【実施例】
【0013】
図1、
図2は、本発明の実施の形態における固定部材20の構成を示す図である。
【0014】
図1、
図2において、固定部材20は、複数(2個以上)の保護部材10によって構成されており、各保護部材10同士を接合することによって形成される。
図1、
図2では、2つの保護部材10を用いて形成される固定部材20を示している。2つの保護部材10をそれぞれ「1の保護部材」(第1保護部材)、「他の保護部材」(第2保護部材)と称する。すなわち、「1の保護部材」(第1保護部材)と、「他の保護部材」(第2保護部材)とは略同一の構成要素によって構成される。なお、略同一とは、後述する開口部12の形状が、保護部材10同士の接合関係により異なることがあることを含むほか、後述する膜部材11の断面形状が異なることを含み、構成要素が同じであればよい。
【0015】
各保護部材10(「1の保護部材」、「他の保護部材」それぞれ)は、半円筒形状からなるケース体と、そのケース体に接着(溶着、付着)された膜部材11とによって構成されている。
【0016】
図1(a)には、切れ目を有する膜部材11が接着された保護部材10と、切れ目を有さない膜部材11が接着された保護部材10とを示し、
図1(b)には、切れ目を有する膜部材11が接着された2つの保護部材10を示している。詳細については後述する。
【0017】
図2では、膜部材11に、膜部材11が開口部を覆う表面積よりも断面積の小さいキャラクタや球体等の有形の物品(以下、「有形物30」や「商品」とも称する)を配置した例を示している。このときの有形物30は、例えば、
図2に示すように膜部材11に配されたキャラクタであって、キャラクタの正面が膜部材11に接触する(押圧される)ように配置されていることが望ましい。また、キャラクタの表面(形状)は、平面部や曲面部のほか突起部を1又は複数、有している。すなわち、有形物30は、1または複数の突起部を有していると言える。
【0018】
また、ケース体は、合成樹脂や合成繊維などの材料を用いて形成され、有形物30を収納可能な内部空間を有している。このケース体は、半円筒形状に限られることはなく、内部空間を有する所定の形状であればよく、その表面に凹凸を有していてもよい。以下、半円筒形状(各種凹凸を含む略半円筒形状)からなるケース体を例に説明する。
【0019】
ケース体は、ケース高さとケース幅からなる四角形の開口部12、半円筒形状の上下部を形成する半円形状の底面(以下では「連結側底面10b」と称することがある)、半円筒形状の周囲を形成する側面10aによって構成されており、所定のケース深さからなる内部空間を有している。すなわち、内部空間は、「(ケース深さ×ケース深さ)×円周率×ケース幅」によって算出される容量である。
【0020】
また、膜部材11は、伸縮性を有する薄膜状の部材(伸縮部材)によって構成でき、「フィルム」や「シート」とも称され、透過率の高い部材(好ましくは透明)である。
【0021】
図3には、膜部材11の例を示している。
【0022】
図3(a)は、所定の規則に基づいて切れ目(スリット)が連続して配列された膜部材11を示している。この
図3(a)に示す切れ目は、横方向(x方向、第1方向)に複数列、縦方向(y方向、第2方向)に複数行、設けられた構成を示している。各列、各行それぞれには、所定の間隔を経て連続して複数の切れ目が設けられている。すなわち、
図3(a)に示す膜部材11は、所定の規則で縦横に配列された複数の切れ目を有するものである。
【0023】
また、各列、各行それぞれで見た場合、横方向の切れ目と縦方向の切れ目とが交互に設けられており、横方向にいずれかの位置で力が加わった(押圧された)場合や縦方向にいずれかの位置で力が加わった(押圧された)場合のほか、縦横のいずれの方向にも力が加わった(押圧された)場合においても、その押圧された位置またはその位置の近隣に設けられた切れ目に間隙が生じることで加わった力(圧力)を膜部材11において吸収する。言い換えれば、切れ目に間隙を生じさせることで延伸性を担保し、加わった圧力を吸収することが可能である。
【0024】
なお、
図3(a)の膜部材11における縦方向(y方向)の両端については横方向(x方向)の切れ目のみが設けられている。これは、膜部材11の切れ目に加わった力によって膜部材11全体が破損(裁断)されてしまうことを最小限に防止することを可能とした構成である。
【0025】
図3(b)は、横方向に連続した複数の切れ目を有した膜部材11の例を示す図である。この方向は、あくまで一例であって、横方向に限定されることなく、縦方向に連続した複数の切れ目を有した構成であってもよい。すなわち、膜部材11が設けられた保護部材10の開口部12の表面の少なくとも一方向に連続した複数の切れ目を有する構成であればよい。
【0026】
図3(c)は、横方向に連続した複数の切れ目の列を複数設けた構成を示している。これにより、
図3(b)に示すような単一列(単一行)の切れ目よりも多くの圧力を吸収することができる。
【0027】
図3(d)は、横方向に連続した複数の切れ目の列を複数設け、かつ、縦方向に連続した複数の切れ目の行を複数設け、これらの切れ目によって四角形(より好ましくは正方形)を構成するように設けられている。これにより、
図3(c)に示すような切れ目の構成よりも、より加わった圧力を吸収することができる。
【0028】
図3に示すような膜部材11は、
図1や
図2に示すケース体の開口部12およびその周辺(開口部近辺)の少なくとも一部に接着(溶着)されており、四角形の開口部12の少なくとも一部を被覆した状態(言い換えると、開口部12の少なくとも一部に張られた状態)にある。特に、膜部材11を開口部12の内部に接着することによって保護部材10同士を接合したときに膜部材11が内部に収納されることとなる。なお、膜部材11は、ケース体の開口部12全体に接着することが可能であるほか、開口部12近辺の一部に接着することも可能であって、
図1、
図2では、開口部12のケース高さ方向にのみ接着し、各底面との間の所定の高さ部分とケース幅方向とには膜部材11が接着されておらず、内部空間の一部である空き空間を形成した状態を示している。
【0029】
なお、
図3に示すような切れ目を有する膜部材11は、
図1(a)、
図1(b)、
図2に示すように、固定部材20を構成する2つの保護部材10(1の保護部材、他の保護部材)の少なくとも一方に接着された状態であればよい。一方の保護部材10(例として、1の保護部材)に接着された場合、他方の保護部材(例として、他の保護部材)には切れ目を有さない膜部材を設けた構成としてもよい。もちろん、固定部材20を構成する2つの保護部材10(1の保護部材、他の保護部材)全てに(2つの保護部材10それぞれに)接着された状態であってもよい。
【0030】
前者の場合、すなわち、
図1(a)に示すように接着されている場合、
図2に示すようにキャラクタの正面を切れ目を有さない膜部材11に向けて配置したとき、キャラクタの正面が押圧されることとなるため、つまり、キャラクタ正面に切れ目が配置されることがなく、キャラクタが膜部材11によって一様に押圧されることからキャラクタを鮮明に視認することができる。また、後者の場合、すなわち、
図1(b)に示すように接着されている場合、膜部材11相互で高い延伸性を確保することができ、衝撃等の吸収性能が向上する。
【0031】
また、一方の保護部材10に
図3に示すような切れ目を有する膜部材11を設け、他方の保護部材10に切れ目を有さない膜部材を設けた場合には、それらの膜部材が伸縮率の同じ材料であれば、切れ目を有する膜部材11のほうが、切れ目を有さない膜部材に比べて延伸性が高いと言える。すなわち、有形物30が切れ目を有する膜部材11のほうにより多く張り出す可能性が高くなる。
【0032】
また、
図1、
図2では、上記に示すような構成からなる保護部材10が2個、ヒンジ(蝶番14)によって接続された例を示している。この蝶番14は、保護部材10同士を接合する際に支点として機能する部位であって、
図1、
図2では、2個の蝶番14が示されている。
【0033】
すなわち、これらの蝶番14を支点として機能させることで各保護部材10の開口部12同士が接合することとなり、各保護部材10によって形成される内部空間が結合されて円筒形状の新たな内部空間が形成されることとなる。なお、
図7に示すように、2つの蝶番14を保護部材底面10cに設けて支点として機能させることも可能である。
【0034】
各保護部材10同士の接合について、
図1、
図2、
図4、
図5を用いてより詳細に説明する。
【0035】
上記に示すような保護部材10同士の接合は、各保護部材10の開口部12同士を接合することによって行われる。開口部12同士の接合によって、結果として、保護部材10同士が接合することとなり、その開口部12に接着された膜部材11同士が互いに伸縮することで係合することとなる。つまり、膜部材11に
図2に示すように有形物30が配置されている場合、各保護部材10に接着された膜部材11同士の係合によって、膜部材11の切れ目が有形物30の形状に応じて間隙を生じることのほか、膜部材11そのものの伸縮により、有形物30が円筒形状の保護部材10における新たな内部空間に包み込まれた状態となる。
【0036】
すなわち、有形物30は保護部材10の開口部12同士の接合によって、それぞれの相手の保護部材10の開口部12に接合された膜部材11同士が相互に有形物30を押圧することとなり、その膜部材11同士間に配置された有形物30を所定位置に挟持することとなる。
【0037】
より詳細には、膜部材11同士が相互に有形物30を押圧することにより、その有形物30を介して他方の膜部材11を押圧することとなり、その膜部材11は、有形物30の形状に応じて切れ目が開口して縦横に間隙を生じることとなる。これによって、膜部材11同士により有形物30を挟持することとなる。
【0038】
このときの有形物30が、
図2に示すようなキャラクタであって、上記に示すように、キャラクタの表面が、平面部や曲面部のほか突起部を1又は複数、有しており、この突起部によって膜部材11が押圧される場合、膜部材11への接触面積(範囲)が平面部や曲面部に比べて小さいため、この平面部や曲面部に比べて比較的大きな力(圧力)が集中して膜部材11へと加わることとなる。
【0039】
このような突起部が膜部材11の表面を押圧するような場合であっても、切れ目に間隙を生じさせて延伸性を担保することでその圧力を吸収することが可能となっている。
【0040】
図4は、本発明の実施の形態における固定部材を垂直方向(z方向)下部から参照した状態を示す図である。
【0041】
図4では、
図2に示す固定部材を垂直方向(z方向)下部から参照したことによって、有形物30が膜部材11を押圧した状態をより明確に示し、膜部材11に設けられた切れ目が有形物30の押圧によって間隙を生じている状態を示している。
【0042】
特に、有形物30が有する突起部が膜部材11の表面に接触するように配置されている場合、その突起部には、他の部位に比べて比較的大きな力によって押圧されることから、その押圧位置の切れ目またはその押圧位置の近辺の切れ目が他の部位の切れ目に比べて大きな間隙が生じることとなる。
【0043】
図5は、有形物30を膜部材11同士の係合によって挟持した状態を示している。
図5(a)は、一方の保護部材10に切れ目を有する膜部材11(キャラクタ背面により押圧される膜部材)を接着し、他方の保護部材10には切れ目を有しない膜部材11(キャラクタ正面により押圧される膜部材)を接着した状態で、開口部12同士の接合面を正面にした図であって、
図5(b)は、両方の保護部材10に切れ目を有する膜部材11を接着した状態で、開口部12同士の接合面を長手方向を軸にして90度回転して横にしてキャラクタを正面からみた図であり、
図5(c)は、一方の保護部材10に切れ目を有する膜部材11(キャラクタ背面により押圧される膜部材)を接着し、他方の保護部材10には切れ目を有しない膜部材11(キャラクタ正面により押圧される膜部材)を接着した状態で、開口部12同士の接合面を長手方向を軸にして90度回転して横にしてキャラクタを正面からみた図である。
【0044】
これらの
図5では、透過率の高い膜部材11を用いているほか、ケース体を円筒形状の透明なケース体としていることから、保護部材10同士を接合した固定部材20の内部空間の所定位置に挟持された有形物30を外部から視認(認識)可能な状態にある。言い換えれば、有形物30は、2個の膜部材11によって包囲されて固定された状態にあって、かつ、2個のケース体に内包された状態にあると言える。
【0045】
図5に示すような有形物30、保護部材10の開口部12のケース高さ方向の一部に接着された膜部材11同士によって挟持されているため、上記に示すように、ケース高さの上部および下部(上下部)は膜部材11が設けられていない。このため、外部から力(以下、「外圧」と称する)が保護部材10に加えられたとしても、その外圧の想定最大値と膜部材11の伸縮率と有形物30の重量とを考慮して上下部の空間を設けることで、外圧による保護部材10の保護部材底面10cの内側と非接触状態とすることができる。すなわち、外圧による有形物30の移動(揺れ)を吸収して保護部材底面10cの内側との接触を防止して破損等を防ぐことが可能となる。
【0046】
このように、膜部材11が接着されていない上下部の空間を設けることで、ケース高さ方向への外圧による有形物30の破損を最大限抑制することが可能となる。すなわち、ケース高さ方向の外圧が有形物30に伝搬することが最小限に抑制できる。
【0047】
このほか、上記に示すように、保護部材10のケース体は所定のケース深さによる内部空間を有しており、外圧が保護部材10に加えられたとしても、その外圧の想定最大値と膜部材11の伸縮率と有形物30の重量とを考慮して上下部の空間を設けることで、外圧による保護部材10の側面内側と非接触状態とすることができる。すなわち、外圧による有形物30の移動(揺れ)を吸収して側面内側との接触を防止して破損等を防ぐことが可能となる。
【0048】
図5(a)および
図5(c)では、一方の保護部材10(例として、正対して左側の保護部材)に切れ目を有する膜部材11を接着し、他方の保護部材10(例として、正対して右側の保護部材)には切れ目を有しない膜部材11を接着した状態を示していることから、切れ目を有する膜部材11の方が、切れ目を有さない膜部材11に比べて延伸性が高いため、突起部がケース体の内部空間に突出した状態で有形物を挟持する可能性が高い。すなわち、
図5(c)は、
図5(a)を長手方向を軸にして90度回転した状態を示している。
【0049】
図5(b)では、両方の保護部材10に切れ目を有する膜部材11を接着した状態を示していることから、キャラクタが有する平面部や曲面部のほか突起部を膜部材11の切れ目による延伸性により吸収した状態を示している。
【0050】
このため、切れ目を有しない膜部材11を接着した保護部材10よりも切れ目を有する膜部材11を接着した保護部材10の方が、内部空間が狭くなっている。
【0051】
図6は、本発明の実施の形態における固定部材20と、合成樹脂等によって作成された飲料用容器40と連結して一体成型された容器を示す図である。
【0052】
固定部材20は、
図1乃至
図5に示すようなものであって、飲料用容器40は、固定部材20と連結する被連結部材の一例を示すものである。
【0053】
この飲料用容器40は、飲料が入った器であって、飲料用容器40の底面を固定部材20の連結側底面10bと連結することで容器100として一体成型されている。飲料用容器40の底面はその連結形態に応じた形状をとることが可能である。すなわち、飲料用容器40の底面と固定部材20の連結側底面10bとは相互に関連した連結形状を有して連結可能な状態にある。すなわち、一方の底面の形状に応じて他方の底面の形状が決定されることとなる。
【0054】
このとき、相互に連結する際の飲料用容器40の底面と固定部材20の連結側底面10bとは連結部位であることから、飲料用容器40の底面を「第1連結部」と称し、固定部材20の連結側底面10bを「第2連結部」と称する。このうち固定部材20の第2連結部は、各保護部材10を接合することによって構成し得るものであって、具体的には、1の保護部材10の半円形上の連結側底面10bと、他の保護部材10の半円形上の連結側底面10bとによって構成する。
【0055】
図6(a)には、飲料用容器40の第1連結部が平面(フラット面)であって、固定部材20の第2連結部についてもフラット面であって、これら各連結部を接着剤等の連結材料を用いて連結して一体化(一体成型)した容器100を示している。
【0056】
また、
図6(b)に示す例では、飲料用容器40の第1連結部をブロー成形して「ねじ山」形状としており、固定部材20の第2連結部をブロー成形して「ねじ受」形状としている。すなわち、飲料用容器40の第1連結部と固定部材20の第2連結部とを螺合して連結して一体化(一体成型)した容器100を示している。
【0057】
図6(c)に示す例では、包装材料であるラベル50を用いて飲料用容器40と固定部材20とを連結して一体化(一体成型)した容器100を示している。この
図6(c)における飲料用容器40の第1連結部と固定部材20の第2連結部とは、好ましくは双方ともフラット面である。
【0058】
これによって、飲料用容器40と固定部材20とが連結されて一体成型された容器100は、容易に飲料用容器40と固定部材20とに分離可能であって、飲料用容器40と固定部材20とを着脱可能である。
【0059】
このようにして飲料用容器40と固定部材20とを連結させた容器100のサイズは、自動販売機に収納可能なサイズであって、具体的には、自動販売機の所定の収納位置から取り出し口までの搬送路を移動可能なサイズである。
【0060】
以上に示す実施の形態は、本発明の実施の一形態であって、これらの実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。