特許第6598156号(P6598156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6598156チップ電子部品及びその製造方法、並びにその実装基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6598156
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】チップ電子部品及びその製造方法、並びにその実装基板
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20191021BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20191021BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   H01F17/04 A
   H01F17/00 B
   H01F41/04 C
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-153480(P2016-153480)
(22)【出願日】2016年8月4日
(62)【分割の表示】特願2014-182977(P2014-182977)の分割
【原出願日】2014年9月9日
(65)【公開番号】特開2016-219828(P2016-219828A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2017年8月7日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0077161
(32)【優先日】2014年6月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ユン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】イ・ドン・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ハン・ジン・ウ
【審査官】 木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−009357(JP,A)
【文献】 特開平10−135040(JP,A)
【文献】 特開2007−053174(JP,A)
【文献】 特開2014−107548(JP,A)
【文献】 特開2012−248628(JP,A)
【文献】 特開2003−151829(JP,A)
【文献】 特開2002−043130(JP,A)
【文献】 特開2006−319208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00−17/06
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板、及び前記絶縁基板の少なくとも一面に形成されるコイル導体パターンを含む磁性体本体と、
前記コイル導体パターンの端部と連結されるように前記磁性体本体の両端部に形成された外部電極と、を含み、
前記コイル導体パターンは、シード層、及び前記シード層上に配置されためっき層を含み、前記コイル導体パターンは少なくとも1つ以上の非貫通型の溝を含み、前記シード層の厚さは10μm以上40μm以下である、チップ電子部品。
【請求項2】
前記シード層の厚さは20μm以上40μm以下である、請求項1に記載のチップ電子部品。
【請求項3】
前記溝は、前記めっき層を貫通して前記シード層の上部まで形成される、請求項1または2に記載のチップ電子部品。
【請求項4】
前記溝の幅は、前記溝によって分割された前記めっき層の1つの幅より小さい、請求項1または2に記載のチップ電子部品。
【請求項5】
前記溝の幅は、前記コイル導体パターン間の間隔より小さい、請求項1または2に記載のチップ電子部品。
【請求項6】
絶縁基板、及び前記絶縁基板の少なくとも一面に形成されるコイル導体パターンを含む磁性体本体と、
前記コイル導体パターンの端部と連結されるように前記磁性体本体の両端部に形成された外部電極と、を含み、
前記磁性体本体の長さ方向の断面において、前記コイル導体パターンは、シード層、及び前記シード層上に配置されためっき層を含み、前記コイル導体パターンは少なくとも1つ以上の非貫通型の溝を含み、前記溝は前記めっき層を二つ以上に分割し、前記シード層の厚さは10μm以上40μm以下である、チップ電子部品。
【請求項7】
前記シード層の厚さは20μm以上40μm以下である、請求項6に記載のチップ電子部品。
【請求項8】
前記溝は、前記めっき層を貫通して前記シード層の上部まで形成される、請求項6または7に記載のチップ電子部品。
【請求項9】
前記溝の幅は、前記溝によって分割された前記めっき層の1つの幅より小さい、請求項6または7に記載のチップ電子部品。
【請求項10】
前記溝の幅は、前記コイル導体パターン間の間隔より小さい、請求項6または7に記載のチップ電子部品。
【請求項11】
絶縁基板の少なくとも一面にシード層を形成する段階と、
前記シード層をパターニングする段階と、
前記絶縁基板及びシード層上に絶縁材を塗布してパターニングする段階と、
前記シード層上にめっき層を形成する段階と、
前記絶縁材を除去する段階と、を含み、
前記絶縁材を塗布してパターニングする段階は、前記シード層の一部に絶縁材が配置されるように行われ、前記絶縁材を除去した後に、前記シード層の上面の一部が露出して、前記シード層と前記シード層上に配置された前記めっき層とを含むコイル導体パターンに少なくとも1つの非貫通型の溝が形成され、前記シード層の厚さは10μm以上40μm以下である、チップ電子部品の製造方法。
【請求項12】
前記シード層の厚さは20μm以上40μm以下である、請求項11に記載のチップ電子部品の製造方法。
【請求項13】
前記溝の幅は、前記溝によって分割された前記めっき層の1つの幅より小さい、請求項11または12に記載のチップ電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記溝の幅は、前記コイル導体パターン間の間隔より小さい、請求項11または12に記載のチップ電子部品の製造方法。
【請求項15】
上部に第1及び第2電極パッドを有する印刷回路基板と、
前記印刷回路基板上に設置された請求項1から10の何れか一項に記載のチップ電子部品と、を含む、チップ電子部品の実装基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ電子部品及びその製造方法、並びにその実装基板に関する。
【背景技術】
【0002】
チップ電子部品の一つであるインダクタ(inductor)は、抵抗、キャパシタとともに、電子回路を形成してノイズ(Noise)を除去する代表的な手動素子である。なお、電磁気的特性を用いることでキャパシタと組み合わせて特定周波数帯域の信号を増幅させる共振回路やフィルタ(Filter)回路などの構成に用いられる。
【0003】
最近、各種の通信デバイスやディスプレイデバイスなどのITデバイスの急速な小型化及び薄膜化に伴い、このようなITデバイスに採用されるインダクタやキャパシタ、トランジスタなどの各種素子にも小型化及び薄型化に対する研究が継続的に行われている。その結果、インダクタも小型かつ高密度の自動表面実装が可能なチップへの転換が加速化しており、薄膜の絶縁基板の上下面にめっきで形成されるコイルパターン上に磁性粉末を樹脂と混合して形成させた薄膜型インダクタの開発が続いている。
【0004】
このような薄膜型インダクタは、絶縁基板上にコイルパターンを形成した後、外部に磁性体材料を充填して製作する。
【0005】
一方、上記インダクタの主要市場であるスマートフォンにおける駆動エンジンのような役割をするPMIC(Power Management IC)には、最近、多様かつ複合的なマルチメディア機能の集積に伴い、単純な駆動電力を供給する基本的な機能のみならず、電圧の制御、速くて効率的な充電機能、電圧変換機能及びUSB送受信機能などがさらに求められている。
【0006】
これにより、DC/DCコンバータのスイッチング周波数も増加する傾向にあり、現在は、3MHzのスイッチング周波数が今後10MHz帯域まで増加すると予想される。
【0007】
したがって、全体効率が減少することを防ぐために、ともに用いられる外部インダクタのQ値もこれに応じて高周波帯域に移動しなければならない。
【0008】
即ち、Q値が高周波帯域に移動可能で、高周波帯域において用いられることができるインダクタに対する研究が必要な実情にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−282324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、チップ電子部品及びその製造方法、並びにその実装基板に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するための本発明の一実施形態は、絶縁基板、及び前記絶縁基板の少なくとも一面に形成されるコイル導体パターンを含む磁性体本体と、
前記コイル導体パターンの端部と連結されるように前記磁性体本体の両端部に形成された外部電極と、を含み、
前記コイル導体パターンは、シード層、及び前記シード層上に配置されためっき層を含み、前記コイル導体パターンは少なくとも1つ以上の溝を含み、前記シード層の厚さは10μm以上40μm以下である、チップ電子部品を提供する。
【0012】
また、上述した課題を解決するための本発明の他の実施形態は、絶縁基板、及び前記絶縁基板の少なくとも一面に形成されるコイル導体パターンを含む磁性体本体と、
前記コイル導体パターンの端部と連結されるように前記磁性体本体の両端部に形成された外部電極と、を含み、
前記磁性体本体の長さ方向の断面において、前記コイル導体パターンは、シード層、及び前記シード層上に配置されためっき層を含み、前記コイル導体パターンは少なくとも1つ以上の溝を含み、前記溝は前記めっき層を二つ以上に分割し、前記シード層の厚さは10μm以上40μm以下である、チップ電子部品を提供する。
【0013】
なお、上述した課題を解決するための本発明の他の実施形態は、上記絶縁基板の少なくとも一面にシード層を形成する段階と、前記シード層をパターニングする段階と、前記絶縁基板及びシード層上に絶縁材を塗布してパターニングする段階と、前記シード層上にめっき層を形成する段階と、前記絶縁材を除去する段階と、を含み、前記絶縁材を塗布してパターニングする段階は、前記シード層の一部に絶縁材が配置されるように行われ、前記絶縁材を除去した後に、前記金属シード層の上面の一部が露出して前記めっき層に少なくとも1つの溝が形成され、前記シード層の厚さは10μm以上40μm以下である、チップ電子部品の製造方法を提供する。
【0014】
さらに、上述した課題を解決するための本発明の他の実施形態は、上部に第1及び第2電極パッドを有する印刷回路基板と、上記印刷回路基板上に設置された上記チップ電子部品と、を含むチップ電子部品の実装基板を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態のチップ電子部品によると、従来よりもチップインダクタの品質係数、即ち、Q値を改善させることができる。
【0016】
また、チップインダクタのコイルターン数に差異がないためインダクタンスを類似に維持しながら、従来よりもインダクタのQ値を高周波帯域に移動させることができる。
【0017】
なお、本発明の一実施形態のチップ電子部品によると、直流抵抗(Rdc)特性を改善させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態によるチップ電子部品のコイル導体パターンが現れるように示した概略斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるチップ電子部品の上部平面図である。
図3図1のI−I’線に沿った断面図である。
図4図3のA部分を拡大して示した概略図である。
図5】本発明の実施例及び比較例によるチップ電子部品の周波数別のQ特性を示したグラフである。
図6】本発明の他の実施形態によるチップ電子部品の製造工程図である。
図7図1のチップ電子部品が印刷回路基板に実装された形状を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0020】
また、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0021】
チップ電子部品
以下では、本発明の一実施形態によるチップ電子部品を説明するにあたり、特に、薄膜型インダクタを例に挙げて説明するが、本発明はこれに制限されない。
【0022】
図1は本発明の一実施形態によるチップ電子部品のコイル導体パターンが現れるように示した概略斜視図であり、図2は本発明の一実施形態によるチップ電子部品の上部平面図であり、図3図1のI−I’線に沿った断面図であり、図4図3のA部分を拡大して示した概略図である。
【0023】
図1から図4には、チップ電子部品の一例として電源供給回路の電源ラインに用いられる薄膜型インダクタ100が示される。上記チップ電子部品は、チップビーズ(chip beads)、チップフィルター(chip filter)などに適切に応用されることができる。
【0024】
上記薄膜型インダクタ100は、磁性体本体50、絶縁基板23、及びコイル導体パターン42、44を含む。
【0025】
上記薄膜型インダクタ100は、絶縁基板23上にコイル導体パターン42、44を形成した後、外部に磁性体材料を充填することで製作することができる。
【0026】
また、上記薄膜型インダクタ100の重要な性質である直流抵抗(Rdc)を改善させるためにはめっきの面積が重要となる。このため、高い電流密度を加えてめっきがコイルの上方向のみに成長できる異方性めっき工法を適用している。
【0027】
具体的には、上記インダクタのコイルを形成する絶縁基板のめっき工程は、まず1次パターンめっき工程を行った後、コイルの特定部分にはんだレジスト(Solder Resist、SR)またはドライフィルムレジスト(Dry Film Resist、DFR)などのような絶縁材を塗布して2次めっきを行う。
【0028】
上記1次パターンめっき工程によってシード層が形成される。上記2次めっき工程は、絶縁基板上に感光性樹脂(Photo−Resist)を塗布し、フォトマスク(Photo Mask)によってコイル導体パターンを露光、転写して現像処理すると、光が届かない部分のレジスト(Resist)が残るようになるが、この状態においてめっきを行い、残りのレジスト(Resist)を除去すると上記めっき層が形成されるようになる。
【0029】
上記1次パターンめっき工程の後に、絶縁基板上に2次めっきを行ってめっき層を成長することにより、上記コイル導体パターン42、44を絶縁基板23の上部及び下部に配置させることができる。
【0030】
一般に、薄膜型インダクタの場合、高いインダクタンス(Inductance、L)及び低い直流抵抗(Rdc)が求められ、特に周波数別のインダクタンス値の偏差が少なければならない場合に主に用いられる部品である。
【0031】
磁性体本体50は、薄膜型インダクタ100の外観をなし、磁気特性を示す材料であれば制限されないが、例えば、フェライトまたは金属系軟磁性材料が充填されて形成されることができる。
【0032】
上記フェライトとしては、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ni−Zn−Cu系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Ba系フェライト、Li系フェライトなどを用いることができる。
【0033】
また、上記金属系軟磁性材料としては、Fe、Si、Cr、Al、及びNiからなる群より選択されたいずれか1つ以上を含む合金を用いることができる。例えば、Fe−Si−B−Cr系非晶質金属粒子を用いることができるが、これに制限されない。
【0034】
上記金属系軟磁性材料の粒径は0.1μm〜30μmであることができ、エポキシ(epoxy)樹脂またはポリイミド(polyimide)などの高分子上に分散した形態で含まれることができる。
【0035】
磁性体本体50は六面体形状であることができ、本発明の実施形態を明確に説明するために六面体の方向を定義すると、図1に示されるL、W及びTはそれぞれ長さ方向、幅方向、厚さ方向を示す。
【0036】
上記磁性体本体50の内部に形成される絶縁基板23は、薄膜で形成され、めっきでコイル導体パターン42、44を形成することができる材質であれば特に制限されず、例えば、PCB基板、フェライト基板、金属系軟磁性基板などで形成されることができる。
【0037】
上記絶縁基板23の中央部は貫通されて孔を形成し、上記孔はフェライトまたは金属系軟磁性材料などの磁性体で充填されてコア部を形成することができる。磁性体で充填されるコア部を形成することにより、インダクタンス(Inductance、L)を向上させることができる。
【0038】
上記絶縁基板23の一面にコイル形状のパターンを有するコイル導体パターン42が形成されることができ、上記絶縁基板23の反対面にもコイル形状のパターンを有するコイル導体パターン44が形成されることができる。
【0039】
上記コイル導体パターン42、44は、スパイラル(spiral)形状のコイルパターンを含むことができる。また、上記絶縁基板23の一面及び反対面に形成されるコイル導体パターン42、44は、上記絶縁基板23に形成されるビア電極46によって電気的に接続されることができる。
【0040】
上記コイル導体パターン42、44及びビア電極46は、電気伝導性に優れた金属を含んで形成されることができ、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)、またはこれらの合金などで形成されることができる。
【0041】
一方、図面に示されていないが、上記コイル導体パターン42、44の表面に絶縁膜が形成されることができる。
【0042】
上記絶縁膜は、スクリーン印刷法、フォトレジスト(Photo Resist、PR)の露光、現像を通じた工程、スプレー(spray)塗布、ディッピング(dipping)工程などの公知の方法で形成されることができる。
【0043】
上記絶縁膜は、薄膜で形成されるものであれば特に制限されないが、例えば、フォトレジスト(PR)、エポキシ(epoxy)系樹脂などを含んで形成されることができる。
【0044】
上記絶縁基板23の一面に形成されるコイル導体パターン42の一端部は上記磁性体本体50の長さ方向の一側面に露出することができ、上記絶縁基板23の反対面に形成されるコイル導体パターン44の一端部は上記磁性体本体50の長さ方向の他側面に露出することができる。
【0045】
上記磁性体本体50の長さ方向の両側面に露出する上記コイル導体パターン42、44と接続されるように長さ方向の両側面には外部電極31、32が形成されることができる。
【0046】
上記外部電極31、32は、上記磁性体本体50の厚さ方向の両側面及び/または幅方向の両側面に延長されて形成されることができる。
【0047】
また、上記外部電極31、32は、上記磁性体本体50の下面に形成されることができ、上記磁性体本体50の長さ方向の両側面に延長されて形成されることができる。
【0048】
即ち、上記外部電極31、32は、特に制限されず、多様な形状で配置されることができる。
【0049】
上記外部電極31、32は、電気伝導性に優れた金属を含んで形成されることができ、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、すず(Sn)、銀(Ag)などを単独で、またはこれらの合金などで形成されることができる。
【0050】
図1を参照すると、上記コイル導体パターン42、44が上記磁性体本体50の下面に水平な形態で配置されるが、これに限定されず、下面に垂直な形態で配置されることもできる。
【0051】
本発明の一実施形態によると、上記コイル導体パターン42、44は、少なくとも1つ以上の溝61を含む。
【0052】
一般の薄膜型インダクタの場合、基板を中心に上下コイルが対称的に形成され、この二つのコイルがビアによって連結される。また、上記コイルが位置した部分を除いた基板上の残り部分を除去し、磁性体で充填した後、外部電極を形成してインダクタを完成させる。
【0053】
一般に、上記コイルは、1つの太いワイヤ(Wire)がスパイラル形状に巻かれた形態で製作される。
【0054】
このように、1つのワイヤ(Wire)がスパイラル形状に巻かれた形態で製作される一般の薄膜型インダクタの場合、電流が流れると、作動周波数が大きくなるにつれて、ワイヤに流れる電流が上記ワイヤの表面付近に集中する傾向がある。
【0055】
上記のような特性を表面効果(Skin Effect)と呼ぶ。
【0056】
即ち、上記表面効果(Skin Effect)により、一般の薄膜型インダクタの場合、高周波帯域におけるQ値が低下して効率が低くなるという問題があった。
【0057】
しかし、本発明の一実施形態によると、上記コイル導体パターン42、44は少なくとも1つ以上の溝61を含むため、上記磁性体本体50の厚さ方向に一部領域が上記溝61によって分割されることができる。
【0058】
図2を参照すると、上記溝61が2つの場合、上記コイル導体パターン42、44は、1つの太いワイヤが上記磁性体本体50の厚さ方向に3つに分割された形態で配置される。
【0059】
図2には上記溝61が2つであるように示されているが、これに制限されず、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0060】
この場合、上記コイル導体パターン42、44は、上記コイル導体パターンの分割された個数が上記溝61の個数に1つが加えられた個数と同一になるように配置されることができる。
【0061】
図4を参照すると、上記コイル導体パターン42、44は、シード層42a、44a、及び上記シード層42a、44a上に配置されためっき層42b、44bを含むことができる。
【0062】
上記溝61は、上記磁性体本体50の厚さ方向に上記めっき層42b、44bを貫通して上記シード層42a、44aの上部まで形成されることができる。
【0063】
即ち、上記溝61が2つである場合、上記コイル導体パターン42、44は、1つの太いワイヤが上記磁性体本体50の厚さ方向に3つに分割されためっき層42b、44bを有する形態で配置されることができる。
【0064】
本発明の一実施形態によると、上記コイル導体パターン42、44は、1つの太いワイヤが上記磁性体本体50の厚さ方向に分割された形態を有することから、それぞれの分割された薄いめっき層42b、44bの中央にまで電流が流れることができるため、相対的に表面効果(Skin Effect)による損失を減少させることができる。
【0065】
これにより、1つの太いワイヤがスパイラル形状に配置される従来の薄膜型インダクタに比べて本発明の一実施形態による薄膜型インダクタのQ値は高周波帯域に移動することができる。
【0066】
また、上記コイル導体パターン42、44は上記溝61によって分割され、上記溝61は上記磁性体本体50の厚さ方向に上記めっき層42b、44bを貫通して上記シード層42a、44aの上部まで形成されることから、めっきされた金属の体積が上記シード層42a、44aの分だけ増加するため、直流抵抗(Rdc)も減少する効果がある。
【0067】
図4を参照すると、上記溝61の幅Waは、上記溝61によって分割された上記めっき層42b、44bの1つの幅Wcより小さいことができる。
【0068】
上記溝61は、上記表面効果(Skin Effect)による損失を減らすために形成されるもので、上記薄膜型インダクタ100のインダクタンス低下を防ぐためには、上記溝61の幅Waは上記溝61によって分割された上記めっき層42b、44bの1つの幅Wcより小さいことが好ましい。
【0069】
また、上記溝61の幅は、上記コイル導体パターン42または44間の間隔Wbより小さいことができる。
【0070】
上記溝61は上記表面効果(Skin Effect)による損失を減らすために形成されるため、上記溝61の幅は、上記薄膜型インダクタ100のショート不良を防ぐための上記コイル導体パターン42または44間の間隔Wbよりは小さいことが好ましい。
【0071】
図4を参照すると、上記シード層42a、44aの厚さtsは、特に制限されないが、例えば、10μm以上40μm以下であることができる。
【0072】
上記シード層42a、44aの厚さtsを10μm以上40μm以下になるように調節することにより、高周波帯域におけるインダクタのQ値を改善させることができる。
【0073】
上記シード層42a、44aの厚さtsが10μm未満の場合は、上記シード層42a、44aの厚さtsが薄すぎるため直流抵抗(Rdc)の減少効果がわずかであることから、高周波帯域におけるインダクタのQ値が改善される効果がない。
【0074】
上記シード層42a、44aの厚さtsが40μmを超過すると、上記シード層42a、44aの厚さtsが厚すぎるため、高周波帯域におけるインダクタのQ値が低下するという問題がある。
【0075】
図5は本発明の実施例及び比較例によるチップ電子部品の周波数別のQ特性を示したグラフである。
【0076】
図5を参照すると、1つの太いワイヤがスパイラル形状で配置される従来の薄膜型インダクタに該当する比較例より1つの太いワイヤに溝が形成されて分割されたコイル導体パターンを有する実施例の場合、表面効果(Skin Effect)による損失が減少して高周波帯域におけるQ値が改善されることが分かる。
【0077】
一方、本発明の他の実施形態によると、絶縁基板23、及び上記絶縁基板23の少なくとも一面に形成されるコイル導体パターン42、44を含む磁性体本体50と、上記コイル導体パターン42、44の端部と連結されるように上記磁性体本体50の両端部に形成された外部電極31、32と、を含み、上記磁性体本体50の長さ方向の断面において、上記コイル導体パターン42、44は、シード層42a、44a、及び上記シード層42a、44a上に配置されためっき層42b、44bを含み、上記コイル導体パターン42、44は少なくとも1つ以上の溝61を含み、上記溝61は上記めっき層42b、44bを二つ以上に分割するチップ電子部品を提供する。
【0078】
即ち、上記コイル導体パターン42、44は、上記シード層42a、44a、及び上記シード層42a、44a上に配置された分割された形態を有する複数のめっき層42b、44bを含み、上記シード層42a、44aの一部領域にはめっき層42b、44bが形成されない形態である。
【0079】
これにより、上記コイル導体パターン42、44は、直流抵抗(Rdc)が低減され、表面効果(Skin Effect)による損失が減少して高周波帯域におけるQ値が改善されることができる。
【0080】
その他、本発明の他の実施形態によるチップ電子部品の特徴のうち、上述した本発明の一実施形態によるチップ電子部品の特徴と同一部分は、重複を避けるために省略する。
【0081】
図6は本発明の他の実施形態によるチップ電子部品の製造工程図である。
【0082】
以下では、図6を参照して、本発明の他の実施形態によるチップ電子部品の製造工程について説明する。
【0083】
まず、絶縁基板23の少なくとも一面にシード層42aを形成することができる。
【0084】
上記シード層42aの形成方法は、特に制限されないが、例えば、めっき法によって行われることができる。
【0085】
また、上記シード層42aは、電気伝導性に優れた金属を含んで形成することができ、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)、またはこれらの合金などを用いることができる。
【0086】
次に、上記シード層42aをパターニング(Patterning)する段階を行うことができる。
【0087】
上記シード層42aをパターニング(Patterning)する段階は、特に制限されず、コイル導体パターン42の幅に応じて適切に行われることができる。
【0088】
その後、上記絶縁基板23及びパターニング(Patterning)されたシード層42a上に絶縁材60を塗布してパターニング(Patterning)する段階を行うことができる。
【0089】
本発明の他の実施形態によると、上記絶縁材60のパターニング(Patterning)段階において、後述の通り、コイル導体パターン42に溝61を形成させることができる。
【0090】
具体的には、上記絶縁材60をパターニング(Patterning)する過程において、上記シード層42a上の一部領域の絶縁材60を残すことにより、めっき工程後に、絶縁材60が残る上記シード層42aの該当領域は外部に露出するようになり、コイル導体パターンに溝を形成させることができる。
【0091】
上記絶縁材60は、はんだレジスト(Solder Resist、SR)やドライフィルムレジスト(Dry Film Resist、DFR)などであることができるが、これに制限されない。
【0092】
上記絶縁材60をパターニング(Patterning)する工程は、絶縁基板上に感光性樹脂(Photo−Resist)を塗布し、フォトマスク(Photo Mask)を用いて溝が形成されたコイル導体パターンを露光、転写して現像処理することで行われることができる。
【0093】
この場合、光が届かない部分のレジスト(Resist)が残るようになり、この状態において、後述するめっきを行い、残りのレジスト(Resist)を除去すると、めっき層が形成されるようになる。
【0094】
即ち、上記シード層42a上にめっき層42bを形成する段階を行うことができる。次いで、上記絶縁材60を除去する段階を行うことができる。これにより、上記絶縁材を除去した後、上記シード層の上面の一部が露出することができる。
【0095】
上記のような工程により、本発明の一実施形態によると、上記コイル導体パターン42、44は1つ以上の溝を含むことができる。
【0096】
上記絶縁基板23としては、特に制限されないが、例えば、PCB基板、フェライト基板、金属系軟磁性基板などを用いることができ、40〜100μmの厚さであることができる。
【0097】
上記絶縁基板23の一部に孔を形成し、伝導性物質を充填してビア電極46を形成することができる。上記ビア電極46により、絶縁基板23の一面及び反対面に形成されるコイル導体パターン42、44同士を電気的に接続させることができる。
【0098】
上記絶縁基板23の中央部には、ドリル、レーザー、サンドブラスト、パンチング加工などを行って絶縁基板23を貫通する孔を形成することができる。
【0099】
続いて、上記コイル導体パターン部42、44が形成された絶縁基板23の上部及び下部に磁性体層を積層して磁性体本体50を形成することができる。
【0100】
磁性体層を絶縁基板23の両面に積層し、ラミネート法または静水圧プレス法によって圧着することで磁性体本体50を形成することができる。このとき、上記孔を磁性体で充填することにより、コア部を形成することができる。
【0101】
その後、上記磁性体本体50の端面に露出するコイル導体パターン部42、44と接続されるように外部電極31、32を形成することができる。
【0102】
上記外部電極31、32は、電気伝導性に優れた金属を含むペーストを用いることで形成されることができ、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、すず(Sn)、銀(Ag)などの単独またはこれらの合金などを含む伝導性ペーストであることができる。外部電極31、32を形成する方法は、外部電極31、32の形状により、プリンティング法やディッピング(dipping)法などを行うことで形成することができる。
【0103】
その他、上述した本発明の一実施形態によるチップ電子部品の特徴と同一部分に対してはその説明を省略する。
【0104】
下記表1はシード層の厚さによる高周波帯域におけるインダクタのQ値を比較したものである。
【0105】
上記インダクタのQ値は、100MHzの周波数におけるシード層の厚さを変化させながら測定した。
【0106】
【表1】
【0107】
上記表1を参照すると、上記シード層の厚さが40μmまでは100MHzの周波数において測定されたQ値が53.49以上と高いことが分かる。
【0108】
これに対し、上記シード層の厚さが40μmを超過すると、上記Q値が低くなることが分かる。
【0109】
したがって、本発明の一実施形態によると、上記シード層の厚さは40μm以下であることが好ましい。
【0110】
チップ電子部品の実装基板
図7図1のチップ電子部品が印刷回路基板に実装された形状を示した斜視図である。
【0111】
図7を参照すると、本実施形態によるチップ電子部品の実装基板200は、チップ電子部品が水平になるように実装される印刷回路基板210、及び印刷回路基板210の上面に離隔されるように形成された第1及び第2電極パッド221、222を含む。
【0112】
このとき、上記チップ電子部品は、第1及び第2外部電極31、32がそれぞれ第1及び第2電極パッド221、222上に接触されるように位置した状態において、はんだ230によって印刷回路基板210と電気的に連結されることができる。
【0113】
その他、上述した本発明の一実施形態によるチップ電子部品の特徴と重複される説明は省略する。
【0114】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0115】
100 薄膜型インダクタ
23 絶縁基板
31、32 外部電極
42、44 コイル導体パターン
42a、44a シード層
42b、44b めっき層
46 ビア電極
50 磁性体本体
60 絶縁材
61 溝
200 実装基板
210 印刷回路基板
221、222 第1及び第2電極パッド
230 はんだ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7