特許第6597970号(P6597970)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6597970
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/14 20180101AFI20191021BHJP
   F21S 45/47 20180101ALI20191021BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20191021BHJP
   F21V 29/75 20150101ALI20191021BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20191021BHJP
【FI】
   F21S43/14
   F21S45/47
   F21V29/503
   F21V29/75
   F21Y115:10
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-37362(P2016-37362)
(22)【出願日】2016年2月29日
(65)【公開番号】特開2017-157319(P2017-157319A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2018年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】日野 清和
(72)【発明者】
【氏名】畑中 登志浩
【審査官】 杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−120446(JP,A)
【文献】 特開2012−079794(JP,A)
【文献】 特開2014−170745(JP,A)
【文献】 特開2007−116074(JP,A)
【文献】 特開2015−162448(JP,A)
【文献】 特開平09−106653(JP,A)
【文献】 特開2003−025377(JP,A)
【文献】 特開2003−007108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/14
F21S 45/47
F21V 29/503
F21V 29/75
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のフランジと;
前記フランジの一方の面に設けられ、前記フランジ側とは反対側の端面に開口する第1の凹部を有する装着部と;
前記装着部の前記端面と交差する面に設けられたバヨネットと;
前記第1の凹部の底面に設けられ、発光素子を有する発光モジュールと;
前記フランジの前記装着部が設けられる面と交差する面の、射出成形の金型に設けられたゲートと接続されていた位置に設けられ、突起、凹み、および面が荒れた領域の少なくともいずれかである痕跡部と;
を具備し
前記フランジ、前記装着部、および、前記バヨネットは、一体に形成され、樹脂と無機材料からなるフィラーを含む車両用照明装置。
【請求項2】
前記フランジの前記装着部が設けられる面と交差する面は、第2の凹部が設けられ、
前記痕跡部は、前記第2の凹部の底面に設けられている請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記第2の凹部の内部に設けられ、樹脂と無機材料からなるフィラーを含む封止部をさらに備えた請求項2記載の車両用照明装置。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置に設けられた装着部を保持する筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
ソケットと、ソケットの一方の端部側に設けられ発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を有する発光モジュールと、を備えた車両用照明装置がある。
車両用照明装置に設けられるソケットには、発光モジュールにおいて発生した熱の放熱性が高く、且つ、軽量であることが望まれている。
そのため、高熱伝導性樹脂から形成されたソケットが提案されている。
【0003】
この様なソケットは、射出成形法により形成することができる。
ところが、高熱伝導性樹脂には酸化アルミニウムなどからなるフィラーが添加されるので、流動性が低下する場合がある。
そのため、射出成形法により高熱伝導性樹脂を含むソケットを成形すると、充填不足やひけなどの成形不良が発生するおそれがある。この場合、ソケットの、発光モジュールが設けられる側の端部にひけが生じると、発光モジュールとソケットとの間に空間が生じ熱伝導性の低下、ひいては発光モジュールの放熱が著しく阻害されるおそれがある。
そこで、発光モジュールとソケットとの間の熱伝導性を向上させることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−220034公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、発光モジュールとソケットとの間の熱伝導性を向上させることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る車両用照明装置は、板状のフランジと;前記フランジの一方の面に設けられ、前記フランジ側とは反対側の端面に開口する第1の凹部を有する装着部と;前記装着部の前記端面と交差する面に設けられたバヨネットと;前記第1の凹部の底面に設けられ、発光素子を有する発光モジュールと;前記フランジの前記装着部が設けられる面と交差する面の、射出成形の金型に設けられたゲートと接続されていた位置に設けられ、突起、凹み、および面が荒れた領域の少なくともいずれかである痕跡部と;を具備している。
前記フランジ、前記装着部、および、前記バヨネットは、一体に形成され、樹脂と無機材料からなるフィラーを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、発光モジュールとソケットとの間の熱伝導性を向上させることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式斜視図である。
図2図1において車両用照明装置1をA方向から見た模式図である。
図3図1における車両用照明装置1のB−B線方向の模式断面図である。
図4】比較例に係る痕跡部201a、201b、201cの位置を例示するための模式断面図である。
図5】本実施の形態に係る痕跡部200a、200b、200c、200d、200eの位置を例示するための模式断面図である。
図6】(a)〜(d)は、図5においてソケット10をC方向から見た模式図である。
図7】他の実施形態に係る痕跡部200a、200b、200c、200d、200eを例示するための模式断面図である。
図8】(a)〜(d)は、図7においてソケット10をD方向から見た模式図である。
図9】封止部210を例示するための模式断面図である。
図10】車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0010】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置1としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL;Daylight Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置1の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、図1において車両用照明装置1をA方向から見た模式図である。
図3は、図1における車両用照明装置1のB−B線方向の模式断面図である。
なお、煩雑となるのを避けるために、図1図3においては痕跡部200aを省いて描いている(痕跡部200aは図5を参照)。
【0012】
図1図2、および図3に示すように、車両用照明装置1には、ソケット10、発光モジュール20、および給電部30が設けられている。
ソケット10は、装着部11、バヨネット12、フランジ13、および放熱フィン14を有する。
装着部11は、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けられている。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、フランジ13側とは反対側の端面に開口する凹部11a(第1の凹部の一例に相当する)を有する。凹部11aの底面11a1には発光モジュール20が設けられる。
【0013】
バヨネット12は、装着部11の外側面11c(装着部11の、凹部11aが設けられた端面と交差する面)に設けられている。バヨネット12は、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対峙している。バヨネット12は、複数設けられている。バヨネット12は、車両用照明装置1を車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いられる。バヨネット12は、ツイストロックに用いられるものである。
【0014】
フランジ13は、板状を呈している。フランジ13は、例えば、円板状を呈したものとすることができる。フランジ13の外側面13aは、バヨネット12の外側面12bよりも車両用照明装置1の外方に位置している。
【0015】
放熱フィン14は、フランジ13の、装着部11が設けられる側とは反対側の面に設けられている。放熱フィン14は、複数設けることができる。複数の放熱フィン14は、互いに平行となるように設けることができる。放熱フィン14は、平板状を呈したものとすることができる。
【0016】
また、ソケット10には、絶縁部31を挿入する孔10aと、コネクタ105を挿入する孔10bが設けられている。
孔10bには、シール部材105aを有するコネクタ105が挿入される。そのため、孔10bの断面形状は、シール部材105aを有するコネクタ105の断面形状に適合したものとなっている。
【0017】
発光モジュール20において発生した熱は、主に、装着部11およびフランジ13を介して放熱フィン14に伝わる。放熱フィン14に伝わった熱は、主に、放熱フィン14から外部に放出される。
【0018】
この場合、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれる。
そのため、装着部11、バヨネット12、フランジ13、および放熱フィン14は、高熱伝導性樹脂から形成することが好ましい。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と無機材料からなるフィラーを含む。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン等の樹脂に、熱伝導率の高い酸化アルミニウムや炭素などからなる繊維や粒子を混合させたものである。
【0019】
また、装着部11、バヨネット12、フランジ13、および放熱フィン14は、射出成形法を用いて一体に形成することが好ましい。
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、および放熱フィン14が一体に形成されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。
【0020】
ところが、高熱伝導性樹脂には無機材料からなるフィラーが添加されるので、流動性が低下する場合がある。
そのため、射出成形法により高熱伝導性樹脂を含むソケット10を成形すると、充填不足やひけなどの成形不良が発生するおそれがある。
【0021】
図4は、比較例に係る痕跡部201a、201b、201cの位置を例示するための模式断面図である。
痕跡部201a、201b、201cは、射出成形の金型に設けられたゲート200と接続されていた位置に設けられている。図4においては、装着部11の端面11bに設けられた一対の痕跡部201aと、バヨネット12のフランジ13と対向する面12aに設けられた一対の痕跡部201bと、放熱フィン14の端面14aに設けられた痕跡部201cとの、3種類の痕跡部を同時に記載しているが、少なくとも1種類の痕跡部がゲート200との接続に使用される。ゲート200は、射出成形法によりソケット10を成形する際に、高熱伝導性樹脂が金型の内部に流れ込む入り口である。
ソケット10には、絶縁部31を挿入する孔10aや、コネクタ105を挿入する孔10bが設けられる。
そのため、図4に示すように、装着部11の端面11bに痕跡部201aを設ける場合や、バヨネット12のフランジ13と対向する面12aに痕跡部201bを設ける場合は、金型の、孔10aや孔10bの位置にある突出部分により高熱伝導性樹脂の流れが妨げられるので、凹部11aの底面11a1にひけ11a2が生じるおそれがある。凹部11aの底面11a1にひけ11a2が生じると、発光モジュール20とソケット10との間に空間が生じ熱伝導性の低下、ひいては発光モジュール20の放熱が著しく阻害されるおそれがある。
【0022】
また、痕跡部201a、201b、201cは、射出成形の金型に設けられたゲート200と接続されていた部分である。そのため、痕跡部201a、201b、201cは、突起、凹み、面が荒れた領域などとなる。
バヨネット12の面12aに痕跡部201bが設けられていると、車両用照明装置1を車両用灯具100の筐体101に装着する際に引っかかるなどの不具合が生じるおそれがある。この場合、切削加工などを施して痕跡部201bを除去することもできるが、製造コストが増大することになる。
【0023】
また、射出成形の金型において、放熱フィン14の端面14aに設けられた痕跡部201cに対応する位置にゲート200を設けると、金型の内部に流入した高熱伝導性樹脂は、隣接する放熱フィン14の位置に回り込むようにして流入する。放熱フィン14は厚みが薄く数も多い、また、高熱伝導性樹脂には流動性が低いものもある。そのため、充填不足やひけ14bなどの成形不良が放熱フィン14に発生するおそれがある。充填不足やひけ14bなどの成形不良が放熱フィン14に発生すると、放熱フィン14の強度が著しく低下するおそれがある。車両用照明装置1を車両用灯具100の筐体101に装着する際には、作業者は放熱フィン14を掴むので、放熱フィン14の強度が低いと放熱フィン14が破損するおそれがある。
【0024】
なお、ゲート200の断面積を大きくしたり、保圧を行ったりすれば、充填不足やひけなどの発生を抑制することができる。しかしながら、装着部11の端面11b、バヨネット12のフランジ13と対向する面12a、および、放熱フィン14の端面14aは、面積が小さいので断面積の大きなゲート200を接続することが難しい。また、ゲート200の断面積を大きくすることができなければ、保圧を行うことが困難となる場合がある。
【0025】
図5は、本実施の形態に係る痕跡部200a、200b、200c、200d、200eの位置を例示するための模式断面図である。
図6(a)〜(d)は、図5においてソケット10をC方向から見た模式図である。図6(a)〜(d)は、痕跡部200dの位置を例示するための図であるため、200a、200b、200c、200eは省略している。
また、痕跡部200a、200b、200c、200d、200eは、射出成形の金型に設けられたゲート200と接続されていた部分である。そのため、痕跡部200a、200b、200c、200d、200eは、突起、凹み、面が荒れた領域などとなる。
【0026】
図5には、フランジ13の外側面13a(フランジ13の装着部11が設けられる面と交差する面13a)に設けられた痕跡部200a、装着部11の外側面11c(装着部11の凹部が設けられた端面と交差する面11c)に設けられた痕跡部200b、200c、凹部11aの底面11a1に設けられた痕跡部200d、および、バヨネット12の外側面12b(バヨネット12の装着部11側とは反対側の面12b)に設けられた痕跡部200eの5種類を同時に記載しているが、本実施の形態に係る痕跡部200a〜200eは、少なくとも1種類の痕跡部がゲート200との接続に使用される。
この場合、図6(a)〜(d)に示すように、痕跡部200dは、発光モジュール20(基板21)が設けられる領域の外側に設けられている。なお、図6(a)〜(d)には、1〜4つの痕跡部200dが設けられる場合を例示したが、痕跡部200dの数や配置には特に限定はない。
また、痕跡部200a、200b、200c、200eの数や配置にも特に限定はない。
【0027】
痕跡部200a、200b、200c、200d、200eの位置をこの様にすれば、凹部11aの底面11a1に近接した位置から高熱伝導性樹脂を金型に流入させることができる。そのため、凹部11aの底面11a1にひけ11a2が生じるのを抑制することができる。凹部11aの底面11a1にひけ11a2が生じるのを抑制することができれば、発光モジュール20とソケット10との間の熱伝導性の向上、ひいては発光モジュール20の放熱性の向上を図ることができる。
【0028】
また、これらの面は面積が大きいので、接続されるゲート200の断面積を大きくすることが容易となる。そのため、保圧を行うことも容易となる。その結果、充填不足やひけなどの成形不良が発生するのを抑制することが容易となる。
【0029】
また、これらの面に痕跡部200a、200b、200c、200d、200eが形成されたとしても邪魔になるおそれは少ない。この場合、凹部11aの底面11a1には発光モジュール20が設けられるが、底面11a1の、発光モジュール20が設けられる領域の外側に痕跡部200dを設けるようにすればよい。
【0030】
図7は、他の実施形態に係る痕跡部200a、200b、200c、200d、200eを例示するための模式断面図である。
図8(a)〜(d)は、図7においてソケット10をD方向から見た模式図である。図8(a)〜(d)は、痕跡部200dの位置を例示するための図であるため、200a、200b、200c、200eは省略している。
図7および図8に示すように、発光モジュール20(基板21)が設けられる領域に痕跡部200dを設ける場合には、凹部11a3(第2の凹部の一例に相当する)を設け凹部11a3の底面に痕跡部200dを設けるようにすればよい。なお、凹部11a3は、凹部11aの底面11a1の発光モジュール20(基板21)が設けられる領域に設けられている。そのため、発光モジュール20(基板21)とソケット10との間の熱伝導性を阻害しないように、凹部11a3はなるべく小さくすることが好ましい。
【0031】
また、図7に示すように、凹部11a3は、フランジの装着部11が設けられる面と交差する面(外側面13a)、装着部11の端面と交差する面(外側面11c)、凹部11aの底面11a1、および、バヨネット12の装着部11側とは反対側の面(外側面12b)の少なくともいずれかに設けることができる。そして、痕跡部200a、200b、200c、200d、200eは、凹部11a3の底面に設けることができる。
【0032】
また、凹部11aの底面11a1や凹部11a3の底面に痕跡部200dを設ける様にすれば、金型における複数の放熱フィン14の位置に、放熱フィン14が延びる方向から同時に高熱伝導性樹脂を流し込むことができる。そのため、充填不足やひけ14bなどの成形不良が放熱フィン14に発生するのを抑制することができる。その結果、放熱フィン14の強度が低下するのを抑制することができるので、車両用照明装置1を車両用灯具100の筐体101に装着する際に放熱フィン14が破損するのを抑制することができる。
【0033】
また、フランジ13の外側面13aに痕跡部200aに設ける場合や、装着部11の外側面11cに痕跡部200b、200cを設ける場合や、バヨネット12の外側面12bに痕跡部200eを設ける場合においても、同様に、凹部11a3を設け、凹部11a3の底面に痕跡部200a、200b、200c、200eを設けてもよい。凹部11a3に痕跡部200a、200b、200c、200d、200を収納する構成としたことにより、車両用照明装置1を車両用灯具100の筐体101に装着する際に引っかかるなどの不具合が生じるのを防ぐことができる。
【0034】
なお、痕跡部200a、200b、200c、200d、200e(接続されるゲート200)の数、間隔、配置などは、実験やシミュレーションなどにより適宜決定することができる。
【0035】
図9は、封止部210を例示するための模式断面図である。
図8に例示をしたように、発光モジュール20(基板21)が設けられる領域に痕跡部200dを設ける場合には、凹部11a3を設け凹部11a3の底面に痕跡部200dを設けるようにする。
この場合、図9に示すように、凹部11a3の内部に封止部210を設けるようにすることが好ましい。封止部210は、例えば、熱伝導率の高い樹脂などから形成することができる。熱伝導率の高い樹脂は、例えば、樹脂と無機材料からなるフィラーを含むものなどとすることができる。封止部210は、例えば、溶媒などで溶解させた樹脂を凹部11a3の内部に充填することで形成することができる。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどの液体定量吐出装置を用いて行うことができる。
封止部210を設ける様にすれば、発光モジュール20において発生した熱をソケット10に伝達するのが容易となる。また、凹部11a3の内部に充填した樹脂が硬化する前に発光モジュール20(基板21)を載置すれば、樹脂が硬化することにより発光モジュール20(基板21)とソケット10とを接合することができる。
【0036】
発光モジュール20は、基板21、発光素子22、制御素子23、および制御素子24を有する。
基板21は、凹部11aの底面11a1に設けられている。基板21は、平板状を呈している。基板21の表面には、配線パターンが設けられている。
基板21の材料や構造には特に限定はない。例えば、基板21は、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなど)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したものであってもよい。なお、金属板の表面を絶縁性材料で被覆する場合には、絶縁性材料は、有機材料からなるものであってもよいし、無機材料からなるものであってもよい。
【0037】
発光素子22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したものなどを例示することができる。
また、基板21は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
【0038】
発光素子22は、基板21の上に設けられている。発光素子22は、基板21の表面に設けられた配線パターンと電気的に接続されている。発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
【0039】
発光素子22の形式には特に限定はない。
発光素子22は、例えば、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)型などの表面実装型の発光素子とすることができる。
発光素子22は、例えば、砲弾型などのリード線を有する発光素子とすることもできる。
【0040】
また、発光素子22は、COB(Chip On Board)により実装されるものとすることもできる。COBにより実装される発光素子22とする場合には、チップ状の発光素子22と、発光素子22と配線パターンを電気的に接続する配線と、発光素子22と配線を囲む枠状の部材と、枠状の部材の内部に設けられた封止部などを基板21の上に設けることができる。
【0041】
この場合、封止部には、蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)とすることができる。
例えば、発光素子22が青色発光ダイオード、蛍光体がYAG系蛍光体である場合には、発光素子22から出射した青色の光によりYAG系蛍光体が励起され、YAG系蛍光体から黄色の蛍光が放射される。そして、青色の光と黄色の光が混ざり合うことで、白色の光が車両用照明装置1から出射される。なお、蛍光体の種類や発光素子22の種類は、例示をしたものに限定されるわけではない。蛍光体の種類や発光素子22の種類は、車両用照明装置1の用途などに応じて所望の発光色が得られるように適宜変更することができる。
【0042】
なお、図1および図3に例示をした発光素子22は、表面実装型の発光素子である。
発光素子22の光の出射面である上面は、車両用照明装置1の正面側に向けられており、主に、車両用照明装置1の正面側に向けて光を出射する。
発光素子22の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、車両用照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0043】
制御素子23は、基板21の上に設けられている。制御素子23は、基板21の表面に設けられた配線パターンと電気的に接続されている。制御素子23は、例えば、発光素子22に流れる電流を制御するものとすることができる。
【0044】
発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子と、グランド端子と、の間の印加電圧を一定にすると、発光素子22の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22の明るさが所定の範囲内に収まるように、制御素子23により、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0045】
制御素子23は、例えば、抵抗器とすることができる。制御素子23は、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。
なお、図1および図3に例示をした制御素子23は、表面実装型の抵抗器である。
【0046】
制御素子24は、基板21の上に設けられている。制御素子24は、基板21の表面に設けられた配線パターンと電気的に接続されている。制御素子24は、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けられている。
制御素子24は、例えば、ダイオードとすることができる。制御素子24は、例えば、表面実装型のダイオードや、リード線を有するダイオードなどとすることができる。図1に例示をした制御素子24は、表面実装型のダイオードである。
【0047】
その他、発光素子22の断線の検出や、誤点灯防止などのために、プルダウン抵抗を設けることもできる。また、配線パターンや膜状の抵抗器などを覆う被覆部を設けることもできる。被覆部は、例えば、ガラス材料を含むものとすることができる。
【0048】
給電部30は、絶縁部31と給電端子32を有する。
絶縁部31は、孔10aの内部に設けられている。絶縁部31は、孔10aに圧入することもできるし、孔10aの内部に接着することもできる。また、絶縁部31は、ソケット10と一体に形成することもできる。
【0049】
絶縁部31は、絶縁性材料から形成されている。この場合、発光モジュール20において発生した熱を放熱フィン14に伝えることを考慮すると、絶縁部31は、絶縁性と高い熱伝導率を有する材料から形成することが好ましい。絶縁性と高い熱伝導率を有する材料は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなど)、高熱伝導性樹脂などとすることができる。
【0050】
また、自動車に設けられる車両用照明装置1の場合には、使用環境の温度が、−40℃〜85℃となる。そのため、絶縁部31の材料の熱膨張係数は、ソケット10の材料の熱膨張係数となるべく近くなるようにすることが好ましい。この様にすれば、絶縁部31とソケット10との間に発生する熱応力を低減させることができる。例えば、絶縁部31の材料は、ソケット10に含まれる高熱伝導性樹脂としたり、この高熱伝導性樹脂に含まれる樹脂としたりすることができる。
【0051】
給電端子32は、複数設けられている。複数の給電端子32は、所定の方向に並べて設けることができる。複数の給電端子32は、絶縁部31の内部に設けられている。複数の給電端子32は、絶縁部21の内部を延びている。複数の給電端子32の一方の端部は、発光モジュール20と電気的に接続されている。複数の給電端子32の他方の端部は、絶縁部31から突出している。なお、給電端子32の数、形状などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0052】
(車両用灯具)
次に、車両用灯具100について例示する。
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0053】
図10は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図10に示すように、車両用灯具100には、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素部103、シール部材104、およびコネクタ105が設けられている。
【0054】
筐体101は、装着部11を保持する。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成することができる。筐体101の底面には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aが設けられている。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部が設けられている。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0055】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、取付孔101aの周縁に設けられた凹部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0056】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐようにして設けられている。カバー102は、透光性を有する樹脂などから形成することができる。カバー102は、レンズなどの機能を有するものとすることもできる。
【0057】
光学要素部103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素部103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。
例えば、図10に例示をした光学要素部103はリフレクタである。この場合、光学要素部103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンが形成されるようにする。
【0058】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けられている。シール部材104は、環状を呈するものとすることができる。シール部材104は、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成することができる。
【0059】
車両用照明装置1が車両用灯具100に取り付けられた際には、シール部材104は、フランジ13と筐体101との間に挟まれる。そのため、シール部材104により、筐体101の内部空間が密閉される。また、シール部材104の弾性力により、バヨネット12が筐体101に押し付けられる。そのため、車両用照明装置1が、筐体101から脱離するのを抑制することができる。
【0060】
コネクタ105は、孔10bの内部に露出している複数の給電端子32の端部に嵌め合わされる。コネクタ105には、図示しない電源などが電気的に接続されている。そのため、コネクタ105を給電端子32の端部に嵌め合わせることで、図示しない電源などと、発光素子22とが電気的に接続される。
また、コネクタ105は、段差部分を有している。そして、シール部材105aが、段差部分に取り付けられている(図3を参照)。シール部材105aは、孔10bの内部に水が侵入するのを防ぐために設けられている。シール部材105aを有するコネクタ105が孔10bに挿入された際には、孔10bが水密となるように密閉される。
【0061】
シール部材105aは、環状を呈するものとすることができる。シール部材105aは、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成することができる。コネクタ105は、例えば、接着剤などを用いてソケット10側の要素に接合することもできる。
【0062】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 車両用照明装置、10 ソケット、11 装着部、11a 凹部、11a1 底面、11a3 凹部、11c 外側面、12 バヨネット、12b 外側面、13 フランジ、13a 外側面、14 放熱フィン、20 発光モジュール、30 給電部、100 車両用灯具、200 ゲート、200a〜200e 痕跡部、210 封止部
図1
図2
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図10