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特許6597949エレベーターの通報処理装置およびエレベーターの通報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6597949
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】エレベーターの通報処理装置およびエレベーターの通報処理システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20191021BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   B66B5/00 G
   B66B3/00 T
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-541486(P2019-541486)
(86)(22)【出願日】2019年3月13日
(86)【国際出願番号】JP2019010344
【審査請求日】2019年7月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】濱田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】田畠 広泰
(72)【発明者】
【氏名】松枝 豊
(72)【発明者】
【氏名】引地 剛樹
(72)【発明者】
【氏名】長徳 典宏
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−106520(JP,A)
【文献】 特開2006−036431(JP,A)
【文献】 特開2014−017730(JP,A)
【文献】 特開2016−044054(JP,A)
【文献】 特開2018−083691(JP,A)
【文献】 特開2007−276899(JP,A)
【文献】 特開2001−171931(JP,A)
【文献】 特開平11−345385(JP,A)
【文献】 特開平07−220191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00− 5/28
B66B 3/00− 3/02
G08B 23/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのかごの内側または乗場に設けられるタグから携帯端末が読み取ったアクセス情報に基づいて送信される要求信号を当該携帯端末から受信する受信部と、
当該要求信号に対応する応答信号を当該携帯端末に送信する送信部と、
エレベーターを識別する識別情報に対応付けて当該エレベーターについての通報状況を記憶し、前記通報状況に緊急度を対応付けて記憶する通報状況記憶部と、
前記通報状況記憶部が記憶している前記通報状況に基づいて、前記タグから前記アクセス情報を読み取った前記携帯端末から前記受信部が前記要求信号を受信したときに当該タグが設けられるエレベーターについて既に通報があったかを判定する通報状況判定部と、
当該要求信号に対応する応答信号として、既に通報があったと前記通報状況判定部が判定する場合に通報済みの情報を表す信号を生成し、まだ通報がなかったと前記通報状況判定部が判定する場合に通報を受け付ける信号を生成する応答生成部と、
を備え
前記応答生成部は、前記タグから前記アクセス情報を読み取った前記携帯端末から前記受信部が前記要求信号を受信したときに当該タグが設けられるエレベーターについて既に通報があったと前記通報状況判定部が判定する場合に、当該要求信号に対応する前記応答信号として、通報済みの情報を表し、かつ、通報を受け付ける信号を生成し、
前記通報状況記憶部は、当該エレベーターについて既にあった通報の緊急度より高い緊急度の通報が受け付けられたときに、当該エレベーターについて記憶している通報状況を更新する
エレベーターの通報処理装置。
【請求項2】
前記受信部が前記要求信号を受信したときに災害が発生しているかを判定する災害状況判定部
を備え、
前記応答生成部は、当該要求信号に対応する前記応答信号として、災害が発生していないと前記災害状況判定部が判定する場合に通常時の信号を生成する
請求項1に記載のエレベーターの通報処理装置。
【請求項3】
前記災害状況判定部は、災害の発生を判定する災害フラグの状態を記憶し、
前記災害フラグは、予め設定された時間範囲内において前記受信部が受信する前記要求信号の数が閾値を超えるときに、災害が発生している状態に切り替えられる
請求項2に記載のエレベーターの通報処理装置。
【請求項4】
前記応答生成部は、前記緊急度に応じて異なる前記応答信号を生成する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエレベーターの通報処理装置。
【請求項5】
エレベーターのかごの内側または乗場に設けられるタグから携帯端末が読み取ったアクセス情報に基づいて送信される要求信号を当該携帯端末から受信する受信部と、
当該要求信号に対応する応答信号を当該携帯端末に送信する送信部と、
エレベーターを識別する識別情報に対応付けて当該エレベーターについての通報状況を記憶する通報状況記憶部と、
前記通報状況記憶部が記憶している前記通報状況に基づいて、前記タグから前記アクセス情報を読み取った前記携帯端末から前記受信部が前記要求信号を受信したときに当該タグが設けられるエレベーターについて既に通報があったかを判定する通報状況判定部と、
当該要求信号に対応する応答信号として、既に通報があったと前記通報状況判定部が判定する場合に通報済みの情報を表す信号を生成し、まだ通報がなかったと前記通報状況判定部が判定する場合に通報を受け付ける信号を生成する応答生成部と、
前記受信部が前記要求信号を受信したときに災害が発生しているかを判定する災害状況判定部と、
通常時に報知するメッセージを記憶するメッセージ記憶部と、
を備え
前記受信部が前記要求信号を受信したときに災害が発生していないと前記災害状況判定部が判定する場合に、前記応答生成部は、通常時に報知するメッセージを前記メッセージ記憶部から取得して当該要求信号に対応する前記応答信号として当該メッセージを表す応答信号を生成し、前記送信部は、当該要求信号を送信した前記携帯端末に当該応答信号を送信する
エレベーターの通報処理装置。
【請求項6】
前記災害状況判定部は、災害の発生を判定する災害フラグの状態を記憶し、
前記災害フラグは、予め設定された時間範囲内において前記受信部が受信する前記要求信号の数が閾値を超えるときに、災害が発生している状態に切り替えられる
請求項に記載のエレベーターの通報処理装置。
【請求項7】
前記通報状況記憶部は、前記通報状況に緊急度を対応付けて記憶する
請求項5または請求項6に記載のエレベーターの通報処理装置。
【請求項8】
前記応答生成部は、前記緊急度に応じて異なる前記応答信号を生成する
請求項に記載のエレベーターの通報処理装置。
【請求項9】
前記応答生成部は、前記タグから前記アクセス情報を読み取った前記携帯端末から前記受信部が前記要求信号を受信したときに当該タグが設けられるエレベーターについて既に通報があったと前記通報状況判定部が判定する場合に、当該要求信号に対応する前記応答信号として、通報済みの情報を表し、かつ、通報を受け付ける信号を生成し、
前記通報状況記憶部は、当該エレベーターについて既にあった通報の緊急度より高い緊急度の通報が受け付けられたときに、当該エレベーターについて記憶している通報状況を更新する
請求項または請求項に記載のエレベーターの通報処理装置。
【請求項10】
エレベーターのかごの内側または乗場に設けられるタグと、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の通報処理装置と、
を備えるエレベーターの通報処理システム。
【請求項11】
前記タグは、文字情報として前記識別情報を表示する
請求項10に記載のエレベーターの通報処理システム。
【請求項12】
前記タグは、前記アクセス情報に前記識別情報を含む
請求項10に記載のエレベーターの通報処理システム。
【請求項13】
前記タグは、前記携帯端末が読取可能な符号化画像として前記アクセス情報を表示する
請求項10から請求項12のいずれか一項に記載のエレベーターの通報処理システム。
【請求項14】
前記タグは、前記携帯端末が読取可能な二次元コードとして前記アクセス情報を表示する
請求項10から請求項12のいずれか一項に記載のエレベーターの通報処理システム。
【請求項15】
前記タグは、近距離無線通信によって前記携帯端末に前記アクセス情報を送信する
請求項10から請求項12のいずれか一項に記載のエレベーターの通報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの通報処理装置およびエレベーターの通報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターの遠隔監視システムの例を開示する。当該遠隔監視システムにおいて、かごの内側にコードシールが貼り付けられる。利用者が所持する端末装置は、コードシールに印刷されている二次元コードが表すアクセス情報に基づいて、監視装置に接続する。利用者は、監視装置から端末装置に送信されたガイダンス情報に沿ってエレベーターの状況を通報する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開2007−106520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の遠隔監視システムにおいて、同じエレベーターについて複数の利用者から重複して通報される可能性がある。この場合に、遠隔監視システムの通信負荷が高くなる。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされた。本発明の目的は、重複した通報による通信負荷を抑制するエレベーターの通報処理装置およびエレベーターの通報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエレベーターの通報処理装置は、エレベーターのかごの内側または乗場に設けられるタグから携帯端末が読み取ったアクセス情報に基づいて送信される要求信号を当該携帯端末から受信する受信部と、当該要求信号に対応する応答信号を当該携帯端末に送信する送信部と、エレベーターを識別する識別情報に対応付けて当該エレベーターについての通報状況を記憶し、通報状況に緊急度を対応付けて記憶する通報状況記憶部と、通報状況記憶部が記憶している通報状況に基づいて、タグからアクセス情報を読み取った携帯端末から受信部が要求信号を受信したときに当該タグが設けられるエレベーターについて既に通報があったかを判定する通報状況判定部と、当該要求信号に対応する応答信号として、既に通報があったと通報状況判定部が判定する場合に通報済みの情報を表す信号を生成し、まだ通報がなかったと通報状況判定部が判定する場合に通報を受け付ける信号を生成する応答生成部と、を備え、応答生成部は、タグからアクセス情報を読み取った携帯端末から受信部が要求信号を受信したときに当該タグが設けられるエレベーターについて既に通報があったと通報状況判定部が判定する場合に、当該要求信号に対応する応答信号として、通報済みの情報を表し、かつ、通報を受け付ける信号を生成し、通報状況記憶部は、当該エレベーターについて既にあった通報の緊急度より高い緊急度の通報が受け付けられたときに、当該エレベーターについて記憶している通報状況を更新する
本発明に係るエレベーターの通報処理装置は、エレベーターのかごの内側または乗場に設けられるタグから携帯端末が読み取ったアクセス情報に基づいて送信される要求信号を当該携帯端末から受信する受信部と、当該要求信号に対応する応答信号を当該携帯端末に送信する送信部と、エレベーターを識別する識別情報に対応付けて当該エレベーターについての通報状況を記憶する通報状況記憶部と、通報状況記憶部が記憶している通報状況に基づいて、タグからアクセス情報を読み取った携帯端末から受信部が要求信号を受信したときに当該タグが設けられるエレベーターについて既に通報があったかを判定する通報状況判定部と、当該要求信号に対応する応答信号として、既に通報があったと通報状況判定部が判定する場合に通報済みの情報を表す信号を生成し、まだ通報がなかったと通報状況判定部が判定する場合に通報を受け付ける信号を生成する応答生成部と、受信部が要求信号を受信したときに災害が発生しているかを判定する災害状況判定部と、通常時に報知するメッセージを記憶するメッセージ記憶部と、を備え、受信部が要求信号を受信したときに災害が発生していないと災害状況判定部が判定する場合に、応答生成部は、通常時に報知するメッセージをメッセージ記憶部から取得して当該要求信号に対応する応答信号として当該メッセージを表す応答信号を生成し、送信部は、当該要求信号を送信した携帯端末に当該応答信号を送信する。

【0007】
本発明に係るエレベーターの通報処理システムは、エレベーターのかごの内側または乗場に設けられるタグと、上記の通報処理装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通報処理装置は、受信部と、送信部と、通報状況記憶部と、通報状況判定部と、応答生成部と、を備える。通報状況記憶部は、エレベーターを識別する識別情報に対応付けて当該エレベーターについての通報状況を記憶する。タグは、エレベーターのかごの内側または乗場に設けられる。要求信号は、当該タグからアクセス情報を読み取った携帯端末から受信部に送信される。通報状況判定部は、通報状況記憶部が記憶している通報状況に基づいて、受信部が当該要求信号を受信したときに当該エレベーターについて既に通報があったかを判定する。応答生成部は、当該エレベーターについてまだ通報がなかったと通報状況判定部が判定する場合に、通報済みの情報を表す信号を生成する。応答生成部は、当該エレベーターについて既に通報があったと通報状況判定部が判定する場合に、通報を受け付ける信号を生成する。送信部は、要求信号を送信した携帯端末に、当該要求信号に対応する応答信号として、応答生成部が生成した信号を送信する。これにより、重複した通報による通信負荷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る通報処理システムの構成図である。
図2】実施の形態1に係る通報処理装置の動作の例を示すフローチャートである。
図3】実施の形態1に係る通報処理装置の主要部のハードウェア構成を示す図である。
図4】実施の形態2に係る通報処理装置の動作の例を示すフローチャートである。
図5】実施の形態3に係る通報処理装置の動作の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る通報処理システムの構成図である。
【0012】
通報処理システム1は、エレベーター2に適用される。
【0013】
エレベーター2は、複数の階を有する建築物に設けられる。エレベーター2において、図示されない昇降路は、建築物の複数の階を貫く。エレベーター2は、かご3と、制御盤4と、地震計5と、を備える。
【0014】
かご3は、昇降路の内部を鉛直方向に走行することで、建築物の複数の階の間で利用者などを輸送する装置である。かご3は、かご扉6と、かご操作盤7と、を備える。かご扉6は、かご3の内側の側面に設けられる。かご扉6は、かご3が複数の階のいずれかに停止しているときに、利用者がかご3に乗降しうるように開閉する装置である。かご操作盤7は、利用者によるかご呼びの操作を受け付ける装置である。かご操作盤7は、例えばかご3の内側においてかご扉6に隣接して設けられる。かご操作盤7は、非常通話装置8を備える。非常通話装置8は、非常時において音声通話により通報する装置である。非常通話装置8は、例えば非常通話ボタンおよびインターホンである。
【0015】
エレベーター2において、乗場9は、複数の階の各々に設けられる。エレベーター2において、乗場扉10および乗場操作盤11は、乗場9に設けられる。乗場扉10は、かご扉6に連動して開閉する装置である。乗場操作盤11は、利用者による乗場呼びの操作を受け付ける装置である。乗場操作盤11は、例えば乗場扉10に隣接して設けられる。
【0016】
制御盤4は、エレベーター2の動作を制御する装置である。エレベーター2の動作は、例えばかご呼びおよび乗場呼びの登録、ならびにかご3の走行を含む。
【0017】
地震計5は、地震を検知する装置である。地震計5は、予め設定された基準より大きい地震を検知するときに検知信号を送信しうるように、制御盤4に接続される。当該基準は、例えば地震加速度などに基づいて設定される。制御盤4は、検知信号を受信するときに、図示されない安全装置を作動させる。安全装置は、例えばかご3の走行を停止させる。
【0018】
エレベーター2の利用者は、携帯端末12を所持していることがある。携帯端末12は、例えばスマートホンである。携帯端末12は、ネットワーク13に接続される。ネットワーク13は、例えばインターネットである。携帯端末12は、ネットワーク13を通じて送信される要求信号に対応して受信した応答信号が表す内容を表示するブラウザ機能を搭載する。ブラウザ機能は、例えばウェブブラウザの機能である。
【0019】
この例において、携帯端末12は、画像を撮影するカメラ機能、およびカメラ機能によって撮影された画像が符号化画像である場合に当該符号化画像を復号する復号機能を搭載する。符号化画像は、文字列などの情報を符号化した画像である。符号化画像は、例えば一次元バーコードまたは二次元コードである。二次元コードは、例えばマトリックス式またはスタック式のコードである。
【0020】
通報処理システム1は、遠隔監視装置14と、タグ15と、通報処理装置16と、を備える。
【0021】
遠隔監視装置14は、例えばエレベーター2が設けられる建築物に設けられる。遠隔監視装置14は、例えばエレベーター2と通信しうるように、制御盤4に接続される。遠隔監視装置14は、ネットワーク13に接続される。遠隔監視装置14は、遠隔監視センター17に設けられた装置との間でネットワーク13を介してエレベーター2の情報を通信する装置である。ここで、遠隔監視センター17は、エレベーター2の運転状態などを監視する拠点である。
【0022】
タグ15は、かご3の内側または乗場9に設けられる。かご3の内側または乗場9において、タグ15は、例えば利用者の目に付きやすい位置に設けられる。かご3の内側において、タグ15は、例えばかご操作盤7に隣接して設けられる。乗場9において、タグ15は、例えば乗場操作盤11に隣接して設けられる。タグ15は、かご3の内側および乗場9の両方に設けられてもよい。
【0023】
タグ15は、アクセス情報を持つ札状体である。アクセス情報は、ネットワーク13を介して通報処理装置16にアクセスするための情報である。アクセス情報は、例えばURL(Uniform Resource Locator)である。アクセス情報は、短縮URLであってもよい。この例において、タグ15は、アクセス情報が符号化画像として印刷されたシールまたはプレートである。符号化画像は、例えばQRコード(登録商標)である。この例のタグ15において、識別情報が、符号化画像に隣接して文字情報として印刷される。識別情報は、タグ15が設けられるエレベーター2を識別する情報である。識別情報は、例えば建物番号と号機番号との組合せである。建物番号は、建築物に一意に対応する番号である。号機番号は、エレベーター2のかご3を含むユニットに一意に対応する番号である。エレベーター2が複数のユニットを有する場合に、識別情報は、エレベーターバンクを識別する情報であってもよい。
【0024】
通報処理装置16は、例えば遠隔監視センター17に設けられる。通報処理装置16は、受信部18と、送信部19と、属性情報記憶部20と、通報状況記憶部21と、メッセージ記憶部22と、災害状況判定部23と、通報状況判定部24と、応答生成部25と、を備える。
【0025】
受信部18は、携帯端末12から送信された要求信号を受信しうるように、ネットワーク13に接続される。送信部19は、要求信号を送信した携帯端末12に当該要求信号に対応する応答信号を送信しうるように、ネットワーク13に接続される。
【0026】
属性情報記憶部20は、識別情報と、エレベーター2の属性情報とを対応づけて記憶する部分である。属性情報は、例えばエレベーター2が設けられる建築物の名称および住所ならびにエレベーター2の機種などの情報を含む。
【0027】
通報状況記憶部21は、識別情報と、当該識別情報によって識別されるエレベーター2についての通報状況とを対応付けて記憶する部分である。通報状況は、例えば、通報されたエレベーター2の状態、および通報に対する技術者の派遣の有無などの情報を含む。
【0028】
メッセージ記憶部22は、エレベーター2の状態と、エレベーター2の利用者に対して報知するメッセージとを対応づけて記憶する部分である。
【0029】
災害状況判定部23は、災害の発生を判定する部分である。ここで、災害状況判定部23が発生を判定する災害は、エレベーター2の運転状態への影響が広い地理的範囲に及ぶ事象である。エレベーター2の運転状態への影響は、例えば安全装置の作動、またはエレベーター2の機器の故障もしくは不調などである。災害は、例えば自然現象によって発生する地震などの広域災害、または人為的な原因によって発生する事象を含む。災害状況判定部23は、災害フラグの状態を記憶する。災害フラグの状態は、ONまたはOFFのいずれかの状態である。災害フラグの状態は、災害が発生するときにONに切り替えられる。災害状況判定部23は、災害フラグの状態に基づいて災害の発生を判定する。
【0030】
通報状況判定部24は、識別情報によって識別されるエレベーター2について通報の有無を判定する部分である。
【0031】
応答生成部25は、携帯端末12からの要求信号に対応する応答信号を生成する部分である。
【0032】
続いて、通常時における通報処理システム1の機能を説明する。通常時において、災害状況判定部23の災害フラグの状態はOFFに設定されている。
【0033】
携帯端末12を所持している利用者は、かご3の内側または乗場9において、タグ15に印刷された符号化画像を撮影する。携帯端末12は、撮影された符号化画像を復号することによってアクセス情報を読み取る。携帯端末12は、読み取ったアクセス情報に基づいて、要求信号を通報処理装置16に送信する。
【0034】
通報処理装置16の受信部18は、ネットワーク13を通じて携帯端末12から要求信号を受信する。受信部18が要求信号を受信するときに、災害状況判定部23は、災害フラグの状態を参照する。災害フラグの状態がOFFなので、災害状況判定部23は、災害が発生していないと判定する。災害状況判定部23は、判定結果を応答生成部25に送信する。
【0035】
応答生成部25は、受信した判定結果に基づいて、通常時に報知するメッセージをメッセージ記憶部22から取得する。当該メッセージは、例えば広告またはその他のコンテンツを含むメッセージである。あるいは、当該メッセージは、エレベーター2の保守点検予定日時に関するメッセージであってもよい。あるいは、当該メッセージは、災害発生時における通報処理システム1の機能を説明するメッセージであってもよい。この例において、通常時に報知するメッセージは、通報を受け付けない。応答生成部25は、取得したメッセージを表す応答信号を生成する。送信部19は、生成された応答信号を、要求信号を送信した携帯端末12にネットワーク13を通じて送信する。
【0036】
携帯端末12は、通報処理装置16から受信した応答信号が表す内容を表示する。
【0037】
続いて、災害発生時における通報処理システム1の機能を説明する。ここで、災害として、予め設定された基準より大きい地震が発生した場合を例として説明する。
【0038】
エレベーター2の地震計5は、地震を検知する。制御盤4は、地震計5の検知信号に基づいて安全装置を作動させる。安全装置は、かご3の走行を停止させる。遠隔監視装置14は、地震計5からの検知信号に基づいて制御盤4が安全装置を作動させたことを検知する。遠隔監視装置14は、安全装置の作動を表す信号を遠隔監視センター17に設けられた装置にネットワーク13を介して送信する。ここで、広い地理的範囲におけるエレベーター2の運転状態は、発生した災害による影響を受けている。このため、例えば通信の輻輳によって、遠隔監視装置14による安全装置の作動を知らせる通報が困難な場合がある。
【0039】
このとき、例えばかご3に乗車している利用者、またはこれからかご3に乗車しようとしている利用者は、かご3の走行が停止したエレベーター2の状態について通報を試みる。ここで、例えば災害の発生によって起きる通信の輻輳によって、かご3の内側に設けられた非常通話装置8による通報が困難な場合がある。このとき、携帯端末12を所持している利用者は、かご3または乗場9に設けられたタグ15に印刷された符号化画像を撮影する。
【0040】
携帯端末12は、撮影された符号化画像を復号することによってアクセス情報を読み取る。携帯端末12は、読み取ったアクセス情報に基づいて、要求信号を通報処理装置16に送信する。
【0041】
災害が発生するときに、エレベーター2の状態についての通報を携帯端末12から試みる利用者は、通常時に通報を試みる利用者より多くなる。このため、予め設定された時間範囲内において受信部18が受信する要求信号の数は、通常時より多くなる。当該時間範囲内の要求信号の数が予め設定された閾値を超えるときに、災害状況判定部23は、災害が発生したと判定して災害フラグの状態をOFFからONに切り替える。
【0042】
受信部18が要求信号を受信するときに、災害状況判定部23は、災害フラグの状態を参照する。災害フラグの状態がONに切り替えられているときに、災害状況判定部23は、災害が発生していると判定する。災害状況判定部23は、判定結果を応答生成部25に送信する。
【0043】
応答生成部25は、受信した判定結果に基づいて、エレベーター2の識別情報の入力を受け付けるメッセージをメッセージ記憶部22から取得する。応答生成部25は、取得したメッセージを表す応答信号を生成する。送信部19は、生成された応答信号を、要求信号を送信した携帯端末12に送信する。
【0044】
携帯端末12は、通報処理装置16から受信した応答信号が表す内容を表示する。利用者は、表示された内容に基づいて、タグ15に印刷されている識別情報を入力する。携帯端末12は、入力された識別情報を通報処理装置16に送信する。
【0045】
通報処理装置16の受信部18は、携帯端末12から識別情報を受信する。通報状況判定部24は、受信部18が受信した識別情報に対応づけて通報状況記憶部21が記憶している通報状況を参照する。通報状況判定部24は、当該識別情報に対応する通報状況が通報状況記憶部21に記憶されている場合に、当該識別情報によって識別されるエレベーター2について既に通報があったと判定する。一方、通報状況判定部24は、当該識別情報に対応する通報状況が通報状況記憶部21に記憶されていない場合に、当該識別情報によって識別されるエレベーター2についてまだ通報がないと判定する。通報状況判定部24は、判定結果を応答生成部25に送信する。
【0046】
既に通報があったと通報状況判定部24が判定する場合に、応答生成部25は、通報済みのメッセージをメッセージ記憶部22から取得する。通報済みのメッセージは、例えば「既にご連絡を頂いています。」などの文字列を含む。既にあった通報に対して既に技術者が派遣されている場合に、当該メッセージは、「既にご連絡を頂き、技術者を手配済みです。」などの文字列を含んでもよい。応答生成部25は、取得したメッセージを表す応答信号を生成する。送信部19は、生成された応答信号を、識別情報を送信した携帯端末12に送信する。
【0047】
携帯端末12は、通報処理装置16から受信した応答信号が表す内容を表示する。
【0048】
一方、まだ通報がないと通報状況判定部24が判定する場合に、応答生成部25は、通報を受け付けるメッセージをメッセージ記憶部22から取得する。通報を受け付けるメッセージは、例えばチェックボックスなどによって選択可能なリストによって列挙される「かご内閉じ込め」、「停止中」、および「運転中」などの項目を含む。ここで、例えば「運転中」の項目は、チェックボックスなどによって選択可能なリストによって列挙される「異常音」、「ランプ切れ」、および「その他」などの項目を下位項目として含んでもよい。さらに、「その他」の項目は、当該項目が選択された場合に詳細情報を文字入力する例えばテキストボックスを含んでもよい。応答生成部25は、取得したメッセージを表す応答信号を生成する。送信部19は、生成された応答信号を、識別情報を送信した携帯端末12に送信する。
【0049】
携帯端末12は、通報処理装置16から受信した応答信号が表す内容を表示する。利用者は、表示された内容に基づいて、エレベーター2の状態を列挙された項目から選択する。携帯端末12は、選択された項目を表す情報を通報処理装置16に送信することで通報を行う。
【0050】
通報処理装置16の受信部18は、携帯端末12から選択された項目を表す情報を受信する。通報状況判定部24は、受信部18が受信した情報に基づいて、通報状況を識別情報に対応づけて通報状況記憶部21に記憶させる。
【0051】
遠隔監視センター17において、通報状況記憶部21が記憶している情報に基づいて、通報に対して派遣される技術者の手配が行われる。技術者の手配は、遠隔監視センター17に設けられる装置などが通報の受付と同時に行ってもよい。あるいは、技術者の手配は、遠隔監視センター17のオペレーターが行ってもよい。
【0052】
応答生成部25は、受付済みのメッセージをメッセージ記憶部22から取得する。受付済みのメッセージは、例えば「ご連絡ありがとうございました。」などの文字列を含む。例えば通報の受付と同時に技術者が手配される場合に、当該メッセージは、「技術者を手配しました。ご連絡ありがとうございました。」などの文字列を含んでもよい。応答生成部25は、取得したメッセージを表す応答信号を生成する。送信部19は、生成された応答信号を、識別情報を送信した携帯端末12に送信する。
【0053】
携帯端末12は、通報処理装置16から受信した応答信号が表す内容を表示する。
【0054】
続いて、図2を用いて、実施の形態1に係る通報処理装置16の動作の例を説明する。
図2は、実施の形態1に係る通報処理装置の動作の例を示すフローチャートである。
【0055】
ステップS01において、受信部18は、携帯端末12から要求信号を受信する。その後、通報処理装置16の動作は、ステップS02に進む。
【0056】
ステップS02において、災害状況判定部23は、災害が発生しているかを判定する。判定結果がNoの場合に、通報処理装置16の動作は、ステップS03に進む。判定結果がYesの場合に、通報処理装置16の動作は、ステップS04に進む。
【0057】
ステップS03において、応答生成部25は、通常時のメッセージを表す応答信号を生成する。その後、送信部19は、生成された応答信号を携帯端末12に送信する。その後、通報処理装置16の動作は、終了する。
【0058】
ステップS04において、応答生成部25は、識別情報の入力を受け付けるメッセージを表す応答信号を生成する。その後、送信部19は、生成された応答信号を携帯端末12に送信する。その後、通報処理装置16の動作は、ステップS05に進む。
【0059】
ステップS05において、受信部18は、携帯端末12から識別情報を受信する。その後、通報処理装置16の動作は、ステップS06に進む。
【0060】
ステップS06において、災害状況判定部23は、受信した識別情報に識別されるエレベーター2について通報が既にあったかを判定する。判定結果がYesの場合に、通報処理装置16の動作は、ステップS07に進む。判定結果がNoの場合に、通報処理装置16の動作は、ステップS08に進む。
【0061】
ステップS07において、応答生成部25は、通報済みのメッセージを表す応答信号を生成する。その後、送信部19は、生成された応答信号を携帯端末12に送信する。その後、通報処理装置16の動作は、終了する。
【0062】
ステップS08において、応答生成部25は、通報を受け付けるメッセージを表す応答信号を生成する。その後、送信部19は、生成された応答信号を携帯端末12に送信する。その後、通報処理装置16の動作は、ステップS09に進む。
【0063】
ステップS09において、受信部18は、携帯端末12から通報の情報を受信する。その後、通報処理装置16の動作は、ステップS10に進む。
【0064】
ステップS10において、通報情報記憶部は、受信した通報の情報に基づいて、既に受信した識別情報と通報状況とを対応付けて記憶する。その後、通報処理装置16の動作は、ステップS11に進む。
【0065】
ステップS11において、応答生成部25は、受付済みのメッセージを表す応答信号を生成する。その後、送信部19は、生成された応答信号を携帯端末12に送信する。その後、通報処理装置16の動作は、終了する。
【0066】
以上に説明したように、実施の形態1に係る通報処理システム1は、タグ15と、通報情報処理装置と、を備える。タグ15は、エレベーター2のかご3の内側または乗場9に設けられる。通報処理装置16は、受信部18と、送信部19と、通報状況記憶部21と、通報状況判定部24と、応答生成部25と、を備える。受信部18は、要求信号を携帯端末12から受信する。要求信号は、タグ15から携帯端末12が読み取ったアクセス情報に基づいて送信される。送信部19は、要求信号に対応する応答信号を携帯端末12に送信する。通報状況記憶部21は、識別情報に対応付けてエレベーター2についての通報状況を記憶する。識別情報は、エレベーター2を識別する情報である。通報状況判定部24は、通報状況記憶部21が記憶している通報状況に基づいて、タグ15からアクセス情報を読み取った携帯端末12から受信部18が要求信号を受信したときに当該タグ15が設けられるエレベーター2について既に通報があったかを判定する。応答生成部25は、要求信号に対応する応答信号として、既に通報があったと通報状況判定部24が判定する場合に通報済みの情報を表す信号を生成する。応答生成部25は、要求信号に対応する応答信号として、まだ通報がなかったと通報状況判定部24が判定する場合に通報を受け付ける信号を生成する。
【0067】
特に、災害発生時において、広い地理的範囲におけるエレベーター2の運転状態が影響を受ける。このとき、同じエレベーター2について運転状態が影響を受けていることを発見する利用者も多くなる。通報処理装置16によって、利用者は、通報を行おうとするエレベーター2について既に通報がされているかを容易に把握できる。このため、同じエレベーター2について災害の影響を発見した複数の利用者からの重複した通報が抑制される。これにより、重複した通報による通信負荷が抑制される。また、音声通話が困難な場合においても、通報処理装置16は、利用者に安心感を与えられる。
【0068】
また、通報処理装置16は、災害状況判定部23を備える。災害状況判定部23は、受信部18が要求信号を受信したときに災害が発生しているかを判定する。応答生成部25は、当該要求信号に対応する応答信号として、災害が発生していないと災害状況判定部23が判定する場合に通常時の信号を生成する。
【0069】
これにより、通常時において、タグ15から読み取ったアクセス情報に基づいてされる無用な通報が防止される。このため、タグ15は、いたずらなどによる無用な通報を防止しながら、利用者の目に付きやすい場所に配置できる。利用者は、通常時からタグ15の存在を意識しやすくなる。このため、災害発生時においても通報処理システム1が活用されやすくなる。また、通常時において、タグ15は、広告またはその他のコンテンツを含むメッセージを表示する媒体として活用できる。このため、かご3の内側または乗場9におけるスペースが有効に活用される。
【0070】
また、災害状況判定部23は、災害の発生を判定する災害フラグの状態を記憶する。災害フラグは、予め設定された時間範囲内において受信部18が受信する要求信号の数が閾値を超えるときに、災害が発生している状態に切り替えられる。
【0071】
これにより、災害状況判定部23は、外部の機器からの情報およびオペレーターなどによる操作などを必要とせずに、災害の発生を自動的に判定できる。このため、災害時にネットワーク13などによる通信が不調となっても、通報処理装置16は、災害発生時の動作に移行できる。
【0072】
また、タグ15は、文字情報として識別情報を表示する。
【0073】
これにより、利用者は、識別情報を直接視認できる。このため、通常時においてエレベーター2に異常などが発生したときに、利用者が所持する携帯端末12からの音声通話などによって通報がされる場合にも、利用者は、対象となるエレベーター2を容易に特定して通報できる。また、タグ15を製造するときに、個々のエレベーター2を識別する識別情報を除いてアクセス情報をタグ15に付与することができる。通報処理装置16を共有するエレベーター2について同一のタグ15が製造できることにより、タグ15の製造コストが低減する。
【0074】
また、タグ15は、携帯端末12が読取可能な符号化画像としてアクセス情報を表示する。
【0075】
これにより、タグ15は、符号化画像の例えばシールへの印刷などによって製造される。このため、タグ15の製造、配布、設置、更新および撤去などが容易になる。
【0076】
また、タグ15は、携帯端末12が読取可能な二次元コードとしてアクセス情報を表示する。
【0077】
これにより、タグ15が持つ単位面積あたりの情報量が高められる。このため、タグ15は、例えば誤り訂正符号などの情報を含めてアクセス情報を表示できる。したがって、例えば通常時のいたずら、または災害発生時に生じた要因などによってタグ15が汚損していても、利用者の携帯端末12から通報処理装置16にアクセスできる可能性が高くなる。
【0078】
なお、通報処理システム1は、遠隔監視装置14を備えなくてもよい。通報処理システム1のタグ15は、遠隔監視装置14が設けられていないエレベーター2に設けられてもよい。
【0079】
また、通報状況記憶部21は、非常通話装置8の音声通話による通報と、携帯端末12による通報とを同様に通報状況として記憶してもよい。
【0080】
また、通報処理装置16は、異なる地域に設けられる複数のエレベーター2についての通報を、単一の装置によって受け付けてもよい。通報処理装置16は、異なる地域に設けられる複数のエレベーター2についての通報を、地域ごとに設けられる複数の装置によって受け付けてもよい。このとき、例えばメッセージ記憶部22などの通報処理装置16の部分の一部は、複数の装置の間で共有されてもよい。
【0081】
また、災害状況判定部23は、例えば音声通話などの通信の輻輳を検知して、災害フラグの状態をONに切り替えてもよい。災害状況判定部23は、例えば公的機関などの外部の災害情報サーバーからの情報に基づいて災害フラグの状態をONに切り替えてもよい。災害状況判定部23は、例えば遠隔監視装置14から受信する安全装置の作動を表す信号に基づいて災害フラグの状態をONに切り替えてもよい。災害状況判定部23は、例えば遠隔監視センター17のオペレーターによる操作に基づいて災害フラグの状態をONに切り替えてもよい。
【0082】
通報処理装置16は、通報状況記憶部21が記憶している情報に基づいて、通報に対して派遣される技術者の手配を行う手配部を備えてもよい。手配部は、通報の受付と同時に技術者の手配を行う。手配部は、例えば通報されたエレベーター2の位置を、属性情報記憶部20から参照した建築物の住所などから取得する。手配部は、例えば当該エレベーター2の近隣にいる技術者を選択して派遣の指示を行う。技術者の位置情報は、例えば技術者が所持している端末装置が衛星航法などによって取得した位置情報であってもよい。手配部による派遣の指示は、例えば技術者が所持している端末装置に派遣指示の信号を送信することによって行われてもよい。
【0083】
続いて、図3を用いて通報処理装置16のハードウェア構成の例について説明する。
図3は、実施の形態1に係る通報処理装置の主要部のハードウェア構成を示す図である。
【0084】
通報処理装置16の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ16bと少なくとも1つのメモリ16cとを備える。処理回路は、プロセッサ16bおよびメモリ16cと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用のハードウェア16aを備えてもよい。
【0085】
処理回路がプロセッサ16bとメモリ16cとを備える場合、通報処理装置16の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ16cに格納される。プロセッサ16bは、メモリ16cに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、通報処理装置16の各機能を実現する。
【0086】
プロセッサ16bは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ16cは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等により構成される。
【0087】
処理回路が専用のハードウェア16aを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0088】
通報処理装置16の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、通報処理装置16の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。通報処理装置16の各機能について、一部を専用のハードウェア16aで実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、ハードウェア16a、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで通報処理装置16の各機能を実現する。
【0089】
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0090】
実施の形態2に係るタグ15が持つアクセス情報は、識別情報を含む。例えばアクセス情報がURLである場合に、アクセス情報は、例えばクエリパラメーターとして識別情報を含む。タグ15が印刷された符号化画像としてアクセス情報を表示する場合に、当該符号化画像は、識別情報を含むアクセス情報を符号化した画像である。
【0091】
続いて、災害発生時における通報処理システム1の機能を、特に実施の形態1で開示された例と相違する点について説明する。
【0092】
携帯端末12は、タグ15から読み取ったアクセス情報に基づいて、識別情報を含む要求信号を通報処理装置16に送信する。
【0093】
受信部18が要求信号を受信するときに、災害状況判定部23は、災害フラグの状態を参照する。災害フラグの状態がONに切り替えられているときに、災害状況判定部23は、災害が発生していると判定する。災害状況判定部23は、判定結果を応答生成部25に送信する。
【0094】
このとき、通報状況判定部24は、要求信号に含まれる識別情報に対応づけて通報状況記憶部21が記憶している通報状況を参照する。通報状況判定部24は、当該識別情報によって識別されるエレベーター2についての通報の有無を判定する。通報状況判定部24は、判定結果を応答生成部25に送信する。
【0095】
応答生成部25は、災害状況判定部23および通報状況判定部24から受信した判定結果に基づいて、通報済みのメッセージまたは通報を受け付けるメッセージをメッセージ記憶部22から取得する。応答生成部25は、取得したメッセージを表す応答信号を生成する。送信部19は、生成された応答信号を、要求信号を送信した携帯端末12に送信する。
【0096】
携帯端末12は、通報処理装置16から受信した応答信号が表す内容を表示する。利用者は、表示された内容に基づいて、エレベーター2の状態を列挙された項目から選択する。携帯端末12は、選択された項目を表す情報を通報処理装置16に送信することで通報を行う。
【0097】
続いて、図4を用いて、実施の形態2に係る通報処理装置16の動作の例を説明する。
図4は、実施の形態2に係る通報処理装置の動作の例を示すフローチャートである。
【0098】
実施の形態2に係る通報処理装置16は、ステップS01からステップS03まで、およびステップS06からステップS11までにおいて、実施の形態1に係る通報処理装置16と同様に動作する。ここで、ステップS02において判定結果がYesの場合に、実施の形態2に係る通報処理装置16の動作は、ステップS12に進む。
【0099】
ステップS12において、災害状況判定部23は、要求信号に含まれる識別情報を取得する。その後、通報処理装置16の動作は、ステップS06に進む。
【0100】
以上に説明したように、実施の形態2に係る通報処理システム1のタグ15は、アクセス情報に識別情報を含む。
【0101】
これにより、利用者は、通報を行おうとするエレベーター2について既に通報がされているかを識別情報の入力を必要とせずに容易に把握できる。また、通報処理装置16は、識別情報の入力を携帯端末12に求めるための通信を別途必要としない。これにより、通報による通信負荷が抑制される。
【0102】
また、タグ15は、近距離無線通信によって携帯端末12にアクセス情報を送信してもよい。このとき、タグ15は、例えばRFID(Radio Frequency IDentification)タグである。タグ15と携帯端末12との間の近距離無線通信は、例えばNFC(Near Field Communication)規格などの通信によって行われる。
【0103】
これにより、利用者は、例えば携帯端末12をかざすだけの操作によって、通報を行おうとするエレベーター2について既に通報がされているかを容易に把握できる。災害発生時において、停電が発生する可能性がある。このとき、タグ15が設けられるかご3の内側または乗場9が暗い場合であっても、利用者は、携帯端末12から容易に通報処理装置16にアクセスできる。
【0104】
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態1または実施の形態2で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態3で説明しない特徴については、実施の形態1または実施の形態2で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0105】
実施の形態3に係る通報状況記憶部21は、識別情報と、当該識別情報によって識別されるエレベーター2についての通報状況と、緊急度とを対応付けて記憶する。ここで、緊急度は、例えばエレベーター2の状態に対応して予め設定される。例えば「かご内閉じ込め」状態の緊急度は、「高」に設定される。例えば「停止中」状態の緊急度は、「中」に設定される。例えば「運転中」状態の緊急度は、「低」に設定される。
【0106】
続いて、災害発生時における通報処理システム1の機能を、特に実施の形態1または実施の形態2で開示された例と相違する点について説明する。
【0107】
通報状況記憶部21が記憶している通報状況に基づいて、既に通報があったと通報状況判定部24が判定する場合に、応答生成部25は、通報済みのメッセージをメッセージ記憶部22から取得する。ここで、通報済みのメッセージは、通報されたエレベーター2の状態の情報を含む。通報済みのメッセージは、例えば「既に『停止中』とのご連絡を頂いています。」などの文字列を含む。既にあった通報に対して既に技術者が派遣されている場合に、当該メッセージは、「既に『停止中』とのご連絡を頂き、技術者を手配済みです。」などの文字列を含んでもよい。
【0108】
応答生成部25は、既にあった通報の緊急度に対応したメッセージをメッセージ記憶部22からさらに取得する。例えば緊急度「高」の場合に、当該メッセージは、例えば「至急お伺いいたします」などの文字列を含む。例えば緊急度「中」の場合に、当該メッセージは、例えば「午前中にお伺いいたします」などの文字列を含む。例えば緊急度「低」の場合に、当該メッセージは、例えば「本日中にお伺いいたします」などの文字列を含む。
【0109】
応答生成部25は、追加の通報を受け付けるメッセージをメッセージ記憶部22からさらに取得する。応答生成部25は、取得したメッセージを表す応答信号を生成する。送信部19は、生成された応答信号を、識別情報を送信した携帯端末12に送信する。
【0110】
携帯端末12は、通報処理装置16から受信した応答信号が表す内容を表示する。利用者は、自らがしようとしていた通報の内容と既にあった通報の内容とが異なる場合に、再度の通報を試みる。利用者は、表示された内容に基づいて、エレベーター2の状態を列挙された項目から選択する。携帯端末12は、選択された項目を表す情報を通報処理装置16に送信することで再度の通報を行う。
【0111】
通報処理装置16の受信部18は、携帯端末12から選択された項目を表す情報を受信する。通報状況判定部24は、受信した情報による通報の緊急度と、既にあった通報の緊急度とを比較する。通報状況判定部24は、判定結果を応答生成部25に送信する。
【0112】
既にあった通報の緊急度が受信した情報による通報の緊急度以上であると通報状況判定部24が判定する場合に、応答生成部25は、通報済みのメッセージをメッセージ記憶部22から取得する。応答生成部25は、取得したメッセージを表す応答信号を生成する。送信部19は、生成された応答信号を、識別情報を送信した携帯端末12に送信する。
【0113】
一方、受信した情報による通報の緊急度が既にあった通報の緊急度より高いと判定する場合に、通報状況判定部24は、受信した情報に基づいて通報状況記憶部21が記憶している通報状況を更新する。また、通報処理装置16は、計数部を備えてもよい。計数部は、識別情報ごとに通報回数を計数する部分である。通報状況判定部24は、予め設定された回数に通報回数が達するときに、通報状況記憶部21が記憶している通報状況の緊急度をより高い緊急度に更新してもよい。
【0114】
このとき、通報に対する技術者の手配が再度行われてもよい。技術者の再手配は、例えば既に派遣が指示されている技術者に対して、他の通報に優先して対応するように再度指示をすることによって行われてもよい。あるいは、技術者の再手配は、通報されたエレベーター2の近隣にいる他の技術者に新たに派遣を指示することによって行われてもよい。
【0115】
応答生成部25は、再受付済みのメッセージをメッセージ記憶部22から取得する。再受付済みのメッセージは、受付済みのメッセージと同様であってもよい。応答生成部25は、取得したメッセージを表す応答信号を生成する。送信部19は、生成された応答信号を、識別情報を送信した携帯端末12に送信する。
【0116】
携帯端末12は、通報処理装置16から受信した応答信号が表す内容を表示する。
【0117】
続いて、図5を用いて、実施の形態3に係る通報処理装置16の動作の例を説明する。
図5は、実施の形態3に係る通報処理装置の動作の例を示すフローチャートである。
【0118】
実施の形態2に係る通報処理装置16は、ステップS01からステップS03まで、ステップS06、およびステップS08からステップS12までにおいて、実施の形態2に係る通報処理装置16と同様に動作する。ここで、ステップS06において判定結果がYesの場合に、実施の形態3に係る通報処理装置16の動作は、ステップS13に進む。
【0119】
ステップS13において、応答生成部25は、通報済みのメッセージを表し、かつ、通報を受付けるメッセージを表す応答信号を生成する。その後、送信部19は、生成された応答信号を携帯端末12に送信する。その後、通報処理装置16の動作は、ステップS14に進む。
【0120】
ステップS14において、受信部18は、携帯端末12から通報の情報を受信する。その後、通報処理装置16の動作は、ステップS15に進む。
【0121】
ステップS15において、通報状況判定部24は、受信した情報による通報の緊急度が既にあった通報の緊急度より高いかを判定する。判定結果がNoの場合に、通報処理装置16の動作は、ステップS16に進む。判定結果がYesの場合に、通報処理装置16の動作は、ステップS17に進む。
【0122】
ステップS16において、応答生成部25は、通報済みのメッセージを表す応答信号を生成する。その後、送信部19は、生成された応答信号を携帯端末12に送信する。その後、通報処理装置16の動作は、終了する。
【0123】
ステップS17において、通報情報記憶部は、受信した通報の情報に基づいて、記憶している通報状況を更新する。その後、通報処理装置16の動作は、ステップS18に進む。
【0124】
ステップS18において、応答生成部25は、再受付済みのメッセージを表す応答信号を生成する。その後、送信部19は、生成された応答信号を携帯端末12に送信する。その後、通報処理装置16の動作は、終了する。
【0125】
以上に説明したように、実施の形態3に係る通報処理装置16の通報状況記憶部21は、通報状況に緊急度を対応付けて記憶する。
【0126】
これにより、遠隔監視センター17において、通報の緊急度に応じて技術者が手配される。このため、より緊急度の高い通報がより優先的に対応される。
【0127】
また、応答生成部25は、緊急度に応じて異なる応答信号を生成する。
【0128】
これにより、通報の緊急度に応じて異なる対応をとる場合に、当該対応の内容が緊急度に応じて利用者に報知される。このため、通報処理装置16は、通報を試みた利用者により効果的に安心感を与えられる。
【0129】
また、携帯端末12は、エレベーター2に設けられるタグ15からアクセス情報を読み取る。携帯端末12は、読み取ったアクセス情報に基づいて要求信号を送信する。応答生成部25は、受信部18が当該要求信号を受信したときに当該エレベーター2について既に通報があったと通報状況判定部24が判定する場合に、当該要求信号に対応する応答信号を生成する。当該応答信号は、通報済みの情報を表し、かつ、通報を受け付ける信号である。通報状況記憶部21は、当該エレベーター2について既にあった通報の緊急度より高い緊急度の通報が受け付けられたときに、当該エレベーター2について記憶している通報状況を更新する。
【0130】
これにより、時間の経過によってエレベーター2の状態が変化する場合においても、変化した後の状態の緊急度に基づいた対応がされる。また、他の利用者が緊急度の低い通報を既にしている場合においても、利用者は、より高い緊急度の通報をすることができる。例えば、乗場9からエレベーター2が停止していることを発見した利用者が「停止中」の通報をした後においても、当該エレベーター2のかご3に閉じ込められた利用者は、「かご内閉じ込め」の通報をすることができる。このとき、当該エレベーター2についての通報は、より高い緊急度の「かご内閉じ込め」の状態として処理される。このため、置かれた状況の異なる複数の利用者から通報がある場合においても、より緊急度の高い利用者からの通報を反映した対応がされる。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明に係る通報処理装置は、通報処理システムに適用できる。本発明に係る通報処理システムは、エレベーターに適用できる。
【符号の説明】
【0132】
1 通報処理システム、 2 エレベーター、 3 かご、 4 制御盤、 5 地震計、 6 かご扉、 7 かご操作盤、 8 非常通話装置、 9 乗場、 10 乗場扉、 11 乗場操作盤、 12 携帯端末、 13 ネットワーク、 14 遠隔監視装置、 15 タグ、 16 通報処理装置、 17 遠隔監視センター、 18 受信部、 19 送信部、 20 属性情報記憶部、 21 通報状況記憶部、 22 メッセージ記憶部、 23 災害状況判定部、 24 通報状況判定部、 25 応答生成部、 16a ハードウェア、 16b プロセッサ、 16c メモリ
【要約】
本発明は、重複した通報による通信負荷を抑制するエレベーターの通報処理装置(16)およびエレベーターの通報処理システム(1)を提供することを目的とする。通報状況判定部(24)は、通報状況記憶部(21)が記憶している通報状況に基づいて、エレベーター(2)に設けられるタグ(15)による携帯端末(12)からの要求信号を受信部(18)が受信したときに当該エレベーター(2)について既に通報があったかを判定する。応答生成部(25)は、まだ通報がなかったと判定される場合に、通報済みの情報を表す信号を生成する。応答生成部(25)は、既に通報があったと判定される場合に、通報を受け付ける信号を生成する。送信部(19)は、携帯端末(12)に生成された信号を送信する。
図1
図2
図3
図4
図5