特許第6598051号(P6598051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6598051
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】使い捨ておむつの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20191021BHJP
   A61F 13/496 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   A61F13/15 351A
   A61F13/15 355A
   A61F13/496
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-67279(P2015-67279)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-185260(P2016-185260A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2018年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀一
【審査官】 西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/011366(WO,A1)
【文献】 特開2014−188108(JP,A)
【文献】 特開2005−110990(JP,A)
【文献】 特開2009−160129(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/037145(WO,A1)
【文献】 特開2015−027426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の背側に配置される背側シートと、装着者の腹側に配置される腹側シートと、前記背側シートの内面と腹側シートの内面に架設される吸収体を有する内装体を備えるパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法であって、
前記背側シートの上下方向の寸法を、前記腹側シートの上下方向の寸法よりも長く形成し、
前記背側シートの内面に、前記内装体の外面の一側端部を固定し、前記内装体を内面が重なるように折り曲げ、前記折り曲げられた内装体の外面の他側端部に、前記腹側シートの内面を固定した後、
前記背側シートと腹側シートを所定の間隔を隔てて両側部を切断しながら、前記背側シートの腹側シートよりも下側に延在する部位の両側部に切欠き部を形成し、
前記切欠き部を形成した後に、前記背側シートと腹側シートの両側部の切断部を接合し
前記切欠き部を幅方向の中心部に向かって略円弧状に切欠いた後に、下方に向かって直線状に切欠いたことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつの製造方法に関するものであり、特に、パンツタイプ使い捨ておむつに使用される吸収体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製品の外面をなす外装体と、外装体の内面に貼り付けられた吸収体を有する内装体とから形成されたパンツタイプ使い捨ておむつ等が知られている。
パンツタイプ使い捨ておむつの製造を能率良く行うために、吸収体の内面に固定部を設ける製造方法が知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−188108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された製造方法においては、背側シートの内面に吸収体の外面の背側端部を接着し、吸収体を折り曲げ、吸収体の腹側端部に腹側シートの内面を接着し、背側シートの下部に切欠き部を形成した後に、背側シートと腹側シートを所定の間隔を隔てて接合しているために、切欠き部と接合部の位置ズレが発生し、パンツタイプ使い捨ておむつの外観性能が劣る恐れがある。
そこで、本発明の主たる課題は、製造能率が良く、外観性能に優れ見栄えの良いパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
請求項1に係る発明は、装着者の背側に配置される背側シートと、装着者の腹側に配置される腹側シートと、前記背側シートの内面と腹側シートの内面に架設される吸収体を有する内装体を備えるパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法であって、
前記背側シートの上下方向の寸法を、前記腹側シートの上下方向の寸法よりも長く形成し、前記背側シートの内面に、前記内装体の外面の一側端部を固定し、前記内装体を内面が重なるように折り曲げ、前記折り曲げられた内装体の外面の他側端部に、前記腹側シートの内面を固定した後、前記背側シートと腹側シートを所定の間隔を隔てて両側部を切断しながら、前記背側シートの腹側シートよりも下側に延在する部位の両側部に切欠き部を形成し、前記切欠き部を形成した後に、前記背側シートと腹側シートの両側部の切断部を接合し、前記切欠き部を幅方向の中心部に向かって略円弧状に切欠いた後に、下方に向かって直線状に切欠いたことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法である。
【0006】
【0007】
【0008】
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、背側シートの上下方向の寸法を、腹側シートの上下方向の寸法よりも長く形成し、背側シートの内面に、内装体の外面の一側端部を固定し、内装体を内面が重なるように折り曲げ、折り曲げられた内装体の外面の他側端部に、腹側シートの内面を固定した後、背側シートと腹側シートを所定の間隔を隔てて両側部を切断しながら、背側シートの腹側シートよりも下側に延在する部位の両側部に切欠き部を形成し、切欠き部を形成した後に、背側シートと腹側シートの両側部の切断部を接合し、切欠き部を幅方向の中心部に向かって略円弧状に切欠いた後に、下方に向かって直線状に切欠いたので、見栄えの良いパンツタイプ使い捨ておむつを製造することができる。また、内装体が切欠かれるのを防止することができる。
【0010】
【0011】
【0012】
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図である。
図2】パンツタイプ使い捨ておむつを展開した内面平面図である。
図3】パンツタイプ使い捨ておむつを展開した外面平面図である。
図4図2の3−3断面図である。
図5図2の4−4断面図である。
図6図2の5−5断面図である。
図7】第1製造方法の説明図である。
図8】第2製造方法の説明図である。
図9】第3製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<パンツタイプ使い捨ておむつ>
本発明のパンツタイプ使い捨ておむつ100の製造方法の理解を容易にするために、先ずパンツタイプ使い捨ておむつ100について添付図面を参照して詳説する。
図1に示すように、パンツタイプ使い捨ておむつ100は、製品の外面をなす外装体12と、外装体12の内面に貼り付けられた内装体200とから形成されている。
【0015】
(内装体)
図2に示すように、内装体200は、平面視において長方形に形成されているが、任意の形状にすることもできる。なお、本明細書において「前後方向」とは、腹側と背側を結ぶ方向を言い、「幅方向」とは、前後方向と直交する方向を言い、「上下方向」とは、パンツタイプ使い捨ておむつ100の装着状態において胴回り方向と直交する方向を言うものとする。
【0016】
図4に示すように、内装体200は、身体側となる表面シート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えている。また、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、表面シート30と吸収要素50との間には、中間シート40が設けられ、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側は、身体側に起立する立体ギャザー60が設けられている。なお、図4等の点模様部分は各構成部材を接合する接合部分を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミットまたはスパイラル塗布などにより形成されるものである。
【0017】
(表面シート)
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法である。
【0018】
(中間シート)
中間シート40は、表面シート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。なお、目付けとは、次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
【0019】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。このほかにも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
【0020】
(立体ギャザー)
立体ギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。立体ギャザー60のうち幅方向において折り返し部分と反対側の端部は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66とされている。
【0021】
ギャザーシート62は、スパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。なお、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。
【0022】
立体ギャザー60の自由部分に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔は3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。
【0023】
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、吸収体56を包む包装シート58とから形成されている。
【0024】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
【0025】
図2に示すように、吸収体56は、平面視において長方形に形成されているが、任意の形状にすることもできる。例えば、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部とを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体と立体ギャザー60の、脚回りへのフィット性が向上するため好ましい。平面視において長方形に形成されているが、任意の形状にすることもできる。
【0026】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
【0027】
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
【0028】
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。なお、ゲル強度とは、次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:20wt%、食塩:8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.3wt%、酸化マグネシウム七水和物:0.8wt%、純水:70.01wt%)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter−MAX ME−500)でゲル強度を測定する。
【0029】
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
【0030】
(包装シート)
包装シート58は、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
【0031】
(外装体)
図3に示すように、外装体12は、装着者の後身頃を覆うに略長方形状の背側シート20と、装着者の前身頃を覆う略長方形状の腹側シート21から形成されている。背側シート20の両側部20A,20Aと腹側シート21の両側部21A,21Aをヒートシール、超音波シール等によって接合することのよって、図1に示すように、装着者の胴を通すためのウエスト開口部WOと、脚を通すための左右一対の脚開口部LOが形成される。
【0032】
装着者のお尻を覆う背側シート20の上下方向の長さは、腹側シート21の上下方向の長さよりも長く形成されている。また、背側シート20の両側部20A,20Aの下部には、幅方向の中心部に向かって円弧状に形成された切欠き部22,22が形成されている。これにより、装着者が装着したパンツタイプ使い捨ておむつ100の脚開口部LOの近傍部位のゴアゴア感を取り除き、パンツタイプ使い捨ておむつ100の見栄えを高めることができる。
【0033】
切欠き部22は、背側シート20の側部20の下部に位置する切欠き部22の起点から幅方向中心部に向かって略円弧状に切欠かれた後、腹側方向に向かって直線状に切欠かれている。これにより、内装体200が切欠かれるのを防止することができる。
【0034】
図5,6に示すように、背側シート20は、二枚の第1シート20Bと第2シート20Cを接合して形成されている。内側に位置する第1シート20Bはウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側に位置する第2シート20Cは第1シート20Bのウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されている。また、第1シート20Bと第2シート20Cの間には、ウエスト縁部Wに配置されるウエスト縁部弾性伸縮部材17と、ウエスト下部Uに配置されるウエスト下部弾性伸縮部材15と、切欠き部22が形成された部位に配置される中間部弾性伸縮部材16が固定されている。
【0035】
腹側シート21は、二枚の第1シート21Bと第2シート21Cを接合して形成されている。内側に位置する第1シート21Bはウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側に位置する第2シート21Cは第1シート21Bのウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されている。また、第1シート21Bと第2シート21Cの間には、ウエスト縁部Wに配置されるウエスト縁部弾性伸縮部材17と、ウエスト下部Uに配置されるウエスト下部弾性伸縮部材15が固定されている。
【0036】
ウエスト縁部弾性伸縮部材17は、ウエスト開口部WOの近傍部位に、幅方向全体にわたり連続するように、上下方向に所定の間隔を隔てて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。ウエスト縁部弾性伸縮部材17は、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸長率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。なお、ウエスト縁部弾性伸縮部材17における内装体200側に配置された数本のウエスト縁部弾性伸縮部材17を内装体200と重ねて配置することもできる。
【0037】
ウエスト下部弾性伸縮部材15は、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、上下方向に所定の間隔を隔てて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。また、ウエスト下部弾性伸縮部材15としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸長率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
【0038】
中間部弾性伸縮部材16は、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、上下方向に所定の間隔を隔てて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。また、中間部弾性伸縮部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸長率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
【0039】
<パンツタイプ使い捨ておむつの製造方法>
次に、外面をなす外装体12と、外装体12の内面に貼り付けられた内装体200から形成されるパンツタイプ使い捨ておむつ100の第1製造方法について説明する。なお、図7の左側が、製造ラインの上流側であり、右側が、製造ラインの下流側に位置し、図7の左右方向が、上述した幅方向に一致し、上下方向が、上述した上下方向に一致する。
【0040】
図7には、パンツタイプ使い捨ておむつ100の第1製造方法が図示されている。図7(a)の第1工程において、外装体12を形成する背側シート20の身体側に位置する内面に、吸収体56を有する内装体200の反身体側に位置する外面の上部をホットメルト等で接着する。また、吸収体56の上端は、外装体12の上端から所定の間隔を隔てて位置させている。これにより、外装体12に左右方向に張設されているウエスト縁部弾性伸縮部材17により製造されたパンツタイプ使い捨ておむつ100が装着者のウエスト部へのフィット性を向上させることができる。なお、製造方法の理解を容易にするために、背側シート20に幅方向に張設されているウエスト縁部弾性伸縮部材17等、内装体200に形成されている立体ギャザー60等は図示を省略している。
【0041】
図7(b)の第2工程において、内装体200の内面が内側になるように、略内装体200の上下方向の中心部を中心として、製造ラインに直交する方向に折り曲げる。
【0042】
図7(c)の第3工程において、折り曲げられた内装体200の外面の上部に、並設して設けられた別製造ラインで製造された腹側シート21の内面をホットメルト等で接着する。また、腹側シート21の上下方向の間隔は、背側シート20の上下方向の間隔よりも狭く形成されている。なお、製造方法の理解を容易にするために、腹側シート21に幅方向に張設されているウエスト縁部弾性伸縮部材17等は図示を省略している。
【0043】
図7(d)の第4工程において、背側シート20の内面と腹側シート21の内面を所定の間隔を隔ててヒートシール等で接合され接合部25を形成する。また、接合部25の上下方向の寸法は、腹側シート21の上下方向の寸法と略同一寸法に形成され、左右方向に隣接する接合部25,25の間隔は、パンツタイプ使い捨ておむつ100の幅方向の寸法と略同一寸法に形成されている。
【0044】
図7(e)の第5工程において、隣接する接合部25を切断刃が外周面に立設されたカッタロールで切断し、切断と同時に背側シート20における腹側シート21よりも下側に延在する左右方向の両側部に、切欠き刃が外周面に立設された切欠きローラで切断して切欠き部22を形成する。これにより、背側シート20の上端と腹側シート21の上端のズレを抑制し、背側シート20における腹側シート21よりも下側に延在する左右方向の両側部に、左右対称の切欠き部22を形成でき、見栄えの良いパンツタイプ使い捨ておむつ100を製造することができる。
【0045】
図7においては、第4工程と第5工程を別々に図示している。しかし、第4工程と第5工程を同時に行うことが好適である。
例えば、第4工程における接合部25が上部から下部に向かって形成される場合、接合部25の下側が形成される前に、第5工程の接合部25の切断を開始して、第4工程における接合部25の下部が形成された直後には、第5工程の切欠き部の形成も完了させる。これにより、パンツタイプ使い捨ておむつ100の製造方法を短時間で能率良く行うことができる。
【0046】
次に、パンツタイプ使い捨ておむつ100の第2製造方法について説明する。
図8には、パンツタイプ使い捨ておむつ100の第2製造方法が図示されている。図8(a)〜(c)の第1〜3工程は、図7(a)〜(c)の第1製造方法の第1〜3工程と同一工程であるので説明を省略する。
【0047】
図8(d)の第4工程において、背側シート20の内面と腹側シート21の内面を所定の間隔を隔ててヒートシール等で接合され接合部25を形成する。また、接合部25の上下方向の寸法は、腹側シート21の上下方向の寸法と略同一寸法よりも短く形成されており、後述する第5工程において切欠き部22が形成される腹側シート21の下部には、接合部25は形成さていない。なお、左右方向に隣接する接合部25,25の間隔は、パンツタイプ使い捨ておむつ100の幅方向の寸法と略同一寸法に形成されている。
【0048】
図8(e)の第5工程において、隣接する接合部25を切断刃が外周面に立設されたカッタロールで切断し、切断と同時に背側シート20の下部と腹側シート21の下部の左右方向の両側部に、切欠き刃が外周面に立設された切欠きローラで切断して切欠き部22を形成する。これにより、背側シート20の上端と腹側シート21の上端のズレや、腹側シートや背側シートと腹側シートの切欠き部のズレを抑制し、背側シート20の下部と腹側シート21の下部の左右方向の両側部に、左右対称の切欠き部22を形成でき、見栄えの良いパンツタイプ使い捨ておむつ100を製造することができる。
【0049】
図8においては、第4工程と第5工程を別々に図示している。しかし、第4工程と第5工程を同時に行うことが好適である。
例えば、第4工程における接合部25が上部から下部に向かって形成される場合、接合部25の下側が形成される前に、第5工程の接合部25の切断を開始して、第4工程における接合部25の下部が形成された直後には、第5工程の切欠き部の形成も完了させる。これにより、パンツタイプ使い捨ておむつ100の製造方法を短時間で能率良く行うことができる。
【0050】
次に、パンツタイプ使い捨ておむつ100の第3製造方法について説明する。
図9には、パンツタイプ使い捨ておむつ100の第3製造方法が図示されている。図9(a)〜(c)の第1〜3工程は、図7(a)〜(c)の第1製造方法の第1〜3工程と同一工程であるので説明を省略する。
【0051】
図9(d)の第4工程において、背側シート20と腹側シート21を所定の間隔を隔てて切断刃が外周面に立設されたカッタロールで切断し、切断と同時に背側シート20における腹側シート21よりも下側に延在する左右方向の両側部に、切欠き刃が外周面に立設された切欠きローラで切断して切欠き部22を形成する。
【0052】
図9(e)の第5工程において、背側シート20と腹側シート21の両側部の切断部をヒートシール等で接合され接合部25を形成する。これにより、背側シート20の上端と腹側シート21の上端のズレや、腹側シートや背側シートと腹側シートの切欠き部のズレが発生した場合にあっても、背側シート20の上端と腹側シート21の上端や、腹側シートや背側シートと腹側シートの切欠き部を揃えた後に、背側シート20と腹側シート21の両側部に接合部25を形成するので、見栄えの良いパンツタイプ使い捨ておむつ100を製造することができる。
【0053】
<明細書中の用語の説明>
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:20wt%、食塩:8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.3wt%、酸化マグネシウム七水和物:0.8wt%、純水:70.01wt%)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter−MAX ME−500)でゲル強度を測定する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「吸水量」は、JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・「吸水速度」は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の製造方法は、外装体と、外装体の内面に内装体を設けたパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法に使用できる。
【符号の説明】
【0055】
20 背側シート
21 腹側シート
22 切欠き部
25 接合部
56 吸収体
200 内装体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9