(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
[表面プラズモン励起増強蛍光測定装置]
(測定装置の構成)
まず、SPFSを利用して被測定物質を測定する表面プラズモン励起増強蛍光測定装置(以下「測定装置」ともいう)について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る表面プラズモン励起増強蛍光測定装置100の構成を示す模式図である。
【0015】
図1に示されるように、測定装置100は、前処理室110、測定室120、送液部130、チップ搬送部140、光源ユニット150、励起光光学系160、チップホルダー170、測定光光学系180、測定光検出部190、反射光検出部200、制御演算部210および表示部220を有する。
【0016】
測定装置100では、チップホルダー170にセンサチップ300を装着した状態で、被測定物質の測定が行われる。ここで「被測定物質の測定」とは、被測定物質の存在の検出または被測定物質の量の検出の少なくとも一方を行うことを意味する。後述するように、センサチップ300は、入射面312、反射面314および出射面316を有するプリズム310と、反射面314に形成された導電体膜320と、導電体膜320上に配置された捕捉体330と、導電体膜320上に配置された流路部材340とを有する(
図2参照)。センサチップ300は、試料液や蛍光標識液、緩衝液などの液体を流路342内に注入される時には前処理室110内に配置され(
図1において二点鎖線で示す)、測定時には測定室120内に配置される(
図1において実線で示す)。
【0017】
測定時には、光源ユニット150から出射された励起光αは、励起光光学系160によりセンサチップ300へ導かれる。センサチップ300に励起光αが入射している間は、センサチップ300から測定光βおよび反射光γが出射される。測定光βは、測定光光学系180により測定光検出部190へ導かれる。反射光γは、反射光検出部200へ導かれる。
【0018】
以下、表面プラズモン励起増強蛍光測定装置100の各構成要素について説明する。
【0019】
送液部130は、前処理室110内において、センサチップ300の流路342内に試料液や蛍光標識液、洗浄液などの液体を注入するか、または流路342内の液体を流路342外に排出する。送液部130は、例えば、送液ポンプ132および送液ポンプ搬送部134を有する。また、前処理室110内には、試料液や蛍光標識液、洗浄液などが分注された試薬チップ136も配置されている。送液ポンプ132は、試薬チップ136またはセンサチップ300から液体を吸引し、試薬チップ136またはセンサチップ300に液体を吐出する。たとえば、送液ポンプ132は、試薬チップ136の1つのウェルから液体を吸引し、センサチップ300の流路342内に液体を吐出する。場合によっては、送液ポンプ132は、試薬チップ136の1つのウェルから液体を吸引し、試薬チップ136の別のウェルに液体を吐出することもある。送液ポンプ搬送部134は、送液ポンプ132の動作に応じて、送液ポンプ132を試薬チップ136上またはセンサチップ300上に移動させる。
【0020】
チップ搬送部140は、前処理時にはセンサチップ300を前処理室110内に搬送し、測定時にはセンサチップ300を測定室120内に搬送する。測定室120内に搬送されたセンサチップ300は、チップホルダー170に保持される。
【0021】
光源ユニット150は、コリメートされ、波長および光量が一定の励起光αを出射する。光源ユニット150は、例えば、励起光源としてのレーザーダイオードと、レーザーダイオードから出射された励起光αをコリメートするコリメーターと、励起光αの波長および光量を一定にするための温度調整回路とを有する(いずれも不図示)。レーザーダイオードから出射される励起光αの波長および光量は、温度によって変化する。このため、温度調整回路は、コリメートされた後の励起光αから分岐させた光の光量をフォトダイオードなどにより監視し、励起光αの波長および光量が一定となるようにレーザーダイオードの温度を調整する。レーザーダイオードから出射される励起光αは、通常、直線偏光である。
【0022】
光源ユニット150に含まれる光源の種類は、特に限定されず、レーザーダイオードでなくてもよい。光源の例には、発光ダイオード、水銀灯、その他のレーザー光源が含まれる。光源から出射される光がビームでない場合は、光源から出射される光は、レンズや鏡、スリットなどによりビームに変換される。また、光源から出射される光が単色光でない場合は、光源から出射される光は、回折格子などにより単色光に変換される。さらに、光源から出射される光が直線偏光でない場合は、光源から出射される光は、偏光子などにより直線偏光の光に変換される。
【0023】
励起光光学系160は、光源ユニット150から出射された励起光αの各種パラメータを調整した上で、プリズム310と導電体膜320の界面(プリズム310の反射面314)で励起光αが全反射されるように、励起光αをセンサチップ300に導く。
図1に示されるように、励起光光学系160は、例えば、第1整波器162、偏光方向調整部164、整形光学系166および入射角調整部168を有する。
【0024】
第1整波器162は、励起光αを整波する。第1整波器162は、例えば、第1バンドパスフィルタ、直線偏光フィルタおよび減光フィルタを含む(いずれも不図示)。第1バンドパスフィルタは、励起光αを中心波長のみの狭帯域光にする。直線偏光フィルタは、励起光αを完全な直線偏光の光にする。減光フィルタは、励起光αの光量を調整する。
【0025】
偏光方向調整部164は、導電体膜320に主にP波成分が入射するように励起光αの偏光方向を調整する。偏光方向調整部164は、例えば、半波長板および半波長板回転部を含む(いずれも不図示)。半波長板は、半波長板回転部により回転させられる。半波長板を透過する励起光αの偏光方向は、半波長板の回転角により調整される。
【0026】
整形光学系166は、プリズム310と導電体膜320の界面(導電体膜320表面)における照射スポットの形状が所定サイズの円形となるように、励起光αのビーム径や輪郭形状などを調整する。整形光学系166は、例えばスリットやズーム光学系などである。
【0027】
入射角調整部168は、プリズム310と導電体膜320の界面(プリズム310の反射面314)への励起光αの入射角θ(
図1参照)を調整する。入射角調整部168は、例えば、反射鏡、反射鏡角度調整部および反射鏡位置調整部を含む(いずれも不図示)。反射鏡角度調整部は、反射鏡を回転させることで、励起光αの入射角θを調整する。反射鏡位置調整部は、入射角θの変化による照射スポットの移動を相殺するように、反射鏡を移動させる。これにより、照射スポットの位置を変えることなく、入射角θのみを調整することができる。
【0028】
チップホルダー170は、測定室120内においてセンサチップ300を保持する。センサチップ300は、チップホルダー170に保持された状態で、励起光光学系160からの励起光αを照射される。このとき、導電体膜320のプリズム310と対向しない面からは、励起光αと同一波長の散乱光や蛍光物質から放出された蛍光などの測定光βが上方に放出される。また、プリズム310と導電体膜320の界面で反射した励起光αは、反射光γとして出射面316から出射される(
図2参照)。
【0029】
測定光光学系180は、センサチップ300から上方に出射される測定光βを測定光検出部190に導く。測定光光学系180は、チップホルダー170に保持されたセンサチップ300の導電体膜320のプリズム310と対向しない面に対向するように配置されている。より具体的には、測定光光学系180は、導電体膜320表面における励起光αの照射スポットを通り、かつ導電体膜320表面に垂直な直線上に配置されている。測定光光学系180は、例えば、集光レンズ、第2整波器および結像レンズを含む(いずれも不図示)。
【0030】
集光レンズおよび結像レンズは、迷光の影響を受けにくい共役光学系を構成する。集光レンズと結像レンズとの間を進行する光は、略平行光となる。集光レンズおよび結像レンズは、導電体膜320上の測定光βの像(例えば、蛍光像)を測定光検出部190の受光面上に結像させる。
【0031】
第2整波器は、集光レンズおよび結像レンズの間に位置するように配置される。第2整波器は、励起光αの波長の光を遮ることで、蛍光の波長以外の光(例えば、光源ユニット150からの漏れ光や、導電体膜320からの励起光αと同一波長の散乱光など)が測定光検出部190に到達することを防ぐ。すなわち、第2整波器は、測定光検出部190に到達する光からノイズ成分を除去し、蛍光の検出精度および感度の向上に寄与する。第2整波器は、例えば、第2バンドパスフィルタおよび挿抜部を含む。第2バンドパスフィルタの位置は、挿抜部により切り替えられる。蛍光の光量を測定する場合は、第2バンドパスフィルタは、測定光βの光路へ挿入される。一方、励起光αと同一波長の散乱光(後述するプラズモン散乱光)の光量を測定する場合は、第2バンドパスフィルタは、測定光βの光路から抜去される。
【0032】
挿抜部は、さらに集光レンズおよび結像レンズの間に減光フィルタを挿抜してもよい。蛍光の光量を測定する場合は、減光フィルタは、測定光βの光路から抜去される。一方、励起光αと同一波長の散乱光(プラズモン散乱光)の光量を測定する場合は、減光フィルタは、測定光βの光路へ挿入される。これにより、測定光検出部190へ導かれる蛍光およびプラズモン散乱光の光量の差が小さくなるため、測定光検出部190における光量の測定が容易になる。
【0033】
測定光検出部190は、導電体膜320上の測定光βの像を取得し、測定光βの光量を測定する。たとえば、測定光検出部190は、導電体膜320上の蛍光の光量およびプラズモン散乱光の光量を測定する。測定光検出部190は、例えば、光電子増倍管や冷却電荷結合素子(CCD)カメラなどである。
【0034】
反射光検出部200は、反射光γの光量を測定する。反射光検出部200は、例えば、光電子増倍管や冷却電荷結合素子(CCD)カメラなどである。
【0035】
制御演算部210は、各駆動部の制御や、測定光検出部190および反射光検出部200における受光量の定量化などを一元的に行う。制御演算部210は、例えば、ソフトウェアを実行するコンピュータである。
【0036】
表示部220は、制御演算部210と接続されており、測定状況や測定結果などを表示する。
【0037】
(センサチップの構成)
次に、測定装置100のチップホルダー170に装着されるセンサチップ300について説明する。
図2は、センサチップ300の断面図である。
【0038】
図2に示されるように、センサチップ300は、プリズム310、導電体膜320、捕捉体330および流路部材340を有する。センサチップ300は、通常、被測定物質の測定ごとに交換される。センサチップ300は、好ましくは、各片の長さが数mm〜数cmである構造物であるが、「チップ」の範疇に含まれないより小型の構造物またはより大型の構造物であってもよい。
【0039】
プリズム310は、励起光αに対して透明な誘電体からなる。プリズム310は、励起光光学系160からの励起光αをプリズム310の内部に入射させる入射面312と、プリズム310の内部に入射した励起光αを反射する反射面314と、反射面314で反射した励起光αをプリズム310の外部に出射させる出射面316とを有する。プリズム310の形状は、特に限定されないが、例えば台形を底面とする柱体である。この場合、台形の一方の底辺に対応する面が反射面314であり、一方の脚に対応する面が入射面312であり、他方の脚に対応する面が出射面316である。底面となる台形は、等脚台形であることが好ましい。これにより、入射面312と出射面316とが対称になり、反射光γのS波成分がプリズム310内に滞留しにくくなる。たとえば、入射面312と反射面314との角度および反射面314と出射面316との角度は、いずれも約80°である。プリズム310の材料の例には、樹脂およびガラスが含まれる。プリズム310の材料は、好ましくは、屈折率が1.4〜1.6であり、かつ複屈折が小さい樹脂である。
【0040】
導電体膜320は、プリズム310の反射面314上に形成されている。導電体膜320は、励起光αがプリズム310の反射面314で全反射することにより生じるエバネッセント光(増強電場)を増幅させる。すなわち、反射面314上の導電体膜320に表面プラズモン共鳴を生じさせることにより、導電体膜320の無い面(反射面314)で励起光αを全反射させてエバネッセント光を生じさせる場合に比べ、形成されるエバネッセント光を増幅させることができる。導電体膜320の材料は、表面プラズモン共鳴を生じさせることができれば特に限定されない。導電体膜320の材料の例には、金や銀、銅、アルミニウムなどの金属、これらの合金が含まれる。導電体膜320の形成方法は、特に限定されない。導電体膜320の形成方法の例には、スパッタリング、蒸着、メッキが含まれる。導電体膜320の厚みは、特に限定されないが、30〜70nmの範囲内が好ましい。
【0041】
捕捉体330は、導電体膜320のプリズム310と対向しない面上に固定されており、被測定物質を捕捉する。捕捉体330は、導電体膜320上の所定の領域に均一に固定されている。捕捉体の種類は、被測定物質を特異的に捕捉することができれば特に限定されない。たとえば、捕捉体は、被測定物質に特異的に結合する抗体またはその断片である。
【0042】
流路部材340は、導電体膜320のプリズム310と対向しない面上に配置されている。導電体膜320がプリズム310の反射面314の一部にのみ形成されている場合は、流路部材340は、反射面314上に配置されていてもよい。流路部材340は、導電体膜320(およびプリズム310)と共に、試料液などの液体が流れる流路342を形成する。流路342の途中には、反応室344が存在する。捕捉体330は、反応室344に露出している。流路342の両端は、流路部材340の上面に形成された注入口346および排出口348とそれぞれ接続されている。流路342内へ試料液や蛍光標識液などの液体が注入されると、反応室344内において、これらの液体は捕捉体330に接触する。流路部材340は、測定光β(例えば、蛍光やプラズモン散乱光など)に対して透明な材料からなる。流路部材340の材料の例には、樹脂が含まれる。流路部材340は、例えば、接着剤による接着や、レーザー溶着、超音波溶着、クランプ部材を用いた圧着などにより導電体膜320またはプリズム310に接合されている。
【0043】
図2に示されるように、プリズム310へ導かれた励起光αは、入射面312からプリズム310内に入射する。プリズム310内に入射した励起光αは、反射面314(プリズム310と導電体膜320との界面)で全反射され、反射光γとなる。反射光γは、出射面316からプリズム310外に出射される。一方、導電体膜320および捕捉体330からは、測定光β(例えば、蛍光やプラズモン散乱光など)が、測定光光学系180の方向へ出射される。反射面314に励起光αが全反射条件を満たして入射し、かつ反射面314からしみ出すエバネッセント光と導電体膜320中のプラズモンとが共鳴する場合は、導電体膜320によりエバネッセント光の電場が増強され、蛍光およびプラズモン散乱光の光量が増加する。
【0044】
(測定の手順)
次に、測定装置100の測定動作について説明する(特許文献1,2も参照)。
図3は、測定装置100の測定手順の一例を示すフローチャートである。
【0045】
まず、測定の準備をする(工程S10)。具体的には、センサチップ300および試薬チップ136を準備し、それぞれ前処理室110内の所定の場所に設置する。制御演算部210は、送液部130を制御して、試料液や蛍光標識液などを必要に応じて調製して、試薬チップ136に分注する。
【0046】
次いで、試料液中の被測定物質と捕捉体330とを反応させる(1次反応、工程S20)。具体的には、制御演算部210は、送液部130に、センサチップ300の流路342に試料液を注入させる。試料液が流路342に注入されると、試料液が捕捉体330に接触する。試料液中に被測定物質が存在する場合は、被測定物質の少なくとも一部は捕捉体330により捕捉される。この後、流路342内を緩衝液などで洗浄し、捕捉体330に捕捉されなかった物質を除去する。試料液の種類は、特に限定されない。試料液の例には、血液や血清、血漿、尿、鼻孔液、唾液、精液などの体液およびその希釈液が含まれる。
【0047】
次いで、捕捉体330に捕捉された被測定物質を蛍光物質で標識する(2次反応、工程S30)。具体的には、制御演算部210は、送液部130に、センサチップ300の流路342に蛍光標識液を注入させる。蛍光標識液は、例えば、蛍光物質で標識された抗体(2次抗体)を含む緩衝液である。蛍光標識液が流路342に注入されると、蛍光標識液が捕捉体330に接触する。被測定物質が捕捉体330に捕捉されている場合は、被測定物質の少なくとも一部は、蛍光物質で標識される。この後、流路342内を緩衝液などで洗浄し、遊離の蛍光物質などを除去する。
【0048】
次いで、センサチップ300を測定室120内に搬送する(工程S40)。具体的には、制御演算部210は、チップ搬送部140に、センサチップ300を測定室120内に搬送させる。センサチップ300は、チップホルダー170に装着される。
【0049】
次いで、所定の入射角θとなるように励起光αをセンサチップ300に照射して、蛍光物質から放出される蛍光の光量を測定する(工程S50)。具体的には、制御演算部210は、センサチップ300の反射面314(プリズム310と導電体膜320との界面)において励起光αが全反射するように、光源ユニット150および励起光光学系160に励起光αを出射させる。これにより、エバネッセント光で励起された蛍光物質から放出された蛍光(測定光β)が、センサチップ300の上方に放出される。同時に、制御演算部210は、測定光検出部190に蛍光(測定光β)の光量を測定させる。また、制御演算部210は、検出値を記憶すると共に、表示部220に表示させる(工程S60)。蛍光の光量は、必要に応じて、被測定物質の量や濃度などに換算される。
【0050】
最後に、制御演算部210は、測定装置100全体を初期化して、一連の測定を終了する(工程S70)。このとき、入射角調整部168などの可動物は、初期位置に復帰させられる。
【0051】
以上の手順により、試料液中の被測定物質の存在または被測定物質の量を検出することができる。
【0052】
なお、今回は特に説明しないが、1次反応(工程S20)の前、または1次反応(工程S20)と2次反応(工程S30)との間に、励起光αの最適な入射角θ(以下「測定角θm」ともいう)を決定しておくことが好ましい(特許文献1,2参照)。具体的には、導電体膜320に対する励起光αの入射角θを走査しつつ、励起光αと同一波長の測定光βまたは反射光γを測定し、増強角または共鳴角を決定する(増強角および共鳴角の定義について後述する)。この増強角または共鳴角をそのまま測定角θmとしてもよいし、増強角または共鳴角を補正した値を測定角θmとしてもよい。
【0053】
また、1次反応(工程S20)の前、または1次反応(工程S20)と2次反応(工程S30)との間に、励起光αの照射スポットの位置の最適化や、励起光αの偏光方向の最適化、自家蛍光の光量の測定なども行うことが好ましい(特許文献1,2参照)。
【0054】
また、上記の説明では、被測定物質と捕捉体330とを反応させる工程(1次反応、工程S20)の後に、被測定物質を蛍光物質で標識する工程(2次反応、工程S30)を行った(2工程方式)。しかしながら、被測定物質を蛍光物質で標識するタイミングは、特に限定されない。たとえば、センサチップ300の流路342に試料液を注入する前に、試料液に蛍光物質を添加して被測定物質を予め蛍光物質で標識しておいてもよい。また、センサチップ300の流路342に試料液と蛍光物質を同時に注入してもよい。前者の場合は、センサチップ300の流路342に試料液を注入することで、蛍光物質で標識されている被測定物質が捕捉体330により捕捉される。後者の場合は、被測定物質が蛍光物質で標識されるとともに、被測定物質が捕捉体330により捕捉される。いずれの場合も、センサチップ300の流路342に試料液を注入することで、1次反応および2次反応の両方を完了することができる(1工程方式)。
【0055】
[測定異常の検出方法]
本発明に係る測定異常の検出方法は、SPFSを利用した測定における測定異常を検出することができる。ここで「測定異常」とは、SPFSを利用した測定の信頼性を低下させる事象を意味する。測定異常の例には、センサチップにおける導電体膜の欠陥や、センサ領域表面の異常、センサ領域における反応の異常などが含まれる。まず、上述のセンサチップ300(
図2)を参照して、測定異常について説明する。
【0056】
導電体膜の欠陥は、例えば、導電体膜320の円形隆起(
図6参照)や導電体膜320の剥離などである。これらの欠陥は、例えば、センサチップ300の保管や流路342内への送液などにより生じる。このように導電体膜320に欠陥が発生すると、測定時における電場のバラつきや、背景光の増大、被測定物質の捕捉率の低下などが生じ、測定結果の信頼性が低下してしまう。
【0057】
センサ領域表面の異常は、例えば、捕捉体330からなる層またはこの層を支持するために導電体膜320上に設けられた中間層の腐食や、センサ領域(導電体膜320および捕捉体330)表面への異物の付着などである。これらの異常は、例えば、センサチップ300の保管中におけるカビの発生または異物の付着、流路342内の洗浄不足などにより生じる。このようにセンサ領域表面に異常が発生すると、測定時における電場のバラつきや、被測定物質の捕捉率の低下などが生じ、測定結果の信頼性が低下してしまう。
【0058】
センサ領域における反応の異常は、例えば、試料液に由来する異物のセンサ領域表面への付着などである。これらの異常は、例えば、流路342内への試料液の注入に伴う夾雑物の非特異的吸着や、流路342内の洗浄不足などにより生じる。ここで「夾雑物」とは、試料液に含まれる被測定物質以外のタンパク質や糖脂質などを意味する。たとえば、試料液が血液またはその希釈液の場合、血球成分は夾雑物に含まれる。このようにセンサ領域における反応の異常が発生すると、測定時に電場のロスが生じてしまい、測定結果の信頼性が低下してしまう。
【0059】
次に、SPFSを利用した測定における測定異常の検出方法について説明する。
【0060】
本実施の形態に係る測定異常の検出方法は、(a−1)センサチップ300を準備する工程と、(b−1)センサチップ300に光を照射し、所定の光学特性値を測定する工程と、(b−2)工程(b―1)で測定された光学特性値に基づき、測定異常を検出する工程と、を含む。また、本実施の形態に係る測定異常の検出方法は、(b−3)工程(b−2)において測定異常を検出した場合、測定を中断する工程、または(b−3’)前記工程(b−2)において測定異常を検出した場合、測定を継続し、かつ測定結果を表示する時に測定異常を通知する工程、をさらに含むことが好ましい。
【0061】
工程(a−1)では、前述のセンサチップ300を準備する。たとえば、センサチップ300を作製してもよいし、センサチップ300を購入してもよい。
【0062】
工程(b−1)では、プリズム310と導電体膜320との界面において全反射するように、プリズム310側から導電体膜320に光を照射し、測定異常の検出のための光学特性値を測定する。この工程で測定する光学特性値の種類は、測定異常を検出することができれば特に限定されない。光学特性値の例には、プラズモン散乱光量、増強角、共鳴角、反射光量、ブランク光量が含まれる。これらの光学特性値は、1種類のみを測定してもよいし、2種類以上を組み合わせて測定してもよい。測定する光学特性値の種類は、検出する測定異常の種類に応じて適宜選択されうる(表1参照)。
【0063】
本願明細書において、測定異常を検出するために測定される「プラズモン散乱光量」とは、プリズム310側から導電体膜320に対し特定の入射角θで励起光αを入射させた場合に、センサチップ300の上方に放出される、励起光αと同一波長の散乱光の光量を意味する。プラズモン散乱光量は、測定光検出部190により測定される。
【0064】
また、測定異常を検出するために測定される「増強角」とは、励起光αの入射角θを走査した場合に、センサチップ300の上方に放出される励起光αと同一波長の散乱光の光量が最大となるときの、入射角を意味する。励起光αの入射角θは、入射角調整部168により調整される。
【0065】
また、測定異常を検出するために測定される「共鳴角」とは、励起光αの入射角θを走査した場合に、センサチップ300の出射面316から出射される反射光γの光量が最小となるときの、入射角を意味する。励起光αの入射角θは、入射角調整部168により調整される。
【0066】
また、測定異常を検出するために測定される「反射光量」とは、励起光αの入射角θを走査した場合に、センサチップ300の出射面316から出射される反射光γの光量の最小値を意味する。反射光量は、反射光検出部200により測定される。共鳴角を測定角θmとした場合、反射光量は、蛍光測定時における反射光γの光量と同じである。
【0067】
また、測定異常を検出するために測定される「ブランク光量」とは、蛍光測定時においてセンサチップ300の上方に放出される背景光の光量を意味する。ブランク光量は、2次反応を行う前に、蛍光測定時と同一の光学条件で測定光検出部190により測定される。
【0068】
工程(b−2)では、工程(b−1)で測定した光学特性値に基づき、測定異常を検出する。たとえば、プラズモン散乱光量、反射光量またはブランク光量が基準値から±50%を超えた場合、測定異常が生じたと判定する。また、増強角または共鳴角が基準値から±0.1°を超えた場合、測定異常が生じたと判定する。基準値は、使用する機材や試料の種類、要求される測定精度などに応じて適宜設定されうる。
【0069】
工程(b−3)では、工程(b−2)において測定異常を検出した場合、その後の工程を取り止めて測定を中断する。このとき、測定を中断した旨をその理由と共に表示部220に表示してもよい。また、工程(b−3)の代わりに工程(b−3’)を行ってもよい。工程(b−3’)では、工程(b−2)において測定異常を検出した場合、その後も測定を継続するが、測定結果を表示する時に測定異常が生じたことを通知する。たとえば、測定中に測定異常を検出した旨を測定結果と共に表示部220に表示してもよい。
【0070】
本実施の形態に係る測定異常の検出方法(以下「測定異常の検査」ともいう)は、被測定物質の測定と組み合せて実施されてもよい。たとえば、被測定物質の測定が前述の1次反応および2次反応を含む「2工程方式」である場合、被測定物質の測定は、(a−1)センサチップ300を準備する工程と、(a−2)試料液中の被測定物質と捕捉体330とを結合させる工程(1次反応)と、(a−3)捕捉体330に結合された被測定物質を蛍光物質で標識する工程(2次反応)と、(a−4)被測定物質を標識する蛍光物質から放出される蛍光の光量を測定する工程(蛍光測定)と、を含む。この場合、工程(b−1)および工程(b―2)を含む測定異常の検査は、センサチップの準備(a−1)と1次反応(a−2)との間に行われてもよいし、1次反応(a−2)と2次反応(a−3)との間に行われてもよいし、2次反応(a−3)と蛍光測定(a−4)との間に行われてもよい。
【0071】
また、被測定物質の測定が前述の「1工程方式」である場合、被測定物質の測定は、(a−1)センサチップ300を準備する工程と、(a−2’)蛍光物質で標識されている被測定物質と捕捉体330とを結合させる工程(以下単に「反応」ともいう)と、(a−4)被測定物質を標識する蛍光物質から放出される蛍光の光量を測定する工程(蛍光測定)と、を含む。工程(a−2’)では、予め蛍光物質で標識されている被測定物質を含む試料を捕捉体330に接触させて、蛍光物質で標識されている被測定物質と捕捉体330とを結合させるか、または、試料および蛍光物質を捕捉体330に接触させて、蛍光物質で前記被測定物質を標識するとともに、被測定物質と捕捉体330とを結合させる。この場合、測定異常の検査は、センサチップの準備(a−1)と反応(a−2’)との間に行われてもよいし、反応(a−2’)と蛍光測定(a−4)との間に行われてもよい。
【0072】
いずれの場合であっても、工程(b−1)は、測定室120内において行われるため、工程(b−1)の前に、センサチップ300は、チップ搬送部140により前処理室110から測定室120内に搬送される。前述のとおり、検査において異常を検出した場合は、その旨を表示部220に表示したり、その後の工程を取り止めたりしてもよい。
【0073】
また、測定異常の検査は、複数回行われてもよい。この場合、各回で同一の光学特性値を用いて測定異常を検査してもよいし、各回で異なる光学特性値を用いて測定異常を検査してもよい。
【0074】
図4は、SPFSを利用した2工程方式の測定において測定異常の検査を行う場合の、測定手順の一例を示すフローチャートである。
図4Aは、1次反応(a−2)の前に測定異常の検査(b−1)を1回行う例を示す。
図4Bは、1次反応(a−2)と2次反応(a−3)との間に測定異常の検査(b−1)を1回行う例を示す。
図4Cは、2次反応(a−3)と蛍光測定(a−4)との間に測定異常の検査(b−1)を1回行う例を示す。
図4Dは、1次反応(a−2)の前と、1次反応(a−2)と2次反応(a−3)との間とで、測定異常の検査(b−1)を2回行う例を示す。
図4Eは、1次反応(a−2)の前と、2次反応(a−3)と蛍光測定(a−4)との間とで、測定異常の検査(b−1)を2回行う例を示す。
図4Fは、1次反応(a−2)と2次反応(a−3)との間と、2次反応(a−3)と蛍光測定(a−4)との間とで、測定異常の検査(b−1)を2回行う例を示す。
図4Gは、1次反応(a−2)の前と、1次反応(a−2)と2次反応(a−3)との間と、2次反応(a−3)と蛍光測定(a−4)との間とで、測定異常の検査(b−1)を3回行う例を示す。これらの図では、
図3に示される各工程のうち、1次反応(
図3に示される工程S20)、2次反応(
図3に示される工程S20)、蛍光の測定(
図3に示される工程S50)以外の工程については、説明の便宜上省略されている。
【0075】
図5は、SPFSを利用した1工程方式の測定において測定異常の検査を行う場合の、測定手順の一例を示すフローチャートである。
図5Aは、反応(a−2’)の前に測定異常の検査(b−1)を1回行う例を示す。
図5Bは、反応(a−2’)と蛍光測定(a−4)との間に測定異常の検査(b−1)を1回行う例を示す。
図5Cは、反応(a−2’)の前と、反応(a−2’)と蛍光測定(a−4)との間とで、測定異常の検査(b−1)を2回行う例を示す。これらの図でも、反応(センサチップ300の流路342への、蛍光物質で標識された被測定物質を含む試料液、または試料液および蛍光物質の注入)、蛍光の測定以外の工程については、説明の便宜上省略されている。
【0076】
たとえば、導電体膜320の円形隆起は、測定異常を検出するための光学特性値として、プラズモン散乱光量、反射光量またはブランク光量を測定することで、高感度に検出されうる。この場合、
図4A〜Gおよび
図5A〜Cに示されるいずれのタイミングで検査を行っても、導電体膜320の円形隆起を検出することができる。
図4Aおよび
図5Aに示されるように、(1次)反応の前に検査を行うことで、試料液や試薬などの損失を低減することができる。一方、
図4B,Cおよび
図5Bに示されるように、(1次または2次)反応の後に検査を行うことで、送液により発生した円形隆起を検出することができる。
【0077】
また、センサ領域表面への異物付着は、測定異常を検出するための光学特性値として、増強角または共鳴角を測定することで、高感度に検出されうる。この場合、
図4Aおよび
図5Aに示されるように、(1次)反応の前に検査を行うことが好ましい。
【0078】
また、試料液に由来する異物のセンサ領域表面への付着は、測定異常を検出するための光学特性値として、増強角または共鳴角を測定することで、高感度に検出されうる。この場合、
図4Dおよび
図5Cに示されるように、(1次)反応の前および(1次)反応の後に光学特性値を測定して検査を行うことが好ましい。
【0079】
各光学特性値について、検出できる測定異常の種類と、その検出感度を表1に示す。表1において、「△」は検出できることを示し、「○」は高感度に検出できることを示している。
【0081】
なお、工程(a−1)で準備するセンサチップ300は、正常状態における光学特性値に係る情報を有していてもよい。たとえば、センサチップ300は、正常状態における光学特性値に係る情報を含むバーコードや文字情報などが付与されていてもよい。この場合、工程(b−2)では、正常状態における光学特性値と、測定された光学特性値とを比較して、測定異常の有無を検出する。
【0082】
以上のように、本実施の形態に係る測定異常の検出方法は、SPFSを利用した測定において、測定の前または測定の間に測定異常を検出することができるため、測定結果の信頼性を向上させることができる。また、本実施の形態に係る測定異常の検出方法は、測定の早い段階において測定異常を検出することができるため、測定異常による測定時間の損失を短くすることができる。
【実施例】
【0083】
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
【0084】
[実施例1]
実施例1では、センサチップの導電体膜の欠陥を検出した例について説明する。
【0085】
(1)センサチップの作製
透明樹脂からなるプリズムを準備した。プリズムの形状は、等脚台形を底面とする柱体である。このプリズムの一番大きな平面上に、厚み45nmの金薄膜をスパッタリングで形成した。
【0086】
アミノ基を有するチオールからなる自己組織化単分子膜を形成することで、金薄膜の表面に有機反応の起点を形成した。次いで、親水性高分子をアミドカップリング反応により結合させて、金薄膜の表面に支持体層を形成した。最後に、抗体を化学結合を用いて支持体層上に固定化して、センサチップを作製した。
【0087】
一部のセンサチップを、80℃の水に浸漬して、金薄膜に欠陥(円形隆起)を生じさせた(保存環境加速試験)。
図6は、保存環境加速試験後の金薄膜表面の光学顕微鏡像である。金薄膜の表面に円形隆起が発生していることがわかる。
【0088】
(2)光学特性値の測定
円形隆起を形成していないセンサチップまたは円形隆起を形成したセンサチップを、表面プラズモン励起増強蛍光測定装置のチップホルダーに装着した(
図1参照)。
【0089】
波長635nmのレーザー光(励起光)をプリズム側から金薄膜に照射した。金薄膜に対する入射角を走査し、入射角と金薄膜の上方における同一波長の散乱光の光量との関係を調べた。各センサチップについて、散乱光量が最大となる入射角を「増強角」とし、増強角における散乱光量を「プラズモン散乱光量」とした。
【0090】
また、金薄膜に対する入射角を走査し、入射角と、金薄膜で反射した光の光量および金薄膜の上方における波長650nm以上の散乱光の光量との関係を調べた。各センサチップについて、反射光量が最小となる入射角を「共鳴角」とし、入射角が共鳴角のときの反射光量の励起光量に対する割合を「共鳴時反射率」とした。さらに、入射角が共鳴角のときの波長650nm以上の散乱光の光量を「ブランク光量」とした。
【0091】
(3)測定結果
各センサチップの光学特性値の測定結果を
図7に示す。
図7Aは、円形隆起の面積率とプラズモン散乱光量(任意単位)との関係を示すグラフである。
図7Bは、円形隆起の面積率と共鳴時反射率との関係を示すグラフである。
図7Cは、円形隆起の面積率とブランク光量(任意単位)との関係を示すグラフである。これらのグラフにおいて、円形隆起の面積率が0%のセンサチップは、保存環境加速試験を行っていない、正常なセンサチップである。一方、円形隆起の面積率が0.5〜10%のセンサチップは、保存環境加速試験を行った、金薄膜に欠陥を有するセンサチップである。
【0092】
図7Aに示されるように、正常なセンサチップのプラズモン散乱光量は、20000以下であったのに対し、金薄膜に欠陥を有するセンサチップのプラズモン散乱光量は、120000を超えていた。また、
図7Bに示されるように、正常なセンサチップの共鳴時反射率は、1.8%以下であったのに対し、金薄膜に欠陥を有するセンサチップの共鳴時反射率は、1.8%を超えていた。また、
図7Cに示されるように、正常なセンサチップのブランク光量は、7000以下であったのに対し、金薄膜に欠陥を有するセンサチップのブランク光量は、8000を超えていた。これらの結果から、プラズモン散乱光量、共鳴時反射率またはブランク光量を調べることで、センサチップの金薄膜における異常の有無を検出できることがわかる。
【0093】
[実施例2]
実施例2では、導電体膜の表面における異物付着を検出できるか否かをシミュレーションした結果について説明する。導電体膜の表面に異物が付着すると、導電体膜の上に屈折率の異なる異物層が形成される。そこで本シミュレーションでは、導電体膜の上に屈折率の異なる層を配置することで、異物の付着を模擬した。
【0094】
(1)シミュレーション条件
励起光の波長は、633nmとした。以下の説明において「屈折率」とは、波長633nmの光についての屈折率を意味する。
【0095】
センサチップとして、励起光に対して透明な材料(屈折率1.72)からなるプリズム、厚さ50.0nmの金薄膜(導電体膜;屈折率0.1726+3.4218i)および厚さ1.00nmのタンパク質層(捕捉体層;屈折率1.45)の積層体を想定した。タンパク質層の上に、異物層として屈折率が1.235〜1.435の層が配置されていると想定した。なお、水の屈折率は1.335である。
【0096】
上記条件において、励起光をプリズム側から金薄膜に照射した。金薄膜に対する入射角を走査し、入射角と、反射率(励起光の光量に対する金薄膜で反射した光の光量の割合)および散乱光量(金薄膜の上方における同一波長の散乱光の光量)との関係を計算した。
【0097】
(2)シミュレーション結果
シミュレーション結果を
図8に示す。
図8Aは、励起光の入射角と反射率との関係を示すグラフである。
図8Bは、励起光の入射角と散乱光量(任意単位)との関係を示すグラフである。
図8Aおよび
図8Bにおいて、各曲線に付された数値は、異物層の屈折率(n)を意味する。
図8Aのグラフでは、各曲線について、反射率が最小となる入射角が「共鳴角」に相当する。
図8Bのグラフでは、各曲線について、散乱光量が最大となる入射角が「増強角」に相当する。ここでは、この増強角における散乱光量を「プラズモン散乱光量」とする。
【0098】
図8Aおよび
図8Bのグラフから、異物層の屈折率が大きくなるほど(異物の付着量が多くなるほど)、共鳴角および増強角が大きくなることがわかる。したがって、共鳴角または増強角を調べることで、センサチップの導電体膜への異物の付着を検出できることがわかる。
【0099】
本出願は、2013年4月16日出願の特願2013−085580に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。