特許第6597712号(P6597712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6597712
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】電気光学装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20191021BHJP
   G02F 1/1345 20060101ALI20191021BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   G09F9/00 348Z
   G02F1/1345
   H04N5/66 102A
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-104228(P2017-104228)
(22)【出願日】2017年5月26日
(65)【公開番号】特開2018-200361(P2018-200361A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2018年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100194102
【弁理士】
【氏名又は名称】磯部 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】内山 傑
【審査官】 中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−046384(JP,A)
【文献】 再公表特許第2011/108437(JP,A1)
【文献】 特開2010−107980(JP,A)
【文献】 特開2004−127924(JP,A)
【文献】 特開平09−266370(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0030667(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 − 9/46
G02F 1/1343 − 1/1345
G02F 1/135
H04N 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学パネルと、
前記電気光学パネルと電気的に接続された第1フレキシブル基板と
前記電気光学パネルと電気的に接続された第2フレキシブル基板と、
を備え、
前記電気光学パネルは、
スイッチング素子、画素電極および蓄積容量が設けられた素子基板と、
前記素子基板に対向配置された対向基板と、
前記蓄積容量と電気的に接続された容量線と、
第1方向に沿って配列され、前記容量線と電気的に接続された第1端子、第2端子および第3端子と、
を備え、
前記第1フレキシブル基板は、
前記電気光学パネルを駆動する第1駆動回路と、
前記第1方向に沿って配列された、前記第1端子と電気的に接続された第4端子、前記第2端子と電気的に接続された第5端子、および、前記第3端子と電気的に接続された第6端子と、
前記第1駆動回路の外側を通り、前記第4端子と電気的に接続された第1配線と、
前記第1駆動回路を挟み前記第1配線と反対側で当該第1駆動回路の外側を通り、前記第6端子と電気的に接続された第2配線と、
を備え、
前記第1配線と前記第1駆動回路との距離を第1距離とし、前記第2配線と前記第1駆動回路との距離を第2距離としたとき、
前記第5端子は、前記第4端子から前記第1方向に前記第6端子側へ前記第1距離以上離れるとともに、前記第6端子から前記第1方向に前記第4端子側へ前記第2距離以上離れた範囲内に設けられて、前記第4端子と前記第6端子との間に配置され、
前記第2フレキシブル基板は、
前記電気光学パネルを駆動する第2駆動回路と、
前記第1方向に沿って配列された、第8端子および第9端子と、
前記第2駆動回路の外側を通り、前記第8端子と電気的に接続された第3配線と、
前記第2駆動回路を挟み前記第3配線と反対側で当該第2駆動回路の外側を通り、前記第9端子と電気的に接続された第4配線と、
前記第4配線から分岐し、前記第5端子と電気的に接続された配線と、
を備える、
電気光学装置。
【請求項2】
電気光学パネルと、
前記電気光学パネルと電気的に接続された第1フレキシブル基板と、
前記電気光学パネルと電気的に接続された第2フレキシブル基板と、
を備え、
前記電気光学パネルは、
スイッチング素子、画素電極および蓄積容量が設けられた素子基板と、
前記素子基板に対向配置された対向基板と、
前記蓄積容量と電気的に接続された容量線と、
第1方向に沿って配列され、前記容量線と電気的に接続された第1端子、第2端子および第3端子と、
を備え、
前記第1フレキシブル基板は、
前記電気光学パネルを駆動する第1駆動回路と、
前記第1方向に沿って配列された、前記第1端子と電気的に接続された第4端子、前記第2端子と電気的に接続された第5端子、および、前記第3端子と電気的に接続された第6端子と、
前記第1駆動回路の外側を通り、前記第4端子と電気的に接続された第1配線と、
前記第1駆動回路を挟み前記第1配線と反対側で当該第1駆動回路の外側を通り、前記第6端子と電気的に接続された第2配線と、
を備え、
前記第1配線と前記第1駆動回路との距離を第1距離とし、前記第2配線と前記第1駆動回路との距離を第2距離としたとき、
前記第5端子は、前記第4端子から前記第1方向に前記第6端子側へ前記第1距離以上離れるとともに、前記第6端子から前記第1方向に前記第4端子側へ前記第2距離以上離れた範囲内に設けられて、前記第4端子と前記第6端子との間に配置され、
前記第2フレキシブル基板は、
前記電気光学パネルを駆動する第2駆動回路と、
前記第1方向に沿って配列された、第8端子および第9端子と、
前記第2駆動回路の外側を通り、前記第8端子と電気的に接続された第3配線と、
前記第2駆動回路を挟み前記第3配線と反対側で当該第2駆動回路の外側を通り、前記第9端子と電気的に接続された第4配線と、
前記第4配線上に設けられ、前記第5端子と電気的に接続された第10端子と、
を備える
電気光学装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気光学装置と、
プリント基板と、
を備え、
前記電気光学装置の前記第5端子は、前記プリント基板の電源端子と電気的に接続されている、
電子機器。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電気光学装置、
を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル等の電気光学パネルと、当該電気光学パネルを駆動する集積回路(駆動回路)が設けられたフレキシブル基板であるCOF(Chip On Film)基板とを備える電気光学装置が知られている。
【0003】
特許文献1の段落0016および図3に示されるように、COF基板において、電源配線やグラウンド配線は、駆動回路を避けるため、平面視で駆動回路の外側に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−138166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された技術では、電源配線が駆動回路の外側に配置されていることにより、COF基板において電気光学パネルと接続される電源端子が設けられる位置が、駆動回路の外側に制限される。
【0006】
液晶パネル等の電気光学パネルにおいて、データ線や走査線とともに、容量線が設けられている。容量線の電位は、COF基板から電源電位が供給されることで制御されるが、データ線や走査線の電位変動に起因して変動しやすい。COF基板における電源端子の位置が制限されることで、つまり、容量線に所定電位を供給する位置が制限されることで、容量線の電位を良好には制御できないことがある。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、電気光学パネルと、駆動回路が設けられたフレキシブル基板とを備える電気光学装置において、容量線の電位の制御性を向上させることができる技術を提供することを、解決課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、本発明に係る電気光学装置の一態様は、電気光学パネルと、前記電気光学パネルと電気的に接続された第1フレキシブル基板と、前記電気光学パネルと電気的に接続された第2フレキシブル基板と、を備え、前記電気光学パネルは、スイッチング素子、画素電極および蓄積容量が設けられた素子基板と、前記素子基板に対向配置された対向基板と、前記蓄積容量と電気的に接続された容量線と、第1方向に沿って配列され、前記容量線と電気的に接続された第1端子、第2端子および第3端子と、を備え、前記第1フレキシブル基板は、前記電気光学パネルを駆動する第1駆動回路と、前記第1方向に沿って配列された、前記第1端子と電気的に接続された第4端子、前記第2端子と電気的に接続された第5端子、および、前記第3端子と電気的に接続された第6端子と、前記第1駆動回路の外側を通り、前記第4端子と電気的に接続された第1配線と、前記第1駆動回路を挟み前記第1配線と反対側で当該第1駆動回路の外側を通り、前記第6端子と電気的に接続された第2配線と、を備え、前記第1配線と前記第1駆動回路との距離を第1距離とし、前記第2配線と前記第1駆動回路との距離を第2距離としたとき、前記第5端子は、前記第4端子から前記第1方向に前記第6端子側へ前記第1距離以上離れるとともに、前記第6端子から前記第1方向に前記第4端子側へ前記第2距離以上離れた範囲内に設けられて、前記第4端子と前記第6端子との間に配置され、前記第2フレキシブル基板は、前記電気光学パネルを駆動する第2駆動回路と、前記第1方向に沿って配列された、第8端子および第9端子と、前記第2駆動回路の外側を通り、前記第8端子と電気的に接続された第3配線と、前記第2駆動回路を挟み前記第3配線と反対側で当該第2駆動回路の外側を通り、前記第9端子と電気的に接続された第4配線と、前記第4配線から分岐し、前記第5端子と電気的に接続された配線と、を備える
また、電気光学パネルと、前記電気光学パネルと電気的に接続された第1フレキシブル基板と、前記電気光学パネルと電気的に接続された第2フレキシブル基板と、を備え、前記電気光学パネルは、スイッチング素子、画素電極および蓄積容量が設けられた素子基板と、前記素子基板に対向配置された対向基板と、前記蓄積容量と電気的に接続された容量線と、第1方向に沿って配列され、前記容量線と電気的に接続された第1端子、第2端子および第3端子と、を備え、前記第1フレキシブル基板は、前記電気光学パネルを駆動する第1駆動回路と、前記第1方向に沿って配列された、前記第1端子と電気的に接続された第4端子、前記第2端子と電気的に接続された第5端子、および、前記第3端子と電気的に接続された第6端子と、前記第1駆動回路の外側を通り、前記第4端子と電気的に接続された第1配線と、前記第1駆動回路を挟み前記第1配線と反対側で当該第1駆動回路の外側を通り、前記第6端子と電気的に接続された第2配線と、を備え、前記第1配線と前記第1駆動回路との距離を第1距離とし、前記第2配線と前記第1駆動回路との距離を第2距離としたとき、前記第5端子は、前記第4端子から前記第1方向に前記第6端子側へ前記第1距離以上離れるとともに、前記第6端子から前記第1方向に前記第4端子側へ前記第2距離以上離れた範囲内に設けられて、前記第4端子と前記第6端子との間に配置され、前記第2フレキシブル基板は、前記電気光学パネルを駆動する第2駆動回路と、前記第1方向に沿って配列された、第8端子および第9端子と、前記第2駆動回路の外側を通り、前記第8端子と電気的に接続された第3配線と、前記第2駆動回路を挟み前記第3配線と反対側で当該第2駆動回路の外側を通り、前記第9端子と電気的に接続された第4配線と、前記第4配線上に設けられ、前記第5端子と電気的に接続された第10端子と、を備える。
【0009】
前記態様によれば、容量線に、第1端子、第2端子および第3端子をそれぞれ介して、第1フレキシブル基板の第4端子、第5端子および第6端子から所定電位を供給することができる。第4端子と第6端子との間に、つまり、第4端子および第6端子に対して第1方向の中央側の位置に、第5端子が設けられていることで、第5端子が設けられていない場合と比べて、第1方向の中央側の位置に配置された容量線に所定電位を供給しやすくなり、当該容量線の電位の制御性を向上させることができる。
【0010】
上述した電気光学装置の一態様において、前記第1フレキシブル基板は、前記第5端子と前記第1駆動回路との間に配置され、前記第5端子と電気的に接続された第7端子、を備える。この態様によれば、第7端子を介して第5端子に所定電位を供給できる。また、第7端子と第1駆動回路との干渉が抑制される。
【0011】
上述した電気光学装置の一態様において、前記第1フレキシブル基板は、前記第7端子と前記第2配線とを電気的に接続するジャンプ配線、を備える。この態様によれば、第2配線から第5端子に所定電位を供給できる。また、ジャンプ配線を用いることで、第1フレキシブル基板の配線層を多層にする必要がない。
【0012】
上述した電気光学装置の一態様において、前記第5端子は、前記第1駆動回路の電源端子と電気的に接続されている。この態様によれば、第1駆動回路の電源端子を用いて、第5端子に所定電位を供給できる。
【0013】
上述した電気光学装置の一態様において、前記第5端子は、前記第1駆動回路と前記第1フレキシブル基板の基材との間を通過する配線と電気的に接続されている。この態様によれば、第1駆動回路と、第1フレキシブル基板の基材との間を通過させることにより、平面視で第1駆動回路と重なる配線であっても、第5端子と電気的に接続させることができる。
【0014】
上述した電気光学装置の一態様において、前記電気光学パネルと電気的に接続された第2フレキシブル基板、をさらに備え、前記第2フレキシブル基板は、前記電気光学パネルを駆動する第2駆動回路と、前記第1方向に沿って配列された、第8端子および第9端子と、前記第2駆動回路の外側を通り、前記第8端子と電気的に接続された第3配線と、前記第2駆動回路を挟み前記第3配線と反対側で当該第2駆動回路の外側を通り、前記第9端子と電気的に接続された第4配線と、前記第4配線から分岐し、前記第5端子と電気的に接続された配線と、を備える。この態様によれば、第2フレキシブル基板の第4配線から分岐した配線を用いて、第5端子に所定電位を供給できる。
【0015】
上述した電気光学装置の一態様において、前記電気光学パネルと電気的に接続された第2フレキシブル基板、をさらに備え、前記第2フレキシブル基板は、前記電気光学パネルを駆動する第2駆動回路と、前記第1方向に沿って配列された、第8端子および第9端子と、前記第2駆動回路の外側を通り、前記第8端子と電気的に接続された第3配線と、前記第2駆動回路を挟み前記第3配線と反対側で当該第2駆動回路の外側を通り、前記第9端子と電気的に接続された第4配線と、前記第4配線上に設けられ、前記第5端子と電気的に接続された第10端子と、を備える。この態様によれば、第2フレキシブル基板の第4配線上に設けられた第10端子を用いて、第5端子に所定電位を供給できる。
【0016】
以上の課題を解決するため、本発明に係る電子機器の一態様は、上述した電気光学装置と、プリント基板と、を備え、電気光学装置の第5端子は、プリント基板の電源端子と電気的に接続されている。
【0017】
前記態様によれば、プリント基板の電源端子を用いて、第5端子に所定電位を供給できる。
【0018】
以上の課題を解決するため、本発明に係る電子機器の一態様は、上述した電気光学装置を備える。
【0019】
前記態様によれば、電子機器が備える電気光学装置において、容量線の電位の制御性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態による液晶パネルの構成を示す概略平面図である。
図2】実施形態による液晶パネルの電気的な構成を示す回路図である。
図3】実施形態による液晶パネルの容量線の電気的な接続関係を示す概略図である。
図4】実施形態による液晶表示装置の構成を示す概略平面図である。
図5】第1変形例による液晶表示装置の構成を示す概略平面図である。
図6】第2変形例による液晶表示装置の構成を示す概略平面図である。
図7】第3変形例による液晶表示装置の構成を示す概略平面図である。
図8】第2実施形態によるCOF基板の構成を示す概略平面図である。
図9】第2実施形態による液晶表示装置の構成を示す概略平面図である。
図10】第2実施形態の変形例によるCOF基板の構成を示す概略平面図である。
図11】第2実施形態の変形例による液晶表示装置の構成を示す概略平面図である。
図12】応用例によるプロジェクターの光学系を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の好適な実施の形態を、添付図面等を参照しながら詳細に説明する。ただし、各図において、各部の寸法および縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0022】
<第1実施形態>
本発明の実施形態として、液晶パネル100と、液晶パネル100と電気的に接続されたCOF(Chip On Film)基板200とを備える液晶表示装置10を例示する。まず、液晶パネル100について説明する。なお、電気的に接続されていることを、単に、接続されていると称することがある。
【0023】
図1は、液晶パネル100の全体的な構成を例示する概略平面図である。液晶パネル100は、画素のスイッチング素子として薄膜トランジスター(Thin Film Transistor:TFT)を備えたアクティブマトリックス型の液晶パネルであり、素子基板110と、素子基板110に対向配置された対向基板120と、素子基板110と対向基板120との間に配置された液晶層130とを備える。
【0024】
液晶パネル100は、例えば、TN(Twisted Nematic)モードやVA(Vertical Alignment)モードで動作する。液晶パネル100は、例えば、対向基板120側から入射した光を変調して素子基板110側に射出する透過型の液晶パネルとして用いられる。
【0025】
素子基板110と対向基板120とは、額縁状に配置されたシール材115を介して接合されている。液晶層130は、素子基板110と対向基板120とシール材115とによって囲まれた空間に封入された、正または負の誘電異方性を有する液晶で構成されている。シール材115が設けられた領域の内側に、複数の画素が配列された表示領域101が形成されている。
【0026】
素子基板110には、詳細は図2を参照して後述するように、TFT150、画素電極160、蓄積容量170、データ線151、走査線152、および、容量線171が設けられている。対向基板120には、共通電極が設けられている。
【0027】
素子基板110には、また、シール材115の外側の領域に、データ線駆動回路105、走査線駆動回路106、および、外部回路実装端子140が設けられている。データ線駆動回路105は、素子基板110の一辺に沿って設けられている。データ線駆動回路105が設けられた一辺に沿った方向をX方向とする。走査線駆動回路106は、データ線駆動回路105が設けられた一辺と直交し互いに対向する二辺に沿って設けられている。走査線駆動回路106が設けられた二辺に沿った方向をY方向とする。
【0028】
複数の外部回路実装端子140が、データ線駆動回路105の延在方向に沿って、つまり、X方向に沿って配列されている。「外部回路実装端子」を、単に「端子」と称することがある。X方向に並んだ複数の端子140の配列は、容量線171と接続された端子140として、端子141(第1端子)、端子142(第2端子)および端子143(第3端子)を含む。端子141は、端子140の配列の一端部に、例えば当該一端部の最も端に配置されている。端子143は、端子140の配列の他端部に、例えば当該他端部の最も端に配置されている。端子142は、端子141と端子143との間に配置され、例えば端子140の配列の中央部に配置される。つまり、端子142は、端子141および端子143に対してX方向の内側の位置に配置されている。なお、端子141および端子143は、それぞれ、端子140の配列の最も端に配置されていなくともよく、また、端子142は、端子140の配列の中心に配置されていなくともよい。
【0029】
端子140の配列において、端子141と端子142との間に配置された端子140は、例えばデータ線駆動回路105を介してデータ線151と接続され、また例えば走査線駆動回路106を介して走査線152と接続されている。端子142と端子143との間に配置された端子140は、例えばデータ線駆動回路105を介してデータ線151と接続され、また例えば走査線駆動回路106を介して走査線152と接続されている。
【0030】
図2は、液晶パネル100の電気的な構成を例示する等価回路図である。表示領域101に、複数の画素102が行列状に配置されている。ここでは、X方向に並んだ画素102の配列を行と称し、Y方向に並んだ画素102の配列を列と称する。各画素102に、TFT150、画素電極160および蓄積容量170が設けられている。
【0031】
データ線151は、画素102の列ごとに、データ線駆動回路105からY方向に延在して設けられ、TFT150のソース電極と接続されている。データ線151には、データ線駆動回路105から画像信号(データ信号)S1、S2、…、Snが線順次で供給される。走査線152は、画素102の行ごとに、走査線駆動回路106からX方向に延在して設けられ、TFT150のゲート電極と接続されている。走査線152には、走査線駆動回路106から走査信号G1、G2、…、Gnが線順次で供給される。TFT150のドレイン電極は、画素電極160と接続されている。なお、走査線152に沿う方向をX方向と称し、データ線151に沿う方向をY方向と称することもできる。
【0032】
画像信号S1、S2、…、Snは、TFT150を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線151を介して画素電極160に所定のタイミングで書き込まれる。このようにして画素電極160を介して液晶層130に書き込まれた所定レベルの画像信号は、対向基板120に設けられた共通電極との間に形成される液晶容量で一定期間保持される。
【0033】
保持された画像信号S1、S2、…、Snがリークすることを防止するため、液晶容量と並列に配置された容量として、蓄積容量170が設けられている。蓄積容量170は、画素電極160と容量線171との間に形成された容量である。つまり、容量線171は、蓄積容量170と接続されている。容量線171は、画素102の列ごとに、データ線151に沿って、Y方向に延在して設けられている。
【0034】
以上のようにして、各画素102の液晶に電圧信号が印加され、印加された電圧レベルに応じて液晶の配向状態が変化することで、液晶層130に入射した光が変調されて、階調表示が可能となる。
【0035】
図3は、液晶パネル100の容量線171の電気的な接続関係を例示する概略図である。各容量線171が、Y方向に延在して設けられている。複数の容量線171が、X方向に沿って配列されている。各容量線171のY方向の両端部のうち、端子141等側の一端部は、X方向に延在する配線180を介して、相互に接続されている。また、各容量線171のY方向の両端部のうち、端子141等側と反対側の他端部は、X方向に延在する配線181を介して、相互に接続されている。配線180のX方向の一端部と、配線181のX方向の一端部とが、Y方向に延在する配線182を介して、相互に接続されている。配線180のX方向の他端部と、配線181のX方向の他端部とが、Y方向に延在する配線183を介して、相互に接続されている。
【0036】
端子141は、配線180の一端部に配置された接続位置191で配線180と接続されることにより、各容量線171と接続されている。端子143は、配線180の他端部に配置された接続位置193で配線180と接続されることにより、各容量線171と接続されている。端子142は、配線180の、端子141の接続位置191と端子143の接続位置193との間に配置された接続位置192で、例えば配線180の中央部に配置された接続位置192で、配線180と接続されることにより、各容量線171と接続されている。
【0037】
詳細は図4を参照して後述するように、各容量線171には、COF基板200の端子241、端子242および端子243から、端子141、端子142および端子143を介して、所定電位(電源電位)が供給される。容量線171に供給される所定電位は、必要に応じて適宜設定されてよく、例えば固定電位であってもよく、また例えば交流電位であってもよい。
【0038】
容量線171は、データ線151に沿って設けられている。このため、容量線171の電位は、画像信号の書き込みに伴うデータ線151の電位の変動に起因して、変動しやすい。容量線171に、所定電位を供給することで、容量線171の電位の変動を抑制することができる。
【0039】
本実施形態による液晶パネル100は、X方向(第1方向)に沿って配列された端子141と端子143との間に、つまり、端子141および端子143に対してX方向の中央側の位置に、端子142が設けられていることで、端子142が設けられていない場合と比べて、X方向の中央側の位置に配置された容量線171に、所定電位を供給しやすくなり、当該容量線171の電位の制御性を向上させることができる。換言すると、X方向に沿って配列された容量線171同士の電位のばらつきを小さくすることができる。
【0040】
次に、液晶表示装置10について説明する。図4は、液晶表示装置10の構成を示す概略平面図である。液晶表示装置10は、上述の液晶パネル100と、COF基板200(第1フレキシブル基板)とを備える。
【0041】
COF基板200は、柔軟性を有する基材210と、液晶パネル100を駆動する集積回路である駆動回路(第1駆動回路)220と、配線231(第1配線)、配線232および配線233(第2配線)と、パネル接続端子241(第4端子)、パネル接続端子242(第5端子)およびパネル接続端子243(第6端子)と、ジャンプ配線用端子250(第7端子)およびジャンプ配線用端子251と、配線(ジャンプ配線)252と、電源端子261および電源端子263と、を備える。「パネル接続端子」、「ジャンプ配線用端子」および「電源端子」をそれぞれ、単に「端子」と称することがある。
【0042】
COF基板200を、COF基板200の表面に垂直な方向(基材210に垂直な方向)から見ることを、平面視と称する。基材210の柔軟性により、COF基板200は曲げられた状態となり得るが、煩雑さを避けるため、平面視は、COF基板200を(基材210を)平らにした状態で規定する。
【0043】
基材210としては、例えばポリイミドフィルム等の樹脂フィルムが用いられる。駆動回路220は、TAB(Tape Automated Bonding)技術を用いて基材210上に設けられており、駆動信号を生成して、液晶パネル100に供給する。配線231、配線232および配線233は、基材210上に設けられた銅箔や銅めっき層等の導電膜がパターニングされることで形成されており、ソルダーレジスト等の絶縁性の保護膜により覆われている。
【0044】
COF基板200には、駆動回路220と接続された信号配線、および、当該信号配線と接続された信号端子も形成されている。当該信号端子が、液晶パネル100の、データ線駆動回路105を介してデータ線151に接続された端子140と、または、走査線駆動回路106を介して走査線152に接続された端子140と、接続されることで、駆動回路220からの駆動信号が、液晶パネル100に供給される。
【0045】
端子241、端子242および端子243は、X方向に沿って配列されており、Y方向の位置が、駆動回路220に対し液晶パネル100側に配置されている。COF基板200の端子241、端子242および端子243は、それぞれ、液晶パネル100の端子141、端子142および端子143と接続されている。これらの端子の電気的な接続関係を、両矢印で示している。端子241と端子141、端子242と端子142、および、端子243と端子143は、それぞれ、平面視で重なって配置されている。ただし、図4は、図示を容易にするため、端子241、端子242および端子243と、端子141、端子142および端子143とを、平面視でずらして表示している。
【0046】
配線231は、X方向の位置について駆動回路220の外側を通って、Y方向に延在している。配線231は、液晶パネル100側の端部で、端子241と接続されており、液晶パネル100と反対側の端部で、端子261と接続されている。端子261は、Y方向の位置が、駆動回路220に対し液晶パネル100と反対側に配置されている。外部に配置された電源から、端子261に電源電位が供給され、配線231および端子241を介して、端子141に電源電位が供給される。
【0047】
配線233は、X方向の位置について駆動回路220を挟み配線231と反対側で、駆動回路220の外側を通って、Y方向に延在している。配線233は、液晶パネル100側の端部で、端子243と接続されており、液晶パネル100と反対側の端部で、端子263と接続されている。端子263は、Y方向の位置が、駆動回路220に対し液晶パネル100と反対側に配置されている。上記電源から、端子263に電源電位が供給され、配線233および端子243を介して、端子143に電源電位が供給される。
【0048】
配線232は、Y方向の位置が、端子242と駆動回路220との間に(駆動回路220に対し液晶パネル100側に)配置され、X方向の位置が、駆動回路220と重なる範囲に配置されて、Y方向に延在している。配線232は、液晶パネル100側の端部で、端子242と接続されており、液晶パネル100と反対側の端部で、端子250と接続されている。
【0049】
端子250は、Y方向の位置が、端子242と駆動回路220との間に(駆動回路220に対し液晶パネル100側に)配置され、X方向の位置が、駆動回路220と重なる範囲に配置されて、配線232を介して端子242と接続されている。
【0050】
端子251は、端子243と端子263との間の配線233上に、つまり、Y方向の位置が端子243に対し駆動回路220側に配置されて配線233上に、設けられている。端子250と端子251とを、配線252が接続している。配線252は、配線233から分岐した配線となっている。上記電源から、配線233および配線252を介して端子250に電源電位が供給され、さらに、配線232および端子242を介して、端子142に電源電位が供給される。配線252としては、ジャンプ配線(端子250、251に対し基材210の厚さ方向外側に配置された(立体配置された)配線)を用いるとよい。配線252を、COF基板200内の配線層で構成することも可能ではあるが、その場合は、配線同士の交差が生じるため、COF基板200内の配線層を多層にする必要がある。配線252をジャンプ配線で構成することで、COF基板200の配線層を多層にする必要がない。
【0051】
端子241および端子243は、X方向の位置が、駆動回路220の外側に配置されている。このため、端子241および端子243には、駆動回路220の外側を通る配線231および配線233を、それぞれそのまま接続することで、電源電位を供給することができる。
【0052】
一方、端子242は、X方向の位置が、駆動回路220と重なる範囲に配置されている。したがって、X方向の位置が端子242と対応し(駆動回路220と重なり)、Y方向の位置が駆動回路220に対し液晶パネル100と反対側に配置された電源端子を用いて、当該電源端子に接続された電源配線を端子242に接続しようとする場合、駆動回路220が妨げとなりやすい。
【0053】
このため、本実施形態では、駆動回路220の外側を通過する配線233を、配線(ジャンプ配線)252を用いて分岐させ、配線252を介して端子242と接続することで、端子242に電源電位を供給している。このように、本実施形態によれば、X方向の位置が駆動回路220と重なる範囲に配置された端子242に、電源電位を供給することができ、端子242を、電源端子として用いることができる。なお、同様にして、配線231を分岐させて端子242と接続する構成を採用してもよい。
【0054】
ところで、後述の第2実施形態(図9参照)のようにCOF基板200(200a)が平面視で曲がった形状である場合、電源配線と端子242との接続に駆動回路220(220a)が妨げとなるかどうかは、端子242のX方向の位置が単純に駆動回路220(220a)と重なっているかどうかによっては、判断しにくい。例えば、図9に示す例では、端子241(241a)のX方向の位置が駆動回路220(220a)と重なっているのに対し、端子242のX方向の位置は駆動回路220(220a)の外側に配置され、駆動回路220(220a)と重なっていない。
【0055】
ここで、第1実施形態おいて端子242が駆動回路220と重なる範囲に配置されている状況、つまり、電源配線と端子242との接続が駆動回路220によって妨げられやすい状況を、より一般的に規定する。
【0056】
端子241に接続された配線231と、駆動回路220との距離を、距離W1(第1距離)とする。端子243に接続された配線233と、駆動回路220との距離を、距離W3(第2距離)とする。
【0057】
なお、配線231と駆動回路220との距離は、平面視における配線231と駆動回路220との最小の間隙の長さで規定することができ、配線233と駆動回路220との距離は、平面視における配線233と駆動回路220との最小の間隙の長さで規定することができる。
【0058】
端子241からX方向(端子241、端子242および端子243が並んだ方向)に端子243側へ距離W1以上離れるとともに、端子243からX方向に端子241側へ距離W3以上離れた範囲を範囲W2とする。範囲W2は、駆動回路220が配置されたY方向の位置において駆動回路220と重なるX方向の範囲を、COF基板200の延在方向に沿って、端子242等が配置されたY方向の位置までずらした範囲と捉えることができる。つまり、端子242は、範囲W2内に設けられて、端子241と端子243との間に配置されていることで、電源配線と端子242との接続が駆動回路220によって妨げられやすい端子であると捉えることができる。
【0059】
なお、端子241からX方向に端子243側へ距離W1以上離れていることを判定する際の、端子241の起点は、平面視で端子241の縁がX方向の最も端子243側に配置された位置で規定することができる。また、端子243からX方向に端子241側へ距離W3以上離れていることを判定する際の、端子243の起点は、平面視で端子243の縁がX方向の最も端子241側に配置された位置で規定することができる。ただし、図4(および図9)は、図示を容易にするため、端子241と端子243の起点を、端子241の中央部と端子243の中央部としている。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によるCOF基板200は、液晶パネル100の端子141と接続された端子241、および、液晶パネル100の端子143と接続された端子243に加えて、端子241と端子243との間に、液晶パネル100の端子142と接続された端子242を備える。これにより、容量線171に、端子241、端子242および端子243から、所定電位(電源電位)を供給することができる。
【0061】
X方向(第1方向)に沿って配列された端子241と端子243との間に、つまり、端子241および端子243に対してX方向の中央側の位置に、端子242が設けられていることで、端子242が設けられていない場合と比べて、X方向の中央側の位置に配置された容量線171に、所定電位を供給しやすくなり、当該容量線171の電位の制御性を向上させることができる。
【0062】
COF基板200は、また、配線232を介して端子242と接続された端子250を備える。端子250は、Y方向(第1方向と交差する第2方向)の位置が端子242と駆動回路220との間に配置され、駆動回路220から液晶パネル100側に配置されている。これにより、端子250を介して端子242に所定電位を供給できる。また、端子250と駆動回路220との干渉が抑制される。
【0063】
COF基板200は、また、配線233上に設けられた端子251と、端子250と端子251とを接続する配線252と、を備える。これにより、配線233から端子242に所定電位を供給できる。配線252をジャンプ配線で構成することで、COF基板200の配線層を多層にする必要がない。なお、後述の第2実施形態における配線270と同様に、基材210上で配線233から分岐させた配線を曲げて、端子250に接続するジャンプ配線(端子250に対し基材210の厚さ方向外側に配置された(立体配置された)配線)として用いてもよい。このような態様においては、配線233上に端子251が配置されていなくともよい。
【0064】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下に述べるような他の実施形態への適用や、各種の変形が可能である。また、以下に述べる他の実施形態や変形の態様は、任意に選択された一または複数を、適宜に組み合わせることもできる。
【0065】
例えば、液晶パネル100の端子142と接続される、COF基板200の端子242に、所定電位(電源電位)を供給する態様は、上述の第1実施形態で説明した態様に限定されず、必要に応じて、以下に説明するような各種の態様としてもよい。
【0066】
まず、上述の第1実施形態の第1変形例、第2変形例および第3変形例について説明する。これらの変形例では、上述の第1実施形態と、COF基板200の構成が異なる。
【0067】
<第1実施形態の第1変形例>
図5は、第1実施形態の第1変形例による液晶表示装置10の構成を示す概略平面図である。第1変形例によるCOF基板200では、端子242が、配線253を介して、駆動回路220の電源端子(電源出力端子)221と接続されている。また、駆動回路220の電源端子(電源入力端子)222が、配線254を介して、COF基板200の電源端子262と接続されている。本変形例によれば、駆動回路220の電源端子221を用い、駆動回路220を介して、端子242に所定電位を供給できる。
【0068】
<第1実施形態の第2変形例>
図6は、第1実施形態の第2変形例による液晶表示装置10の構成を示す概略平面図である。第2変形例によるCOF基板200では、端子242が、配線255を介して、COF基板200の電源端子262と接続されている。配線255は、駆動回路220の下方を通過している。つまり、第2変形例では、端子242に、駆動回路220と基材210との間を通過する配線255が接続されている。本変形例によれば、駆動回路220と基材210との間を通過させることにより、平面視で駆動回路220と重なる配線255であっても、端子242と接続させることができる。
【0069】
<第1実施形態の第3変形例>
図7は、第1実施形態の第3変形例による液晶表示装置10の構成を示す概略平面図である。第3変形例は、電子機器30内における、液晶表示装置10の接続態様を示す。電子機器30は、液晶表示装置10と、プリント基板20とを備える。
【0070】
プリント基板20は、電源端子である端子21、端子22および端子23を備える。COF基板200の端子241および端子243は、それぞれ、配線231および配線233を介して、プリント基板20の端子21および端子22と接続されている。また、COF基板200の端子250は、配線256を介して、プリント基板20の端子23と接続されている。配線256としては、ジャンプ配線を用いるとよい。COF基板200の端子242は、端子250を介して、プリント基板20の電源端子23と接続されている。本変形例によれば、プリント基板20の電源端子23を用いて、端子242に所定電位を供給できる。
【0071】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態による液晶表示装置10について説明する。液晶パネル100の駆動の複雑化、高速化に対応させるために、複数の駆動回路220を、つまり、複数のCOF基板200を用いたい場合がある。第2実施形態では、液晶表示装置10が複数の、例えば2つのCOF基板200を備える態様について例示する。なお、以下の説明では、各COF基板200で共通の構造や部材に対しては共通の参照番号を付し、COF基板200同士の相違は、参照番号に「a」または「b」を付加して示す。
【0072】
図8は、第2実施形態による液晶表示装置10が備えるCOF基板200aおよびCOF基板200bの構成を示す概略平面図である。図9は、第2実施形態による液晶表示装置10の構成を示す概略平面図である。
【0073】
COF基板200a(第1フレキシブル基板)は、第1実施形態におけるCOF基板200に対応し、COF200b(第2フレキシブル基板)は、追加されたCOF基板200である。COF基板200aは、第1実施形態のCOF基板200と比べて、平面視で曲がった形状を有する点で相違する。また、COF基板200aにおいては、配線233aが、分岐しておらず、端子250と接続されていない。
【0074】
COF基板200bは、液晶パネル100を駆動する集積回路である駆動回路220b(第2駆動回路)を備える。COF基板200bは、液晶パネル100に接続される端子241b等の配置領域近傍が、COF基板200aと重ねられた状態で、液晶パネル100と接続される。COF基板200bは、COF基板200aと重ねられた状態で、駆動回路220bが、COF基板200aの駆動回路220a(第1駆動回路)と重ならないように、平面視で曲がった形状を有する。駆動回路220aと駆動回路220bとが平面視で重ならないことにより、駆動回路220aおよび駆動回路220bで発生した熱を効率的に放熱することができる。
【0075】
COF基板200bは、COF基板200aの端子241aおよび端子243aとそれぞれ対応する端子241b(第8端子)および端子243b(第9端子)を備える。端子241bおよび端子243bは、X方向に沿って配列されている。COF基板200bは、また、COF基板200aの配線231aおよび配線233aとそれぞれ対応する配線231b(第3配線)および配線233b(第4配線)を備える。配線231bは、X方向の位置について駆動回路220bの外側を通って、端子241bと接続されており、端子241bとは反対側で、電源端子261bと接続されている。配線233bは、X方向の位置について駆動回路220bを挟み配線231bと反対側で、駆動回路220bの外側を通って、端子243bと接続されており、端子243bとは反対側で、電源端子263bと接続されている。
【0076】
COF基板200bは、COF基板200aの端子242と対応する端子は、備えていない。また、COF基板200aの配線232と対応する配線、および、端子250と対応する端子は、備えていない。
【0077】
COF基板200bは、基材210b上で配線233bから分岐した配線(ジャンプ配線)270を備える。また、配線270の先端部に、端子271を備える。配線233bが分岐した形状に対応して、COF基板200bの基材210bは、分岐した形状を有する。
【0078】
液晶表示装置10において、COF基板200bの配線270は、COF基板200a側に曲げられ、端子271を介して、COF基板200aの端子250と接続されている。つまり、COF基板200bの配線233bは、ジャンプ配線である配線270を介して、COF基板200aの端子242と接続されている。第2実施形態によれば、配線233bから分岐した配線270を用いて、端子242に所定電位を供給できる。
【0079】
<第2実施形態の変形例>
次に、第2実施形態の変形例について説明する。本変形例は、COF基板200bの配線233bと、COF基板200aの端子250との接続態様が、上述の第2実施形態と異なる。
【0080】
図10は、第2実施形態の変形例による液晶表示装置10が備えるCOF基板200aおよびCOF基板200bの構成を示す概略平面図である。図11は、第2実施形態の変形例による液晶表示装置10の構成を示す概略平面図である。
【0081】
本変形例では、COF基板200bが、端子273(第10端子)を備える。端子273は、端子243bと端子263bとの間の配線233b上に、つまり、Y方向の位置が端子243bに対し駆動回路220b側に配置されて配線233b上に、設けられている。
【0082】
COF基板200aの端子250と、COF基板200bの端子273とは、配線(ジャンプ配線)272を介して接続されている。配線272は、例えば、上述の第2実施形態において配線233bから分岐した配線270が形成されていた領域と同様な領域274の基材210b上に、配線233bとは分離して、パターニングにより形成しておくことができる。そして、この領域274を曲げることで、配線272により端子250と端子273とが接続される。なお、領域274を曲げて端子250と端子273とを接続した後、必要に応じ、領域274の根元を切断して、領域274を基材210bから分離してもよい。このように、本変形例によれば、配線233b上に設けられた端子273を用いて、端子242に所定電位を供給できる。
【0083】
以上説明したように、上述の実施形態および変形例によれば、液晶パネル100の容量線171に所定電位を供給することで、容量線171の電位の制御性を向上させることができる。なお、当該所定電位は、液晶パネル100の対向基板120が備える共通電極に供給してもよい。
【0084】
<応用例>
次に、上述の実施形態および変形例の応用例として、投射型表示装置(プロジェクター)について説明する。図12は、応用例によるプロジェクター400の光学系を例示する模式図である。プロジェクター400は、光源装置401と、インテグレーター404と、偏光変換素子405と、色分離導光光学系402と、光変調装置としての液晶光変調装置410R、液晶光変調装置410G、 液晶光変調装置410Bと、クロスダイクロイックプリズム412および投写光学系414と、を具備して構成されている。液晶光変調装置410R、410Gおよび410Bには、後述するように、液晶表示装置420R、420Gおよび420Bが設けられている。これらの液晶表示装置420R、420Gおよび420Bとして、例えば上述の液晶表示装置10を用いることができる。
【0085】
光源装置401は、第1色光である赤色光(以下「R光」という)、第2色光である緑色光(以下「G光」という)、および第3色光である青色光(以下「B光」という)を含む光を供給する。光源装置401としては、例えば超高圧水銀ランプを用いることができる。
【0086】
インテグレーター404は、光源装置401から出射された光の照度分布を均一化する。照度分布を均一化された光は、偏光変換素子405にて特定の振動方向を有する偏光光、例えば色分離導光光学系402の反射面に対してs偏光したs偏光光に変換される。s偏光光に変換された光は、色分離導光光学系402を構成するR光透過ダイクロイックミラー406Rに入射する。
【0087】
色分離導光光学系402は、R光透過ダイクロイックミラー406Rと、B光透過ダイクロイックミラー406Gと、3枚の反射ミラー407と、2枚のリレーレンズ408と、を具備して構成されている。
【0088】
R光透過ダイクロイックミラー406Rは、R光を透過し、G光、B光を反射する。R光透過ダイクロイックミラー406Rを透過したR光は、反射ミラー407に入射する。
【0089】
反射ミラー407は、R光の光路を90度折り曲げる。光路を折り曲げられたR光は、R光用液晶光変調装置410Rに入射する。R光用液晶光変調装置410Rは、R光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。
【0090】
R光用液晶光変調装置410Rは、λ/2位相差板423R、ガラス板424R、第1偏光板421R、液晶表示装置420R、および第2偏光板422Rを有する。λ/2位相差板423Rおよび第1偏光板421Rは、偏光方向を変換させない透光性のガラス板424Rに接する状態で配置される。なお、図12において、第2偏光板422Rは独立して設けられているが、液晶表示装置420Rの射出面や、クロスダイクロイックプリズム412の入射表面に接する状態で配置しても良い。
【0091】
R光透過ダイクロイックミラー406Rで反射された、G光とB光とは光路を90度折り曲げられる。光路を折り曲げられたG光とB光とは、B光透過ダイクロイックミラー406Gに入射する。B光透過ダイクロイックミラー406Gは、G光を反射し、B光を透過する。B光透過ダイクロイックミラー406Gで反射されたG光は、G光用液晶光変調装置410Gに入射する。G光用液晶光変調装置410GはG光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。G光用液晶光変調装置410Gは、液晶表示装置420G、第1偏光板421Gおよび第2偏光板422Gを有する。
【0092】
G光用液晶光変調装置410Gに入射するG光は、s偏光光に変換されている。G光用液晶光変調装置410Gに入射したs偏光光は、第1偏光板421Gをそのまま透過し、液晶表示装置420Gに入射する。液晶表示装置420Gに入射したs偏光光は、画像信号に応じた変調により、G光がp偏光光に変換される。液晶表示装置420Gの変調により、p偏光光に変換されたG光が、第2偏光板422Gから射出される。このようにして、G光用液晶光変調装置410Gで変調されたG光は、クロスダイクロイックプリズム412に入射する。
【0093】
B光透過ダイクロイックミラー406Gを透過したB光は、2枚のリレーレンズ408と、2枚の反射ミラー407とを経由して、B光用液晶光変調装置410Bに入射する。
【0094】
B光用液晶光変調装置410Bは、B光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。B光用液晶光変調装置410Bは、λ/2位相差板423B、ガラス板424B、第1偏光板421B、液晶表示装置420B、および第2偏光板422Bを有する。
【0095】
B光用液晶光変調装置410Bに入射するB光は、s偏光光に変換されている。B光用液晶光変調装置410Bに入射したs偏光光は、λ/2位相差板423Bによりp偏光光に変換される。p偏光光に変換されたB光は、ガラス板424Bおよび第1偏光板421Bをそのまま透過し、液晶表示装置420Bに入射する。液晶表示装置420Bに入射したp偏光光は、画像信号に応じた変調により、B光がs偏光光に変換される。液晶表示装置420Bの変調により、s偏光光に変換されたB光が、第2偏光板422Bから射出される。B光用液晶光変調装置410Bで変調されたB光は、クロスダイクロイックプリズム412に入射する。
【0096】
このように、色分離導光光学系402を構成するR光透過ダイクロイックミラー406RとB光透過ダイクロイックミラー406Gとは、光源装置401から供給される光を、第1色光であるR光と、第2色光であるG光と、第3色光であるB光とに分離する。
【0097】
色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム412は、2つのダイクロイック膜412a、412bをX字型に直交して配置して構成されている。ダイクロイック膜412aは、B光を反射し、G光を透過する。ダイクロイック膜412bは、R光を反射し、G光を透過する。このように、クロスダイクロイックプリズム412は、R光用液晶光変調装置410R、G光用液晶光変調装置410G、およびB光用液晶光変調装置410Bでそれぞれ変調されたR光、G光およびB光を合成する。
【0098】
投写光学系414は、クロスダイクロイックプリズム412で合成された光をスクリーン416に投射する。これにより、スクリーン416上でフルカラー画像を得ることができる。このように、上述の液晶表示装置10は、一例としてプロジェクター400に用いることができる。
【0099】
なお、上述の液晶表示装置10は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクターに用いることも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに用いることもできる。
【0100】
なお、液晶表示装置10を適用可能な電子機器は、プロジェクター400に限定されない。液晶表示装置10は、例えば、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)や直視型のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、または電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、電子手帳、POSなどの情報端末機器の表示部として用いてもよい。
【0101】
なお、上記の説明では、容量線を備えた電気光学パネルとして、液晶パネル100を例示したが、このような電気光学パネルは、その他例えば、電気泳動パネル等であってもよい。また、電気光学パネルおよびCOF基板(フレキシブル基板)を備えた電気光学装置として、液晶表示装置10を例示したが、電気光学装置は、その他例えば、電気泳動表示装置等であってもよい。
【符号の説明】
【0102】
10…液晶表示装置(電気光学装置)、100…液晶パネル(電気光学パネル)、101…表示領域、102…画素、105…データ線駆動回路、106…走査線駆動回路、110…素子基板、115…シール材、120…対向基板、130…液晶層、140…外部回路実装端子、141…端子、142…端子、143…端子、150…TFT、151…データ線、152…走査線、160…画素電極、170…蓄積容量、171…容量線、180…配線、181…配線、182…配線、183…配線、191…接続位置、192…接続位置、193…接続位置、200…COF基板(フレキシブル基板)、210…基材、220…駆動回路、221…電源端子、222…電源端子、231…配線、232…配線、233…配線、241…端子、242…端子、243…端子、250…端子、251…端子、252…配線(ジャンプ配線)、253…配線、254…配線、255…配線、256…配線(ジャンプ配線)、261…電源端子、262…電源端子、263…電源端子、270…配線(ジャンプ配線)、271…端子、272…配線(ジャンプ配線)、273…端子、300…プリント基板、301…電源端子、302…電源端子、303…電源端子、400…プロジェクター、401…光源装置、402…色分離導光光学系、404…インテグレーター、405…偏光変換素子、410R…液晶光変調装置、410G…液晶光変調装置、410B…液晶光変調装置、412…クロスダイクロイックプリズム、414…投写光学系、416…スクリーン。
図1
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図12