(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベース部材の底面に対して面直方向から見たときに、前記ベース部材の立壁部と、前記回転部材のガイド壁部とは、少なくとも、前記ロッド連結部の回動軌跡の範囲内において、互いに対向して配置されている請求項1記載の開閉体のロック装置。
前記ベース部材の底面に対して面直方向から見たときに、前記ベース部材の弾性爪と、前記回転部材のガイド壁部とは、互いに対向して配置されている請求項1又は2記載の開閉体のロック装置。
前記被係合部は、前記ロッドの、前記ベース部材のガイド壁部側の側面とは、反対側の側面であって、前記ベース部材の底面寄りの位置に配置された、前記ロッドの軸方向に沿って延びる突条からなる請求項4記載の開閉体のロック装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る開閉体のロック装置の、一実施形態について説明する。
【0018】
図2に示すように、この実施形態における開閉体のロック装置10(以下、「ロック装置10」という)は、例えば、車両のインストルメントパネルに設けられたグローブボックス等の、固定体1の開口部2に、開閉可能に取付けられる開閉体5を、開閉ロックするために用いられるものである。
【0019】
なお、開閉体のロック装置としては、例えば、インストルメントパネルの開口部に箱状のグローブボックスが回動可能に取付けられた構造に適用したり(この場合、インストルメントパネルが「固定体」、グローブボックスが「開閉体」をなす)、或いは、インストルメントパネルの開口部にリッドが開閉可能に取付けられた構造(この場合、インストルメントパネルが「固定体」、リッドが「開閉体」をなす)に適用したりしてもよく、固定体の開口部を開閉する各種の開閉体に広く用いることができる。
【0020】
図2に示すように、この実施形態では、固定体1の開口部2の内面に、凹状のロック部3,3が設けられている。なお、ロック部は、凹状でなくとも、孔状や、突起状、枠状等であってもよく、また、固定体ではなく、開閉体に設けてもよく、特に限定はされない。
【0021】
そして、
図1及び
図2に示すように、この実施形態のロック装置10は、開閉体5に配置され、ロック部3,3に係脱する一対のロッド20,20と、開閉体5に設置されるベース部材40と、該ベース部材40に回転可能に装着される回転部材60と、ロック部3からロッド20を係脱操作する操作部材30とを有している。また、回転部材60を回転付勢して、ロッド20,20をロック部3,3側に向けて付勢する、トーションバネからなる付勢バネ29を有している。
【0022】
また、
図1及び
図2に示すように、この実施形態の開閉体5は、横長板状をなしていると共に、ベース部材40を設置させる設置面7を有しており、該設置面7にベース部材40を抜け止め保持する一対の抜け止め壁部70,70が設けられている。
【0023】
図6を併せて参照すると、一対の抜け止め壁部70,70は、所定間隔をあけて互いに平行となるように対向して配置されており、それらの間に、複数の壁部で囲まれると共に内部が複数の仕切り壁で仕切られた、上方が開口した係止部75(
図1参照)が設けられている。この一対の抜け止め壁部70,70と、係止部75とで囲まれた空間が、設置面7の面直方向に対して交差する方向からベース部材40を受け入れる、受入れ部77をなしている。
【0024】
また、一対の抜け止め壁部70,70は、ベース部材40の挿入方向前方側に、挿入規制部71が設けられ、上端部に天井部72が形成されて、内面側が凹状をなしている。そして、設置面7の面直方向に交差する方向から前記受入れ部77にベース部材40を挿入すると、前記挿入規制部71にベース部材40の後述する立壁部50が当接して、ベース部材40の挿入規制がなされると共に、前記天井部72に立壁部50が係止して、ベース部材40の、設置面7の面直方向側の抜け止めがなされる(
図6及び
図8参照)。なお、係止部75の内側に、ベース部材40の後述する弾性係止片47が係止して、受入れ部77の開口からの、ベース部材40の抜け止めがなされる。
【0025】
更に、各抜け止め壁部70の天井部72の外面の所定位置(ここでは中央)には、ロッド20の組付け時の指標となる、組付けマーク72aが形成されている。
【0026】
なお、ベース部材40を、設置面7に対して面直方向及び受入れ部77の開口(面直方向に交差する方向)から抜け止めするには、上記構造に限定されるものではなく、種々の構造を採用することができる。
【0027】
図1及び
図2に示すように、各ロッド20は、両者同一形状であって、その軸方向途中がクランク状に屈曲した形状をなしており、その先端部21がロック部3に係脱するようになっている。また、各ロッド20の基部22は、所定長さで直線状に延びており、該ロッド20の、ベース部材40の底面41a側には、ロッド20のスライド方向に沿って所定間隔で複数の凹部23が形成されている(
図10参照)。この凹部23は長孔状をなしており、ロッド20の長さ方向に短軸側、ロッド20の長さ方向に直交する方向に長軸側を向けて配置されている(
図2参照)。各ロッド20の所定の凹部23に、回転部材60の後述するロッド連結部63が挿入されて連結し、回転部材60に一対のロッド20,20が連結される。
【0028】
更に
図6及び
図7に示すように、各ロッド20の基部22の、回転部材60の後述するガイド壁部65に接する側とは、反対側の側面であって、ベース部材40の底面41a寄りの位置に、ロッド20の軸方向に沿って延びる突条25が形成されている。この突条25に、ベース部材40の後述する弾性爪53が係合して、ベース部材40の底面41aに対して面直方向にロッド20を抜け止めする(
図8参照)。すなわち、この実施形態においては、突条25が、本発明における抜け止め構造の「被係合部」をなしている。
【0029】
また、突条25には、ベース部材40の底面41a側に向けて、当接リブ25aが突出していると共に、ロッド20の、ベース部材40のガイド壁部65側の側面であって、その底面周縁からも、突条をなした当接リブ25bが突出している(
図6参照)。一方の当接リブ25aが、ベース部材40のロッド受け部52に当接し、他方の当接リブ25bが、回転部材60の基部61に当接して、ベース部材40や回転部材60に対するロッド20の接触面積を減少させて、ロッド20のスライド性能を向上させている(
図8参照)。
【0030】
更に、各ロッド20の基部22には、その底面とは反対側の天井面の所定位置に、ロッド20の組付け時の指標となる、組付けマーク26が形成されている。
【0031】
また、各ロッド20の先端部21寄りの位置には、枠状部27が形成されている。
図2に示すように、各ロッド20の枠状部27内には、開閉体5の設置面7から突設したガイド突起7aが入り込んで、ロッド20のスライド動作がガイドされる。また、一方の枠状部27内には、操作部材30の操作片33a(
図2及び
図3参照)が入り込んで、ロッド20がスライド操作される。
【0032】
なお、ロッドの形状や構造等は特に限定されない。また、この実施形態のロッド20は、開閉体側に配置されているが、固定体側に配置されていてもよい。
【0033】
次に、操作部材30について説明する。
【0034】
図2及び
図3に示すように、この実施形態の操作部材30は、開閉体5に固定される固定体31と、該固定体31に、開閉体5の面方向に対して近接離反するように取付けられる操作ノブ33とからなる。操作ノブ33には、操作片33aが設けられており、これが他方のロッド20の枠状部27内に入り込んで、該ロッド20をスライド操作するようになっている(
図2及び
図3参照)。
【0035】
なお、操作部材30は、例えば、開閉体や固定体の面方向に沿って回転する回転ノブや回転ハンドル、或いは、面方向に対して押し込むプッシュ式のものとしてもよく、ロック部3からロッド20を係脱操作可能であれば、その構造は特に限定されない。また、操作部材30は、固定体側に取付けられていてもよい。
【0036】
次に、ベース部材40について説明する。
【0037】
図4及び
図5に示すように、この実施形態のベース部材40は、開閉体5の設置面7に面し、底面41aを有する底部41と、該底部41の底面41aから立設した一対の立壁部50,50とを有している。
【0038】
前記底部41は、略円板状をなしており、その一方の面が、前記一対のロッド20,20が配置される底面41aをなしている。また、底部41の底面41aの中心から、回転部材60を回転可能に支持するための、軸部43が突設されている。この軸部43は、基部側が先端側よりも拡径しており、基部側外周には、付勢バネ29の一端が挿入係止されるバネ係止溝43aが形成されている(
図1参照)。また、軸部43の先端外周からは、一対の突起43b,43bが突設されており、回転部材60をベース部材40に対して抜け止め保持する。
【0039】
また、
図5に示すように、底部41の、軸部43の外周の所定位置には、スリット45aを介して撓み可能な回転規制爪45が形成されており、これが回転部材60の所定箇所に係止して、回転部材60の回転規制が図られている。
【0040】
更に
図5に示すように、底部41の、軸部43の外周であって、前記回転規制爪45とと異なる周方向位置には、外面に係止突部47bを有する弾性係止片47が、スリット47aを介して撓み可能に形成されている。この弾性係止片47が、前記係止部75の内側に係止して、受入れ部77の開口部からベース部材40が抜け止め保持される。
【0041】
また、前記底部41の外周であって、周方向に対向する箇所には、一対の延出部49,49が設けられており、該延出部49,49を介して、前記一対の立壁部50,50が互いに平行となるように立設されている。これらの一対の立壁部50,50は、前記一対の抜け止め壁部70,70の内側に配置されると共に、回転部材60のガイド壁部65の外側に配置される(
図6参照)。更に、一対の立壁部50,50は、回転部材60に一対のロッド20,20が連結されたとき、該一対のロッド20,20の外面側に配置される(
図7参照)。
【0042】
また、
図4に示すように、延出部49と立壁部50との間の隅部(立壁部50の基部内面側)であって、その幅方向両側には、四角片状のロッド受け部52,52が突設されており、これらに前述したロッド20の当接リブ25aが当接支持されて、ロッド20が支持される(
図8参照)。
【0043】
更に、各立壁部50の外面側は、天井部50a及び一対の側部50b,50bからなる、下方(底面41a側)及び側方が開口したコ字枠状をなしている。また、各立壁部50の枠状部の内方には、底面41a側に形成された空隙53a、及び、一対のスリット53b,53bを介して、撓み可能な弾性爪53がそれぞれ形成されている。この弾性爪53は、その基部側が立壁部50の天井部50a側に連結され、自由端側を底面41a側に向けて形成されている。
【0044】
また、
図4に示すように、各弾性爪53の内面側には、係合突部54が突設されている。この係合突部54の天井部50a側に、ロッド20の組み付け性を高める傾斜面54aが形成されている。更に、係合突部54の、弾性爪53の先端部寄りの位置に、ロッド20の突条25に係合する係合面54bが形成されている(
図8参照)。
【0045】
そして、前記ロッド20とベース部材40の立壁部50との間に、ベース部材40の底面41aに対して面直方向にロッド20を抜け止めする抜け止め構造が設けられている。この実施形態においては、
図8に示すように、前記弾性爪53の係合面54bが、ロッド20の突条25に係合して、ロッド20を抜け止めしており、該弾性爪53と「被係合部」をなす前記突条25とが、本発明における「抜け止め構造」を構成している。また、弾性爪53は、ロッド20を回転部材60のガイド壁部65に当接させるように付勢した状態で(
図8の矢印参照)、ロッド20の突条25に係合するように構成されている。
【0046】
なお、「抜け止め構造」としては、上記の弾性爪53及び突条25からなる構造のみならず、ベース部材の底面に対して面直方向にロッドを抜け止め可能であればよく、特に限定はない。例えば、ロッド側に弾性爪を設け、ベース部材の立壁部側に突条等を設けてよい(これについては後述の実施形態で説明する)。
【0047】
また、本発明におけるベース部材は、固定体又は開閉体に設置されると規定されているが、これは、ベース部材が固定体又は開閉体の設置面上に当接して設置される場合や、本実施形態のように、ベース部材40が設置面7に当接せず、所定隙間を介して離間して設置された場合(
図8参照)、更に、ベース部の底面が、設置面とは反対側に向いて設置された場合も含むものであり、ベース部が設置面に対して動かないように固定された状態で設置されることを意味している。
【0048】
次に、回転部材60について説明する。
【0049】
図4に示すように、この実施形態の回転部材60は、略円板状をなした基部61を有している。この基部61の表面側の外周縁部であって、周方向に対向した箇所からは、ロッド20,20に連結して、回転部材60の回転力をロッド20,20に伝達させるロッド連結部63,63が突出している。
【0050】
この実施形態におけるロッド連結部63は、先端部が丸みを帯びた略円柱形の凸状をなしており、ロッド20の所定の凹部23に挿脱可能に挿入されるようになっており、ベース部材40の底面41aに対する面直方向の抜け止め構造を有しないものである(
図10参照)。ただし、例えば、ロッド連結部63の先端部を球状に拡径した形状として、ロッド20の凹部23に対して抜け止め可能に嵌合させて、ロッド20を、ベース部材40の底面41aに対して面直方向に抜け止めする構造としてもよく、特に限定はされない。この場合、前述した弾性爪53の係合面54bとロッド20の突条25とからなる抜け止め構造と併せて、2つの抜け止めを有することとなり、ロッド20の抜け止めをより確実にできるという利点が得られる。
【0051】
また、ロッド連結部63の外径は、ロッド20の凹部23の、ロッド20の長さ方向に沿った幅に適合して形成されており(
図10参照)、ロッド連結部63が、各ロッド20の凹部23に挿入された状態で、各ロッド20の長さ方向には遊びがなく、且つ、長さ方向に直交する方向には所定の遊びを有して連結されるようになっている。
【0052】
更に回転部材60は、前記一対のロッド連結部63,63よりも、回転部材60の内径側に、一対のロッド20,20をスライドガイドするガイド壁部65を有している。
図4及び
図7に示すように、この実施形態のガイド壁部65は、前記基部61の表面側の中心から突出し、回転部材60の回転中心C(
図7参照)に対して同心状の円弧面を有する、円筒状をなした円筒壁から構成されている。
【0053】
そして、
図7に示すように、このロック装置10においては、ベース部材40の底面41aに対して面直方向から見たときに、ベース部材40の各立壁部50と回転部材60のガイド壁部65とが、ロッド20を受け入れ可能な隙間を介して、互いに対向して配置されている。また、この実施形態においては、
図7に示すように、ベース部材40の底面41aに対して面直方向から見たときに、ベース部材40の各立壁部50と、回転部材60のガイド壁部65とは、少なくとも、ロッド連結部63の回動軌跡(
図7の想像線参照)の範囲内において、互いに対向して配置されている。
【0054】
なお、前記ガイド壁部65としては、例えば、対向して配置された一対の円弧壁や、周方向に複数配置された円弧壁等であってもよく、回転部材の回転中心に対して同心状の円弧面を有しているものであればよい。
【0055】
また、各ガイド壁部65の上方側内周には、天井板67が形成されており、該天井板67の中央には、溝68a,68aを有する軸孔68が形成されている。この溝68a,68aにベース部材40の軸部43の突起43b,43bを整合させて、軸孔68に軸部43を挿通し、回転部材60を回転させることで、ベース部材40に対して回転部材60が回転可能に支持され且つ抜け止め状態で装着される。なお、回転支持させる構造としては、例えば、軸部を回転部材側に設け、軸孔をベース部材側に設けてもよく、特に限定はない。更に、天井板67の、軸孔68の外周位置には、付勢バネ29の他端を係止するバネ係止片69が形成されている。
【0056】
上記回転部材60は、付勢バネ29によって、
図2の矢印F方向に回転付勢されており、これによって、回転部材60に連結された一対のロッド20,20が、一対のロック部3,3に係合する方向に付勢されている。また、回転部材60に連結された一対のロッド20,20は、同期してスライド動作するようになっており、一方のロッド20がスライドした場合には、それに連動して他方のロッド20もスライドする。
【0057】
なお、一対のロッドをスライド動作させる回転部材としては、本実施形態のような回転部材60のみならず、例えば、ピニオンギヤを採用すると共に、一対のロッドにラック溝をそれぞれ形成しておき、このラック溝に前記ピニオンギヤに歯合させて、一方のロッドをスライドさせることで、ピニオンギヤを介して他方のロッドをスライドさせるようにしてもよく、特に限定はされない。なお、ラックピニオン構造のロック装置については、後述の実施形態で説明する。
【0058】
次に、上記構成からなるロック装置10の作用効果について説明する。
【0059】
まず、ベース部材40への回転部材60の組付け手順について説明する。すなわち、付勢バネ29の一端を、ベース部材40のバネ係止溝43aに係止させると共に、同付勢バネ29の他端を、回転部材60のバネ係止片69に係止させた後、付勢バネ29の回転付勢力に抗して、回転部材60の溝68a,68aにベース部材40の軸部43の突起43b,43bを整合させ、軸孔68に軸部43を挿通させることで、付勢バネ29により回転部材60が回転付勢されると共に、軸部43の突起43bが軸孔68の表側周縁に位置して、ベース部材40に回転部材60が回転可能に且つ抜け止め状態で装着される(
図4参照)。
【0060】
その後、設置面7の面直方向に対して交差する方向から、ベース部材40を受入れ部77に挿入すると、ベース部材40の一対の立壁部50,50が、一対の抜け止め壁部70,70の内側に配置されて、各立壁部50の天井部50aが、各抜け止め壁部70の天井部72に係止して、設置面7に対して面直方向側に、ベース部材40が抜け止めされる(
図8参照)。また、ベース部材40の立壁部50が、抜け止め壁部70の挿入規制部71に当接して挿入規制がなされると共に、ベース部材40の弾性係止片47の係止突部47bが、係止部75の内側周縁に係合して、受入れ部77の開口からの、ベース部材40の抜け止めがなされる。こうして、回転部材60を装着したベース部材40が、開閉体5の設置面7に設置される。この状態では、ベース部材40の各立壁部50と、回転部材60のガイド壁部65とが、ロッド20を受け入れ可能な隙間を介して、互いに対向して配置される(
図7参照)。
【0061】
そして、
図6に示すように、一対のロッド20,20の基部22,22を、ベース部材40の底面41aに対して面直方向から、ベース部材40の各立壁部50と回転部材60のガイド壁部65との隙間に、ベース部材40の底面41a側に向けて押し込んでいく。ここでは、抜け止め壁部70の組付けマーク72aに、ロッド20の組付けマーク26を位置合わせした状態で、ロッド20を押し込む。
【0062】
すると、ロッド20の所定の凹部23にロッド連結部63が挿入されつつ、弾性爪53の傾斜面54aが、ロッド20の突条25の当接リブ25aに押圧されて、弾性爪53が撓んでいく。その後、突条25が、弾性爪53の係合突部54の頂部を乗り越えて係合面54bに至ると、弾性爪53が弾性復帰して、その係合面54bが突条25に係合して、ロッド20をガイド壁部65に当接させるように付勢すると共に(
図8の矢印参照)、ロッド20の凹部23にロッド連結部63が挿入され、その先端部が凹部内面に当接して(
図9参照)、ベース部材40の底面41a側からロッド20を抜け止めした状態で、回転部材60にロッド20を装着することができる。
【0063】
このとき、このロック装置10においては、
図7に示すように、ベース部材40の立壁部50と回転部材60のガイド壁部65とは、ロッド20を受け入れ可能な隙間を介して、互いに対向して配置されているので、ロッド20の抜け止め構造をなすベース部材40の立壁部50と、ロッド20のスライドガイドをなす回転部材60のガイド壁部65とを、近づけた位置に設けることができる。その結果、上述したように、立壁部50とガイド壁部65との隙間にロッド20を挿入して、ロッド連結部63に連結するだけの簡単な作業で、ロッド20の抜け止め及びスライドガイドを図りつつ、回転部材60にロッド20を容易に組付けることができる。
【0064】
また、この実施形態においては、
図7に示すように、ベース部材40の底面41aに対して面直方向から見たときに、ベース部材40の立壁部50と、回転部材60のガイド壁部65とは、少なくとも、ロッド連結部63の回動軌跡(
図7の想像線参照)の範囲内において、互いに対向して配置されているので、立壁部50とガイド壁部65とを、より近づけた位置に設けることができ、回転部材60への、ロッド20の組付け作業をより容易に行うことができる。
【0065】
更に、この実施形態においては、
図8に示すように、ベース部材40に設けた弾性爪53は、ロッド20を回転部材60のガイド壁部65に当接させるように付勢した状態で係合するように構成されているので、回転部材60に対するロッド20のガタ付きを抑制することができ、ガタ付きによる異音を軽減することができ、また、ガイド壁部65によるロッド20のガイド性能も高めることができる。
【0066】
また、この実施形態においては、前記弾性爪53はベース部材40の立壁部50に形成され、被係合部(ここでは突条25)は、ロッド20の、ベース部材40のガイド壁部65側の側面とは、反対側の側面に形成されているので、抜け止め構造を構成する弾性爪53及び被係合部を、ロッド20の厚さ(ベース部材40の底面41a側からのロッド20の高さ)の範囲内で形成することができ、ロック装置10の厚さを薄くしてコンパクトにすることができる。
【0067】
更に、この実施形態においては、抜け止め構造をなす上記被係合部は、ロッド20の、ベース部材40のガイド壁部65側の側面とは、反対側の側面であって、ベース部材40の底面41a寄りの位置に、ロッド20の軸方向に沿って延びる、突条25からなるので、被係合部に係合する弾性爪53の撓み部を長く確保することができる(
図8参照)。その結果、ロック装置10を薄くしつつ、弾性爪53を撓ませやすくして、ロッド20を立壁部50とガイド壁部65との隙間に挿入する際の、挿入性を高めることができる。
【0068】
また、この実施形態においては、ロッド20の、ベース部材40の底面側に、凸状をなしたロッド連結部63が挿入される、複数の凹部23が形成されているので(
図10参照)、ロッド連結部63と凹部23との挿入位置を適宜変えることで、ロッド20の先端部21側の突出量を変えることができ(
図2参照)、その結果、ロッド20を複数の車種に流用しやすくすることがき、汎用性を高めることができる。
【0069】
なお、このロック装置10においては、固定体1の開口部2に対して開閉体5を閉じて、一対のロッド20,20の先端部21,21が、固定体1側の一対のロック部3,3に係合することで、開閉体5が閉じた状態にロックされる(
図2参照)。この状態から操作部材30の操作ノブ33を操作して、操作片33aを介して一方のロッド20が開閉体5の内方に引き込まれると、回転部材60を介して他方のロッド20も開閉体5の内方に引き込まれて、一対のロッド20,20の先端部21,21と、一対のロック部3,3との係合が解除されて、固定体1の開口部2から開閉体5を開くことができる(
図11参照)。
【0070】
図12〜15には、本発明に係る開閉体のロック装置の、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0071】
図12に示すように、この実施形態の開閉体のロック装置10A(以下、「ロック装置10A」)は、回転部材60Aと一対のロッド20A,20Aとの連結構造が前記実施形態と異なっている。
【0072】
図14に示すように、この実施形態における回転部材60Aは、そのガイド壁部65の外周面に、本発明における「ロッド連結部」をなすピニオンギヤ66が形成されている。すなわち、「ロッド連結部」であるピニオンギヤ66よりも、回転部材60Aの内径側に、円筒状のガイド壁部65が設けられている。一方、各ロッド20Aの基部22の、ガイド壁部65側の面に、前記ピニオンギヤ66に歯合するラック溝24がそれぞれ形成されている。
【0073】
そして、この実施形態においては、ガイド壁部65の外周には、ロッド連結部をなすピニオンギヤ66が形成され、ロッド20Aの、ガイド壁部65側の側面にラック溝24が形成されているので、
図15に示すように、ベース部材40の底面41aに対して面直方向から、立壁部50とガイド壁部65との隙間にロッド20を挿入することができ、ピニオンギヤ66にラック溝24を歯合させやすく、一対のロッド20,20を同期させた状態で簡単に組付けることができると共に、各ロッド20の先端部21側の突出量(出代)を容易に調整することができる。
【0074】
また、この状態では、ベース部材40の弾性爪53が、ロッド20Aの突条25に係合して、ロッド20Aが抜け止めされるが、このとき、前記実施形態と同様に、弾性爪53が、ロッド20Aを回転部材60Aのガイド壁部65に当接させるように付勢した状態で係合するので、ピニオンギヤ66とラック溝24とのバックラッシを吸収することができる。
【0075】
図16には、本発明に係る開閉体のロック装置の、更に他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0076】
図16に示すように、この実施形態の開閉体のロック装置10B(以下、「ロック装置10B」)は、ベース部材40Bの底面41aに対して面直方向にロッド20Bを抜け止めする抜け止め構造が、前記実施形態と異なっている。
【0077】
すなわち、
図16に示すように、ロッド20Bの、ガイド壁部65側の側面とは反対側の側面に、撓み可能な弾性爪28が設けられてる。この弾性爪28は、基端部がロッド20Bの底面側で、自由端側がロッド20Bの天井面側に向けて配置されており、その外面に係合突部28aが形成されている。一方、ベース部材40Bの立壁部50の上端部(底面41aとは反対側の端部)からは、内方に向かって係止壁部55が突出している。
【0078】
そして、ロッド20Bの弾性爪28の係合突部28aが、ベース部材40Bの係止壁部55に係合することで、ロッド20Bがベース部材40Bの底面41a側から抜け止めされた状態で装着される。
【0079】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。