特許第6597714号(P6597714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6597714-電力変換装置、冷凍装置 図000002
  • 特許6597714-電力変換装置、冷凍装置 図000003
  • 特許6597714-電力変換装置、冷凍装置 図000004
  • 特許6597714-電力変換装置、冷凍装置 図000005
  • 特許6597714-電力変換装置、冷凍装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6597714
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】電力変換装置、冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20191021BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-106435(P2017-106435)
(22)【出願日】2017年5月30日
(65)【公開番号】特開2018-207556(P2018-207556A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2018年3月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】平岡 誠康
(72)【発明者】
【氏名】石関 晋一
(72)【発明者】
【氏名】小寺 圭人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 正英
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−096976(JP,A)
【文献】 特開2012−105369(JP,A)
【文献】 特開2006−230064(JP,A)
【文献】 特開2016−165202(JP,A)
【文献】 特開2016−109350(JP,A)
【文献】 特開2015−121364(JP,A)
【文献】 特開2012−023799(JP,A)
【文献】 特開2012−124985(JP,A)
【文献】 特開2016−100952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12,7/48,3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源(1)に接続されて交流/直流変換を行なうコンバータ(2)と、
前記コンバータの出力側に接続される直流電源線対(LH,LL)と、
第1コンデンサ(C4)を有し、前記第1コンデンサの放電によって前記直流電源線対に電力を授与する放電回路(42)と、
第1リアクトル(L4)を有し、前記直流電源線対から電力を受納して前記第1リアクトルに蓄積されたエネルギーで前記第1コンデンサ(C4)を充電する充電回路(41)と、
前記直流電源線対の間の第1電圧(Vdc)を直流/交流変換して負荷(6)に交流電流(Iu,Iv,Iw)を出力するインバータ(5)と、
少なくとも前記インバータを冷却する冷却器(8)と、
前記第1コンデンサと前記第1リアクトルとを含み前記コンバータと前記インバータとの間で接続されるリアクタンス素子群(J)に対して、前記冷却器を介して反対側に配置され、前記インバータを制御するインバータ制御信号(S5)を出力する制御部(109)と
を備え、
前記交流電源(1)と前記コンバータ(2)との間に介在し、前記冷却器を介して、前記リアクタンス素子群(J)とは反対側に配置されるコモンモードチョーク(CMC)
を更に備える電力変換装置(202)。
【請求項2】
前記充電回路(41)は、
前記直流電源線対(LH,LL)の間で前記第1リアクトル(L4)と直列に接続された第1スイッチ(Sl)と、
前記第1コンデンサ(C4)を充電する充電電流が流れるダイオード(D40)と
を更に有し、
前記冷却器(8)は、前記第1スイッチ及び前記ダイオードを有する組(41d)を更に冷却し、
前記制御部(109)は、前記第1スイッチを制御する第1スイッチ制御信号(S41)を更に出力する、請求項に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記放電回路(42)は、
前記直流電源線対の間で前記第1コンデンサ(C4)と直列に接続された第2スイッチ(Sc)
を更に有し、
前記冷却器(8)は、前記第2スイッチを更に冷却し、
前記制御部(109)は、前記第2スイッチを制御する第2スイッチ制御信号(S42)を更に出力する、請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記コンバータ(2)の出力側と前記直流電源線対(LH,LL)との間に介在し、いずれも前記リアクタンス素子群(J)に含まれる第2コンデンサ(C3)及び第2リアクトル(L3)を有し、前記コンバータの出力電圧を濾波した第2電圧(v3)を前記直流電源線対に伝達するローパスフィルタ(3)
を更に備え、
前記放電回路(42)は、
前記第1コンデンサから前記ローパスフィルタ(3)へ向かう電流を阻止する電流阻止素子(D43)
を更に有し、
前記冷却器(8)は、前記電流阻止素子を更に冷却する、請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記冷却器(8)には、前記負荷(6)によって圧縮される冷媒(M)が流れる、請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載の電力変換装置。
【請求項6】
請求項記載の電力変換装置(201,202)と、
前記負荷(6)と
を備え、
前記負荷は前記冷媒(M)を圧縮する圧縮機である、冷凍装置(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電力変換装置に関し、特に電力バッファ回路を有する直接形電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直接形電力変換装置として、交流/直流変換を行なうコンバータと、直流/交流変換を行なうインバータと、コンバータとインバータとを連結する直流電源線対と、直流電源線対との間で電力を授受する電力バッファ回路を有する構成が公知である。当該電力バッファ回路は充電回路と放電回路を含む。以下、かかる構成を有する直接形電力変換装置を、「電力バッファ付電力変換装置」と仮称する。
【0003】
電力バッファ付電力変換装置において、コンバータと直流電源線対との間にローパスフィルタを設ける構成も公知である。かかる構成は例えば特許文献1,2で紹介されている。ローパスフィルタをコンバータの前段(交流電源側)に設ける場合と比較して、コンバータと直流電源線対との間にローパスフィルタを設ける構成は、このローパスフィルタを形成するコンデンサの定格電圧を低減する点で有利である(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、リアクトル、ダイオード及びスイッチング素子を含む力率改善回路と、平滑コンデンサとを備えるインターリーブ型の電源回路が公知である。そして、冷却ジャケットによる冷却の対象であるダイオード及びスイッチング素子を挟んで、リアクトルが空間的に平滑コンデンサと反対側に配置される構成も公知である。かかる構成は例えば特許文献3で紹介されている。
【0005】
なお、後の説明のために、コモンモードチョークを開示する先行技術文献として、特許文献4を挙げておく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−096976号公報
【特許文献2】特開2015−084637号公報
【特許文献3】特開2015−121364号公報
【特許文献4】特開2016−073025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
なるほど、特許文献3で紹介された技術により、力率改善回路及び平滑コンデンサが実装されるプリント配線板において、配線パターンが複雑化することが抑えられる。そして弱電部品群と強電部品群とを分けて配置することによって、弱電部品が強電部品から悪影響を受けにくくなる。
【0008】
しかし特許文献3では、弱電部品である制御部と、リアクトルとは冷却ジャケットで隔てられてはいない。リアクトルからの放熱が制御部に与える影響について否定はされていないものの、当該影響が考慮されていることの明示はない。
【0009】
従って特許文献3で紹介された冷却ジャケットを、特許文献1,2で紹介される電力バッファ回路の近傍に適用することができたとしても、インバータ(あるいは更に電力バッファ回路)の制御を行なう制御部に対する、電力バッファ回路からの放熱が与える影響を、必ずしも低減するとは言えない。電力バッファ回路はコンバータとインバータとの間に接続されるので、その有するリアクタンス素子群(リアクトル及びコンデンサを含む)からの放熱量は高い。
【0010】
そこでこの発明は、コンバータとインバータとの間に接続されるリアクタンス素子群からの放熱が、インバータを制御する制御部へ与える影響を、低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明にかかる電力変換装置(201,202)は、交流電源(1)に接続されて交流/直流変換を行なうコンバータ(2)と、前記コンバータの出力側に接続される直流電源線対(LH,LL)と、第1コンデンサ(C4)を有し、前記第1コンデンサの放電によって前記直流電源線対に電力を授与する放電回路(42)と、第1リアクトル(L4)を有し、前記直流電源線対から電力を受納して前記第1リアクトルに蓄積されたエネルギーで前記第1コンデンサ(C4)を充電する充電回路(41)と、前記直流電源線対の間の第1電圧(Vdc)を直流/交流変換して負荷(6)に交流電流(Iu,Iv,Iw)を出力するインバータ(5)と、少なくとも前記インバータを冷却する冷却器(8)と、前記第1コンデンサと前記第1リアクトルとを含み前記コンバータと前記インバータとの間で接続されるリアクタンス素子群(J)に対して、前記冷却器を介して反対側に配置され、前記インバータを制御するインバータ制御信号(S5)を出力する制御部(109)と、を備え、前記交流電源(1)と前記コンバータ(2)との間に介在し、前記冷却器を介して、前記リアクタンス素子群(J)とは反対側に配置されるコモンモードチョーク(CMC)を更に備える。
【発明の効果】
【0012】
コンバータとインバータとの間に接続されるリアクタンス素子からの放熱が、インバータを制御する制御部へ与える影響が、低減される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この実施の形態にかかる電力変換装置を示す回路図である。
図2】この実施の形態にかかる電力変換装置を示す平面図である。
図3】この実施の形態にかかる電力変換装置を備えた冷凍装置を示す模式図である。
図4】この実施の形態の変形にかかる電力変換装置を部分的に示す回路図である。
図5】この実施の形態の変形にかかる電力変換装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1はこの実施の形態にかかる電力変換装置201の電気的構成及び信号の授受を示す回路図である。なお、かかる構成の各部の詳細は、例えば特許文献1,2で開示されるので、詳細な説明は割愛する。
【0015】
当該回路図において電力変換装置201は、コンバータ2と、直流電源線対LH,LLと、充電回路41と、放電回路42と、インバータ5と、制御部109とを備える。電力変換装置201は、上述の電力バッファ付電力変換装置であると言える。
【0016】
コンバータ2は、交流電源1に接続されて交流/直流変換を行なう。直流電源線対LH,LLは、コンバータ2の出力側に接続される。
【0017】
図1ではコンバータ2として、全波整流を行なうダイオードブリッジが例示される。具体的にはコンバータ2はダイオードD21,D22,D23,D24を有する。交流電源1が単相交流電圧Vinを出力し、ダイオードD21〜D24は単相交流電圧Vinを単相全波整流して整流電圧に変換し、これを直流電源線対LH,LLの間に出力する。
【0018】
コンバータ2の入力側、即ち単相交流電圧Vinを入力するのは、ダイオードD21のアノードとダイオードD22のカソードとの接続点と、ダイオードD23のアノードとダイオードD24のカソードとの接続点との対である。
【0019】
コンバータ2の出力側、即ち直流電源線対LH,LLが接続されるのは、ダイオードD21のカソードとダイオードD23のカソードとの接続点と、ダイオードD22のアノードとダイオードD24のアノードとの接続点との対である。具体的には前者の接続点には直流電源線LHが、後者の接続点には直流電源線LLが、それぞれ接続される。従って直流電源線LHには直流電源線LLよりも高い電位が印加される。
【0020】
放電回路42はコンデンサC4を有し、コンデンサC4の放電によって直流電源線対LH,LLに電力を授与する。充電回路41はリアクトルL4を有し、直流電源線対LH,LLから電力を受納してリアクトルL4にエネルギーを蓄積する。そしてリアクトルL4に蓄積されたエネルギーで、コンデンサC4を充電する。充電回路41と放電回路42とは、直流電源線対LH,LLの間で電力を授受する電力バッファ回路4を構成する。
【0021】
上述のリアクトルL4、コンデンサC4は、コンバータ2とインバータ5の間に接続されるリアクタンス素子群の構成要素であると言える。
【0022】
充電回路41は、スイッチSlと、ダイオードD40とを更に有する。スイッチSlは、直流電源線対LH,LLの間でリアクトルL4と直列に接続される。スイッチSlは例えばトランジスタ(ここではIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ))で実現される。ダイオードD40は、カソードと、アノードとを備え、コンデンサC4を充電する充電電流が流れる。ダイオードD40のカソードはコンデンサC4に接続される。
【0023】
リアクトルL4は直流電源線LHとダイオードD40のアノードとの間に接続される。スイッチSlは直流電源線LLとダイオードD40のアノードとの間に接続される。かかる構成はいわゆる昇圧チョッパとして知られている。
【0024】
スイッチSlを構成するトランジスタにはダイオードD41が逆並列接続されている。ここで逆並列接続とは、順方向が相互に逆となるような並列接続を指す。具体的にはスイッチSlを実現するトランジスタの順方向は直流電源線LHから直流電源線LLへと向かう方向であり、ダイオードD41の順方向は直流電源線LLから直流電源線LHへと向かう方向である。
【0025】
直流電源線LHの方が直流電源線LLよりも電位が高いので、基本的にはダイオードD41には電流が流れない。従ってスイッチSlの導通/非導通は専らこれを実現するトランジスタのそれに依存する。よって、当該トランジスタとダイオードD41とをまとめてスイッチSlと把握してもよい。
【0026】
放電回路42は、スイッチScを更に有する。スイッチScは、直流電源線対LH,LLの間でコンデンサC4と直列に接続される。スイッチScはコンデンサC4に対して直流電源線LH側に接続される。スイッチScは例えばトランジスタ(ここではIGBT)で実現される。スイッチScを構成するトランジスタにはダイオードD42が逆並列接続されている。スイッチScを実現するトランジスタの順方向は直流電源線LLから直流電源線LHへと向かう方向であり、ダイオードD42の順方向は直流電源線LHから直流電源線LLへと向かう方向である。
【0027】
コンデンサC4が支える電圧vcは、充電回路41によって昇圧されるので、基本的にはダイオードD42には電流が流れない。従ってスイッチScの導通/非導通は専らこれを実現するトランジスタのそれに依存する。よって、当該トランジスタとダイオードD42とをまとめてスイッチScと把握してもよい。
【0028】
インバータ5は、電力バッファ回路4が直流電源線対LH,LLに出力する電圧Vdcを入力し、これを直流/交流変換して、負荷6に交流電流を出力する。例えば負荷6は三相の誘導性負荷であって、インバータ5は交流電流Iu,Iv,Iwを出力する。
【0029】
インバータ5は出力端Pu,Pv,Pwを有しており、交流電流Iu,Iv,Iwをこれらから出力する。インバータ5は6つのスイッチング素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swnを含む。例えばスイッチング素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,SwnにはIGBTが採用される。
【0030】
スイッチング素子Sup,Svp,Swpはそれぞれ出力端Pu,Pv,Pwと直流電源線LHとの間に接続され、スイッチング素子Sun,Svn,Swnはそれぞれ出力端Pu,Pv,Pwと直流電源線LLとの間に接続される。インバータ5はいわゆる電圧形インバータを構成し、6つのダイオードを含む。
【0031】
これらのダイオードはいずれもそのカソードを直流電源線LH側に、そのアノードを直流電源線LL側に向け、スイッチング素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swnに対してそれぞれ逆並列に接続される。
【0032】
制御部109は、速度検出部9と、制御信号生成部10とを有する。例えば負荷6は冷媒を圧縮する圧縮機であり、速度検出部9は、交流電流Iu,Iv,Iwを検出し、これらから求められた圧縮機の回転角速度ωm並びにq軸電流Iq及びd軸電流Idを、制御信号生成部10に与える。
【0033】
制御信号生成部10は、更に、単相交流電圧Vinの振幅Vm,コンバータ2に流れ込む電流の振幅Im及び電気角速度ω、回転角速度ωmの指令値ω*を入力し、スイッチSl,Scをそれぞれ制御するスイッチ制御信号S41,S42、インバータ5を制御するインバータ制御信号S5を出力する。
【0034】
電力変換装置201において、必須ではないものの、図1においてはローパスフィルタ3も備えられる構成が例示される。ローパスフィルタ3は、コンバータ2の出力側と、直流電源線対LH,LLとの間に介在する。ローパスフィルタ3は、コンデンサC3及びリアクトルL3を有する。ローパスフィルタ3は、コンバータ2の出力電圧を濾波した電圧v3を直流電源線対LH,LLに伝達する。但しローパスフィルタ3は、平滑機能を有するというよりも、インバータ5からのノイズを交流電源1側に伝達させない機能を担う。
【0035】
電圧v3はコンデンサC3によって支えられる。充電回路41は電圧v3を昇圧してコンデンサC4に電圧vcを与える、ということができる。
【0036】
リアクトルL3、コンデンサC3は、リアクトルL4、コンデンサC4と共に、コンバータ2とインバータ5の間に接続されるリアクタンス素子群の構成要素であると言える。
【0037】
このようにローパスフィルタ3を設けた場合、放電回路42は、スイッチScの導通によってコンデンサC4からコンデンサC3へと放電することを阻止するために、電流阻止素子D43を更に有する。具体的には電流阻止素子D43はコンデンサC3,C4の間で直流電源線LH又は直流電源線LLに設けられる。電流阻止素子D43は例えばダイオードで実現される。図1の例示では、当該ダイオードは直流電源線LHに設けられ、その順方向はコンバータ2からインバータ5へと向かう方向である。
【0038】
図2は電力変換装置201の構成における各部の空間的配置を模式的に示す平面図である。電力変換装置201は基板100に配置され、図2は基板100の厚み方向に沿ってみた平面図である。基板100は、互いに異なる方向Q1,Q2(ここでは方向Q1,Q2は互いに直交する場合が例示される)に沿って延在する。
【0039】
図2においては、簡単のため、電力変換装置201が備える各素子同士を接続する配線の記載を省略している。例えば図2においては直流電源線対LH,LLは省略されている。
【0040】
当該構成において電力変換装置201は、図1で説明した構成要素の他に、図1では説明されなかった冷却器8を更に備える。冷却器8は、少なくともインバータ5を冷却する。
【0041】
コンデンサC4は三つのコンデンサC41,C42,C43を含んで構成される。これらと、コンデンサC3及びリアクトルL3,L4は、コンバータ2とインバータ5との間に接続されたリアクタンス素子群Jを構成する。制御部109は冷却器8を介してリアクタンス素子群Jとは反対側に配置される。具体的には方向Q1に沿って、制御部109、冷却器8、リアクタンス素子群Jがこの順に並んで配置される。
【0042】
冷却器8は、充電回路41からリアクトルL4を除いた構成、具体的にはスイッチSlとダイオードD40との組41dをも冷却する。冷却器8は、放電回路42からコンデンサC4を除いた構成、具体的にはスイッチScをも冷却する。放電回路42が電流阻止素子D43を有する場合には、冷却器8は電流阻止素子D43をも冷却する。図2では電流阻止素子D43が設けられる場合を想定し、スイッチScと電流阻止素子D43とを組42dとして示した。
【0043】
図2の例示では、冷却器8は方向Q2に沿って延在する。またコンデンサC41,C42,C43,C3及びリアクトルL3,L4も、方向Q2に沿って延在する。
【0044】
電力変換装置201がこのような配置を採用することにより、電力変換装置201では充電回路41のリアクトルL4及び放電回路42のコンデンサC4と、制御部109との間に冷却器8が存在する。また、インバータ5が冷却器8によって冷却される。よってリアクトルL4及びコンデンサC4から制御部109への放熱の影響を、冷却器8が低減することができる。また、インバータ5が冷却器8によって冷却されるので、インバータ5からの放熱が、制御部109に影響を与えることも低減される。
【0045】
特に、冷却器8が組41dをも冷却することにより、組41dからの放熱が、制御部109に影響を与えることも低減される。
【0046】
特に、冷却器8がスイッチSc、あるいは更に電流阻止素子D43をも冷却することにより、これらからの放熱が、制御部109に影響を与えることも低減される。
【0047】
冷却器8は冷却ジャケット80と、流入出管81,82とを有する。流入出管81,82は冷却ジャケット80への冷媒の流入出を案内する。
【0048】
図3は電力変換装置201と負荷6とを備えた冷凍装置300の構成を例示する模式図である。図3において電力変換装置201の内部構成は冷却器8以外を省略している。冷凍装置300に備えられた負荷6は圧縮機であって、電動機61と、圧縮要素62とを備える。圧縮要素62は電動機61によって駆動され、冷媒Mを圧縮する。圧縮要素62には冷媒経路B1,B2が接続され、流入出管81,82にはそれぞれ冷媒経路B4,B3が接続される。冷凍装置300はヒートポンプユニットを構成する。
【0049】
冷媒Mは冷媒経路B1を経由して圧縮要素62に流入し、冷媒経路B2を経由して圧縮要素62から流出する。冷媒Mは冷媒経路B4及び流入出管81を経由して冷却ジャケット80に流入し、流入出管82及び冷媒経路B3を経由して冷却ジャケット80から流出する。
【0050】
例えば、冷媒経路B1,B2と、冷媒経路B3,B4との間には、蒸発器、凝縮器などの熱交換器、蒸発器が設けられてもよい。図3では冷媒経路B2、凝縮器、膨張器、冷媒経路B4がこの順に接続されてこの順に冷媒Mが流れ、冷媒経路B3、蒸発器、冷媒経路B1がこの順に接続されてこの順に冷媒Mが流れる場合が例示される。
【0051】
図4はこの実施の形態の変形にかかる電力変換装置202の電気的構成を部分的に示す回路図である。電力変換装置202は、電力変換装置201に対して、コモンモードチョークCMCを追加した構成を有する。コモンモードチョークCMCは、交流電源1とコンバータ2との間に介在する(例えば特許文献4参照)。つまり電力変換装置202の、電気的にコンバータ2よりもインバータ5側の構成は電力変換装置201と同一である。よって図4では電気的にコンバータ2よりもインバータ5側の構成の図示を省略した。
【0052】
図5は、電力変換装置202の構成における各部の空間的配置を模式的に示す平面図である。コモンモードチョークCMCの配置を除けば、電力変換装置202の空間的配置は、電力変換装置201の空間的配置と同じである。
【0053】
コモンモードチョークCMCは、冷却器8を介して、リアクタンス素子群Jとは反対側に配置される。具体的には方向Q1に沿って、コモンモードチョークCMC、冷却器8、リアクタンス素子群Jがこの順に並んで配置される。また、方向Q2に沿って、コモンモードチョークCMC、制御部109がこの順に並んで配置される。
【0054】
コモンモードチョークCMCは、リアクタンス素子群J、インバータ5、組41d,42dと比較して放熱量が低い。よってコモンモードチョークCMCと制御部109とを、冷却器8に対して同じ側に配置しても、制御部109がコモンモードチョークCMCからの発熱で受ける影響は小さい。
【0055】
もちろん、図3に例示された電力変換装置201と同様にして、電力変換装置202を備えた冷凍装置300を構成することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 交流電源
2 コンバータ
3 ローパスフィルタ
300 冷凍装置
5 インバータ
6 負荷
8 冷却器
41 充電回路
41d 組
42 放電回路
109 制御部
201,202 電力変換装置
C3 第2コンデンサ
C4 第1コンデンサ
CMC コモンモードチョーク
D40 ダイオード
D43 電流阻止素子
Iu,Iv,Iw 交流電流
J リアクタンス素子群
L3 第2リアクトル
L4 第1リアクトル
LH,LL 直流電源線対
M 冷媒
S41 第1スイッチ制御信号
S42 第2スイッチ制御信号
S5 インバータ制御信号
Sc 第2スイッチ
Sl 第1スイッチ
Vdc 第1電圧
v3 第2電圧
図1
図2
図3
図4
図5