(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、車両に搭載される走行制御装置を例示して説明する。
【0010】
《第1実施形態》
図1は、本実施形態に係る走行制御装置100の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る走行制御装置100は、センサー群110と、地図データベース120と、提示装置130と、駆動機構140と、制御装置150とを有している。これら装置は、相互に情報の授受を行うためにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
【0011】
センサー群110は、自車両の位置を検出するGPS装置、および自車両の車速を検出する車速センサーを含む。GPS装置は、複数の衛星通信から送信される電波を検出して、自車両の位置情報を、周期的に取得するとともに、取得した自車両の位置情報と、ジャイロセンサーから取得した角度変化情報と、車速センサーから取得した車速とに基づいて、自車両の現在位置を検出する。また、センサー群110には、自車両の周囲を撮像するカメラ、および自車両の周囲の障害物を検出する測距センサーも含む。測距センサーとしては、レーザーレーダー、超音波センサー、音波センサー、赤外線センサーなどを用いることができる。
【0012】
地図データベース120は、地図情報および道路情報を記憶している。道路情報には、各道路の境界線(レーンマーク、縁石)、交差点、停止線、横断歩道、道路形状、道路曲率などの情報が含まれる。
【0013】
提示装置130は、たとえば、自車両が車線変更を行えるか否かの判断結果を、ドライバーに提示する。このような提示装置130としては、インストルメントパネルに設置されたランプ、ナビゲーション装置のディスプレイ、あるいは、スピーカーなどが挙げられる。たとえば、制御装置150により車線変更を行えないと判断された場合には、提示装置130のランプを点灯し、ナビゲーション装置のディスプレイに車線変更を行えない旨のメッセージを表示し、あるいは、スピーカーから車線変更を行えない旨の音または音声を出力することで、車線変更が行えないことをドライバーに把握させることができる。
【0014】
駆動機構140は、自車両を走行させるためのエンジン、ブレーキ、およびステアリングアクチュエーターなどを含む。たとえば、走行制御装置100は、ドライバーの指示により自動で車線変更を行う車線変更制御を行う場合において、後述する制御装置150により車線変更が行えると判断された場合には、駆動機構140に含まれるエンジン、ブレーキ、およびステアリングアクチュエーターの動作を制御することで、自車両の車線変更を自動で行うことができる。
【0015】
制御装置150は、自車両の走行を制御するためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成される。なお、動作回路としては、CPU(Central Processing Unit)に代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
【0016】
制御装置150は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、自車両の情報を取得する自車情報取得機能と、自車両の周囲の情報を取得する周囲情報取得機能と、自車両の車線変更を行えるか否かを判断する車線変更判断機能と、自車両の走行を制御する走行制御機能と、を実現する。以下において、制御装置150が備える各機能について説明する。
【0017】
制御装置150の自車情報取得機能は、自車両の車速情報および位置情報を含む情報を、自車情報として取得する。たとえば、自車情報取得機能は、センサー群110に含まれるGPS装置から自車両の位置情報を、車速センサーから自車両の車速情報を自車情報として取得することができる。なお、自車情報取得機能は、センサー群110に含まれるカメラで撮像した撮像画像に基づいて、自車両の位置情報を取得する構成とすることもできる。
【0018】
制御装置150の周囲情報取得機能は、自車両の周囲の道路および障害物の情報を、周囲情報として取得する。たとえば、周囲情報取得機能は、地図データベース120に格納されている自車両周囲の道路の道路情報を周囲情報として取得することができる。これにより、周囲情報取得機能は、自車両周囲の道路の境界線(レーンマーク、縁石)、交差点、停止線、横断歩道、道路形状、および道路曲率を含む道路情報を、周囲情報として取得することができる。また、周囲情報取得機能は、センサー群110に含まれるカメラや測距センサーから、自車両周囲の道路の道路情報を、周囲情報として取得することもできる。
【0019】
さらに、周囲情報取得機能は、センサー群110に含まれるカメラや測距センサーから、自車両周囲に存在する障害物の情報を、周囲情報として取得することもできる。たとえば、周囲情報取得機能は、センサー群110に含まれるカメラや測距センサーから、自車両の周囲を走行する周囲車両の有無、周囲車両が存在している場合には周囲車両の位置、進行方向、車速などの情報を周囲情報として取得することができる。
【0020】
制御装置150の車線変更判断機能は、自車両の車線変更の可否を判断する。以下に、
図2に示す場面を参照して、車線変更判断機能による車線変更可否の判断方法について説明する。なお、
図2は、自車両V1が横断歩道の手前を走行している一場面を例示する図である。なお、以下においては、自車両V1が走行する車線を自車線、自車線に隣接する車線を隣接車線として説明する。
【0021】
車線変更判断機能は、まず、
図2に示すように、自車両V1が車線変更を行う場合の走行予定軌跡を算出する。特に、本実施形態において、車線変更判断機能は、自車両V1が急峻に転回することで自車両V1の乗員が不快さや不安を感じないように、自車両V1の車速に応じた滑らかな走行予定軌跡を算出する。たとえば、車線変更判断機能は、自車両V1が時速60kmで走行している場合には、走行予定軌跡が滑らかになるように、車線変更に要する時間(自車両V1の現在位置から車線変更後の目標位置P1に移動するまでに要する時間)が3秒となるように、走行予定軌跡を算出することができる。また、車線変更判断機能は、自車両V1が時速60kmよりも速い速度で走行している場合には、自車両V1が滑らかに車線変更を行えるように、3秒よりも長い時間をかけて車線変更を行うように走行予定軌跡を算出することができる。
【0022】
そして、車線変更判断機能は、自車情報取得機能により取得された自車両の車速情報および位置情報に基づいて、自車線上に、車線変更可否を判断するための判断対象領域R1を設定する。車線変更判断機能は、まず、自車両V1の車線変更で必要とする走行距離を算出する。たとえば、自車両V1が時速60kmで走行しており、車線変更に要する時間が3秒となるように走行予定軌跡を算出している場合に、車線変更判断機能は、自車両V1の車線変更に必要とする走行距離を50mとして算出することができる。そして、車線変更判断機能は、
図3に示すように、自車線上の領域のうち、自車両V1の位置(前端部)から、算出した走行距離までの領域を、判断対象領域R1として設定することができる。たとえば、自車両の車線変更で必要とする走行距離が50mである場合、車線変更判断機能は、
図3に示すように、自車線上の領域のうち、自車両V1の位置から、自車両V1の車線変更に必要とする走行距離50mまでの領域を、判断対象領域R1として設定することができる。
【0023】
次いで、車線変更判断機能は、自車両周囲の道路の道路情報に基づいて、車線変更が推奨されない領域を、非推奨領域R2として設定する。具体的には、車線変更判断機能は、周囲情報取得機能により取得した自車両前方の道路の道路情報に基づいて、交通規則により車線変更が禁止されている領域など、車線変更が推奨されない領域を、非推奨領域R2として設定する。たとえば、交通規則により横断歩道の手間30mの領域において車線変更が禁止されている場合には、車線変更判断機能は、
図4に示すように、自車線上の領域のうち、横断歩道の手前30mの領域を、非推奨領域R2として設定することができる。
【0024】
続いて、車線変更判断機能は、隣接車線上において、車線変更可否を判断するための隣接車線対象領域R3を設定する。具体的には、車線変更判断機能は、まず、車線変更後における前方車間距離D1および後方車間距離D2を算出する。たとえば、車線変更判断機能は、車間時間(THW:Time-Headway)に基づく前方車間距離と、衝突余裕時間(TTC:Time To Collision)に基づく前方車間距離とを算出し、車間時間(THW)に基づく前方車間距離と衝突余裕時間(TTC)に基づく前方車間距離のうち長い方の距離を、車線変更後における前方車間距離D1として取得することができる。同様に、車線変更判断機能は、車間時間(THW)に基づく後方車間距離と、衝突余裕時間(TTC)に基づく後方車間距離とを算出し、車間時間(THW)に基づく後方車間距離と衝突余裕時間(TTC)に基づく後方車間距離とのうち長い方の距離を、車線変更後における後方車間距離D2として取得することができる。以下に、前方車間距離D1および後方車間距離D2の算出方法について詳しく説明する。
【0025】
たとえば、車線変更判断機能は、車線変更後において望ましい車間時間(THW)と、自車両V1の車速とを乗じた距離を、車間時間(THW)に基づく前方車間距離として算出することができる。なお、車線変更後において望ましい車間時間(THW)は、特に限定されず、たとえば、実験などにより車速ごとに適宜設定することができる。たとえば、
図5に示す例において、自車両V1の車速が時速60kmであり、車線変更後において望ましい車間時間(THW)が2秒である場合には、車線変更判断機能は、車間時間(THW)に基づく前方車間距離を33mとして算出することができる。
【0026】
また、車線変更判断機能は、自車両V1が前方隣接車両V2に接近している場合には、車線変更後において望ましい衝突余裕時間(TTC)と、自車両V1と前方隣接車両V2との相対車速とを乗じて求めた距離を、衝突余裕時間(TTC)に基づく前方車間距離として算出することができる。なお、車線変更後において望ましい衝突余裕時間(TTC)は、実験などにより車速ごとに適宜設定することができる。たとえば、
図5に示す例において、自車両V1と前方隣接車両V2との相対速度が時速10kmであり、車線変更後において望ましい衝突余裕時間(TTC)が5秒である場合には、車線変更判断機能は、衝突余裕時間(TTC)に基づく前方車間距離を28mとして算出することができる。
【0027】
そして、車線変更判断機能は、車間時間(THW)に基づく前方車間距離と衝突余裕時間(TTC)に基づく前方車間距離とのうち長い方の距離を、車線変更後における前方車間距離D1として取得する。たとえば、
図5に示す例において、車線変更判断機能は、車間時間(THW)に基づく前方車間距離33mが、衝突余裕時間(TTC)に基づく前方車間距離28mよりも長いため、車線変更後における前方車間距離D1を33mとして取得することができる。なお、車線変更判断機能は、自車両V1が前方隣接車両V2に接近していない場合には、衝突余裕時間(TTC)に基づく前方車間距離を算出せずに、車間時間(THW)に基づく前方車間距離を、車線変更後における前方車間距離D1として算出することができる。
【0028】
また、車線変更判断機能は、車線変更後において望ましい車間時間(THW)と、隣接車線を走行する車両の一般的な車速(詳細は後述する。)とを乗じて求めた距離を、車間時間(THW)に基づく後方車間距離として算出することができる。たとえば、車線変更判断機能は、隣接車線を走行する車両の一般的な車速が時速70kmであり、車線変更後において望ましい車間時間(THW)が2秒である場合には、車間時間(THW)に基づく後方車間距離を39mとして算出することができる。なお、車線変更判断機能は、自車両V1が走行する道路の制限速度を、隣接車線を走行する車両の一般的な車速として取得することができる。また、車線変更判断機能は、複数の車両が過去に隣接車線を走行した場合の車速の統計値を、隣接車線を走行する車両の一般的な車速として取得することができる。この場合、たとえば図示しない外部サーバーにおいて、複数の車両が過去に隣接車線を走行した場合の車速の平均値、中央値、最頻値などの統計値を予め算出しておくことで、車線変更判断機能は、外部サーバーから複数の車両が過去に隣接車線を走行した場合の車速の統計値を、隣接車線を走行する車両の一般的な車速の情報として取得することができる。
【0029】
さらに、車線変更判断機能は、後方隣接車両V3が自車両V1に接近している場合には、車線変更後において望ましい衝突余裕時間(TTC)と、自車両V1と後方隣接車両V3との相対車速とを乗じて求めた距離を、衝突余裕時間(TTC)に基づく後方車間距離として算出することができる。たとえば、
図5に示す例において、後方隣接車両V3と自車両V1との相対速度が時速10kmであり、車線変更後において望ましい衝突余裕時間(TTC)が5秒である場合には、車線変更判断機能は、衝突余裕時間(TTC)に基づく後方車間距離を28mとして算出することができる。
【0030】
そして、車線変更判断機能は、車間時間(THW)に基づく後方車間距離と衝突余裕時間(TTC)に基づく後方車間距離のうち長い方の距離を、車線変更後における後方車間距離D2として取得する。たとえば、
図5に示す例において、車間時間(THW)に基づく後方車間距離39mが、衝突余裕時間(TTC)に基づく後方車間距離28mよりも長いため、車線変更後における後方車間距離D2を39mとして取得することができる。なお、車線変更判断機能は、後方隣接車両V3が自車両V1に接近していない場合には、衝突余裕時間(TTC)に基づく後方車間距離を算出せずに、車間時間(THW)に基づく後方車間距離を、車線変更後における後方車間距離D2として算出することができる。
【0031】
さらに、車線変更判断機能は、車線変更後における前方車間距離D1と、車線変更後における後方車間距離D2とに基づいて、隣接車線上に、隣接車線対象領域R3を設定する。たとえば、車線変更判断機能は、
図5に示すように、隣接車線上の領域のうち、自車両の前端部から前方に前方車間距離D1の位置P2から、自車両の後端部から後方に後方車間距離D2の位置P3までの領域を、隣接車線対象領域R3として設定することができる。また、車線変更判断機能は、たとえば、自車両の中心位置から前方に前方車間距離D1の位置から、自車両の中心位置から後方に後方車間距離D2の位置までの領域を、隣接車線対象領域R3として設定する構成とすることもできる。この場合、たとえば、前方車間距離D1が33mであり、後方車間距離D2が39mである場合には、隣接車線対象領域R3は72mとなる。
【0032】
そして、車線変更判断機能は、判断対象領域R1、非推奨領域R2、および隣接車線対象領域R3に基づいて、自車両は車線変更を行えるか否かを判断する。具体的には、車線変更判断機能は、まず、判断対象領域R1に非推奨領域R2の一部または全部が含まれるか否かを判断する。そして、車線変更判断機能は、判断対象領域R1に非推奨領域R2の一部または全部が含まれる場合には、自車両は車線変更を行えないと判断する。たとえば、
図6に示す例において、車線変更判断機能は、判断対象領域R1に非推奨領域R2の一部が含まれるため(判断対象領域R1と非推奨領域R2とが一部において重複するため)、自車両V1は車線変更を行えないと判断する。
【0033】
さらに、車線変更判断機能は、判断対象領域R1に非推奨領域R2の一部が含まれない場合には、隣接車線対象領域R3と隣接車両との関係に基づいて、自車両の車線変更可否を判断する。具体的には、車線変更判断機能は、まず、隣接車線対象領域R3に隣接車両が存在するか否かを判断する。隣接車線対象領域R3に隣接車両が存在しない場合には、車線変更判断機能は、自車両は車線変更を行えると判断する。一方、隣接車線対象領域R3に隣接車両が存在する場合には、車線変更判断機能は、さらに、前方隣接車両V2が自車両V1に接近する前方車両接近度C
V2と、後方隣接車両V3が自車両V1に接近する後方車両接近度C
V3とに基づいて、自車両V1の車線変更可否を判断する。
【0034】
たとえば、車線変更判断機能は、前方隣接車両V2に対する自車両V1の車間時間(THW
V2)と、前方隣接車両V2に対する自車両V1の衝突余裕時間(TTC
V2)とを算出する。そして、車線変更判断機能は、たとえば下記の式(1)に示すように、前方隣接車両V2に対する自車両V1の車間時間(THW
V2)と、前方隣接車両V2に対する自車両V1の衝突余裕時間(TTC
V2)とに基づいて、前方隣接車両V2が自車両V1に接近する前方車両接近度C
V2を算出することができる。
前方車両接近度C
V2 = 1/THW
V2 + 4/TTC
V2 ・・・(1)
【0035】
同様に、車線変更判断機能は、後方隣接車両V3に対する自車両V1の車間時間(THW
V3)と、後方隣接車両V3に対する自車両V1の衝突余裕時間(TTC
V3)とを算出する。そして、車線変更判断機能は、たとえば下記の式(2)に示すように、後方隣接車両V3に対する自車両V1の車間時間(THW
V3)と、後方隣接車両V3に対する自車両V1の衝突余裕時間(TTC
V3)とに基づいて、後方隣接車両V3が自車両V1に接近する後方車両接近度C
V3を算出することができる。
後方車両接近度C
V3 = 1/THW
V3 + 4/TTC
V3 ・・・(2)
【0036】
たとえば、後方隣接車両V3が後方から自車両V1に接近している場合において、後方隣接車両V3に対する自車両V1の車間時間(THW
V3)が2秒、後方隣接車両V3に対する自車両V1の衝突余裕時間(TTC
V3)が5秒である場合には、車線変更判断機能は、上記式(2)により、後方隣接車両V3が自車両V1に接近する後方車両接近度C
V3を1.3として求めることができる。
【0037】
そして、車線変更判断機能は、前方隣接車両V2が自車両V1に接近する前方車両接近度C
V2と、後方隣接車両V3が自車両V1に接近する前方車両接近度C
V3とがそれぞれ所定の閾値未満である場合には、自車両V1は車線変更を行えると判断する。一方、車線変更判断機能は、前方車両接近度C
V2または後方車両接近度C
V3が所定の閾値以上である場合には、自車両V1は車線変更を行えないと判断する。なお、前方車両接近度C
V2の閾値および後方隣接車両V3の閾値は、特に限定されず、適宜設定することができる。また、前方車両接近度C
V2の閾値と後方隣接車両V3の閾値とは同じ値としてもよいし、異なる値としてもよい。
【0038】
制御装置150の走行制御機能は、自車両の自動走行を制御する。たとえば、走行制御機能は、自車両が自車線内を走行するようにステアリングアクチュエーターなどの駆動機構140の動作を制御することで、自車両の幅員方向における走行位置を制御するレーンキープ制御を行うことができる。また、走行制御機能は、エンジンやブレーキなどの駆動機構140の動作を制御することで、ドライバーが設定した所定の設定車速で自車両を走行させる定速走行制御を行うことができる。さらに、走行制御機能は、先行車両が存在する場合には、エンジンやブレーキなどの駆動機構140の動作を制御することで、ドライバーが設定した所定の車間距離で、自車両を先行車両に追従させる追従走行制御を行うことができる。加えて、本実施形態において、走行制御機能は、エンジン、ブレーキ、およびステアリングアクチュエーターなどの駆動機構140の動作を制御することで、自車両の車線変更を自動で行わせる車線変更制御を行うことができる。なお、本実施形態において、走行制御機能は、車線変更判断機能による車線変更可否の判断結果に基づいて、車線変更制御を行うか否かを決定する。
【0039】
続いて、
図7を参照して、第1実施形態に係る車線変更支援処理について説明する。
図7は、第1実施形態に係る車線変更支援処理を示すフローチャートである。なお、以下に説明する車線変更支援処理は、制御装置150により実行される。また、以下に説明する車線変更支援処理は、イグニッションがオンになった場合に開始し、イグニッションがオフとなるまで繰り返し行われる。
【0040】
まず、ステップS101では、制御装置150の自車情報取得機能により、自車情報の取得が行われる。たとえば、自車情報取得機能は、センサー群110に含まれるGPS装置から自車両の位置情報を、車速センサーから自車両の車速情報を、それぞれ、自車情報として取得することができる。
【0041】
ステップS102では、制御装置150の周囲情報取得機能により、周囲情報の取得が行われる。たとえば、周囲情報取得機能は、地図データベース120から自車両周囲の道路の道路情報を、あるいは、センサー群110に含まれるカメラや測距センサーから、自車両周囲の道路の道路情報および自車両周囲に存在する障害物の情報を、周囲情報として取得することができる。
【0042】
ステップS103では、制御装置150の車線変更判断機能により、
図2に示すように、自車両が車線変更を行う場合の走行予定軌跡の算出が行われる。特に、本実施形態において、車線変更判断機能は、自車両V1の乗員が自車両V1の急峻な転回により不快さや不安を感じないように、自車両V1の車速に応じた滑らかな走行予定軌跡を算出する。
【0043】
ステップS104では、制御装置150の車線変更判断機能により、判断対象領域R1の設定が行われる。本実施形態において、車線変更判断機能は、ステップS101で取得した自車両V1の位置情報および車速情報や、ステップS103で算出した走行予定軌跡に基づいて、自車両V1の車線変更に必要とする走行距離を算出する。そして、車線変更判断機能は、
図3に示すように、自車線上の領域のうち、自車両V1の位置から、自車両V1の車線変更に必要とする走行距離までの、自車両前方の領域を、判断対象領域R1として設定することができる。
【0044】
ステップS105では、車線変更判断機能により、非推奨領域R2の設定が行われる。具体的には、車線変更判断機能は、ステップS102で取得された道路情報に基づいて、
図4に示すように、交通規則などにより車線変更が禁止される領域などの車線変更が推奨されない領域を、非推奨領域R2として設定することができる。
【0045】
ステップS106では、車線変更判断機能により、隣接車線対象領域R3の設定が行われる。たとえば、車線変更判断機能は、車線変更後における前方車間距離D1および後方車間距離D2を算出し、隣接車線上の領域のうち、自車両から前方に前方車間距離D1の位置P2から、自車両から後方に後方車間距離D2の位置P3までの領域を、隣接車線対象領域R3として設定することができる。
【0046】
ステップS107では、車線変更判断機能により、ステップS104で設定された判断対象領域R1と、ステップS105で設定された非推奨領域R2とに基づいて、車線変更可否の判断が行われる。具体的には、車線変更判断機能は、判断対象領域R1に非推奨領域R2の一部または全部が含まれるか否かを判断する。そして、判断対象領域R1に非推奨領域R2の一部または全部が含まれる場合には、ステップS108に進む。ステップS108では、車線変更判断機能より、自車両V1は車線変更を行えないと判断される。一方、ステップS107において、判断対象領域R1に非推奨領域R2の一部および全部が含まれないと判断された場合には、ステップS109に進む。
【0047】
ステップS109では、車線変更判断機能により、隣接車線対象領域R3内に隣接車両が存在するか否かの判断が行われる。隣接車線対象領域R3内に隣接車両が存在しないと判断された場合には、ステップS110に進む。ステップS110では、車線変更判断機能により、自車両V1は車線変更を行えると判断される。一方、隣接車線対象領域R3内に隣接車両が存在する場合には、ステップS111に進む。
【0048】
ステップS111では、車線変更判断機能により、前方隣接車両V2が自車両V1に接近する度合を示す前方車両接近度C
V2と、後方隣接車両V3が自車両V1に接近する度合を示す後方車両接近度C
V3との算出が行われる。たとえば、車線変更判断機能は、上記式(1),(2)に基づいて、前方車両接近度C
V2と、後方車両接近度C
V3とを算出することができる。
【0049】
そして、ステップS112では、車線変更判断機能により、ステップS111で算出した前方車両接近度C
V2および後方車両接近度C
V3が所定の閾値未満であるか否かの判断が行われる。前方車両接近度C
V2または後方車両接近度C
V3が所定の閾値以上である場合には、ステップS113に進む。ステップS113では、車線変更判断機能により、自車両V1は車線変更を行えないと判断される。一方、前方車両接近度C
V2および後方車両接近度C
V3が所定の閾値未満である場合には、ステップS114に進む。ステップS114では、車線変更判断機能により、自車両V1は車線変更を行えると判断される。
【0050】
ステップS115では、車線変更判断機能により、ステップS108,S110,S113,S114における車線変更の判断結果が出力される。たとえば、車線変更判断機能は、車線変更を行えないとの判断結果を提示装置130に出力することで、提示装置130に車線変更を行えない旨の報知を行わせることができる。また、走行制御装置100が車線変更制御を行う場合には、車線変更可否の判断結果を出力することで、走行制御装置100に、自車両の車線変更を適切に行わせることができる。
【0051】
以上のように、本実施形態では、自車両周囲の道路の道路情報に基づいて、車線変更が推奨されない非推奨領域R2を特定するとともに、自車両V1の位置情報および車速情報に基づいて、自車両V1の車線変更可否を判断するための判断対象領域R1を設定する。そして、判断対象領域R1に非推奨領域R2の一部または全部が含まれる場合には、自車両V1は車線変更を行えないと判断する。これにより、本実施形態では、交通規則により車線変更が禁止されているなどの車線変更が推奨されない領域において、車線変更を行えないと判断することができるため、自車両V1の車線変更可能を適切に判断することができる。
【0052】
また、本実施形態では、自車両の車速に基づいて自車両の車線変更に必要とする走行距離を推定し、自車線上の領域のうち、自車両の車線変更に必要とする走行距離に応じた領域を、判断対象領域R1として設定する。これにより、本実施形態では、自車両が車線変更を行う領域を判断対象領域R1として適切に設定することができ、その結果、自車両の車線変更可否を適切に判断することができる。
【0053】
さらに、本実施形態では、判断対象領域R1に非推奨領域R2の一部および全部が含まれない場合に、隣接車線に隣接車線対象領域R3を設定する。そして、隣接車線対象領域R3に隣接車両が存在するか否かを判断する。隣接車線対象領域R3に隣接車両が存在しない場合には、自車両は車線変更を行えると判断する。一方、隣接車線対象領域R3に隣接車両が存在する場合には、前方隣接車両V2が自車両V1に接近する前方車両接近度C
V2と、後方隣接車両V3が自車両V1に接近する後方車両接近度C
V3とを算出する。そして、前方車両接近度C
V2または後方車両接近度C
V3が所定の閾値以上である場合には、自車両は車線変更を行えないと判断し、一方、前方車両接近度C
V2および後方車両接近度C
V3が所定の閾値未満である場合には、自車両は車線変更を行えると判断する。ここで、前方車両接近度C
V2は、前方隣接車両V2が自車両V1に接近していると、自車両V1のドライバーが感じる度合の指標として用いることができる。また、後方車両接近度C
V3は、後方隣接車両V3が自車両V1に接近していると、自車両V1のドライバーが感じる度合の指標として用いることができる。そのため、前方車両接近度C
V2または後方車両接近度C
V3が所定の閾値以上である場合には、自車両は車線変更を行えないと判断することで、自車両V1の車線変更において前方隣接車両V2または後方隣接車両V3と接近することにより、自車両V1のドライバーに不安を与えてしまうことを有効に抑制することができる。
【0054】
《第2実施形態》
続いて、第2実施形態に係る走行制御装置について説明する。第2実施形態に係る走行制御装置100は、第1実施形態の走行制御装置100と同様の構成を有し、以下に説明するように動作すること以外は、第1実施形態と同様である。
【0055】
第2実施形態において、制御装置150の車線変更判断機能は、自車両の前方の道路形状に基づいて、自車両が前方の道路を走行する際の自車両の車速を推定し、推定した自車両の車速に基づいて、判断対象領域R1を設定する。
【0056】
ここで、
図8は、第2実施形態に係る判断対象領域R1の設定方法を説明するための図である。
図8に示す例では、自車両が直線道路を時速60kmで走行した後に、自車両がカーブに進入する場面を例示している。たとえば、自車両がカーブに進入する前に、自車両がカーブに進入する前(直進しているとき)の車速である時速60kmに基づいて判断対象領域R1を設定する場合には、車線変更に必要とする時間を3秒とした場合、車線変更判断機能は、
図8(A)に示すように、自車両V1から50mの距離までの領域を、判断対象領域R1として設定することとなる。
【0057】
これに対して、第2実施形態において、車線変更判断機能は、自車両V1がカーブに進入する前に、カーブ走行時の自車両V1の車速を推定し、推定した自車両V1の車速に基づいて、判断対象領域R1を設定する。たとえば、自車両V1はカーブに進入するために自車両V1の車速を時速50kmに減速することが予測される場合には、車線変更に必要とする時間を3秒とした場合、車線変更判断機能は、自車両V1から42mの距離までの領域を、判断対象領域R1として設定することができる。なお、自車両前方の道路における自車両の車速の推定方法は特に限定されず、周知の方法を用いることができる。
【0058】
また、第2実施形態において、車線変更判断機能は、隣接車線対象領域R3と隣接車両とに基づいて、自車両の車線変更可否を判断する場合には、前方隣接車両V2が自車両V1に接近する前方車両接近度C
V2、および、後方隣接車両V3が自車両V1に接近する後方車両接近度C
V3に加えて、自車両V1が後方隣接車両V3に接近する自車両接近度C
V1を算出する。
【0059】
具体的には、車線変更判断機能は、まず、自車両V1に対する後方隣接車両V3の車間時間(THW
V1)および衝突余裕時間(TTC
V1)を算出する。自車両V1に対する後方隣接車両V3の車間時間(THW
V1)は、自車両V1と後方隣接車両V3の相対距離を、後方隣接車両V3の車速で除算することで求められる。また、自車両V1に対する後方隣接車両V3の衝突余裕時間(TTC
V1)は、自車両V1と後方隣接車両V3との相対距離を、自車両V1と後方隣接車両V3との車速で除算することで求められる。そして、車線変更判断機能は、下記式(3)に示すように、後方隣接車両V3の車間時間(THW
V1)および衝突余裕時間(TTC
V1)に基づいて、自車両V1が後方隣接車両V3に接近する自車両接近度C
V1を算出する。
自車両接近度C
V1 = 1/THW
V1 + 4/TTC
V1 ・・・(3)
【0060】
そして、第2実施形態において、車線変更判断機能は、前方車両接近度C
V2および後方車両接近度C
V3がそれぞれ所定の閾値未満である場合には、自車両V1が後方隣接車両V3に接近する自車両接近度C
V1が所定の閾値未満であるか否かを判断する。車線変更判断機能は、自車両接近度C
V1が所定の閾値以上である場合には、自車両V1は車線変更を行えないと判断し、自車両接近度C
V1が所定の閾値未満である場合には、自車両V1は車線変更を行えると判断する。なお、自車両接近度C
V1の閾値は、特に限定されず、適宜設定することができる。また、自車両接近度C
V1の閾値は、前方車両接近度C
V2または後方車両接近度C
V3の閾値と異なる値であってもよいし、同じ値であってもよい。
【0061】
続いて、
図9を参照して、第2実施形態に係る車線変更支援処理について説明する。
図9は、第2実施形態に係る車線変更支援処理を示すフローチャートである。なお、第2実施形態に係る車線変更支援処理も、第1実施形態と同様に、イグニッションがオンになった場合に開始し、イグニッションがオフとなるまで繰り返し行われる。
【0062】
ステップS101〜S103では、第1実施形態と同様に、自車情報および周囲情報の取得が行われ(ステップS101,S102)、自車両が車線変更を行う場合の走行予定軌跡が算出される(ステップS103)。そして、続くステップS201では、制御装置150の車線変更判断機能により、ステップS102で取得した周囲情報のうち自車両前方の道路の道路形状に基づいて、自車両が前方の道路を走行する際の車速の推定が行われる。そして、ステップS202では、車線変更判断機能により、ステップS201で推定された自車両前方の道路における自車両の車速に基づいて、判断対象領域R1の設定が行われる。これにより、たとえば、
図8(B)に示すように、自車両V1の前方がカーブである場合には、自車両V1がカーブを走行している際の車速に基づいて、判断対象領域R1を算出することができる。
【0063】
ステップS105〜S112では、第1実施形態と同様に処理が行われる。すなわち、非推奨領域R2と隣接車線対象領域R3とが設定された後(ステップS105,S106)、ステップS202で設定された判断対象領域R1に非推奨領域R2の一部または全部が含まれるか否かが判断される(ステップS107)。そして、判断対象領域R1に非推奨領域R2の一部または全部が含まれる場合には、車線変更が行えないと判断され(ステップS108)、一方、判断対象領域R1に非推奨領域R2の一部および全部が含まれない場合には、隣接車線対象領域R3に隣接車線が存在するか判断される(ステップS109)。隣接車線対象領域R3に隣接車線が存在しない場合には、車線変更を行えると判断される(ステップS110)。一方、隣接車線対象領域R3に隣接車線が存在する場合には、前方車両接近度C
V2および後方車両接近度C
V3が算出され(ステップS111)、前方車両接近度C
V2および後方車両接近度C
V3が所定の閾値未満か判断される(ステップS112)。前方車両接近度C
V2または後方車両接近度C
V3が所定の閾値以上である場合には、車線変更を行えないと判断される(ステップS113)。一方、前方車両接近度C
V2および後方車両接近度C
V3が所定の閾値未満である場合には、ステップS203に進む。
【0064】
ステップS203では、車線変更判断機能により、自車両V1が後方隣接車両V3に接近する度合が自車両接近度C
V1として算出される。たとえば、車線変更判断機能は、上記式(3)に示すように、自車両V1に対する後方隣接車両V3の車間時間(THW
V1)と自車両V1に対する後方隣接車両V3の衝突余裕時間(TTC
V1)とに基づいて、自車両V1が後方隣接車両V3に接近する自車両接近度C
V1を算出することができる。
【0065】
そして、ステップS204では、車線変更判断機能により、ステップS203で算出した自車両接近度C
V1が所定の閾値未満であるか否かの判断が行われる。自車両接近度C
V1が所定の閾値未満である場合には、ステップS114に進み、車線変更判断機能により、自車両V1は車線変更を行えると判断される。自車両接近度C
V1が所定の閾値以上である場合には、ステップS113に進み、車線変更判断機能により、自車両V1は車線変更を行えないと判断される。
【0066】
以上のように、第2実施形態では、自車両前方の道路の道路形状に応じて、自車両が前方の道路を走行する場合の車速を推定し、推定した車速に基づいて、判断対象領域R1を設定する。これにより、第2実施形態では、自車両V1が車線変更を行う際の道路の道路形状に応じて、自車両の車線変更可否の判断を適切に行うことができる。
【0067】
また、第2実施形態では、前方車両接近度C
V2および後方車両接近度C
V3に加えて、自車両V1が後方隣接車両V3に接近する自車両接近度C
V1を算出する。そして、前方車両接近度C
V2および後方車両接近度C
V3が所定の閾値未満であるかの判断に加えて、自車両接近度C
V1が所定の閾値未満であるか否かの判断を行う。自車両接近度C
V1が所定の閾値未満である場合には、自車両V1は車線変更を行えると判断し、自車両接近度C
V1が所定の閾値以上である場合には、自車両V1は車線変更を行えないと判断する。ここで、自車両接近度C
V1は、自車両V1が後方隣接車両V3に接近していると、後方隣接車両V3のドライバーが感じる度合の指標として用いることができる。そのため、自車両接近度C
V1が高い場合には、自車両V1が後方隣接車両V3に接近していると後方隣接車両V3のドライバーが感じてしまい、後方隣接車両V3のドライバーがブレーキをかけることなどにより、隣接車線の交通流を乱してしまうおそれがある。そこで、第2実施形態では、自車両接近度C
V1が所定の閾値以上の場合には、自車両V1は車線変更を行えないと判断することで、後方隣接車両V3のドライバーがブレーキをかけることなどにより、隣接車線の交通流が乱れてしまうことを有効に抑制することができる。
【0068】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0069】
たとえば、上述した実施形態では、地図データベース120に格納された道路情報に基づいて非推奨領域R2を設定する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、複数の車両からプローブ情報を収集し、あるいは、複数の車両の事故情報を予めデータベースに蓄積しておき、これらの情報を解析して、車線変更が推奨されない領域を非推奨領域R2として予めデータベースに記憶しておくことで、制御装置150は、上記データベースから自車両の周囲の非推奨領域R2を取得することができる。
【0070】
また、上述した実施形態では、判断対象領域R1が非推奨領域R2の一部または全部を含む場合に、自車両V1は車線変更を行えないと判断する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、判断対象領域R1を囲う枠を判断対象枠として設定し、非推奨領域R2を囲う枠を非推奨枠として設定し、判断対象枠と非推奨枠とが干渉する場合に、自車両V1は車線変更を行えないと判断する構成としてもよい。また、この場合に、判断対象枠と非推奨枠とが干渉しない場合には、隣接車線対象領域R3を囲う枠を隣接車線対象枠として設定し、隣節車線判断枠に存在する隣接車両に基づいて、自車両V1の車線変更可否を判断する構成としてもよい。
【0071】
さらに、上述した実施形態では、車間時間(THW)および衝突余裕時間(TTC)に基づいて、前方車間距離D1および後方車間距離D2を算出し、隣接車線対象領域R3を設定する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、車線変更判断機能は、車速ごとに、前方車間距離D1および後方車間距離D2を予め決めておき、自車両の車速に応じた前方車間距離D1および後方車間距離D2に基づいて隣接車線対象領域R3を設定する構成とすることができる。また、車線変更判断機能は、自車両V1から最も近い距離を走行する前方隣接車両V2および後方隣接車両V3に基づいて、前方車間距離D1および後方車間距離D2を決定する構成とすることもできる。たとえば、車線変更判断機能は、前方隣接車両V2または後方隣接車両V3が大きいほど前方車間距離D1または後方車間距離D2を長くする構成とすることができる。さらに、車線変更判断機能は、前方隣接車両V2または後方隣接車両V3が自車両から近いほど、前方隣接車両V2の車速が遅いほど、あるいは、後方隣接車両V3の車速が速いほどに、前方車間距離D1または後方車間距離D2を長くする構成とすることもできる。加えて、第2実施形態の判断対象領域R1と同様に、自車両V1の前方の道路の道路形状に基づいて、隣接車線対象領域R3の長さを設定する構成とすることできる。
【0072】
加えて、上述した実施形態では、隣接車線における一般的な車両の車速を後方隣接車両V3の車速として取得することで、車間時間(THW)に基づく後方車間距離を算出する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、後方隣接車両V3の絶対車速を算出し、後方隣接車両V3の絶対車速に基づいて、車間時間(THW)に基づく後方車間距離を算出する構成とすることができる。
【0073】
なお、上述した実施形態に係る制御装置150は本発明の制御器に、それぞれ相当する。