運転者は、操舵操作中に車速を目標車速に維持する車速操作を行う必要が無くなるため、操舵操作に集中することができる。
【0013】
また、この発明の態様として、前記車速制御支援部は、支線に制限車速が設定されている場合、前記自車両の車速を、前記制限車速を上限とする車速に変化させ、前記制限車速が解除された後に前記目標車速に到達するように、前記運転者の車速操作を支援してもよい。
この構成によれば、支線に制限車速が設定されている場合は、制限車速に応じた車速制御支援を行うことができる。この結果、本線合流時の安全性をより高めることができる
【0014】
た、この発明の態様として、前記車速制御支援部は、前記車速調整区間内で前記自車両の車速を前記目標車速に到達させるための基準車速ラインを設定し、前記自車両の車速が前記基準車速ラインに沿って前記目標車速に到達するように前記運転者の車速操作を支援してもよい。
【0015】
この構成によれば、自車両の車速が基準車速ラインに沿って目標車速に到達するように車速支援が行われるため、自車両の車速が、目標車速に到達する途中で大きく加速又は減速することを抑制できる。この結果、無駄の無い車速操作でスムーズに、自車両の車速を目標車速に到達させることができる。
【0016】
また、この発明の態様として、前記車速制御支援部は、前記車速調整区間内で、前記運転者の車速操作に対して前記自車両の車速が前記基準車速ラインから超過又は不足している場合、その超過分又は不足分の車速が相殺されるように前記自車両の車速を制御してもよい。
この構成によれば、運転者の車速操作のスキルが低い場合でも、自車両の車速を基準車速ラインに沿って目標車速に到達させることができる。
【0017】
また、この発明の態様として、前記操舵支援部は、前記操舵区間内で、前記運転者の操舵操作に対して前記自車両の操舵トルクが前記自車両の本線合流に必要な必要操舵トルクから超過又は不足している場合、その超過分又は不足分の操舵トルクが相殺されるように前記自車両の操舵トルクを制御してもよい。
この構成によれば、運転者の操舵操作のスキルが低い場合でも、自車両を支線から本線にスムーズに合流させることができる。
【0018】
また、この発明の態様として、前記車速制御支援部は、前記自車両の車速メータに前記目標車速に関する情報を表示することで、前記自車両の運転者の車速操作を支援してもよい。
この構成によれば、運転者に対して、視覚的に分かり易く、車速操作を支援することができる。
【0019】
表示部を備え、前記操舵支援部は、前記自車両の本線合流のための操舵操作を行う旨の指示を前記表示部に表示することで、前記運転者の操舵操作を支援してもよい。
この構成によれば、運転者に対して、視覚的に分かり易く、操舵操作を支援することができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、運転者の運転操作で自車両を本線合流させる場合において、本線合流時の安全性を向上できると共に運転操作の負担を軽減することができる車両用合流支援装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る車両用合流支援装置のブロック図。
図2】自車両の本線合流時の様子を示す平面図。
図3】支線を車速調整区間と操舵区間とに区分した状態を示す平面図。
図4】(a)は、支線の長さが400mの場合の車速調整区間と操舵区間の一例を示す平面図、(b)は、支線の長さが400mの場合の基準車速ラインの一例を示す図。
図5】(a)は、支線の長さが250mの場合の車速調整区間と操舵区間の一例を示す平面図、(b)は、支線の長さが250mの場合の基準車速ラインの一例を示す図。
図6】支線に制限車速区間が設定されている場合の基準車速ラインの一例を示す図。
図7】目標車速の表示方法の一例を示す図。
図8】目標車速を段階的に変化させて表示する様子を示す図。
図9】本発明の実施形態に係る車両用合流支援装置の動作を説明するフローチャート。
図10】本発明の実施形態に係る車両用合流支援装置の動作を説明する別のフローチャート。
図11】本発明の実施形態に係る車両用合流支援装置の動作を説明する更に別のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
<実施形態>
図1図11を参照して、この発明の実施形態に係る車両用合流支援装置1について説明する。車両用合流支援装置1は、自動車等の車両(自車両)に搭載され、高速道路のインターチェンジ等の合流ポイントへの自車両の合流を支援するものであり、より詳細には、高速道路の支線走行中の自車両の運転者の運転操作を、本線合流のための車速操作(例えばアクセル操作及びブレーキペダル操作)と操舵操作とを分けて支援するものである。
【0023】
≪構成説明≫
図1に示すように、車両用合流支援装置1は、この装置1の動作を制御するコントローラ4と、コントローラ4の入力側に接続された車速センサ5、カーナビゲーション装置6、送受信部7、合流支援スイッチ8及び操舵トルクセンサ9と、コントローラ4の出力側に接続された車速メータ10、表示部11、警報制御部12、自車両の走行用のエンジン13及び自車両の操舵用のステアリング機構14とを備えている。
【0024】
車速センサ5は、自車両の車速を検出するものである。
【0025】
カーナビゲーション装置6は、例えば表示部11に道路地図を表示し、その道路地図上に自車両の現在位置を表示すると共に自車両の現在位置から目的地までの走行経路を案内表示するものである。カーナビゲーション装置6は、少なくとも、自車両の現在位置を検出する自車位置検出部6aと、道路地図データベース6bとを備えている。
【0026】
自車位置検出部6aは、例えば、GPS衛星から発信された測位情報を受信し、その測位情報に基づいて自車両の現在位置を検出する。道路地図データベース6bは、上記の案内表示に使用可能な道路地図データで構成されたデータベースであり、例えば、高速道路の支線の長さに関する支線長さ情報、支線が本線に合流する合流ポイントの位置情報、制限車速が設定された支線のその制限車速及びその制限車速区間に関する支線制限車速情報、並びに、支線と本線の間を仕切る側壁が終わる終端の位置情報などを含んでいる。
【0027】
送受信部7は、高速道路の本線の合流レーン走行中の他車両との間で無線通信で車車間通信を行う他に、高速道路の周辺に設置された路側通信装置を介して上位の中央処理装置との間で無線通信で路車間通信を行う。送受信部7は、車車間通信では、合流レーン走行中の他車両から、当該他車両の車速及び位置に関する他車両情報を受信する。また、送受信部7は、路車間通信では、路側通信装置から、合流レーン走行中の他車両の車速及び位置に関する他車両情報を受信する。
【0028】
合流支援スイッチ8は、車両用合流支援装置1を作動又は停止させるためのオンオフ操作を受け付ける操作部である。合流支援スイッチ8がオン操作されると、車両用合流支援装置1の運転支援が作動し、合流支援スイッチ8がオフ操作されると、車両用合流支援装置1の運転支援が停止する。
【0029】
操舵トルクセンサ9は、ステアリング機構14に設けられ、自車両の運転者が操舵操作したときの操舵トルクを検出する。
【0030】
車速メータ10は、自車両の車速を表示するものであり、自車両の運転席周辺(例えばインストルパネル)に配置されている。車速メータ10は、自車両の車速を表示する他に、自車両の本線合流時の目標車速Vmに関する情報を表示する。
【0031】
表示部11は、例えばセンターディスプレイ(即ち自車両のセンターコンソールに配置されたディスプレイ)であり、自車両の本線合流のための自車両の運転者の操舵操作を支援するための操舵操作支援情報(例えば操舵タイミングや必要操舵トルクなどに関する情報)、及び、カーナビゲーション装置6の上記の案内表示などを表示する。
【0032】
警報制御部12は、例えば音声出力装置であり、自車両の運転者が車両用合流支援装置1による操舵操作支援の前に運転者が操舵操作を行った場合、運転者の当該操舵操作を止めさせる旨の警報を出力する。なお、運転者が操舵操作を行ったか否かは、例えば操舵トルクセンサ9の検出結果に基づいて行われる。
【0033】
コントローラ4は、その入力側に接続された各構成要素(車速センサ5、カーナビゲーション装置6、送受信部7、合流支援スイッチ8及び操舵トルクセンサ9)からの各種情報に基づいて、その出力側に接続された各構成要素(車速メータ10、表示部11、警報制御部12、エンジン13及びステアリング機構14)を制御する。
【0034】
コントローラ4は、合流ポイント設定部41と、目標到達時間設定部42と、目標車速設定部43と、区間設定部44と、基準車速ライン設定部45と、車速制御支援部46と、操舵支援部47とを備えている。
【0035】
合流ポイント設定部41は、自車位置検出部6aの検出結果と道路地図データベース6bとに基づいて、自車両が走行する支線が本線の合流レーンに合流する合流ポイントを設定する。
【0036】
目標到達時間設定部42は、自車両が所定位置(例えば高速道路の料金所の地点、自車両の現在位置、又は、車両用合流支援装置1の作動時の自車両の位置)から合流ポイントに到達する目標到達時間ΔTmを設定する。目標到達時間ΔTmは、本線の合流レーンを走行する各他車両の間の各車間間隔(合流候補用車間間隔)のうち、自車両が合流する所定の車間間隔(合流用車間間隔)が、合流ポイントに到達する到達時間として設定される。即ち、目標到達時間ΔTmとは、合流用車間間隔が合流ポイントに到達したときに、自車両が合流ポイントに到達するための時間である。
【0037】
よって、具体的には、目標到達時間設定部42は、目標到達時間ΔTmとして、上記の合流候補用車間間隔の中から合流用車間間隔を決定し、その合流用車間間隔が合流ポイントに到達する到達時間を算出する。
【0038】
なお、上記の各合流候補用車間間隔は、送受信部7が上記の各他車両又は路側通信装置から受信した上記の各他車両の位置に関する他車両情報に基づいて、求められる。上記の合流用車間間隔は、各合流候補用車間間隔のうちの適当なもの(例えば、各合流候補用車間間隔の合流ポイントへの到達時間と、自車両の合流ポイントへの到達時間との時間差が一定範囲内(例えば最小)のもの)として決定される。上記の車間間隔(合流用車間間隔及び合流候補用車間間隔)の合流ポイントへの到達時間は、上記の車間間隔の直前又は直後を走行する他車両が合流ポイントに到達する時間であり、例えば、当該他車両から合流ポイントまでの距離を当該他車両の車速で割って求められる。上記の自車両の合流ポイントへの到達時間は、例えば、自車両の現在位置から合流ポイントまでの距離を自車両の車速で割って求められる。
【0039】
目標車速設定部43は、自車両の本線合流時の目標車速Vmを設定する。より詳細には、目標車速設定部43は、送受信部7が上記の各他車両又は路側通信装置から受信した上記の各他車両の車速に基づいて、上記の各他車両の平均車速を求め、その平均車速に基づいて、上記の目標車速Vmを設定する。なお、上記の平均車速自体が上記の目標車速Vmに設定されてもよい。
【0040】
区間設定部44は、自車両が走行する支線を車速調整区間Lvと操舵区間Lsとに区分する。操舵区間Lsは、自車両の運転者の本線合流のための操舵操作が支援される区間であり、合流ポイントPgから手前に所定の長さに設定される。例えば、操舵区間Lsは、支線の長さに依らない一定時間Δt(例えばΔt=5秒)と目標車速Vmとの乗算した長さ(即ちLs=Δt×Vm)に設定される。また、車速調整区間Lvは、自車両の運転者の本線合流のための車速操作が支援される区間であり、自車両が走行する支線の長さLoから操舵区間Lsを減算した長さ(即ちLv=Lo−Lv)に設定され、操舵区間Lsの始端から手前に設定される。
【0041】
なお、支線の長さLo、操舵区間Ls及び車速調整区間Lvをそれぞれ、自車両がそれらを通過するときの目標通過時間で表すと(即ち時間換算で表すと)、支線の目標通過時間は目標到達時間ΔTmとなり、操舵区間Lsの目標通過時間は一定時間Δtとなり、車速調整区間Lvの目標通過時間は、目標到達時間ΔTmから一定時間Δtを減算した値(=ΔTm−Δt)となる。即ち、この車両用合流支援装置1の運転支援の下では、自車両は、支線を目標到達時間ΔTmで通過する必要があり、その際、車速調整区間Lvを(ΔTm−Δt)の目標通過時間で通過し、操舵区間Lsを一定時間Δtの目標通過時間で通過する必要がある。
【0042】
基準車速ライン設定部45は、基準車速ラインSを設定する。基準車速ラインSは、自車両の車速調整区間Lvの走行中の模範(即ち基準)となる車速変化を規定したものであり、自車両の車速が、大きく加減速することなく(即ち僅かな車速変化で)、車速調整区間Lvの終端で最終的な目標車速Vmに到達する車速ラインに形成されている。
【0043】
車速制御支援部46は、自車両の運転者の本線合流のための車速操作(例えばアクセル操作)を支援する。車速制御支援部46は、自車両が車速調整区間Lvに進入すると、車速メータ10を制御して車速メータ10に目標車速Vmを表示する。その際、車速制御支援部46は、車速メータ10に表示する目標車速を、例えば自車両の現在車速から変化させて車速調整区間Lvの終端で目標車速Vm(即ち最終的な目標車速)に到達するように、基準車速ラインSに沿って段階的に変化させて表示してもよい。これにより、自車両の操舵区間Lsへの進入時に、自車両の車速が丁度、目標車速Vmに到達するように、運転者の車速操作が支援される。
【0044】
また、車速制御支援部46は、車速調整区間Lv内で、自車両の車速が目標車速Vmに到達すると、例えば自車両の本線合流が終了するまで、自車両の車速を目標車速Vmに維持するように制御する(自動車速制御)。具体的には、車速制御支援部46は、自車両がオートクルーズ機能(即ち、アクセルペダルを踏み続けることなく設定した一定の車速を維持する機能)を有する場合、自車両の車速が目標車速Vmに到達した時に、オートクルーズ機能を自動でオン制御にして設定車速を現在の車速(即ち目標車速Vm)に設定する。
【0045】
操舵支援部47は、自車両の運転者の本線合流のための操舵操作を支援する。より詳細には、操舵支援部47は、自車両の操舵区間Lsの走行中に、表示部11に、本線合流のための操舵操作を行う適宜タイミングで、本線合流のための操舵操作のタイミングを知らせる操舵支援情報(例えば「ハンドルを操作して合流してください」又は「ハンドルを右に15度回してください」などの表示情報)を表示する。
【0046】
なお、この実施形態では、上述の通り、車速制御支援部46は目標車速Vmを表示することで車速操作の支援を行い、操舵支援部47は操舵支援情報を表示することで操舵操作の支援を行うが、それら車速操作支援及び操舵操作支援は、表示で行われる代わりに音声案内で行われてもよい。
【0047】
≪動作説明≫
まず図2図8を参照して、車両用合流支援装置1の動作概要を説明する。
図2に示すように、車両用合流支援装置1は、自車両Kgが高速道路の支線Dsに進入すると(例えば料金所Rを通過すると)、車車間通信又は路車間通信を利用して、目標到達時間ΔTm及び合流ポイントPgを決定する。そして、車両用合流支援装置1は、支線Dsを走行する自車両Kgに対して、本線Dhの合流レーンDh1に合流するための車速操作及び操舵操作の支援を行う。なお、図2中、符号Dh2は、本線Dhの追越レーンであり、符号Ktは、他車両であり、符号Wgは、合流用車間間隔である。
【0048】
そして、図3に示すように、車両用合流支援装置1は、自車両Kgの運転者の車速操作及び操舵操作の支援を行う際に、まず、支線Dsを車速調整区間Lvと操舵区間Lsとに区分する。そして、車両用合流支援装置1は、自車両Kgが車速調整区間Lvを走行しているときに、自車両Kgの車速が基準車速ラインSに沿って変化するように自車両Kgの運転者の車速操作の支援を行い、自車両Kgが操舵区間Lsを走行しているときに、適切な操舵タイミングで操舵操作が行われるように自車両Kgの運転者の操舵支援を行う。なお、車速調整区間Lv、操舵区間Ls及び基準車速ラインSの設定の考え方は、下記の通りである。
【0049】
即ち、図4(a)に示すように、支線Dsの長さLoが比較的長い場合(例えばLo=400mの場合)は、目標到達時間ΔTmが20sであり、且つ目標車速Vmが80km/h(=22m/s)であるならば、自車両Kgが操舵区間Lsを通過するときの目標通過時間は、一定時間Δt(例えば5s)に設定され、操舵区間Lsは、110m(=Vm×Δt=22m/s×5s)に設定される。即ち、操舵区間Lsは、合流ポイントPgの110m手前から始まるように設定される。そして、自車両Kgが車速調整区間Lvを通過するときの目標通過時間は、15s(=ΔTm−Δt=20s−5s)に設定され、車速調整区間Lvは、290m(=Lo−Ls=400m−110m)に設定され、操舵区間Lsの290m手前から始まるように設定される。
【0050】
そして、この場合、図4(b)に示すように、運転者の車速操作の支援で使用するための基準車速ラインSが設定される。即ち、車速調整区間Lvの始端(例えば高速道路の料金所Rの地点)で自車両Kgの車速がVo(例えばVo=20km/h)となり、車速調整区間Lvの始端から15sの目標通過時間で290m走行して車速調整区間Lvの終端に到達した時に、自車両Kgの車速が滑らかに(例えば直線的に)変化して目標車速Vm(=80km/h)に到達するように、基準車速ラインSが設定される。この場合の基準車速ラインSは、支線Dsに制限車速が設定されていないため、以下、制限車速無しの基準車速ラインSとも記載する。
【0051】
他方、図5(a)に示すように、支線Dsの長さLoが比較的短い場合(例えばLo=250mの場合)は、目標到達時間ΔTmが15sであり、且つ目標車速Vmが80km/h(=22m/s)であるならば、自車両Kgが操舵区間Lsを通過するときの目標通過時間は、一定時間Δt(例えば5s)に設定され、操舵区間Lsは、110m(=Vm×Δt=22m/s×5s)に設定される。即ち、操舵区間Lsは、合流ポイントPgの110m手前から始まるように設定される。そして、自車両Kgが車速調整区間Lvを通過するときの目標通過時間は、10s(=ΔTm−Δt=15s−5s)に設定され、車速調整区間Lvは、140m(=Lo−Ls=250m−110m)に設定され、操舵区間Lsの140m手前から始まるように設定される。このように、図4の場合と比べて支線Dsの長さLoが短くても(即ち支線Dsの長さLoに関係無く)、操舵区間Lsの目標通過時間は、一定の時間に設定される。
【0052】
そして、この場合、図5(b)に示すように、基準車速ライン(即ち制限車速無しの基準車速ライン)Sが設定される。即ち、車速調整区間Lvの始端(例えば高速道路の料金所Rの地点)で自車両Kgの車速がVo(例えばVo=20km/h)となり、車速調整区間Lvの始端から10sの目標通過時間で140m走行して車速調整区間Lvの終端に到達した時に、自車両Kgの車速が滑らかに(例えば直線的に)変化して目標車速Vm(=80km/h)に到達するように、基準車速ラインSが設定される。
【0053】
なお、支線Dsの長さLoが比較的長い場合やカーブしている場合は、支線Dsに、支線Dsの始端(例えば料金所R)から所定区間(制限車速区間La)の間、制限車速Va(例えばVa=40km/h)が設定されている場合がある。この場合は、図6に示すように、基準車速ライン(即ち制限車速有りの基準車速ライン)Sが設定される。
【0054】
即ち、車速調整区間Lvの始端で自車両Kgの車速がVo(例えばVo=20km/h)となり、車速調整区間Lvの始端から、自車両Kgの車速が支線Dsの制限車速Vaを上限として滑らかに変化(例えば上昇)し、自車両Kgが制限車速区間Laを通過するまで自車両Kgの車速が制限車速Va以下に維持され、その後、自車両Kgが制限車速区間Laを通過して制限車速Vaが解除された時taから自車両Kgの車速が再び滑らかに変化して、自車両Kgが車速調整区間Lvの終端に到達した時に、自車両Kgの車速が目標車速Vmに到達するように、基準車速ラインSが設定される。
【0055】
また、車速調整区間Lvでは、図7に示すように、車速メータ10に目標車速Vmが表示されることで、自車両Kgの運転者に対して車速操作の支援が行われる。
【0056】
具体的には、車速メータ10は、例えば指針式の車速メータで構成されており、文字板10aと、主指針10bと、副指針10cとを備えている。文字板10aは、車速を示す数字が円弧状に並んで表示されたものである。主指針10bは、文字板10a上に回動可能に設けられ、文字板10aに表示された車速のうちから自車両Kgの現在の車速を差し示すものである。副指針10cは、文字板10a上に回動可能に設けられ、文字板10aに表示された車速のうちから目標車速Vmを差し示すものである。この場合は、副指針10cで目標車速Vmが差し示されることで、車速メータ10に目標車速Vmが表示される。
【0057】
なお、この場合、図8に示すように、副指針10cで差し示される目標車速Vmは、基準車速ラインSに基づいて、車速調整区間Lvの終端で最終的な目標車速に到達するように、自車両Kgの車速の上昇(又は自車両Kgが車速調整区間Lvの始端を通過した時からの経過時間、又は車速調整区間Lv内での自車両Kgの現在の走行位置)に応じて段階的に変化される。図8では、副指針10cで差し示される目標車速Vmは、例えば40km/h→65km/h→80km/hのように段階的に変化されている。運転者は、自車両Kgの車速が副指針10cで差し示される目標車速Vmに一致するように車速操作を行うことで、自車両Kgの車速を本線合流に必要な車速にスムーズに操作することができる。
【0058】
また、操舵区間Lsでは、図7の表示部11に適宜タイミングで操舵支援情報が表示されることで、自車両Kgの運転者に対して操舵操作の支援が行われる。運転者は、操舵支援情報が表示部11に表示されたときに、本線合流のための操舵操作を行うことで、自車両Kgを本線Dhにスムーズに合流させることができる。
【0059】
次に図9図11を参照して、車両用合流支援装置1の動作の時系列的な流れを説明する。
図9に示すように、ステップS1で、合流ポイント設定部41が、道路地図データベース6bから道路地図データを読み込む。そして、ステップS2で、合流ポイント設定部41は、読み込んだ道路地図データに基づいて、自車両Kgが高速道路の支線Dsに進入したか(具体的には例えば料金所Rを通過したか)否かを判定する。その判定の結果、自車両Kgが支線Dsに進入していない場合(S2でNOの場合)は、処理がステップS1に戻り、他方、自車両Kgが支線Dsに進入した場合(S2でYESの場合)は、処理がステップS3に進む。そして、ステップS3で、合流ポイント設定部41は、合流支援スイッチ8がオン操作されているか否かを判定する。この判定の結果、合流支援スイッチ8がオン操作されていない場合(S3でNOの場合)は、処理がステップS1に戻り、他方、合流支援スイッチ8がオン操作されている場合(S3でYESの場合)は、処理がステップS4に進み、車両用合流支援装置1の運転支援が作動する。
【0060】
ステップS4では、合流ポイント設定部41は、道路地図データベース6bから読み込んだ道路地図データに基づいて、自車両Kgが走行する支線Dsが本線Dhの合流レーンDh1に合流する合流ポイントPgを設定する。
【0061】
そして、ステップS5では、目標到達時間設定部42が、送受信部7を介して上記の合流レーンDh1を走行する他車両Ktとの間で車車間通信を行って、又は、送受信部7を介して上記の高速道路の周辺に設置された路側通信装置との間で路車間通信を行って、上記の合流レーンDh1を走行する各他車両Ktのうち、自車両Kgの一定範囲内を走行する各他車両Ktの車速及び位置に関する他車両情報を取得する。
【0062】
そして、ステップS6で、目標到達時間設定部42は、ステップS4で設定されて合流ポイントPgと、ステップS5で取得された他車両情報とに基づいて、合流レーンDh1を走行する各他車両Ktの間の車間間隔のうちの所定の車間間隔である合流用車間間隔Wgが合流ポイントPgに到達する時間を算出し、その時間を、自車両Kgが合流ポイントPgに到達する目標到達時間ΔTmとして設定する。
【0063】
そして、ステップS7で、目標車速設定部43が、ステップS5で取得された他車両情報に基づいて、合流レーンDh1を走行する各他車両Ktの平均車速を求め、その平均車速から、自車両Kgの本線合流時の目標車速Vmを設定する。
【0064】
そして、ステップS8で、区間設定部44が、予め設定された一定時間Δt(例えばΔt=5s)と目標車速Vmとに基づいて、支線Dsに操舵区間Ls(=Vm×Δt)を設定する。そして、ステップS9で、区間設定部44は、道路地図データベース6bから取得された支線Dsの長さLoと、ステップS8で設定された操舵区間Lsとに基づいて、支線Dsに車速調整区間Lv(=Lo−Ls)を設定する。なお、車速調整区間Lvの始端は、支線Dsの始端(例えば料金所Rの地点)と一致しているため、ステップS2での自車両Kgの支線Dsへの進入によって、自車両Kgは車速調整区間Lvに進入している。
【0065】
そして、ステップS10で、基準車速ライン設定部45が、道路地図データベース6bに基づいて、自車両Kgが走行する支線Dsの一部に制限車速Vaが設定されているか否かを判定する。この判定の結果、支線Dsの一部に制限車速Vaが設定されていない場合(S10でNOの場合)は、処理がステップS11に進み、基準車速ライン設定部45は、制限車速無しの基準車速ラインSを設定する。そして、処理が図10のステップS14に進む。他方、ステップS10の判定の結果、支線Dsの一部に制限車速Vaが設定されている場合(S10でYESの場合)は、処理がステップS12に進み、基準車速ライン設定部45は、制限車速有りの基準車速ラインSを設定する。そして、処理が図11のステップS23に進む。
【0066】
そして、図10に示すように、ステップS14では、車速制御支援部46が、ステップS11で設定された制限車速無しの基準車速ラインSに従って、目標車速Vmを車速メータ10に表示する。そして、ステップS15で、操舵支援部47が、操舵トルクセンサ9の検出結果に基づいて、自車両Kgの車速調整区間Lvの走行中に、自車両Kgの運転者が操舵操作を行ったか否かを判定する。この判定の結果、自車両Kgの運転者が操舵操作を行った場合(S15でYESの場合)は、処理がステップS16に進み、操舵支援部47は、警報制御部12から当該操舵操作を止めさせる旨の警報を出力させる。そして、処理がステップS17に進む。他方、ステップS15の判定の結果、運転者が操舵操作を行っていない場合(S15でNOの場合)は、処理がステップS16を省略してステップS17に進む。
【0067】
ステップS17では、車速制御支援部46が、車速センサ5の検出結果に基づいて、自車両Kgの車速が目標車速Vmに到達したか否かを判定する。この判定の結果、自車両Kgの車速が目標車速Vmに到達していない場合(S17でNOの場合)は、処理がステップS14に戻り、ステップS14〜S17の処理が繰り返される。これにより、自車両Kgの運転者は、本線合流のための車速操作と操舵操作のうち車速操作だけに集中して運転操作でき、自車両Kgの車速を大きく加減速させることなく目標車速Vmまで到達させることができる。
【0068】
他方、ステップS17の判定の結果、自車両Kgの車速が目標車速Vmに到達している場合(S17でYESの場合)は、ステップS18で、車速制御支援部46が、自車両Kgの本線合流が終了するまで、自車両Kgの車速を自動で目標車速Vmに維持するように制御する(自動車速制御)。これにより、運転者は、この後の本線合流のための操舵操作に集中することができる。そして、ステップS19で、車速制御支援部46が、車速メータ10への目標車速Vmの表示を止める。
【0069】
そして、ステップS20で、操舵支援部47が、道路地図データベース6bから読み出された道路地図データに基づいて、自車両Kgが操舵区間Lsに進入したか否かを判定する。この判定の結果、自車両Kgが操舵区間Lsに進入していない場合(S20でNOの場合)は、ステップS20の処理が繰り返される。他方、自車両Kgが操舵区間Lsに進入した場合(S20でYESの場合)は、処理がステップS21に進み、操舵支援部47は、操舵支援情報を適宜タイミングで表示部11に表示する。自車両Kgの運転者は、この操舵支援情報が表示部11に表示されたタイミングで、本線合流のための操舵操作を行うことで、スムーズに自車両Kgを本線Dhに合流させることができる。また、運転者は、車速操作の後に操舵操作を行うため、操舵操作に集中することができる。
【0070】
そして、ステップS22で、操舵支援部47が、道路地図データベース6bから読み出された道路地図データに基づいて、自車両Kgが本線Dhに合流したか否かを判定する。その判定の結果、この判定の結果、自車両Kgが本線Dhに合流していない場合(S22でNOの場合)は、ステップS22の処理が繰り返される。他方、自車両Kgが本線Dhに合流した場合(S22でYESの場合)は、処理が終了する。
【0071】
他方、図11に示すように、ステップS23では、車速制御支援部46は、ステップS12で設定された制限車速有りの基準車速ラインSに従って、自車両Kgが支線Dsの制限車速区間La(制限車速Va)を通過するまで、目標車速Vmとして制限車速Vaを上限とする車速を車速メータ10に表示する。
【0072】
そして、ステップS24で、車速制御支援部46が、道路地図データベース6bから読み出された道路地図データに基づいて、自車両Kgが制限車速区間Laを通過したか否かを判定する。この判定の結果、自車両Kgが制限車速区間Laを通過していない場合(S24でNOの場合)は、処理がステップS23も戻り、ステップS23及びS24の処理が繰り返される。これにより、運転者は、制限車速区間Laでは、制限車速Vaを上限とする車速に車速操作するように誘導される。
【0073】
他方、ステップS24の判定の結果、自車両Kgが制限車速区間Laを通過した場合(S24でYESの場合)は、処理がステップS25に進み、車速制御支援部46は、ステップS12で設定された制限車速有りの基準車速ラインSに従って、制限車速Vaを超えた目標車速Vmを車速メータ10に表示する。これにより、運転者は、制限車速Vaを超えた車速操作を促される。
【0074】
そして、ステップS26〜S33の処理が順に行われるが、ステップS26〜S33の処理はそれぞれ、ステップS15〜S22の処理と同じ処理であるため、説明は省略する。
【0075】
≪主要な効果≫
以上、この実施形態に係る車両用合流支援装置1によれば、自車両Kgの本線合流時の目標車速Vmを設定する目標車速設定部43と、自車両Kgの支線Ds走行中に、自車両Kgの車速が目標車速Vmに到達するように自車両Kgの運転者の車速操作を支援する車速制御支援部46と、自車両Kgの車速が目標車速Vmに到達した後に、自車両Kgが本線Dhに合流するための運転者の操舵操作を支援する操舵支援部47とを備えている。
【0076】
この構成によれば、本線合流のための車速操作と操舵操作とに分けて運転支援が行われるため、それら各操作(車速操作及び操舵操作)に運転者を集中させることができる。この結果、本線合流時の安全性を高めることができると共に本線合流時の運転者の運転操作の負担を軽減することができる。
【0077】
また、車速制御支援部46は、自車両Kgの車速が目標車速Vmに到達した後、自車両Kgの車速を目標車速Vmに維持するため、運転者は、操舵操作中に、車速を目標車速Vmに維持する車速操作を行う必要が無くなり、操舵操作に集中することができる。
【0078】
また、車速制御支援部46は、支線Dsに制限車速Vaが設定されている場合、自車両Kgの車速を、制限車速Vaを上限とする車速に変化させ、制限車速Vaが解除された後に目標車速Vmに到達するように、運転者の車速操作を支援するため。支線Dsに制限車速Vaが設定されている場合は、制限車速Vaに応じた車速制御支援を行うことができる。この結果、本線合流時の安全性をより高めることができる。
【0079】
また、自車両Kgの支線走行中に操舵支援部47による操舵操作支援の前に運転者が操舵操作を行った場合、運転者に対して操舵操作を止める旨の警報を行う警報制御部12を備えているため、自車両Kgの支線走行中に操舵支援部47による操舵操作支援の前に運転者が操舵操作を行うことを抑制でき、この結果、運転者を車速操作に集中させることができ、本線合流時の安全性を高めることができる。
【0080】
また、車速制御支援部46による車速操作支援が行われる車速調整区間Lvと、操舵支援部47による操舵操作支援が行われる操舵区間Lsとを支線Dsに設定する区間設定部44を備えているため、支線Dsを車速調整区間Lvと操舵区間Lsとに区分でき、これによっても、運転者を車速操作及び操舵操作の各々に集中させることができる。
【0081】
また、操舵区間Lsは、支線Dsの長さに依らない一定時間Δtと目標車速Vmとを乗算した長さに設定されるため、自車両Kgが操舵区間Lsを通過する通過時間(=操舵区間Ls/目標車速Vm)は、支線Dsの長さに関係なく一定時間Δtになる。このため、支線Dsの長さが短い場合でも、操舵操作のための時間を十分に確保することができる。
【0082】
また、車速制御支援部46は、車速調整区間Lv内で自車両Kgの車速を目標車速Vmに到達させるための基準車速ラインSを設定し、自車両Kgの車速が基準車速ラインSに沿って目標車速Vmに到達するように運転者の車速操作を支援するため、自車両Kgの車速が、目標車速Vmに到達する途中で大きく加速又は減速することを抑制できる。この結果、無駄の無い車速操作でスムーズに、自車両Kgの車速を目標車速Vmに到達させることができる。
【0083】
また、車速制御支援部46は、自車両Kgの車速メータ10に目標車速Vmに関する情報を表示することで、自車両Kgの運転者の車速操作を支援するため、運転者に対して、視覚的に分かり易く、車速操作を支援することができる。
【0084】
また、操舵支援部47は、自車両Kgの本線合流のための操舵操作を行う旨の指示を表示部11に表示することで、運転者の操舵操作を支援するため、運転者に対して、視覚的に分かり易く、操舵操作を支援することができる。
【0085】
<変形例>
上記の実施形態では、車速制御支援部46は、車速支援として、車速調整区間Lvで車速メータ10に目標車速Vmを表示するだけであったが、車速制御支援部46は、車速調整区間Lvで、運転者の車速操作に対して、自車両Kgの車速が基準車速ラインSから超過又は不足している場合、その超過分又は不足分が相殺されるように、エンジン出力(例えばスロットル弁の開度)を制御して自車両Kgの車速を制御してもよい(車速アシスト制御)。即ち、運転者の車速操作による超過分又は不足分の車速が車速制御支援部46のエンジン制御で相殺されて、自車両Kgの車速が目標車速Vmに制御されてもよい。これにより、運転者の車速操作のスキルが低い場合でも、自車両Kgの車速を基準車速ラインSに沿って目標車速Vmに到達させることができる。
【0086】
同様に、上記の実施形態では、操舵支援部47は、操舵支援として、操舵区間Lsで表示部11に操舵支援情報を表示するだけであったが、操舵支援部47は、操舵区間Lsで、運転者の操舵操作に対して、操舵トルクが本線合流のために必要な必要操舵トルクから超過又は不足している場合は、その超過分又は不足分が相殺されるように、ステアリング機構14を制御して自車両Kgの操舵トルクを制御してもよい(操舵アシスト制御)。即ち、運転者の操舵操作による超過分又は不足分の操舵トルクが操舵支援部47の操舵トルク制御で相殺されて、操舵トルクが必要操舵トルクに制御されてもよい。これにより、運転者の操舵操作のスキルが低い場合でも、自車両Kgを支線Dsから本線Dhにスムーズに合流させることができる。
【0087】
この発明は、上述の実施形態及び変形例の構成のみに限定されるものではなく、上述の実施形態及び変形例の組み合わせも含み、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
この発明は、自車両の支線から本線への合流を支援する車両用合流支援装置への適用に好適である。
【符号の説明】
【0089】
1…車両用合流支援装置
10…車速メータ
11…表示部
12…警報制御部
43…目標車速設定部
44…区間設定部
46…車速制御支援部
47…操舵支援部
Lo…支線
Lv…車速調整区間
Ls…操舵区間
S…基準車速ライン
Va…制限車速
Vm…目標車速
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11