(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ワイパスイッチユニットは、前記時間調整操作部に連動して移動されることで前記複数のスイッチの開閉状態を切り換える可動接点を備えることを特徴とする前記請求項1に記載のワイパ制御装置。
前記コントロールユニットと前記時間調整回路とは、前記メイン回路を構成する1本の導線を介して接続されていることを特徴とする前記請求項3に記載のワイパ制御装置。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両には、ウィンドウガラスの汚れや雨滴等を払拭するためのワイパ装置が設けられている。このワイパ装置は、ウィンドウガラスの表面を往復運動するワイパブレードと、該ワイパブレードに往復運動をさせるワイパモータと、該ワイパモータの動作を制御するワイパ制御装置とを有している。
【0003】
前記ワイパ制御装置には、前記ワイパモータに動作信号を出力するコントロールユニットと、ワイパの作動に関する乗員の要求を信号化して、該コントロールユニットに出力するワイパスイッチユニットとが設けられている。該ワイパスイッチユニットは、ステアリングコラムに取り付けられた本体部と、一端が該本体部に支持され、他端が操作部とされたワイパレバーとが備えられている。そして、このワイパレバーの操作部を操作することで、前記ワイパの複数の作動モードが得られるようになっている。
【0004】
前記ワイパレバーは、フロントウィンドウ用のワイパのオン・オフの切換え、及び、作動モードの切換のために、前記本体部に支持された端部を回転中心として、上下方向に回動操作される。前記ワイパの作動モードとしては、ワイパを高速で作動させる高速モード、ワイパを低速で作動させる低速モード、ワイパを間欠的に作動させる間欠モードなどがある。また、前記ワイパレバーの操作部には、降雨状態に応じてワイパを自動的に作動させる自動モードのオン・オフを切り換える自動モード操作部、及び、リヤウィンドウ用のワイパの作動に関する操作を行うためのリヤワイパ操作部などがさらに設けられている。
【0005】
これらのワイパの動作の制御用として、特許文献1に開示されているように、ワイパスイッチユニットには、ワイパレバーの操作部の操作に応じた制御信号を生成するための電気回路が設けられていることがある。
【0006】
また、前述のワイパの間欠モードには、予め設定された複数の段階の時間間隔の中から選択された時間間隔でワイパが作動されるものがあり、該間欠モードの時間間隔を調整するための時間操作部は、前記ワイパレバーの操作部に設けられている。そして、この間欠モードにおける時間間隔に関する制御信号を制御する電気回路として、時間調整回路が設けられることがある。
【0007】
図9及び
図10を参照しながら、ワイパスイッチユニットの時間調整回路の従来例について説明する。
【0008】
図9に示すワイパスイッチユニットの時間調整回路200は、5段階のワイパの間欠作動モードの時間間隔を有している。該ワイパスイッチユニットの時間調整回路200には、5つの異なる抵抗値の抵抗器R1、R2、R3、R4、R5が並列に接続されるとともに、これらの抵抗器R1、R2、R3、R4、R5にそれぞれ5つのスイッチSW1、SW2、SW3、SW4、SW5が直列に接続されている。そして、ワイパレバーの操作部の操作によって、これらのスイッチSW1、SW2、SW3、SW4、SW5のうちの1つが選択的にオン状態とされる。これにより、前記時間調整回路200の通電状態が変化し、選択的にオン状態とされた1つのスイッチに接続された抵抗器の抵抗値によって、この時間調整回路200のX−Y間の電位差V0が変化することになる。そして、検出された電位差V0がA/D変換器に送られ、該A/D変換器からコントロールユニットに信号として出力され、該信号によってワイパの間欠作動モードの時間間隔が調整される。
【0009】
また、ワイパスイッチの時間調整回路300は、
図10に示すように、平行に配置された3列の帯状の固定接点P1、P2、P3と、これらの固定接点P1、P2、P3に交差するように配置されるとともに、ワイパレバーの操作部の操作によって、前記固定接点P1、P2、P3の帯が延びる方向にスライド可能に設けられた可動接点Qとが設けられている。なお、前記可動接点Qと第1の固定接点P1、第2の固定接点P2、第3の固定接点P3とによって、第1のスイッチSW11、第2のスイッチSW12、第3のスイッチSW3が構成され、前記固定接点P1、P2、P3にそれぞれ接続される導線によって形成される出力回路C1、C2、C3とが設けられている。
【0010】
そして、前記可動接点Qの移動によって、該可動接点Qと、前記固定接点P1、P2、P3との接触状態が変化し、この変化に応じて前記時間調整回路300の通電状態も変化する。具体的には、前記可動接点Qと前記固定接点P1、P2、P3の接触・非接触によって、前記スイッチSW11、SW12、SW13がオン・オフされ、前記出力回路C1、C2、C3からコントロールユニットに前記オン・オフ信号が出力される。そして、コントロールユニットでは、入力された前記スイッチSW11、SW12、SW13のオン・オフ信号の組み合わせに、前記ワイパの間欠作動モードの時間間隔を割り当てることで、該ワイパの間欠作動モードの時間間隔が多段階に調整される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、近年、車両としてのコストや燃費向上の観点から部品点数の削減や軽量化が求められており、ワイパ制御装置においては、該ワイパ制御装置を構成するスイッチや回路や、該スイッチや回路からの信号をコントロールユニットへ出力する導線等の削減が求められている。
【0013】
これに対して、前述の
図9に示すワイパスイッチユニットの時間調整回路200では、前記ワイパレバーの操作部に、ワイパの間欠作動モードと同数の抵抗器およびスイッチが設けられることになり、該操作部が大型化され、ワイパレバーの操作性やデザイン性が課題となる可能性がある。
【0014】
一方、前述の
図10に示すワイパスイッチユニットの時間調整回路300では、前記複数のスイッチSW11、SW12、SW13からコントロールユニットに信号を出力するための出力回路C1、C2、C3の導線が、前記スイッチSW11、SW12、SW13と同数必要となり、特に、前記スイッチや回路と、前記コントロールユニットとが離れた場所に配置されることによって、両者を接続する導線の距離が長くなる場合は、該導線の重量の増大やコストの増大が課題となる。
【0015】
そこで、本発明は、ワイパ制御装置の複数の間欠作動モードの設定を可能にしながら、前記ワイパスイッチユニットの小型化と、前記ワイパスイッチユニットと前記コントロールユニットとを接続する導線の本数を削減することで、ワイパ制御装置の軽量化とコストの削減を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために、本発明に係るワイパ制御装置は、次のように構成したことを特徴とする。
【0017】
まず、請求項1に記載の発明は、
車両用のワイパが間欠的に作動するときの時間間隔を調整するために操作される時間調整操作部を有するワイパスイッチユニットと、
該ワイパスイッチユニットから入力された信号に基づいて前記ワイパの駆動装置に制御信号を出力するコントロールユニットとを備え、
前記ワイパスイッチユニットに、前記時間調整操作部の操作に応じて通電状態が切り換えられる時間調整回路が設けられたワイパ制御装置であって、
前記時間調整回路は、複数の抵抗器と、
該複数の抵抗器が直列に配置されたメイン回路には、各抵抗器をそれぞれバイパスするバイパス回路が設けられ、
該複数のバイパス回路のそれぞれに設けられ、前記時間調整操作部の操作に応じて開閉する複数のスイッチとを備え、
前記コントロールユニットは、前記メイン回路の複数のスイッチの開閉状態に応じて変化する電気抵抗値に基づいて、前記時間間隔を制御
し、
前記時間調整回路は、前記抵抗器及び前記スイッチを3個ずつ備え、
前記コントロールユニットは、前記メイン回路の電気抵抗値に応じて、予め設定された4段階以上の時間間隔の中から1つの時間間隔を選択する選択部を備えていることを特徴とすることを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、
前記ワイパスイッチユニットは、前記時間調整操作部に連動して移動されることで前記複数のスイッチの開閉状態を切り換える可動接点を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1または2に記載の発明において、
前記ワイパスイッチユニットは、ステアリングコラム部に設けられ、
前記コントロールユニットは、インストルメントパネルに配置されたメータユニットに設けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明において、
前記コントロールユニットと前記時間調整回路とは、前記メイン回路を構成する1本の導線を介して接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、ワイパ制御装置の複数の抵抗器を直列に接続したメイン回路は、前記複数の抵抗器それぞれに設けられた複数のスイッチの開閉によって、前記複数の抵抗器を選択的にバイパスさせることで、前記メイン回路の電気抵抗値が変更できるようになっている。これにより、前記メイン回路の電気抵抗値は、前記時間調整操作部の操作に応じて最大で前記複数のスイッチの開閉の組み合わせと同数の段階を得ることができる。
【0023】
そして、前記メイン回路で得られた電気抵抗値に対応した電気信号が、前記ワイパの駆動装置に動作信号を出力するコントロールユニットに入力され、該コントロールユニットによって、前記ワイパの駆動装置を前記電気信号に割り当てられたワイパの間欠時間の時間間隔で作動させることができる。これにより、メイン回路の抵抗値の変化に応じた電気的状態の変化のみを前記コントロールユニットに伝えれば良いので、前記メイン回路と前記コントロールユニットとを接続する導線の本数を削減することができ、前記ワイパ制御装置の軽量化やコスト削減が図れる。
【0024】
例えば、前記ワイパの間欠時間の時間間隔の段階を同一とした場合、
図9に示す従来の時間調整回路に比べて抵抗器の数を削減することができ、
図10に示す従来の時間調整回路に比べて、前記ワイパスイッチユニットと前記コントロールユニットとを接続する導線の本数を削減することができるので、部品点数の削減および軽量化を図ることができる。
【0025】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載のメイン回路を形成する複数の抵抗器を選択的にバイパスさせる方法を具体的に示したもので、乗員の操作による前記可動接点の移動によって、前記複数のスイッチの開閉の組み合わせが切り換えられる。
【0026】
請求項3に記載の発明によれば、前記コントロールユニットをメータユニット内に配置し、前記ワイパスイッチユニットと分散配置することで、前記ワイパスイッチユニットが小型化され、該ワイパスイッチユニットが配置されるステアリング周りのレイアウトの自由度が向上する。
【0027】
請求項4に記載の発明によれば、前記ワイパスイッチユニットと、前記コントロールユニットとが1本の導線を介して接続されているので、特に、前記ワイパスイッチユニットと前記コントロールユニットとが離れた位置に配置される場合において、導線の軽量化およびコスト削減が図れる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係るワイパ制御装置の実施形態について説明する。
【0031】
まず、車両には、ワイパ装置(図示せず)が備えられており、該ワイパ装置は、フロントウィンドウの表面を往復運動するワイパブレードと、該ワイパブレードの往復運動をさせる駆動部としてのワイパモータ(図示せず)と、該ワイパモータの動作を制御するワイパ制御装置1とを有している。
【0032】
また、前記車両には、
図1に示すように、ステアリングホイール2を軸支するステアリングコラム21と、該ステアリングコラム21を覆うコラムカバー22と、前記ステアリングコラム21を中心に左右対称となる位置に配置されたワイパスイッチユニット30と、ターンスイッチユニット40と、前記ステアリングコラム21の上方のインストルメントパネル5に配置されたメータユニット51とが設けられている。
【0033】
そして、前記ワイパ制御装置1には、前記ワイパスイッチユニット30と、前記ワイパモータに制御信号を出力するコントロールユニット60とで構成されており、該ワイパスイッチユニット30は、ワイパ作動に関する乗員の要求を信号化して、前記コントロールユニット60に出力するようになっている。なお、前記コントロールユニット60は、前記メータユニット51の反ステアリングホイール2側に配置されているとともに、導線70によって前記ワイパスイッチユニット30と接続されている。
【0034】
前記ワイパスイッチユニット30は、前記ステアリングコラム21にブラケット(図示せず)を介して取り付けられたワイパスイッチケース31と、一端が該ワイパスイッチケース31に支持され他端が操作部とされるワイパレバー32と、が備えられている。そして、このワイパレバー32が操作されることで、前記ワイパの複数の作動モードが得られるようになっている。
【0035】
図2に示すように、前記ワイパレバー32は、前記ワイパスイッチケース31に支持された基端部32aを回転中心として、乗員によって、上下方向(矢印aに示す方向)に回動操作されることで、前記フロントワイパのミスト、OFF、オート、間欠、低速、高速モードが切り換えられるようになっている。また、前記ワイパレバー32を前記ワイパスイッチケース31に支持された基端部32aを支点として、乗員によって、乗員側に引く方向(矢印bに示す方向)に操作されることで、前記フロントウィンドウのウォッシャーモードのオン・オフが切り換えられるようになっている。
【0036】
また、前記ワイパレバー32には、乗員によって操作される略円筒状の操作部33が設けられており、該操作部33の先端部の端面には、押しボタン式の自動モード操作部34が設けられている。また、前記操作部33には、該操作部33の軸を中心に周方向(矢印cに示す方向)に回動操作されるリヤワイパ操作部35と、該リヤワイパ操作部35よりもステアリングコラム21側の位置に設けられるとともに、前記操作部33の軸を中心に周方向(矢印dに示す方向)に回動操作される時間調整操作部36とが設けられている。
【0037】
そして、乗員によって、前記自動モード操作部34が操作されることによって、前記フロントワイパのオートモードのオン・オフが切り換えられ、前記リヤワイパ操作部35が回動操作されることで、リヤワイパのOFF、間欠、ONモードおよびリヤウィンドウのウォッシャーモードのオン・オフが切り換えられるようになっている。また、前記時間調整操作部36が回動操作されることで、フロントワイパの間欠モードの間欠時間間隔が変更されるようになっている。
【0038】
図3に示すように、前記ワイパレバー32の操作部33は、中空状の本体部33aが設けられており、該本体部33aの内部には、回路基板80が設けられている。該回路基板80には、前記フロントワイパの自動モード制御回路、前記リヤワイパの作動を制御するリヤワイパ制御回路、および、前記フロントワイパの間欠モードの時間調整回路100の作動状態を切り換えるスイッチ回路81、82、83が配置されている。
【0039】
前記ワイパレバー32の自動モード操作部34には、押しボタン式のオートワイパスイッチ34aと、前記回路基板80に配置されたスイッチボタン34bとが設けられている。そして、乗員によって、前記オートワイパスイッチ34aが押圧操作されて、前記自動モードのスイッチ回路81の通電状態と、非通電状態とが選択できるようになっている。これにより、前記自動モードのオン・オフが切り換えられるようになっている。
【0040】
前記リヤワイパ操作部35には、前記操作部33の軸を中心として周方向に回動するダイヤル式のリヤワイパスイッチ35aと、前記回路基板80に配置された前記リヤワイパのスイッチ回路82とが設けられている。該リヤワイパのスイッチ回路82には、複数の固定接点P…Pと、前記リヤワイパスイッチ35aの回動操作に伴って、前記複数の固定接点P…P上をスライドする可動接点Q1とが設けられている。なお、前記複数の固定接点P…Pと前記可動接点Q1とで、複数のスイッチが構成されている。
【0041】
そして、乗員によって、前記リヤワイパスイッチ35aが回動操作されて、前記可動接点Q1と前記固定接点P…Pの接触状態が変化し、前記リヤワイパのスイッチ回路82の複数のスイッチの開閉状態が切り換えられる。その結果、前記リヤワイパの複数のスイッチにそれぞれ割り当てられた作動モードのワイパ動作が実行されるようになっている。
【0042】
ここで、
図4を用いて、本発明の特徴であるフロントワイパの時間調整操作部36の構成を詳しく説明する。なお、
図4(a)は、
図3における時間調整操作部36の拡大図であり、
図4(b)は、
図4(a)におけるB−B断面図を示す。
【0043】
図4(a)に示すように、前記時間調整操作部36には、前記操作部33の軸を中心として周方向に回動するダイヤル式の間欠ワイパスイッチ36aと、前記回路基板80に配置された前記間欠ワイパのスイッチ回路83とが設けられている(
図3参照)。該間欠ワイパのスイッチ回路83には、平行に配置された3列の帯状の固定接点p1、p2、p3と、これらの固定接点p1、p2、p3に交差するように配置されるとともに、前記間欠ワイパスイッチ36aの回動操作によって、前記固定接点p1、p2、p3の帯が延びる方向にスライド可能に設けられた可動接点Q2とが設けられている。なお、前記可動接点Q2と第1の固定接点p1、第2の固定接点p2、第3の固定接点p3とによって、第1のスイッチS1、第2のスイッチS2、第3のスイッチS3が構成されている。
【0044】
また、前記時間調整操作部36の間欠ワイパスイッチ36aには、
図4(b)に示すように、前記操作部33の本体部33aの内周側で径方向にオーバーラップする可動接点操作部36bと、該可動接点操作部36bの内周側に突出して形成された前記可動接点Q2をガイドするためのピン部36cが設けられている。
【0045】
そして、前記可動接点Q2は、前記固定接点p1、p2、p3に接触する3つの端子Q21…Q21と、該端子Q21…Q21を取り囲むように断面矩形のケース部Q22とで形成されており、前記端子Q21…Q21は、前記ケース部Q22に固定されている。また、前記ケース部Q22の上面(反回路基板80側の面)には、前記可動接点操作部36bのピン部36cが挿入されるとともに、前記ケース部Q22の上面を対角線上に移動可能となるように形成された溝状のガイド溝Q23が設けられている(
図4(a))。なお、前記回路基板80は、台座84に固定されており、該台座84は、前記操作部33の本体部33aに固定されている。
【0046】
このような構成により、前記間欠ワイパスイッチ36aが回動操作されて、前記可動接点Q2は、前記回路基板80上を図示しないガイドに沿って、前記固定接点p1、p2、p3上をスライドする。これにより、前記可動接点Q2と前記固定接点p1、p2、p3の接触状態が変化し、前記間欠ワイパのスイッチ回路83の第1、第2および第3のスイッチS1、S2、S3の開閉状態が切り換えられるようになっている。
【0047】
また、
図5に示すように、前記第1、第2および第3のスイッチS1、S2、S3を用いた回路として、前記時間調整回路100には、電源IGからグランドGNDまでを構成するメイン回路110が設けられている。該メイン回路110の電源IG側には、前記コントロールユニット60内に備えられた固定抵抗器R0が配置され、グランドGND側には、前記ワイパスイッチケース31内に備えられた3つの異なる抵抗値を有する抵抗器r1、r2、r3が配置され、これらの抵抗器R0、r1、r2、r3は、直列に接続されている。
【0048】
前記メイン回路110のグランドGND側の回路111には、前記ワイパスイッチケース31内の抵抗器r1、r2、r3をそれぞれバイパスするバイパス回路c1、c2、c3が設けられているとともに、各バイパス回路c1、c2、c3には、それぞれスイッチS1、S2、S3が設けられている。前記バイパス回路c1、c2、c3は、前記スイッチS1、S2、S3の開閉状態によって、遮断および導通が切り換えられるようになっている。なお、前記スイッチS1、S2、S3は、前述の前記ワイパレバー32に設けられた第1、第2および第3のスイッチS1、S2、S3によって構成されている。
【0049】
そして、これらの第1、第2および第3のスイッチS1、S2、S3の開閉状態の組み合わせによって、前記メイン回路110のグランドGND側の回路111は、異なる抵抗値が得られるようになっている。
【0050】
また、前記メイン回路110の前記電源IG側の固定抵抗器R0と、前記グランドGND側の回路111とは、前記コントロールユニット60の出口部61と、前記ワイパスイッチケース31の出口部31aとの間が1本の導線112で接続されている。
【0051】
前記コントロールユニット60内にはまた、マイクロコンピュータ62(特許請求の範囲におけるコントロールユニット)が備えられており、該マイクロコンピュータ62は、前記固定抵抗器R0と、前記グランドGND側の回路111との間に接続されている。また、前記マイクロコンピュータ62には、該マイクロコンピュータ62から出力される制御信号によって動作するワイパモータ90が接続されている。
【0052】
前記マイクロコンピュータ62にはまた、予め設定された前記ワイパモータ90を作動させるための間欠モードの時間間隔の中から1つの時間間隔を選択する選択部63が設けられている。
【0053】
そして、前述のように、前記メイン回路110のグランドGND側の回路111の抵抗値は、前記第1、第2および第3のスイッチS1、S2、S3の開閉によって切り換えられるようになっているので、前記メイン回路110全体の抵抗値に対する前記グランドGND側の回路111の抵抗値に基づいて、分圧比を得ることができる。ここで得られた分圧比が、A/D変換されて、信号として前記マイクロコンピュータ62に入力されるようになっている。
【0054】
例えば、前記電源IGによって、前記メイン回路110に電圧がかけられるとともに、前記グランドGND側の回路111の抵抗値の変化に伴って、該グランドGND側の回路111の両端(前記ワイパスイッチケース31の出口31a−グランドGND間)の電位差が変化する。この電位差が、A/D変換されて、信号として前記マイクロコンピュータ62に入力されるようになっている。
【0055】
そして、前記マイクロコンピュータ62は、入力された信号に基づいて、前記選択部63によって、予め設定された前記ワイパモータ90を作動させるための間欠モードの時間間隔の中から1つの時間間隔を選択し、前記ワイパモータ90が選択された時間間隔で作動するようになっている。
【0056】
また、本実施形態において、前記時間調整回路100は、5段階の間欠時間間隔の設定が可能であり、前記第1、第2および第3のスイッチS1、S2、S3の開閉の組み合わせによって、5つの異なる分圧比を形成させ、該分圧比に、それぞれ5段階の間欠時間間隔T1、T2、T3、T4、T5が割り当てられている。
【0057】
具体的には、
図6およびに示すように、第1の間欠時間間隔T1は、分圧比=0が割り当てられている。該第1の間欠時間間隔T1の分圧比は、前記時間調整回路100の第1、第2および第3のスイッチS1、S2、S3が全てオン状態とされ、3つの抵抗r1、r2、r3すべてがバイパスされることで得られる。
【0058】
第2の間欠時間間隔T2は、分圧比=r1/(R0+r1)が割り当てられている。該第2の間欠時間間隔T2の分圧比は、前記時間調整回路100の第1のスイッチS1がオフ状態、第2および第3のスイッチS2、S3がオン状態とされ、第2および第3のスイッチS2、S3がバイパスされることで得られる。
【0059】
第3の間欠時間間隔T3は、分圧比=(r1+r3)/(R0+r1+r3)が割り当てられている。該第3の間欠時間間隔T3の分圧比は、前記時間調整回路100の第1および第3のスイッチS1、S3がオフ状態、第2のスイッチS2がオン状態とされて、第2のスイッチS2がバイパスされることで得られる。
【0060】
第4の間欠時間間隔T4は、分圧比=r3/(R0+r3)が割り当てられている。該第4の間欠時間間隔T4の分圧比は、前記時間調整回路100の第1および第2のスイッチS1、S2がオン状態、第3のスイッチS3がオフ状態とされて、第1および第2のスイッチS1、S2がバイパスされることで得られる。
【0061】
第5の間欠時間間隔T5は、分圧比=(r2+r3)/(R0+r2+r3)が割り当てられている。該第5の間欠時間間隔T5の分圧比は、前記時間調整回路100の第1のスイッチS1がオン状態、第2および第3のスイッチS2、S3がオフ状態とされて、第1のスイッチS1がバイパスされることで得られる。
【0062】
上述のようにして設けられた分圧比の一例として、
図6に示すように、前記抵抗器R0、r1、r2、r3の抵抗値の設定によって、分圧比間の差を確保することができ、前記コントロールユニット60に入力される分圧比をもとに、前記間欠ワイパの間欠時間間隔T1、T2、T3、T4、T5で、前記ワイパモータ90が作動するようになっている。
【0063】
次に、
図2および
図8を参照しながら、本発明の実施形態に係るワイパ制御装置1の時間調整操作部36の動作について説明する。
【0064】
本実施形態に示す時間調整操作部36の動作は、前記フロントワイパの間欠作動時間間隔T1、T2、T3、T4、T5の各ワイパ動作であるため、これら各ワイパ動作について説明する。
【0065】
乗員がワイパレバー32の時間調整操作部36を上方向(
図2のd1方向)に回動操作して第1のスイッチポジションsw1に配置すると、
図8(a)に示すように、前記可動接点Q2が連動して回路基板80上を移動し、前記第1の固定接点p1と、前記第2の固定接点p2と、前記第3の固定接点p3とが、前記可動接点Q2と接触することによってオン状態とされる。
【0066】
これにより、第1のスイッチポジションsw1に割り当てられた分圧比=0がワイパスイッチユニット30から出力されるとともに、A/D変換された信号t1がマイクロコンピュータ62に入力される。前記信号t1に基づいて、マイクロコンピュータ62の選択部63では、予め備えられた5段階の時間間隔T1、T2、T3、T4、T5から、第1の時間間隔T1を選択すると、前記マイクロコンピュータ62から前記ワイパモータ90に制御信号t11を出力する。このため、間欠時間の最も短い第1の時間間隔T1が実行される。
【0067】
乗員がワイパレバー32の時間調整操作部36を上方向(
図2のd1方向)に回動操作して第2のスイッチポジションsw2に配置すると、
図8(b)に示すように、前記可動接点Q2が連動して回路基板80上を移動し、前記第2の固定接点p2と、前記第3の固定接点p3とが、前記可動接点Q2と接触することによってオン状態とされる。
【0068】
これにより、第2のスイッチポジションsw2に割り当てられた分圧比=r1/(R0+r1)がワイパスイッチユニット30から出力されるとともに、A/D変換された信号t2がマイクロコンピュータ62に入力される。前記信号t2に基づいて、マイクロコンピュータ62の選択部63では、予め備えられた5段階の時間間隔T1、T2、T3、T4、T5から、第2の時間間隔T2を選択すると、前記マイクロコンピュータ62から前記ワイパモータ90に制御信号t12を出力する。このため、第1の時間間隔T1よりも長い時間間隔である第2の時間間隔T2が実行される。
【0069】
乗員がワイパレバー32の時間調整操作部36を上方向(
図2のd1方向)に回動操作して第3のスイッチポジションsw3に配置すると、上述の間欠時間間隔T1、T2同様に、前記可動接点Q2が連動して回路基板80上を移動し、前記第2の固定接点p2が、前記可動接点Q2と接触することによってオン状態とされる。
【0070】
これにより、第3のスイッチポジションsw3に割り当てられた分圧比=(r1+r3)/(R0+r1+r3)がワイパスイッチユニット30から出力されるとともに、A/D変換された信号t3がマイクロコンピュータ62に入力される。前記信号t3に基づいて、マイクロコンピュータ62の選択部63では、予め備えられた5段階の時間間隔T1、T2、T3、T4、T5から、第3の時間間隔T3を選択すると、前記マイクロコンピュータ62から前記ワイパモータ90に制御信号t13を出力する。このため、第2の時間間隔T2よりも長い時間間隔である第3の時間間隔T3が実行される。
【0071】
乗員がワイパレバー32の時間調整操作部36を下方向(
図2のd2方向)に回動操作第4のスイッチポジションsw4に配置すると、上述の間欠時間間隔T1、T2同様に、前記可動接点Q2が連動して回路基板80上を移動し、前記第1の固定接点p1と、前記第2の固定接点p2とが、前記可動接点Q2と接触することによってオン状態とされる。
【0072】
これにより、第4のスイッチポジションsw4に割り当てられた分圧比=r3/(R0+r3)がワイパスイッチユニット30から出力されるとともに、A/D変換された信号t4がマイクロコンピュータ62に入力される。前記信号t4に基づいて、マイクロコンピュータ62の選択部63では、予め備えられた5段階の時間間隔T1、T2、T3、T4、T5から、第4の時間間隔T4を選択すると、前記マイクロコンピュータ62から前記ワイパモータ90に制御信号t14を出力する。このため、第3の時間間隔T3よりも長い時間間隔である第4の時間間隔T4が実行される。
【0073】
乗員がワイパレバー32の時間調整操作部36を下方向(
図2のd2方向)に回動操作して第5のスイッチポジションsw5に配置すると、上述の間欠時間間隔T1、T2同様に、前記可動接点Q2が連動して回路基板80上を移動し、前記第1の固定接点p1が、前記可動接点Q2と接触することによってオン状態とされる。
【0074】
これにより、第5のスイッチポジションsw5に割り当てられた分圧比=(r2+r3)/(R0+r2+r3)がワイパスイッチユニット30から出力されるとともに、A/D変換された信号t5がマイクロコンピュータ62に入力される。前記信号t5に基づいて、マイクロコンピュータ62の選択部63では、予め備えられた5段階の時間間隔T1、T2、T3、T4、T5から、第5の時間間隔T5を選択すると、前記マイクロコンピュータ62から前記ワイパモータ90に制御信号t15を出力する。このため、間欠時間の最も長い時間間隔である第5の時間間隔T5が実行される。
【0075】
以上のように、前記ワイパ制御装置1によれば、該ワイパ制御装置1の複数の抵抗器R0、r1、r2、r3を直列に接続したメイン回路110は、前記メイン回路110のグランドGND側の回路111の複数の抵抗器r1、r2、r3それぞれに設けられた複数のスイッチS1、S2、S3の開閉によって、前記複数の抵抗器r1、r2、r3を選択的にバイパスさせることで、前記メイン回路の電気抵抗値が変更できるようになっている。これにより、前記メイン回路110の電気抵抗値は、前記時間調整操作部36の回動操作に応じて最大で前記複数のスイッチS1、S2、S3の開閉状態の組み合わせと同数の段階を得ることができる。
【0076】
そして、前記メイン回路110で得た電気抵抗値に対応した電気信号が、前記ワイパのワイパモータ90に動作信号を出力するマイクロコンピュータ62に入力され、該マイクロコンピュータ62によって、前記ワイパモータ90を前記電気信号に割り当てられたワイパの間欠時間の時間間隔T1、T2、T3、T4、T5で作動させることができる。これにより、メイン回路110の抵抗値の変化に応じた電気的状態の変化を前記コントロールユニット60内のマイクロコンピュータ62に伝えれば良いので、前記メイン回路110と前記コントロールユニット60とを接続する導線112を1本にすることができ、前記ワイパ制御装置1の軽量化やコスト削減が図れる。
【0077】
前記メイン回路110のグランドGND側の回路111を形成する複数の抵抗器r1、r2、r3は、乗員の操作による前記可動接点Q2の移動によって、前記複数のスイッチの開閉の組み合わせが切り換えられることで、前記複数の抵抗器r1、r2、r3を選択的にバイパスさせることができる。
【0078】
前記コントロールユニット60をメータユニット51内に配置し、前記ワイパスイッチユニット30と分散配置することで、前記ワイパスイッチユニット30が小型化され、該ワイパスイッチユニット30が配置されるステアリングホイール2周りのレイアウトの自由度が向上する。