特許第6597747号(P6597747)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6597747
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/58 20180101AFI20191021BHJP
   F24F 11/59 20180101ALI20191021BHJP
【FI】
   F24F11/58
   F24F11/59
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-201528(P2017-201528)
(22)【出願日】2017年10月18日
(65)【公開番号】特開2019-74279(P2019-74279A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2018年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】島村 豊
【審査官】 田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−078770(JP,A)
【文献】 特開2014−055739(JP,A)
【文献】 特開2009−133549(JP,A)
【文献】 特開2015−192306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/58
F24F 11/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部サーバーと通信ネットワークを介して通信を行う通信アダプタを有する空気調和機であって、
前記空気調和機や前記通信アダプタを制御するプログラムが予め記憶されている制御手段を有し、
前記制御手段は、
前記外部サーバーから予め記憶されている前記プログラムの更新プログラムをダウンロードし、
前記更新プログラムをダウンロードした後、前記室内機が設置された部屋の室温と空調運転の設定温度との温度差が所定の閾温度差以上であるとき、前記空気調和装置および前記通信アダプタへの動作電力の供給が遮断される可能性が低いと判定し、予め記憶されている前記プログラムを前記更新プログラムに更新する、
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
外部サーバーと通信ネットワークを介して通信を行う通信アダプタを有する空気調和機であって、
前記空気調和機や前記通信アダプタを制御するプログラムが予め記憶されている制御手段を有し、
前記制御手段は、
前記外部サーバーから予め記憶されている前記プログラムの更新プログラムをダウンロードし、
前記更新プログラムをダウンロードした後、前記空気調和機にタイマーによる運転開始あるいは運転停止が設定されていれば、前記空気調和装置および前記通信アダプタへの動作電力の供給が遮断される可能性が低いと判定し、予め記憶されている前記プログラムを前記更新プログラムに更新する、
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
前記通信アダプタは、前記室内機に搭載されて前記室内機から動作電力の供給を受ける、
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項4】
前記プログラムを前記更新プログラムに更新していることを、使用者に報知しない、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の制御に必要な各種プログラムの更新が行える空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機は専用のリモコンによって、運転開始/停止や、運転モード/設定温度/風量/風向等の運転情報の設定といった操作ができるようにされている。また、使用者が所有するスマートフォンやタブレット機器といった装置(以降、操作端末と記載する)をリモコンの代わりに使用する空気調和機が提案されている。リモコンとは別の操作端末で空気調和機を操作するためには、操作端末と室内機の通信を仲介する通信アダプタを設ける必要がある。
【0003】
上記のような通信アダプタには、操作端末と空気調和機との間の通信を行うためのプログラムがインストールされており、このプログラムに従って通信アダプタが動作することで、操作端末と空気調和機との通信が行われる。そして、このようなプログラムは、機能向上や不具合の解消などの目的で更新されることがある。
【0004】
特許文献1には、プログラムを自動的に更新できる空気調和機および通信アダプタが提案されている。具体的には、通信アダプタが、インターネットを介して空気調和機の製造会社のサービスセンターに設置されているコンピュータ(サーバー)と通信可能なパソコンに接続されている。そして、コンピュータに更新された空気調和機の制御プログラム(以降、更新プログラムと記載する)がアップされると、パソコンが更新プログラムを取り込んで通信アダプタにダウンロードして、通信アダプタの制御プログラムを更新プログラムに更新する。
【0005】
尚、特許文献1の通信アダプタは、空気調和機の室内機と別体であり、室内機とは無線で通信を行っている。また、通信アダプタの動作電力はパソコンから供給されている。また、特許文献1に記載されているような通信アダプタは、一般的に表示部を備えており、電力が供給されて通信アダプタが動作中であることや、プログラムの更新中であること等を表示部に表示することで、使用者に通信アダプタの動作状態を認識させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−133549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年では、上述したような通信アダプタを室内機の内部に格納し、通信アダプタの動作電力の供給を室内機から受けるものが求められている。通信アダプタが動作電力の供給を室内機から受ける場合、室内機の電源プラグがコンセントから引き抜かれる、ブレーカが人の手で落とされる、等によって室内機に供給されている電力が遮断されると、通信アダプタへの電力供給も遮断される。
【0008】
通信アダプタへの電力供給が、上述したプログラムの更新中に遮断されると、更新プログラムへの更新が正常に行われずに、通信アダプタへ動作電力が再度供給されたときに通信アダプタが動作しなくなる恐れがある。通信アダプタに表示部があり、プログラムの更新中であることを表示部に表示して使用者に報知できれば、プログラムの更新中の電力供給の遮断を防ぐことができるので、プログラムの更新が滞りなく行われて通信アダプタが動作しなくなるという事態を回避できる。
【0009】
しかし、通信アダプタを室内機の内部に格納した場合は、仮に通信アダプタに表示部があっても使用者からは見えず、通信アダプタの動作状態を確認できない。従って、通信アダプタを室内機の内部に格納している場合は、使用者がプログラムの更新中に室内機への電力供給を遮断してしまう恐れがあり、通信アダプタへの電力供給も遮断されて更新プログラムへの更新が正常に行われない恐れがあった。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、プログラムの更新を滞りなく完了させることができる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上述の課題を解決するものであって、本発明の空気調和機は、外部サーバーと通信ネットワークを介して通信を行う通信アダプタを有する。この空気調和機は、空気調和機や通信アダプタを制御するプログラムが予め記憶されている制御手段を有する。制御手段は、外部サーバーから予め記憶されているプログラムの更新プログラムをダウンロードするとともに、空気調和機や通信アダプタへの動作電力の供給が遮断される可能性の低い継続電力供給期を決定し、決定した継続電力供給期に予め記憶されているプログラムを更新プログラムに更新する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の空気調和機では、使用者が電力供給を遮断する可能性が低いタイミングを図って、更新プログラムへの更新を実行する。従って、更新プログラムへの更新を滞りなく完了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態における、空気調和機の概略図である。
図2】本発明の実施形態における、通信アダプタの構成ブロック図である。
図3】本発明の他の実施形態における、通信アダプタがプログラムを更新する際の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施形態としては、冷媒配管で接続された室内機および室外機を有し、室内機の内部に通信アダプタを設けてリモコン以外の操作端末で室内機を操作できる空気調和機を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【実施例】
【0015】
まず、本発明に係る空気調和機1の概略構成について説明する。図1に示すように、空気調和機1は、室内に配置され横長の略直方体形状を有する室内機20と、屋外に配置され室内機20と2本の冷媒配管40で接続される室外機30を有している。空気調和機1が運転を開始すると、冷媒配管40を介して室内機20と室外機30の間で冷媒が循環し、室内機20において室内空気が冷媒により加熱あるいは冷却される。これにより、室内の暖房あるいは冷房が行われる。
【0016】
室内機20の内部には、室内機制御部21と通信アダプタ50が格納されている。室内機制御部21は、室内機20に備えられている送風ファンの回転数や、吹出口に備えられる風向板の動作を制御する。また、室内機制御部21は、室内機20が設置された部屋の温度を使用者が要求する設定温度とするために必要な能力を、室外機30に要求する。
【0017】
通信アダプタ50は、操作端末60で室内機20の操作をする際に、室内機20と操作端末60の通信を仲介する。ここで、操作端末60は、室内機20専用の図示しないリモコンとは別のものであり、使用者が所有するスマートフォンやタブレット端末等、通信アダプタ50を介して室内機20と通信が行えるものである。尚、操作端末60には、室内機20を操作するための専用のアプリケーションプログラムがインストールされている。
【0018】
図2に示すように、通信アダプタ50は、制御部51と、記憶部52と、操作端末通信部53と、室内機通信部54と、外部通信部53を有する。尚、通信アダプタ50の制御部51と室内機20の室内機制御部21とで、本発明の制御手段が構成される。
【0019】
記憶部52は、例えばフラッシュメモリで構成されており、通信プログラム52aと更新制御プログラム52bが予め記憶されている。通信プログラム52aは、操作端末60から出力された運転情報に関わるデータを、室内機制御部21で認識できるデータに変換する際に使用されるプログラムである。ここで、運転情報とは、運転開始/停止、運転モード(冷房/暖房/送風、等)の切り替え、設定温度や風量、風向の変更・切り替え、タイマー運転設定、等といった、室内機20の運転に関わる情報(以降、運転情報と記載する)である。
【0020】
更新制御プログラム52bは、上述した通信プログラム52aを新しいプログラムに更新する際に使用されるプログラムである。具体的には、後述する外部サーバー70から通信プログラム52aの更新プログラムを記憶部52の図示しないダウンロード用の領域にダウンロードする際や、通信プログラム52aを更新プログラムに更新する際に使用される。尚、通信プログラム52aは、機能向上や不具合の解消などの目的で新しいプログラムに更新される。
【0021】
操作端末通信部53は、操作端末60と通信を行うインターフェイスである。室内機通信部54は、室内機制御部21と通信を行うインターフェイスである。外部通信部53は、インターネット等の通信ネットワーク80を介して外部サーバー70と通信を行うインターフェイスである。尚、外部サーバー70は、例えば、空気調和機1の製造会社のサービスセンターにあるコンピュータであり、外部サーバー70には、通信プログラム52aが更新される度に、更新された新しい通信プログラム52aがアップされる。
【0022】
制御部51は、操作端末60から出力された運転情報に関わるデータを、操作端末通信部53を介して取り込み、取り込んだ運転情報に関わるデータを、記憶部51に記憶されている通信プログラム52aを用いて室内機制御部21が認識できるデータに変換する。そして、制御部51は変換したデータを、室内機通信部54を介して室内機制御部21に出力する。
【0023】
また、制御部51は、ダウンロード部51aと、プログラム更新部51bと、継続電力供給期判定部51cを有する。ダウンロード部51aは、記憶部52に記憶されている更新制御プログラム52bを用いて、ネットワーク80を介して外部サーバー70から通信プログラム52aの更新プログラムをダウンロードして記憶部52に記憶する。プログラム更新部51bは、更新制御プログラム52bを用いて、通信プログラム52aを記憶部52に記憶した更新プログラムに更新する。継続電力供給期判定部51cは、後述するカレンダー情報、タイマー入切の設定有無、室温Tiと設定温度Tpとの温度差ΔTを用いて、現在が空気調和機1や通信アダプタ50への動作電力の供給が遮断される可能性の低い継続電力供給期であるか否かを判断する。
【0024】
以下、図3を用いて、制御部51が、通信プログラム52aを更新プログラムに更新する際に行う処理について説明する。尚、図3において、STは処理のステップを表し、STに続く番号はステップの番号を表している。また、室内機20の図示しない室温センサで検出される室温をTi、使用者が操作端末60を操作して定める空調運転時の目標温度である設定温度をTpとする。また、設定温度Tpから室温Tiを減じた値の絶対値を温度差ΔT、この温度差ΔTの閾温度差をTthとする。
【0025】
まず、制御部51は、通信プログラム52aの更新の通知があるか否かを判断する(ST1)。具体的には、通信プログラム52aの更新プログラムが外部サーバー70にアップされたときに、制御部51は、外部サーバー70から発信された通信プログラム52aの更新の通知を、通信ネットワーク80および外部通信部53を介して受信する。制御部51はSTの処理において、上記更新の通知を受信したか否かを判断する。
【0026】
通信プログラム52aの更新の通知がなければ(ST1−No)、制御部51は、ST1に処理を戻す。通信プログラム52aの更新の通知があれば(ST1−Yes)、制御部51は、更新プログラムのダウンロードを実行する(ST2)。具体的には、制御部51のダウンロード部51aが、外部通信部53および通信ネットワーク80を介して、外部サーバー70に格納されている通信プログラム52aの更新プログラムをダウンロードし、記憶部52に記憶する。
【0027】
次に、制御部51は、現在が夏季あるいは冬季であるか否かを判断する(ST3)。具体的には、制御部51の継続電力供給期判定部51cが、記憶部52に記憶する図示しないカレンダーや通信ネットワーク80を介して外部から入手するカレンダー情報を用いて、現在が夏季(例えば、現在が6月1日〜9月30日の間の日)であるか、あるいは、現在が冬季(例えば、12月1日〜3月30日の間の日)であるか、つまり、現在が継続電力供給期であるか否かを判断する。
【0028】
現在が夏季あるいは冬季であれば(ST3−Yes)、制御部51は、通信プログラム52aを記憶部52に記憶している更新プログラムに更新して(ST8)、ST1に処理を戻す。具体的には、制御部51の継続電力供給期判定部51cが、現在が夏季あるいは冬季であると確認したとき、その時点が継続電力供給期にあると判定し、この判定結果を受けて制御部51がST8に処理を進める。そして、制御部51のプログラム更新部51bが、通信プログラム52aをST2でダウンロードして記憶部52に記憶している更新プログラムに更新する。
【0029】
夏季や冬季では、これらの期間を通して長時間、空気調和機1で冷房運転(あるいは除湿運転)や暖房運転が継続される。このように、長時間空気調和機1が空調運転を継続する期間は、使用者が空気調和機1の電源プラグをコンセントから抜く、あるいは、空気調和機1の電源プラグが接続されているコンセントのブレーカを落とす、といったことを行わないと考えられる。従って、夏季や冬季に更新プログラムへの更新を行っても、プログラムの更新の途中で空気調和機1への電力供給が遮断されて通信アダプタへの電力供給も遮断される可能性が低く、通信プログラム52aの更新プログラムへの更新を滞りなく完了させることができる。
【0030】
ST3において、現在が夏季あるいは冬季でなければ(ST3−No)、制御部51は、使用者によるタイマー入切の設定があるか否かを判断する(ST4)。具体的には、制御部51の継続電力供給期判定部51cが、タイマーによる空気調和機1の運転開始や運転停止の設定に関わる信号を、操作端末60から操作端末通信部53を介して受信しているか否か、つまり、現在が継続電力供給期であるか否かを判断する。
【0031】
使用者によるタイマー入切の設定があれば(ST4−Yes)、制御部51はST8に処理を進めて、通信プログラム52aを記憶部52に記憶している更新プログラムに更新して、ST1に処理を戻す。具体的には、制御部51の継続電力供給期判定部51cが、タイマー入切が設定されたことを把握したとき、その時点が継続電力供給期にあると判定し、この判定結果を受けて制御部51がST8に処理を進める。尚、使用者によりなされたタイマー入切の設定は記憶部52に記憶されており、継続電力供給期判定部51cは、記憶部52を参照してタイマー入切の設定があるか否かを把握する。
【0032】
使用者によるタイマー入切の設定がされているということは、使用者が設定した時間に自動で空気調和機1が空調運転を開始する、あるいは、自動で停止することを意図してなされているということである。従って、使用者が空気調和機1の電源プラグをコンセントから抜く、あるいは、空気調和機1の電源プラグが接続されているコンセントのブレーカを落とす、といったことを行わないと考えられる。従って、使用者によるタイマー入切の設定がされているときに更新プログラムへの更新を行っても、プログラムの更新の途中で空気調和機1への電力供給が遮断されて通信アダプタへの電力供給も遮断される可能性が低く、通信プログラム52aの更新プログラムへの更新を滞りなく完了させることができる。
【0033】
ST4において、使用者によるタイマー入切の設定がなければ(ST4−No)、制御部51は、室温Tiと設定温度Tpを取り込む(ST5)。具体的には、制御部51は、室内機20の図示しない室温センサから室温Tiを定期的(例えば、30秒毎)に取り込んで、記憶部52に上書き保存している。また、記憶部52には、使用者が操作端末60を操作して定めた最新の設定温度Tpが操作端末通信部53を介して取り込まれて上書き記憶されており、制御部51は、記憶部52から設定温度Tpを取り込む。
【0034】
次に、制御部51は、ST5で取り込んだ室温Tiと設定温度Tpを用いて、温度差ΔTを算出する(ST6)。具体的には、制御部51の継続電力供給期判定部51cが、設定温度Tpから室温Tiを減じた値を算出し、算出した値の絶対値を温度差ΔTとしている。
【0035】
次に、制御部51は、ST6で算出した温度差ΔTが閾温度差Tth以上であるか否かを判断する(ST7)。具体的には、制御部51の継続電力供給期判定部51cが、温度差ΔTが閾温度差Tth以上であるか否かを判断する。ここで、閾温度差Tthは、予め定められて記憶部52に記憶されているものであり、例えば、3℃である。
【0036】
温度差ΔTが閾温度差Tth以上であれば(ST7−Yes)、制御部51は、ST8に処理を進めて、通信プログラム52aを記憶部52に記憶している更新プログラムに更新して、ST1に処理を戻す。具体的には、制御部51の継続電力供給期判定部51cが、温度差ΔTが閾温度差Tth以上であると判断したとき、その時点が継続電力供給期にあると判定し、この判定結果を受けて制御部51がST8に処理を進める。
【0037】
空気調和機1が空調運転を開始して間もないとき、あるいは、空調運転中に室内機20が設置されている部屋の窓やドアが開けられて室温Tiが急激に上昇もしくは下降したときは、室温Tiと設定温度Tpとの温度差ΔTが大きくなる。このように空気調和機1の運転中に温度差ΔTが大きくなっているときは、室温Tiが設定温度Tpに到達するまでは、使用者が空気調和機1を停止させて空気調和機1の電源プラグをコンセントから抜く、あるいは、空気調和機1の電源プラグが接続されているコンセントのブレーカを落とす、といったことを行わないと考えられる。従って、温度差ΔTが閾温度差Tth以上であるときに更新プログラムのへの更新を行っても、プログラムの更新の途中で空気調和機1への電力供給が遮断されて通信アダプタへの電力供給も遮断される可能性が低く、通信プログラム52aの更新プログラムへの更新を滞りなく完了させることができる。
【0038】
ST7において、温度差ΔTが閾温度差Tth以上でなければ(ST7−No)、制御部51は、ST1に処理を戻す。尚、ST3で判断した夏季あるいは冬季、ST4で判断したタイマー入切設定があるとき、および、ST7で判断した温度差ΔTが閾温度差Tth以上であるときが、本発明の継続電力供給期である。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の空気調和機1に備えられる通信アダプタ50は、通信プログラム52aの更新プログラムをダウンロードした後に、通信アダプタ50への電力供給が遮断される可能性が低い継続電力供給期を選んで、通信プログラム52aを更新プログラムに更新する。これにより、プログラムの更新の途中で通信アダプタ50への電力供給が遮断されてプログラムの更新がきちんと行われず、電力が再度供給された際に通信アダプタ50が動作しなくなるといった不具合の発生を回避できる。
【0040】
尚、以上説明した実施形態では、通信アダプタ50の通信プログラム52aを更新する場合を挙げて説明したが、室内機20の制御プログラムを更新する場合についても、本発明の効果が発揮される。具体的には、通信アダプタ50の制御部51が、外部サーバー70から通信ネットワーク80および外部通信部54を介して室内機20の制御プログラムの更新プログラムを含む信号を受信し、入手した信号を、室内機通信部54を介して室内機制御部21に送信する。そして、この信号を受信した室内機制御部21は、信号に含まれる更新プログラムをダウンロードした後、室内機20への電力供給が遮断される可能性が低い継続電力供給期を選んで、制御プログラムを更新プログラムに更新すればよい。
【0041】
また、本実施形態では、継続電力供給期として夏季あるいは冬季、タイマー入切設定があるとき、および、温度差ΔTが閾温度差Tth以上であるときを挙げて説明した。しかし、これに限られるものではなく、例えば、操作端末60と通信アダプタ50との間で最後に通信をした時刻から所定期間以内(例えば、24時間以内。前回の操作から24時間以内であれば、使用者が断続的に空気調和機1を運転する可能性が高いと考える)、のように、通信アダプタ50への電力供給が遮断される可能性が低い時期であればよい。
【符号の説明】
【0042】
1 空気調和機
20 室内機
30 室外機
50 通信アダプタ
51 制御部
51a ダウンロード部
51b プログラム更新部
51c 継続電力供給期判定部
52 記憶部
52a 通信プログラム
52b 更新制御プログラム
53 操作端末通信部
54 室内機通信部
55 外部通信部
60 操作端末
70 外部サーバー
図1
図2
図3