(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成のように、半導体層のチャネル領域と、画素電極が電気的に接続されたソース・ドレイン領域との半導体層部分の両側にゲート電極に電気的に接続された遮光壁を設けた場合、ゲート電極に供給される走査信号の電気的な影響が半導体層部分に及ぶおそれがあることから、半導体層部分と遮光壁とを十分に離間させる必要がある。その結果、遮光壁によって、画素の開口領域(光が透過可能な領域)が狭くなって、光の利用効率が低下するという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、L字形状に屈曲した半導体層に遮光壁を設けた場合でも、画素の開口領域が狭くなることを抑制することができる電気光学装置、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の電気光学装置の一態様は、第1基板と、前記第1基板の一方面側に設けられた画素電極と、前記第1基板と前記画素電極
との間の層に設けられ、第1方向に延在する走査線と、前記第1基板と前記画素電極との間の層に設けられ、前記走査線に交差する第2方向に延在するデータ線と、
ゲート電極と、前記第1方向および前記第2方向の各々に沿って延在する半導体層
とを備えたトランジスターと、前記第1基板と前記トランジスターとの間の層に設けられ、前記半導体層に平面視で重なる第1遮光層と、
前記第1遮光層と前記半導体層との間の層で前記半導体層に平面視で重なる第2遮光層と、前記トランジスターと前記画素電極との間の層に設けられ、定電位が供給された第1導電層と、前記第1遮光層と前記第1導電層
とを電気的に接続し、前記半導体層に沿う第1コンタクトホールおよび第2コンタクトホールが設けられた第1層間絶縁膜と、
前記走査線に対して平面視で重なる領域のうち、前記ゲート電極に対して前記半導体層のソース・ドレイン領域とは反対側で、前記第2遮光層と前記ゲート電極との間に第3コンタクトホールを有する第2層間絶縁膜と、を有し、
前記第1コンタクトホールの内壁には、遮光性の導電材料によって構成された第1遮光壁が設けられ、前記第2コンタクトホールの内壁には、遮光性の導電材料によって構成された第2遮光壁が設けられ、前記第3コンタクトホールの内壁には、遮光性の導電材料によって構成された第3遮光壁が設けられ、前記ゲート電極は、前記半導体層と重なる第1電極部と、前記走査線と平面視で重なり、前記第1電極部から前記ソース・ドレイン領域とは反対側に向けて突出した第2電極部とを備え、平面視で
前記第1遮光壁と前記第2遮光壁との間に、前記半導体層のうち、少なくとも
前記ソース・ドレイン領域が延在しており、
前記第3遮光壁は、前記第2遮光層および前記第2電極部に平面視で重なる位置に設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、半導体層がL字形状になっているため、半導体層の第1方向および第2方向のサイズを短くした場合でも、適正なチャネル長を確保することができる。従って、画素の配置ピッチの縮小等に対応することができる。また、半導体層に第1基板側には第1遮光層が重なっているため、第1基板側から入射した光が半導体層に入射することを抑制することができる。また、ソース・ドレイン領域が第1コンタクトホールと第2コンタクトホールとの間で延在しているため、ソース・ドレイン領域に斜め光や回折光などの光が入射することを第1コンタクトホールおよび第2コンタクトホールの内部に形成された導電材料によって抑制することができる。従って、光リーク電流の発生を抑制することができる。ここで、第1コンタクトホールおよび第2コンタクトホールの内部の導電材料は、定電位が印加されため、第1コンタクトホールおよび第2コンタクトホールをソース・ドレイン領域に接近させても、ソース・ドレイン領域に電気的な影響が及びにくい。従って、第1コンタクトホールおよび第2コンタクトホールをソース・ドレイン領域に接近させることができるので、画素の開口領域が狭くなることを抑制することができる。
【0008】
本発明において、前記ソース・ドレイン領域は、前記画素電極に電気的に接続されている態様を採用することができる。
【0009】
本発明において、前記第1コンタクトホールの内壁には、遮光性の導電材料によって構成された第1遮光壁が設けられ、前記第2コンタクトホールの内壁には、遮光性の導電材料によって構成された第2遮光壁が設けられている態様を採用することができる。かかる態様によれば、ソース・ドレイン領域に斜め光や回折光などの光が入射することを第1遮光壁および第2遮光膜によって効果的に抑制することができる。従って、光リーク電流の発生を効果的に抑制することができる。
【0010】
本発明において、前記半導体層のうち、少なくとも、
前記トランジスターのゲート電極の前記ソース・ドレイン領域側の端部にゲート絶縁層を介して重なる半導体層部分が前記第1遮光壁と前記第2遮光壁との間に位置する態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1基板側から入射した光が、ゲート電極の端部にゲート絶縁層を介して重なる半導体層部分に入射することを効果的に抑制することができる。従って、光リーク電流の発生を効果的に抑制することができる。
【0011】
本発明において、前記ソース・ドレイン領域は、前記画素電極と電気的に接続される第1領域と、前記第1領域より不純物濃度が低く、チャネル領域と前記第1領域とに挟まれた第2領域と、を有し、前記第2領域の全体が前記第1遮光壁と前記第2遮光壁との間に位置する態様を採用することができる。かかる態様によれば、第2領域(LDD(Lightly−Doped Drain)領域)への光の入射を効果的に抑制することができるので、光リーク電流の発生を効果的に抑制することができる。
【0012】
本発明において、前記第1遮光壁および前記第2遮光壁は、前記半導体層に沿って前記第1方向に延在している態様を採用することができる。かかる態様によれば、ソース・ドレイン領域への光の入射を効果的に抑制することができるので、光リーク電流の発生を効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明において、前記第1遮光壁は、前記第1コンタクトホールを埋める第1プラグであり、前記第2遮光壁は、前記第2コンタクトホールを埋める第2プラグである態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1導電層を構成する材料等にかかわらず、遮光性の高い材料によって第1遮光壁および第2遮光壁を構成することができるので、第1遮光壁および第2遮光壁の遮光性を高めることができる。
【0014】
本発明において、前記第1導電層は、遮光性を有し、前記半導体層部分に平面視で重なっている態様を採用することができる。かかる態様によれば、画素電極側から半導体層部分への光の入射を第1導電層によって抑制することができるので、光リーク電流の発生を抑制することができる。
【0015】
本発明において、前記第1遮光層は、前記走査線と平面視で重なるように前記第1方向に延在している態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1基板側から入射した光が半導体層に入射することをより抑制することができるので、光リーク電流の発生をより抑制することができる。
【0016】
本発明において、前記第1遮光層と前記半導体層との間の層で前記半導体層に平面視で重なる第2遮光層と、前記走査線に対して平面視で重なる領域のうち、前記半導体層部分に対して前記ソース・ドレイン領域とは反対側で、前記第2遮光層と前記ゲート電極との間に介在する第2層間絶縁膜を貫通する第3コンタクトホールと、前記第3コンタクトホールの内壁を覆う導電材料によって構成された第3遮光壁と、を有する態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1遮光壁および第2遮光壁が形成されていない側から半導体層部分等に光が入射することを第3遮光壁によって抑制することができる。従って、光リーク電流の発生をより抑制することができる。
【0017】
本発明において、前記ゲート電極は、前記半導体層と重なる第1電極部と、前記走査線と平面視で重なり、前記第1電極部から前記ソース・ドレイン領域とは反対側に向けて突出した第2電極部と、を備え、前記第3コンタクトホールは、前記第2遮光層および前記第2電極部に平面視で重なる位置に設けられている態様を採用することができる。かかる態様によれば、第3コンタクトホールが走査線に平面視で重なっているため、第3遮光壁を設けても、画素の開口領域が狭くなることを抑制することができる。
【0018】
本発明において、前記走査線は、前記ゲート電極と前記画素電極との間の層に設けられ、前記ゲート電極と前記走査線とは、前記半導体層部分に対して前記ソース・ドレイン領域とは反対側で、前記ゲート電極と前記走査線との間に介在する第3層間絶縁膜を貫通する第4コンタクトホールを介して電気的に接続されている態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1遮光層と半導体層との間に走査線を設けた場合と違って、走査線が、第1遮光壁および第2遮光壁の形成を妨げない。
【0019】
本発明において、前記第1導電層と前記画素電極との間の層に設けられた第2導電層を有し、前記第2層間絶縁膜には、前記第2層間絶縁膜のうち、前記第1導電層と前記第2導電層との間に介在する第4層間絶縁膜を貫通して一部が前記第1コンタクトホールに連通する第5コンタクトホールと、前記第4層間絶縁膜を貫通して一部が前記第2コンタクトホールに連通する第6コンタクトホールと、が設けられ、前記第1遮光壁は、前記第5コンタクトホールから前記第1コンタクトホールまで一体に設けられ、前記第2遮光壁は、前記第6コンタクトホールから前記第2コンタクトホールまで一体に設けられている態様を採用することができる。かかる態様によれば、第2導電層を介して第1導電層に共通電位を供給することができる。また、第1遮光壁および第2遮光壁を利用して第1導電層と第2導電層との電気的な接続を行うことができる。
【0020】
本発明において、前記第2導電層は第1容量電極であり、前記第1導電層と前記画素電極との間には、前記第1容量電極に対して誘電体層を介して平面視で重なる第2容量電極が設けられ、前記第2容量電極は、前記画素電極に電気的に接続されている態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1導電層に対する中継電極として用いた第2導電層を利用して保持容量を形成することができる。
【0021】
本発明において、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第2基板の前記第1基板側の面に形成された共通電極と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた電気光学層と、を有し、定電位は、前記共通電極に印加される共通電位である態様を採用することができる。かかる態様によれば特に、第1遮光壁および第2遮光壁を半導体層部分に接近させても、電気的な影響が半導体層部分に及びにくい。従って、第1遮光壁および第2遮光壁を半導体層部分に接近させることができるので、画素の開口領域が狭くなることを抑制することができる。
【0022】
本発明に係る電気光学装置は、各種電子機器に用いられる。本発明では、電子機器のうち、投射型表示装置に電気光学装置を用いる場合、投射型表示装置には、電気光学装置に供給される光を出射する光源部と、電気光学装置によって変調された光を投射する投射光学系と、が設けられる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。また、以下の説明において、素子基板に形成される層を説明する際、上層側あるいは表面側とは基板が位置する側とは反対側(対向基板が位置する側)を意味し、下層側とは基板が位置する側を意味する。以下の説明では、トランジスター30のソース・ドレインのうち、データ線6aに電気的に接続されている側をソースとし、画素電極9aに電気的に接続されている側をドレインとして説明する。
【0025】
(電気光学装置の構成)
図1は、本発明を適用した電気光学装置100の平面図である。
図2は、
図1に示す電気光学装置100の断面図である。
図1および
図2に示すように、電気光学装置100では、素子基板10と対向基板20とが所定の隙間を介してシール材107によって貼り合わされており、素子基板10と対向基板20とが対向している。シール材107は対向基板20の外縁に沿うように枠状に設けられており、素子基板10と対向基板20との間でシール材107によって囲まれた領域に液晶層等の電気光学層80が配置されている。従って、電気光学装置100は液晶装置として構成されている。シール材107は、光硬化性を備えた接着剤、あるいは光硬化性および熱硬化性を備えた接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材が配合されている。素子基板10および対向基板20はいずれも四角形であり、電気光学装置100の略中央には、表示領域10aが四角形の領域として設けられている。かかる形状に対応して、シール材107も略四角形に設けられ、シール材107の内周縁と表示領域10aの外周縁との間には、矩形枠状の周辺領域10bが設けられている。
【0026】
素子基板10は、基板本体として、石英基板やガラス基板等の透光性の第1基板19を有している。第1基板19の対向基板20側の一方面19s側において、表示領域10aの外側には、素子基板10の一辺に沿ってデータ線駆動回路101および複数の端子102が形成され、この一辺に隣接する他の辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。端子102には、フレキシブル配線基板(図示せず)が接続されており、素子基板10には、フレキシブル配線基板を介して各種電位や各種信号が入力される。
【0027】
第1基板19の一方面19sにおいて、表示領域10aには、ITO(Indium Tin Oxide)膜等からなる透光性の複数の画素電極9a、および複数の画素電極9aの各々に電気的に接続する画素スイッチング用のトランジスター(
図2には図示せず)がマトリクス状に形成されている。画素電極9aに対して対向基板20側には第1配向膜18が形成されており、画素電極9aは、第1配向膜18によって覆われている。
【0028】
対向基板20は、基板本体として、石英基板やガラス基板等の透光性の第2基板29を有している。第2基板29において素子基板10と対向する一方面29s側には、ITO膜等からなる透光性の共通電極21が形成されており、共通電極21に対して素子基板10側には第2配向膜28が形成されている。共通電極21は、第2基板29の略全面に形成されており、第2配向膜28によって覆われている。第2基板29の一方面29s側には、共通電極21に対して素子基板10とは反対側に、樹脂、金属または金属化合物からなる遮光性の遮光層27が形成され、遮光層27と共通電極21との間に透光性の保護層26が形成されている。遮光層27は、例えば、表示領域10aの外周縁に沿って延在する額縁状の見切り27aとして形成されている。遮光層27は、隣り合う画素電極9aにより挟まれた領域と平面視で重なる領域に遮光層27b(ブラックマトリクス)として形成される場合もある。素子基板10の周辺領域10bのうち、見切り27aと平面視で重なるダミー画素領域10cには、画素電極9aと同時形成されたダミー画素電極9bが形成されている。
【0029】
第1配向膜18および第2配向膜28は、SiO
x(x<2)、SiO
2、TiO
2、MgO、Al
2O
3等の斜方蒸着膜からなる無機配向膜(垂直配向膜)であり、電気光学層80に用いた負の誘電率異方性を備えた液晶分子を傾斜配向させている。このため、液晶分子は、素子基板10および対向基板20に対して所定の角度を成している。このようにして、電気光学装置100は、VA(Vertical Alignment)モードの液晶装置として構成されている。
【0030】
素子基板10には、シール材107より外側において対向基板20の角部分と重なる領域に、素子基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通用電極109が形成されている。基板間導通用電極109には、導電粒子を含んだ基板間導通材109aが配置されており、対向基板20の共通電極21は、基板間導通材109aおよび基板間導通用電極109を介して、素子基板10側に電気的に接続されている。このため、共通電極21は、素子基板10の側から共通電位が印加されている。
【0031】
本形態の電気光学装置100において、画素電極9aおよび共通電極21がITO膜(透光性導電膜)により形成されており、電気光学装置100は、透過型液晶装置として構成されている。かかる電気光学装置100では、素子基板10および対向基板20のうち、一方側の基板から電気光学層80に入射した光が他方側の基板を透過して出射される間に変調されて画像を表示する。本形態では、矢印Lで示すように、対向基板20から入射した光が素子基板10を透過して出射される間に電気光学層80によって画素毎に変調され、画像を表示する。
【0032】
(電気光学装置100の電気的構成)
図3は、
図1に示す電気光学装置100の電気的構成を示すブロック図である。
図3において、電気光学装置100は、VAモードの液晶パネル100pを備えており、液晶パネル100pは、その中央領域に複数の画素100aがマトリクス状に配列された表示領域10aを備えている。液晶パネル100pにおいて、
図1および
図2等を参照して説明した素子基板10では、表示領域10aの内側に、第1方向Xに延在する複数の走査線3aと、第2方向Yに延在する複数のデータ線6aとが形成されており、複数の走査線3aと複数のデータ線6aとの各交差に対応して複数の画素100aが構成されている。複数の走査線3aは、走査線駆動回路104に電気的に接続され、複数のデータ線6aは、データ線駆動回路101に接続されている。また、複数のデータ線6aには、第2方向Yにおいてデータ線駆動回路101とは反対側で検査回路105が電気的に接続している。
【0033】
複数の画素100aの各々には、電界効果型トランジスター等からなる画素スイッチング用のトランジスター30、およびトランジスター30に電気的に接続された画素電極9aが形成されている。トランジスター30のソースにはデータ線6aが電気的に接続され、トランジスター30のゲートには走査線3aが電気的に接続され、トランジスター30のドレインには、画素電極9aが電気的に接続されている。データ線6aには画像信号が供給され、走査線3aには走査信号が供給される。本形態では、走査線駆動回路104は、表示領域10aに対してX方向の一方側X1および他方側X2に走査線駆動回路104s、104tとして構成されており、X方向の一方側X1の走査線駆動回路104sは、奇数番目の走査線3aを駆動し、X方向の他方側X2の走査線駆動回路104tは、偶数番目の走査線3aを駆動する。
【0034】
各画素100aにおいて、画素電極9aは、
図1および
図2を参照して説明した第2基板29の共通電極21と電気光学層80を介して対向し、液晶容量50aを構成している。各画素100aには、液晶容量50aで保持される画像信号の変動を防ぐために、液晶容量50aと並列に保持容量55が付加されている。本実施形態では、保持容量55を構成するために、第1基板19には、複数の画素100aに跨って延在する容量線5aが形成されており、容量線5aには共通電位が供給されている。
図3では、1本の容量線5aが第1方向Xに延在するように示されているが、容量線5aは、第2方向Yに延在する構成が採用される他、第1方向Xおよび第2方向Yの双方に延在する構成が採用される場合もある。
【0035】
(画素100aの概略構成)
図4は、
図1に示す電気光学装置100において隣り合う複数の画素100aの平面図である。
図5は、
図4に示す画素100aの1つを拡大して示す平面図である。
図6は、
図4および
図5に示す画素100aのA−A′断面図であり、半導体層31aに沿って切断したときの様子を模式的に示す断面図である。
図7は、
図4および
図5に示す画素100aのB−B′断面図であり、第1遮光壁431および第2遮光壁432を通る位置に沿って切断したときの様子を模式的に示す断面図である。
図8は、
図4および
図5に示す画素100aのC−C′断面図であり、走査線3aに沿って切断したときの様子を模式的に示す断面図である。なお、
図4〜
図13では、各層を認識しやすいように、配線等の幅や厚さの縮尺を異ならしめてある。また、
図4、
図5および後述する
図9〜
図13では、各層を以下の線で表してある。また、
図4、
図5および後述する
図9〜
図13では、互いの端部が平面視で重なり合う層については、層の形状等が分かりやすいように、端部の位置をずらしてある。
第1遮光層1a=太い一点鎖線
第2遮光層2a=細くて長い破線
半導体層31a=細くて短い破線
ゲート電極33a=細い二点鎖線
第1導電層4a=太くて短い破線
走査線3aおよび中継電極3b、3c=太い実線
第2導電層7a(第1容量電極)および中継電極7b、7c=細い実線
第2容量電極8aおよび中継電極8b、8d=細い一点鎖線
データ線6aおよび中継電極6c、6d=太くて長い破線
容量線5aおよび中継電極5c=太い二点鎖線
画素電極9a=極太の実線
【0036】
図4および
図5に示すように、素子基板10において対向基板20と対向する面には、複数の画素100aの各々に画素電極9aが形成されており、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域に沿って第1遮光層1a、走査線3a、データ線6a、および容量線5aが延在している。第1遮光層1aおよび走査線3aは、画素間領域において第1方向Xに延在し、データ線6aおよび容量線5aは、画素間領域において第2方向Yに延在している。データ線6aと走査線3aとの交差に対応してトランジスター30が形成されている。ここで、第1遮光層1a、走査線3a、データ線6a、および容量線5aは、遮光性を有している。従って、第1遮光層1a、走査線3a、データ線6a、容量線5a、およびこれらの配線と同層に形成された領域は、光が通過しない遮光領域11であり、遮光領域11で囲まれた領域は、光が透過する開口領域12である。
【0037】
図6および
図7に示すように、素子基板10において、第1基板19の一方面19s側には、層間絶縁膜41〜49が順に形成されており、第1基板19と層間絶縁膜41との間に第1遮光層1aが形成され、層間絶縁膜41の層間に第2遮光層2a、半導体層31a、ゲート電極33a、第1導電層4a、走査線3a、第2導電層7a、第2容量電極8a、データ線6a、および容量線5aが形成されている。層間絶縁膜49の第1基板19とは反対側の面に画素電極9aおよび第1配向膜18が順に形成されている。従って、走査線3aは、第1基板19と画素電極9aとの間で第1方向Xに延在し、データ線6aは、走査線3aと画素電極9aとの間で走査線3aに交差する第2方向Yに延在し、第1基板19とデータ線6aとの間で走査線3aとデータ線6aとの交差に対応してトランジスター30が設けられている。
【0038】
(各層の詳細説明)
図6、
図7および
図8を参照するとともに、以下の
図9〜
図13を適宜、参照して、素子基板10の詳細構成を説明する。
図9は、
図5に示す第1遮光層1a、第1導電層4a、および第2導電層7a等の平面図である。
図10は、
図5に示す第2遮光層2a、ゲート電極33a、および走査線3a等の平面図である。
図11は、
図5に示す保持容量55等の平面図である。
図12は、
図5に示すデータ線6a等の平面図である。
図13は、
図5に示す容量線5a等の平面図である。なお、
図9〜
図13には、それらの図に示す電極等の電気的な接続に関連するコンタクトホールを示すとともに、基準となる位置を示すために半導体層31aを示してある。
【0039】
まず、
図5および
図9に示すように、素子基板10において、第1基板19と層間絶縁膜41との間(第1基板19と半導体層31aとの間)には、走査線3aと平面視で重なるように、第1方向Xに直線的に延在する第1遮光層1aが形成されている。第1遮光層1aは、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、第1遮光層1aは、タングステンシリサイド(WSi)、タングステン、窒化チタン等の遮光膜からなる。
【0040】
図5および
図10に示すように、層間絶縁膜41と層間絶縁膜42との間には、第2遮光層2aが形成されている。第2遮光層2aは、走査線3aと平面視で重なるように第1方向Xに延在する第1部分2a1と、第1部分2a1の延在方向の途中部分からデータ線6aと重なるように第2方向Yの一方側に突出する第2部分2a2とを備えている。
【0041】
層間絶縁膜42と層間絶縁膜43との間には、画素スイッチング用のトランジスター30が構成されている。本形態において、トランジスター30は、層間絶縁膜42の第1基板19とは反対側の面に形成された半導体層31aと、半導体層31aの画素電極9a側に積層されたゲート絶縁層32と、ゲート絶縁層32の画素電極9a側で半導体層31aaに平面視で重なるゲート電極33aとを備えている。
【0042】
半導体層31aaは、走査線3aおよびデータ線6aの双方に重なるように屈曲して、第1方向Xおよび第2方向Yに延在するL字形状を有しており、ゲート電極33aと平面視で重なる屈曲部分がチャネル領域31gになっている。ゲート電極33aは、半導体層31aと平面視で重なるように第2方向Yに延在する第1電極部33a1を備えており、第1電極部33a1が半導体層31aと平面視で重なっている。従って、半導体層31aは、データ線6aに平面視で重なるように第2方向Yに延在してデータ線6aに電気的に接続された第1ソース・ドレイン領域31bと、走査線3aに平面視で重なるように第1方向Xに延在して画素電極9aに電気的に接続された第2ソース・ドレイン領域31cと、第1ソース・ドレイン領域31bと第2ソース・ドレイン領域31cとを結ぶチャネル領域31gとを備えている。
【0043】
本形態において、トランジスター30は、LDD構造を有している。従って、第1ソース・ドレイン領域31b、および第2ソース・ドレイン領域31cは各々、チャネル領域31gから離間する位置に高濃度の不純物が導入された第1領域31b1、31c1を備え、チャネル領域31gと第1領域31b1、31c1との間には、第1領域31b1、31c1より不純物濃度が低い第2領域31b2、31c2を備えている。従って、半導体層31aにおいて、第2ソース・ドレイン領域31cとチャネル領域31gとの境界部分は、半導体層31aのうち、ゲート電極33aの第2ソース・ドレイン領域31c側の端部とゲート絶縁層32を介して重なる半導体層部分31c0である。
【0044】
半導体層31aは、ポリシリコン膜(多結晶シリコン膜)等によって構成されており、ゲート絶縁層32は、半導体層31aを熱酸化したシリコン酸化膜からなる第1ゲート絶縁層と、減圧CVD法等により形成されたシリコン酸化膜からなる第2ゲート絶縁層との2層構造からなる。ゲート電極33aは、導電性ポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、ゲート電極33aは、導電性ポリシリコン膜からなる。ゲート電極33aは、第1電極部33a1から第1方向Xの一方側X1(第2ソース・ドレイン領域31c)とは反対側に突出した第2電極部33a2を有しており、第2電極部33a2は、走査線3aおよび第2遮光層2aと平面視で重なっている。
【0045】
再び
図5および
図9において、ゲート電極33aと画素電極9aとの間(層間絶縁膜43と層間絶縁膜44との間)には、第1導電層4aが形成されている。第1導電層4aは、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、第1導電層4aは、タングステンシリサイド(WSi)、タングステン、窒化チタン等の遮光膜からなる。本形態において、第1導電層4aは、データ線6aと平面視で重なる本体部分4a1と、本体部分4a1から第2ソース・ドレイン領域31cに重なるように突出した突部4a2とを有しており、チャネル領域31gおよび第2ソース・ドレイン領域31cの第2領域31c2と平面視で重なっている。
【0046】
再び
図5および
図10において、走査線3aは、ゲート電極33aと画素電極9aとの間(層間絶縁膜44と層間絶縁膜45との間)に設けられている。ゲート電極33aと走査線3aとは、第2ソース・ドレイン領域31cとは反対側でゲート電極33aの第2電極部33a2と走査線3aとの間に介在する第3層間絶縁膜(層間絶縁膜43、44)を貫通する第4コンタクトホール44dを介して電気的に接続されている。本形態において、第4コンタクトホール44dの内部は、タングステン等の金属膜からなるプラグ443によって埋められており、ゲート電極33aと走査線3aは、プラグ443を介して電気的に接続されている。なお、層間絶縁膜44と層間絶縁膜45との間には、走査線3aと同時形成された中継電極3b、3cが形成されている。中継電極3bは、ソース電極として、層間絶縁膜43、44を貫通するコンタクトホール44bを介して第1ソース・ドレイン領域31bの第1領域31b1に電気的に接続されている。中継電極3cは、ドレイン電極として、層間絶縁膜43、44を貫通するコンタクトホール44cを介して第2ソース・ドレイン領域31cの第1領域31c1に電気的に接続されている。コンタクトホール44b、44cの内部は、タングステン等の金属膜からなるプラグ441、442によって埋められており、中継電極3b、3cは各々、プラグ441、442を介して第1領域31b1、31c1に電気的に接続されている。従って、層間絶縁膜44の表面は、化学的機械研磨(ChemicalMechanical Polishing;CMP)等によって、プラグ441、442、443の表面と連続した平面になっている。
【0047】
再び
図5および
図9において、第1導電層4aと画素電極9aとの間(層間絶縁膜45と層間絶縁膜46)には、第2導電層7aが設けられている。第2導電層7aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、第2導電層7aは、例えば、Ti(チタン)層/TiN(窒化チタン)層/Al(アルミニウム)層/TiN(窒化チタン)層の多層構造や、TiN層/Al層/TiN層の多層構造からなる。層間絶縁膜45と層間絶縁膜46との間には、第2導電層7aと同時形成された中継電極7b、7cが設けられている。中継電極7b、7cは各々、層間絶縁膜45を貫通するコンタクトホール45b、45cを介して中継電極3b、3cに電気的に接続されている。コンタクトホール45b、45cの内部は、タングステン等の金属膜からなるプラグ451、452によって埋められており、中継電極7b、7cは各々、プラグ451、452を介して中継電極3b、3cに電気的に接続されている。従って、層間絶縁膜45の表面は、化学的機械研磨等によって、プラグ451、452の表面と連続した平面になっている。
【0048】
図5および
図11に示すように、第2導電層7aは、第2導電層7aと画素電極9aとの間(層間絶縁膜45と層間絶縁膜46)に形成された第2容量電極8aと保持容量55を構成する第1容量電極である。より具体的には、層間絶縁膜46には、第2導電層7aまで到達した貫通穴46gが形成されており、層間絶縁膜46の表面に形成された誘電体層40および第2容量電極8aは、貫通穴46gの底部で第2導電層7a(第1容量電極)に重なっている。第2容量電極8aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、第2容量電極8aは、例えば、Ti(チタン)層/TiN(窒化チタン)層/Al(アルミニウム)層/TiN(窒化チタン)層の多層構造や、TiN層/Al層/TiN層の多層構造からなる。ここで、第2導電層7aは後述する容量線5aに電気的に接続されて、共通電位が印加されている。これに対して、第2容量電極8aは、画素電極9aおよび第2ソース・ドレイン領域31cに電気的に接続されている。このため、第2容量電極8aは、層間絶縁膜46を貫通するコンタクトホール46cを介して中継電極7cに電気的に接続されている。
【0049】
また、層間絶縁膜45と層間絶縁膜46との間に第2容量電極8aと同時形成された中継電極8b、8dが設けられている。中継電極8b、8dは各々、層間絶縁膜46を貫通するコンタクトホール46b、46dを介して中継電極7bおよび第2導電層7aに電気的に接続されている。コンタクトホール46b、46c、46dの内部は、タングステン等の金属膜からなるプラグ461、462、463によって埋められており、第2容量電極8aおよび中継電極8b、8dは各々、プラグ461、462、463を介して中継電極7c、7bおよび第2導電層7aに電気的に接続されている。従って、層間絶縁膜46の表面は、プラグ461、462、463の表面と連続した平面を構成している。
【0050】
図5および
図12に示すように、層間絶縁膜47と層間絶縁膜48との間には、第2方向Yに延在するデータ線6aが形成されている。データ線6aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、データ線6aは、例えば、Ti(チタン)層/TiN(窒化チタン)層/Al(アルミニウム)層/TiN(窒化チタン)層の多層構造や、TiN層/Al層/TiN層の多層構造からなる。データ線6aは、データ線6aと中継電極8bとの間に介在する層間絶縁膜47に形成されたコンタクトホール47bを介して中継電極8bに電気的に接続されている。
【0051】
層間絶縁膜47と層間絶縁膜48との間には、データ線6aと同時形成された中継電極6c、6dが形成されており、中継電極6c、6dは各々、層間絶縁膜47を貫通するコンタクトホール47c、47dを介して第2容量電極8aおよび中継電極8dに電気的に接続されている。コンタクトホール47b、47c、47dの内部は、タングステン等の金属膜からなるプラグ471、472、473によって埋められており、データ線6aおよび中継電極6c、6dは各々、プラグ471、472、473を介して中継電極8b、第2容量電極8a、および中継電極8dに電気的に接続されている。従って、層間絶縁膜47の表面は、プラグ471、472、473の表面と連続した平面を構成している。
【0052】
層間絶縁膜48と層間絶縁膜49との間には、第2方向Yに延在する容量線5aが形成されており、容量線5aには共通電位が印加されている。容量線5aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、容量線5aは、例えば、Ti(チタン)層/TiN(窒化チタン)層/Al(アルミニウム)層/TiN(窒化チタン)層の多層構造や、TiN層/Al層/TiN層の多層構造からなる。容量線5aは、容量線5aと中継電極6dとの間に介在する層間絶縁膜48に形成されたコンタクトホール48dを介して中継電極6dに電気的に接続されている。従って、容量線5aは、第2導電層7a(第1容量電極)に電気的に接続され、第2導電層7aに共通電位を印加している。
【0053】
層間絶縁膜48と層間絶縁膜49との間には、容量線5aと同時形成された中継電極5cが形成されており、中継電極5cは各々、層間絶縁膜48を貫通するコンタクトホール48cを介して中継電極6cに電気的に接続されている。コンタクトホール48c、48dの内部は、タングステン等の金属膜からなるプラグ482、483によって埋められており、中継電極5cおよび容量線5aが各々、プラグ482、483を介して中継電極6c、6dに電気的に接続されている。従って、層間絶縁膜48の表面は、プラグ482、483の表面と連続した平面を構成している。
【0054】
層間絶縁膜の表面には画素電極9aおよび第1配向膜18が順に積層されている。画素電極9aは、画素電極9aと中継電極5cとの間に介在する層間絶縁膜49に形成されたコンタクトホール49cを介して中継電極5cに電気的に接続されている。従って、画素電極9aは、第2容量電極8aおよび第2ソース・ドレイン領域31cの第1領域31c1に電気的に接続されている。コンタクトホール49cの内部は、タングステン等の金属膜からなるプラグ492によって埋められており、画素電極9aは、プラグ492を介して中継電極5cに電気的に接続されている。従って、層間絶縁膜49の表面は、プラグ492の表面と連続した平面を構成している。
【0055】
(遮光壁の構成)
図5、
図7および
図9に示すように、素子基板10では、第1遮光層1aと第1導電層4aとは、第1遮光層1aと第1導電層4aとの間に介在する第1層間絶縁膜(層間絶縁膜41、42、43)に半導体層31aに沿うように設けられた第1コンタクトホール43eおよび第2コンタクトホール43fを介して電気的に接続されている。また、第1方向Xまたは第2方向Yから見て、第1コンタクトホール43eと第2コンタクトホール43fとの間では、半導体層31aのうち、少なくとも第2ソース・ドレイン領域31cが延在している。本形態では、第1方向Xから見て、第1コンタクトホール43eと第2コンタクトホール43fとの間では、半導体層31aのうち、少なくとも第2ソース・ドレイン領域31cが延在している。また、半導体層31aのうち、少なくとも、ゲート電極33aの第2ソース・ドレイン領域31c側の端部とゲート絶縁層32を介して重なる半導体層部分31c0が第1コンタクトホール43eと第2コンタクトホール43fとの間に位置する。
【0056】
従って、半導体層部分31c0に第1ソース・ドレイン領域31bとは反対側で対向する位置には、第1遮光層1aと第1導電層4aとの間に介在する第1層間絶縁膜(層間絶縁膜41、42、43)を貫通する第1コンタクトホール43eが形成され、半導体層部分31c0を挟んで第1コンタクトホール43eとは反対側には、第1層間絶縁膜(層間絶縁膜41、42、43)を貫通する第2コンタクトホール43fが形成されている。
【0057】
ここで、第1コンタクトホール43eの内側には、第1コンタクトホール43eの内壁を覆うように遮光性の導電材料が形成されており、かかる導電材料によって、第1遮光壁431が構成されている。また、第2コンタクトホール43fの内側には、第2コンタクトホール43fの内壁を覆うように遮光性の導電材料が形成されており、かかる導電材料によって、第2遮光壁432が構成されている。従って、第1遮光層1aと第1導電層4aとは、半導体層部分31c0の両側に形成された第1コンタクトホール43eおよび第2コンタクトホール43fの内部を介して電気的に接続されている。すなわち、第1遮光層1aと第1導電層4aとは、半導体層部分31c0の両側に形成された第1遮光壁431および第2遮光壁432を介して電気的に接続されている。第1遮光壁431および第2遮光壁432は、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、第1遮光壁431および第2遮光壁432は、タングステンからなる。タングステンは、第1コンタクトホール43eおよび第2コンタクトホール43fを埋めた状態にあり、第1遮光壁431および第2遮光壁432は各々、タングステンによって構成された第1プラグおよび第2プラグである。
【0058】
ここで、第1コンタクトホール43e(第1遮光壁431)および第2コンタクトホール43f(第2遮光壁432)は、半導体層31aに沿って第1方向Xに延在しており、第2ソース・ドレイン領域31cの第2領域31c2の全体が第1遮光壁431と第2遮光壁432との間に位置する
【0059】
本形態において、第1導電層4aと画素電極9aとの間には、第1導電層4aと第2導電層7aとの間に介在する第4層間絶縁膜(層間絶縁膜44、45)を貫通して一部が第1コンタクトホール43eに連通する第5コンタクトホール45eが形成されており、第1遮光壁431は、第5コンタクトホール45eから第1コンタクトホール43eまで一体に設けられている。また、第1導電層4aと第2導電層7aとの間に介在する第4層間絶縁膜(層間絶縁膜44、45)には、一部が第2コンタクトホール43fに連通する第6コンタクトホール45fが形成されており、第2遮光壁432は、第6コンタクトホール45fから第2コンタクトホール43fまで一体に設けられている。このため、第1遮光壁431および第2遮光壁432を利用して第1導電層4aと第2導電層7aとの電気的な接続を行うことができ、第1遮光壁431および第2遮光壁432に共通電位を印加することができる。
【0060】
また、本形態では、第1遮光層1aと半導体層31aとの間には半導体層31aに平面視で重なる第2遮光層2aが形成されており、走査線3aに対して平面視で重なる領域のうち、半導体層部分31c0に対して第2ソース・ドレイン領域31cとは反対側には、第2遮光層2aとゲート電極33aの第2電極部33a2との間に介在する層間絶縁膜42(第2層間絶縁膜)およびゲート絶縁層32を貫通する第3コンタクトホール42dが形成されている。また、第3コンタクトホール42dの内壁を覆うように導電材料が形成されており、かかる導電材料によって第3遮光壁421が設けられている。従って、第3遮光壁421は、ゲート電極33aと電気的に接続されている。本形態において、第3遮光壁421は、ゲート電極33aの第2電極部33a2のうち、第3コンタクトホール42dの内側に形成された部分である。
【0061】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の電気光学装置100において、トランジスター30の半導体層31aは、走査線3aおよびデータ線6aの双方に重なるように屈曲して、第1方向Xおよび第2方向Yに延在するL字形状を有している。半導体層31aの第1方向Xおよび第2方向Yのサイズを短くした場合でも、半導体層31aに十分な長さを確保することができるので、適正なチャネル長を確保することができる。従って、画素100aの配置ピッチの縮小等に対応することができる。
【0062】
また、半導体層31aに第1基板19側には第1遮光層1aが重なっている。特に本形態では、第1遮光層1aは、走査線3aと平面視で重なるように第1方向Xに延在している。従って、第1基板19側から出射した光が反射して再び第1基板19に入射したときでも、光が半導体層31aに入射することを抑制することができる。従って、光リーク電流の発生を抑制することができる。
【0063】
また、半導体層31aのチャネル領域31gと、第2ソース・ドレイン領域31cとの半導体層部分31c0の両側に第1コンタクトホール43eおよび第2コンタクトホール43fとが設けられているため、半導体層部分31c0に斜め光や回折光などの光が入射することを抑制することができる。従って、光リーク電流の発生を抑制することができる。しかも、第1コンタクトホール43eおよび第2コンタクトホール43fには、第1遮光壁431および第2遮光壁432が設けられているため、半導体層部分31c0に斜め光や回折光などの光が入射することをより効果的に抑制することができる。従って、光リーク電流の発生をより効果的に抑制することができる。ここで、第1コンタクトホール43eおよび第2コンタクトホール43fの内部に形成された導電材料(第11遮光壁431および第2遮光壁432)は、定電位が印加される。特に本形態では、第1遮光壁431および第2遮光壁432は、共通電位が印加される。このため、第1遮光壁431および第2遮光壁432を半導体層部分31c0に接近させても、第1遮光壁431および第2遮光壁432からの電気的な影響が半導体層部分31c0に及びにくい。従って、第1遮光壁431および第2遮光壁432を半導体層部分31c0に接近させることができ、第1遮光壁431および第2遮光壁432が大きく張り出さない。従って、第1遮光壁431および第2遮光壁432を形成することによって画素100aの開口領域12が狭くなることを抑制することができる。
【0064】
また、第1遮光壁431および第2遮光壁432は各々、半導体層31aに沿って第1方向Xに延在しており、第2ソース・ドレイン領域31cの第2領域31c2(LDD領域)の全体が第1遮光壁431と第2遮光壁432との間に位置する。このため、第2領域31c2への光の入射を抑制することができるので、光リーク電流の発生をより抑制することができる。また、第1遮光壁431および第2遮光壁432は各々、第1コンタクトホール43eを埋める第1プラグであり、第2遮光壁432は、第2コンタクトホール43fを埋める第2プラグである。このため、第1導電層を構成する材料等にかかわらず、遮光性の高い材料によって第1遮光壁431および第2遮光壁432を構成することができるので、第1遮光壁431および第2遮光壁432の遮光性を高めることができる。
【0065】
また、第1導電層4aは、遮光性を有しているため、画素電極9a側から半導体層部分31c0への光の入射を第1導電層4aによって抑制することができる。従って、光リーク電流の発生をより抑制することができる。また、半導体層部分31c0に対して第2ソース・ドレイン領域31cとは反対側には、第3遮光壁421(第3コンタクトホール42d)が設けられている。このため、第1遮光壁431および第2遮光壁432が形成されていない側から半導体層部分31c0等に光が入射することを第3遮光壁421によって抑制することができる。従って、光リーク電流の発生をより抑制することができる。また、第3遮光壁421(第3コンタクトホール42d)は、ゲート電極33aにおいて第2ソース・ドレイン領域31cとは反対側に向けて突出した第2電極部33a2と平面視で重なる位置に設けられておる。従って、第3遮光壁421が走査線3aに平面視で重なっているため、第3遮光壁421を設けても、画素100aの開口領域12が狭くなることを抑制することができる。
【0066】
また、走査線3aは、ゲート電極33aと画素電極9aとの間に設けられているため、第1遮光層1aと半導体層31aとの間に走査線3aを設けた場合と違って、走査線3aが、第1遮光壁431および第2遮光壁432の形成を妨げない。
【0067】
(他の実施形態)
上記実施形態において、中継電極同士の接続にプラグを用いたが、上層側の電極の一部がコンタクトホールの底部で下層側の電極に接している態様を採用してもよい。上記実施形態では、トランジスター30がLDD構造の場合を説明したが、第1ソース・ドレイン領域31bおよび第2ソース・ドレイン領域31cがゲート電極33aの端部から離間したオフセットゲート構造の場合に本発明を適用してもよい。上記実施形態では、対向基板20から光源光が入射する場合を説明したが、素子基板10から光源光が入射する場合に本発明を適用してもよい。上記実施形態では、透過型の電気光学装置100に本発明を適用したが、反射型の電気光学装置に本発明を適用してもよい。
【0068】
[電子機器への搭載例]
図14は、本発明を適用した電気光学装置100を用いた投射型表示装置(電子機器)の概略構成図である。なお、以下の説明では、互いに異なる波長域の光が供給される複数の光変調装置200(R)、(G)、(B)が用いられているが、いずれの光変調装置200(R)、(G)、(B)にも、本発明を適用した電気光学装置100が用いられている。
図14に示す投射型表示装置210は、前方に設けられたスクリーン211に画像を投射する前方投影型のプロジェクターである。投射型表示装置210は、光源212と、ダイクロイックミラー213、214と、光変調装置200(R)、(G)、(B)と、投射光学系218と、クロスダイクロイックプリズム219と、リレー系220とを備えている。光変調装置200(R)、(G)、(B)は各々、
図2等を参照して説明した光変調装置200であり、光Lの進行方向に沿って、第1偏光素子241、光学補償素子250、電気光学装置100、および第2偏向素子242を有している。
【0069】
光源212は、例えば、赤色光、緑色光および青色光を含む光を供給する超高圧水銀ランプで構成されている。ダイクロイックミラー213は、光源212からの赤色光LRを透過させるとともに緑色光LGおよび青色光LBを反射する構成となっている。また、ダイクロイックミラー214は、ダイクロイックミラー213で反射された緑色光LGおよび青色光LBのうち青色光LBを透過させるとともに緑色光LGを反射する構成となっている。このように、ダイクロイックミラー213、214は、光源212から出射された光を赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとに分離する色分離光学系を構成する。ダイクロイックミラー213と光源212との間には、インテグレーター221および偏光変換素子222が光源212から順に配置されている。インテグレーター221は、光源212から照射された光の照度分布を均一化する。偏光変換素子222は、光源212からの光を例えばs偏光のような特定の振動方向を有する偏光に変換する。
【0070】
光変調装置200(R)は、ダイクロイックミラー213を透過して反射ミラー223で反射した赤色光LRを画像信号に応じて変調する。光変調装置200(R)に入射した赤色光LRは第1偏光素子241を透過して例えばs偏光に変換される。液晶パネル100pは、入射したs偏光を画像信号に応じた変調によってp偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する。さらに、第2偏向素子242は、s偏光を遮断してp偏光を透過させる。従って、光変調装置200(R)は、画像信号に応じて赤色光LRを変調し、変調した赤色光LRをクロスダイクロイックプリズム219に向けて出射する。
【0071】
光変調装置200(G)は、ダイクロイックミラー213で反射した後にダイクロイックミラー214で反射した緑色光LGを、画像信号に応じて緑色光LGを変調し、変調した緑色光LGをクロスダイクロイックプリズム219に向けて出射する。
【0072】
光変調装置200(B)は、ダイクロイックミラー213で反射し、ダイクロイックミラー214を透過した後でリレー系220を経た青色光LBを画像信号に応じて変調し、変調した青色光LBをクロスダイクロイックプリズム219に向けて出射する。
【0073】
リレー系220は、リレーレンズ224a、224bと反射ミラー225a、225bとを備えている。リレーレンズ224a、224bは、青色光LBの光路が長いことによる光損失を防止するために設けられている。リレーレンズ224aは、ダイクロイックミラー214と反射ミラー225aとの間に配置されている。
【0074】
リレーレンズ224bは、反射ミラー225a、225bの間に配置されている。反射ミラー225aは、ダイクロイックミラー214を透過してリレーレンズ224aから出射した青色光LBをリレーレンズ224bに向けて反射するように配置されている。反射ミラー225bは、リレーレンズ224bから出射した青色光LBを光変調装置200(B)に向けて反射するように配置されている。
【0075】
クロスダイクロイックプリズム219は、2つのダイクロイック膜219a、219bをX字型に直交配置した色合成光学系である。ダイクロイック膜219aは青色光LBを反射して緑色光LGを透過する。ダイクロイック膜219bは赤色光LRを反射して緑色光LGを透過する。
【0076】
従って、クロスダイクロイックプリズム219は、光変調装置200(R)、(G)、(B)の各々で変調された赤色光LR、緑色光LGおよび青色光LBを合成し、投射光学系218に向けて出射するように構成されている。投射光学系218は、投影レンズ(図示略)を有しており、クロスダイクロイックプリズム219で合成された光をスクリーン211に投射するように構成されている。
【0077】
なお、赤色用および青色用の光変調装置200(R)、(B)にλ/2位相差補償素子を設け、これらの光変調装置200(R)、(B)からクロスダイクロイックプリズム219に入射する光をs偏光とし、光変調装置200(G)にはλ/2位相差補償素子を設けない構成として光変調装置200(G)からクロスダイクロイックプリズム219に入射する光をp偏光とする構成も採用できる。
【0078】
クロスダイクロイックプリズム219に入射する光を異なる種類の偏光とすることで、ダイクロイック膜219a、219bの反射特性を考慮して最適化された色合成光学系を構成できる。一般に、ダイクロイック膜219a、219bはs偏光の反射特性に優れているので、上述したようにダイクロイック膜219a、219bで反射される赤色光LRおよび青色光LBをs偏光とし、ダイクロイック膜219a、219bを透過する緑色光LGをp偏光とするとよい。
【0079】
[他の投射型表示装置]
投射型表示装置において、光源部として、各色の光を出射するLED光源、レーザー光源等を用い、かかる光源から出射された色光を各々、別の液晶装置に供給するように構成してもよい。
【0080】
本発明を適用した電気光学装置100については、上記の電子機器の他にも、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)や直視型のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)等、各種電子機器に用いてもよい。また、本発明を適用した電気光学装置100は、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ等の電子機器に用いてもよい。