【実施例】
【0023】
本発明の実施の形態に係る実施例のテープ巻付装置について、
図1乃至
図9を用いて詳細に説明する。
図1は、実施例に係るテープ巻付装置の側面図である。
図1に示すように、本実施例に係るテープ巻付装置1は、絶縁操作棒50の先端に取り付けられる円弧状の回転ドラムケース2と、複数のローラ2aを介して回転ドラムケース2の内周に沿ってスライド回転する略円盤状の回転ドラム3と、テープの巻体51を、回転ドラム3に接するように保持する保持体4と、回転ドラムケース2の外周に設けられ、その先頭部5a(
図6参照)が回転ドラム3に接触することで回転ドラム3のスライド回転を抑制する回転ドラム固定機構5と、を備える。
保持体4は、巻体51の巻心51a(
図2参照)及び回転ドラム3を貫通する保持軸体6と、この保持軸体6の一端6aに取り付けられ巻体51の一方の側面51b(
図2参照)を支持する第1の固定部7と、保持軸体6の他端6b(
図2参照)に取り付けられ巻体51の他方の側面51c(
図2参照)を支持する第2の固定部8と、からなる。
回転ドラム3は、その周縁3aに、巻体51から引き出されるテープ51dが進入するとともにこのテープ51dを巻回する対象物(例えば電線52)が挿入される切欠9が設けられる。
回転ドラムケース2は、切欠9に進入したテープ51dを切断する切断部10を備える。
また、回転ドラム3と切欠9の間には、巻体51から予め引き出されたテープ51dを切欠9の内部へ案内するガイドローラ9aが、回転ドラム3に取り付けられている。
【0024】
さらに、テープ巻付装置1は、切欠9の周囲にテープ51dを案内するテープ送出ガイド22が設けられる。このテープ送出ガイド22は、切欠9に沿って内壁22aが形成される。より詳細には、内壁22aは、回転ドラム3に対し直交する方向に沿って立設される。また、テープ送出ガイド22は、テープ51dを切欠9へ進入させるための進入路22bが設けられている。この進入路22bは、側面視でガイドローラ9a側の入口よりも切欠9側の出口が拡径した略テーパー状に形成されたトンネルである。この進入路22bの壁面にガイドローラ9aによって案内されたテープ51dが接触することで、テープ51dが電線52に巻回される際のテープ51dのばたつきを抑制することができる。
また、切欠9は、側面視した場合に、奥行きが回転ドラム3の半径方向に沿って形成されるとともに、二箇所の湾曲部9c,9dを備えるU字形状をなしている。そして、二箇所の湾曲部9c,9dは、それぞれ第1の曲率C
1及び第2の曲率C
2を有し、第1の曲率C
1は、第2の曲率C
2よりも大である。すなわち、湾曲部9dの方が、湾曲部9cよりも丸みを帯びた形状となっている。
【0025】
このようなテープ巻付装置1においては、巻体51は、保持軸体6に支持されると同時に、第1の固定部7及び第2の固定部8によって挟持されることで、回転ドラム3に対し独立して回転可能に保持される。そのため、切欠9に電線52が挿入される場合に、巻体51は、自転しながら、回転ドラム3の回転中心を中心として回転ドラムケース2の内周に沿って公転可能である。
【0026】
また、テープ巻付装置1においては、テープ送出ガイド22は切欠9に沿って内壁22aが形成されるため、切欠9に進入したテープ51dはこの内壁22aに沿って走行可能である。したがって、切欠9に電線52が挿入されると、この切欠9と内壁22aの間にテープ51dが配置される。
また、第1の曲率C
1は、第2の曲率C
2よりも大であることにより、例えば大きさが異なる電線52,52a,52bがそれぞれ別個に切欠9へ挿入された場合、最も細径の電線52を第1の曲率C
1を有する一方の湾曲部9cへ嵌入させることにより、電線52の周面がテープ51dを介して一方の湾曲部9cとこれに対応する部分の内壁22aへ当接する割合が多くなる。この割合とは、より正確には、電線52の横断面において、電線52の全周面に対しこれに当接する内壁22aの範囲をいう。したがって、上記割合が多くなるほど、電線52に当接する内壁22aの範囲が大となり、かつ電線52に接触するテープ51dの長さが長くなる。すなわち、最も細径の電線52を湾曲部9cへ嵌入させることで、回転ドラム3を回転させる際に電線52が切欠9及び内壁22aによって安定的に保持されるとともに、より効率的にテープ51dが電線52に巻回される。
【0027】
これに対し、最も太径の電線52bを湾曲部9cへ嵌入させようとしても、この電線52bの周面を湾曲部9cに沿って深く嵌入させることは困難である。しかし、太径の電線52bを第2の曲率C
2を有する他方の湾曲部9dへ嵌入させることにより、この電線52bの周面がテープ51dを介して他方の湾曲部9dとこれに対応する部分の内壁22aへ当接する割合が多くなる。なお、この割合とは、電線52の場合と同様の意味である。
また、電線52,52bの中間の直径を有する電線52aでは、これを湾曲部9cへ嵌入させることにより、切欠9及び内壁22aによって安定的に保持される等の作用が発揮される。ただし、電線52aを湾曲部9cの代わりに湾曲部9dへ嵌入させた場合であっても、上記作用は発揮される。
【0028】
次に、実施例に係るテープ巻付装置について、
図2及び
図3を用いてさらに説明する。
図2は、
図1におけるA−A線矢視断面図である。
図3は、実施例に係るテープ巻付装置を構成する第1の固定部の分解図である。なお、
図1で示した構成要素については、
図2及び
図3においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図2に示すように、本実施例に係るテープ巻付装置1において、保持軸体6は、一端6aに第1のネジ部11aが刻設される。
また、
図3に示すように、第1の固定部7は、第1のネジ部11aに螺合する第2のネジ部11bが刻設されるネジ部材12を備える。
さらに、第1の固定部7は、ネジ部材12が保持軸体6(
図2参照)に取り付けられる場合に、ネジ部材12と巻体51の間に装着されるテープ固定ホルダー13が設けられる。テープ固定ホルダー13は、ネジ部材12が当接するホルダー盤13aと、このホルダー盤13aに立設され、その先端が回転ドラム3を貫通することで回転ドラム3に対し嵌入及び抜き出し可能に固定される複数の取付脚13bと、から構成される。
【0029】
そして、回転ドラム3には、巻体51を取り付けるための略円筒状のテープスペーサー3bが備えられる。なお、このテープスペーサー3bの高さhは、巻体51の幅Hよりも低いことが必要である。また、テープスペーサー3bは、巻体51を異なる幅Hのものに交換する場合を考慮して、回転ドラム3に対し着脱可能に設けられる。したがって、保持軸体6を支持する必要性から、回転ドラム3にはスリーブ3dが立設される。なお、スリーブ3dの高さは、テープスペーサー3bの高さhよりも低いことが必要である。
このような構成の第1の固定部7においては、第1のネジ部11aに螺合する第2のネジ部11bを締緩することにより、保持軸体6に支持された巻体51の回転ドラム3に対する密着度が調整される。この場合、テープ固定ホルダー13が装着されていることから、ネジ部材12の圧力がホルダー盤13aの全体に亘って均等に分散されるので、巻体51へ不均一な圧力が加わることが防止される。また、第1のネジ部11aへの第2のネジ部11bの螺合を解除することで、巻体51を保持軸体6へ装着又は保持軸体6から取り外し可能である。
【0030】
そして、実施例に係るテープ巻付装置について、
図4及び
図5を用いてさらに説明する。
図4は、実施例に係るテープ巻付装置を構成する第2の固定部の作用を説明するための説明図である。
図5(a)は
図4(b)におけるB方向矢視図であり、
図5(b)は
図5(a)におけるC方向矢視図である。なお、
図1乃至
図3で示した構成要素については、
図4及び
図5においても同一の符号を付して、その説明を省略する。また、回転ドラムケースの図示も省略する。
図4及び
図5に示すように、本実施例に係るテープ巻付装置1において、第2の固定部8は、他端6bを貫通して設けられる傾動軸体14と、その基端15aがこの傾動軸体14に傾動可能(
図4(b)における角度X)に取り付けられるレバー部15と、を備える。また、傾動軸体14に隣接して、レバー部15が傾動する際の可動域を制御するための可動域制御ピン16が、一対の固定片6c,6cに跨って設けられる。なお、一対の固定片6c,6cは、連結片6dを介して回転ドラム3に固定されている。すなわち、一対の固定片6c,6cと連結片6dは、これらをB方向に沿って視た場合、略コ字状をなす(
図5(a)参照)。また、傾動軸体14の両端は、一対の固定片6c,6cに沿って移動可能に、この固定片6c,6cに対し分離して設置される。
【0031】
さらに、
図4(a)に示すように、基端15aは、側面視した場合に、連結片6dを介して回転ドラム3へ係止可能な突出部17が設けられる。また、レバー部15においては、一対の固定片6c,6c同士の対向する面に突出するようにそれぞれ設けられる略半月状の一対の固定板6e,6eによって、基端15aが固定板6e,6eと連結片6dの間に配置される。より詳細には、基端15aの略直線状の背面(突出部17が設けられる側と反対側の面)が、一対の固定板6e,6eを構成する周縁部のうち「弦」に相当する直線状の周縁部に当接することで、突出部17が回転ドラム3へ係止される場合に基端15aの位置が変動することが防止される。その結果、レバー部15を安定的に停止させることができる。なお、先端15bの回転ドラム3への当接は、手動操作にてレバー部15を
図4(b)に示すX
1方向へ傾動させることによって行われる。
【0032】
このような構造の第2の固定部8においては、先端15bが回転ドラム3に当接すると、突出部17も連結片6dを介して回転ドラム3へ係止される。すると、保持軸体6の一端6aが、回転ドラム3の方向(矢印R)へ引っ張られた状態が維持される。その結果、巻体51(
図2参照)は、回転ドラム3を介在させつつ第1の固定部7(
図3参照)及び第2の固定部8によって強固に挟持される。したがって、巻体51からテープ51d(
図1参照)を引き出す場合に、巻体51の自転の抵抗が大きくなり、容易にテープ51dが巻体51から引き出されない。すなわち、テープ51dを引き出すには一定以上の力が必要となるので、引き出されたテープ51dは、テンションが高められ、引き延ばされることとなる。
なお、一対の固定板6e,6eが備えられない場合であっても、突出部17は連結片6dを介して回転ドラム3へ係止されることには変わりがない。
【0033】
この一方で、
図4(b)に示すように、先端15bが回転ドラム3から遠ざかるようにレバー部15をX
2方向へ手動操作にて傾動させると、突出部17の連結片6dを介した回転ドラム3に対する係止が解除される。なお、レバー部15のX
2方向への傾動は、基端15aが可動域制御ピン16に当接するまで可能である。この場合、傾動軸体14の両端は、一対の固定片6c,6cに沿って回転ドラム3の方向へやや移動するため、保持軸体6の一端6aが回転ドラム3から遠ざかる方向(矢印L)へスライド移動する。巻体51は、回転ドラム3を介在させつつ第1の固定部7及び第2の固定部8によって緩やかに挟持される。したがって、巻体51からテープ51dを引き出す場合に、巻体51の自転の抵抗が小さいため、容易にテープ51dが巻体51から引き出される。そのため、テープ51dは、テンションが高められず、引き延ばされない。
また、基端15aは側面視した場合に一対の固定板6e,6eと重複する範囲(破線による斜線部)では、この固定板6e,6eによって挟持される。これにより、レバー部15をX
2方向へ傾動させる場合であって、基端15aが可動域制御ピン16に当接する前においても、角度Xの大きさに関わらずレバー部15を安定的に停止させることができる。そのためには、一対の固定板6e,6eは、弾力性を有する材質で形成されることが望ましい。
【0034】
続いて、テープ巻付装置を構成する回転ドラム固定機構について、
図6を用いながらより詳細に説明する。
図6は、実施例に係るテープ巻付装置を構成する回転ドラム固定機構の側面図である。なお、
図1乃至
図5で示した構成要素については、
図6においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6に示すように、回転ドラムケース2は、その外周に回転ドラム固定機構5の一部を収容する収容空間18aと、この収容空間18aを囲むとともに貫通孔18bが穿通される収容体18cと、からなる収容部18が設けられる。
回転ドラム3は、周縁3aのうち切欠9(
図1参照)と異なる位置に、先頭部5aが接触する凹状の接触部3cが形成される。
そして、回転ドラム固定機構5は、球状をなす先頭部5aと、この先頭部5aから連結部材5dを介して延設され貫通孔18bを貫通する摘み部5bと、収容空間18aの内部において先頭部5aと貫通孔18bの間に備えられ先頭部5aを回転ドラム3へ近づける方向に付勢する弾性体5cと、を備える。なお、弾性体5cとして本実施例ではコイルバネが使用されているが、この他、円筒形状のゴム部材が使用されても良い。
【0035】
このような構成の回転ドラム固定機構5においては、摘み部5bを把持してY
1方向へ引っ張ると、弾性体5cが収縮して先頭部5aが接触部3cから離隔し、回転ドラム3の回転が可能となる。この後、摘み部5bの把持を中止すると、摘み部5bは、弾性体5cの復元力によって直ちにY
2方向へ引き戻され、先頭部5aが接触部3cへ接触して、回転ドラム3の回転が抑制される。
なお、摘み部5bは、その側部にロックピン5eが突出して設けられる。よって、先頭部5aが接触部3cから離隔したときに摘み部5bをZ
1方向又はZ
2方向へ回動させると、このロックピン5eが収容体18cの外表面に係止される構造となっている。この場合、先頭部5aが接触部3cから離隔した状態が保持される。
【0036】
次に、テープ巻付装置を構成する切断部について、
図7を用いながらより詳細に説明する。
図7(a)及び
図7(b)は、それぞれ実施例に係るテープ巻付装置を構成する切断部の側面図及び正面図である。なお、
図1乃至
図6で示した構成要素については、
図7においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図7に示すように、切断部10は、切欠9に近い側に周縁3aに平行し一定間隔を空けて配置される一対の固定針19,19と、この一対の固定針19,19を挟んで切欠9と反対側に配置される山型の切断刃20と、を備える。なお、切断部10は、一対の固定針19,19の基部と切断刃20の基部がそれぞれ埋設される支持体10a(
図7(a)の実線による斜線部)と、支持体10aの両側に固定される一対の側板10b,10b(
図7(a)の破線による斜線部)と、が備えられる。そのため、支持体10aが留め部材21によって回転ドラムケース2の周縁に取り付けられることにより、切断部10が回転ドラムケース2へ固定される。
このような構造の切断部10においては、一対の固定針19,19によって、切欠9から外側へ引き出されたテープ51d(
図1参照)が、その長手方向(幅H(
図3参照)に直交する方向)や短手方向(幅Hに平行な方向)等に沿って移動不能となる。その後、テープ51dは、切断刃20によって切断される。このとき、切断刃20は山型をなすため、テープ51dの一か所に必ず切れ目が形成される。この切れ目が引金となって、テープ51dが確実に切断される。
【0037】
続いて、本実施例に係るテープ巻付装置の使用方法について、
図8及び
図9を用いて詳細に説明する。
図8(a)乃至
図8(e)と、
図9(a)乃至
図9(f)は、それぞれ実施例に係るテープ巻付装置の使用方法を説明するための流れ図であって、具体的には、電線にテープを巻回するための一連の手順を示したものである。なお、
図1乃至
図7で示した構成要素については、
図8及び
図9においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図8(a)は、電線52にテープ51dを巻回する場合の初期状態である。なお、テープ51dは、図中における下面及び上面に、それぞれ基材及びこの基材に塗布された粘着層が形成されている。
このとき、図示しないレバー部15は、
図4(b)を用いて説明したように、容易にテープ51dが巻体51から引き出される位置にある。また、摘み部5bは、
図6を用いて説明したように、回転ドラム3の回転を可能とする位置にある。このようなレバー部15及び摘み部5b(以下、それぞれ
図4及び
図6参照)の状態を、
図8及び
図9においては、いずれも「フリー」という。
また、切欠9の内部には、巻体51から予め引き出されたテープ51dがガイドローラ9aに案内され挿入されているが、電線52はまだ挿入されていない。
【0038】
次に、
図8(b)では、絶縁操作棒50を移動させて電線52を切欠9の内部へ挿入し、引き出されたテープ51dの粘着層と接触させる。なお、
図8(a)及び
図8(b)では、摘み部5bは、回転ドラム3の回転を抑制する位置にあっても良い(この状態を
図8及び
図9において、「固定」という。)。なぜなら、摘み部5bの固定と、電線52とテープ51dの粘着層の接触とは無関係だからである。
【0039】
さらに、
図8(c)では、絶縁操作棒50を電線52を中心として円を描くように操作すると、レバー部15及び摘み部5bはいずれも「フリー」であるため、容易に巻体51が自転して巻体51からテープ51dが引き出され、かつ回転ドラム3が回転して電線52の周囲にテープ51dが巻回され始める。
そして、
図8(d)及び
図8(e)では、それぞれ巻体51の自転と回転ドラム3の回転が継続され、電線52の周囲にテープ51dが少なくとも1周巻回される。このとき、レバー部15が「フリー」であるため、テープ51dは引き延ばされない状態で巻回される。
【0040】
続いて、
図9(a)では、図示しないレバー部15は、
図4(a)を用いて説明したように、容易にテープ51dが巻体51から引き出されない位置にある。このようなレバー部15の状態を、
図8及び
図9においては、「セット」という。また、摘み部5bは、「フリー」である。
このような場合、絶縁操作棒50を電線52を中心として円を描くように操作すると、巻体51からテープ51dが次第に引き出され、かつ回転ドラム3が回転して電線52の周囲にテープ51dが巻回される。このとき、テープ51dは、
図8(c)乃至
図8(e)の場合と比較して、より引き延ばされているため、電線52の周囲にテープ51dを密着させながら巻回することができる。なお、回転ドラム3が回転してテープ51dが引き出される際には、ガイドローラ9aに案内されたテープ51dがテープ送出ガイド22の進入路22b(
図1参照)を構成する壁面のうちいずれかの部分に接触するため、テープ51dが上下方向にばたつかず、電線52へ巻回させるのに最適な位置にテープ51dが案内される。したがって、切欠9の内部において、テープ51dに十分接触するように電線52の位置を調整する操作を行なわなくて良いため、回転ドラム3を回転させるのみで電線52に対しテープ51dを精度良く巻回できる。
次の
図9(b)においても、
図9(a)と同様に、レバー部15が「セット」、かつ摘み部5bが「フリー」の状態が継続され、テープ51dは引き延ばされた状態で必要な回数に至るまで巻回される。
【0041】
ただし、レバー部15が「セット」の状態であっても、巻体51に巻回されたテープ51dの残量が少なくなってくると、側面51bとホルダー盤13a(
図3参照)との接触面積、及び側面51cと回転ドラム3(
図3参照)との接触面積が減少するため、これらに対して巻体51が滑り自転し易くなる。すなわち、テープ51dが引き出され易くなるので、テープ51dの引き延ばしが不足してくる。これを解消するためには、テープ51dの巻回を中断し、ネジ部材12(
図3参照)を締め直す作業が必要となってくる。
しかし、すでに第2のネジ部11bへ強く締め付けられているネジ部材12を、他の先端工具(図示せず)を使用して締め直すことは困難であるので、
図4(b)に示したように一旦レバー部15を「フリー」、かつ摘み部5bを「固定」の状態とし、一端6aを回転ドラム3から遠ざかる方向へスライド移動させる。すると、ネジ部材12も保持軸体6とともにスライド移動しホルダー盤13aによって巻体51が回転ドラム3に押し付けられる力が緩められるとともに、回転ドラム3が回転しない状態となっていることから、他の先端工具を使用してネジ部材12を締め直すことが容易となる。
このように、ネジ部材12を締め直した後、
図4(a)に示したように再びレバー部15を「セット」とすると、巻体51が第1の固定部7(
図3参照)及び第2の固定部8によって強固に挟持された状態に戻るため、テープ51dの引き延ばし不足が解消される。なお、前述したように、引き延ばされたテープ51dを電線52に巻回する際には、摘み部5bを再び「フリー」の状態とする。
【0042】
そして、テープ51dが巻回された後、レバー部15を「フリー」、かつ摘み部5bを「固定」の状態に切り替える。すると、
図9(c)に示すように、テープ51dの引き延ばしが中止されるとともに、回転ドラム3の回転が抑制される。
次いで、
図9(d)では、
図9(c)と同様に、レバー部15が「フリー」、かつ摘み部5bが「固定」のまま、絶縁操作棒50を移動させて電線52を切欠9の内部から取り出す。
このような
図9(c)及び
図9(d)における手順は、以降の
図9(e)及び
図9(f)で行われるテープ51dの切断の準備段階として行われる。
【0043】
続いて、
図9(e)では、レバー部15を「セット」、かつ摘み部5bを「固定」の状態とする。すると、巻体51の自転と回転ドラム3の回転がいずれも抑制されるので、引き出されたテープ51dはその長手方向に沿って移動できない。より詳細には、このテープ51dは、切断部10の一対の固定針19,19(
図7参照)に接触し、絶縁操作棒50の微動によって一対の固定針19,19から外れたり、ずれたりすることが防止される。
そのため、最後に、レバー部15を「セット」、かつ摘み部5bを「固定」の状態で絶縁操作棒50をやや上方へ持ち上げると、
図9(f)に示すように、テープ51dは切断刃20(
図7参照)によって切断され、電線52へのテープ51dの巻回が完了する。
【0044】
以上説明したように、本実施例のテープ巻付装置1によれば、
図8及び
図9を用いて説明したように、第2の固定部8のレバー部15と回転ドラム固定機構5の摘み部5bを、それぞれ所望のタイミングで簡単に操作することが可能である。これにより、巻回時におけるテープ51dのテンションを調整可能であり、かつ確実にテープ51dを切断することができる。したがって、高い操作性を発揮できるとともに、良好な仕上がりが可能となる。
より詳細には、第1の固定部7によれば、第1のネジ部11aに対する第2のネジ部11bの螺合の程度によって、保持軸体6に支持された巻体51の回転ドラム3に対する密着度が調整等されるため、巻体51の自転時における抵抗の調整や巻体51の取付・取り外しを容易に行うことができる。これと同時に、巻体51に巻き付けられたテープ51dの残量が減少した場合に、ネジ部材12を容易に締め直すことが可能となるので、簡単な操作によって、テープ51dを再び引き延ばしながら電線52に巻回することができる。このような効果は、テープ51dが、十分に引き延ばして電線52に巻回することが必要とされる自己融着テープである場合において良好な仕上がりが期待できるため、特に有用である。
【0045】
また、第2の固定部8によれば、巻体51からテープ51dを引き出す際におけるテープ51dのテンションの微調整が可能である。したがって、テープ51dの種類や、電線52やこれ以外の対象物の表面形状に関わらず、テープ51dを電線52等に密着させて巻回させることが可能である。
さらに、回転ドラム固定機構5によれば、摘み部5bを操作することで回転ドラム3の回転及び回転停止を明確に切り替えることができる。
加えて、摘み部5bによって回転ドラム3の回転が停止される場合に、一対の固定針19,19によってテープ51dが移動不能となることから、回転ドラム固定機構5と相まって、確実にテープ51dを切断可能である。このような効果は、本実施例で使用した粘着層が形成されたテープ51d以外にも、例えば、粘着層を有しない自己融着テープの切断の際に特に有用である。
【0046】
そして、切欠9とテープ送出ガイド22によれば、電線52,52a,52bの直径に関わらず、これらがそれぞれ切欠9及び内壁22aによって安定的に保持等されることから、電線52,52a,52bと内壁22aの間に配置されるテープ51dを、電線52,52a,52bの直径に関わらず精度良くこれらに巻回することができる。
また、
図4(a)及び4(b)に示したように、突出部17が回転ドラム3へ連結片6dを介して係止される場合、及びこの係止が解除される場合のいずれにおいても、一対の固定板6e,6e等によって、レバー部15を安定的に停止させることが可能であることから、高所作業においてレバー部15が不意に動き充電部に接触するといった不測の事態を防止することができる。すなわち、作業者の安全を確保することが可能である。
さらに、回転ドラム3を回転させる操作の際に必要な力を、レバー部15が「フリー」の状態と比較して増大させなくても良いため、
図9(a)及び
図9(b)で示したように、テープ51dを引き延ばす際の負担を軽減できる。
【0047】
なお、本発明のテープ巻付装置1の構造は実施例に示すものに限定されない。例えば、第1の固定部7は、保持軸体6の一端6aに複数段からなる環状の突起が設けられても良く、この場合、環状の突起に嵌合する複数段からなる環状の溝部が備えられても良い。また、テープ固定ホルダー13は、省略されても良い。さらに、第2の固定部8は、保持軸体6の他端6bに雄ネジ部が設けられても良く、この場合、この雄ネジ部に螺合する雌ネジ部を備えるネジ部材であっても良い。
このほか、回転ドラム固定機構5において、連結部材5dが省略され、摘み部5bと先頭部5aが直接接続されても良い。
また、一対の固定針19,19は、周縁3aに平行し一定間隔を空けて配置される代わりに、周縁3aに直交し一定間隔を空けて配置されても良い。