(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑み、側突荷重が伝達される荷重伝達経路の剛性を、部品点数の増加を抑えて向上できる自動車の下部車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、自動車の車両前後方向に延びるフロアトンネルと、該フロアトンネルにおける車幅方向外側の下部に配設された左右のフロアパネルと、前記フロアトンネルの下面側に配設されたトンネルレインフォースメントと、前記フロアトンネル、及び前記フロアパネルを連結するとともに、乗員が着座するためのシートを支持するシート取付けブラケットとを備えた自動車の下部車体構造であって、前記トンネルレインフォースメントが、前記フロアトンネルに当接する前側当接部、中間当接部、及び後側当接部と、前記フロアトンネルの下面から離間する方向に突設された第1突設部、及び第2突設部とを備えるとともに、車両前方から前記前側当接部、前記第1突設部、前記中間当接部、前記第2突設部、前記後側当接部の順番で一体形成された構成とし、前記フロアトンネルに当接する前記シート取付けブラケットのフランジ部が、前記フロアトンネルを介して、前記トンネルレインフォースメントの前記前側当接部、前記中間当接部、及び前記後側当接部に接合されたことを特徴とする。
【0011】
この発明により、側突荷重が伝達される荷重伝達経路の剛性を、部品点数の増加を抑えて向上することができる。
具体的には、前側当接部、中間当接部、及び後側当接部に対して、第1突設部、及び第2突設部が突設されているため、自動車の下部車体構造は、車両前後方向に沿った縦断面におけるトンネルレインフォースメントの縦断面形状を、断面略W字状にすることができる。
【0012】
このため、自動車の下部車体構造は、例えば車両前後方向に沿った縦断面形状が断面略ハット状のトンネルレインフォースメントに比べて、トンネルレインフォースメントの断面積を大きくすることができる。これにより、自動車の下部車体構造は、トンネルレインフォースメントの剛性を向上できるため、フロアトンネルの機械的強度を向上することができる。
【0013】
さらに、フロアトンネルを介してシート取付けブラケットがトンネルレインフォースメントに接合されているため、自動車の下部車体構造は、シート取付けブラケットとフロアトンネルとの接合部分における強度の向上を図ることができる。
【0014】
このため、自動車の下部車体構造は、より高剛性のトンネルレインフォースメントでシート取付けブラケットを支持することができる。
従って、自動車の下部車体構造は、側突荷重が伝達される荷重伝達経路の剛性を、部品点数の増加を抑えて向上することができる。
【0015】
この発明の態様として、前記シート取付けブラケットにおける上面部分である上面部が、前記トンネルレインフォースメントの前記中間当接部と略同じ車両前後方向の位置で、車幅方向に延びるビードを備えたものである。
上記ビードは、車両上方に突出した形状のビード、あるいは車両下方に突出した形状のビードとすることができる。
【0016】
この発明により、自動車の下部車体構造は、シート取付けブラケットの上面部における剛性を向上することができる。このため、自動車の下部車体構造は、側突荷重が作用した際、シート取付けブラケットが変形することを抑制できる。
【0017】
従って、自動車の下部車体構造は、シート取付けブラケットの上面部にビードを設けたことにより、側突荷重が伝達される荷重伝達経路の剛性を、部品点数の増加を抑えてより向上することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記シート取付けブラケットの前記上面部が、車幅方向外側に位置して、前記シートが取付けられるシート取付け部分と、該シート取付け部分における車幅方向内側の縁辺から下方へ延設された側壁部分と、該側壁部分から前記フランジ部へ向けて延設された段下げ部分とで構成され、前記ビードが、前記段下げ部分において、車両上方へ向けて突出するとともに、前記側壁部分から前記フランジ部にかけて形成されたものである。
【0019】
この発明により、自動車の下部車体構造は、部品点数の増加を抑えて、シート取付けブラケットの剛性をより確実に向上することができる。
具体的には、乗員が着座した状態では、シートの後部に乗員の体重が加わり易いため、例えば、シート取付けブラケットがシートの後部を支持する場合、上面部の面剛性が低いと、走行中における車両上下方向の車体振動によって、上面部が撓み変形し易いという問題があった。
【0020】
この場合、例えば、自動車がスロープを乗り越えた際、車体振動によってシート取付けブラケットの上面部が早期に撓み変形を開始することで、シートを構成するウレタンクッションが、車両上下方向の車体振動を十分に減衰できず、乗員に伝達するおそれがあった。
【0021】
さらに、上面部の撓み変形によってシートの後部が車両上下方向に揺動すると、上下動に伴ってシートバックが車両前後方向に揺動するため、乗員の頭部が揺さぶられて、乗員に対する乗り心地が低下するおそれがあった。
【0022】
そこで、上面部に側壁部分を設けたことにより、自動車の下部車体構造は、シート取付け部分の面積、及び段下げ部分の面積をそれぞれ小さくでき、かつ側壁部分が上面部における節となることで、例えば走行中の車体振動による上面部の撓み変形を抑制することができる。
【0023】
さらに、車幅方向に延びるビードを段下げ部分に設けたことにより、自動車の下部車体構造は、車体振動に対する段下げ部分の面剛性の向上できるとともに、シート取付け部分の支持剛性を向上することができる。
【0024】
これにより、自動車の下部車体構造は、略平板状の上面部に比べて、シート取付けブラケットの上面部における面剛性を向上することができる。このため、自動車の下部車体構造は、例えば、自動車がスロープを乗り越えた際、車体振動によってシート取付けブラケットの上面部が早期に撓み変形を開始することを阻止でき、かつシートを構成するウレタンクッションの減衰機能を十分に発揮させることができる。
【0025】
この際、自動車の下部車体構造は、上面部における面剛性の向上によって、車両上下方向、及び車両前後方向へのシートの揺動を抑制できるため、乗員の頭部が揺さぶられることを抑えて、乗員に対する乗り心地の向上を図ることができる。
【0026】
加えて、段下げ部分のビードが側壁部分からフランジ部にかけて形成されているため、自動車の下部車体構造は、段下げ部分と側壁部分との境界近傍が、側突荷重に対して脆弱な脆弱部となることを防止できる。
【0027】
このため、側突荷重がシート取付けブラケットに作用した際、自動車の下部車体構造は、段下げ部分と側壁部分との境界近傍を起点にしてシート取付けブラケットが屈曲変形することを、段下げ部分のビードによって防止することができる。
【0028】
従って、自動車の下部車体構造は、シート取付けブラケットの上面部を段付き形状にするとともに、段下げ部分にビードを設けたことにより、側突荷重が伝達される荷重伝達経路の剛性を、部品点数の増加を抑えて確実に向上することができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記シート取付けブラケットの前記ビードが、車両下方へ突出した形状に形成された構成である。
この発明により、自動車の下部車体構造は、車両上方に突出したビードを段下げ部分に形成した場合に比べて、シート取付けブラケットのフランジ部における表面積を広くできるため、フランジ部の剛性を向上することができる。
【0030】
従って、自動車の下部車体構造は、シート取付けブラケットのビードを車両下方に突出した形状にしたことにより、側突荷重が伝達される荷重伝達経路の剛性を、部品点数の増加を抑えてより確実に向上することができる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記トンネルレインフォースメントの前記中間当接部と前記シート取付けブラケットの前記フランジ部との接合箇所の位置が、前記前側当接部と前記フランジ部との接合箇所の位置、及び前記後側当接部と前記フランジ部との接合箇所の位置よりも車両上方に位置する構成である。
【0032】
この発明により、自動車の下部車体構造は、前側当接部とフランジ部との接合箇所、後側当接部とフランジ部との接合箇所、及び中間当接部とフランジ部との接合箇所を結ぶ略三角形の仮想平面を形成することができる。
【0033】
このため、自動車の下部車体構造は、例えば、シート取付けブラケットからトンネルレインフォースメントへ側突荷重を伝達する際、側突荷重を略三角形の仮想平面を介して伝達することができる。
【0034】
これにより、自動車の下部車体構造は、トンネルレインフォースメントとシート取付けブラケットのフランジ部とが2つの接合箇所で接合された場合に比べて、側突荷重が作用することによるフランジ部の変形をより抑えることができる。
【0035】
従って、自動車の下部車体構造は、前側当接部とフランジ部との接合箇所、及び後側当接部とフランジ部との接合箇所よりも車両上方の位置で、中間当接部とフランジ部とが接合された構成により、側突荷重が伝達される荷重伝達経路の剛性を、部品点数の増加を抑えてさらに向上することができる。
【0036】
またこの発明の態様として、前記シート取付けブラケットの前記フランジ部が、前記トンネルレインフォースメントの前記前側当接部に接合される部分と、前記中間当接部に接合される部分と、前記後側当接部に接合される部分とを連結して一体形成された構成である。
【0037】
この発明により、自動車の下部車体構造は、シート取付けブラケットにおけるフランジ部の剛性を向上できるとともに、シート取付けブラケットとフロアトンネルとの結合強度をより向上することができる。
【0038】
さらに、例えば、フランジ部における中間当接部に接合される部分を、シート取付けブラケットの上面部分である上面部から延設した場合、自動車の下部車体構造は、トンネルレインフォースメントの前側当接部に接合される部分、中間当接部に接合される部分、及び後側当接部に接合される部分によって、シート取付けブラケットの上面部を支持することができる。
【0039】
このため、フロアトンネルにシート取付けブラケットを接合した状態において、自動車の下部車体構造は、中間当接部に接合される部分だけで上面部を支持する場合に比べて、フランジ部が上面部をより確実に支持することができる。これにより、自動車の下部車体構造は、シート取付けブラケットの剛性を向上でき、例えば、走行中の車体振動によって上面部が撓み変形することを抑制できる。
【0040】
従って、自動車の下部車体構造は、前側当接部に接合される部分、中間当接部に接合される部分、及び後側当接部に接合される部分を連結したフランジ部により、側突荷重が伝達される荷重伝達経路の剛性をより確実に向上することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明により、側突荷重が伝達される荷重伝達経路の剛性を、部品点数の増加を抑えて向上できる自動車の下部車体構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
なお、
図1は自動車1における下部車体の外観斜視図を示し、
図2は前席シートFSが装着された状態における自動車1の下部車体の外観斜視図を示し、
図3はフロアトンネル6と第2クロスメンバ10との連結部分の平面図を示し、
図4は
図3中のA−A矢視断面図を示し、
図5はフロアトンネル6の底面図を示し、
図6は第3トンネルレインフォースメント17の外観斜視図を示している。
【0044】
さらに、
図7は車両前後方向に沿った縦断面における第3トンネルレインフォースメント17の縦断面図を示し、
図8はフロアトンネル6と第2クロスメンバ10との連結部分の外観斜視図を示し、
図9は
図3中のB−B矢視におけるフロアトンネル6と第2クロスメンバ10との連結部分の側面図を示し、
図10は
図4中の要部を拡大した要部拡大断面図を示している。
【0045】
また、
図5中において、第1クロスメンバ9、及び第2クロスメンバ10を破線で示し、
図8及び
図9中において第3トンネルレインフォースメント17を破線で示している。
また、図中において、矢印Fr及びRrは前後方向を示しており、矢印Frは前方を示し、矢印Rrは後方を示している。
【0046】
さらに、矢印Rh及びLhは幅方向を示しており、矢印Rhは右方向を示し、矢印Lhは左方向を示し、車幅方向における車室内側を車幅方向内側とし、車幅方向における車両外側を車幅方向外側とする。
加えて、
図1中の上方を上方とし、
図1中の下方を下方とする。
【0047】
本実施形態における自動車1は、
図1に示すように、乗員が乗降するために開閉するフロントドア(図示省略)を開閉自在に支持する左右一対のヒンジピラー2と、リヤドア(図示省略)を開閉自在に支持する左右一対のセンタピラー3と、ヒンジピラー2の下部、及びセンタピラー3の下部が接合されて、車両前後方向に延びる左右一対のサイドシル4と、サイドシル4の後端から車両後方へ延びる左右一対のリヤサイドフレーム5とで、下部車体の骨格を構成している。
【0048】
さらに、自動車1は、
図1に示すように、サイドシル4の間における車幅方向略中央に配置されたフロアトンネル6と、サイドシル4、及びフロアトンネル6の間に配設したフロアパネル7と、左右のリヤサイドフレーム5の間で荷室の床面をなすリヤフロアパネル8とで、車室と車外とを隔てる隔壁を構成している。
【0049】
加えて、自動車1は、
図1に示すように、下部車体の骨格を補強する補強部材として、左右のサイドシル4、及びリヤサイドフレーム5の間におけるフロアパネル7の上面に配置された第1クロスメンバ9、第2クロスメンバ10、第3クロスメンバ11、及び第4クロスメンバ12を、車両前方からこの順番で備えている。
【0050】
さらにまた、自動車1は、
図2に示すように、第1クロスメンバ9と第2クロスメンバ10とに跨って橋架された左右一対のシートレールSRを介して、乗員が着座する前席シートFSが装着されている。なお、前席シートFSは、車両前後方向にスライド可能にシートレールSRに支持されたシートフレームWと、シートフレームWに装着されたウレタンクッション(図示省略)、及びシート表皮(図示省略)などで構成されている。
【0051】
ヒンジピラー2は、詳細な図示を省略するが、車両上下方向に延びる閉断面形状であって、その下部にはサイドシル4の前端が接合されている。
また、センタピラー3は、
図1に示すように、側面視において、車両下方ほど車両前後方向の長さが長くなる末広がり形状に形成されている。
【0052】
詳細な図示を省略するが、このセンタピラー3は、車幅方向に沿った縦断面において、サイドフレームアウタパネルと、センタピラーアウタパネルと、センタピラーインナパネルとを、車幅方向外側からこの順番で接合して構成している。
【0053】
また、左右一対のサイドシル4は、詳細な図示を省略するが、車幅方向外側に位置するサイドシルアウタパネルと、車幅方向内側に位置するサイドシルインナパネルとで、車幅方向に沿った縦断面形状が断面略矩形の閉断面形状をなすように構成されている。
【0054】
左右のフロアパネル7は、
図1に示すように、車両上下方向に厚みを有して車両前後方向に長いパネル部材であって、車室内の床面をなす形状に形成されている。このフロアパネル7は、車幅方向外側の縁端がサイドシル4における車幅方向内側の側面に接合されている。
【0055】
さらに、フロアパネル7の下面には、
図1に示すように、前端が車幅方向外側に位置して、車両後方ほど車幅方向内側に位置するように略車両前後方向に延びるフロアフレーム13と、フロアパネル7における車幅方向内側に縁端に沿って車両前後方向に延びるトンネルフレーム14(
図4及び
図5参照)とが接合されている。
【0056】
フロアフレーム13は、
図1に示すように、車幅方向に沿った縦断面形状が、車両上方が開口した断面略ハット状に形成されている。
トンネルフレーム14は、
図4に示すように、車幅方向に沿った縦断面形状が車両下方に突出した断面略ハット状であって、フロアパネル7、及び後述するフロアトンネル6とで断面略矩形の閉断面形状をなしている。
【0057】
具体的には、トンネルフレーム14は、
図4に示すように、車幅方向内側のフランジ部分がフロアトンネル6の下面に接合され、車幅方向外側のフランジ部分がフロアパネル7の下面に接合されることで、断面略矩形の閉断面形状を構成している。
【0058】
また、フロアトンネル6は、
図1及び
図4に示すように、車幅方向に沿った縦断面が車両上方に突出した断面略ハット状の断面形状であって、断面略ハット状の断面形状を車両前後方向に延設した形状に形成している。
【0059】
具体的には、フロアトンネル6は、
図3及び
図4に示すように、車幅方向に沿った縦断面において、フロアパネル7の下面に接合される左右一対のフランジ部61と、フランジ部61から車幅方向内側、かつ車両上方へ向けて立設した縦壁部62と、縦壁部62の上端を車幅方向に連結する天板部63とで、断面略ハット状に一体形成している。
【0060】
さらに、フロアトンネル6の下面には、
図4及び
図5に示すように、フロアパネル7の車幅方向内側における縁端を連結するように配設された第1トンネルレインフォースメント15、第2トンネルレインフォースメント16、及び第3トンネルレインフォースメント17が配設されている。
【0061】
第1トンネルレインフォースメント15は、
図5に示すように、後述する第1クロスメンバ9よりも車両前方の位置において、フロアパネル7の車幅方向内側における縁端を連結するように、フロアトンネル6の下面に配設されている。
【0062】
この第1トンネルレインフォースメント15は、詳細な図示を省略するが、車両前後方向に所定の長さを有するとともに、車幅方向に沿った縦断面形状が車両上方へ突出した断面略ハット状に形成されている。
そして、第1トンネルレインフォースメント15は、その下端がフロアパネル7に接合されるとともに、車両上方へ突出した部分がフロアトンネル6の下面に接合されている。
【0063】
第2トンネルレインフォースメント16は、
図5に示すように、後述する第1クロスメンバ9と略同じ車両前後方向の位置において、フロアパネル7の車幅方向内側における縁端を連結するように、フロアトンネル6の下面に配設されている。
【0064】
この第2トンネルレインフォースメント16は、詳細な図示を省略するが、第1クロスメンバ9と略同じ車両前後方向の長さを有するとともに、車幅方向に沿った縦断面形状が車両上方へ突出した断面略ハット状に形成されている。
【0065】
そして、第2トンネルレインフォースメント16は、その下端がトンネルフレーム14を介してフロアトンネル6のフランジ部61に接合されるとともに、車両上方へ突出した部分がフロアトンネル6の下面に接合されている。
【0066】
第3トンネルレインフォースメント17は、
図5に示すように、後述する第2クロスメンバ10と略同じ車両前後方向の位置において、フロアパネル7の車幅方向内側における縁端を連結するように、フロアトンネル6の下面に配設されている。
【0067】
この第3トンネルレインフォースメント17は、
図4及び
図5に示すように、第2クロスメンバ10と略同じ車両前後方向の長さを有するとともに、車幅方向に沿った縦断面形状が車両上方へ突出した断面略ハット状に形成されている。
【0068】
具体的には、第3トンネルレインフォースメント17は、
図4及び
図6に示すように、トンネルフレーム14を介してフロアトンネル6のフランジ部61に接合されるトンネルレインフランジ171と、トンネルレインフランジ171における車幅方向内側の縁端から車両上方に突出した正面視略楕円弧状のトンネルレイン本体172とで一体形成されている。
このトンネルレイン本体172は、
図6及び
図7に示すように、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が断面略W字状になるよう形成されている。
【0069】
具体的には、トンネルレイン本体172は、
図6及び
図7に示すように、フロアトンネル6に当接する前側当接部173、中間当接部174、及び後側当接部175と、フロアトンネル6の下面から離間する方向に突設された第1突設部176、及び第2突設部177とで構成され、車両前方から前側当接部173、第1突設部176、中間当接部174、第2突設部177、後側当接部175の順番で一体形成することで断面略W字状に形成されている。
【0070】
前側当接部173は、
図4、
図6、及び
図7に示すように、フロアトンネル6の縦壁部62、及び天板部63に当接可能な正面視略楕円弧状に形成されている。この前側当接部173は、フロアトンネル6の縦壁部62、及び天板部63との当接箇所で接合されている。
【0071】
中間当接部174は、
図4、
図6、及び
図7に示すように、その頂部が前側当接部173の頂部よりも車両下方に位置する大きさの正面視略楕円弧状であって、フロアトンネル6の縦壁部62と車幅方向で対向する部分が、縦壁部62と当接可能に車幅方向外側へ突出した略平板状に形成されている。
【0072】
この中間当接部174における車幅方向外側へ突出した部分を突出部分174aとして、中間当接部174の突出部分174aが、フロアトンネル6の縦壁部62に接合されている。
【0073】
後側当接部175は、
図4、
図6、及び
図7に示すように、フロアトンネル6の縦壁部62、及び天板部63に当接可能な正面視略楕円弧状に形成されている。この後側当接部175は、フロアトンネル6の縦壁部62、及び天板部63との当接箇所で接合されている。
【0074】
なお、後側当接部175は、
図6及び
図7に示すように、フロアトンネル6の縦壁部62と対向する下部が、上部における車両前後方向の長さより長い車両前後方向の長さを有する形状に形成されている。
【0075】
第1突設部176は、
図4、
図6、及び
図7に示すように、前側当接部173と中間当接部174との間において、フロアトンネル6の下面から離間する方向、すなわち車両下方、及び車幅方向内側へ突出した略凹溝形状に形成されている。
【0076】
より詳しくは、第1突設部176は、前側当接部173の頂部よりも車両下方に頂部が位置する正面視略楕円弧状であって、車両前後方向に沿った縦断面形状が、車両上方が開口した凹形状に形成されている。
【0077】
第2突設部177は、
図4、
図6、及び
図7に示すように、中間当接部174と後側当接部175の間において、フロアトンネル6の下面から離間する方向、すなわち車両下方、及び車幅方向内側へ突出した略凹溝形状に形成されている。
【0078】
より詳しくは、第2突設部177は、第1突設部176の頂部と略同じ車両上下方向の高さを有する正面視略楕円弧状であって、車両前後方向に沿った縦断面形状が、車両上方が開口した凹形状に形成されている。
【0079】
また、第1クロスメンバ9は、
図1に示すように、ヒンジピラー2とセンタピラー3との間における車両前後方向略中央で、フロアトンネル6を介して左右のサイドシル4を連結するようにフロアパネル7の上面に配置されている。
【0080】
この第1クロスメンバ9は、詳細な図示を省略するが、車両前後方向に沿った縦断面形状が車両上方へ突出した断面略ハット状で、フロアパネル7とで車幅方向に延びる閉断面形状をなす形状に形成されている。
なお、第1クロスメンバ9の上面部分には、前席シートFSを支持する左右一対のシートレールSRの前端が締結固定されている(
図2参照)。
【0081】
第2クロスメンバ10は、
図1に示すように、センタピラー3における車両前後方向略中央と略同じ車両前後方向の位置で、フロアトンネル6を介して左右のサイドシル4を連結するようにフロアパネル7の上面に配置されている。
なお、第2クロスメンバ10は、フロアパネル7における車両後方下方へ傾斜した部分に、その下面が接合されている。
【0082】
この第2クロスメンバ10は、
図8及び
図9に示すように、車両前後方向に沿った縦断面形状が断面略M字状であって、車両前方側に位置してフロアパネル7に接合される前側フランジ部101、車両後方側に位置してフロアパネル7に接合される後側フランジ部102と、前側フランジ部101と後側フランジ部102との間に位置する中央フランジ部103と、前側フランジ部101と中央フランジ部103との間で車両上方に突出した前側突部104と、中央フランジ部103と後側フランジ部102との間で車両上方へ向けて突出した後側突部105とで一体形成されている。
【0083】
このような構成の第2クロスメンバ10は、
図9に示すように、トンネルレインフォースメント17の中間当接部174と略同じ車両前後方向の位置に、中央フランジ部103が位置するように、フロアパネル7の上面に接合されている。
【0084】
さらに、第2クロスメンバ10は、
図1に示すように、車幅方向内側に位置する第1シート取付けブラケット21を介して、フロアトンネル6に連結されるとともに、車幅方向外側に位置する第2シート取付けブラケット22を介してサイドシル4に連結されている。なお、第1シート取付けブラケット21、及び第2シート取付けブラケット22には、前席シートFSを支持する左右一対のシートレールSRの後端が締結固定されている(
図2参照)。
【0085】
第3クロスメンバ11は、
図1に示すように、フロアパネル7の後端近傍において、サイドシル4を車幅方向に連結するようにフロアパネル7の上面に配置されている。この第3クロスメンバ11は、サイドシル4、及びフロアパネル7に接合されている。
【0086】
第4クロスメンバ12は、
図1に示すように、第3クロスメンバ11に対して所定間隔だけ車両後方に離間した位置で、リヤサイドフレーム5を車幅方向に連結するようにリヤフロアパネル8の上面に配置されている。この第4クロスメンバ12は、リヤサイドフレーム5、及びリヤフロアパネル8に接合されている。
【0087】
ここで、上述した第1シート取付けブラケット21について説明する。なお、第2シート取付けブラケット22は、フランジ部がサイドシル4に接合される点を除けば、第1シート取付けブラケット21に対して略左右対称形状であるため、その詳細な説明を省略する。
【0088】
第1シート取付けブラケット21は、
図8から
図10に示すように、車幅方向内側、及び車両下方が開口した略ボックス状であって、車幅方向に沿った縦断面形状が、フロアトンネル6、及びフロアパネル7とで閉断面形状をなすように形成されている。
【0089】
この第1シート取付けブラケット21は、第3トンネルレインフォースメント17の前端と略同じ前後方向の位置に前端が位置し、第3トンネルレインフォースメント17の後端と略同じ前後方向の位置に後端が位置する形状に形成されている。
【0090】
より詳しくは、第1シート取付けブラケット21は、
図8から
図10に示すように、車両前方に位置する前壁部211と、前壁部211に対して車両後方で対向する後壁部212と、前壁部211における車幅方向内側の縁端、及び後壁部212における車幅方向内側の縁端を連結する側壁部213と、前壁部211の上端及び後壁部212の上端を連結する上面部214と、フロアトンネル6に接合されるフランジ部215とで一体形成されている。
【0091】
前壁部211は、上端に対して下端が車両前方に位置するように僅かに傾斜した略平板状に形成されている。この前壁部211は、その下端から延設した部分が、第2クロスメンバ10における前側突部104の前面、または前側フランジ部101に接合されている。
【0092】
後壁部212は、上端に対して下端が車両後方に位置するように僅かに傾斜した略平板状に形成されている。この後壁部212は、その下端から延設した部分が、第2クロスメンバ10における後側突部105の後面に接合されている。
【0093】
側壁部213は、上端に対して下端が車幅方向外側に位置するように僅かに傾斜した略平板状に形成されている。この側壁部213は、その下端から車幅方向外側へ向けて屈曲した部分が、第2クロスメンバ10における前側突部104の上面、及び後側突部105の上面に接合されている。
【0094】
上面部214は、
図8から
図10に示すように、車幅方向外側に位置するとともに、シートレールSRの後端が取付けられる平面部分である取付け部分214aと、取付け部分214aにおける車幅方向内側の縁端から車幅方向内側、かつ車両下方へ向けて傾斜した傾斜部分214bと、傾斜部分214bの下端から車幅方向内側へ延設した段下げ部分214cとで一体形成されている。
【0095】
さらに、段下げ部分214cには、
図8から
図10に示すように、車両前後方向略中央で、略車両上方へ向けて突出するとともに、傾斜部分214bからフランジ部215にかけて車幅方向に延びるビード214dが形成されている。
【0096】
より詳しくは、ビード214dは、
図9に示すように、側面視において、第2クロスメンバ10の中央フランジ部103から第3トンネルレインフォースメント17の突出部分174aへ向かう仮想線に沿うように、略車両上方へ向けて突設されている。
【0097】
換言すると、第3トンネルレインフォースメント17の突出部分174aと、第2クロスメンバ10の中央フランジ部103と、第1シート取付けブラケット21のビード214dとは、車両前後方向における位置が略同じ位置となるように形成されている。
なお、ビード214dは、その頂部が取付け部分214aの上面よりも僅かに車両下方に位置するように突設している。
【0098】
フランジ部215は、
図4に示すように、側面視において、前壁部211における車幅方向外側の縁端から車両前方へ延設した部分、後壁部212における車幅方向外側の縁端から車両後方へ延設した部分、及び上面部214における車幅方向外側の縁端から車両上方へ延設した部分を一体的にした形状に形成されている。
【0099】
このような構成の第1シート取付けブラケット21は、
図9の破線の円で示したように、フランジ部215の前側接合箇所215a、2つの後側接合箇所215b、及びこれらよりも車両上方に位置する中間接合箇所215cを介して、フロアトンネル6の縦壁部62に接合されている。
【0100】
前側接合箇所215aは、
図9に示すように、側面視において、前壁部211から車両前方へ延設した部分に設けられている。そして、第1シート取付けブラケット21は、フランジ部215の前側接合箇所215aで、フロアトンネル6の縦壁部62に接合されるとともに、縦壁部62を介して第3トンネルレインフォースメント17の前側当接部173に接合されている。
【0101】
2つの後側接合箇所215bは、
図9に示すように、側面視において、後壁部212から車両後方へ延設した部分に、車両上下方向に離間して設けられている。なお、2つの後側接合箇所215bのうち、車両上方側の後側接合箇所215bが、前側接合箇所215aと略同じ車両上下方向の位置に設けられている。
【0102】
そして、第1シート取付けブラケット21は、フランジ部215の後側接合箇所215bで、フロアトンネル6の縦壁部62に接合されるとともに、縦壁部62を介して第3トンネルレインフォースメント17の後側当接部175に接合されている。
【0103】
中間接合箇所215cは、
図9に示すように、側面視において、上面部214から車両上方へ延設した部分に設けられている。そして、第1シート取付けブラケット21は、フランジ部215の中間接合箇所215cで、フロアトンネル6の縦壁部62に接合されるとともに、縦壁部62を介して第3トンネルレインフォースメント17の突出部分174aに接合されている。
【0104】
以上のような構成の自動車1の下部車体構造は、側突荷重が伝達される荷重伝達経路の剛性を、部品点数の増加を抑えて向上することができる。
具体的には、前側当接部173、中間当接部174、及び後側当接部175に対して、第1突設部176、及び第2突設部177が突設されているため、自動車1の下部車体構造は、車両前後方向に沿った縦断面における第3トンネルレインフォースメント17の縦断面形状を、断面略W字状にすることができる。
【0105】
このため、自動車1の下部車体構造は、例えば車両前後方向に沿った縦断面形状が断面略ハット状の第3トンネルレインフォースメントに比べて、第3トンネルレインフォースメント17の断面積を大きくすることができる。これにより、自動車1の下部車体構造は、第3トンネルレインフォースメント17の剛性を向上できるため、フロアトンネル6の機械的強度の向上することができる。
【0106】
さらに、フロアトンネル6を介して第1シート取付けブラケット21が第3トンネルレインフォースメント17に接合されているため、自動車1の下部車体構造は、第1シート取付けブラケット21とフロアトンネル6との接合部分における強度の向上を図ることができる。
【0107】
このため、自動車1の下部車体構造は、より高剛性の第3トンネルレインフォースメント17で第1シート取付けブラケット21を支持することができる。
従って、自動車1の下部車体構造は、側突荷重が伝達される荷重伝達経路の剛性を、部品点数の増加を抑えて向上することができる。
【0108】
また、第1シート取付けブラケット21の上面部214が、第3トンネルレインフォースメント17の中間当接部174と略同じ車両前後方向の位置で、車幅方向に延びるビード214dを備えたことにより、自動車1の下部車体構造は、第1シート取付けブラケット21の上面部214における剛性を向上することができる。このため、自動車1の下部車体構造は、側突荷重が作用した際、第1シート取付けブラケット21が変形することを抑制できる。
【0109】
従って、自動車1の下部車体構造は、第1シート取付けブラケット21の上面部214にビード214dを設けたことにより、側突荷重が伝達される荷重伝達経路の剛性を、部品点数の増加を抑えてより向上することができる。
【0110】
また、第1シート取付けブラケット21の上面部214が、シートが取付けられる取付け部分214aと、取付け部分214aから延設された傾斜部分214bと、傾斜部分214bから延設された段下げ部分214cとで構成され、ビード214dが、段下げ部分214cにおいて、車両上方へ向けて突出するとともに、傾斜部分214bからフランジ部215にかけて形成されたことにより、自動車1の下部車体構造は、部品点数の増加を抑えて、第1シート取付けブラケット21の剛性をより確実に向上することができる。
【0111】
具体的には、乗員が着座した状態では、前席シートFSの後部に乗員の体重が加わり易いため、第1シート取付けブラケット21の上面部における面剛性が低い場合、走行中における車両上下方向の車体振動によって、上面部が撓み変形し易いという問題があった。
【0112】
この場合、例えば、自動車1がスロープを乗り越えた際、車体振動によって第1シート取付けブラケット21の上面部が早期に撓み変形を開始することで、前席シートFSを構成するウレタンクッションが、車両上下方向の車体振動を十分に減衰できず、乗員に伝達するおそれがあった。
【0113】
さらに、上面部の撓み変形によって前席シートFSの後部が車両上下方向に揺動すると、上下動に伴ってシートバックが車両前後方向に揺動するため、乗員の頭部が揺さぶられて、乗員に対する乗り心地が低下するおそれがあった。
【0114】
そこで、上面部214に傾斜部分214bを設けたことにより、自動車1の下部車体構造は、取付け部分214aの面積、及び段下げ部分214cの面積をそれぞれ小さくでき、かつ傾斜部分214bが上面部214における節となることで、例えば走行中の車体振動による上面部214の撓み変形を抑制することができる。
【0115】
さらに、車幅方向に延びるビード214dを段下げ部分214cに設けたことにより、自動車1の下部車体構造は、車体振動に対する段下げ部分214cの面剛性の向上できるとともに、取付け部分214aの支持剛性を向上することができる。
【0116】
これにより、自動車1の下部車体構造は、略平板状の上面部214に比べて、第1シート取付けブラケット21の上面部214における面剛性を向上することができる。このため、自動車1の下部車体構造は、例えば、自動車1がスロープを乗り越えた際、車体振動によって第1シート取付けブラケット21の上面部214が早期に撓み変形を開始することを阻止でき、かつ前席シートFSを構成するウレタンクッションの減衰機能を十分に発揮させることができる。
【0117】
この際、自動車1の下部車体構造は、上面部214における面剛性の向上によって、車両上下方向、及び車両前後方向への前席シートFSの揺動を抑制できるため、乗員の頭部が揺さぶられることを抑えて、乗員に対する乗り心地の向上を図ることができる。
【0118】
加えて、段下げ部分214cのビード214dが傾斜部分214bからフランジ部215にかけて形成されているため、自動車1の下部車体構造は、段下げ部分214cと傾斜部分214bとの境界近傍が、側突荷重に対して脆弱な脆弱部となることを防止できる。
【0119】
このため、側突荷重が第1シート取付けブラケット21に作用した際、自動車1の下部車体構造は、段下げ部分214cと傾斜部分214bとの境界近傍を起点にして第1シート取付けブラケット21が屈曲変形することを、段下げ部分214cのビード214dによって防止することができる。
【0120】
従って、自動車1の下部車体構造は、第1シート取付けブラケット21の上面部214を段付き形状にするとともに、段下げ部分214cにビード214dを設けたことにより、側突荷重が伝達される荷重伝達経路の剛性を、部品点数の増加を抑えて確実に向上することができる。
【0121】
また、第3トンネルレインフォースメント17の中間当接部174と第1シート取付けブラケット21のフランジ部215との接合箇所である中間接合箇所215cの位置が、前側当接部173とフランジ部215との接合箇所である前側接合箇所215aの位置、及び後側当接部175とフランジ部215との接合箇所である後側接合箇所215bの位置よりも車両上方に位置することにより、自動車1の下部車体構造は、前側接合箇所215a、後側接合箇所215b、及び中間接合箇所215cを結ぶ略三角形の仮想平面を形成することができる。
【0122】
このため、自動車1の下部車体構造は、例えば、第1シート取付けブラケット21から第3トンネルレインフォースメント17へ側突荷重を伝達する際、側突荷重を略三角形の仮想平面を介して伝達することができる。
【0123】
これにより、自動車1の下部車体構造は、第3トンネルレインフォースメント17と第1シート取付けブラケット21のフランジ部215とが2つの接合箇所で接合された場合に比べて、側突荷重が作用することによるフランジ部215の変形をより抑えることができる。
【0124】
従って、自動車1の下部車体構造は、前側当接部173とフランジ部215との接合箇所、及び後側当接部175とフランジ部215との接合箇所よりも車両上方の位置で、中間当接部174とフランジ部215とが接合された構成により、側突荷重が伝達される荷重伝達経路の剛性を、部品点数の増加を抑えてさらに向上することができる。
【0125】
また、第1シート取付けブラケット21のフランジ部215が、前側当接部173に接合される部分と、中間当接部174に接合される部分と、後側当接部175に接合される部分とを連結して一体形成されたことにより、自動車1の下部車体構造は、第1シート取付けブラケット21におけるフランジ部215の剛性を向上できるとともに、第1シート取付けブラケット21とフロアトンネル6との結合強度をより向上することができる。
【0126】
さらに、自動車1の下部車体構造は、前側当接部173に接合される部分、中間当接部174に接合される部分、及び後側当接部175に接合される部分によって、第1シート取付けブラケット21の上面部214を支持することができる。
【0127】
このため、フロアトンネル6に第1シート取付けブラケット21を接合した状態において、自動車1の下部車体構造は、例えば、中間当接部174に接合される部分だけで上面部214を支持する場合に比べて、フランジ部215が上面部214をより確実に支持することができる。これにより、自動車1の下部車体構造は、第1シート取付けブラケット21の剛性を向上でき、走行中の車体振動によって上面部214が撓み変形することを抑制できる。
【0128】
従って、自動車1の下部車体構造は、前側当接部173に接合される部分、中間当接部174に接合される部分、及び後側当接部175に接合される部分を連結したフランジ部215により、側突荷重が伝達される荷重伝達経路の剛性をより確実に向上することができる。
【0129】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のシートは、実施形態の前席シートFSに対応し、
以下同様に、
シート取付けブラケットは、第1シート取付けブラケット21に対応し、
シート取付けブラケットのフランジ部は、第1シート取付けブラケット21のフランジ部215に対応し、
シート取付けブラケットの上面部は、第1シート取付けブラケット21の上面部214に対応し、
シート取付け部分は、取付け部分214aに対応し、
側壁部分は、傾斜部分214bに対応し、
トンネルレインフォースメントの中間当接部とシート取付けブラケットのフランジ部との接合箇所は、中間接合箇所215cに対応し、
前側当接部とフランジ部との接合箇所は、前側接合箇所215aに対応し、
後側当接部とフランジ部との接合箇所は、後側接合箇所215bに対応し、
前側当接部に接合される部分は、前壁部211における車幅方向外側の縁端から車両前方へ延設した部分に対応し、
中間当接部に接合される部分は、上面部214における車幅方向外側の縁端から車両上方へ延設した部分に対応し、
後側当接部に接合される部分は、後壁部212における車幅方向外側の縁端から車両後方へ延設した部分に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0130】
例えば、上述した実施形態において、シートレールSRの後端が取付けられる第1シート取付けブラケット21としたが、これに限定せず、シートレールSRの前端が取付けられるシート取付けブラケット、あるいはシートレールSRを介さず、前席シートFSが直接的に取付けられるシート取付けブラケットとしてもよい。
【0131】
また、前席シートFSのシートレールSRが取付けられる第1シート取付けブラケット21を用いて説明したが、これに限定せず、例えば中席シート、あるいは後席シートが取付けられるシート取付けブラケットであってもよい。
【0132】
また、フロアパネル7と第1シート取付けブラケット21との間に第2クロスメンバ10が介在する構成としたが、これに限定せず、第1シート取付けブラケット21をフロアパネル7に直接的に接合する構成であってもよい。
また、車両前後方向に沿った縦断面形状が断面略M字状の第2クロスメンバ10としたが、これに限定せず、第1クロスメンバ9と同様に、車両上方に突出した断面略ハット状の第2クロスメンバであってもよい。
【0133】
また、第1シート取付けブラケット21のフランジ部215を、前壁部211から車両前方へ延設した部分、後壁部212から車両後方へ延設した部分、及び上面部214から車両上方へ延設した部分を一体的にした形状としたが、これに限定せず、前壁部211、後壁部212、及び上面部214からそれぞれ延設された部分が一体的でなく独立した形状のフランジ部であってもよい。
【0134】
また、前側接合箇所215a、及び後側接合箇所215bよりも車両上方に位置する中間接合箇所215cを、前側接合箇所215aと後側接合箇所215bとの間に設けたが、これに限定せず、前側接合箇所215a、及び後側接合箇所215bよりも車両上方に位置していれば、前側接合箇所215aと後側接合箇所215cとの間でなくともよい。
【0135】
また、第1シート取付けブラケット21の段下げ部分214cに、傾斜部分214bからフランジ部215にかけて延びるビード214dを設けたが、これに限定せず、傾斜部分214bの上端から段下げ部分214cにおける車幅方向内側の縁端へ向けて傾斜した稜線を有する側面視略三角形状のビードとしてもよい。
【0136】
また、第1シート取付けブラケット21のビード214dを車両上方に突出した形状としたが、これに限定せず、別の第1シート取付けブラケット21における外観斜視図を示す
図11のように、車両下方へ突出した形状のビード214eであってもよい。
【0137】
これにより、自動車1の下部車体構造は、車両上方に突出したビードを段下げ部分214cに形成した場合に比べて、第1シート取付けブラケット21のフランジ部215における表面積を広くできるため、フランジ部215の剛性を向上することができる。
【0138】
従って、自動車1の下部車体構造は、第1シート取付けブラケット21のビード214eを車両下方に突出した形状にしたことにより、側突荷重が伝達される荷重伝達経路の剛性を、部品点数の増加を抑えてより確実に向上することができる。