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特許6597807表示ドライバー、電気光学装置及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6597807
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】表示ドライバー、電気光学装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20191021BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20191021BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G09G3/20 623D
   G09G3/20 623R
   G09G3/20 623V
   G09G3/20 621A
   G09G3/20 612J
   G09G3/20 623F
   G09G3/20 621B
   G02F1/133 550
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-8553(P2018-8553)
(22)【出願日】2018年1月23日
(65)【公開番号】特開2019-128398(P2019-128398A)
(43)【公開日】2019年8月1日
【審査請求日】2018年12月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(74)【代理人】
【識別番号】100187539
【弁理士】
【氏名又は名称】藍原 由和
(72)【発明者】
【氏名】番匠 遼太
【審査官】 斎藤 厚志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−087586(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0221701(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G02F 1/133
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平走査期間の第1〜第nの駆動期間(nは2以上の整数)において、電気光学パネルの画像信号入力端子に第1〜第nのデータ電圧を時分割に出力するアンプ回路と、
前記電気光学パネルの前記画像信号入力端子と第1〜第nのデータ線との間に設けられる第1〜第nのスイッチを制御するスイッチ制御信号を出力するスイッチ制御信号出力回路と、
を含み、
前記スイッチ制御信号出力回路は、
前記第1〜第nの駆動期間の第1の駆動期間において、前記第1〜第nのスイッチのうち前記画像信号入力端子と前記第1のデータ線との間に設けられる前記第1のスイッチを含む2以上のスイッチをオンにする前記スイッチ制御信号を出力し、
前記アンプ回路は、
前記第1の駆動期間において、前記第1〜第nのデータ電圧のうち前記第1のデータ線に供給される第1のデータ電圧を出力し、
前記スイッチ制御信号出力回路は、
前記水平走査期間の次の第2水平走査期間の前記第1の駆動期間において、前記第1〜第nのスイッチのうち前記第1のスイッチとは異なる第pのスイッチ(pは2以上n以下の整数)を含む2以上のスイッチをオンにする前記スイッチ制御信号を出力し、
前記アンプ回路は、
前記第2水平走査期間の前記第1の駆動期間において、前記第1〜第nのデータ電圧の第pのデータ電圧を出力することを特徴とする表示ドライバー。
【請求項2】
水平走査期間の第1〜第nの駆動期間(nは2以上の整数)において、電気光学パネルの画像信号入力端子に第1〜第nのデータ電圧を時分割に出力するアンプ回路と、
前記電気光学パネルの前記画像信号入力端子と第1〜第nのデータ線との間に設けられる第1〜第nのスイッチを制御するスイッチ制御信号を出力するスイッチ制御信号出力回路と、
を含み、
前記スイッチ制御信号出力回路は、
前記第1〜第nの駆動期間の第1の駆動期間において、前記第1〜第nのスイッチをオンにする前記スイッチ制御信号を出力し、
前記アンプ回路は、
前記第1の駆動期間において、前記第1〜第nのデータ電圧のうち前記第1のデータ線に供給される第1のデータ電圧を出力し、
前記スイッチ制御信号出力回路は、
前記第1〜第nの駆動期間の第iの駆動期間(iは2以上n以下の整数)において、前記第1〜第nのスイッチのうち第iのスイッチをオンにすると共に前記第iのスイッチ以外のスイッチをオフにする前記スイッチ制御信号を出力することを特徴とする表示ドライバー。
【請求項3】
請求項において、
前記第1の駆動期間の長さは、前記第iの駆動期間の長さよりも長いことを特徴とする表示ドライバー。
【請求項4】
水平走査期間の第1〜第nの駆動期間(nは2以上の整数)において、電気光学パネルの画像信号入力端子に第1〜第nのデータ電圧を時分割に出力するアンプ回路と、
前記電気光学パネルの前記画像信号入力端子と第1〜第nのデータ線との間に設けられる第1〜第nのスイッチを制御するスイッチ制御信号を出力するスイッチ制御信号出力回路と、
を含み、
前記スイッチ制御信号出力回路は、
前記第1〜第nの駆動期間の第1の駆動期間において、前記第1〜第nのスイッチのうち第1〜第kのスイッチ(kは2以上n−2以下の整数)をオンにする前記スイッチ制御信号を出力し、
前記アンプ回路は、
前記第1の駆動期間において、前記第1〜第nのデータ電圧のうち前記第1のデータ線に供給される第1のデータ電圧を出力し、
前記スイッチ制御信号出力回路は、
前記第1〜第nの駆動期間の第k+1の駆動期間において、前記第1〜第nのスイッチのうち第k+1〜第qのスイッチ(qはk+2以上n以下の整数)をオンにする前記スイッチ制御信号を出力し、
前記アンプ回路は、
前記第k+1の駆動期間において、前記第1〜第nのデータ電圧の第k+1のデータ電圧を出力することを特徴とする表示ドライバー。
【請求項5】
水平走査期間の第1〜第nの駆動期間(nは2以上の整数)において、電気光学パネルの画像信号入力端子に第1〜第nのデータ電圧を時分割に出力するアンプ回路と、
前記電気光学パネルの前記画像信号入力端子と第1〜第nのデータ線との間に設けられる第1〜第nのスイッチを制御するスイッチ制御信号を出力するスイッチ制御信号出力回路と、
を含み、
前記スイッチ制御信号出力回路は、
前記第1〜第nの駆動期間の第rの駆動期間(rは1以上n−1以下の整数)において、前記第1〜第nのスイッチのうち第rのスイッチ及び第r+1のスイッチをオンにする前記スイッチ制御信号を出力し、
前記アンプ回路は、
前記第rの駆動期間において、前記第1〜第nのデータ電圧の第rのデータ電圧を出力することを特徴とする表示ドライバー。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれかにおいて、
第1〜第nの表示データをD/A変換して第1〜第nのD/A変換電圧を時分割に出力するD/A変換回路を含み、
前記アンプ回路は、
前記第1〜第nのD/A変換電圧に対応する前記第1〜第nのデータ電圧を前記第1〜第nの駆動期間において時分割に出力することを特徴とする表示ドライバー。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれかにおいて、
前記アンプ回路は、
前記水平走査期間では正極性及び負極性の一方の極性の前記第1〜第nのデータ電圧を出力し、
前記水平走査期間の1フレーム後の水平走査期間では前記正極性及び前記負極性の他方の極性の前記第1〜第nのデータ電圧を出力することを特徴とする表示ドライバー。
【請求項8】
水平走査期間の第1〜第nの駆動期間(nは2以上の整数)において、電気光学パネルの画像信号入力端子に第1〜第nのデータ電圧を時分割に出力するアンプ回路と、
前記電気光学パネルの前記画像信号入力端子と第1〜第nのデータ線との間に設けられる第1〜第nのスイッチを制御するスイッチ制御信号を出力するスイッチ制御信号出力回路と、
を含み、
前記スイッチ制御信号出力回路は、
前記水平走査期間の第1の駆動期間において、前記第1〜第nのスイッチのうち第pのスイッチ(pは1以上n以下の整数)を含む2以上のスイッチをオンにする前記スイッチ制御信号を出力し、
前記アンプ回路は、
前記第1の駆動期間において、前記第1〜第nのデータ電圧の第pのデータ電圧を出力し、
前記スイッチ制御信号出力回路は、
前記水平走査期間の次の第2水平走査期間の前記第1の駆動期間において、前記第1〜第nのスイッチのうち前記第pのスイッチとは異なる第qのスイッチ(qは1以上n以下でpと異なる整数)を含む2以上のスイッチをオンにする前記スイッチ制御信号を出力し、
前記アンプ回路は、
前記第2水平走査期間の前記第1の駆動期間において、前記第1〜第nのデータ電圧の第qのデータ電圧を出力することを特徴とする表示ドライバー。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれかに記載の表示ドライバーと、
前記表示ドライバーに駆動される前記電気光学パネルと、
を含むことを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれかに記載の表示ドライバーを含むことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示ドライバー、電気光学装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の電気光学装置において、画素にデータ電圧を書き込む前に所与のプリチャージ電圧を画素に印加するプリチャージの手法が知られている。プリチャージは、例えばデータ電圧の書き込み補助を目的として行われている。データ電圧の書き込み補助では、画素に書き込む予定のデータ電圧に近いプリチャージ電圧を予め画素に印加しておき、データ電圧の書き込み不足(実際に画素に書き込まれた電圧とデータ電圧との間の誤差)を低減する。
【0003】
プリチャージの従来技術として、例えば特許文献1に開示される技術がある。特許文献1では、水平走査期間においてアンプ回路がK個の画素を順次に駆動するデマルチプレクス駆動において、K個の画素にデータ電圧(画像信号)を書き込む前のプリチャージ期間に、アンプ回路が所与のプリチャージ電圧をK個の画素に印加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−37827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では電気光学パネルの画素数や表示のフレームレートが増加する傾向にあるため、1画素あたりの駆動時間が短くなっている。このため、駆動時間内にデータ電圧を画素に十分に書き込めなくなってきている。上述した書き込み補助のプリチャージを行う場合、画素に書き込むデータ電圧と同極性のプリチャージ電圧から書き込みを開始できるが、プリチャージ期間を設けた分だけ1画素あたりの駆動時間は短くなる。このため、画素数やフレームレートが増加した場合には、画素の駆動時間が不足する可能性がある。
【0006】
本発明の幾つかの態様によれば、書き込み補助のプリチャージを行うと共に1画素あたりの駆動時間を確保することが可能な表示ドライバー、電気光学装置及び電子機器等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、水平走査期間の第1〜第nの駆動期間(nは2以上の整数)において、電気光学パネルの画像信号入力端子に第1〜第nのデータ電圧を時分割に出力するアンプ回路と、前記電気光学パネルの前記画像信号入力端子と第1〜第nのデータ線との間に設けられる第1〜第nのスイッチを制御するスイッチ制御信号を出力するスイッチ制御信号出力回路と、を含み、前記スイッチ制御信号出力回路は、前記第1〜第nの駆動期間の第1の駆動期間において、前記第1〜第nのスイッチのうち前記画像信号入力端子と前記第1のデータ線との間に設けられる第1のスイッチを含む2以上のスイッチをオンにする前記スイッチ制御信号を出力し、前記アンプ回路は、前記第1の駆動期間において、前記第1〜第nのデータ電圧のうち前記第1のデータ線に供給される第1のデータ電圧を出力する表示ドライバーに関係する。
【0008】
本発明の一態様によれば、水平走査期間において、第1〜第nのデータ線に接続される第1〜第nの画素が時分割に駆動され、その第1〜第nの画素のうち最初に駆動される画素の駆動期間である第1の駆動期間において、第1のスイッチを含む2以上のスイッチがオンであり、アンプ回路により第1のデータ電圧が出力される。これにより、第1の駆動期間をプリチャージ期間として兼用でき、画素を駆動する駆動期間と別にプリチャージ期間を設ける必要がなくなる。これにより、画素を駆動する駆動期間と別にプリチャージ期間を設ける場合に比べて1画素あたりの駆動期間を長くすることが可能となり、電気光学パネルの高精細化や表示のフレームレートの増加などに対応できる。
【0009】
また本発明の一態様では、前記スイッチ制御信号出力回路は、前記水平走査期間の次の水平走査期間の前記第1の駆動期間において、前記第1〜第nのスイッチのうち前記第1のスイッチとは異なる第pのスイッチ(pは2以上n以下の整数)を含む2以上のスイッチをオンにする前記スイッチ制御信号を出力し、前記アンプ回路は、前記第1の駆動期間において、前記第1〜第nのデータ電圧の第pのデータ電圧を出力してもよい。
【0010】
本発明の一態様によれば、デマルチプレクス駆動における駆動順番のローテーションを行う場合において、その駆動順番に合わせたプリチャージ動作を行うことができる。即ち、水平走査期間において最初の駆動順番の画素を駆動する第1の駆動期間において、その画素にデータ電圧を書き込むと共に、そのデータ電圧で1以上の画素(及び、その画素に接続されるデータ線)をプリチャージできる。
【0011】
また本発明の一態様では、前記スイッチ制御信号出力回路は、前記第1の駆動期間において、前記第1〜第nのスイッチをオンにする前記スイッチ制御信号を出力し、前記第1〜第nの駆動期間の第iの駆動期間(iは2以上n以下の整数)において、前記第1〜第nのスイッチの第iのスイッチをオンにすると共に前記第iのスイッチ以外のスイッチをオフにする前記スイッチ制御信号を出力してもよい。
【0012】
本発明の一態様によれば、第1の駆動期間において、第1のデータ線に接続される第1の画素に第1のデータ電圧を書き込むと共に、第2〜第nのデータ線に接続される第2〜第nの画素をプリチャージできる。第1の駆動期間がプリチャージ期間として兼用されるので、おおよそ1画素の駆動期間に相当する時間を、第2〜第nの画素を駆動する第2〜第nの駆動期間に分配できることになる。
【0013】
また本発明の一態様では、前記第1の駆動期間の長さは、前記第iの駆動期間の長さよりも長くてもよい。
【0014】
第1の駆動期間では第1〜第nのスイッチがオンになり、第1〜第nの画素及び第1〜第nのデータ線が画像信号入力端子に接続されるので、第2〜第nの駆動期間に比べてアンプ回路の負荷が増加する。本発明の一態様によれば、第2〜第nの駆動期間の長さに比べて第1の駆動期間の長さを長くすることで、第1の駆動期間において第1の画素に第1のデータ電圧を正確に書き込むと共に第2〜第nの画素をプリチャージする期間を確保できる。
【0015】
また本発明の一態様では、前記スイッチ制御信号出力回路は、前記第1の駆動期間において、前記第1〜第nのスイッチの第1〜第kのスイッチ(kは2以上n−2以下の整数)をオンにする前記スイッチ制御信号を出力し、前記第1〜第nの駆動期間の第k+1の駆動期間において、前記第1〜第nのスイッチの第k+1〜第qのスイッチ(qはk+2以上n以下の整数)をオンにする前記スイッチ制御信号を出力し、前記アンプ回路は、前記第k+1の駆動期間において、前記第1〜第nのデータ電圧の第k+1のデータ電圧を出力してもよい。
【0016】
本発明の一態様によれば、水平走査期間に駆動する第1〜第nの画素を複数グループに分割し、そのグループ毎にプリチャージできる。即ち、各グループにおいて、そのグループの最初に駆動される画素のデータ電圧でグループ内の画素をプリチャージできる。このようにすれば、プリチャージにおけるアンプ回路の負荷が低減されるので、プリチャージ期間と兼用する駆動期間において画素に書き込んだデータ電圧の誤差を低減できる。或いは、プリチャージ期間と兼用する駆動期間の長さを、第1〜第nの画素の全画素を一度にプリチャージする場合の第1の駆動期間の長さに比べて短くできる。
【0017】
また本発明の一態様では、前記スイッチ制御信号出力回路は、前記第1〜第nの駆動期間の第rの駆動期間(rは1以上n−1以下の整数)において、前記第1〜第nのスイッチの第rのスイッチ及び第r+1のスイッチをオンにする前記スイッチ制御信号を出力し、前記アンプ回路は、前記第rの駆動期間において、前記第1〜第nのデータ電圧の第rのデータ電圧を出力してもよい。
【0018】
本発明の一態様によれば、第rの画素に第rのデータ電圧を書き込む際に、その第rのデータ電圧で第r+1の画素をプリチャージできる。同じ水平走査期間におけるデータ電圧の極性は同じなので、第r+1のデータ電圧と同じ極性の第rのデータ電圧で第r+1の画素がプリチャージされ、第r+1の画素に対して書き込み補助を行うことができる。また、アンプ回路が2画素ずつ駆動していくため、各画素へのデータ電圧の書き込みに際してアンプ回路の負荷のばらつきを小さくできる。
【0019】
また本発明の一態様では、表示ドライバーは、第1〜第nの表示データをD/A変換して第1〜第nのD/A変換電圧を時分割に出力するD/A変換回路を含み、前記アンプ回路は、前記第1〜第nのD/A変換電圧に対応する前記第1〜第nのデータ電圧を前記第1〜第nの駆動期間において時分割に出力してもよい。
【0020】
本発明の一態様によれば、D/A変換回路により時分割に第1〜第nのD/A変換電圧が出力され、アンプ回路により第1〜第nのデータ電圧が第1〜第nの駆動期間において時分割に出力される。また本発明の一態様では、第1の駆動期間において第1〜第nのスイッチをオンにするスイッチ制御信号が出力にされ、第2〜第nの駆動期間において順次に第2〜第nのスイッチをオンにするスイッチ制御信号が出力される。このようにして、第1〜第nの画素及び第1〜第nのデータ線を時分割に駆動するデマルチプレクス駆動が実現される。
【0021】
また本発明の一態様では、前記アンプ回路は、前記水平走査期間では正極性及び負極性の一方の極性の前記第1〜第nのデータ電圧を出力し、前記水平走査期間の1フレーム後の水平走査期間では前記正極性及び前記負極性の他方の極性の前記第1〜第nのデータ電圧を出力してもよい。
【0022】
このような極性反転駆動を行う場合、負極性のデータ電圧で充電された画素容量を正極性のデータ電圧で充電し、或いは正極性のデータ電圧で充電された画素容量を負極性のデータ電圧で充電する必要がある。このため、画素への書き込み時間が長くなる、或いは画素に書き込んだデータ電圧の誤差が大きくなる可能性がある。このとき、画素を駆動するデータ電圧と同極性のプリチャージ電圧で画素をプリチャージすることで、書き込み補助を行うことができる。しかしながら、プリチャージ期間を画素の駆動期間とは別に設けると、1画素あたりの駆動時間が短くなるという問題がある。本発明の一態様では、水平走査期間の最初の画素に書き込むデータ電圧でプリチャージを行うことで、1画素あたりの駆動時間を短縮することなく書き込み補助を行うことができる。
【0023】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の表示ドライバーと、前記表示ドライバーに駆動される前記電気光学パネルと、を含む電気光学装置に関係する。
【0024】
また本発明の更に他の態様は、上記のいずれかに記載の表示ドライバーを含む電子機器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】表示ドライバーの構成例。
図2】電気光学パネルの構成例。
図3】プリチャージ及びデマルチプレクス駆動の従来技術を説明するタイミングチャート。
図4】本実施形態におけるプリチャージ及びデマルチプレクス駆動を説明するタイミングチャート。
図5】デマルチプレクス駆動における駆動順番のローテーションを行う場合の動作を説明する第1のタイミングチャート。
図6】デマルチプレクス駆動における駆動順番のローテーションを行う場合の動作を説明する第2のタイミングチャート。
図7】プリチャージを複数回に分けて行う場合の動作を説明するタイミングチャート。
図8】データ電圧が書き込まれる画素の次の駆動順番の画素をデータ電圧でプリチャージする場合の動作を説明するタイミングチャート。
図9】電気光学装置の構成例。
図10】電子機器の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0027】
1.表示ドライバー、電気光学パネル
図1は、表示ドライバー10の構成例である。表示ドライバー10は、駆動回路110と、スイッチ制御信号出力回路160とを含む。また表示ドライバー10は、D/A変換回路120と、処理回路130と、インターフェース回路140と、制御回路150と、画像信号出力端子TQ1〜TQ80と、スイッチ制御信号出力端子TSQ1〜TSQ8とを含むことができる。
【0028】
インターフェース回路140は、表示ドライバー10の外部の処理装置と表示ドライバー10との間の通信を行う。処理装置は、例えばCPUやMPU、表示コントローラー等である。インターフェース回路140は、処理装置が送信した表示データ(画像データ、階調データ)を受信したり、処理装置が送信した設定データを受信したり、処理装置に対して種々のデータを送信したりする。設定データは、例えばレジスター設定値や、コマンド等である。処理装置に送信されるデータは、例えばレジスター読み出しデータである。インターフェース回路140の通信方式としては、例えばSPI(Serial Peripheral Interface)方式やI2C(Inter Integrated Circuit)方式、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)方式、RGBシリアルインターフェース方式等を採用できる。
【0029】
処理回路130は、インターフェース回路140が受信した表示データに対してデータ処理を行い、処理後の表示データをD/A変換回路120に出力する。例えば、処理回路130は、表示データのマルチプレクス処理を行う。即ち、1ラインの表示データをラッチし、マルチ数分の画素の表示データを1水平走査期間において時分割に出力する。図1では、1つのアンプ回路が1つの水平走査期間に駆動する画素の数(以下、マルチ数と呼ぶ)は8であるが、これに限定されない。或いは、処理回路130は、表示データに対してガンマ補正処理やホワイトバランス補正処理、FRC処理等を行ってもよい。処理回路130は、例えばラインラッチやマルチプレクサーで構成される。或いは、自動配置配線により構成されるロジック回路(ゲートアレイ)であってもよい。
【0030】
D/A変換回路120は、処理回路130が時分割に出力する画素の表示データをD/A変換し、時分割の画素の表示データに対応する時分割の階調電圧を出力する。D/A変換回路120は、複数の電圧を生成する電圧生成回路と、その複数の電圧の中から画素の表示データに対応した電圧を選択する電圧選択回路と、で構成される。電圧生成回路は、例えばラダー抵抗回路であり、電圧選択回路は、例えばスイッチで構成されたセレクターである。
【0031】
駆動回路110は、D/A変換回路120からの時分割の階調電圧を増幅(又はバッファリング)し、その増幅した階調電圧であるデータ電圧を電圧VQ1〜VQ80として出力する。具体的には、駆動回路110は、アンプ回路AM1〜AM80を含み、アンプ回路AMiが電圧VQiを出力する。iは1以上80以下の整数である。電圧VQiは画像信号出力端子TQiから電気光学パネルの画像信号入力端子(図2のTIi)に出力される。またアンプ回路AMiは、デマルチプレクス駆動の1画素目の駆動期間において、その1画素目のデータ電圧で電気光学パネルの画素及びデータ線をプリチャージする。このプリチャージの詳細は後述する。アンプ回路AMiは、例えばボルテージフォロア回路である。この場合、アンプ回路AMiは演算増幅器を含み、演算増幅器の出力ノードと反転入力ノード(負極性入力ノード)が接続され、演算増幅器の非反転入力ノード(正極性入力ノード)に階調電圧が入力される。或いは、アンプ回路AMiは、反転増幅回路である。この場合、アンプ回路AMiは、演算増幅器と、階調電圧が入力されるノードと演算増幅器の非反転入力ノードとの間に設けられる抵抗と、演算増幅器の出力ノードと反転入力ノードとの間に接続される抵抗と、を含む。
【0032】
制御回路150は、表示ドライバー10の各部に対して種々の制御を行う。具体的には、インターフェース回路140を介して受信した表示データやタイミング制御信号に基づいて電気光学パネルの駆動のタイミング制御を行う。また、制御回路150は、インターフェース回路140を介して受信した設定情報やコマンドに基づいて表示ドライバー10の各部の動作設定等を行う。例えば、制御回路150は処理回路130による表示データのマルチプレクス処理のタイミングを制御したり、スイッチ制御信号出力回路160によるスイッチ制御信号SEL1〜SEL8の出力のタイミングを制御したりする。
【0033】
スイッチ制御信号出力回路160は、電気光学パネルのデマルチプレクサーのスイッチ(図2のSD1〜SD8)をオン又はオフに制御するスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力する。デマルチプレクス駆動の1画素目の駆動期間において、スイッチ制御信号SEL1〜SEL8の全てがアクティブである。アクティブとは、スイッチをオンさせる論理レベル(第1の論理レベル)である。スイッチ制御信号SELsはスイッチ制御信号出力端子TSQsから表示パネルのスイッチ制御信号入力端子(図2のTSIs)に出力される。sは1以上8以下の整数である。
【0034】
図2は、表示ドライバー10が駆動する電気光学パネル200の構成例である。図1では、640×480の画素アレイのうち、表示ドライバー10の画像信号出力端子TQiに接続される画像信号入力端子TIiに関する部分のみを図示している。なお、画素アレイのサイズは640×480に限定されない。
【0035】
電気光学パネル200は、画像信号線DLiと、データ線SL1〜SL8(信号線)と、デマルチプレクサーDMXと、走査線GL1〜GL480と、8×480個の画素(画素回路)と、を含む。
【0036】
デマルチプレクサーDMXはスイッチSD1〜SD8で構成される。スイッチSD1は、画像信号線DLiとデータ線SL1との間に設けられる。同様に、スイッチSD2〜SD8は、各々、画像信号線DLiとデータ線SL2〜SL8との間に設けられる。スイッチSD1〜SD8はトランジスターであり、例えばTFT(Thin Film Transistor)である。走査線GLjを例にとると、画素P1jは走査線GLjとデータ線SL1とに接続される。jは1以上480以下の整数である。同様に、画素P2j〜P8jは、各々、走査線GLjとデータ線SL2〜SL8とに接続される。各画素は、例えば液晶セル(画素)と、TFT(トランジスター)とを含む。TFTのソースはデータ線に接続され、ドレインは液晶セルに接続され、ゲートは走査線に接続される。
【0037】
2.プリチャージ動作
次に、図1及び図2を例に、表示ドライバー10及び電気光学パネル200のプリチャージ及びデマルチプレクス駆動について説明する。
【0038】
図3は、プリチャージ及びデマルチプレクス駆動の従来技術を説明するタイミングチャートである。
【0039】
従来技術では、水平走査期間THSにおいて画素のプリチャージを行った後に、画素にデータ電圧を書き込む。具体的には、プリチャージ期間Tpreにおいてスイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力し、アンプ回路AMiがプリチャージ電圧Vpreを出力する。水平走査期間THSにおいて画素P1j〜P8jが選択されている場合、画素P1j〜P8j及びデータ線SL1〜SL8がプリチャージ電圧Vpreで充電(プリチャージ)される。なお、図3ではアンプ回路AMiが出力する電圧VQiを例に図示しているが、プリチャージ期間Tpreではアンプ回路AM1〜AM80が同じプリチャージ電圧Vpreを出力する。画素を正極性のデータ電圧と負極性のデータ電圧で交互に(例えばフレーム毎に交互に)駆動する極性反転駆動において、プリチャージ電圧Vpreは、画素を駆動するデータ電圧と同じ極性の電圧(以下、書き込み補助のプリチャージ電圧と呼ぶ)である。
【0040】
プリチャージ期間Tpreが終了した後、駆動期間TSA1においてスイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL1を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID1を出力する。データ電圧VID1は画素P1jの表示データに対応した画像信号の電圧である。駆動期間TSA1では、スイッチ制御信号SEL2〜SEL8は非アクティブである。非アクティブとは、スイッチをオフさせる論理レベル(第2の論理レベル)である。同様に、駆動期間TSA2〜TSA8においてスイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL2〜SEL8を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID2〜VID8を出力する。
【0041】
駆動期間TSA1〜TSA8が終了した後、ポストチャージ期間においてスイッチ制御信号出力回路160が非アクティブのスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力し、アンプ回路AMiがポストチャージ電圧Vpostを出力する。デマルチプレクス駆動では、スイッチSD1〜SD8がオフになっているデータ線の電圧が、画像信号線DLiとデータ線との間の容量カップリングにより変動する可能性がある。ポストチャージは、この電圧変動による画質低下を低減する。
【0042】
以上のように、プリチャージの従来技術では、画素の駆動期間TSA1〜TSA8とは別にプリチャージ期間Tpreが設けられており、アンプ回路AM1〜AM80が共通のプリチャージ電圧Vpreでデータ線及び画素をプリチャージしている。このため、プリチャージ期間Tpre、及びプリチャージ期間Tpreと駆動期間TSA1との間の期間(スイッチSD1〜SD8がオフになっている期間)の分だけ、画素の駆動に使える時間が短くなってしまう。例えば、プロジェクターの比較的高性能な機種では、2160ラインの走査線を120fps(frame per second)で駆動する。このとき、書き込み補助のプリチャージ期間は例えば200nsであり、1画素の駆動期間は約110nsである。マルチ数が8の場合、200ns/8=25nsであり、プリチャージ期間を設けたことで1画素の駆動期間が25ns短くなっている。
【0043】
図4は、本実施形態におけるプリチャージ及びデマルチプレクス駆動を説明するタイミングチャートである。
【0044】
本実施形態では、水平走査期間THSにおいてプリチャージ期間を設けず、最初の画素の駆動期間TS1においてプリチャージと最初の画素の書き込みを行う。具体的には、駆動期間TS1においてスイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID1を出力する。水平走査期間THSにおいて画素P1j〜P8jが選択されている場合、画素P1j〜P8j及びデータ線SL1〜SL8がデータ電圧VID1で充電される。画素P1jに対してはデータ電圧の書き込みとなり、画素P2j〜P8jに対してはプリチャージとなる。極性反転駆動において、画素P1j〜P8jは同じ極性のデータ電圧が書き込まれる。即ち、画素P2j〜P8jはデータ電圧VID2〜VID8と同じ極性のデータ電圧VID1でプリチャージされることになり、データ電圧VID1は書き込み補助のプリチャージ電圧に相当する。
【0045】
駆動期間TS2では、スイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL2を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID2を出力する。駆動期間TS2では、スイッチ制御信号SEL1、SEL3〜SEL8は非アクティブである。同様に、駆動期間TS3〜TS8では、スイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL3〜SEL8を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID3〜VID8を出力する。駆動期間TS1〜TS8が終了した後、ポストチャージ期間においてスイッチ制御信号出力回路160が非アクティブのスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力し、アンプ回路AMiがポストチャージ電圧Vpostを出力する。なお、ポストチャージは省略されてもよい。
【0046】
以上の実施形態では、アンプ回路AMiは、水平走査期間THSの駆動期間TS1〜TS8において、電気光学パネル200の画像信号入力端子TIiにデータ電圧VID1〜VID8を時分割に出力する。スイッチ制御信号出力回路160は、電気光学パネル200の画像信号入力端子TIiとデータ線SL1〜SL8との間に設けられるスイッチSD1〜SD8を制御するスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力する。そして、スイッチ制御信号出力回路160は、駆動期間TS1において、画像信号入力端子TIiとデータ線SL1との間に設けられるスイッチSD1(第1のスイッチ)を含む2以上のスイッチをオンにするスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力する。アンプ回路AMiは、駆動期間TS1においてデータ電圧VID1を出力する。データ電圧VID1は、データ線SL1に供給されるデータ電圧である。
【0047】
本実施形態によれば、水平走査期間THSにおいて、データ線SL1〜SL8に接続される画素P1j〜P8jが時分割に駆動され、その画素P1j〜P8jのうち最初に駆動される画素の駆動期間である駆動期間TS1において、スイッチSD1を含む2以上のスイッチがオンであり、アンプ回路AMiによりデータ電圧VID1が出力される。これにより、駆動期間TS1をプリチャージ期間として兼用でき、駆動期間とは別にプリチャージ期間を設ける必要がなくなる。具体的には、駆動期間TS1において、画素P1jにデータ電圧VID1を書き込むと共に、そのデータ電圧VID1で1以上の画素(及び、その画素に接続されるデータ線)をプリチャージできる。例えば図4では、駆動期間TS1において、スイッチSD1〜SD8がオンであり、画素P1jにデータ電圧VID1を書き込むと共に画素P2j〜P8jをプリチャージできる。駆動期間TS1がプリチャージ期間として兼用されることで、1画素分の駆動期間が省略され、1画素あたりの駆動期間を長くすることが可能となる。これにより、電気光学パネルの高精細化や表示のフレームレートの増加などに、対応しやすくなる。
【0048】
なお、図4では駆動期間TS1においてデマルチプレクサーDMXのスイッチSD1〜SD8の全てがオンであるが、これに限定されず、水平走査期間THSの最初の駆動期間でオンになるスイッチを含む2以上のスイッチがオンであればよい。
【0049】
また、図4では駆動期間TS1の全てでアンプ回路AMiがデータ電圧VID1を出力しているが、これに限定されず、スイッチ制御信号SEL1がアクティブから非アクティブになるタイミングにおいてアンプ回路AMiがデータ電圧VID1を出力していればよい。
【0050】
また上記では、マルチ数が8である場合を例に説明したが、マルチ数はnであればよい。即ち、アンプ回路AMiは、水平走査期間THSの第1〜第nの駆動期間(nは2以上の整数)において、第1〜第nのデータ電圧を時分割に出力すればよい。
【0051】
また、スイッチ制御信号出力回路160は、画像信号入力端子TIiと第1〜第nのデータ線との間に設けられる第1〜第nのスイッチを制御するスイッチ制御信号を出力すればよい。
【0052】
また本実施形態では、スイッチ制御信号出力回路160は、駆動期間TS1において、スイッチSD1〜SD8をオンにするスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力する。スイッチ制御信号出力回路160は、駆動期間TSi(第iの駆動期間(iは2以上n以下の整数))においてスイッチをオンにすると共にスイッチSDi以外のスイッチをオフにするスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力する。
【0053】
このようにすれば、駆動期間TS1において画素P1jにデータ電圧VID1を書き込むと共に画素P2j〜P8jをプリチャージできる。上述した例のように1画素の駆動期間が約110nsである場合、省略された110nsが残りの7画素の駆動期間に分配され、1画素あたり110ns/7≒16nsだけ駆動期間を長くできる。駆動の時定数をτとし、110ns=6τである場合、16nsは約1τに相当する。即ち、1τだけ駆動期間に余裕ができ、電気光学パネルの高精細化や表示のフレームレートの増加などに、対応しやすくなる。
【0054】
なお、スイッチSDi以外のスイッチとは、第1〜第nのスイッチのうち第iのスイッチ以外のスイッチのことであり、第1〜第i−1のスイッチ及び第i+1〜第nのスイッチのことである。
【0055】
また本実施形態では、図4に示すように、駆動期間TS1の長さは駆動期間TSi(即ち、TS2〜TS8)の長さよりも長い。
【0056】
駆動期間TS1ではスイッチSD1〜SD8がオンになり、画素P1j〜P8j及びデータ線SL1〜SL8が画像信号入力端子TIiに接続されるので、駆動期間TS2〜TS8に比べてアンプ回路AMiの負荷が増加する。本実施形態によれば、駆動期間TS2〜TS8に比べて駆動期間TS1を長くすることで、駆動期間TS1において画素P1jにデータ電圧VID1を正確に書き込むと共に画素P2j〜P8jをプリチャージする期間を確保できる。例えば、駆動期間TS1の長さを、図3のプリチャージ期間Tpreの長さと同じ(略同一を含む)に設定すればよい。
【0057】
また本実施形態では、D/A変換回路120は、第1〜第8の表示データ(第1〜第nの表示データ)をD/A変換して第1〜第8のD/A変換電圧(第1〜第nのD/A変換電圧)を時分割に出力する。そしてアンプ回路AMiは、第1〜第8のD/A変換電圧に対応するデータ電圧VID1〜VID8(第1〜第nのデータ電圧)を駆動期間TS1〜TS8(第1〜第nの駆動期間)において時分割に出力する。
【0058】
例えば図2の画素P1j〜P8jを駆動する水平走査期間では、第1〜第8の表示データは、画素P1j〜P8jを駆動するデータ電圧に対応した表示データである。
【0059】
本実施形態によれば、D/A変換回路120により時分割に第1〜第8のD/A変換電圧が出力され、アンプ回路AMiによりデータ電圧VID1〜VID8が駆動期間TS1〜TS8において時分割に出力される。また本実施形態では、スイッチ制御信号出力回路160により駆動期間TS1においてスイッチ制御信号SEL1〜SEL8がアクティブにされ、駆動期間TS2〜TS8においてスイッチ制御信号SEL2〜SEL8が順次にアクティブにされる。このようにして、画素P1j〜P8j及びデータ線SL1〜SL8を時分割に駆動するデマルチプレクス駆動が実現される。
【0060】
また本実施形態では、アンプ回路AMiは、水平走査期間THSでは正極性及び負極性の一方の極性のデータ電圧VID1〜VID8を出力し、その水平走査期間THSの1フレーム後の水平走査期間では正極性及び負極性の他方の極性のデータ電圧VID1〜VID8を出力する。
【0061】
即ち、水平走査期間THSにおいてアンプ回路AMiが正極性のデータ電圧VID1〜VID8を出力した場合、その1フレーム後の水平走査期間ではアンプ回路AMiが負極性のデータ電圧VID1〜VID8を出力する。一方、水平走査期間THSにおいてアンプ回路AMiが負極性のデータ電圧VID1〜VID8を出力した場合、その1フレーム後の水平走査期間ではアンプ回路AMiが正極性のデータ電圧VID1〜VID8を出力する。
【0062】
このような極性反転駆動を行う場合、負極性のデータ電圧で充電された画素容量を正極性のデータ電圧で充電し、或いは正極性のデータ電圧で充電された画素容量を負極性のデータ電圧で充電する必要がある。このため、画素への書き込み時間が長くなる、或いは画素に書き込んだデータ電圧の誤差が大きくなる可能性がある。このような場合、図3で説明したように、画素を駆動するデータ電圧と同極性のプリチャージ電圧で画素をプリチャージすることで、書き込み補助を行うことができる。即ち、書き込み時間を短縮したり、或いは画素に書き込んだデータ電圧の誤差を小さくできる。しかしながら、プリチャージ期間を画素の駆動期間とは別に設けると、1画素あたりの駆動時間が短くなるという問題がある。本実施形態では、水平走査期間の最初の画素に書き込むデータ電圧でプリチャージを行うことで、1画素あたりの駆動時間を短縮することなく書き込み補助を行うことができる。
【0063】
なお、正極性のデータ電圧とは、コモン電圧よりも高い電圧のデータ電圧であり、負極性のデータ電圧とは、コモン電圧よりも低い電圧のデータ電圧である。また、1フレーム後の水平走査期間とは、あるフレームのある水平走査期間において走査線GLjが駆動される場合に、その次のフレームにおいて走査線GLjが駆動される水平走査期間のことである。
【0064】
3.プリチャージ動作の種々の例
図5は、デマルチプレクス駆動における駆動順番のローテーションを行う場合の動作を説明する第1のタイミングチャートである。
【0065】
図5では、水平走査期間THSAの駆動期間TS1においてスイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID2を出力する。駆動期間TS2では、スイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL3を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID3を出力する。駆動期間TS2では、スイッチ制御信号SEL1、SEL2、SEL4〜SEL8は非アクティブである。同様に、駆動期間TS3、TS4、TS5、TS6、TS7、TS8では、スイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL4、SEL5、SEL6、SEL7、SEL8、SEL1を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID4、VID5、VID6、VID7、VID8、VID1を出力する。
【0066】
水平走査期間THSAの次の水平走査期間THSBでは、駆動期間TS1においてスイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID3を出力する。駆動期間TS2、TS3、TS4、TS5、TS6、TS7、TS8では、スイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL4、SEL5、SEL6、SEL7、SEL8、SEL1、SEL2を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID4、VID5、VID6、VID7、VID8、VID1、VID2を出力する。
【0067】
水平走査期間THSBの次の水平走査期間THSCでは、駆動期間TS1においてスイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID4を出力する。駆動期間TS2、TS3、TS4、TS5、TS6、TS7、TS8では、スイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL5、SEL6、SEL7、SEL8、SEL1、SEL2、SEL3を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID5、VID6、VID7、VID8、VID1、VID2、VID3を出力する。
【0068】
以降、同様にして水平走査期間の最初に駆動される画素が1フレーム毎に1つずつシフトしていき、8フレームで一巡する。なお、水平走査期間THSAの前の水平走査期間では、図4と同様に水平走査期間の最初の駆動期間TS1においてスイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID1を出力する。
【0069】
以上の図5の例では基本的な画素の駆動順はP1j、P2j、P3j、P4j、P5j、P6j、P7j、P8jであり、水平走査期間の最初に駆動される画素がローテーションされる。そして、そのローテーションにおいて最初に駆動される画素のデータ電圧でプリチャージが行われる。
【0070】
図6は、デマルチプレクス駆動における駆動順番のローテーションを行う場合の動作を説明する第2のタイミングチャートである。
【0071】
図6では、水平走査期間THSDの駆動期間TS1においてスイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID4を出力する。駆動期間TS2では、スイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL3を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID3を出力する。駆動期間TS2では、スイッチ制御信号SEL1、SEL2、SEL4〜SEL8は非アクティブである。同様に、駆動期間TS3、TS4、TS5、TS6、TS7、TS8では、スイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL6、SEL5、SEL8、SEL2、SEL7、SEL1を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID6、VID5、VID8、VID2、VID7、VID1を出力する。
【0072】
水平走査期間THSDの次の水平走査期間THSEでは、駆動期間TS1においてスイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID3を出力する。駆動期間TS2、TS3、TS4、TS5、TS6、TS7、TS8では、スイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL6、SEL5、SEL8、SEL2、SEL7、SEL1、SEL4を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID6、VID5、VID8、VID2、VID7、VID1、VID4を出力する。
【0073】
水平走査期間THSEの次の水平走査期間THSFでは、駆動期間TS1においてスイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID6を出力する。駆動期間TS2、TS3、TS4、TS5、TS6、TS7、TS8では、スイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL5、SEL8、SEL2、SEL7、SEL1、SEL4、SEL3を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID5、VID8、VID2、VID7、VID1、VID4、VID3を出力する。
【0074】
以降、同様にして水平走査期間の最初に駆動される画素が1フレーム毎に1つずつシフトしていき、8フレームで一巡する。なお、水平走査期間THSDの前の水平走査期間では、水平走査期間の最初の駆動期間TS1においてスイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID1を出力する。駆動期間TS2、TS3、TS4、TS5、TS6、TS7、TS8では、スイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL4、SEL3、SEL6、SEL5、SEL8、SEL2、SEL7を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID4、VID3、VID6、VID5、VID8、VID2、VID7を出力する。
【0075】
以上の図6の例では基本的な画素の駆動順はP1j、P4j、P3j、P6j、P5j、P8j、P2j、P7jであり、水平走査期間の最初に駆動される画素がローテーションされる。そして、そのローテーションにおいて最初に駆動される画素のデータ電圧でプリチャージが行われる。
【0076】
以上の実施形態では、スイッチ制御信号出力回路160は、水平走査期間の駆動期間TS1において、スイッチSD1とは異なるスイッチSDp(第pのスイッチ(pは2以上n以下の整数))を含む2以上のスイッチをオンにするスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力する。そしてアンプ回路AMiは、駆動期間TS1において、データ電圧VIDp(第pのデータ電圧)を出力する。
【0077】
図5の例では、水平走査期間THSAの駆動期間TS1においてスイッチSD2を含む2以上のスイッチがオンになり、アンプ回路AMiによりデータ電圧VID2が出力される。また図6の例では、水平走査期間THSDの駆動期間TS1においてスイッチSD4を含む2以上のスイッチがオンになり、アンプ回路AMiによりデータ電圧VID4が出力される。ここでの水平走査期間THSA、THSDは、駆動期間TS1においてスイッチSD1を含む2以上のスイッチがオンになる水平走査期間の次の水平走査期間である。ここで、「次の水平走査期間」とは、ある水平走査期間において駆動される走査線(図2のGLj)の次の走査線(GLj+1)が駆動される水平走査期間のことである。
【0078】
本実施形態によれば、デマルチプレクス駆動における駆動順番のローテーションを行う場合において、その駆動順番に合わせたプリチャージ動作を行うことができる。即ち、水平走査期間において駆動順番が最初の画素を駆動する駆動期間TS1において、その画素にデータ電圧を書き込むと共に、そのデータ電圧で1以上の画素(及び、その画素に接続されるデータ線)をプリチャージできる。
【0079】
なお、図5図6では駆動期間TS1においてデマルチプレクサーDMXのスイッチSD1〜SD8の全てがオンであるが、これに限定されず、水平走査期間THSA〜THSFの最初の駆動期間でオンになるスイッチを含む2以上のスイッチがオンであればよい。
【0080】
図7は、プリチャージを複数回に分けて行う場合の動作を説明するタイミングチャートである。
【0081】
図7では、水平走査期間THSの駆動期間TS1においてスイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL1〜SEL4を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID1を出力する。駆動期間TS1においてスイッチ制御信号SEL5〜SEL8は非アクティブである。水平走査期間THSにおいて画素P1j〜P8jが選択されている場合、画素P1j〜P4j及びデータ線SL1〜SL4がデータ電圧VID1で充電される。駆動期間TS2、TS3、TS4では、スイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL2、SEL3、SEL4を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID2、VID3、VID4を出力する。
【0082】
駆動期間TS5においてスイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL5〜SEL8を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID5を出力する。駆動期間TS5においてスイッチ制御信号SEL1〜SEL4は非アクティブである。水平走査期間THSにおいて画素P1j〜P8jが選択されている場合、画素P5j〜P8j及びデータ線SL5〜SL8がデータ電圧VID5で充電される。駆動期間TS6、TS7、TS8では、スイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL6、SEL7、SEL8を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID6、VID7、VID8を出力する。
【0083】
以上の実施形態では、スイッチ制御信号出力回路160は、駆動期間TS1(第1の駆動期間)において、第1〜第kのスイッチ(kは2以上n−2以下の整数)をオンにするスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力する。アンプ回路AMiは、駆動期間TS1において、データ電圧VID1(第1のデータ電圧)を出力する。また、第k+1の駆動期間において、第k+1〜第qのスイッチ(qはk+2以上n以下の整数)をオンにするスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力する。アンプ回路AMiは、第k+1の駆動期間において、第k+1のデータ電圧を出力する。
【0084】
図7の例では、第1〜第kのスイッチはスイッチSD1〜SD4に対応する。また、第k+1の駆動期間は駆動期間TS5に対応し、第k+1〜第qのスイッチはスイッチSD5〜SD8に対応し、第k+1のデータ電圧はデータ電圧VID5に対応する。第1の駆動期間(TS1)の長さは第2〜第kの駆動期間(図7ではTS2〜TS4)の長さよりも長く、第k+1の駆動期間(図7ではTS5)の長さは第k+2〜第qの駆動期間(図7ではTS5〜TS8)の長さよりも長い。
【0085】
本実施形態によれば、水平走査期間に駆動するn個の画素を複数グループに分割し、そのグループ毎にプリチャージできる。例えば図7では、8個の画素P1j〜P8jを画素P1j〜P4jのグループと画素P5j〜P8jのグループに分割し、そのグループ毎にプリチャージできる。プリチャージにおけるアンプ回路AMiの負荷が低減されるので、プリチャージ期間と兼用する駆動期間TS1、TS5において画素に書き込んだデータ電圧の誤差を低減できる。或いは、プリチャージ期間と兼用する駆動期間TS1、TS5の長さを、図4の駆動期間TS1の長さに比べて低減できる。
【0086】
図8は、データ電圧が書き込まれる画素の次の駆動順番の画素をデータ電圧でプリチャージする場合の動作を説明するタイミングチャートである。
【0087】
図8では、水平走査期間THSの駆動期間TS1においてスイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL1、SEL2を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID1を出力する。駆動期間TS1においてスイッチ制御信号SEL3〜SEL8は非アクティブである。水平走査期間THSにおいて画素P1j〜P8jが選択されている場合、画素P1j、P2j及びデータ線SL1、SL2がデータ電圧VID1で充電される。駆動期間TS2では、スイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL2、SEL3を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID2を出力する。以降、画素の駆動及び次の順番の画素へのプリチャージを、駆動期間TS7まで順次に繰り返す。駆動期間TS8では、スイッチ制御信号出力回路160がアクティブのスイッチ制御信号SEL8を出力し、アンプ回路AMiがデータ電圧VID8を出力する。駆動期間TS1においてスイッチ制御信号SEL1〜SEL7は非アクティブである。
【0088】
以上の実施形態では、スイッチ制御信号出力回路160は、第rの駆動期間(rは1以上n−1以下の整数)において、第rのスイッチ及び第r+1のスイッチをオンにするスイッチ制御信号SEL1〜SEL8を出力する。そしてアンプ回路AMiは、第rの駆動期間において、第rのデータ電圧を出力する。
【0089】
図8の例では、第rの駆動期間は駆動期間TSr(rは1以上7以下の整数)に対応する。また第rのスイッチはSDrに対応し、第r+1のスイッチはSDr+1に対応する。また第rのデータ電圧はVIDrに対応する。例えば駆動期間TS1ではスイッチSD1、SD2をオンにするスイッチ制御信号SEL1〜SEL8が出力され、アンプ回路AMiによりデータ電圧VID1が出力される。
【0090】
本実施形態によれば、画素にデータ電圧を書き込む際に、そのデータ電圧で次の駆動順番の画素をプリチャージできる。同じ水平走査期間におけるデータ電圧の極性は同じなので、次の駆動順番の画素に書き込まれるデータ電圧と同じ極性のデータ電圧でプリチャージされ、書き込み補助を行うことができる。また、アンプ回路AMiが2画素ずつ駆動していくため、各画素へのデータ電圧の書き込みに際してアンプ回路AMiの負荷のばらつきを小さくできる。また、アンプ回路AMiが2画素ずつ駆動できればよいので、アンプ回路AMiの回路規模や消費電力を削減したり、駆動期間TS1〜TS8の長さを短くできる可能性がある。
【0091】
4.電気光学装置、電子機器
図9は、表示ドライバー10を含む電気光学装置350の構成例である。電気光学装置350は、表示ドライバー10、電気光学パネル200を含む。
【0092】
電気光学パネル200は、例えばアクティブマトリックス型の液晶表示パネルである。例えば表示ドライバー10はフレキシブル基板に実装され、そのフレキシブル基板が電気光学パネル200に接続され、フレキシブル基板に形成された配線によって表示ドライバー10の画像信号出力端子と電気光学パネル200の画像信号入力端子とが接続される。或いは、表示ドライバー10はリジッド基板(プリント基板)に実装され、リジッド基板と電気光学パネル200とがフレキシブル基板により接続され、フレキシブル基板に形成された配線によって表示ドライバー10の画像信号出力端子と電気光学パネル200の画像信号入力端子とが接続されてもよい。
【0093】
図10は、表示ドライバー10を含む電子機器300の構成例である。電子機器300は、処理装置310、表示コントローラー320、表示ドライバー10、電気光学パネル200、記憶部330(記憶装置、メモリー)、通信部340(通信回路、通信装置)、操作部360(操作装置)を含む。電子機器300の具体例としては、例えばプロジェクターやヘッドマウントディスプレイ、携帯情報端末、車載装置(例えばメーターパネル、カーナビゲーションシステム等)、携帯型ゲーム端末、情報処理装置等の、表示装置を搭載する種々の電子機器を想定できる。
【0094】
操作部360は、ユーザーからの種々の操作を受け付けるユーザーインターフェースである。例えば、ボタンやマウスやキーボード、電気光学パネル200に装着されたタッチパネル等である。通信部340は、画像データや制御データの入出力を行うデータインターフェースである。通信部340は、例えば無線LANや近距離無線通信等の無線通信インターフェース、或いは有線LANやUSB等の有線通信インターフェースである。記憶部330は、例えば通信部340から入力されたデータを記憶したり、或いは、処理装置310のワーキングメモリーとして機能したりする。記憶部330は、例えばRAMやROM等のメモリー、或いはHDD等の磁気記憶装置、或いはCDドライブ、DVDドライブ等の光学記憶装置等である。表示コントローラー320は、通信部340から入力された或いは記憶部330に記憶された画像データ(表示データ)を処理して表示ドライバー10に転送する。表示ドライバー10は、表示コントローラー320から転送された画像データに基づいて電気光学パネル200に画像を表示させる。処理装置310は、電子機器300の制御処理や、種々の信号処理等を行う。処理装置310は、例えばCPUやMPU等のプロセッサー、或いはASIC等である。
【0095】
例えば電子機器300がプロジェクターである場合、電子機器300は更に光源と光学装置(例えばレンズ、プリズム、ミラー等)とを含む。電気光学パネル200が透過型である場合、光学装置が光源からの光を電気光学パネル200に入射させ、電気光学パネル200を透過した光をスクリーンに投影させる。電気光学パネル200が反射型である場合、光学装置が光源からの光を電気光学パネル200に入射させ、電気光学パネル200から反射された光をスクリーンに投影させる。
【0096】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。また表示ドライバー、電気光学装置、電子機器の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0097】
10…表示ドライバー、110…駆動回路、120…D/A変換回路、130…処理回路、140…インターフェース回路、150…制御回路、160…スイッチ制御信号出力回路、200…電気光学パネル、300…電子機器、310…処理装置、320…表示コントローラー、330…記憶部、340…通信部、350…電気光学装置、360…操作部、AM1〜AM80…アンプ回路、DLi…画像信号線、DMX…デマルチプレクサー、GL1〜GL480…走査線、P1j〜P8j…画素、SD1〜SD8…スイッチ、SEL1〜SEL8…スイッチ制御信号、SL1〜SL8…データ線、THS,THSA〜THSF…水平走査期間、TIi…画像信号入力端子、TQ1〜TQ80…画像信号出力端子、TS1〜TS8…駆動期間、TSQ1〜TSQ8…スイッチ制御信号出力端子、VID1〜VID8…データ電圧、VQ1〜VQ80…電圧
図1
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