(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した点火装置は、小型で内燃機関の燃焼室に多数配設することができでるものの、その構造上、円筒形となり、内燃機関に取り付けるためには、ネジ山を備えた所望の取付口をエンジンヘッドに形成する必要がある。また、例えば中古車市場の大型ディーゼルエンジントラックの燃料をガス燃料に置き換える用途では、自着火させることが困難なため、点火手段をインジェクタ近傍に配設することが必要となるが、エンジンヘッドに追加工することなく点火装置を配設するためにはさらなる小型薄型化が必要であるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、共振構造によって供給される電磁波を昇圧し、放電電極と接地電極との電位差を高め放電を生じさせる点火装置であって、小型薄型化、特に薄型化することができる点火装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、
長方形絶縁基板の主面に、
一方の短辺で外部端子と接続される入力電極と、
該入力電極と容量結合される結合電極と、
他方の短辺に前記結合電極と結合線路によって接続された放電電極と、
前記長方形絶縁基板の主面の両長辺に、前記結合電極及び結合線路との間で容量結合されるとともに、前記他方の短辺まで延びる接地電極とを備え、
前記容量結合によって構成されるキャパシタ及び結合線路によって構成されるインダクタにより共振回路を形成し、外部端子から入力電極に供給される電磁波を共振させ、放電電極と接地電極との間で電位差を高め放電を生じさせるようにした点火装置である。
【0009】
本発明の点火装置は、絶縁基板、例えばアルミナ等のセラミック基板の主面に、タングステン等の金属粉末を主成分とする導体ペーストで形成した結合電極、結合線路、放電電極及び接地電極のパターンによって構成されるキャパシタ及びインダクタにより共振回路を形成し、絶縁基板の一方の短辺(端面)で入力電極と接続される外部端子から供給される電磁波を共振させて昇圧し、他方の短辺(端面)の放電電極と接地電極間で放電を発生させることができる。このように薄い絶縁基板が点火装置として機能することで、内燃機関の取り付け箇所の自由度を大幅に向上させることができ、インジェクタの先端や吸排気バルブ、ガスケットに組み込むことが可能となる。
【0010】
また、上記課題を解決するためになされた第2の発明は、
主面に、一方の短辺で外部端子と接続される入力電極を有する第1の長方形絶縁基板、
主面に、前記入力電極と容量結合する結合電極、他方の短辺に前記結合電極と結合線路によって接続された放電電極及び他方の短辺で前記放電電極に近接する放電用接地電極を有する第2の長方形絶縁基板及び、
主面に、前記結合電極及び結合線路との間で容量結合するとともに、前記放電用接地電極と層間導通用のビアで接合する接地電極を有する第3の長方形絶縁基板を、
それぞれ少なくとも1枚積層し、
前記容量結合によって構成されるキャパシタ及び結合線路によって構成されるインダクタによって共振回路を構成し、外部端子から入力電極に供給される電磁波を共振させ、放電電極と接地電極との間で電位差を高め放電を生じさせるようにした点火装置である。
【0011】
本発明の点火装置は、結合電極と接地電極及び結合線路と接地電極との容量結合を層間で行うようにしたから同一主面で容量結合した場合に生じる恐れのある容量結合間での放電を防止することができる。
【0012】
これら場合において、前記他方の短辺の放電電極と接地電極との間の基板を切り欠くことができる。これによって放電電極と接地電極との間に十分な放電空間を形成することができる。
【0013】
また、第1の発明において、前記共振回路の共振周波数が異なるように入力電極、結合電極、結合線路、放電電極及び接地電極を備えた長方形絶縁基板を積層することができる。共振周波数が異なる長方形絶縁基板からなる当該点火装置を複数積層し、それぞれの入力電極を1の外部端子と接続することで、外部端子と接続する電磁波発信器の電磁波の周波数に振れがあった場合でも、いずれかの点火装置において供給される電磁波が共振し、放電電極と接地電極との間で放電が生じる。また、異なる共振周波数の間隔は、半値幅以下とすることが好ましく、これにより高いQ値となるように構成しても確実に放電させることが可能となる。
【0014】
この場合において、前記結合線路の長さ、結合線路と接地電極との間隔を調整して、共振周波数を変更することができる。また、結合線路と接地電極との間にダイオード配設して共振周波数を変えることもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の点火装置は、共振構造によって供給される電磁波を昇圧し、放電電極と接地電極との電位差を高め放電を生じさせる点火装置であって、小型薄型化、特にセラミック基板においては厚みを200μm以下で製造することができるため複数枚を積層した場合でも1mm程度と薄型化を図った点火装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0018】
<実施形態1>点火装置
本実施形態1は、本発明に係る点火装置1である。当該点火装置1は、
図1に示すように、長方形絶縁基板2A(以下、絶縁基板2Aという。)の主面に、基板の一方の短辺20aで外部端子と接続される入力電極3と、この入力電極3と容量結合される結合電極4と、他方の短辺20bに結合電極4と結合線路5によって接続された放電電極6と、絶縁基板2Aの主面の両長辺21a、21bに、結合電極4及び結合線路5との間で容量結合されるとともに、他方の短辺20bまで延びる接地電極7とを備える。各電極をこのように容量結合した共振構造とすることで、電磁波を昇圧する昇圧手段を構成する。これによって、当該点火装置1は、外部端子を介し、電磁波発信器MWから入力電極に供給される電磁波を共振させ、放電電極6と接地電極7との間で電位差を高め放電を生じさせる。
【0019】
この点火装置1の絶縁基板2Aは、セラミックス(例えば、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム、コーディライト、ムライト等)の粉末(以下、セラミックス原料という)を焼成して形成する。本実施形態では単層のセラミックス製の絶縁基板2を用いて点火装置1とすることができる。具体的には、セラミックス原料にバインダ・溶媒を加え混合粉砕して均一なスラリーを製造する。その後、スプレードライ(噴霧乾燥)により造粒して顆粒とする。この顆粒を、CIP成形(冷間等方圧成形)、プレス成形、射出成形等により所望形状のセラミックス成形体を成形した後、焼成炉において焼成する。CIP成形は、顆粒をゴム型に入れて水圧を利用して成型する方法、プレス成形は金型に顆粒を入れて成形する方法で小型の板状体を成形する場合に適しており、本実施形態の絶縁基板2を成形する方法として最適である。
【0020】
入力電極3、結合電極4、結合線路5及び放電電極6は、金属粉末(例えば、電気抵抗の低い銀、銅、タングステン、モリブデン等)を主成分とする導体ペーストを上述した構成(
図1(a)参照)となるようにスクリーン印刷等の手法によって絶縁基板2A上に印刷する。
【0021】
他方の短辺20bに位置する放電電極6と接地電極7との間の基板を切り欠いて切り欠き部Kを形成することが好ましい。この切り欠き部Kを形成することで、放電電極6と接地電極7との間に十分な放電空間が形成され、放電電極6と接地電極7との間での放電を確実に生じさせることができる。
【0022】
そして、絶縁基板2Aの電極面を覆うように保護基板2Dを重ね合わせ、熱と圧力を加えて積層する。保護基板2Dは絶縁基板2Aより若干短尺で、絶縁基板2Aの入力電極3及び接地電極7の一部を露出させ入力電極3は外部端子(図示省略)を介して電磁波発信器MWと接続し、接地電極7はアースする。
【0023】
―昇圧手段―
昇圧手段は、電磁波を発信する電磁波発信器MWと容量結合した共振構造(接地電極7と結合電極4及び結合線路5との間で容量結合によって構成されるキャパシタ及び結合線路によって構成されるインダクタによって構成される共振回路)から構成されている。
【0024】
昇圧手段は、結合電極4と接地電極7とで構成するキャパシタ(コンデンサ)C2の共振容量C2及び結合線路5と接地電極7とで構成するキャパシタ(コンデンサ)C3の共振容量C3を、C3に比べてC2が十分に大きく(C2≫C3)なるように各寸法を調整することで構成するようにしている。このように構成することで、電磁波を十分に昇圧し高電圧として、放電電極6と接地電極7との間で放電(絶縁破壊)を可能とする。
【0025】
共振容量C2は、結合電極4と接地電極7とによって形成されるキャパシタC2による接地容量(浮遊容量)である。共振容量C2は、結合電極4の長手方向の長さ、結合電極4と接地電極7との距離、絶縁基板2Aの誘電率によって決定される。キャパシタC2の部分の詳細寸法は、電磁波発振器MWから発振される電磁波(マイクロ波)の周波数に合わせて共振するように設計される。
【0026】
共振容量C3は、結合線路5と接地電極7とによって形成されるキャパシタC3による放電側容量(浮遊容量)である。共振容量C3は、結合線路5の長手方向の長さ、結合線路5と接地電極7との距離、絶縁基板2Aの誘電率によって決定される。特に、共振容量C3は可及的に小さくすることが望ましく、結合線路5と接地電極7との距離を大きくとるようにすることが好ましい。また、結合線路5と接地電極7との間の絶縁基板2Aを切り欠くことによって誘電率を下げ、共振容量C3をより小さくするように構成することもできる。
【0027】
図5に示す等価回路にあるC1は、入力電極3と結合電極4との間の容量結合部分を示し、電磁波発信器MWとのインピーダンスの整合をとる。
【0028】
−点火装置の動作−
点火装置1のプラズマ生成動作(点火動作)について説明する。プラズマ生成動作では、放電電極6と接地電極7との間の電位差によって放電が生じ、放電電極6と接地電極7(放電部)の近傍にプラズマが生じ、噴射される燃料が点火する。
【0029】
具体的なプラズマ生成動作(点火動作)は、まず制御装置(図示省略)が、所定周波数fの電磁波発振信号を出力する。この発信信号は内燃機関のクランク角度に応じて(通常、圧縮上死点(TDC)の手前)発信される。電磁波用電源(図示省略)から電力の供給を受ける電磁波発振器MWは、このような電磁波発振信号を受けると、所定の設定時間に亘って周波数fの電磁波パルスを所定のデューティー比で出力する。電磁波発振器MWから出力された電磁波パルスは、共振周波数がfである点火装置1の昇圧手段により、高電圧となる。高電圧になる仕組みは、上述したように、共振容量(浮遊容量)C2、C3を、C3に比べてC2が十分に大きくなるように構成するとともに、結合線路5と接地電極7との浮遊容量C3及び結合電極4と接地電極7との浮遊容量C2と、コイル(結合線路5(等価回路のL1)が相当)とによって共振回路を構成するようにしているからである。そして、昇圧された電磁波が放電電極6と接地電極7との間の電位差を高め、放電を起こし、スパークが生じる。このスパークにより、放電部の近傍で生成されるガス分子から電子が放出され、プラズマが生成され、燃料が点火する。なお、電磁波発信器MWからの電磁波は、連続波(CW)であっても構わない。
【0030】
図3は、当該点火装置1を内燃機関8の吸気バルブ91、排気バルブ92(以下、総称するときは単にポペットバルブ9という。)に取り付けた例を示す。具体的には、点火装置1の放電電極6及び接地電極7が形成される短辺20bが、ポペットバルブ9の傘部9aの燃焼室80に露出する面の中央に位置するようにポペットバルブ9内に配設する。そして、軸部9b内の同軸ケーブル等の伝送路を介し、電磁波発信器MWからの電磁波を入力電極3に供給するように構成する。このように、内燃機関8の1の燃焼室80に対して4箇所から点火動作を行うことができる。また、シリンダヘッド82の中心に通常のガソリンエンジンで用いられる点火プラグを配設することもできる。
【0031】
また、当該点火装置1は、シリンダブロック81とシリンダヘッド82との間に配設されるガスケット83に組み込むこともできる。ガスケット83に組み込む際の点火装置1の配設数は、特に限定するものではないが、ボアの周上に複数箇所(4〜8箇所)に等間隔で配設することが好ましい。点火装置1をガスケット83に組み込むことで燃料を点火する火種が外周に発生することとなり、火炎伝播の方向(通常のガソリンエンジンの場合、火炎伝播は内側から外側に向かい、シリンダ壁面からの冷熱損失が大きく熱効率低減の要因となっている。)が外側から内側に向かうこととなり、冷熱損失を大幅に低減することができる。
【0032】
−実施形態1の効果−
本実施形態1の点火装置1は、電磁波を昇圧し、放電を行うことができるから、装置全体の外径寸法の大幅なコンパクト化を図ることができる。
【0033】
−実施形態1の変形例1−
実施形態1の変形例1では、共振周波数の異なるように入力電極3、結合電極4、結合線路5、放電電極6及び接地電極7を絶縁基板2上に形成した複数枚の絶縁基板、例えば
図2に示すように、絶縁基板2A1〜2A5を積層して構成されている。
【0034】
共振周波数は、入力電極3と結合電極4との重複度合い、結合電極4と接地電極7との距離によっても変動するものではあるが、結合線路5の長さL、結合線路5と接地電極7との距離Dを変えることで共振周波数は大きく変動する。そのため、本実施形態では
図2(a)に示す、結合線路5の長さL、結合線路5と接地電極7との距離Dを二点鎖線に示す位置に変更することで共振周波数が異なる絶縁基板となるようにしている。
【0035】
この点火装置1の絶縁基板2は、上述した方法で成形することもできるが、複数枚の絶縁基板2を積層するため薄い基板とすることが望まれるため、例えばアルミナセラミックスにより形成するときは、アルミナ(Al2O3)及び焼結助剤(バインダ、例えばシリカ(SiO2)等)からなる原料粉末を混ぜ合わせ、ミルク状のスラリーを生成する。生成したスラリーをドクターブレード法やカレンダーロール法等によってシート状のセラミック生シート(グリーンシート)を成形し、その後、入力電極3、結合電極4、結合線路5、放電電極6及び接地電極7を、金属粉末(例えば、電気抵抗の低い銀、銅、タングステン、モリブデン等)を主成分とする導体ペーストをスクリーン印刷等の手法によって印刷することで絶縁基板2を成形するようにしている。
【0036】
絶縁基板2A1〜2A5のそれぞれの共振周波数は、例えば、絶縁基板2A1が2.41GHz、絶縁基板2A2が2.43GHz、絶縁基板2A3が2.45GHz、絶縁基板2A4が2.47GHz、絶縁基板2A5が2.49GHzとし、半減幅を0.2〜0.4GHz程度(Q値を61〜122程度)に設定することで、電磁波発信器MWから発振する2.45GHzの電磁波の周波数に揺れが生じても絶縁基板2A1〜2A5のいずれかの絶縁基板に形成した放電電極6と接地電極7との間で放電を生じさせることができる。また、絶縁基板2A1〜2A5のそれぞれの共振周波数を2.43GHz〜2.47GHzと0.01刻みに設定しQ値を245程度に設定することもできる。Q値は、共振回路の共振周波数w0、共振周波数w0を挟んで、エネルギーが1/2になる周波数w1、w2(w1<w2)とした場合に、
w0/(w2−w1)
で表される値である。
【0037】
そして、積層した各絶縁基板2A1〜2A5のうち電極面が露出する絶縁基板2A5の上面に、実施形態1と同様、絶縁基板2A5の電極面を覆うように保護基板2Dを重ね合わせ、熱と圧力を加えて積層する。この際、グリーンシートに含まれる有機バインダが層間接着における糊の役目を果たし多層セラミック絶縁基板の点火装置1が完成する。
【0038】
このように共振周波数のことなる絶縁基板を積層して点火装置1を構成することで、電磁波発信器MWから発振される電磁波の周波数に揺れが生じても高い出力で放電を生じさせることができる。
【0039】
<実施形態2>点火装置
本実施形態2は、本発明に係る点火装置1である。当該点火装置1は、
図4に示すように、主面に、一方の短辺で外部端子と接続される入力電極3を有する第1の長方形絶縁基板2A1と、主面に、第1の長方形絶縁基板2Aの入力電極3と容量結合する結合電極4、他方の短辺に結合電極4と結合線路5によって接続された放電電極6及び他方の短辺で放電電極6に近接する放電用接地電極7aを有する第2の長方形絶縁基板2Bと、主面に、第2の長方形絶縁基板2Bの結合電極4及び結合線路5との間で容量結合するとともに、第2の長方形絶縁基板2Bの放電用接地電極7aと層間導通用のビアBで接合した接地電極7bを有する第3の長方形絶縁基板2Cとを備え、少なくとも1枚の各長方形絶縁基板2A、2B、2Cを積層し、容量結合によって構成されるキャパシタ及び結合線路によって構成されるインダクタによって共振回路を構成し、外部端子から入力電極に供給される電磁波を共振させ、放電電極6と放電用接地電極7aとの間で電位差を高め放電を生じさせるようにした点火装置である。当該点火装置1は、各長方形絶縁基板2A、2B、2Cに印刷される電極パターンが異なる以外の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成については説明を省略する。
【0040】
この点火装置1の長方形絶縁基板2A〜2C(以下、絶縁基板2A〜2Cという。)は、第1実施形態の変形例と同様、セラミックス(例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、コーディライト、ムライト等)からなり、例えばアルミナセラミックスにより形成するときは、アルミナ(Al2O3)及び焼結助剤(バインダ、例えばシリカ(SiO2)等)からなる原料粉末を混ぜ合わせ、ミルク状のスラリーを生成する。生成したスラリーをドクターブレード法やカレンダーロール法等によってシート状のセラミック生シート(グリーンシート)を成形し、その後、入力電極3を絶縁基板2A、結合電極4、結合線路5、放電電極6及び放電用接地電極7aを絶縁基板2B、放電用接地電極7aと層間導通用のビアBで接合した接地電極7bを絶縁基板2Cに、金属粉末(例えば、電気抵抗の低い銀、銅、タングステン、モリブデン等)を主成分とする導体ペーストをスクリーン印刷等の手法によって印刷することで成形するようにしている。
【0041】
この点火装置1は、等価回路のC1となる入力電極3と結合電極4とを異なる絶縁基板に設け、入力電極3と結合電極4との間で絶縁破壊が起こることを確実に防止する。また、入力電極3と結合電極4との間で電磁波発信器MWとのインピーダンスの整合を、入力電極3及び結合電極4の長さと太さによって容易に行うことができる。
【0042】
また、結合電極4との間で等価回路のC2を構成する接地電極7(7c)及び結合線路5との間で等価回路のC3を構成する接地電極7(7b)をそれぞれ異なる絶縁基板2Cに設けるようにしている。本実施例においては接地電極7bと接地電極7cとを、それぞれ別々の絶縁基板2C2と絶縁基板2C1とに設けるようにしている。
【0043】
結合線路5との間で構成する等価回路のC3の共振容量(浮遊容量)C3は上述したとおり、可及的に小さくすることが望まれるため、結合線路5との間で等価回路のC3を構成する接地電極7bを備える絶縁基板2C2は、結合電極4との間で等価回路のC2を構成する接地電極7cを備える絶縁基板2C1を間に挟み、結合線路5と接地電極7bとの間に接地電極のパターンが印刷されていないように構成することで、結合線路5と接地電極7bとの距離をとるようにしている。これにより、共振容量(浮遊容量)C3を小さくすることが可能となる。なお、絶縁基板2C1は、絶縁基板2Bと絶縁基板2C2との間に複数枚積層することで、さらに共振容量(浮遊容量)C3を小さくすることができる。
【0044】
また、回路のインピーダンスの整合をとるために絶縁基板2Bの結合線路5にスタブパターン5a(オープンスタブ)を設けることができる。スタブパターン5aは、絶縁基板2Aに設け、層間導通用のビアで絶縁基板2Bの結合線路5と電気的に接合することもできる(
図4下図右側の二点鎖線参照)。入力電極3しか配設されておらず、パターン印刷の面積に余裕がある絶縁基板2Aにスタブパターン5aを設けることで、スタブの長さの調整を容易に行うことができる。
【0045】
また、スタブパターン5aは入力電極3に設けることもできる(
図4下図左側の二点鎖線参照)。電磁波入力の上流側である入力電極3にスタブパターン5aを設けることで効果的にインピーダンスの整合をとることができる。
【0046】
このように、各絶縁基板2A〜2Cに、各電極を形成させ、最上面の電極面を覆うように保護基板2Dを重ね合わせ、熱と圧力を加えて積層する。この際、グリーンシートに含まれる有機バインダが層間接着における糊の役目を果たし多層セラミック絶縁基板の点火装置1が完成する。
【0047】
−点火装置の動作−
点火装置1のプラズマ生成動作(点火動作)は実施形態1と同様、放電電極6と放電用接地電極7aとの間の電位差によって放電が生じ、放電電極6と放電用接地電極7a(放電部)の近傍にプラズマが生じ、噴射される燃料が点火する。
【0048】
−実施形態2の効果−
本実施形態2の点火装置1は、実施形態1と同様、電磁波を昇圧し、放電を行うことができる。この際、昇圧手段を構成する共振回路の浮遊容量のうち可及的に小さくする必要がある結合線路5と接地電極7との浮遊容量C3を、結合線路5と接地電極7とを異なる絶縁基板2Bと絶縁基板2Cとに配設するようにして、結合電極4と接地電極7との浮遊容量C2より十分に小さくし、供給される電磁波を十分に昇圧し高電圧として、放電電極6と接地電極7との間で放電させることができる。また、容量結合となる電極部分を同じ基板上に印刷していないことからかかる部分での放電を抑制することができる。
【0049】
<実施形態3>点火装置
本実施形態3は、本発明に係る点火装置1である。当該点火装置1は、
図6〜
図7に示すように、第1の長方形絶縁基板P1から第5の長方形絶縁基板P5を積層して構成されている。各長方形絶縁基板の材質は、特に限定するものではないが、実施形態1と同様、セラミックス(例えば、アルミナ(Al
2O
3)、窒化アルミニウム、コーディライト、ムライト等)の粉末(以下、セラミックス原料という)を焼成して形成する。
【0050】
そして、各長方形絶縁基板の主面(裏面も含む)に形成される各レイヤーは、その材質等を特に限定するものではないが、実施形態1と同様、金属粉末(例えば、電気抵抗の低い銀、銅、タングステン、モリブデン等)を主成分とする導体ペーストを各レイヤーの形状(
図7(a)〜
図7(e)参照)となるようにスクリーン印刷等の手法によって各長方形絶縁基板上に印刷することで構成するようにしている。
【0051】
各長方形絶縁基板(以下、単に基板と呼ぶ)に形成するレイヤーについて説明する。第1の基板P1の主面のレイヤーL1は、接地電極7とアンテナ用線路31と連通するためのビア40が形成されている。また、第1の基板P1の裏面のレイヤーL2は、ビア40から連なるアンテナ用線路31が形成されている。ビア40は、電磁波発信器MW2と、例えば同軸ケーブルを介して連結される。
【0052】
第2の基板P2は、主面にはレイヤーの印刷はなく、裏面のアンテナ30の一端に連なるビア40が形成されている。また、第2の基板P2の裏面のレイヤーL3は、ビア40から連なるアンテナ30が形成されている。
【0053】
第4の基板P4は、主面に実施形態1と同様の構成であって、一方の短辺の近傍で外部端子と接続される入力電極3と、この入力電極3と容量結合される結合電極4と、他方の短辺に結合電極4と結合線路5によって接続された放電電極6と、両長辺に、結合電極4及び結合線路5との間で容量結合されるとともに、他方の短辺で放電電極との間に所定のギャップを形成する接地電極7とを備える。一方の短辺の近傍で外部端子と接続される部分には裏面に連なるビア42が形成されている。なお、入力電極3と結合電極4の位置関係は
図1(a)に示す位置関係であっても構わない。ビア42は、電磁波発信器MW1と、例えば同軸ケーブルを介して連結される。
【0054】
第3の基板は、第4の基板P4の主面に形成される放電電極6と、第2の基板P2の裏面に形成されるアンテナ30との間に所定の距離を開けるためのスペーサ的役割を果たしている。このように、本実施形態の点火装置は、実施形態1の絶縁基板2Dをスペーサとして所定の厚みをもたせ、その上部に放電部へのエネルギー供給用アンテナを形成した基板を積層することによって構成されている。
【0055】
共振構造、昇圧手段は、実施形態1と同様であり、説明を省略する。また、実施形態1と同様、放電電極6と接地電極7との間の基板を切り欠いて切り欠き部を形成するようにしても構わない。
【0056】
上記構成において、当該点火装置1の点火動作は、実施形態1と同様、まず制御装置(図示省略)が、所定周波数fの電磁波発振信号を出力する。この発信信号は内燃機関のクランク角度に応じて(通常、圧縮上死点(TDC)の手前)発信される。電磁波用電源(図示省略)から電力の供給を受ける電磁波発振器MW1は、このような電磁波発振信号を受けると、所定の設定時間に亘って周波数fの電磁波パルスを所定のデューティー比で出力する。電磁波発振器MW1から出力された電磁波パルスは、共振周波数がfである点火装置1の昇圧手段により、高電圧となる。高電圧になる仕組みは、上述したように、共振容量(浮遊容量)C2、C3を、C3に比べてC2が十分に大きくなるように構成するとともに、結合線路5と接地電極7との浮遊容量C3及び結合電極4と接地電極7との浮遊容量C2と、コイル(結合線路5(等価回路のL1)が相当)とによって共振回路を構成するようにしているからである。そして、昇圧された電磁波が放電電極6と接地電極7との間の電位差を高め、放電を起こし、スパークが生じる。そして、この放電プラズマに電磁波発振器MW2から発振された電磁波(マイクロ波)が、アンテナ30から放射され、放電プラズマにエネルギーが供給され、非平衡プラズマが維持・拡大される。
【0057】
−実施形態3の効果−
放電プラズマを生じさせるための基板回路と、放電プラズマにエネルギーとして電磁波を供給するためのアンテナ回路とを1の積層回路中に構成することで、小型の点火装置であっても、燃料の着火が大きな体積着火となり確実に行われるとともに、燃焼効率が格段に向上する。
【0058】
−実施形態3の変形例1−
実施形態3の変形例1では、
図6(c)に示すように、放電プラズマにエネルギーとして供給する電磁波を、電磁波発信器MW1から放電電極3に向かって供給する電磁波の反射波を利用するようにしている。具体的には、電磁波発信器MW1と入力電極3との間に第1ポートを電磁波発信器MW1、第2ポートをビア43、第3ポートをビア40と連結したサーキュレータSQを介在させ、放電後に生じる反射波を、第3ポートを介してアンテナ30に供給するようにしている。